債務整理の相談はファイナンシャルプランナー(FP)にできるのか?

ファイナンシャルプランナーはお金に関する相談ができるそうですが、借金を債務整理したい場合でも相談して良いのでしょうか?


確かにファイナンシャルプランナーは暮らしとお金にまつわるさまざまなアドバイスをしてくれます。
もちろん借金の悩みも相談可能ですが、債務整理の相談をしても実際に手続きを任せることはできません。
そうなんですね。では債務整理についての相談は誰にすれば良いのですか?


債務整理の手続きができるのは司法書士もしくは弁護士で、相談だけなら無料なケースが多いのでこのどちらかに相談するのが良いです。
特に、弁護士なら債務整理に関するすべての手続きを一任できるので、弁護士に相談するのがおすすめです。

ただし、ファイナンシャルプランナーに相談すれば債務整理をせずに済む可能性があったり、債務整理後の生活再建に役立つアドバイスをくれたりするので、時間に余裕があるなら債務整理の前にFPへ相談するのも良いでしょう。
その場合は弁護士と連携しているファイナンシャルプランナーを選ぶと手続きまでスムーズにできます。
弁護士ってなんだか敷居が高そうなイメージですが、相談が無料なら安心しました。
すぐに自宅近くの弁護士事務所を探してみます。

FPは住宅ローンや年金、保険など暮らしにまつわるお金の相談を受け付けている印象が強いですが、実は借金問題の相談も可能です。
具体的には、借金の返済期間や借金との付き合い方、債務整理後の生活やお金のやりくりに関する内容についてアドバイスをもらえます。
しかし、借金の負担を軽減するために債務整理をしたいと思っても、FPに手続きをお願いすることはできません。
借金の返済で生活が苦しいなら早く借金問題を解決したいはずですから、FPではなく真っ先に弁護士や司法書士に相談すべきです。
もし、いきなり弁護士へ相談するのが心配なら、借金減額診断チェッカーを利用してみましょう。簡単な質問に答えて、弁護士に依頼した場合借金がどれくらい減るのか、無料で診断できます。

- FPが債務整理手続きをできない理由
- 債務整理の相談先は弁護士がおすすめな理由
- FPに借金の悩みを相談するメリット
- FPではなく真っ先に弁護士に相談した方が良いケース
債務整理の相談はFPにもできる?
FPは、お金に関する幅広い知識を備え、家計のやりくりや生活についてさまざまなアドバイスをする専門家です。
借金問題も突き詰めればお金にまつわる問題ですから「FPに相談すれば債務整理などの方法で解決してもらえるのでは」と考える人もいるかもしれません。
実際のところ、債務整理の相談は弁護士や司法書士だけでなく、FPも受け付けているのでしょうか?
借金の相談はできるが、債務整理の手続きは依頼できない
債務整理は貸金業法や利息制限法、出資法といった法律が関わる手続きのため、こういった法律の専門知識を持ち合わせていないFPに依頼することはできません。
FPは幅広いお金に関する相談に対応していますが、債務整理のように法的処理が必要な問題の場合はFP単独では相談に乗ってもらえない可能性もあります。
法的処理が必要な問題は、司法書士または弁護士に相談するのが一般的ですので、債務整理の相談もFPではなく司法書士や弁護士にするべきです。
ただし、弁護士や司法書士と連携しているFPなら、債務整理を含めた借金問題の相談を受け付けている場合があります。そのようなFPに相談すれば、債務整理をすることになった場合でもスムーズに手続きができるためおすすめです。
FPはお金に関するさまざまなアドバイスをする専門家
FPの仕事内容は金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など家計にまつわるお金についての幅広い知識を備え、相談者へ的確なアドバイスをすることです。
FPは相談者の世帯人数や家計収支の詳細、資産状況などのデータを分析し、相談者の夢や目標を達成するサポートをしてくれます。
別名、家計のホームドクターと呼ばれることもあります。
お金に関する相談なら幅広く対応しているため、家計に関わる借金問題についても相談に乗ってくれるので安心してください。
しかし、借金の負担を軽減するため、債務整理をしようとなると話は別です。
FPに借金や債務整理の相談はできても、手続きそのものを依頼することはできません。
FPにできる借金相談の範囲
債務整理の手続きを依頼することはできませんが、FPはお金に関するさまざまな知識を持っているので、借金問題の相談をするメリットはあります。
では、具体的にどのような内容ならFPに相談できるのでしょうか?
次の項目から、FPにできる借金相談の範囲について詳しく解説します。
返済期間に関する相談
FPは相談者の収入や資産、借入の状況などを細かく確認したうえで、相談者の希望を叶えるためにどうすべきなのか提案してくれます。
そのため、借金の返済期間を短縮したいという相談者がいれば、支出の無駄はないか、売却できる資産はないかなどを考えてくれるでしょう。
FPが収支の状況などを調査してくれれば、支出の無駄が判明し借金の返済額を増やせる可能性もあるのです。もし、月々の返済額が増やせれば、債務整理をしなくて済むようになる可能性もあります。
債務整理をすれば、借金の負担を軽減することは可能です。しかし、弁護士や司法書士へ支払う費用がかかる他、信用情報にキズがついてしまったり、手続き方法によっては車や家などの資産を失うデメリットもあります。
債務整理せずに借金を完済できるに越したことはありませんから、事前にFPへ返済期間に関する相談をしてみてはいかがでしょうか。
借金との付き合い方に関する相談
債務整理をする人の多くは、複数社から借入をしている「多重債務」や、借入と返済を繰り返す「自転車操業」の状態に陥っています。
多重債務や自転車操業の状態になっている人は、借金をすることに対する心理的ハードルが下がっており、借金癖がついているケースが少なくありません。
たとえ多額の借金があっても、債務整理をすれば借金の負担を軽減することは可能です。しかし、借金癖がついているケースでは、債務整理後も借金を繰り返してしまう可能性が高く危険といえます。
その点、FPに借金の相談をすれば、借金を繰り返すことが「どれだけ危険なのか」専門家の意見を聞けて、借金癖を治す良いきっかけになるでしょう。
せっかく債務整理によって生活再建の目処が立っても、また借金を増やしてしまったら手続きをした意味がありません。FPに相談しておくことで、債務整理の効果を最大限に活かせるようになるというわけです。
債務整理後の生活やお金のやりくりに関する相談
債務整理のうち任意整理や個人再生といった手続きを選択した場合は、手続き後に残った借金を原則3年かけて返済していかなければなりません。また、借金が全額免除される自己破産でも、手元に残すことを認められた一定の現金や財産で生活を建て直す必要があります。
そのため、債務整理をする前には、目の前の借金のことばかりでなく「債務整理後にどう生活していくか」をしっかりと考えることも重要なのです。
事前にFPへ相談しておけば、債務整理後に残った借金の返済をしながら「どう生活をやりくりするか」計画を立ててくれます。漠然とした不安を抱えながら債務整理をしなくて済むようになるので、債務整理後の生活やお金の不安がある人は利用するとよいでしょう。
債務整理をするなら弁護士や司法書士へ相談しよう
債務整理をするなら、FPよりも弁護士や司法書士へ相談するのがおすすめです。
なぜ、債務整理をするなら弁護士や司法書士へ相談するべきなのか?
次の項目から、その理由を詳しく解説します。
弁護士・司法書士は債務整理を扱える専門家
前述したとおり、FPはお金に関する相談に幅広く対応しているものの、債務整理の手続きそのものを請け負うことはできません。
そのため、債務整理を検討しているなら、手続き自体も依頼できる弁護士や司法書士へはじめから相談するのがおすすめといえます。
弁護士・司法書士は、債務整理手続きをおこなううえで必要不可欠な貸金業法や利息制限法、出資法といった法律に関するさまざまな専門知識を持っている専門家です。
そのため、FPでは難しい債務整理手続きを扱えるのです。
FPではなく弁護士・司法書士へ相談すべきケース
債務整理をする前に借金の悩みをFPに相談すると、債務整理をせずに済んだり債務整理後の生活の見通しが立ったりするメリットはありますが、時間や精神的に余裕がないならFPよりも早急に弁護士や司法書士に相談した方が良いです。
FPより弁護士・司法書士に相談すべきケースをまとめたので、もし当てはまるなら1日も早く相談する弁護士・司法書士を探しましょう。
借金返済ですでに生活が困窮している
借金の返済をしていても、衣食住に困らない程度にお金のゆとりがあるならFPに相談してみるのも良いですが、毎月の借金の返済が多額ですでに生活が困窮しているならFPに相談している余裕はありません。
早期の債務整理手続きをして、生活への影響を最小限に留める必要があるのですぐ弁護士や司法書士に相談しましょう。
弁護士や司法書士に相談すればこれまでの経験と実績から、債務整理のなかでもどの手続きがあなたにとって最適かを迅速に判断してくれます。
借金を長期間滞納している
借金の返済ができず滞納している状況もFPに相談している余裕はないと理解しておきましょう。
借金は返済期日に返済が間に合わなければ返済期日翌日から遅延損害金が発生してしまいます。
遅延損害金の利率は一般的に年20%に設定されており、通常の借入利率よりも高く設定されています。
つまり、滞納している状態が長引くほど借入利息とは別で遅延損害金が膨れ上がり、ますます完済までの道のりが遠ざかってしまうのです。
さらに、滞納が3ヵ月以上と長期間続いているのであれば、近いうちに差し押さえをされる危険もあります。
金融機関やカードローン会社などの債権者から差押予告通知が届いていたり、裁判所から支払督促が特別送達で届いていたりするなら、差し押さえまで間もなくと考えましょう。
強制執行となれば給料の手取り額の4分の1や銀行預金などが差し押さえになるうえ、勤務先にも借金をしていた事実が知られてしまう恐れがあります。
しかし、弁護士や司法書士に相談して債務整理を進めれば、遅延損害金の加算も止まりますし、差し押さえも回避できるので安心してください。
返済期日や取り立てが来るたびに不安に駆られて思い悩んでしまう
毎月の返済期日が近くなったり、返済が遅れてしまい取り立てのハガキや電話が来たりするたびに将来への不安を感じて思いつめてしまうなら、精神的な病にかかってしまう危険もあります。
なかには将来を悲観して、命を絶ってしまう債務者も実在します。
そういった事態に陥らないためにも、すぐ弁護士や司法書士に相談して債務整理をしましょう。
実は、債務整理の手続きを弁護士や司法書士に委任すればすぐに取り立ても止まり、返済も一時的にしなくて済むようになります。
これは弁護士や司法書士が委任契約した後に債権者へ向けて発送する受任通知(介入通知)が関係しています。
受任通知を受け取った貸金業者や金融機関などは、債務者に直接取り立てや督促、請求を行ってはならないと法律で決められているのです。
つまり、弁護士に委任すればすぐに毎月の返済からも取り立てからも解放され、精神的な不安を感じずに債務整理に集中して取り組めるようになります。
2010年6月以前から借入をしていて過払い金が発生している可能性がある
もし、2010年6月17日以前から借入をしていた場合は、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金とは、過去に存在したグレーゾーン金利によって発生していた本来支払う必要のない利息です。
この払いすぎた利息を取り戻す手続きを過払い金請求と呼びます。
以下に該当する場合は、過払い金が発生している可能性が高いので、すぐに弁護士や司法書士へ相談してみましょう。
- 2010年6月17日以前に借入をした
- 借金を完済してから10年以内
じつは、過払い金は最後に借入や返済などの取引をしてから10年が経過すると、時効により消滅してしまいます。そのため、完済後10年以上が経過した場合は、過払い金返還請求ができないので注意しましょう。
現在借金を返済中という状況でも、以前に完済した借金で過払い金が発生している可能性はあるので、取引を見直してみるとお金を取り戻せるかもしれません。
もし、過払い金を取り返せれば、その返還分で現在の借金を返済できるので、債務整理をしなくて済む可能性もあります。
とにかく、まずは弁護士や司法書士に相談し、過払い金があるかどうかを確認してもらいましょう。
過払い金を取り戻せる可能性が高いケースや、請求の際の注意点を知りたい方は、「過払い金請求とは?払い過ぎた利息を取り戻せる条件とグレーゾーン金利について」も合わせてご覧ください。
弁護士・司法書士は対応範囲が異なる点に注意
弁護士と司法書士では、債務整理手続きにおいて取り扱い可能な業務範囲が異なります。
具体的にどのような違いがあるのか?次の項目から詳しく解説します。
弁護士は全ての手続きを一貫して行える
たとえば、任意整理をおこなう場合、弁護士は対応可能な債権額に上限がありません。
また、個人再生や自己破産といった裁判所への申立てが必要な債務整理手続きにおいて、弁護士は債務者の代理人になれます。
そのため、弁護士に依頼していれば、裁判所において必要な手続きすべてを代行してくれるのです。
司法書士は行える手続きが限定的
弁護士は全ての手続きを一貫して行えるのに対して、司法書士は行える手続きが限定的であるという特徴があります。
司法書士に依頼したものの期待していたサポートを受けられなかった場合、結局弁護士に依頼し直すことになるので注意してください。改めて弁護士に依頼し直すとなれば、費用も手間も倍かかってしまいます。
そのため、債務整理を司法書士に依頼する場合は、司法書士が扱える範囲内のサポートで事足りるのか、依頼前にしっかりと検討することが大切です。
140万円を超える案件は扱えない
任意整理を依頼する場合、司法書士は個別の債権額が140万円以下の案件しか法律相談や交渉などの対応ができません。
そのため、債務整理を依頼後に債権額が140万円を超えているとわかった場合、司法書士では対応できないため弁護士へ依頼をし直す必要があります。
この際、既に司法書士へ支払った着手金は返還されない可能性が高いため注意してください。
費用を無駄にしたくないなら、とくに依頼の時点で債権額が不明または曖昧な場合、最初から弁護士へ依頼することをおすすめします。
自己破産や個人再生は書類作成までのみ(地方裁判所への同席不可)
司法書士は、地方裁判所で扱う案件において債務者の代理人になることはできません。
そのため、個人再生や自己破産といった裁判所への申立てが必要な債務整理手続きを司法書士に依頼していると、受けられるサポートは提出書類の作成など一部に限られてしまいます。
裁判所に出向いて申立てをおこなったり、裁判官との面談などは、債務者本人が対応しなければなりません。
無料相談を行なっている事務所は多いので、相談はお早めに
弁護士や司法書士に相談するのは敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、多くの事務所が借金問題は相談料無料で対応しているので、気兼ねなく利用してみてください。
無料相談を利用してみれば、意外にアットホームな雰囲気できっと印象が変わるでしょう。
弁護士や司法書士は借金問題で悩む数多くの人たちを見てきていますから、親身になってあなたの悩みを聞き、的確なアドバイスで解決に導いてくれます。
もちろん、弁護士や司法書士との相性も大切ですから、色々な事務所の無料相談を利用することをおすすめします。相談した事務所の中から、最も相性が良く信頼できる弁護士や司法書士と委任契約を結ぶとよいでしょう。
まとめ
FPは家計診断の専門家なので借金に悩む人が相談すれば、効率良い返済計画が立てられる期待はできます。
しかし、借金を債務整理して負担を減らすことはFPにはできません。
債務整理で借金を減額するなら弁護士に相談して早急に手続きを進める必要があります。
しかし、債務整理は人生の終わりではなくむしろ人生を再建する始まりと言えますから、FPに事前相談することで債務整理後のライフプランを明確にできる期待はできるでしょう。
FPへ事前に相談する際は弁護士と連携しているFPを頼ると、債務整理をすることになった場合でもスムーズに手続きが進みます。
ただし、差し押さえ間近だったり精神を病むほど借金に悩んでいたりして、時間的にも精神的にも余裕がないならFPではなく真っ先に弁護士に相談するのが良いです。
FPも弁護士も借金問題の悩みを抱えている多数の人からの相談には乗ってきていますから、債務者一人一人に合った的確なアドバイスをくれることは間違いありません。
明るい未来を1日も早く迎えるためにすぐ行動しましょう。
ファイナンシャルプランナーに相談できることや選び方はこちらの記事で詳しく解説されています。合わせてご確認ください。
債務整理・FPのよくある質問
借金の相談をFPにすることは可能ですが、FPに債務整理手続きを依頼することはできません。債務整理の依頼は弁護士か司法書士しか受けることができません。
債務整理の手続きを依頼するなら司法書士よりも弁護士がおすすめです。司法書士の場合、業務範囲に制限がありますが弁護士には手続きのすべてを一任できます。また、費用面でも弁護士と司法書士に大きく差はありません。
そうとも限りません。債務整理の前にFPに相談すると、債務整理をせずに済んだり安心して債務整理に挑めたりするメリットがあります。
借金を滞納中だったり精神的に負担がかなり大きい状況なら、FPより弁護士にすぐ相談すべきです。特に借金を滞納中の場合、急いで対応しないと一括請求や訴訟に発展する恐れがあり、最悪の場合は給料や財産を差押えられることもあります。そのような状況なら督促を即ストップし、債権者と直接交渉できる弁護士に対応を任せるのが最も有効な手段です。
債務整理は、利息や元金をカットし返済総額を大幅に減らせる国が認めた借金救済制度です。債務整理には複数の方法があり、主に「任意整理」「自己破産」「個人再生」を用いて借金問題を解決します。どの方法が適しているかは個人によって異なるので、法律事務所へ直接相談して確認するとよいでしょう。

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