自己破産の裁量免責とは?ギャンブルや浪費なども破産が認められるのかを解説

自己破産の裁量免責とは一体何なのでしょうか?


ギャンブルや浪費、投資による借金は免責不許可自由にあたるため、自己破産が認められません。しかし、それでは債務者の救済にならないので、裁判所が独自の判断で免責許可を下ろす場合があります。それが裁量免責です。
そうなんですね!裁量免責が認められるにはどんな条件がありますか?


はい、本人の反省が見られ、免責許可が更生に役立つ場合に裁量免責が認められやすいです。そのため、誠意ある態度で裁判所に接することが大切となります。
パチンコやギャンブル、FXなどの投機などが原因で借金をした場合には、原則として自己破産が認められないとされています。
しかし、これでは債務者の救済を目的とした自己破産制度の本来の役割を果たせないと考えられる場合、特別に裁判所の判断で免責許可がおりる場合があります。それが裁量免責です。
ただし、裁量免責が認められるためには、十分に反省していることや手続きへの協力、経済的更正の可能性などを裁判所に認められなければなりません。
そのため、借金の理由が免責不許可事由にあたる場合は、債務整理に強い弁護士へ依頼することをおすすめします。
以下のリンクから、債務整理に強い弁護士による無料相談が受けられるので、気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。
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- 免責不許可事由に該当すると原則、破産免責が認められないが、債務者の状況によっては裁量免責が認められる可能性もある。
- ギャンブルで作った借金も、裁量免責によって免責許可を受けられる可能性は高い。
- 裁量免責が認められず自己破産に失敗したときは、他の債務整理を検討しよう。
- 免責不許可事由に該当する場合、債務整理に強い弁護士へ相談するのがおすすめ。
免責不許可事由があっても自己破産ができる裁量免責とは?
免責不許可事由に該当する事由があるときは、原則として自己破産ができません。
しかし「裁量免責」が認められるときはこの限りではありません。
裁量免責とは、破産者に免責不許可事由があっても、裁判所の裁量で免責を許可することを言います。
裁量免責に基準はなく「免責が妥当」と判断されれば自己破産ができる
裁量免責に明確な基準はなく、下記のことを総合的に判断して裁量免責を認めるか否かを決定します。
- 破産手続きへの協力
- 経済的更生の可能性
- 免責不許可事由の内容、程度
それぞれどのように判断されるのかについてお伝えします。
①破産手続きへの協力
裁量免責を決定するうえでもっとも重要と言われているのが「破産手続きへの協力態度」です。
破産手続きへの協力は難しく考える必要はなく、普通にしていればなんら問題はありません。しかし、破産手続きに関する嘘の申告をしたり面接等へ参加しなかったり、非協力的な態度を取ると裁量免責が認められません。
問われたことには正しく答える、面接等にはかならず参加する、提出書類等は正しく記すなど、基本的なことを徹底していれば問題ないので安心してください。
裁判所からの質問・要請には真摯に応えよう
裁量免責を認めてもらうためには、裁判所や破産管財人への協力が必要不可欠です。
裁判所から聞かれたことに虚偽の申告をしたり、虚偽の書類を提出したりすれば免責不許可になる可能性が高いでしょう。また、自分に不都合になる情報を隠す行為も裁判官へ悪印象を与えるので避けてください。
とくに、家族や知人・友人等からの借金は「バレたくない」との気持ちから申告しない方もいます。いずれバレてしまえば、虚偽の債権者名簿を提出する行為として免責不許可事由に該当し、裁量免責が認められない可能性が上がってしまいますので、正しく申告しましょう。
②経済的更生の可能性
経済的更生の余地がないと判断されれば、裁量免責が認められにくくなってしまいます。たとえば、破産手続き開始後もギャンブルや浪費を繰り返す、生活の見直しをしようとしないなど、明らかに経済的更生の余地がないときは認められません。
一方で、今までの生活にしっかりと目を向け反省し、改善しようとする努力を怠らなければ裁量免責を認める可能性が高いです。
自己破産は自分の生活を再建させるための手続きです。自己破産の本質を正しく理解し、しっかり向き合えば裁量免責が認められる可能性も高くなるでしょう。
③免責不許可事由の内容、程度
ギャンブルで作った借金も裁量免責が認められることもある
「ギャンブルで作った借金は、自己破産できない」という言葉を聞いたことがある方は、多いでしょう。しかし実際には、ギャンブルで作った借金であっても免責がおりるケースが多いです。
そもそも「浪費やギャンブルによる多額の借金」は、免責不許可事由に該当するとされています。そのため、多くの方が「ギャンブル=自己破産できない」と考えてしまいます。
しかし実際には裁量免責によって、自己破産が可能となるケースが多いです。
実際に免責許可がおりるかどうかは個別に判断されるため、100%の答えはありません。しかし、基本的にはギャンブルで作った借金があまりにも多額でなければ、裁量免責が認められるでしょう。
また、免責許可を決定するにふさわしい人かどうかも判断材料のひとつなので注意してください。ギャンブルで破産手続きを行っているにも関わらず、現在もギャンブルを続けている人などは、裁量免責を受けられません。
軽微な免責不許可事由であれば免責がおりる可能性は高い
免責不許可事由に該当するケースでも「軽微」と判断されれば、裁量免責が認められやすいです。たとえば「7年以内に自己破産をした経験があるけど、医療費等で借金をしてしまい、もう一度自己破産をせざるを得ない」などのケース。
上記のケースでは致し方ない状況と判断される可能性があり、裁量免責が認められる可能性は高いでしょう。人が生きていくうえで借金をせざるを得ない状況等であれば、軽微な事由と判断されることが多いです。
「免責不許可事由」が重大・悪質であれば裁量免責は認められにくい
免責不許可事由に該当する場合に、裁量免責を認められるか否かの判断には免責不許可事由の「重大性」「悪質性」がもっとも重視されます。
たとえば、ギャンブルが原因で7年以内に自己破産をした人が、2回目もギャンブルで自己破産をしようとしているときが挙げられます。
上記のケースでは、一度ならまだしも短期間で2度も同じ過ちを繰り返しており、経済的更生の可能性が低いと判断されても致し方ありません。
つまり、免責不許可事由が「重大」かつ「悪質」であるため、裁量免責が認められない可能性が高いのです。
ただ、悪質性を判断するのはあくまでも裁判所です。「2回目の自己破産だけど大丈夫かな?」「ギャンブルで多額の借金を抱えているけど大丈夫かな?」など、不安がある方はまず弁護士へ相談してください。免責許可がおりるよう全力を尽くしてくれるでしょう。
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財産隠しは裁量免責が認められず刑事罰の対象にもなる
財産を隠す行為は免責不許可事由に該当し、その程度が重大・悪質であれば裁量免責も認められません。最悪の場合、借金が残るのみならず「刑事罰」の対象にもなるので注意してください。
財産隠しは破産法第265条に定める「詐欺破産罪」に該当し「10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金」に処され、またはこれらが併科されます。
詐欺破産罪は下記の要件を満たすと該当する恐れがあるので注意してください。
- 財産を隠したり損壊したりする行為
- 財産の譲渡または借金の負担を仮装する行為
- 財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
- 財産を債権者の不利益になるように処分したり、債権者にとって不利益な債務を負担したりする行為
「バレなければ大丈夫」と簡単に考えていると、裁量免責が認められないうえに破産法違反として処罰を受けるので気をつけてください。
裁量免責が認められず免責不許可になったらどうなってしまう?
免責不許可事由に該当すれば、原則、免責許可はおりません。もし裁量免責も認められずに免責不許可となってしまったときは、下記のことが発生します。
- 借金を0にすることができず、支払いを続けていくことになる
- 破産者として最長10年間の資格制限を受ける
余程のことがない限りは裁量免責が認められますが、あまりにも悪質な免責不許可事由では、裁量免責も認められないのは前述のとおりです。万が一、裁量免責が認められなかったときの不利益について詳しくお伝えします。
借金を0にすることができず、支払いを続けていかなければいけない
裁量免責が認められなければ、免責不許可になるため借金を0にはできません。
本来であれば、自己破産の手続きを弁護士へ依頼した時点から一時的に借金の返済義務が止まり、そのまま免責許可がおりれば借金の返済義務は消滅します。ところが、免責不許可の決定がなされたときは、その決定時点から借金の返済を再開しなければなりません。
支払い義務が発生しているにもかかわらず放置を続けていると、遅延損害金を増した金額が請求されることもあるでしょう。また、悪質な場合には一括請求や訴訟に発展するケースも考えられるので注意してください。
免責不許可後に他の債務整理手続きを行うことは可能
免責不許可を受けたあとであっても、任意整理や個人再生の手続きを開始できます。借金を0にはできなくても、大幅に減額したい方は弁護士へ相談してください。
実際、自己破産で免責不許可になったあとでも個人再生等で大幅に減額された事例もあります。個人再生には免責不許可事由や裁量免責といった考え方がなく、下記の条件を満たした方であれば再生計画認可を受けられるでしょう。
- 再生計画に則った返済ができるだけの収入がある方
- 借金総額が5,000万円以下であること
- 債権者の過半数により、債権者集会で再生計画案が決議される
自己破産に比べると対象が広いため、万が一裁量免責が認められなかったときは個人再生を検討すると良いでしょう。
破産者として最長10年間の資格制限を受ける
自己破産の手続きを開始するとまず、裁判所が「破産手続きを開始するか否か」の判断をします。このとき「破産手続き開始決定」がされると、あなたは破産者となり資格制限を受けます。
このあと、裁量免責が認められて免責許可決定がおりれば、破産者ではなくなるため資格制限も解除されますが、免責不許可決定を受けてしまうと、破産者のまま最長10年間は資格制限を受けてしまうでしょう。
免責不許可決定された方が復権するためには、下記のいずれかの要件を満たさなければいけません。
- 免責不許可決定から10年経過
- 個人再生で再生計画認可を受ける
- 借金のすべてを返済する
破産者が資格制限を受ける職業の一例は下記のとおりです。
- 士業(弁護士・会計士・税理士等)
- 警備員
- 生命保険募集人
など
資格制限を受ける職に就いている方は、裁量免責が認められないと大きなデメリットを受けかねません。自己破産に不安が残る方は、まず弁護士へ相談されてみてはいかがでしょうか。
>>【無料相談で自己破産の不安を解消!】債務整理に強い弁護士はこちら
また、自己破産による職業の資格制限については、以下の記事でさらに詳しく解説しているので参考にしてください。
免責不許可事由があり心配な方は弁護士に相談しよう
免責不許可事由があるがそれでも自己破産手続きを行いたいという方は、まずは弁護士に相談してください。これまでお伝えした通り、免責不許可事由があっても裁量免責が下る可能性は残されています。
ただし、裁量免責を認めてもらうには、裁判所に適切な対応をとることが望ましいと考えられます。具体的には、求められた資料提出についてしっかりとした形式のものを出すなど。
例えば財産目録の提出などは自己破産で求められますが、しっかりとしたものを作らないと裁量免責がおりない可能性も出てくると考えられます。
こうしたことを鑑み、自己破産手続きは弁護士のサポートのもと進めることが望ましいでしょう。
当サイトでも借金問題の無料相談ができる弁護士を紹介していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
免責不許可事由に該当しても裁量免責によって免責が認められることがあります。万が一免責不許可になったときはどうなってしまうのかなどについてお伝えしました。
自己破産は、多額の借金を抱えている方の救済措置であって、生活再建を助ける役割を担っています。そのため、本当に困っている人のみが利用できる制度でなければいけません。
自己破産を行うことによって、貸したお金が返ってこない貸金業者も多く存在します。多くの人が不利益を受けながらも、法的強制力を持って借金を0にするのが自己破産です。
免責不許可事由に該当し、裁量免責も認められないために自己破産ができないのであれば、個人再生や任意整理などの債務整理も視野に入れた検討が必要でしょう。
自己破産のよくある質問
破産者に免責不許可事由があっても、裁判所の裁量で免責を許可することです。
裁量免責を得るのに明確な基準はなく、十分に反省していることや手続きへの協力、経済的更正の可能性などを裁判所に認められる必要があります。
そのため、免責不許可事由がある場合は、自己破産を積極的に取り扱っている弁護士へ依頼して裁量免責の獲得を目指すとよいでしょう。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」
まず、自己破産をしても借金の返済義務が残るため、支払いを続けていなければなりません。
そして、免責不許可決定を受けてしまうと、破産者のまま最長10年間は資格制限を受けてしまうことが考えられます。
自己破産前の名義変更は、免責不許可事由に当たり自己破産が失敗する恐れがあります。
そのため、自己破産前の名義変更は絶対にやめましょう。
また、悪質な財産隠しは裁量免責が認められにくくなるうえに、詐欺破産罪として処罰を受ける可能性があります。
ギャンブルは免責不許可事由とされ、自己破産をしても返済義務がなくならないのが一般的です。
ただし、裁判官の裁量免責によっては免責がおりることもあります。
借金の理由がギャンブルの場合、自己破産を積極的に取り扱っている弁護士へ依頼することをおすすめします。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」

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