一般的にマンションの買取価格は市場価格のおよそ7〜8割 が目安とされていますが、弊社の買取事例から見てもこの目安は妥当です。
ちなみに、ここでいう市場価格とは、不動産流通機構(レインズ)などに基づいた「実際に取引が成立した価格」のことです。売主の希望価格ではなく、実際に買主が合意して売買が成立した金額であるため、より現実的な基準になります。
では、なぜ買取価格は市場価格の7〜8割にとどまるのでしょうか。これは買取業者のビジネスモデルに理由があります。
買取業者は物件を仕入れた後、リフォームやリノベーションを施して再販売することを前提にしています。そのため、仕入れ値に加えて工事費用・広告費・人件費などのコストを見込む必要があります。さらに、再販売時の市況リスクや売却までにかかる時間的なリスクも背負うため、一定の利益幅を確保して仕入れ価格を設定せざるを得ません。
結果として、市場価格の7〜8割という水準が、売主にとっては確実な売却が可能となり、買取業者にとってもリスクを負いながら再販売できるというバランス点となっているのです。
以下の表は、主要地域ごとの「平均築年数」と「買取相場の目安」をまとめたもので、買取相場の数値は、各地域の中古マンションの市場価格の60~70%を基準にしています。
前述の通り、中古マンションの買い取り相場は市場価格の7〜8割とされますが、今回は事故物件や築古など訳ありマンションも含むデータを基にしているため、60~70%の目安で算出しています。
| 地域 | 築年数 | 買取相場 |
|---|---|---|
| 東京都市部 | 23.2年 | 約3,994~4,659万円 |
| 埼玉県 | 25.45年 | 約1,786~2,084万円 |
| 千葉県 | 27,47年 | 約1,747~2,038万円 |
| 神奈川県 | 25.02年 | 約2,338~2,728万円 |
| 大阪府 | 25~30年 | 約1,783~2,080万円 |
| 兵庫県 | 25~30年 | 約1,493~1,742万円 |
| 京都府 | 29.09年 | 約1,580~1,843万円 |
| 愛知県 | ‐ | 約1,469~1,714万円 |
ただし、この数字はあくまで目安にすぎません。実際の査定額は立地や築年数、間取り、建物の状態などによって大きく変動し、さらに買取業者ごとの評価基準やリスクの見方によっても差が出ます。
たとえば、東京都23区や大阪市などの都市部では相場より高めで買取されることが多い一方、地方の一部エリアでは少し低くなることもあります。弊社でも、似た条件の物件であっても査定額に数百万円の幅が生じることは少なくありません。
そのため、1社の査定額だけで判断するのではなく、必ず複数の業者に査定を依頼し、提示額の根拠や評価ポイントを比較することが重要です。
根拠が明確であれば、金額の妥当性を判断しやすいだけでなく、他社との比較や価格交渉の材料としても有効に活用できます。てさまざまな角度から解説します。なるべく買い取ってもらう方法についても紹介しているので、参考にしてみてください。
マンションの買取相場は市場価格の7~8割が目安
マンションを買取業者に売却する場合の買取相場は、市場価格の7~8割が目安です。たとえば、仲介での売却価格が3,000万円のマンションの場合、買取相場は2,100~2,400万円程度です。ただし、これはあくまで目安に過ぎません。
実際の買取価格は、マンションの立地や築年数、間取り、駅までの距離、周辺環境などさまざまな要因によって変動します。弊社の経験から見ても、駅近で築浅の人気物件は8割近い水準で買い取れるケースがある一方、築年数が古く修繕費用がかかる物件では7割を下回る査定になることも珍しくありません。
つまり、同じ「3,000万円の市場価格」といっても、立地・築年数・間取り・駅距離・周辺環境などの要素で数百万円の差が出るのが現実です。また、買取業者によっても査定基準や重視するポイントが異なるため、買取価格が相場よりも高くなるケースもあれば、低くなるケースもあります。
マンションの買取相場が仲介よりも安くなりやすい理由
マンションの買取相場が仲介よりも安くなるのは、買取業者のビジネスモデルが大きく関わっています。買取業者は、買い取ったマンションを買取価格よりも高い価格で第三者に転売することで利益を上げるビジネスモデルです。そのため、買取業者は再販時に得られる利益を確保できるように買取価格を設定します。
買取業者の利益は、再販時の売却価格からマンションの買取や再販にかかった経費を差し引いた残りの金額です。再販にかかる経費には、クリーニングやリフォーム、広告宣伝費などにかかった費用や人件費などが含まれます。
仲介ではこれらの費用を売主が負担しますが、買取では買取業者がすべて負担するため、これらの費用を差し引いて査定するのが基本です。さらに、仲介の場合は売主が 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任) を負うのが原則です。
契約不適合責任とは、売却した物件に雨漏り・シロアリ被害などの隠れた欠陥があった場合に、売主が補修や損害賠償に応じる義務のことを指します。
一方で、買取ではこの契約不適合責任が免除されるのが基本なため、売却後に欠陥が見つかっても売主が責任を問われることはありません。安心して売却できる代わりに、そのリスクを業者が引き受ける分、買取価格は仲介より低めに設定されるのです。
仲介による成約価格を参考にしたマンションの買取相場
マンションの買取相場を把握するためには、まず買取相場を算出する際の参考となる仲介での成約価格を把握することが重要です。ここでご紹介する仲介での成約価格は、不動産流通機構が運営している「レインズ」から報告された市場動向データに基づくものです。
この市場動向データは、訳ありを含めたすべてのマンションを対象としています。本記事での買取相場は、訳ありマンションが含まれていることも考慮し、仲介による成約物件価格×60~70%で計算しました。
ここからは、主要都市での仲介による成約価格・買取価格の相場をそれぞれご紹介していきます。
東京都都市部におけるマンションの買取相場
東京都都市部(23区)における、仲介での中古マンションの成約状況は以下の通りです。
| 成約価格 | ㎡単価 | 面積 | 築年数 |
|---|---|---|---|
| 6,656万円 | 115.47万円 | 57.64㎡ | 23.2年 |
東京都都市部の平均成約価格は6,656万円と非常に高水準で、築年数が20年以上でも1㎡あたり100万円を超える価格で取引されています。この平均成約価格を参考にすると、買取業者に売却した場合の買取相場は約3,994~4,659万円が目安となります。
ただし、同じ23区内でもエリアによって相場は大きく異なります。たとえば、台東区や荒川区など北部エリアでは2,000~3,000万円台のコンパクト物件が中心である一方、足立区・北千住エリアでは70㎡前後の3LDKが5,000~6,000万円台で取引されるケースが目立ちます。
さらに、品川区西大井など南部エリアでは2LDKでも5,000万~7,000万円台、中央区や港区の都心エリアでは2LDKで1億円を超える事例も珍しくありません。
このように、23区の平均値はあくまで参考にすぎず、実際には「どのエリアにあるか」によって買取価格に数千万円の差が生じるのです。
埼玉県におけるマンションの買取相場
埼玉県における、仲介での中古マンションの成約状況は以下の通りです。
| 成約価格 | ㎡単価 | 面積 | 築年数 |
|---|---|---|---|
| 2,977万円 | 43.78万円 | 68.0㎡ | 25.45年 |
埼玉県の平均成約価格は、東京都都市部と比較すると2分の1未満の水準となっています。面積に注目してみると、東京都都市部よりも面積が広いマンションが取引されている傾向でした。
この平均成約価格を参考にすると、買取業者に売却した場合の買取相場は約1,786~2,084万円が目安となります。
ただし、県内でもエリアによって相場は大きく異なります。浦和や大宮といったさいたま中央エリアでは、駅徒歩圏の70㎡前後の3LDKが6,000万~8,000万円台で成約する例もあり、東京都心に迫る水準となっています。
大宮駅周辺でも再開発の影響から7,000万円台の成約が確認されており、埼玉県内でも突出して高いエリアといえるでしょう。一方で、上尾や蓮田、熊谷といった東部エリアでは、築古物件が数百万円から取引されることも珍しくなく、広さがあっても2,000万~3,000万円台に収まるケースが多く見られます。
さらに、川越市など西部エリアでは1,000万~3,000万円台の成約が中心で、100㎡を超える物件でも3,000万円前後と、都心へのアクセス性よりも住居の広さを重視する層に支持されやすい傾向があります。
このように埼玉県では、浦和や大宮のように都心アクセスが良好でブランド力のあるエリアと、郊外エリアとで価格帯に数千万円単位の差が生じており、県内平均はあくまで目安にすぎないことがわかります。
千葉県におけるマンションの買取相場
千葉県における、仲介での中古マンションの成約状況は以下の通りです。
| 成約価格 | ㎡単価 | 面積 | 築年数 |
|---|---|---|---|
| 2,911万円 | 40.35万円 | 72.14㎡ | 27,47年 |
千葉県の平均成約価格は埼玉県とほぼ同水準で、面積も埼玉県のほぼ同等の広さのマンションが取引されている傾向にあります。この平均成約価格を参考にすると、買取業者に売却した場合の買取相場は約1,747万~2,038万円が目安となります。
県内を詳しく見ると、地域での差は大きいです。たとえば市川や松戸といった都心に近い西部エリアでは、徒歩数分の好立地に建つ築浅・大型マンションが7,000万~1億円を超える価格で成約する事例も確認されています。
市川駅前では新築に近い3LDKが8,000万円台後半で取引されており、東京に隣接するエリアならではの高水準といえるでしょう。一方、千葉市稲毛区のような県中央部では、築30年以上のマンションが1,000~2,000万円前後で成約するケースが目立ち、なかには数百万円台での取引も見られます。
また、柏や船橋などのベッドタウンでは、利便性と広さのバランスを重視した3,000~5,000万円台の成約が中心で、ファミリー層の需要が根強い傾向があります。
このように千葉県のマンション相場は、都心直結エリアでは東京都心に迫る価格帯を示す一方、中心部や郊外では築年数や立地条件によって価格差が数千万円単位で広がるのが特徴です。そのため、平均価格はあくまで参考にとどめ、具体的なエリアごとの成約動向を踏まえて判断することが重要です。
神奈川県におけるマンションの買取相場
神奈川県における、仲介での中古マンションの成約状況は以下の通りです。
| 成約価格 | ㎡単価 | 面積 | 築年数 |
|---|---|---|---|
| 3,897万円 | 58.27万円 | 66.87㎡ | 25.02年 |
神奈川県の平均成約価格は、首都圏で東京都都市部に次ぐ高水準で、埼玉県や千葉県と比較すると高値で取引されている傾向にあります。この平均成約価格を参考にすると、買取業者に売却した場合の買取相場は約2,338万~2,728万円が目安となります。
県内でもエリアごとの差は顕著で、横浜市中心部や川崎市など東京に隣接する地域では特に高額な取引事例が目立ちます。横浜駅から徒歩圏内の新築に近いマンションでは6,000万~1億円超の成約も珍しくなく、川崎市武蔵小杉ではタワーマンションが7,000万~1億円台後半で取引されるケースもありました。
こうした都心直結エリアは交通アクセスの利便性とブランド力から、築年数が経過していても高い価格を維持する傾向があります。
一方、横浜西部や県央、小田原などのエリアでは、築古物件や駅から距離があるマンションが数百万円から2,000万円台で取引される事例も多く見られます。湘南エリアに目を向けると、鎌倉や逗子といった海沿いの人気地域では築浅の3LDKが6,000万~9,000万円で成約するケースがある一方、同じエリア内でも築年数の古いマンションでは1,000~2,000万円台にとどまる物件も多いです。
このように、神奈川県のマンション市場は「横浜・川崎の高価格帯」「湘南エリアのブランド物件」「県央や郊外のリーズナブルな価格帯」という3つの軸で大きく分かれており、平均価格はあくまで目安にすぎません。実際の売却ではエリア特性と物件の条件を踏まえて査定を受けることが重要です。
大阪府におけるマンションの買取相場
大阪府における、仲介での中古マンションの成約状況は以下の通りです。
| 地域 | 成約価格 | ㎡単価 | 面積 | 築年数 |
|---|---|---|---|---|
| 大阪市 | 4,546万円 | 76.23万円 | 59.64㎡ | 25.03年 |
| 大阪府北部 | 3,410万円 | 45.95万円 | 74.21㎡ | 28.05年 |
| 大阪府東部 | 1,998万円 | 29.55万円 | 67.61㎡ | 30.09年 |
| 大阪府南部 | 1,929万円 | 27.36万円 | 69.98㎡ | 29.57年 |
| 平均 | 2,970.75万円 | 44.77万円 | 67.86㎡ | 28.19年 |
大阪府の平均成約価格は、大阪市・北部エリア・東部エリア・南部エリアの平均成約価格を基準に算出すると2,970.75万円です。この平均成約価格を参考にすると、買取業者に売却した場合の買取相場は以下のようになります。
| 地域 | 買取相場 |
|---|---|
| 大阪市 | 約2,728万~3,182万円 |
| 大阪府北部 | 約2,046万~2,387万円 |
| 大阪府東部 | 約1,199万~1,399万円 |
| 大阪府南部 | 約1,157万~1,350万円 |
| 平均 | 約1,783万~2,080万円 |
エリア別にみると、大阪市北部や大阪市中心部は新大阪駅や梅田周辺を抱えており、ワンルームでも数百万円から、ファミリー向けの物件では3,000~5,000万円台での成約事例がありました。こうした地域は交通アクセスの利便性や再開発の進展によって資産価値が下支えされており、築年数が経過していても一定の価格を維持する傾向があります。
一方、大阪市南部では平野区を中心に2,000~3,000万円台の成約事例が多く、郊外に比べると価格は高めですが、大阪市北部と比較するとやや抑えられています。さらに、大阪府北部のベッドタウンや東部の柏原市などでは、築年数が経過したマンションが数百万円から取引されることもあり、物件の条件によって価格差が大きいのが特徴です。
大阪府南部の松原市や藤井寺市などでは、2,000万円台の3LDKが主流で、首都圏に比べるとかなり手頃な価格でファミリー向けの物件が購入できる水準となっています。その一方で、大阪市内の人気エリアは依然として高値で推移しており、府内でも「都市部の高額取引」と「郊外の割安価格」の二極化が鮮明に表れています。
兵庫県におけるマンションの買取相場
兵庫県における、仲介での中古マンションの成約状況は以下の通りです。
| 地域 | 成約価格 | ㎡単価 | 面積 | 築年数 |
|---|---|---|---|---|
| 神戸市 | 2,735万円 | 39.54万円 | 69.16㎡ | 29.09年 |
| 阪神間 | 3,174万円 | 42.33万円 | 75.26㎡ | 26.10年 |
| その他 | 1,555万円 | 22.82万円 | 69.49㎡ | 30.11年 |
| 平均 | 2,488万円 | 34.90万円 | 71.30㎡ | 28.43年 |
兵庫県の平均成約価格は、神戸市・阪神間・その他エリアの平均成約価格を基準に算出すると2,488万円です。この平均成約価格を参考にすると、買取業者に売却した場合の買取相場は以下のようになります。
| 地域 | 買取相場 |
|---|---|
| 神戸市 | 約1,641万~1,915万円 |
| 阪神間 | 約1,904万円~2,222万円 |
| その他 | 約933万円~1,089万円 |
| 平均 | 約1,493万~1,742万円 |
エリア別にみると、神戸市中央区を中心とした市街地では、築浅の3LDKが5,000~6,000万円台で成約する事例も見られ、都市部ならではの安定した需要が価格を支えています。一方で、築40年以上の物件やコンパクトなワンルームは1,000万円台前半からの取引が多く、立地や築年数による価格差がはっきりと表れていました。
阪神南部の尼崎市は大阪・神戸双方へのアクセスに優れることから、2~3LDKで3,000~6,000万円台の成約が中心です。近年は再開発が進んでおり、新築・築浅物件では7,000万~1億円に迫る水準での取引も確認され、人気エリアとしての地位を固めています。
阪神北部の伊丹市周辺では、築浅の70㎡前後で4,000~4,500万円台の成約もあり、ファミリー層を中心に安定した需要が見られます。
京都府におけるマンションの買取相場
京都府における、仲介での中古マンションの成約状況は以下の通りです。
| 地域 | 成約価格 | ㎡単価 | 面積 | 築年数 |
|---|---|---|---|---|
| 京都市 | 3,259万円 | 54.19万円 | 60.14㎡ | 29.09年 |
| その他 | 2,006万円 | 25.36万円 | 70.29㎡ | 29.09年 |
| 平均 | 2,632.5万円 | 39.78万円 | 65.22㎡ | 29.09年 |
京都府の平均成約価格は、京都市・その他エリアの平均成約価格を基準に算出すると2,632.5万円です。平均成約価格を参考にすると、買取業者に売却した場合の買取相場は以下のようになります。
| 地域 | 買取相場 |
|---|---|
| 京都市 | 約1,955万~2,281万円 |
| その他 | 約1,204万~1,404万円 |
| 平均 | 約1,580万~1,843万円 |
エリアでみると、下京区や南区といった京都駅周辺を中心に、立地条件の良い物件が高値で取引されていました。例えば築15年前後の3LDKでは4,000万~5,000万円台での成約が目立ち、駅近や広めの間取りであれば7,000万円を超える事例も少なくありません。
一方で、ワンルームや築古物件は1,000万円台前半からの成約も多く、同じ市内でも物件タイプによる価格差が非常に大きいのが特徴です。
宇治市エリアでは、ファミリー向けの3~4LDKが中心で、築20年以上の物件で1,000~2,000万円前後、築浅やリフォーム済みであれば2,000万台中盤の成約事例がありました。市内に比べると価格帯は落ち着いているものの、京都市へのアクセスの良さから安定した需要があります。
京都府全体で見ると「京都市中心部の高値水準」と「宇治市など郊外の手頃な価格帯」という二極化が鮮明です。観光地としての人気や将来的な資産性を重視する場合は京都市内、住環境や広さを求めるファミリー層には宇治市を中心としたエリアが選ばれる傾向にあります。
愛知県におけるマンションの買取相場
愛知県における、仲介での中古マンションの成約状況は以下の通りです。
| 成約価格 | ㎡単価 | 面積 |
|---|---|---|
| 2,449万円 | 32.9万円 | 74.4㎡ |
愛知県の平均成約価格は、近畿圏よりもやや低い水準にあります。この平均成約価格を参考にすると、買取業者に売却した場合の買取相場は約1,469万~1,714万円が目安です。
エリア別でみると、名古屋西部では名古屋駅周辺のワンルームが500~600万円台と投資需要が中心ですが、3LDKは3,500万~4,800万円と高額で取引されています。南区や笠寺周辺は1,000~2,000万円台が主流で、比較的手頃です。名古屋東部の南大高では築浅・駅近の3~4LDKが4,000~5,000万円で安定した人気を集めています。
一方、清須市や大治町など西部エリアは2,000万円台前半から、安城市や岡崎市といった東部・三河エリアは2,000~3,000万円台が中心で、豊橋市では駅近物件が5,000万円前後になるケースもあります。
全体として、名古屋中心部は高水準、郊外は手頃な水準という二極化が鮮明で、立地と築年数が価格を左右する傾向が強いといえます。
プロが教える!マンションの買取価格を左右する査定ポイント
弊社のような買取業者がマンションを査定する際は、立地条件や建物の状態、さらに将来的な資産性まで含めて総合的に判断しています。なかでも立地や築年数は査定額を大きく左右する重要な要因です。
ただ、実際の査定においてはそれだけでは不十分で、「立地と築年数のバランス」「室内や外装の状態」「間取りの利便性」「建物に隠れた瑕疵の有無」「日当たりや風通しの良さ」「駅からの距離」「周辺環境の住みやすさ」といった点まで細かく精査します。
これらの要素を一つずつ確認しながら、買主が購入後にどれだけ手を加える必要があるかを見極め、最終的な買取価格を算出しているのです。
ここからは、それぞれの査定ポイントについて1つずつ詳しく解説していきます。
- 立地
- 築年数
- 内装や外装
- 間取り
- 瑕疵の有無
- 日当たりや風通しのよさ
- 駅までの距離
- マンション周辺の環境のよさ
立地
マンションの査定において、最も大きな影響を与えるのは立地条件です。
どんなに建物の状態が良くても需要が乏しいエリアでは価格が伸びませんが、逆に立地が優れていれば築年数が古くても相場以上の評価につながることは珍しくありません。
特に以下の条件を満たすマンションは常に高い需要があり、資産価値も安定しているため、査定では大きくプラスに働きます。
- 東京都23区や主要都市の中心部
- ターミナル駅が徒歩圏内にあるエリア
- 「住みたい街ランキング」の上位に入る人気エリア
- 田園調布や自由が丘などブランド力のある住宅街
一方、人口減少・少子高齢化が著しいエリアや交通が不便なエリアはマンションの購入希望者が少ないため、買取価格も低くなりがちです。
築年数
また、築年数も査定額に大きな影響を与えます。
通常、マンションは築年数が経過するに連れて価格も下落していくことはご存じだと思いますが、特に築20年を超えると下落幅が大きくなるケースが多く見られます。
これは、経年劣化や設備の陳腐化などによる影響で需要が減少するためです。東日本不動産流通機構が公表している「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」というデータによると、築年数と価格下落の推移は以下のようになっています。
| 築年数 | 成約価格 | ㎡単価 | 下落推移 |
|---|---|---|---|
| 0~5年 | 7,808万円 | 126.08万円 | – |
| 6~10年 | 7,156万円 | 109.09万円 | ▲13.5% |
| 11~15年 | 6,619万円 | 99.35万円 | ▲8.9% |
| 16~20年 | 5,972万円 | 85.07万円 | ▲14.3% |
| 21~25年 | 5,320万円 | 74.71万円 | ▲12,2% |
| 26~30年 | 3,835万円 | 57.71万円 | ▲22.7% |
| 31~35年 | 2,455万円 | 40.54万円 | ▲29.8% |
| 36~40年 | 2,742万円 | 41.24万円 | 1.7% |
| 41年~ | 2,351万円 | 47.66万円 | 15.6% |
マンション価格は築年数に応じて一定の割合で下落していきますが、特に築年数が25年を超えると下落幅が大きくなる傾向にあることがわかります。この時期は、建物や設備の劣化が進行しており、大規模な修繕や設備の交換が必要になることが多いためです。
実際、築25年前後のマンションを査定する際には、「買主がそのまま住める状態か、リフォーム前提で考えるか」で大きな差がつくことも珍しくありません。
築年数が30年を超えると、建物や設備の劣化がかなり進行しており、購入後のリフォームがほぼ必須になります。そのため、0~5年の築浅マンションと比べると、成約価格は3分の1程度まで下落するのが実情です。
しかし、築年数が40年近くになると、価格の下げ止まりや価格の上昇が見られるようになります。これは、建物としての価値ではなく、土地の価値によってマンション価格が大きく左右されるためです。
実際、東京や大阪といった都市部では、築40年以上のマンションでも土地の価格が上がっています。そのため、査定額が下げ止まったり、むしろ上昇に転じたりするケースも出てきているのです。
つまり築年数の影響は一律ではなく、「立地と築年数のバランス」が大きく影響するといえるでしょう。
内装や外装
さらに、内装や外装の状態も無視できません。部屋の内装は買主の住み心地に影響を与える要素であるため、査定額に影響を与えます。
内装については、主に以下の項目をチェックしています。
- 壁紙やフローリング、畳などの傷や汚れ、へこみの有無
- キッチンやトイレ、浴室などの水回り設備の状態、サビ・水漏れの有無
- エアコンや給湯器、換気扇などの設備の状態、不具合・故障の有無
- 生活臭やペット臭、タバコ臭などの臭いの有無
- 雨漏りやシロアリ被害の有無
- システムキッチンや浴室乾燥機、床暖房などの最新設備の有無、状態
経験上、リフォームなしでそのまま住める状態であれば、査定額が大きく下がることは少ないです。逆に、古い設備のまま放置されていたり、室内に強い臭いが残ったりしている場合は、リフォーム費用を見込んで査定額を算出します。
そのため、立地が良くても査定額が大幅に下がるケースも珍しくありません。
また、マンションの査定では専有部分だけでなく、マンション全体の外装や共有部分の状態も細かくチェックされます。
- 外壁のひび割れや塗装の剥がれの有無
- 雨漏りやシロアリ被害の有無
- エントランスやエレベーター、廊下などの共用部分の状態や清掃状況
- 大規模修繕の実施状況
- 植え込みや庭木などの植栽の手入れの行き届き具合
メンテナンスや修繕が定期的に行われており、外装や共有部分などがキレイな状態で保たれているマンションは、管理体制がしっかりとしている証拠です。買主に安心感を与えられるため、査定額もプラスに働きやすくなります。
間取り
部屋の間取りも、マンションの査定に大きな影響を与える要素の1つです。
一般的に広さや部屋数が多いほど高値がつきやすいと思われがちですが、実際の現場では「そのエリアの需要に合っているかどうか」が決め手になりやすいです。
たとえば、単身世帯や共働き夫婦が多い都市部では、1K~1LDKのようなコンパクトな間取りの需要が高く、高評価につながりやすいです。一方、郊外や学区が人気のエリアでは2LDK〜4LDKといったファミリー向けの間取りが強く求められるため、同じ広さでもエリア特性によって評価は大きく変わります。
実際に、「広いのに全然問い合わせが来ない」という内容の買取相談を受けるケースもありますが、原因は間取りと需要のミスマッチであることが多いです。
加えて、動線の良さや住みやすさも重要です。たとえば、廊下が長すぎたり、リビングとキッチンが分断されている間取りは使い勝手が悪いため評価が下がりやすく、一方で家事動線が整い、家族が自然と集まりやすい間取りは面積以上に高く評価される傾向があります。
つまり査定では「広さ」だけでなく「需要に合った実用的な間取りかどうか」も重視されるのです。
瑕疵の有無
また、瑕疵の有無も査定額を大きく左右します。瑕疵とは建物や環境における欠陥や不具合を指し、買主が安心して住めるかどうかに直結するため、査定では非常にシビアに見られるポイントです。実際に「他社で値段がつかなかった」という相談が寄せられるケースの多くは、何らかの瑕疵が理由になっています。
不動産における瑕疵は、主に以下の4つに分類されそれぞれの買い取り相場は下記の通りです。。
| 瑕疵の種類 | 具体例 | 買取相場 |
|---|---|---|
| 物理的瑕疵 | 雨漏り、シロアリ被害、壁のひび割れ、設備の不具合 | 市場価格の約70〜80% |
| 心理的瑕疵 | マンション内で事件や事故、自殺による人の死があった | 市場価格の約50% |
| 環境的瑕疵 | 騒音、悪臭、近隣に嫌悪施設(火葬場や葬儀場、墓地など)がある | 市場価格の約50〜90% |
| 法律的瑕疵 | 耐震基準の不適合、消防法違反、用途地域の制限 | 市場価格の約70〜80% |
表から見てもわかるように、瑕疵の内容によって査定への影響度合いは大きく異なります。特に心理的瑕疵、いわゆる事故物件は購入希望者が極端に減ります。そのため、買取業者としてもシビアな査定にならざるを得ないのです。
一方で、物理的瑕疵や法律的瑕疵は、修繕や法令対応にコストがかかる分だけ価格が下がりますが、対応策が明確なため70〜80%程度で落ち着くことが多いです。たとえば、雨漏りやシロアリ被害があってもリフォームで改善できる範囲であれば、その分を差し引いて再販に回せます。
環境的瑕疵については幅が広いのが特徴です。嫌悪施設の有無や騒音・悪臭のレベルによって、ほとんど影響がない場合もあれば、大幅に買主が減って相場の半分程度まで下がる場合もあります。
つまり瑕疵のある物件は買取額が低くなる傾向ですが、一律で「大幅に査定額が下がる」とは限りません。どの瑕疵なのか、そしてどの程度の修繕やリスク対応が必要かによって査定結果が大きく変わるのです。
日当たりや風通しのよさ
日当たりや風通しは快適さや健康的な生活に直結する要素であるため、査定にも大きな影響を与えます。日当たりの評価は、主にバルコニーや窓が向いている方角や階数、日照を妨げる要因の有無によって決まります。
特に、南向きの物件は一日を通して明るく過ごせるためプラス評価となりやすく、続いて東向き・西向き、最後に北向きという順で評価が下がるのが一般的です。
ただし、方角だけで判断するのは危険で、隣接マンションやビルの影響で「南向きなのに日が入らない」というケースは実際に少なくありません。査定では図面だけでなく現地での日照確認を行うことが不可欠であり、とくに低層階は周囲の建物の影響を受けやすいため査定額が伸び悩む傾向があります。
また、風通しについても同様で、窓やドアの配置が対面になっているか、角部屋かどうかが大きな判断基準になります。風の通り道が確保されている住戸は湿気やカビが発生しにくいため、再販時にも安心材料となり、査定でプラスに反映されやすいのです。
駅までの距離
駅までの距離も、日本の都市部において特にシビアに評価されるポイントです。通常、駅からの距離が短いほど需要が高く、マンション価格も高額になります。
徒歩10分以内は駅近とみなされており、非常に高い需要があることから、査定でも高く評価されます。一方、駅から徒歩15分以上は多くの人にとって負担に感じる距離であり、需要も減少するため、査定額も低くなる傾向にあります。
特に、電車移動が中心の都市部では、駅からの距離が1分変わるだけでも買取価格が大幅に変動する場合があります。
マンション周辺の環境のよさ
さらに、マンション周辺の環境のよさも査定額を左右する大きな要因です。これは、周辺環境はそのまま生活の利便性や安心感につながるため、購入希望者の集まりやすさや、再販時のスピードに影響するからです。
具体的には、以下の要素が査定で重視されます。
- 学校や保育園、役所、病院などの公共施設の有無
- スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの商業施設の充実度
- パチンコ店や風俗店、墓地、葬儀場、火葬場などの嫌悪施設の有無
- 騒音・悪臭の要因の有無
公共施設が近くにあり、商業施設が充実しているエリアは生活の利便性が高く、ファミリー層や高齢者など幅広い層からの需要が見込めます。そのため、買取価格も高くなるのが基本です。
一方で、嫌悪施設や騒音・悪臭のリスクがあるエリアは購入希望者の数が限られることから、買取後の販売・活用までに時間がかかることが予想されます。その分、買取後に値下げして売却せざるを得ない可能性があるため、査定額も保守的に設定せざるを得ません。
また、工場や幹線道路などから発生する騒音や悪臭は、住環境を著しく低下させる要因になるため、近くに騒音や悪臭の要因がある場合は査定でマイナスに働く可能性があります。
マンションの買取相場を調べる方法
マンションの買取相場を調べる方法としては、主に以下の3つが挙げられます。
| 調べる方法 | 概要 | 向いているケース |
|---|---|---|
| REINS Market Informationを利用する | 不動産会社専門のシステム「REINS」に登録されている実際の取引情報に基づいた成約価格を確認できる | 客観的なデータに基づいてより正確な買取相場を算出したい場合 |
| 不動産情報ライブラリを利用する | 国土交通省が運営するサイトで、実際に取引が成立した成約価格を確認できる | 地図上で効率的に正確な買取相場を算出したい場合 |
| 不動産ポータルサイトを利用する | 複数の不動産会社の物件情報が集約されたサイトで、現在売り出し中の物件の売主の希望価格を確認できる | 手軽におおよその買取相場を把握したい場合 |
ここからは、それぞれの方法について1つずつ詳しく解説していきます。
REINS Market Informationを利用する
REINS Market Informationとは、全国指定流通機構連絡協議会が運営・管理している不動産取引情報提供サイトです。このサイトでは、不動産会社専門のシステム「REINS」に登録されている実際の取引情報に基づいた成約情報を検索できます。
サイト上に掲載されている価格は、売主の希望価格ではなく、実際に取引が成立した成約価格であるため、より現実的で信頼性の高い成約価格に基づいた買取相場を把握できます。
また、地域や最寄り駅、駅からの距離、専有面積、間取り、築年数などの条件を細かく指定可能です。そのため、周辺地域の類似物件の成約価格やそれを参考にした買取相場をピンポイントで調べられるのもメリットといえます。
具体的には、下記の手順で調べます。
- レインズマーケットインフォメーションを検索する
- 調べたいマンションが所在する都道府県と地域を選択する
- 追加条件を選択する
- 一覧から売却したいマンションに近い条件の成約実績を探す
ここからは、それぞれの手順について詳しく解説していきます。
REINS Market Informationを検索する
まずはインターネットで「REINS Market Information」と検索し、公式サイトへアクセスします。パソコンだけでなくスマートフォンからも利用可能です。
誰でも無料で成約事例を確認できるので、大まかな買い取り相場が知りたいときに便利です。
調べたいマンションが所在する都道府県と地域を選択する

次に、調べたいマンションがある都道府県と地域を選択します。マンションと戸建てのフォームがあるので、今回はマンションのフォームに入力しましょう。対象エリアを絞り込むことで、より実態に近い成約価格を把握できるようになります。
選択できたら「検索する」とクリックします。
追加条件を選択する

引用元:REINS Market Information
続いて、築年数や沿線、間取り、駅からの距離などの条件を設定します。画像右側の「追加検索条件」から、設定が可能です。条件を細かく設定するほど、売却を検討している物件に近い事例を抽出できるため、把握できている限りの条件は設定しましょう。
一覧から売却したいマンションに近い条件の成約実績を探す

引用元:REINS Market Information
検索結果として成約事例の一覧が表示されます。その中から、売却を検討しているマンションと築年数や広さ、立地が似ている事例と比較しましょう。自分のマンションの成約相場をより正確に把握できます。
不動産情報ライブラリを利用する
不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営している不動産取引情報提供サイトです。このサイトでは、不動産の取引価格や地形情報、防災情報、周辺施設情報、都市計画情報など、不動産に関するさまざまな公的データを確認できます。
前述したREINS Market Informationと同様、実際に取引が成立した成約価格が掲載されているため、それに基づく正確性の高い買取相場を算出できます。REINS Market Informationとの違いは、地図上で視覚的に成約情報を確認できる点です。
地図上で複数の成約情報を一括表示できるため、成約価格の調査や買取相場の算出が効率的に行えます。
調べる際は、下記の手順で行います。
- 不動産情報ライブラリと検索する
- 「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」の「データの検索・ダウンロード」をクリック
- マンション情報を入れたら一覧表示をクリック
それぞれの手順を見ていきましょう。
不動産情報ライブラリと検索する
まずはインターネットで「不動産情報ライブラリ」と検索し、国土交通省の公式ページにアクセスします。信頼性の高いデータを扱っているため、安心して利用できます。
「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」の「データの検索・ダウンロード」をクリック

トップページから「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」という項目を探し、その中の「データの検索・ダウンロード」をクリックします。地図や地域から探す方法もありますが、どちらも地図上から探すことになるため、住所など詳しい情報が把握できているなら「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」で探す方法がわかりやすいでしょう。
マンション情報を入れる

検索画面では、所在地か駅名などの条件を入力します。このとき、種類は必ず「中古マンション」を選択してください。
価格情報区分には「不動産取引情報」と「成約価格情報」の2つがあります。不動産取引情報は、国土交通省が公開している実際の取引事例データです。国が管理する信頼性の高いデータですが、情報が反映されるまでに多少のタイムラグがある可能性があります。
一方で成約価格情報は、前述したレインズを通じて仲介業者から報告されたデータを集計したものです。市場で「実際に成約した金額」をベースにしているため、よりリアルタイムに近い相場感をつかみやすいのが特徴です。
検索する際はどちらのデータも同時に表示できるため、2つともチェックしておくと良いでしょう。
一覧表示から相場を確認

条件を入れ終えたら、左下の「一覧表示」をクリックすると、下に該当するマンションの成約事例が表示され、相場を確認できます。「不動産取引情報」か「成約価格情報」かは、左側の価格情報区分で確認可能です。取引事例は画像真ん中あたりの取引総額の列で確認可能です。
駅からの距離や間取りなど、それぞれの事例での詳しい情報も載っているので、売却したいマンションの条件と似ている事例を参考にしましょう。
不動産ポータルサイトを利用する
不動産ポータルサイトとは、複数の不動産会社が掲載している物件情報を一ヶ所に集約し、まとめて検索・比較できるようにしたサイトです。主要な不動産ポータルサイトとして、「スーモ」「ライフルホームズ」「アットホーム」「オウチーノ」などがあります。
これらのサイトでは、現在売り出し中の物件の価格を把握できるため、その価格を参考にして買取相場を算出できます。また、多くのサイトでは机上査定やAI査定を無料で提供しているため、マンションの基本情報を入力して送信すれば、おおよその買取価格を手軽に把握できます。
ただし、不動産ポータルサイトに掲載されている価格は、あくまで売主が希望する価格であり、実際に取引が成立した成約価格ではありません。これらのサイトに掲載されている価格から算出した買取相場は、実際の買取価格と大きな差が生じる可能性があるので注意が必要です。
マンションを買取相場よりも高値で買い取ってもらうためのテクニック
マンションの買取相場は市場価格の7~8割と、仲介よりも安くなるのが基本です。しかし、いくつかのテクニックを駆使することで、買取相場よりも高値で買い取ってもらえる可能性を高められます。そのテクニックとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- 複数のマンション買取業者に査定を依頼する
- マンション買取の実績や相談件数が豊富な業者を探す
- 繁忙期にマンション買取を依頼する
ここからは、それぞれのテクニックについて1つずつ詳しく解説していきます。
複数のマンション買取業者に査定を依頼する
買取相場よりも高値で買い取ってもらうためにも、査定は複数の買取業者に依頼しましょう。複数の買取業者から査定を受けることで、おおよその買取相場が分かります。実際、業者ごとに重視するポイントや評価基準が異なるため査定額には多少の違いがあり、会社によっては数十万円から数百万円の差が出ることも珍しくありません。
1社だけで査定を受けてしまうと、その金額が本当に適正か判断できません。複数の業者から査定を受けることで、相場より極端に低い金額で取引されるリスクを回避できるほか、査定額が高い業者を見つけやすくなるのもメリットです。
その際は、査定額の根拠を明確に説明してくれる業者を選ぶことが大切です。根拠が分かれば提示された金額の妥当性を判断しやすいだけでなく、他社との比較にも役立ちます。
また、担当者の対応やサービスの内容、買取実績など、査定額以外の要素も比較・検討できるため、信頼できる優良の買取業者を見つけやすくなります。さらに、価格交渉の際に他社の査定額を提示することで競争原理が生まれるため、より高い買取価格を引き出しやすくなるでしょう。
マンション買取の実績や相談件数が豊富な業者を探す
マンションの買取業者を選ぶ際は、提示された査定額だけではなく、マンション買取の実績や相談件数にも注目して選ぶことも重要です。買取実績や相談件数が豊富な買取業者は、買い取ったマンションを再販して大きく利益を上げるためのノウハウや独自の販売ルート、専門知識などが豊富にあります。
再販までのコストを効率的に抑え、迅速に手続きを進められるため、その分だけ買取価格に上乗せできる可能性高いです。また、買取実績や相談件数が豊富ということは、それだけ多くの人に信頼されていることを意味します。
信頼性の高い買取業者に依頼すれば、顧客の状況に合わせた丁寧な対応や予期せぬトラブルへの適切な対応に期待できるため、初めてマンションを売却する人でも安心して取引を進められます。
繁忙期にマンション買取を依頼する
繁忙期にマンション買取を依頼することも、相場より高値で買い取ってもらう戦略の1つです。不動産業界の繁忙期は、毎年2回あります。
| 1~3月 | 4月の新生活に向け、就職や進学、転勤などで引っ越す人が一番多い時期 |
|---|---|
| 9~10月 | 人事異動による転勤で引っ越す人が増える時期 |
不動産業界の繁忙期は、マンションの購入希望者も増えます。この需要の増加はマンション価格の上昇につながるため、繁忙期に売却すれば通常よりも高値で買い取ってもらいやすいです。
マンションを買取で売却することのメリット
マンションを買取で売却することによるメリットとしては、主に以下の5つが挙げられます。
- 数日〜1週間程度でマンションを買い取ってもらえる
- 契約不適合責任が免除される
- 仲介手数料をかけずにマンションを売却できる
- 売却活動中に周囲の人に知られるリスクが低い
- 内覧の対応をすることなく不動産を売却できる
ここからは、それぞれのメリットについて1つずつ詳しく解説していきます。
数日〜1週間程度でマンションを買い取ってもらえる
買取業者なら、数日~1週間程度でマンションの買取が可能です。仲介では市場で買主を探すための広告活動や内覧対応、売買条件の交渉などに時間がかかります。売却完了までは3~6ヶ月程度が基本ですが、長ければ1年以上かかる場合もあります。
一方、買取では買取業者が直接買い取るため、市場で買主を探す手間や時間がかかりません。買取業者が提示した条件に合意すれば、売買契約締結に向けて手続きを進められるため、仲介よりもスピーディーに売却を実現できます。
契約不適合責任が免除される
契約不適合責任とは、契約に基づいて引き渡した目的物の種類や品質などが契約内容と適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。仲介では、原則として売主が契約不適合責任を負います。
仲介でマンションを売却した後、売買契約時に伝えていなかった不具合や欠陥が発覚した場合は、買主から損害賠償や代金減額、契約解除などを請求される可能性があります。一方、買取では売主が契約不適合責任を負わないという内容で売買契約を結ぶケースが多いです。
契約不適合責任が免除されれば、後で不具合や欠陥が発覚しても責任を問われる心配がありません。特に、老朽化が進行しているマンションや雨漏り・シロアリなどの被害が懸念されるマンションを売却した売主からすれば、契約不適合責任が免除となる点は大きなメリットになります。
仲介手数料をかけずにマンションを売却できる
仲介で売却する場合は、マンションの売買契約が成立した際、不動産会社が行った広告活動や買主探しなどの仲介業務の対価として仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限が以下のように定められています。
| 売却価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | 売却価格×5%+消費税 |
| 200万円超400万円以下 | 売却価格×4%+2万円+消費税 |
| 400万円超 | 売却価格×3%+6万円+消費税 |
たとえば、仲介でマンションを3,000万円で売却した場合、105.6万円の仲介手数料がかかります。
(3,000万円×3%+6万円)×1.1=105.6万円
仲介では市場価格での売却に期待できる一方、売却時に高額な仲介手数料を負担しなければなりません。しかし、買取であれば仲介手数料が発生しないため、初期コストを抑えつつマンションを売却できます。
売却活動中に周囲の人に知られるリスクが低い
仲介での売却では一般の個人が買主になるため、その買主を募集するために物件情報が不動産のポータルサイトや新聞の折込チラシなどに掲載されます。
この物件情報は一般に公開されるものなので、それを目にした近隣住民や知人に売却活動中であることを知られてしまう可能性が高いです。一方、買取では買取業者が直接買い取ってくれるため、市場で買主を探す必要がありません。
物件情報が公開されることもないため、近隣住民や知人に知られる心配がほぼありません。これは、近隣住民に知られずに引っ越したい、マンションを売却する理由を知られたくないという人にとって大きなメリットになるでしょう。
内覧の対応をすることなく不動産を売却できる
内覧とは、物件情報を見て興味を持った購入検討者に家の中を見せ、物件の状態や周辺環境などを確認してもらう売却活動の1つです。
仲介の買主となる一般の個人は、直接物件を確認してから購入の判断を決めるため、仲介での売却では内覧の対応が不可欠です。内覧希望者が物件を訪れるたびに、内覧前の準備や対応が必要になるため、精神的な負担や手間がかかります。
一方、買取の場合は仲介のような内覧は行われません。買取業者は物件の状態を簡単に確認しに一度訪れるだけで、掃除や片付け、物件状態の説明などは必要ないため、売却にかかる手間や精神的な負担を大幅に軽減できます。
マンションを買取業者に売却する場合の流れ
マンションを買取業者に売却する際は、以下のステップで手続きが進んでいきます。
- マンション買取業者に査定を依頼する
- マンション買取業者との売買契約を締結する
- 決済・引き渡しを行う
ここからは、それぞれのステップについて1つずつ詳しく解説していきます。
1. マンション買取業者に査定を依頼する
まずは、マンションの買取業者に査定を依頼します。前述した通り、1社のみの査定では提示された査定額が適正価格かどうか判断するのが難しく、買取額が高い業者を見極められないため、最低でも3社以上は査定を依頼しましょう。
査定には、机上査定と訪問査定の2種類あります。
| 査定の種類 | 査定方法 |
|---|---|
| 机上査定 | インターネットや電話で物件の基本情報を買取業者に伝え、過去の取引事例や類似物件の相場をもとに、おおよその査定額を算出してもらう方法 |
| 訪問査定 | 実際に買取業者の担当者が物件を訪問し、物件の状態や周辺環境などを細かく確認してもらったうえで、より正確な査定額を算出してもらう方法 |
机上査定はインターネット上から手軽に査定を依頼でき、早ければその日のうちに査定額を把握できるため、気軽に依頼しやすいです。しかし、実際の物件の状態や個別の条件は考慮されないため、提示された査定額と実際の買取価格に大きな差が生じる場合があります。
それに対して訪問査定は、担当者とのスケジュール調整や立ち合いが必要になりますが、実際の物件の状態や個別の条件が反映された正確性の高い査定額を把握できます。
まずは一括査定サイトで複数の買取業者に机上査定を依頼して査定額を比較し、その中から査定額や担当者の対応が良さそうな買取業者に絞って机上査定を依頼するのがおすすめです。
2. マンション買取業者との売買契約を締結する
査定が終わったら、次にマンションの買取を依頼したい買取業者と売買契約を締結します。売買契約時は、始めに買取業者の宅地建物取引士による重要事項説明が行われ、説明が終わったら売買契約書に記載されている内容の最終確認を行う流れです。売買契約書には、主に以下の内容が記載されています。
- マンションの買取価格
- 手付金の額
- 決済日・引き渡し日
- 引き渡し条件
- 売買代金の支払い方法
- 固定資産税の精算額や清算方法
- 契約不適合責任の免責の有無
- 契約解除の要件や違約金
売買契約は一度締結すると原則として解除ができないため、不明点や疑問点があれば必ずその場で質問し、納得が行くまで説明を受けましょう。契約内容に問題がなければ売買契約書に署名・捺印し、売買契約は正式に成立します。
手付金を支払う契約になっている場合は、売買契約が成立した後に買取業者から売買代金の一部が支払われます。売買契約を締結する際には主に以下のものが必要になるため、忘れずに持参しましょう。
| 必要書類 | 概要 | 入手場所 |
|---|---|---|
| 登記済権利証 または登記識別情報通知書 | マンションの所有者であることを証明するための書類再発行できないため | ・登記時に法務局から受け取り済み ・紛失した場合は司法書士に本人確認情報を作成してもらう |
| 本人確認書類 | ・運転免許証 ・マイナンバーカード ・パスポートなど 本人であることを証明できる顔写真付きの公的な身分証明書 | ‐ |
| 実印 | 売買契約書に押印するために必要 | ‐ |
| 印鑑登録証明書 (3ヶ月以内に発行されたもの) | 実印が本人のものであることを証明するための書類 | 住民票がある市区町村の役所やコンビニで発行可能 |
| 固定資産税の納税通知書 | 固定資産税の金額を確認するための書類 | ・毎年4月~5月頃(東京23区は6月頃)にマンションの所在地がある市町村から送付される ・紛失した場合は市町村の役所(東京23区の場合は都税事務所)で固定資産税評価証明書を再発行してもらう |
| 住民票 | 名義人の現住所と登記上の住所が異なる場合に必要 | 住民票がある市区町村の役所やコンビニで発行可能 |
| 住宅ローンの返済予定表 または残高証明書 | マンションの住宅ローンが残っている場合に必要 | 借入先の金融機関で再発行可能 |
3. 決済・引き渡しを行う
売買契約を締結した後は、売買契約書の内容に従って売買代金の決済・マンションの引き渡しを行います。決済当日は、通常買取業者が指定する金融機関の応接室などに、売主・買取業者・司法書士が集まって手続きを行います。
決済手続きの大まかな流れは以下の通りです。
- 司法書士が本人確認と必要書類の確認を行う
- 買取業者が売主の銀行口座に売買代金を振り込む
- 固定資産税や管理費、修繕積立金などの諸費用を日割り計算して清算する
決済日と引き渡し日が同じ場合は、決済手続きが終了した後にマンションを買取業者に引き渡すための手続きを行います。
- マンションの鍵や必要書類を買取業者に引き渡す
- 司法書士が法務局に行き、所有権移転登記を行う
所有権移転登記の手続きが完了したら、これでマンション売却の一連の手続きが完了します。決済・引き渡し当日は以下のものが必要になるため、忘れずに持参しましょう。
- 登記済権利証または登記識別情報通知書
- 本人確認書類(顔写真付きの身分証明書)
- 実印・印鑑登録証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)
- 固定資産税の納税通知書
- 買取業者からの入金を確認できる通帳やキャッシュカード
- マンションの鍵一式
- 住民票(名義人の現住所と登記上の住所が異なる場合)
- 抵当権抹消書類(住宅ローンが残っている場合)
まとめ
マンションの買取相場は市場価格の7~8割程度が目安です。買取業者はさまざまなコストやリスクを負担したうえで利益を確保しなければならないため、仲介よりも売却価格はどうしても安くなってしまいます。
しかし、その一方で仲介と比べて手間やコストがかからず、マンションをスピーディーに現金化できるというメリットがあります。瑕疵担保責任も買取では免除になるケースが多く、免除になれば売却後の隠れた不具合や瑕疵の責任を問われる心配がありません。
より良い条件でマンションの買取を成功させるためには、まず適正な買取相場を把握したうえで、信頼できる優良の買取業者を選ぶことが重要なポイントになります。マンションの買取を検討している方は、まず類似物件の市場価格から買取相場を算出し、複数の買取業者に査定を依頼することから始めてみましょう。
よくある質問
- マンションの買取価格は売値の何割ですか?
-
マンションの買取価格は、仲介で売却した場合の売値の7~8割程度が目安です。ただし、実際の買取価格は立地や築年数、間取り、内装・外装の状態などさまざまな要因によって変動するため、相場よりも高値で買い取ってもらえるケースもあれば、逆に相場よりも買取価格が下がるケースもあります。
- マンションをなるべく高く買い取ってもらうコツは何ですか?
-
マンションを少しでも高く買い取ってもらうには、類似物件の成約価格や買取業者の査定から買取相場を把握したうえで、複数の買取業者の査定額や担当者の対応、サービス内容などをじっくりと比較・検討することが重要です。買取業者の担当者が査定に訪れる際には、最低限の清掃と整理整頓を行い、査定額アップにつながるアピールポイントがあれば積極的に伝えるようにしましょう。
- マンションの買取で発生する費用は?
-
マンションの買取で発生する費用は、売買契約書に貼り付ける印紙税額分の収入印紙代、登記費用、利益が発生した場合の譲渡所得税、引っ越し費用などが挙げられます。住宅ローンが残っている場合は、一括返済手数料や抵当権抹消費用も発生します。
買取の場合は仲介手数料が不要で、リフォームやクリーニングをしなくても現況のまま買い取ってもらえるため、仲介と比べて売却時にかかる費用を大幅に削減できます。
- 築30年のマンションはいくらで売れますか?
-
東日本不動産流通機構が公表している調査結果によると、首都圏における中古マンションの平均成約価格は、築26~30年で3,835万円、築31~35年で2,455万円です。この成約価格を基準に買取価格の目安を算出した場合、築26~30年で2,684万5,000円~3,068万円、築31~35年で1,718万5,000円~1,964万円になります。
ただし、成約価格は立地や建物の状態、周辺環境などさまざまな要因によって左右されるため、より正確な買取価格を把握したい場合は複数の買取業者に査定を依頼しましょう。



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