「不動産買取を利用したいけど、仲介で売るよりも売値が安くなると聞いた」と、不動産買取について不安に思う方も少なくありません。
不動産買取の価格は、仲介による市場価格の60%~70%が相場です。これは、「買取後のリフォーム代や修繕費用が考慮されている」「契約不適合責任の免除や、現況有姿での買取によるリスクを引き受けている」などの理由があるからです。
ただし、上記の相場はあくまで目安であり、実際には物件の築年数や状態、立地、土地の形状や接道状況、さらには地域の需給バランスによって大きく左右されます。
不動産の買取価格を決めるポイント | 概要 |
---|---|
立地 | 交通アクセスがよい、周辺に商業施設や病院がある、人気エリアにあるなど、一般の人からの需要が高い立地だとプラス評価になる |
築年数 | 建物は築年数が古いほど買取価格が安くなるのが基本 |
内装と外装 | 査定時に修繕にかかるコストが少ない、附属設備の付加価値が高いなど内装・外装の状態がよいとプラス評価になる |
間取り | ファミリー層が多い地域ならリビングの広さや各居室のバランスなど、不動産の周辺地域に合う間取りだとプラス評価になる |
瑕疵の有無 | キズ・欠陥や法律違反などの瑕疵があるとマイナス評価になる |
土地の面積や形状 | 土地の用途に応じた面積、正方形や長方形に近い整形地だとプラス評価になりやすい |
日当たりや風通し | 日照時間が長い南向きの不動産など日当たりがよい場合や、不動産全体の風通しがよい場合はプラス評価になる |
駅までの距離 | 駅に近いとプラス評価になりやすい |
土地が面している道路の幅や敷地の接点 | 接道義務違反によって再建築不可となっている不動産は大きなマイナス評価になる |
不動産周辺の環境 | 商業施設や病院、銀行、緑地エリア、教育施設、文化施設などが近くにある、騒音や振動が少ない、治安がよいなど生活しやすい環境が整っているとプラス評価になる |
このように、不動産の買取価格はさまざまな要素を総合的に評価して算出されます。したがって、実際の金額を知るには、まずは査定を受けてみることが欠かせません。
なお、査定を依頼したからといって必ず売却しなければならないわけではありませんので、まずは相場を把握する目的で気軽に活用すると良いでしょう。
本記事では、不動産の買取相場が仲介価格よりも低くなる理由や、地域ごとの買取相場の目安などを解説します。また、買取業者が買取価格を決める際の査定ポイントや、高値で買い取ってもらうためのコツもまとめました。
買取業者を利用して不動産を売りたい方は、ぜひ当記事を参考にしてください。
不動産の買取相場は仲介の市場価格の60%〜70%ほどが目安
私たちが日々査定や買取を行っている中で実感しているのは、買取価格は仲介での市場価格に比べて おおよそ60〜70%程度 に落ち着くケースが多いという点です。
例えば、仲介を利用すれば1,000万円前後で売れる物件でも、買取では600万〜700万円といった提示になることが一般的です。
なぜならば、買取業者は「売主様に代わってリスクや手間を引き受ける」立場にあるからです。契約不適合責任を免除できること、売却後のトラブルに発展しないこと、さらに最短数日で現金化できること。これらは売主様にとって大きなメリットですが、その分、買取業者側は再販売に向けたリフォーム費用、流通にかかる経費、売れ残りのリスクを抱えることになります。結果として、それらを査定額に反映せざるを得ないのです。
また、実際の査定額は相場だけで決まるものではありません。私たちの経験上、同じエリア内でも「駅からの距離」「接道状況」「建物の老朽化具合」「収益性」などによって数百万円単位で差が出ることも珍しくありません。ですから、ここで示した60〜70%という数字はあくまで目安であり、最終的には物件ごとの条件を丁寧に精査して判断しています。
買取だと仲介よりも不動産の売却価格が安くなる理由
買取が仲介よりも不動産の売却価格が安くなる理由は、不動産を売却するまでのプロセスと、ビジネスモデルが根本的に異なるためです。
買取の場合、業者は物件を直接買い取り、リフォームや再販、場合によっては収益物件化などの活用を通じて利益を確保します。つまり、将来的なリスクや販売経費をすべて業者が負担する仕組みです。
一方で仲介は、売主と買主をつなぐだけであり、業者の収益はあくまで「仲介手数料」です。そのため、売却価格自体は市場の需要と供給で決まりやすく、買取のようなリスク分を差し引かれることはありません。
仲介と買取の違いを整理すると、次のようになります。
項目 | 仲介 | 買取 |
---|---|---|
売却先 | ・仲介業者を通じてマッチングした第三者 ・需要の少ない不動産ほど売却に時間がかかりやすい | ・買取業者 ・需要が少ない不動産でも買取対象になる可能性あり |
売却価格の決まり方 | ・売主と買主の合意によって決定 ・類似物件の価格や市場動向などを目安にする | ・買取業者が算出した査定額 ・買取後のリフォーム費用や再販コストなどを加味して算出 |
売却までの期間 | ・3か月~6か月程度 ・1年以上買主が見つからないケースもあり | ・数日~1週間程度での現金化が可能 ・即日現金化など買取スピードを売りにする買取業者も多数あり |
仲介手数料 | 売却価格×3~5%+消費税 | なし |
広告活動や内覧 | 原則として広告掲載や内覧対応が必要 | ・買取業者が直接買い取るため不要 ・現況のままでの売却に対応しているところが多い |
契約不適合責任(※)の有無 | 売主に一定期間の契約不適合責任が発生する | ・免除とするのが通例 ・故意に問題を隠している場合は原則として免除は無効 |
周囲に売却を知られるリスク | 広告を出すと周囲に知られる可能性あり | 非公開取引および広告なしが基本であるため周囲に知られる心配はほぼなし |
※ 売買契約において、契約内容と異なる品質や状態の不動産を購入させたときに、買主に対して売主が負う責任。詳細は後述。
不動産買取で売却価格が仲介よりも下がってしまう主な理由は、次の通りです。
- 買い取り後に実施するリフォーム費用・修繕費用などを事前に差し引いている
- 契約不適合責任を免除する前提で価格にリスク分を反映している
- 即日現金化や現況有姿での買取など、サービスコストを反映している
- 売主と買取業者の間でのみ交渉が行われるため、買主同士の競争による価格上昇が発生しない
「時間がかかってでも高く売却したい」「一般の人からの需要を期待できない」という方なら仲介、「すぐに手放したい」「トラブルなくスムーズに売却したい」という方なら買取が向いています。
不動産種類の成約価格を参考にした買取相場
実際の取引に近い不動産の買取相場を把握するには、 「実際にどのくらいの価格で売れているのか」という成約データを確認すること が有効です。
不動産価格は種類やエリアによって大きく差が出るため、「一律で〇%」という数字だけで判断するのは危険です。必ずエリアごとの実際の成約事例を確認することが大切です。
その際に参考になるのが、国土交通大臣が指定する「公益財団法人 東日本不動産流通機構(REINS)」が公表している成約価格データです。REINSでは、不動産の種類別・エリア別に、実際に売買が成立した価格を確認できます。西日本エリアについては「西日本レインズ」「近畿レインズ」といった地域ごとの機構が同様にデータをまとめています。
ただし注意点として、これらの成約価格にはいわゆる「訳あり物件」や特殊条件付きの不動産も含まれているため、必ずしも一般的な物件だけを反映しているわけではありません。あくまで 「市場全体の傾向をつかむための目安」 として利用するのが正しい活用法です。
次の章では、このレインズのデータをもとに、不動産の種類ごとの成約価格を基準とした買取相場の目安を紹介します。
参考:REINS TOWER「レインズとは?」
参考:REINS TOWER「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」
参考:REINS TOWER「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」
参考:西日本レインズ「サマリーレポート」
参考:近畿レインズ「不動産市場動向」
参考:中部レインズ「中部圏市場動向」
戸建の成約価格を参考にした買取相場
戸建の成約価格は、東日本が約4,000万円・西日本が約2,000万円で平均すると約3,000万円です。買取価格の相場に当てはめると、1,800万円~2,100万円前後となります。都市部、とくに東日本側の戸建の価格が高い傾向にあります。
東日本の戸建の買取相場
東日本の中古戸建の成約価格は、平均するとおおよそ4,000万円です。買取価格の相場を考慮すると、2,400万円~2,800万円前後となります。
全体的に平均築年数は上昇、建物面積は減少傾向にあるにもかかわらず、成約価格は2020年より右肩上がりの傾向が見られました。これは地価の高騰や円安などの経済状況などが影響していると推測されます。東日本は価格上昇幅が大きな東京都が集計に含まれているため、より傾向が顕著に出ています。
成約価格や買取相場の詳細は、主に次の通りです。
項目 | 成約価格 | 買取相場 |
---|---|---|
2024年中古戸建 | 3,948万円 | 2,348万円~2,763万円 |
2023中古戸建 | 3,848万円 | 2,308万円~2,693万円 |
西日本の戸建の買取相場
西日本の中古戸建の成約価格は、平均するとおおよそ2,000万円です。買取価格の相場を考慮すると、1,200万円~1,400万円前後となります。地域全体的に東日本ほどの増加傾向は見られず、過去数年間横ばいが続いている地域がほとんどです。しかし、大阪の都市部や兵庫県の西部などはやや上昇傾向が見られます。
成約価格や買取相場の詳細は、主に次の通りです。
成約価格 | 買取相場 | |
---|---|---|
近畿圏の2025年中古戸建 | 2,385万円 | 1,431万円~1,670万円 |
中国・四国・九州の2025年中古戸建 | 1,882万円 | 1,129万円~1,317万円 |
近畿圏の2024年中古戸建 | 2,296万円 | 1,378万円~1,607万円 |
中国・四国・九州の2024年中古戸建 | 1,856万円 | 1,114万円~1,299万円 |
土地の成約価格を参考にした買取相場
土地の成約価格は、東日本が約3,600万円・西日本が約2,000万円で平均すると約2,800万円です。買取価格の相場に当てはめると、1,680万円~1,960万円前後となります。戸建と同じく、都市部のほうが買取価格が高い傾向が見られます。
東日本の土地の買取相場
東日本の土地の成約価格は、平均するとおおよそ3,600万円です。買取価格の相場を考慮すると、2,160万円~2,520万円前後となります。ここ数年では戸建以上に成約価格の上昇傾向が見られ、平均面積は大きく変わらないにもかかわらず、2021年からは平均1,000万円以上高くなっています。
成約価格や買取相場の詳細は、主に次の通りです。
項目 | 成約価格 | 買取相場 |
---|---|---|
2024年土地 | 3,794万円 | 2,276万円~2,656万円 |
2023年土地 | 3,529万円 | 2,117万円~2,470万円 |
西日本の土地の買取相場
西日本の土地の成約価格は、平均するとおおよそ2,000万円です。買取価格の相場を考慮すると、1,200万円~1,400万円前後となります。戸建と同じく、成約価格・面積のいずれも東日本ほどの変化は見られないものの、大阪や兵庫の一部など徐々に上昇している地域が見られます。
成約価格や買取相場の詳細は、主に次の通りです。
項目 | 成約価格 | 買取相場 |
---|---|---|
近畿圏の2025年土地 | 2,486万円 | 1,492万円~1,740万円 |
中国・四国・九州の2025年土地 | 1,785万円 | 1,071万円~1,250万円 |
近畿圏の2024年土地 | 2,348万円 | 1,408万円~1,644万円 |
中国・四国・九州の2024年中古土地 | 1,565万円 | 939万円~1,096万円 |
マンションの成約価格を参考にした買取相場
中古マンションの成約価格は、東日本が約4,700万円・西日本が約2,660万円で平均すると約3,680万円です。買取価格の相場に当てはめると、2,208万円~2,576万円前後となります。戸建と同じく、都市部のほうが買取価格が高い傾向が見られます。
東日本のマンションの買取相場
東日本の中古マンションの成約価格は、平均するとおおよそ4,700万円です。買取価格の相場を考慮すると、2,820万円~3,290万円前後となります。戸建・土地と比較して、中古マンションの成約価格上昇が非常に顕著に出ています。2014年から2024年で比較すると、平均成約価格は2,000万円以上増加、1㎡当たり単価は約40円から80円近くとほぼ倍になっていました。
成約価格や買取相場の詳細は、主に次の通りです。
項目 | 成約価格 | 買取相場 |
---|---|---|
2024年中古マンション | 4,890万円 | 2934万円~3,423万円 |
2023中古マンション | 4,575万円 | 2,745万円~3,203万円 |
西日本のマンションの買取相場
西日本の中古マンションの成約価格は、平均するとおおよそ2,660万円です。買取価格の相場を考慮すると、1,596万円~1,862万円前後となります。四国地方などの一部地域を除き、西日本でも中古マンションの成約価格は上昇傾向が見られます。とくに、大阪府・福岡県などの都市部は、上昇幅が大きくなっています。
成約価格や買取相場の詳細は、主に次の通りです。
項目 | 成約価格 | 買取相場 |
---|---|---|
近畿圏の2025年中古マンション | 3,073万円 | 1,843万円~2,151万円 |
中国・四国・九州の2025年中古マンション | 2,541万円 | 1,525万円~1,779万円 |
近畿圏の2024年中古マンション | 3,005万円 | 1,803万円~2,104万円 |
中国・四国・九州の2024年中古マンション | 2,384万円 | 1,430万円~1,669万円 |
地域ごとの不動産の買取相場
不動産の成約価格は、都道府県や市区町村など、より区分されたエリアごとにも違いが見られます。ここからは、レインズの公表資料を基に、以下の地域ごとの不動産の成約価格や買取相場についてまとめました。
東京都都市部における不動産の買取相場
東京都都市部における不動産の成約価格は、ほかのエリアよりも高額で取引されています。とくに土地の価格は、ほかの都道府県と比較しても群を抜いて高額です。東京都市部はいずれの不動産も地方に比べて駅に近いこと、交通アクセスがよいこと、周辺施設が揃っていること、人気エリアであることなど、査定価格が高額になる要素を多く兼ね備えているからです。
不動産仲介・不動産買取のいずれの業者でも対応していることが多いエリアであることからも、東京都都市部にある不動産の需要の高さが伺えます。
成約価格 | 買取相場 | |
---|---|---|
中古戸建 | 5,584万円 | 3,350万円~3,909万円 |
土地 | 9,321万円 | 5,593万円~6,525万円 |
中古マンション | 6,656万円 | 3,994万円~4,659万円 |
埼玉県における不動産の買取相場
埼玉県における不動産の成約価格は、東京や神奈川などと比較して安めで成立しています。とはいえ、都市部外のエリアと比べると高めです。さいたま市の大宮・浦和区や川口市などの主要都市の周辺は、埼玉県のなかでも不動産価格が高くなっています。
東京都に近い立地であること、大宮・浦和エリアは再開発が進んでいること、東京都や周辺都道府県への交通アクセスがよいことなどが、不動産価格が高額になっている要因です。
項目 | 成約価格 | 買取相場 |
---|---|---|
中古戸建 | 2,522万円 | 1,513万円~1,765万円 |
土地 | 2,365万円 | 1,419万円~1,656万円 |
中古マンション | 2,977万円 | 1,786万円~2,084万円 |
千葉県における不動産の買取相場
千葉県における不動産の成約価格は、埼玉県とほぼ同じくらいです。こちらも埼玉県と同じく、東京ほど人気ではないものの、首都圏の1つとして安定した需要があると言えます。
浦安市や市川市などの主要都市や東京圏は、ここ数年間でやや上昇傾向が見られます。一方で、地方圏については横ばいです。千葉県は東京圏だと交通アクセスに優れる反面、地方圏は他の都道府県と隣接していないというやや特殊な形状が影響していると推測されます。
成約価格 | 買取相場 | |
---|---|---|
中古戸建 | 2,588万円 | 1,553万円~1,812万円 |
土地 | 2,349万円 | 1,409万円~1,644万円 |
中古マンション | 2,911万円 | 1,747万円~2,038万円 |
神奈川県における不動産の買取相場
神奈川県における不動産の成約価格は、東京都に次いで高額です。なかでも、横浜・川崎エリアがそのほかのエリアと比較して非常に高額で取引されています。
東京都と同じく、神奈川県は全体的に交通アクセスがよく、都市開発も進んでいるエリアです。また、横浜市、川崎市、鎌倉市など生活・観光のいずれでも需要のある場所が多いことから、全体的に不動産価格が高くなっています。
成約価格 | 買取相場 | |
---|---|---|
中古戸建 | 4,102万円 | 2,461万円~2,871万円 |
土地 | 3,328万円 | 1,997万円~2,330万円 |
中古マンション | 3,897万円 | 2,338万円~2,728万円 |
大阪府における不動産の買取相場
大阪府における不動産の成約価格は、兵庫県や京都府と同じくらいのレートで推移しています。中古マンションに関しては、京都府と同じく近畿エリアでは高めです。
近年の大阪府は再開発がさらに進んでおり、とくに大阪の中心部は生活面・ビジネス面のいずれでも人気の高いエリアです。大阪・関西万博の影響もあり、地価公示も全体的に上昇傾向が見られました。一方で、都市部から離れた郊外や駅から離れた地域だとやや下落傾向が続いており、二極化が進んでいくのではないかと推測されます。
成約価格 | 買取相場 | |
---|---|---|
中古戸建 | 2,607万円 | 1,564万円~1,825万円 |
土地 | 2,692万円 | 1,615万円~1,884万円 |
中古マンション | 3,460万円 | 2,076万円~2,422万円 |
兵庫県における不動産の買取相場
兵庫県における不動産の成約価格は、戸建・土地・マンションのいずれも2,500万円前後です。大阪府や京都府と比較すると、中古マンションの価格が安くなっています。
兵庫県は神戸市中央区を始めとする東エリアが人気であり、不動産価格も非常に高くなっています。神戸市周辺は兵庫県全体への交通アクセスがよいことに加え、大阪府や京都府へもアクセスも良好です。人口減少はあるものの、依然として高い人気を誇っていると言えるでしょう。一方、加古川市・明石市・姫路市などがある瀬戸内海沿いを除くと、北部や西部では地価が非常に安くなっており、二極化が顕著な都道府県でもあります。
成約価格 | 買取相場 | |
---|---|---|
中古戸建 | 2,519万円 | 1,511万円~ |
土地 | 2,242万円 | 1,345万円~1,594万円 |
中古マンション | 2,610万円 | 1,566万円~1,827万円 |
京都府における不動産の買取相場
京都府における不動産の成約価格は、土地と中古マンションが近畿エリアのなかでも高値で取引されている傾向があります。一方で、戸建はほかの近畿エリアとほぼ同じです。
京都府は大阪府、福岡県、神奈川県などと肩を並べるほど地価が高く、戸建・マンションも非常に高値で取引されています。京都府はインバウンド需要の上昇の影響を強く受けており、国内外からの観光需要の増加に伴う施設増加や交通インフラ整備などが進められてきました。観光需要が続く限り、今後も不動産価格も高値で推移すると思われます。
成約価格 | 買取相場 | |
---|---|---|
中古戸建 | 2,401万円 | 1,440万円~1,681万円 |
土地 | 3,386万円 | 2,031万円~2,370万円 |
中古マンション | 3,077万円 | 1,846万円~2,154万円 |
愛知県における不動産の買取相場
愛知県における不動産の成約価格は、おおよそ2,000万円~2,700万円の間です。ただし、名古屋市の土地に関しては愛知県のなかでも非常に成約価格が高額となっており、3,869万円と名古屋市以外の土地の平均の2倍近くとなっています。
名古屋市の知名度が群を抜いて高い愛知県ですが、もともと自動車産業を始めとするものづくりが盛んな、全国有数の工業県として有名です。また、日本列島のちょうど真ん中に位置していることもあり、全国各地へのアクセス手段も豊富です。県内には新東名高速道路を始めとする幹線道路が集まっており、車での移動も非常に楽です。これらの背景から愛知県は現在も人気エリアであり、不動産も高値で取引されています。
成約価格 | 買取相場 | |
---|---|---|
中古戸建 | 2,734万円 | 1,640万円~1,914万円 |
土地 | 2,164万円 | 1,298万円~1,515万円 |
中古マンション | 2,416万円 | 1,450万円~1,691万円 |
不動産買取業者の買取価格を決定する査定ポイント
不動産買取業者は、物件の状態や周辺環境などを総合的に評価し、買取価格を決定します。査定時に重視されるポイントは以下の通りです
- 立地
- 築年数
- 内装と外装
- 間取り
- 瑕疵の有無
- 土地の面積や形状
- 日当たりのよさや風通しのよさ
- 駅までの距離
- 土地が面している道路の幅や敷地の接点
- 不動産周辺の環境のよさ
立地
不動産の立地は我々、買取業者が査定価格を決定する際に最も大きな影響を与える要素です。駅距離や周辺環境といった日常の利便性だけでなく、将来の開発計画や地域の人口動向など、中長期的な資産価値を左右する要因も含めて評価しています。
査定時にプラスおよびマイナスとなる立地の要素を、以下の表にまとめました。
査定額がプラスになる立地 | 査定額がマイナスになる立地 |
---|---|
・駅が近いなど交通アクセスがよい ・近くに商業施設や病院がある ・都市部や人気エリアにある ・用途地域が住居系 ・災害のリスクが少ない ・将来的に再開発やインフラ整備などが予定されている | ・交通アクセスが悪い ・周辺に施設が少ない ・下水施設、火葬場などの嫌悪施設が近くにある ・過疎地にある ・用途地域が工業系 |
築年数
不動産の築年数が古いほど、不動産価格は安くなるのが基本です。
国土交通省の資料によると、住宅の市場価値は築年数が増えるほど下がっていく傾向が見られます。たとえば中古戸建住宅の場合、築後20年以上経過すると価格がほぼゼロになるとの結果が出ています。
国土交通省 中古住宅流通、リフォーム市場の現状
またレインズの調査でも、首都圏の中古マンション、戸建住宅のいずれも築年数が古いほど成約価格は低くなっていました。
中古マンションの築年数 | 成約価格 |
---|---|
築10年以内 | 7,000万円台 |
築16~25年 | 5,000万円台 |
築30年超 | 2,000万円台 |
中古戸建の築年数 | 成約価格 |
---|---|
築10年以内 | 5,000万円台 |
築11~25年 | 4,000万円台 |
築26~30年 | 3,000万円台 |
築30年超 | 2,000万円台 |
参考:REINS TOWER「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」
なお、リフォームの実施や不動産の立地・性能などの個別の事情によっては、築年数が古くても高値で買い取ってもらえる可能性はあります。
内装と外装
我々も含めて、買取業者の多くは現況有姿での買取に対応していますが、建物や内装・外装の状態が良好であれば、査定額は高くなる傾向があります。
具体的には、不動産を買い取った後に必要となるリフォームや修繕のコストが少なければ、その分を査定額から差し引く必要がなくなるため、高額査定が期待できます。また、水回り設備や屋根、壁の状態が良好であることに加え、IHコンロや床暖房、太陽光発電など付加価値の高い設備が整っていれば、さらにプラス評価につながります。
売却前にクリーニングや簡単な補修を行うことで、かかるコスト以上の査定アップが見込める場合は対応を検討してもよいでしょう。ただし、多くの買取業者は自社で補修やクリーニングができる体制を持っているため、基本的には現況のまま売却するほうがスムーズです。
日頃から定期的に建物のメンテナンスを行っておくことが、結果として買取価格を高める上で非常に重要です。
間取り
査定では立地条件が大きな要素になるのは当然ですが、「間取りの良し悪し」も価格へ影響しやすいです。特に中古住宅や借地権付き建物のように再建築が難しいケースでは、現状の間取りがどれだけ市場ニーズに合っているかが、買取価格を大きく左右します。
たとえばファミリー層の需要が強いエリアでは、単純に4LDKという間取りだけではなく、
- リビングの広さと動線の取り方
- 各居室の広さのバランス
- 収納の配置や容量
といった細かい要素が査定ポイントになります。
また、家具や家電のレイアウトがしやすい間取りかどうかも重要です。実際、査定の現場では「使い勝手が悪い間取り」はリフォームコストを見込んで減額評価につながることが多いのです。逆に、多少築年数が古くても、需要に合った間取りであれば高めに評価されるケースも珍しくありません。
瑕疵の有無
不動産に瑕疵がある場合、査定額が大きく下がる可能性があります。ここでいう瑕疵とは、建物のキズや欠陥といった品質上の問題だけでなく、法的な問題を含む不動産の欠点全般を指します。
買取業者の査定額に影響を及ぼす瑕疵は、主に次の通りです。
瑕疵の種類 | 具体例 |
---|---|
物理的瑕疵 | ・雨漏りや水漏れが発生する ・インフラ設備が故障している ・シロアリ被害が出ている ・耐震強度が不足している ・地盤が不安定 ・地中にコンクリートなどの障害物・埋設物がある ・土壌汚染が発生している ・土地の境界が曖昧になっている |
心理的瑕疵 | ・物件内で殺人、自殺、特殊清掃が必要な死、火災が発生した ・そのほか不動産会社や買主から心理的抵抗が発生していると判断された不動産 |
法律的瑕疵 | ・接道義務違反、建ぺい率・容積率の超過、建築確認未了などの建築基準法違反 ・都市計画法により制限されている地域にある建築物 ・火災報知器、排煙設備、避難はしごなどの未設置を始めとする消防法違反 |
環境的瑕疵 | 周辺に以下のような嫌悪施設や問題ある施設が存在する ・下水施設 ・ゴミ処理場 ・火葬場 ・墓地 ・反社会的勢力の施設 ・風俗店 ・パチンコ店 ・高圧線鉄塔 ・日照や眺望を阻害する高層建物 ・そのほか悪臭、騒音、振動などが発生する施設 |
買取業者によっては、弊社のように上記のような瑕疵をかかえる不動産を専門に扱っているところもあります。しかし、瑕疵の存在を故意に隠して売却した場合、契約解除や損害賠償請求などに発展するおそれがあります。
瑕疵があることを認識している場合には、正直に申告しましょう。
土地の面積や形状
土地の面積や形状も、買取業者が査定時に確認する重要なポイントです。
土地は広いほど高く売れると思われがちですが、実際には用途や立地条件によって評価が分かれます。
たとえば戸建て用地であれば、広すぎず狭すぎない40~60坪程度の土地のほうが需要の高い傾向にあります。一方、マンション用地や商業施設の開発が可能な広い土地で、なおかつ建築制限や用途地域に問題がなければ高額査定につながることもあります。ただし、広さがあっても建築に制限がある場合や需要が少ないエリアでは、土地単価は下がりやすくなります。
土地の形状は、正方形や長方形に近い整形地が評価されやすくなります。一方で、いびつな形や特殊な形状などの不整形地は、査定価格が下がる傾向にあります。実際に、不整形地は相続税の評価額も低く設定されることが多く、購入希望者の関心も薄れがちです。
不整形地の具体例は、次の通りです。
- 三角形の土地
- L字型で細い経路しか道路に接していない「旗竿地」
- 一部に斜めの線が含まれている「台形・平行四辺形地」
- 角が切り取られている「隅切り地」
- 境界部分がギザギザになっている土地
土地の面積や形状に問題があるときは、土地を分割したり増やしたりして、使いやすい土地にしてから売却するのがよいでしょう。広すぎるなら土地を区切って登記し直す分筆、形が歪だったり狭すぎたりするときは隣地を購入するなどが方法として挙げられます。
日当たりや風通し
不動産の日当たり・風通しのよさも、実は買取業者の査定ポイントの1つです。
たとえば南向きの不動産は、日照時間が一番長いため高い評価を期待できます。評価が高い順は、南>東>西>北が基本です。あくまで傾向の話であり、北側斜線制限や建物の高さなどの関係で、北向きでも評価が高くなるケースがあります。また、南向きでも周辺施設の配置や建物の間取りなどによっては、日当たりが悪くなることも考えられるでしょう。
北側斜線制限とは、北側の隣地に住む人の日照や採光を確保するために設けられた、建築基準法に基づく高さ制限です。土地の北側の境界線上から斜線上に、建物の高さに上限が設けられます。風通しのよさは、生活のしやすさに直結する重要な要素です。夏は涼しく冬は暖かくなりやすいという温度・湿度調整面、カビ・ダニの防止、洗濯物の乾きやすさなど、風通しがよいメリットは多数存在します。そのため、買取業者も風通しのよさを査定する際に注目します。
駅までの距離
立地条件のなかでも、駅までの距離は査定価格に影響を及ぼします。駅に近いほど高く、遠いほど安くなるのが基本です。傾向としては、駅から徒歩10分以内だと資産価値が上がり、15~20分以上になると下がります。
首都圏や都市部の不動産価格が高いのは、駅からの距離が近いからというのも要因として考えられます。
たとえば、三井住友トラスト不動産・株式会社東京カンテイの調査では、首都圏だと駅から1分遠くなるごとに坪単価が下落する傾向が見られました。
参考:三井住友トラスト不動産「マンションの駅徒歩時間別の価格差ってどれぐらいあるの?」
土地が面している道路の幅や敷地の接点
不動産の査定において、「接道条件」は建築の可否や利用価値に直結します。そのため、土地が面している道路の幅や敷地接点は、不動産の査定において非常に重要なポイントです。
たとえば、土地が幅員4m以上の公道に2m以上接していなければ、接道義務違反です。接道義務違反の土地は、その敷地内において新築や増築、建て替えなどが認められない「再建築不可物件」扱いとなります。
接道義務とは、緊急車両の通行や避難経路の確保などの安全性の観点から、敷地内にて決められた道の広さと道路との接地部分の基準を定めた建築基準法第42条のルールです。
接道義務違反による再建築不可物件は、買取業者からの評価を大きく下げます。対応するには、セットバックや隣地買取などによって接道義務を満たす、再建築不可物件を取り扱う買取業者に買い取ってもらうなどが挙げられます。
不動産周辺の環境
不動産そのものだけではなく、不動産周辺の環境のよさも査定に影響を及ぼします。査定がプラスになる周辺の環境の例は、次の通りです。
- スーパーやコンビニ、ショッピングモールなどの商業施設
- 病院・銀行などの日々の暮らしに便利な施設
- 公園や自然などの緑地エリア
- 教育施設や文化施設が近くにある文教地区
- 騒音や振動のない閑静な住宅地
- 治安がよいエリア
- 駅、バス停などの交通アクセスのよさ
不動産の買取相場を調べる方法
不動産買取業者へ依頼する前に、自分で不動産の買取相場を調べておくことも大切です。不動産の買取相場を調べておくと、買取業者が提示する買取価格の妥当性や、買取業者を利用するべきか否かの判断基準として利用できます。
不動産の買取相場を調べる方法は、以下の通りです。
不動産の買取相場を調べる方法 | 適している人 |
---|---|
REINS Market Informationを利用する | 実際の取引に基づいたデータを見たい人向け |
不動産情報ライブラリを利用する | さまざまな情報を網羅的に集めたい人向け |
国土交通省が公表する地価を参考にする | 不動産価格の基準や傾向を知りたい人向け |
不動産ポータルサイトを利用する | リアルタイムの情報検索や検索のしやすさを優先したい人向け |
上記の方法なら自分だけで相場を確認できるものの、調査や計算には手間がかかるうえに、正確な相場がわかるとは限りません。不動産の相場を調べる際は、不動産会社に査定をお願いするのがおすすめです。不動産会社の査定額を見たうえで、提示額が相場通りかをチェックしたいときに、上記の調査による結果と照らし合わせるのがよいでしょう。
REINS Market Informationを利用する
REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)とは、全国指定流通機構連絡協議会が所有する、実際に売買された物件の価格などの取引情報を検索できるWebサイトです。以下の情報を選択すれば、知りたい条件の成約価格を検索できます。
- 都道府県
- 地域
- 建物種別
- 地域詳細
- 沿線
- 最寄り駅
- 駅からの距離
- 価格
- 専有面積
- 間取り
- 築年数
- 成約時期
- 用途地域
出典:REINS Market Information「検索結果」
実際の取引に基づいた買取相場を調べたいときは、REINS Market Informationの利用がおすすめです。
不動産情報ライブラリを利用する
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」
不動産情報ライブラリとは、国土交通省運営の不動産情報検索サイトです。不動産の取引価格、地価公示等の価格情報、防災情報、都市計画情報、周辺施設情報など、不動産に関するさまざまな情報を無料で検索できます。
不動産情報ライブラリに掲載されているコンテンツは、ほかの国土交通省のサイトや国土交通省実施のアンケート結果などから出典している信憑性の高いものです。不動産の種類から土地の形状・面積、建物の築年数など、不動産関係の情報を網羅的に探したい人は、不動産情報ライブラリの利用がおすすめです。
国土交通省が公表する地価を参考にする
国土交通省は、地価公示法に基づき、毎年1月1日時点における地価を3月に公表しています。国土交通省が公表する地価とは、標準地1㎡あたりの適正な価格です。「一般の土地に対して指標を与えること」「不動産鑑定の基準となること」などを目的とし、地価公示法第12条に基づいて国土交通省に設置された「国土交通省土地鑑定委員会」が公示しています。
全国2,000人以上の不動産鑑定士によって構成される国土交通省土地鑑定委員会は、約2万6,000地点について選定・確認をおこない、議論を経て地価を判定しています。専門家が時間をかけて算出した指標であるため、全国で実際される取引だけではなく固定資産税・相続税評価額の決定にも用いられる重要な数値です。
不動産の価格指標だけではなく、地域性や周辺施設を考慮した地価の方向性や、周辺地域の地価の変動などを調べたいときには、地価公示を参考にするのがよいでしょう。
参考:国土交通省「地価・不動産鑑定」
不動産ポータルサイトを利用する
不動産ポータルサイトとは、複数の不動産会社が実際に売りに出している不動産の種類や価格を調べられるサイトです。不動産会社は自社の不動産売買情報を載せてもらう代わりに、不動産ポータルサイトへ広告の掲載料を支払います。不動産の売主・買主が利用する際に、費用を負担することはありません。
有名な不動産ポータルサイトには、「SUUMO」「HOME’S」などが挙げられるでしょう。ほかにも、特定の地域に特化した不動産ポータルサイトがいくつも存在します。
不動産ポータルサイトで不動産の買取価格を調べるメリットは、実際に不動産会社が取引している金額をリアルタイムで確認できる点です。複数の不動産会社の情報を掲載していることから、さまざまなサンプルも集めやすくなっています。一般の人が利用しやすいよう、掲載情報のデザインや検索方法などに工夫が凝らされている部分も不動産ポータルサイトの魅力です。
ただし、特定の不動産会社や地域の情報に偏る可能性があります。情報収集で利用する際には、1つだけではなく複数の不動産ポータルサイトから情報を集めるようにしましょう。
不動産を買取相場よりも高値で買い取ってもらうためのテクニック
買取業者の選び方や買取依頼のタイミングなどを工夫することで、不動産を買取相場よりも高値で売却できる可能性があります。
不動産を買取相場よりも高値で買い取ってもらうためのテクニックは、次の通りです。
- 複数の不動産買取業者に査定を依頼する
- 不動産買取の実績や相談件数が豊富な業者を探す
- 売りたい不動産の物件種類の買取を得意としている業者を探す
- 繁忙期に不動産買取を依頼する
複数の不動産買取業者に査定を依頼する
複数の不動産買取業者に査定を依頼することは、買取価格を引き上げるための基本かつ効果的な方法です。いかに、その理由をまとめました。
複数の買取業者に査定を依頼するメリット | 具体的な理由 |
---|---|
査定額を比較検討し、最も高値で買い取ってくれる業者を選べる | 買取業者によって得意なエリアや販売ネットワーク、リフォーム方針などが異なるため、査定額にも違いが出てくる。複数社から見積もりを取ることで、条件の良い業者を選定できる。 |
価格交渉の材料として利用できる | 買取業者の査定額は、別の買取業者との交渉材料に利用できる。競合他社がいるとアピールするだけでも、よりよい条件の提案が期待できる。 |
サービス内容や対応力を比較できる | 買取スピード、売主への態度、フォロー内容、対応力など査定額以外のところも買取業者選びの注目ポイントになる。多少ほかの買取業者のほうが査定額が高くなっても、買取のスムーズさやトラブル防止を優先したほうが結果的にメリットが大きい可能性がある。 |
複数の買取業者への査定依頼は、「1社ごとに依頼する」「不動産一括査定サイトを利用する」などの方法があります。
不動産買取の実績や相談件数が豊富な業者を探す
不動産買取の実績や相談件数の豊富さは、買取業者の能力や信頼性を見る際の指標になります。特に、再建築不可や底地、相続関連など、条件の難しい不動産を扱った経験がある業者は、交渉や手続きにおける対応力が違います。
実績や相談件数を重視して選ぶメリットは、次の通りです。
- 過去の取引事例や市場動向を踏まえた査定が可能なため、価格交渉もスムーズに進みやすい
- 多くの人から信頼されている買取業者だと判断できる
- 再建築不可物件、相続物件、空き家、底地などの特殊な事情がある不動産への対応力を期待できる
- 特定の地域の実績が豊富な買取業者なら、その地域ならではの需要や再販戦略を加味した査定が期待できる
買取業者の実績や相談件数は、公式サイトの成約事例・紹介文、Googleマップの口コミ、比較サイトなどを利用して調べられます。可能であれば、買取業者へ直接問い合わせて確認してみるのもよいでしょう。
売りたい不動産の物件種類の買取を得意としている業者を探す
買取業者ごとに、「マンション専門」「共有名義不動産に特化」など、得意とする物件種類が異なります。専門性を持つ買取業者なら、得意とする不動産の再販ルートや活用方法を確立している可能性が高く、ほかの買取業者よりも高値での取引を期待できるでしょう。
そのため、不動産買取を検討中なら、あなたが売りたい不動産の種類を得意とする買取業者の利用がおすすめです。
繁忙期に不動産買取を依頼する
不動産市場における繁忙期は、新生活の準備が進む1月から3月、または転勤シーズンの9月が代表的です。この時期は需要が高まり、買取業者も再販や活用のチャンスを見込んで積極的に物件を仕入れようとします。
そのため、繁忙期に不動産買取を依頼すれば、通常期よりも高値の査定が出る可能性があります。
とはいえ、繁忙期だからといって必ずしも査定額が高くなるとは限りません。わざわざ繁忙期の買取を狙うために、ほかの事情を後回しにするのはリスクが大きいと考えられます。買取してほしいタイミングが繁忙期に近いなら、待つことを考えてみる程度の気持ちでよいでしょう。
繁忙期を狙って買取を依頼できるほど時間に余裕がある方なら、買取よりも高値での売却を期待しやすい、不動産仲介での売却を検討してみてください。
不動産を買取で売却することのメリット
不動産買取を利用した売却には、以下のメリットがあります。
不動産買取のメリット | 概要 |
---|---|
数日〜1週間程度で不動産を買い取ってもらえる | 買取業者が直接買い取るため、不動産仲介のように3か月~6か月以上待つ可能性が低く、数日~1週間程度での現金化が期待できる。 |
契約不適合責任が免除される | 売却後に何かしらの瑕疵が発覚しても、瑕疵に関して売主側が責任を負うことがなくなる。 |
仲介手数料をかけずに不動産を売却できる | 仲介業務が発生しないため、仲介手数料をかけずに不動産を売却できる。 |
仲介よりも売却活動の最中で周囲の人に知られるリスクが低い | 不動産仲介のように募集広告を出す必要がないため、売却活動を周囲に知られるリスクが低い。 |
仲介のように内覧の対応をすることなく不動産を売却できる | 内覧の準備・対応にかかる負担がなくなる。 |
数日〜1週間程度で不動産を買い取ってもらえる
買取業者は自ら不動産を直接買い取るため、不動産仲介のように長期間買主が見つからないという事態に陥りません。買取スピードが早い業者なら即日から数日、1週間程度で不動産を現金化できます。不動産売却までの時間の速さは、買取業者を利用するうえでの大きなメリットです。
不動産仲介の場合だと、売却までの平均期間が3か月~6か月、長いと1年以上見つからないことも珍しくありません。すぐに不動産を売却したい方には、買取業者をおすすめします。
契約不適合責任が免除される
買取業者との売買契約では、契約不適合責任が免除されるのが通例です。
契約不適合責任とは、品質・種類・状態が契約内容と異なる場合に、売主が買主に対して責任を負う民法第562条~564条の決まりです。
たとえば引き渡された不動産に関して、知らされていない欠陥がある、聞いていた設備が存在しないなどの事実が後から発覚した場合、買主はあなたに対して契約解除、代金減額、修繕対応、損害賠償請求などを要求できます。
もし不動産仲介を利用した個人への売却だと、たとえあなたが気づかなかった瑕疵に対しても、契約不適合責任を負う可能性があります。
旧民法では契約不適合責任は瑕疵担保責任と呼ばれており、売主が知らなかった瑕疵については責任が発生しませんでした。
買取業者への売却なら、契約不適合責任の免除のおかげで、不動産を売った後に瑕疵が見つかっても責任を追求されないメリットがあります。ただし、瑕疵を故意に隠して売却したときは、たとえ買取業者への売却でも契約不適合責任を負う可能性が高いので注意しましょう。
仲介手数料をかけずに不動産を売却できる
不動産買取には仲介のプロセスが存在せず、不動産仲介のように仲介手数料の支払いが発生しません。
不動産仲介の手数料の上限は、宅地建物取引業法に基づき、成立した金額に応じて以下のように定められています。。
成約価格 | 手数料の上限の計算式 |
---|---|
200万円以下の部分 | 5%+消費税 |
200万円超~400万円以下の部分 | 4%+消費税 |
400万円超の部分 | 3%+消費税 |
成約価格が400万円を超える場合の速算式 | 成約価格×3%+6万円+消費税 |
たとえば、不動産仲介で土地が4,000万円で売れた場合、仲介手数料は138万6,000円です。仲介手数料は売主・買主の双方が負担することが多いため、69万3,000円の支払いが必要になると考えられます。
なお、買取業者によっては、仲介手数料とは別に事務手数料などの費用がかかる場合があります。また、住宅ローン返済手数料、抵当権抹消費用、司法書士費用、税金などは買取業者に関係なく原則として必要なので注意しましょう。
仲介よりも売却活動の最中で周囲の人に知られるリスクが低い
買取業者へ不動産を売却する場合は、買取業者の直接買取であるため、仲介のように募集広告を掲載する必要もありません。売却金額といった売買契約の内容も、非公開です。
そのため買取業者への売却なら、不動産の売却活動のなかで周囲の人に知られるリスクが非常に低くなります。
仲介のように内覧の対応をすることなく不動産を売却できる
買取業者へ不動産を売却する場合は、不動産仲介と異なり内覧対応をする必要が原則としてありません。
買取業者は現地調査で一度不動産を確認すれば、その後は買取まで基本的に不動産を訪れることはないでしょう。一般の人の内覧と異なり、掃除や修繕が行き届いていなくても問題なく査定してくれます。内覧に関する負担が発生しない点は、買取業者を利用する大きなメリットと言えるでしょう。
一方、不動産仲介の場合、購入希望者の内覧時に不動産に少しでも問題があると、購入意欲が薄れて売買が流れるリスクがあります。内覧の準備に手間や時間をかける必要があるうえに、内覧の日程調整にかかる負担も懸念材料です。さらに、不動産が売れ残っている限り、内覧希望の度に対応する必要があります。
不動産を買取業者に売却する場合の流れ
不動産を買取業者へ売却する一般的な流れは、以下の通りです。
- 不動産買取業者に査定を依頼する
- 買取業者との売買契約を締結する
- 決済・引き渡しを行う
なお、依頼する買取業者の選び方は、前述した「不動産を買取相場よりも高値で買い取ってもらうためのテクニック」をご覧ください。
1. 不動産買取業者に査定を依頼する
利用したい不動産買取業者を見つけたら、実際に査定を依頼します。依頼方法は、公式サイトの査定フォーム、メール、電話のいずれかで対応しているケースがほとんどです。LINEでの受付に対応している買取業者もあります。
買取業者の査定は、「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定(現地調査)」です。まず机上査定を実施した後、机上査定の結果を見て訪問査定をあらためて依頼します。
買取業者の査定方法 | 概要 |
---|---|
机上査定 | 直接訪問せず、不動産情報や取引事例などを基に簡易的に査定する方法。提示されるのは、おおまかな査定額で確定額ではない。 |
訪問査定 | 不動産を訪問し、査定スタッフが直接確認して査定する方法。基本的には、訪問査定の金額が実際の売却金額になる。 |
査定を依頼する前に不安点や疑問点を解消したい方向けに、無料相談を実施している買取業者もあります。まだ不動産買取を依頼するか迷っている場合は、ぜひ無料相談から利用してみてください。
机上査定や相談をスムーズに進めるためには、以下のものを準備しておくとよいでしょう。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 固定資産税課税明細書
- 不動産購入時の売買契約書
- 住宅ローンの
- 土地測量図面や境界確認書
- 身分証明書や住民票など
- マンションの場合は管理規約や長期修繕計画など
2. 買取業者との売買契約を締結する
訪問査定の結果に納得したら、契約内容を交渉で詰めつつ、契約締結に向けて話を進めます。後からトラブルにならないよう、引き渡しや現金化までのスケジュール、売却後のサポート、契約解除の条件など金額以外の細かい部分も確認しておきましょう。
売買締結やその後の決済・引き渡しに関しては、机上査定などでも使用するものを含め、以下の書類が必要です。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 固定資産税課税明細書
- 不動産購入時の売買契約書
- 住宅ローンの返済予定表や残高証明書
- 土地測量図面や境界確認書
- 本人確認書類や住民票など
- 印鑑証明書
- マンションの場合は管理規約や長期修繕計画など
- 売却代金の振込先となる銀行口座の書類
- 抵当権等抹消書類
- 必要に応じて相続関係の書類や賃貸借契約書など
実際にどの書類が必要になるかは、買取業者から直接指示があるのでしたがってください。
問題がなければ、買取業者との売買契約を締結します。買取業者によっては、売買契約締結時に手付金として売却代金の5~10%が支払われます。
3. 決済・引き渡しを行う
売買契約を締結したら、契約にしたがって売却代金の決済や不動産の引き渡しを進めます。不動産の引き渡し前には、引っ越しや公共代金の精算を済ませておきましょう。
売主から買取業者へ所有権を移動させる「所有権移転登記」は、専門家である司法書士に依頼します。司法書士を提携する買取業者なら、信頼できる司法書士を紹介してくれます。
まとめ
不動産を買取業者へ売却する場合、仲介の市場価格の60%~70%がおおまかな相場です。買取業者の査定額には、買取後のリフォーム代・修繕費や、現況有姿買取・契約不適合責任の免除などに対するリスク対応などが反映されているからです。買取相場は、不動産の種類や地域などによっても変わります。
立地・築年数・間取りなどの査定ポイントが高評価なら、高値での売却が期待できます。また複数の買取業者の比較検討や、不動産買取の実績・得意分野の確認などを実施することで、不動産を適切に査定してくれる買取業者を選びやすくなるでしょう。
不動産の売却価格は不動産仲介のほうが高値になりやすい一方、買取業者には「スピード買取」「契約不適合責任の免除」「仲介手数料なし」「内覧対応なし」などのメリットがあります。スムーズに不動産を手放したい方は、買取業者の利用をぜひ検討してみてください。
よくある質問
不動産買取や不動産仲介での売却以外で不動産を手放す方法はありますか?
知り合いへ贈与する方法があります。相続する予定の不動産の所有権を手放したいときは、遺産分割協議にて不動産を相続しない旨を主張し合意してもらう、相続放棄する、相続土地国庫帰属制度の利用などが考えられます。とはいえ、対価が得られなかったり手続きが複雑だったりするものが多いため、基本的には売却で手放すのがおすすめです。
不動産を売却した後に必要な手続きなどはありますか?
売却代金に関して、譲渡所得税や住民税の確定申告が必要です。
不動産仲介と買取がセットになった売却方法があると聞きましたが本当でしょうか?
最初は仲介として不動産を売りに出した後、買主が現れなかったら不動産会社がそのまま買い取る「買取保証付き仲介」があります。すべての不動産会社が買取保証付き仲介を取り扱っているわけではないため、利用したい場合は一度不動産会社へ問い合わせてみてください。
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