借金返済の優先順位の合理的な決め方について

現在、複数の会社から借金をしているのですが、中々全部の返済に手が回らない場合、どのように優先順位をつけて返済していけば良いのでしょうか?


基本的には金利の高い借入先から返済を進めていくのが、最も返済額を少なく抑えられると思います。
つまり、10.0%と15.0%だったら、元金の金額が大きくても15.0%の方から地道に返済していった方が良いということですか?


返済額を少なくする、という観点ではそうですね。しかし、住宅ローンなど数千万円のものを金利が高いからといって、すぐには完済できません。
そうですよね。


はい、なので住宅ローンは無理に優先させる必要はないでしょう。あと、不動産を担保に入れているローンも同様です。状況によって、返済を最優先すべき借金は変わるので、借り換えをするなら、先に完済できそうな借金を返済して、借入先を少しでも減らした方が良いケースもあります。
なるほど。


ただし、本当に返済が難しいと感じたら、債務整理で借金を減額する方法が良いでしょう。差し押さえを受けると、給料や口座にあるお金だけでなく家や車までも強制的に取り上げられてしまいます。
そうなんですね、ありがとうございます。債務整理も検討してみようと思います。

借金は、基本的に金利の高いものから優先的に返済を進めていくのがおすすめです。
なぜなら、金利の高い契約は返済が長期化するほど、利息に充てる額が大きくなるため、結果的に中々元金が減らずに利息ばかりを払い続けてしまうことになります。
ただし、状況によっては例外もあります。
例えば、最も金利の高い借金が住宅ローンである場合、優先的に返済したとしてもなかなか完済は難しいので、他の完済できそうな借金から返済していく方が効率的です。
また、もしも借金の返済が難しい場合、早めに弁護士へ債務整理を依頼して、借金の元金や利息を減らす方法も検討しましょう。

- 借金の返済は金利の高い契約から優先的におこなう方がよい
- 効率的に借金を返済するには、借り換えやおまとめローンを利用する方法がおすすめ
- 借金返済が難しい場合、差し押さえされる前に債務整理も検討しよう
- 法テラスや相談料無料の法律事務所なら、低コストで債務整理をおこなえる
借金は金利の高い借入先から優先的に返済
借金は金利の高い借入先から優先的に返済していきましょう。
金利は返済が長期化すればするほど、増えていくものです。
例えば、借金の元金が200万円だった場合、15.0%と18.0%の金利では利息に大きな違いが出ます。
金利が15.0%なら利息は30万円。
金利が18.0%なら利息は36万円です。
たった3%の違いに思えても、6万円もの差があります。
これは簡易的な計算ですが、返済が長期化するほど利息による総返済額の差は大きくなります。
つまり金利の高い方を優先的に、なおかつそれぞれの借金をできるだけ短期間で完済し終えることが重要ということです。
返済できる借金は早くつぶし、借入先の数を少なくしておいた方が後の借り換えにも有利になります。
【事例①】借金返済の優先順位の付け方
例えば、以下のとおり2社からの借り入れがあるとします。
借入先 | 借入金額 | 金利 |
---|---|---|
A社 | 30万円 | 18.0% |
B社 | 100万円 | 15.0% |
この場合、優先して返済すべき借入先はA社です。
A社の方が金利は高いため、優先的に返済した方が総返済額を安く抑えられます。
その上、A社は元金が少ないため、B社に比べて短期間での返済ものぞめるでしょう。
【事例②】借金返済の優先順位の付け方
たとえば、以下のとおり3社からの借り入れがあるとします。
借入先 | 借入金額 | 金利 |
---|---|---|
A社 | 30万円 | 18.0% |
B社 | 100万円 | 15.0% |
C社 | 15万円 | 17.5% |
この場合はA社、C社、B社と優先順位を付けましょう。
C社からの借金はA社の半分しかないため、先に返済してしまいたいと思うかも知れませんが、金利が最も高いのはA社。
そのため、A社を優先的に完済してからC社、そしてB社の順に返済をしていくのが最もお得です。
借金返済の優先順位をつける上での注意点
1.不動産担保ローンのある借金と住宅ローンは例外として考える
金利の高い方から返済を進めるといっても、一概にそのやり方がベストとは限りません。
特に「不動産担保ローン」と「住宅ローン」は、例外として考える必要があります。
不動産担保ローンはできるだけ支払いを滞納しない
不動産担保ローンとは、不動産を担保に設定しているローンのことです。
こうしたローンは支払いが滞ると、担保に設定した不動産が自動的に競売にかけられてしまう可能性があります。
そのため、金利が低くてもできるだけ支払いを滞納するのは避けた方が良いでしょう。
もちろん不動産を手放しても問題なければ、あえて担保でローンを払うという手もありますが、自分が住んでいる家を担保にしている場合は、住居を失うことになります。
自分の組んだローンが不動産担保ローンかを確認するためには、ローン契約書を確認しましょう。
住宅ローンは金利が高くても返済の優先順位は低い
住宅ローンは元金が大きいため、完済には時間がかかってしまいます。
そのため仮に他の借金より住宅ローンの金利が高かったとしても、住宅ローンを返済している間に他の借金の金利がどんどん増えていってしまいます。
つまり住宅ローンよりも先に他の借金を返済しておいた方が、合計返済額が少なく済むケースが多いのです。
2.優先順位をつけつつも、滞納しないよう注意する
2ヶ月以上借金を滞納すると、分割ではなく一括請求を求める請求書が届きます。
一括での支払いや、この後の交渉によって決まったスケジュールで支払いができないと、強制執行裁判所主導で預金口座にある現金や給与で強制的に未払い分の代金を支払わせる手続きという手続きに移ります。
優先順位をつけて1社にのみ返済を続けていると、他の貸金業者から一括請求や遅延損害金支払いが遅れたことに対する損害賠償金のことの請求等が来るリスクがあることを把握しておきましょう。
つまり優先順位は付けつつも、どの貸金業者にも最低限は返済を続ける必要があるということです。
本来、一括請求が来る前に借入先には連絡を入れて支払いを待ってもらうよう交渉するのが一番ですが、万が一一括請求されたら債権者へ連絡し、事情を説明しましょう。
話し合いによっては、支払いを待ってくれる場合や、分割支払いに応じてくれる場合もあります。
借入先からの連絡は絶対に放置しないようにしまょう。
もし1社でも全く支払いのめどが立たない借入先があるなら、債務整理を検討した方がよいでしょう。
3.闇金への返済を優先しない
闇金からの借り入れをしている人の多くは督促の恐怖から、まず闇金へ返済しようと考えるかもしれません。
しかし、そもそも闇金との契約は法律上無効であり、闇金からの借金に返済義務はありません。
そのため闇金からの借金は、優先順位を考える必要すらないのです。
とはいえ闇金からの借金を借り逃げすることは難しいため、早めに弁護士や警察へ相談して縁を切りましょう。
弁護士や警察が介入すればしつこく督促をされることもなく、スムーズに闇金との縁を切れます。
効率的に借金を返済するコツは?
借金の完済を目指すには、優先順位をつける他にも、以下のような工夫の余地があります。できそうなものは取り入れ、効率よく借金を返済していきましょう。
- 借り換えを利用する
- おまとめローンを利用する
- 繰上げ返済を利用する
- ボーナスを返済に充てる
- 生活の支出を削減する
- 無利息または低金利の公的融資を利用する
借り換えを利用する
借り換えとは、より金利の低い他社の金融機関に乗り換えることを指します。
A社からB社へ借り換えする場合、A社の借金を一旦B社からの借り入れで完済し、その後はB社へ返済を続ける形を取ります。
借金が無くなるわけではないものの、できるだけ利息の支払いを抑えられるのが借り換えのメリットです。
このとき、借入先は少ない方が審査において有利になります。
複数の借金がある場合は元金が小さく、返せそうなところからできるだけ完済した後で、借り換えを検討すると良いでしょう。
ただし返済状況や信用情報によっては、審査に通らない場合もあります。
おまとめローンを利用する
おまとめローンとは、複数社の借金を1社に一本化することを指します。
たとえばおまとめローンを使うと、以下のように金利が抑えられます。
おまとめローン利用前 | おまとめローン利用後 | |
---|---|---|
元金 | 30万・10万・60万 | 100万 |
金利 | 18.0%・20.0%・18.0% | 15.0% |
返済額合計 | 18.2万 | 15万 |
上記のとおり、合計100万円の借金を1本化したことでトータルの利息を抑えることができました。
おまとめローンを使うと返済も1本化できるため、優先順位を考える必要もありません。
支出をスッキリとさせられるため、精神的にもゆとりが持てるでしょう。
おまとめローンを提供している金融機関は、たとえばアイフルやプロミス、楽天銀行などが挙げられます。
どれくらいお得になるかどうかが分かるシミュレーターがあるサイトも多いため、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
ただしおまとめローンも借り換えと同様、返済状況や信用情報の内容によっては審査に通らない場合もあります。
繰上げ返済を利用する
繰上げ返済を利用するのも、早期に借金を完済するためのポイントです。
繰上げ返済の方法は、借入先によってさまざま。
たとえばアコムやプロミスは毎月の最低返済額が決まっているため、ATMなどで余剰に返済すれば問題ありません。
一方、銀行ローンはマイページなどから繰上げ申請の別途申請が必要な場合もあります。
自分が利用している借入先の手続き方法に準じて繰上げ返済を行ないましょう。
ただし、繰上げ返済には返済期間をそのままに月々の返済額を軽減するものと、月々の返済額は固定で返済期間を短縮する2種類があります。
前者の場合はかえって利息が多くなる傾向にあるため、必ず返済期間を短縮するように繰り上げ返済しましょう。
繰上げ返済でどのように返済額期間が変わるのか知りたい方は、金融広告中央委員会のサイト内にあるシミュレーターを使うと良いでしょう。
元金や金利、返済済みの期間や繰上げ額を入力することで、簡単に繰上げ返済後の返済計画をシミュレーションできます。
ボーナスを返済に充てる
ボーナスをはじめとする臨時収入は完済を早めるために重要です。
生活費として使ってしまわず、しっかり返済に充てましょう。
ボーナスが入ったら、使う前にすぐ繰上げ返済の手続きをするのがポイントです。
生活の支出を削減する
生活における支出を減らし、借金返済にあてる金額を増やすのもおすすめです。
たとえば携帯料金や通信費、電気代などは契約プランを変えることで、無理なくコンスタントに節約できる項目といえます。
ある程度まとまったお金がある人や、職場の福利厚生を利用できる人は引っ越しして今よりも家賃の安い家に住むのも1つの手段です。
家族の家に住まわせてもらうことができるなら、数万円単位のお金を毎月浮かせることもできます。
無利息または低金利の公的融資を利用する
政府や自治体などが提供する、無利息の融資を利用するのもおすすめです。
利息が付かないため、元金のみの返済に抑えられるのが特徴。
たとえば全国社会福祉協議会が提供する「生活福祉資金」は他社からの借り入れが難しい場合でも、借りられるのが特徴。
申し込むには、各自治体の社会福祉協議会に行く必要があります。
この他にも、緊急小口資金など自治体から受けられる融資はさまざま。
まずはお近くの役所に問い合わせ、自分に合った融資や必要な書類等を相談してみると良いでしょう。
借金の返済が難しいと感じたら債務整理を検討
借金に優先順位をつけてもなお、明らかに支出が多く返済が厳しい場合は、早急に債務整理を検討しましょう。
債務整理とは借金を減額、または免除できる法的な手続きです。
主に任意整理、個人再生、自己破産の手続きがあり、借金の状況に応じて選べます。
多重債務を長引かせるのは危険
複数の借入先から借金をしているということは、いわゆる多重債務の状態です。
多重債務になるとすべての返済に首が回らなくなり、徐々に生活が苦しくなることもしばしば。
放置すると方々から督促状が届き、差し押さえされることになります。
以下の状態に当てはまる方は、すぐにでも債務整理を検討しましょう。
- 借金返済に優先順位を付けられない
- まったく完済のめどが立たない
- 新たな借金をしないと返済できそうにない
債務整理は手持ちのお金がなくてもできる
「手持ちのお金がない=債務整理ができない」という考えは誤りです。
今すぐに払えるお金がなくても、自分1人で債務整理手続きを進めなければいけないわけではありません。
後払いや分割支払いという形で、弁護士に債務整理を依頼することもできます。
法テラスなら低コストで債務整理が可能
法テラスを使えば、低コストで債務整理を弁護士に依頼できます。
法テラスとは、経済的に困窮している人に対して法的な支援をする組織です。
収入や家族構成など、一定の審査に通れば相場よりも安い価格で債務整理を行なえるのが特徴です。
通常は任意整理でも借入先1社あたり5万円以上かかる債務整理ですが、法テラスなら借入先1社あたり4万3000円で依頼できます。
なお費用は、1月5000円~1万円前後で分割後払い可能です。
初期費用のかからない法律事務所も多数
相談料がかからず、初期費用の必要ない法律事務所も多くあります。
また、分割支払いに対応する事務所も多数。
こうした費用体系の法律事務所を選べば、前払いでお金が必要になることはありません。
特に債務整理に強い事務所では依頼者が経済的に困窮していることをよく分かっているため、事前に高額な費用を要求する事務所は少ないです。
債務整理で借金を減らせば早く生活を再建できる
債務整理をすれば借金を減額、または免除できるため、無理なく生活ができるようになります。
債務整理をすると最低5年はブラックリストに登録されますが、その間の生活の仕方は色々あります。
ブラックリストの影響を最小限に抑える方法については、以下の記事をご覧ください。
債務整理の履歴は何年残る?ブラックリスト入りする影響と対処法
ブラックリストに入るよりも、借金を減らせるメリットの方が大きいといえます。
債務整理はできるだけ早く開始するのがベスト
債務整理にかかる時間は以下のとおりです。
債務整理の種類 | かかる期間 |
---|---|
任意整理 | 3ヶ月~半年 |
個人再生 | 約半年 |
自己破産 | 半年~1年 |
任意整理や個人再生については上記の期間が過ぎて手続きを完了した時点から、返済が始まります。
債務整理後の返済は以前に比べて毎月の負担が少なくなるものの、いち早く完済して生活を立て直すには手続きを早い段階から進めるのがベスト。
できるだけ早く債務整理を開始すれば、それだけブラックリスト解除の期間も早まります。
また、借金を滞納して強制執行をかけられた後では、その債権者に対して債務整理もできません。
まずは最寄りの法テラスや、債務整理に強い弁護士に相談するなどの行動が必要です。
まとめ
- 借金は基本的に金利の高いものから返済する
- ただし不動産担保ローンと住宅ローンは例外
- 繰上げ返済やおまとめローンを利用すると返済が進みやすい
- 返済が難しいと感じたら早めに債務整理を検討
- 多重債務を放置するのは危険
借金の返済を計画的に進めるには、それぞれに優先順位を付けることが重要です。
またできるだけ早く完済するには、繰り上げ返済やおまとめローンを使うといった方法も。
そして返済が難しいと感じたら、解決策がないまま滞納せずに債務整理を検討しましょう。
債務整理は初期費用をかけずに相談できる窓口も多くあります。
ブラックリストに載るなど一定のペナルティはあるものの、スムーズに生活を立て直すには有効な手段です。
まずは気軽な相談から始めてみてはいかがでしょうか。

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