ゆうちょ銀行の口座凍結を解除する流れ
ゆうちょ銀行の口座凍結後、相続を目的として凍結を解除するためには、以下の流れで手続きを進めます。
- 相続確認表の記載・送付
- 必要書類を集める
- 書類をゆうちょ銀行に提出する
- 相続金を受け取る
1. 相続確認表に必要事項を記載する
ゆうちょ銀行の口座凍結の解除には、相続確認表の提出が必要です。被相続人・相続人の氏名や住所、関係図や相続の対象となる貯金等の詳細などを記入します。
相続確認表は、公式ホームページからダウンロード・印刷可能です。また、ゆうちょ銀行の窓口でも受け取れるため、どちらが都合の良い方法で入手しましょう。
公式ホームページでは、相続確認表のダウンロードのみでなく、記載例も合わせて確認できます。ぜひ参考にしてください。
提出はゆうちょ銀行・郵便局の窓口で受け付けています。郵送での提出は受け付けていないため、注意しましょう。
参照:相続手続きの流れ | ゆうちょ銀行
2. 手続きに必要な書類を集める
相続確認表をゆうちょ銀行に提出してから、1~2週間ほどで「必要書類の案内」が自宅に届きます。記載されている内容をもとに、必要書類を集めましょう。
必要とされる主な書類
- 被相続人の戸籍謄本(原則として結婚後のもの、その前に子どもが生まれている場合はそこまでさかのぼったもの)
- 被相続人名義の貯金通帳とカード(紛失した場合は窓口でその旨を伝える)
- すべての相続人の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
- すべての相続人の戸籍謄本(1年以内のもの)
- すべての相続人の署名押印をした「貯金等相続手続請求書」(必要書類の案内に同封)
- 代襲相続人の戸籍謄本(代襲相続人がいる場合)
- 代表相続人(必要書類等を窓口に提出する人)の本人確認書類
- 相続関係説明図
- 遺言書の原本(遺言書がある場合)
- 遺産分割協議書(遺産分割協議をした場合)
- 委任状(代表相続人が手続きをした場合や代理人に手続きを依頼する場合)
- 相続人の実印と銀行印(名義変更をする場合)
必要な書類は状況によって異なります。必要書類の案内に記載された内容を確認し、書類を用意してください。
3. 必要書類をまとめて、ゆうちょ銀行へ提出
必要書類をそろえたら、ゆうちょ銀行もしくは郵便局の貯金窓口に出向き、提出します。
書類の不備がないかどうかチェックするため、郵送ではなく窓口で提出すること、相続確認表を提出した窓口に提出することを原則としています。
ゆうちょ口座の相続手続きには決められた期限が定められていません。必要書類や記入内容に不備がないかどうかをしっかりと確かめてから、窓口で提出しましょう。ただし相続人の印鑑証明書や戸籍謄本には発行からの期限が定められています。期限切れに注意してください。
4. 相続金を受け取る
必要書類を提出後、1~2週間ほどで相続金の受け取りが可能です。書類に不備があると1ヶ月ほどを要します。
相続金受け取りには2つの方法があります。
口座への入金
代表相続人の口座へ相続払戻金が入金されます。希望によって、相続人それぞれの口座への払い戻しも可能です。
ただし、相続人同士が遠方にいる場合は、貯金事務センター同士の情報共有やシステムの都合上、払い戻しまでに時間を要します。
払戻証書の送付
必要書類の提出時に払戻証書での受け取りを希望した場合、払戻証書が送付されます。証書を窓口に持参すると、現金で受け取りが可能です。その際、証書を持参した人の本人確認書類が必要となるため、忘れずに持参しましょう。
大きな金額の場合は、すぐに受け取れない場合もあります。 事前に払い戻しの手続きに行く日時を連絡しておくとスムーズです。
また、代理の人が手続きをする場合は、代理人の本人確認書類も忘れないようにしましょう。
ゆうちょ銀行の口座が凍結される理由はトラブルを防ぐため
ゆうちょ銀行に口座を持つ人(被相続人)が死亡したことを伝えると、すぐに口座は凍結されます。口座が凍結すると、その口座を使った手続きは一切できません。
その理由は、身内が勝手に預金を引き出すなど、トラブルになることを防ぐためです。被相続人の貯金・預金は、すべて相続財産です。遺産分割を終えるまではすべての相続人の共有財産として扱われます。
相続人のうち、誰か1人が勝手に被相続人の口座から引き出しをすると、後で相続人同士のトラブルになる可能性があります。
銀行側は遺産分割協議や遺言書の内容を知りません。すべての相続人の同意を得ないままで引き出しに応じると、責任を問われる恐れがあります。そのリスクを避けるために、銀行側は誰も勝手に引き出せないように「凍結」という手段をとります。
ゆうちょ銀行の口座凍結を解除する際の注意点
ゆうちょ銀行の口座凍結を解除する際、口座にどれぐらいの預金があるかわからない、そもそもゆうちょ銀行に口座があるかわからない、記号番号が不明、などさまざまな問題が出てくるケースも少なくありません。
口座凍結を解除する際は、以下の3つの点に気を付けましょう。
- 預金がわからない場合は貯金等照会書を提出する
- 通帳番号がわからない場合は現存調査をする
- 預金はゆうちょ銀行口座以外に払い戻しができない
凍結した口座の預金が不明な場合は「貯金等照会書」を提出する
凍結した口座にどれぐらいの預金があるのか、残高不明の状態のときは「貯金等照会書」を提出する必要があります。
手続きの際には、以下の書類を準備しましょう。
- 被相続人が死亡した事実がわかるもの(戸籍謄本等)
- 相続人であることを証明するもの(戸籍謄本等)
- 相続人の本人確認書類と印鑑
貯金等照会書の提出後、2週間ほどすると調査結果が確認可能です。
記入方法や例は公式ホームページに記載されています。提出する際は確認の上、記入しましょう。
通帳記号番号が不明な場合は「現存調査」を行う
被相続人がゆうちょ銀行の口座を利用していたかわからない、または通帳の記号番号がわからないときは、現存調査を依頼しましょう。
「貯金等照会書」で現存調査が依頼できます。
現存調査では調査申込日から過去10年以内を指定して調査を行いますが、民営化以前に預け入れをしていた郵便貯金に限って、10年を超えて調査を実施します。
ゆうちょ銀行以外の銀行に払い戻しはできない
相続金の受け取りは、ゆうちょ銀行の口座への送金、もしくは払込書による現金での受け取りのどちらかです。
ゆうちょ銀行以外の銀行に払い戻しを行うことはできないため、銀行口座への送金を希望する場合、あらかじめゆうちょ銀行の口座を開設しておく必要があります。
ゆうちょ銀行に行く時間がなければ相続Web案内サービスを活用しよう
ゆうちょ銀行の口座凍結を解除したいけれど、窓口に出向いて手続きをする時間がない、という方は、Webを活用しましょう。
参照:相続Web案内サービスのご案内:ゆうちょ銀行
必要な書類の確認・印刷が可能
相続Web案内サービスでは、口座凍結解除のために必要な書類が確認できます。実際に提出する必要がある書類はダウンロード・印刷ができ、窓口に出向かなくても書類が入手可能です。
窓口で書類を受け取って、記入後に持参・提出する場合は最低でも2回は窓口に出向かなくてはなりません。一方で相続Web案内サービスを利用すると、自宅で必要書類のダウンロード・印刷ができれば、窓口に出向くのは1回だけで済みます。
相続Web案内サービスを利用する際の注意点
相続Web案内サービスは、自宅にいながらゆうちょ銀行の相続手続きが進められる便利なサービスです。忙しくてなかなか出向くことができない、できるだけ手間を省いて相続手続きを進めたい、という方におすすめです。
ただし利用するにあたって注意点があります。
ゆうちょ銀行で投資信託の取引がある場合は利用できない
投資信託の相続は、一般的な預貯金の相続と異なり、被相続人の投資信託を相続人の投資信託口座に移し替える手続きをします。相続人が投資信託口座を持っていない場合、新たに口座を開設しなくてはなりません。
相続Web案内サービスは利用せず、直接貯金窓口で相談しましょう。
状況に応じて書類が別途必要になる
相続Web案内サービスは、一般的なケースを想定しています。状況によっては、その他の書類が必要です。まずは相続Web案内サービスをチェックしましょう。記載されている内容に当てはまらない状況での口座凍結解除を依頼する場合は、窓口で相談してください。
ゆうちょ銀行で預金100万円以下であれば簡易手続きが可能なケースもある
ゆうちょ銀行の場合、凍結解除を依頼したい口座の預金が100万円以下であれば、上記で紹介した手順を踏まなくても手続きが行える「簡易手続き」と呼ばれる方法があります。
ゆうちょ銀行の簡易手続きに必要な書類
簡易手続きを行う場合、必要な書類は以下の通りです。
- 貯金等相続手続請求書
- 被相続人の死亡がわかるもの(戸籍謄本等)
- 被相続人と代表相続人の関係がわかるもの(戸籍謄本等)
- 被相続人の通帳もしくは証書
- 代表相続人の印鑑証明書(他の相続人の印鑑証明書は不要)
- 代表相続人の実印
- 代表相続人の本人確認書類
簡易手続きでは、上記に記載した通り、印鑑証明書や実印は代表相続人のものだけで問題ありまません。
貯金等相続手続請求書に必要事項を記入して提出するだけで、払い戻しが受けられます。
ゆうちょ銀行の簡易手続きの注意点
ゆうちょ銀行の簡易手続きは貯金額が100万円以下の場合に利用できますが、実際に利用できるかどうかの判断は窓口で行います。100万円以下であっても簡易手続きが不可となる場合もあるため、まずは窓口で相談しましょう。
簡易手続きは代表相続人1人で手続きできるのがメリットですが、簡易手続きを行ったことで他の相続人とトラブルに発展する恐れもあります。あらかじめ他の相続人に許可を得ておくと安心です。
口座が凍結しても一定額引き出せる「仮払い制度」がある
口座凍結後、被相続人家族の生活費や葬儀費用の支払いなどでお金が必要になった場合は「仮払い制度」が利用できます。2019年の相続法改正により、遺産分割前でも預貯金の一部引き出しができるようになりました。
仮払い制度には2つの方法があります。
家庭裁判所の判断による仮払い
家庭裁判所に仮払いの申し立てをして、お金が必要であると認められれば、預貯金のすべてもしくは一部のみ仮払いされます。仮払いの上限がない点はメリットですが、家庭裁判所の判断が下るまで時間を要する点はデメリットです。
また、家庭裁判所が関与する仮払い制度を利用したい場合は、遺産分割の調停もしくは審判を申し立てていることが条件となっています。
窓口での仮払い
ゆうちょ銀行の窓口で、仮払い制度が利用できます。ただし、窓口での仮払いには上限額が設けられています。
上限額は、「相続開始時の預金金額×1/3×相続人の法定相続分」で算出された金額、もしくは150万円のどちらか低い金額までです。計算式で出した金額が150万円で低い場合はその金額まで、150万円より多い場合は150万円までと定められています。
窓口で仮払いを受ける場合、必要書類を持参することも忘れないようにしましょう。
「被相続人が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本」「すべての相続人の戸籍謄本もしくは全部事項証明書」「仮払いを受ける人の印鑑証明書」「本人確認書類」の4つの書類が必要です。
まとめ
ゆうちょ銀行の口座凍結は、口座名義人が亡くなったことがわかるとすぐに行われます。これは相続トラブルを防止するために行われている方法で、凍結後は解除の申請を行わないと凍結されたままです。
口座名義人の預金は相続財産の一部なので、すべての相続人に分配できるように、口座凍結の解除を依頼しなくてはなりません。
窓口に出向かず、Webを活用して書類をダウンロードしたり記入例を参照できたりするため、自分の都合の良いタイミングで書類の作成が行えます。
また預金100万円以下に関しては、簡易手続きで払い戻しが可能。さらに口座凍結後も一定額の引き出しが可能な「仮払い制度」もあります。うまく活用し、スムーズに口座凍結解除、遺産分割を行いましょう。
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