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生活保護の親が死亡したらどうする?相続や葬儀について解説

生活保護の親が死亡したらどうする?相続や葬儀について解説

両親など身近な人が生活保護を受けている場合、相続の手続きが通常と異なるのではないかと気になる方も少なくないでしょう。生活保護を受けていた方が亡くなったとしても、相続手続きの基本的な流れは変わりません。

しかし、その相続や葬儀に関しては一般的なケースとはいくつか異なる点があります。たとえば、葬祭扶助が利用できることや、生活保護費の返還義務が生じる場合があることなどです。

これに伴い、葬祭扶助の申請、葬儀会社への依頼、遺品整理や住居の退去手続きなど、親族にはさまざまな対応が求められます。そのため、生活保護受給者が亡くなった際には、適切な対処法を確認し、スムーズな手続きを心がける必要があるでしょう。

しかし、生活保護受給者の相続や葬儀の手続きは複雑であるため、心理的にも負担が大きいものです。不安を感じる方は、弁護士や司法書士など専門家への相談をおすすめします。

生活保護費の返還義務などの問題が生じた場合でも、弁護士に相談すれば、相続放棄などの適切な対策について専門的なアドバイスを受けることが可能です。また、自分では気付かない問題点も指摘してもらえるため、安心して手続きを進められるでしょう。

この記事では、生活保護を受けていた親が死亡したときの相続手続きや注意点についてわかりやすく解説します。本記事を通して、生活保護受給者の死亡時に必要な手続きや支援制度についての理解を深め、適切な対応ができるようになりましょう。

【生活保護の親が死亡したら】相続に関する基礎知識

生活保護とは、日本の公的扶助制度のひとつで、生活に困窮した人々が最低限の生活を維持できるようにするための制度です。

生活保護を受けていた人の相続手続きは、一般的な相続手続きと基本的には同じです。しかし、特筆すべき点として、葬祭扶助が利用できたり、生活保護費の返還義務が生じたりなど、一般的な相続との違いもあります。ここではまず、生活保護を受けていた親が亡くなった場合の相続についての基本知識を解説します。

預貯金は基本的な相続手続きと同様

預貯金口座は相続財産に該当するため、相続人が相続します。また、預貯金の相続手続きは、一般的な相続手続きと変わりません。

まず、親が亡くなったことを銀行に通知しましょう。死亡を通知すると、相続手続きが完了するまで口座は凍結されます。もし公共料金の引き落としなどがあれば、凍結される前に別口座に変更しておきましょう。

通知後に、遺産分割協議などで預貯金の分配方法が決まったら、銀行に相続手続きを依頼します。手続きには、以下のような書類が必要です。

  • 相続関係届出書(相続届)
  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(遺産分割協議が完了している場合)
  • 遺言書(被相続人が遺言書を作成していた場合)

手続きが完了すれば、各相続人の口座に預貯金が振り込まれます。

葬祭扶助を受けるために自治体へ問い合わせる

葬祭扶助とは、生活保護受給者など経済的に困難な人の葬儀費用を自治体が補助する制度のことです。葬祭扶助金は、葬儀社への支払いや火葬料、お布施などに使用できます。

主に以下のような場合に葬祭扶助は申請可能です。

  • 喪主が経済的に困窮している場合
  • 扶養義務者(親族)がおらず、遺族以外の人が葬儀を代行する場合

葬祭扶助によって給付される金額の上限は、大人が20万6000円、小人が16万4800円と定められており、この範囲内で葬儀費用が支給されます。

葬祭扶助を受けたい場合、まずは申請者の住民票がある福祉事務所へ相談しましょう。福祉事務所に葬祭扶助申請書を提出し、受理されると葬祭扶助証明書が発行されます。なお、申請は火葬を実施する前に完了させる必要があるため注意してください。

火葬が先に行われた場合、香典などの一定の金額があると判断され、支払い能力があると見なされる可能性があるからです。

参照:生活保護法 | e-Gov法令検索

生活保護受給権は相続されない

生活保護受給権は相続の対象外であり、相続人が被相続人の生活保護受給権を引き継ぐことはできません。これは、生活保護受給権は被相続人が生前に受けていた権利であり、受給者本人にしか帰属しないためです。

この種の権利は一身専属権と称され、相続や譲渡の範囲には含まれず、差し押さえの対象にもなりません。権利の保持者が死亡した際には、その権利は消滅します。相続対象と誤解しないように注意してください。

相続人は保護費を返還しなくてはならない

生活保護を受けていた親が死亡後、生活保護費を不正に受け取っていたことが発覚した場合、相続人にはその返済義務が生じることがあります。これは生活保護法の第63条に基づくものです。不正受給が明らかになった際には、返還すべき金額が過去に遡って計算されます。

なお、相続放棄を行うと相続人でなくなるため、保護費の返還義務を負うことはありません。具体的に、返還義務を負う可能性があるのは、以下の2つの場合です。

  • 収入が増えて生活保護の資格がなくなったが、その事実を隠していた場合
  • 親が生活保護を申請した際に、収入や財産を偽って申告した場合

それぞれの場合について、詳しく解説していきます。

参照:生活保護法 | e-Gov法令検索

返還義務があるケース1.資力があるのに受給していた

親が十分な資力を持ちながら生活保護を受給していた場合、その受給者が死亡後、相続人に返還義務が発生することがあります。たとえば、生活保護の申請時は困窮していても、その後状況が変化し、資力があるにも関わらず受給していた場合などが該当します。資力とは、預貯金や不動産、有価証券などの資産を指し、年金や医療給付金などの収入も含まれます。

返還義務が発生する理由は、生活保護が本来、経済的に困窮している人を対象としているためです。返還すべき金額は、受け取った保護金品に相当する金額で計算されます。つまり、もらった生活保護費の金額を返すことになります。

ただし、不正受給の内容が悪質な場合、返すべき金額に最大で40%(40/100)の追加料金がかかることもあります。

返還義務があるケース2.収入や財産を偽って受給していた

親が収入や財産があったにも関わらず、それを偽り、不正に保護費を受給していた事実が発覚した場合、その不正で得た保護費の返還は相続人に義務付けられます。税務申告と福祉事務所への収入報告は年に一度実施されます。そのため、相続が発生した後に時間が経過してから、返金請求の通知が届くケースもあります。

親が亡くなった後は、故人の資産や受給履歴を一度しっかりと確認しておくことが重要です。返還する金額については、先述の「資力があるのに受給していた」場合と同様です。

保護費の返還が免除されるケースは少ない

生活保護受給者が亡くなった場合、相続人は保護費の返還義務を負うことがあります。しかし、相続を放棄すると相続人でなくなるため、返還義務を負うことはありません。

また、特別な事情がある場合は、生活保護法80条により、返還が免除される可能性があります。たとえば、相続人自身が生活保護を受けている場合や、返還により生活が著しく困難になる場合、相続財産が少額である場合などです。

しかし、これらのケースは限定的であり、多くの場合は保護費の返還が求められます。生活保護費を一括で返すのが困難な場合は、分割での支払いも可能です。ただし、分割での返済が遅れると、残りの金額が一括返済になる可能性もあります。

返済がどうしてもできない状況であれば、相続を放棄することもひとつの選択肢として考えましょう。

生活保護の親が死亡した場合に考える「相続放棄」

先述のように生活保護を受けていた親が生前に生活保護費を不正受給していた場合、相続人にはその返済義務が生じる可能性があります。保護費の返還が免除されるケースは少ないため、相続を放棄することもひとつの選択肢です。

相続放棄とは、亡くなった人の財産に対する相続の権利を一切放棄することです。相続権を放棄することで、プラスの財産はもちろん、借金や債務などのマイナスの財産も引き継がないことになります。

ここでは、相続放棄を検討する場合の2つの注意点について解説します。

  • 死亡発覚後3ヶ月以内に放棄する意思を示さなくてはならない
  • 口座凍結前に私的な用途でお金を引き出すと放棄できなくなる

ひとつずつ詳しくみていきましょう。

死亡発覚後3ヶ月以内に放棄する意思を示さなくてはならない

相続放棄には期限があり、親の死亡を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に「相続放棄の申述」を行わなければなりません。(民法921条)
この期限を過ぎてしまうと、自動的に相続したものとみなされ、借金や債務を引き継ぐことになってしまうので注意が必要です。

つまり、親の死亡発覚後、3ヶ月以内で生活保護の返還請求や借金の有無などを調べる必要があります。ただし、3ヶ月の期間に関しては、財産調査が難航しているなどの理由から、相続放棄の期間延長の申し立てを行うことで、期間を伸ばせる可能性もあります。

調査の結果、膨大な借金がある場合には、相続放棄を一度検討したほうがよいでしょう。

参照:民法 | e-Gov法令検索

口座凍結前に私的な用途でお金を引き出すと放棄できなくなる

相続放棄を検討中、口座凍結前に私的な用途でお金を引き出してしまうと、相続放棄が認められなくなる可能性があります。相続放棄は借金などマイナスの財産だけでなく、プラスの財産もあわせて放棄することであり、口座凍結前にお金を引き出すことで、相続を承諾し、相続財産に手を付けたとみなされるためです。

相続放棄を確実にするには、口座凍結前に引き出しを行わず、家庭裁判所に相続放棄の申述を行う必要があります。また、葬儀費用などの必要経費は、家庭裁判所の許可を得てから引き出すことが重要です。

葬祭扶助を利用する前に知っておきたいこと

葬祭扶助を利用する際には、以下の3つのポイントを把握しておくことが大切です。

  • 一般的に通夜や告別式は行われない
  • 遺品整理・退去にかかるお金は別途用意する必要がある
  • 遺品を受け取った場合は差額分のみが支給される

それぞれの内容について詳しく解説していきます。葬祭扶助を適切に利用するためにも、しっかりと理解しましょう。

一般的に通夜や告別式は行われない

葬祭扶助を利用する場合、一般的には通夜や告別式は行われません。「直葬」と呼ばれる形式で葬式が進められます。

直葬は、通夜や告別式を省略し、遺体の運搬、安置、火葬(または埋葬)など、必要最低限の手続きのみを行う葬儀の形式です。立ち会える人数も限定され、通常は2~3人程度です。

さらに、お経をあげることや、祭壇や花の設置などもできません。これは、葬祭扶助が最低限の葬儀を行うことを目的としているためです。葬祭扶助を利用する際は、このような制限があることを理解しておくことが大切です。

遺品整理・退去にかかるお金は別途用意する必要がある

葬祭扶助は、葬儀や埋葬に関する費用を補助する制度です。そのため、遺品整理や退去に関する費用は含まれていません。別でお金を準備する必要があります。

遺品整理では、故人の所持品を整理し、ゴミの処分や遺品供養を行う必要があり、業者に依頼すると費用がかかります。また、賃貸住宅に住んでいた場合は、退去時の原状回復義務の費用が必要です。

原状回復義務とは、借りた部屋を入居時の状態に戻す義務のことです。連帯保証人は、賃貸人とほぼ同等の義務を負っているため、親の連帯保証人になっていた場合、その費用を負担することになります。

これらの費用は、葬祭扶助とは別に自己負担する必要があるため、事前に準備しておくことが大切です。また、遺品整理や退去の費用は、故人の所持品の量や住居の状態によって異なるため、早めに見積もりを取っておくことをおすすめします。

遺品を受け取った場合は差額分のみが支給される

遺族がおらず、遺族以外が葬儀を手配した場合、故人の遺品から費用を受け取れる場合もあります。しかし、葬祭扶助を利用し、故人の遺品を得た際には注意が必要です。

故人の遺品の価値分が葬祭扶助の支給額から引かれるため、その差額のみが葬祭扶助として支給されることになるためです。たとえば、支給される葬祭扶助が20万円である場合に、受け取った遺品が5万円の価値があるとすると、実際に支給される葬祭扶助の金額は15万円となります。

したがって、葬祭扶助を申請する前に、遺品の処理方法について十分に考え、必要があれば福祉事務所に相談することをおすすめします。また、葬祭扶助のお金は葬儀会社へ直接支払われるため、申請者がお金を受け取れるわけではないことも注意しましょう。

生活保護の親が死亡した場合の流れ

生活保護を受けていた親が死亡した場合の葬儀手続きの流れは、以下のとおりです。

  • 役所に問い合わせる
  • 葬儀会社に依頼する
  • 葬儀を執り行う

ひとつずつ詳しくみていきましょう。

1. 役所に問い合わせる

生活保護を受給していた親が亡くなった場合、最初に行うことは、役所の福祉課に連絡することです。役所へ受給者証を返納する必要があります。

死亡届の提出と同時に、生活保護の受給者が死亡したことを伝えましょう。役所の担当者から、今後の手続きについて詳しい説明を受けられます。また、葬祭扶助の申請は葬儀前に行う必要があるため、このときに葬祭扶助の申請手続きが可能かどうかの確認も忘れずに行いましょう。

2. 葬儀会社に依頼する

役所への問合せが完了し、葬祭扶助の利用が決まったら、次に葬儀社への依頼をしましょう。葬儀を手配する際には、その葬儀社が生活保護葬を行っているかどうかを確認することが大切です。また、葬儀費用を事前に支払うと、扶助の対象外となる可能性があるため、葬祭扶助を利用する旨を明確に伝えましょう。

葬儀社が決まった後は、通常の葬儀と同様、火葬の日程や内容の打ち合わせを進めます。葬祭扶助を利用しない場合は各社の葬儀プランを比較して、適切な葬儀を選びます。葬儀のプランや費用については、事前に葬儀会社と十分に相談し、納得のいくものを選ぶことが大切です。

3. 葬儀を執り行う

生活保護葬では、一般的な通夜や告別式を省略し、火葬だけを行う「直葬」という方式が採用されます。火葬の立ち合いを希望する親族は、火葬場に直接集まることが一般的です。

この際、待ち時間用の部屋や椅子などの費用は、自己負担になります。葬祭扶助が適用される場合、葬儀費用については、福祉事務所が葬儀会社へ直接支払ってくれます。

生活保護の親が死亡した後に相続人がすべきこと

生活保護を受けていた親が亡くなった後、相続人が行うべきことは、先述の葬儀の手配や遺品整理、アパートの明け渡しだけではありません。さらに以下のような手続きが必要です。

  • 携帯電話や預金口座の解約
  • 年金の停止手続き公共料金の停止手続き
  • 相続税申告
  • クレジットカードの解約手続き

亡くなった親が利用していたサービスを確認し、解約手続きを進めるようにしましょう。解約手続きが必要なものを把握するためには、生活保護の担当ケースワーカーや葬儀会社、賃貸のオーナーなどとこまめに連絡を取ることも大切です。

生活保護の親が死亡した際にかかる費用の種類

生活保護を受けていた親が亡くなった場合、主に次の4つの費用が発生します。

  • 遺品整理・退去費用
  • 葬儀費用
  • 納骨・お布施などの費用
  • その他費用

それぞれの費用の詳細や相場について、解説していきます。

遺品整理・退去費用

親が生活保護を受けていた場合、亡くなった後には遺品の整理や住居の退去に関連する費用が発生します。遺品の整理には、個人の持ち物を処分したり、遺品供養したりするための費用が必要です。この作業を専門業者に依頼すると、およそ80,000円から220,000円程度の費用がかかることが一般的です。

加えて、もし親が賃貸物件に住んでいた場合、自分も同じ物件に住んでいないならば、退去手続きをしなければなりません。退去に際しては、部屋の清掃やクリーニング、鍵の交換など、原状回復にかかる費用が発生します。

この原状回復費は、およそ50,000円から90,000円程度が見込まれます。さらに、退去する際には1ヶ月分の家賃の支払いが求められることもあります。

また、生活保護を受けている人は孤独死するケースが多く、その際に遺体が長期間発見されずに腐敗が進むことがあります。このような状況では、部屋の原状回復にかかる費用が増加したり、予定外の家賃を支払う必要が生じたりすることがあるため、この点を留意しておくことが重要です。

葬儀費用

葬祭扶助が利用できない場合、葬儀に関わる経費は基本的に親族が全額負担する必要があります。直葬(火葬だけ)の場合、費用はおよそ15万円から30万円の範囲ですが、通夜や葬式を含めると、約100万円から200万円の費用がかかることが一般的です。

なお、葬儀の手続きについては、なるべく早く進めるようにしましょう。手続きが遅れると、遺体を保存するためのドライアイスや安置室の使用に関連する費用がかかってしまうためです。

納骨・お布施などの費用

葬祭支援は、火葬までにかかる費用を補助する目的で支給されるものです。そのため、納骨(骨を納める費用)やお布施(僧侶への寄付)などは、基本的には親族の負担となります。

葬式が終わった後、通常は四十九日法要が行われるまで、遺骨と遺影を家に保管します。その後、墓地や納骨堂に遺骨を納めることが一般的です。この納骨式や僧侶への寄付には、約5万円から10万円の費用がかかります。

その他費用

生活保護受給者が亡くなった場合、葬儀や埋葬に関連する直接的な費用以外にも、さまざまな付随的な出費が発生する可能性があります。たとえば、生活保護を受けていた親が遠方に住んでいた場合、遺品整理には、交通費などの出費が伴います。

遺品整理を行う業者の中には、立ち会う必要がないところもありますが、銀行の通帳や携帯電話などの貴重品を取りに、現地に行かなければならない場合もあります。

相続人は病院代を請求されない可能性が高い

通常、親が生活保護を受けていた場合、その相続人に対して病院の費用請求が行われることはありません。これは、生活保護受給者が医療扶助の対象となり、自己負担なしで医療サービスを受けられるためです。

しかし、この規則は医療扶助の適用範囲内の治療に限定されます。 医療扶助の範囲外の治療を受けた場合は保険適用外となり、治療費全額を請求される可能性があるため、注意が必要です。

生活保護受給前の税金滞納分は請求される可能性がある

生活保護を受給していた親が亡くなった場合、相続人は親の債務を引き継ぐことになります。この債務には、生活保護受給前の税金滞納分も含まれます。基本的に、生活保護を受けている間、税金の支払いは免除され、滞納の問題は起こりません(生活保護法第57条)

しかし、生活保護を受ける前に税金を滞納していた場合、 その滞納税は執行停止状態にはなるものの、納税義務が免除されたわけではないため、消滅しているわけではありません。その結果、親の死亡後に相続人に対して滞納税の支払いを求められることがあります。

ただし、執行停止が長期間続く場合は、滞納している税金が減額されたり、完全に免除されたりすることもあります。

参照:生活保護法 | e-Gov法令検索

まとめ

生活保護を受けていた親が死亡したときの必要な手続きや支援制度について解説しました。生活保護を受けていた方が亡くなったとしても、相続手続きの基本的な流れは変わりません。

しかし、その相続や葬儀に関しては、一般的なケースとは異なる点がいくつかあります。たとえば、葬祭扶助が利用できることや、生活保護費の返還義務が生じる場合があることなどです。

それゆえに、生活保護受給者が亡くなった際には、さまざまな手続きと費用が発生するため、十分な理解や準備が重要です。

最初に行うことは、役所に連絡し、親の生活保護受給者証を返納することです。この際、葬祭扶助の手続きについても確認を行いましょう。葬祭扶助を利用できれば、葬儀費用の負担が軽減されます。

次に、生活保護費の返還義務の有無を確認する必要があります。親が不正に受給していた場合、相続人に返還義務が発生する可能性が高いためです。返還が困難な場合は、3ヶ月の期限内に相続放棄を検討しましょう。

そのほかにも、遺品整理や住居の退去手続き、預金口座の解約、相続税の申告など、さまざまな手続きを行わなければなりません。遺品の整理や原状回復には費用がかかることにも留意が必要です。

生活保護受給者の死亡時の手続きは複雑で、一人で抱え込むと精神的・金銭的な負担が大きくなります。不安のある方は、専門家に早めに相談することをおすすめします。

弁護士や司法書士は、個々のケースに応じて適切なアドバイスや法的手続きのサポートをしてくれます。相談することで、安心して手続きを進められるでしょう。

多くの法律事務所や司法書士事務所では、初回の法律相談を無料で行っているため、相続や葬儀の手続きで悩んでいる方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。