「家族が死亡して口座凍結された場合はどのように対応したらよいか」と不安になる人は多いものです。口座が凍結されると現金の引き出しや振込、引き落としなどができなくなるため、あらかじめ解除方法を知っておく必要があります。死亡した家族の口座凍結を解除する流れは以下のとおりです。
- 銀行に口座凍結解除の依頼をする
- 必要書類の準備を行う
- 必要書類を銀行に提出する
- 口座凍結が解除される
注意するポイントは、遺言書や遺産分割協議書の有無によって必要書類が異なる点です。「遺言書や遺産分割協議書がない場合」「遺言書がある場合」「遺産分割協議書のみある場合」の必要書類は以下の表を参考にするとよいでしょう。
遺言書・遺産分割協議書がない場合 | 遺言書がある場合 | 遺産分割協議書のみある場合 | |
---|---|---|---|
通帳 | ○ | ○ | ○ |
相続相続関係届出書 | |||
○ | × | × | |
亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明書 | ○(出生から死亡まで連続したもの) | ○ | ○(出生から死亡まで連続したもの) |
相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 | |||
○ | ○ | ○ | |
印鑑証明書 | ○(相続人全員) | ○(預金を相続する人) | ○(相続人全員) |
遺言書 | × | ○ | × |
遺産分割協議書 | × | × | ○ |
検認調書または検認済証明書 | × | ○ | × |
遺言執行者の選任審判書謄本 | × | ○ | × |
口座凍結解除には2〜3週間ほどの期間がかかります。手続きをスムーズに進め、突然の出費に対応するためにも事前対策を行うことが大切です。たとえば、預貯金からある程度のお金を引き出しておく、あらかじめ口座数を少なくするなどの方法が挙げられます。ただし口座凍結の直前にお金を引き出すと、相続放棄が選択できなくなる可能性があるため、単純承認以外の相続方法を検討している場合は家族が元気なうちに出金を済ませておくとよいでしょう。
また口座凍結解除の事前対策として、家族信託や成年後見制度の利用が有効なケースもあります。どのような対策を行うべきか判断が難しい場合は、相続に精通した弁護士に相談することをおすすめします。
本記事では、家族の死亡による口座凍結を解除する方法や事前対策などについて詳しく紹介します。相続時に発生する口座凍結にそなえたい人や、家族が亡くなったときに行うべきことについて調べている人は参考にしてください。
死亡した家族の銀行口座は凍結される
銀行は、遺族からの連絡や新聞の訃報欄などで口座の名義人が亡くなったことを知ると、亡くなった人の預金口座を凍結します。口座が凍結されると、入出金や引き落とし、振り込みなどすべての取引が停止されます。医療費や葬儀費用などで多くのお金が必要になったとしても、凍結された口座からお金を引き出すことはできません。
口座を凍結する理由は、死亡時点での遺族財産を確定させたり、相続における揉めごとを防いだりするためです。亡くなった人の預貯金はすべて相続財産となるため、遺産分割協議で誰がどのくらいのお金を相続するかを話し合う必要があります。亡くなった人の口座が入出金できる状態だと、トラブルに発展する可能性も少なくありません。
ちなみに認知症や債務整理、不正利用など、口座名義人の死亡以外でも口座凍結が行われることがあります。それらは「口座凍結に関するよくある質問」の項目で、後ほど紹介します。
死亡した家族の銀行口座凍結を解除する流れ
このように口座名義人が亡くなり、家族などが銀行に死亡を知らせたときは一時的に口座が凍結されます。亡くなった家族の口座凍結を解除する流れは以下のとおりです。
- 銀行に口座凍結解除の依頼をする
- 必要書類の準備を行う
- 必要書類を銀行に提出する
- 口座凍結が解除される
次の項目から、それぞれの詳しい手順を紹介します。
1. 銀行に口座凍結解除の依頼をする
まずは銀行の窓口に、口座凍結を解除したい旨を伝えましょう。口座凍結解除の依頼は誰でも行えるわけではなく、下記の人が行う必要があります。
- 遺産の相続人
- 遺言書執行者
- 相続財産管理人
- 相続人から依頼を受けた人
ただし銀行や相続の状況などによって必要書類が異なるため、口座凍結解除の依頼をするときにあわせて内容を確認しておくとよいでしょう。また事前に遺産分割協議を行い、相続内容についても決めておくことが大切です。
2. 必要書類の準備を行う
次に銀行に指示された必要書類を収集します。代表的な書類は戸籍謄本や印鑑証明などで、亡くなった人や相続人全員の書類が必要となります。
次の項目から、以下の3つのケースにおける一般的な必要書類を紹介します。
- 遺言書や遺産分割協議書がない場合
- 遺言書がある場合
- 遺産分割協議書のみある場合
遺言書や遺産分割協議書がない場合の必要書類
遺言書や遺産分割協議書がない場合の必要書類は、以下のとおりです。
- 通帳
- 相続関係届出書
- 亡くなった人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡まで連続したもの)
- 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人全員の印鑑証明書
遺言書や遺産分割協議書がない場合、銀行によっては口座凍結解除ができない可能性も少なくありません。しかしなかには相続関係届出書があれば解除を認めているケースもあります。必要書類の詳細は銀行によって異なるため、あらかじめ詳細を問い合わせておきましょう。
遺言書がある場合の必要書類
遺言書がある場合の必要書類は、以下のとおりです。
- 通帳
- 遺言書
- 亡くなった人の戸籍謄本または全部事項証明
- 預金を相続する人の印鑑証明書
- 検認調書または検認済証明書
- 遺言執行者の選任審判書謄本
「検認調書」とは、遺言の内容を家庭裁判所が検認したことを証明する書類です。遺言書を保管している人や発見した人は、必ず家庭裁判所へ提出し、相続人の立ち会いのもと内容を確認しなければなりません。検認が無事に終わると、裁判所から選任審判書謄本が送付されます。
「選任審判書謄本」とは、家庭裁判所で遺言執行者に選任されたことを証明する書類です。遺言書のなかで遺言執行者が決められていない場合、相続人は家庭裁判所へ遺言執行者選任申し立てを行うことがあります。
遺産分割協議書のみある場合の必要書類
遺産分割協議書のみある場合の必要書類は、以下のとおりです。
- 通帳
- 法定相続人全員の署名・捺印をした遺産分割協議書
- 亡くなった人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡まで連続したもの)
- 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書があるものの、遺言書がない場合は「遺産分割協議書」の作成が必要となります。遺産分割協議書とは、相続人で遺産をどのように相続するかをまとめた書類です。相続財産の具体的な内容や、相続人が内容に合意している旨などを記載し、法定相続人全員が署名・捺印をして保管します。
3. 必要書類を銀行に提出する
次に、収集した書類を銀行に提出します。提出時は相続人全員分の実印での捺印が必要となるため、忘れずに準備しておきましょう。なお複数の口座が凍結している場合は、それぞれの銀行で解除手続きを行わなければなりません。
また、なかには銀行が書類を確認した後に追加書類を求められるケースもあります。追加書類の連絡を受けたらすみやかに対応し、該当の書類を収集しましょう。
4. 口座凍結が解除される
書類に問題がなければ、口座の凍結が解除されます。解除までにかかる日数は2~3週間ほどが一般的です。口座凍結の解除が完了すると、今までと同じように入出金や振り込み、引き落としなどの取引ができるようになります。
死亡による口座凍結であれば「仮払い制度」を活用できる
このように口座凍結の解除には2~3週間ほどの期間がかかり、その間は亡くなった人の預貯金を引き出すことができません。書類に不備があった場合などは、凍結解除までさらに期間を要する可能性もあります。口座凍結解除を待たずに支払いを終えられるように、あらかじめ葬儀費用などのお金を準備しておくとよいでしょう。
しかし、なかには相続人同士の話し合いが長引いたり、トラブルでまとまったお金が必要になったりするケースも少なくありません。口座名義人の死亡によって口座が凍結した場合、一度であれば預貯金の「仮払い制度」が利用できます。
仮払い制度とは、相続人が亡くなった人の凍結口座から預貯金を引き出せる制度です。葬儀費用などの支払いが必要になったり、生活費が足りなくなったりしたときに、相続人の生活を保証するために2019年から開始されました。仮払い制度は口座を持っている銀行それぞれで利用できるため、亡くなった人が複数の口座を持っている場合はその分引き出せる金額も多くなります。
なお、引き出せるお金の上限額は、以下の2つのうち金額の少ないほうが適用されます。
- 死亡時の預貯金残高×法定相続分×3分の1
- 150万円
口座凍結前の事前対策
口座凍結や相続によるトラブルをを防ぐには、あらかじめ対策が必要です。口座名義人が亡くなる前に、以下の対策を行うとよいでしょう。
- 預貯金からある程度のお金を引き出す
- 通帳や印章の保管場所を家族に伝える
- 生命保険へ加入する
- 口座数を少なくする
- 遺言書を作成する
- 家族信託を活用する
- 成年後見制度を活用する
次の項目から、それぞれのポイントを解説します。
預貯金からある程度のお金を引き出す
口座凍結で入出金ができなくなる事態にそなえて、生前にある程度のお金を引き出しておくとよいでしょう。家族が亡くなったときは医療費や介護費用、葬儀費用、お墓・仏壇の費用、相続費用などが発生します。特に葬儀費用の相場は数十万〜200万円ほどで、選ぶプランによっては多くの費用がかかる可能性も少なくありません。あらかじめ名義人の口座から引き出しておけば、それらを預貯金でまかなうことも可能です。
ただしお金を引き出したとしても、口座の預貯金が相続対象となることに変わりはありません。出金するときは相続人となりうる人と連絡を取り、全員の了承を得るようにしましょう。
通帳や印章の保管場所を家族に伝える
「2. 必要書類の準備を行う」の項目で紹介したように、口座凍結解除の手続きには口座の通帳が必要です。また銀行によっては通帳だけでなく、キャッシュカードや銀行で使用している印章などの提出を求められるケースもあります。あらかじめそれらの保管場所を聞き、相続人や家族で共有しておくとよいでしょう。
しかし、近年は紙の通帳を発行していないインターネットバンキングの口座を利用している人も少なくありません。通帳だけでは口座の有無を判断できず、正確な相続財産を把握できない可能性があります。生前に口座の一覧表を作成しておくなど、どの銀行に口座があるのかを相続人で共有することも大切です。
生命保険へ加入する
家族が亡くなったときの費用にそなえ、口座名義人が生命保険に加入するのも効果的です。生命保険に加入すると、口座名義人が亡くなったとき受取人に死亡保険金が支払われます。死亡保険金は受取人の相続財産とみなされるため、預貯金と違って凍結される心配がありません。加えて、受取人が手続きをすればすぐに死亡保険金が振り込まれるため、葬儀費用などの資金として使うこともできます。
ただし死亡保険金は「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠があり、超えた分の金額は課税対象になります。また相続人ではない人が死亡保険金を受け取った場合は、非課税枠が適用されません。契約人や被保険者、受取人が誰になるかによって条件が異なるため、生命保険に加入するときにしっかりと内容を理解することが大切です。
口座数を少なくする
亡くなった人が複数の口座を持っていた場合、口座凍結解除の手続きをそれぞれの銀行で行わなくてはなりません。必要書類は銀行によって異なるため、口座数が多いと手続きの負担が大きくなってしまう可能性があります。あらかじめ使用頻度の少ない口座や、手続きが複雑になりやすい海外の口座を解約するなど、口座数を減らしておくとよいでしょう。
遺言書を作成する
生前に遺言書を作成し、相続割合や負債の有無などを明確にするとよいでしょう。「2. 必要書類の準備を行う」の項目で紹介したように、遺言書がない場合は遺産分割協議書を提出しなければなりません。財産を誰がどのくらい相続するのかを相続人同士で話し合うことになりますが、状況によっては希望が通らなかったり、家族関係が悪化したりするケースも見受けられます。遺言書のなかで相続内容をしっかりと決めておけば、無用なトラブルを回避しやすいでしょう。
遺言書の作成で重要なのは、遺言執行者を必ず記載することです。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現させるために必要な権限をすべて持っている人のことです。遺言書のなかで遺言執行者が指定されていない場合、家庭裁判所に選任の申し立てを行わなければなりません。
家族信託を活用する
「家族信託」とは、財産を管理する方法の1つです。口座名義人が亡くなったり認知症になったりしたとき、口座凍結の対策として利用されることがあります。
家族信託では、財産を所有する人が信頼できる家族に、財産を管理・運用・処分する権限を与えます。受託者は信託財産を自分名義で管理できるようになるため、口座の預貯金を信託財産とした場合、口座名義人が亡くなっても口座が凍結されることはありません。
成年後見制度を活用する
「成年後見制度」とは、知的障害や精神障害、認知症などの人の財産管理や契約手続きをサポートする制度です。認知症などで意思能力が低下すると、相続手続きや預貯金の引き出しなどが1人でできなくなる可能性があります。また自分にとって不利益な契約を結んでしまうなど、詐欺被害にあうケースも少なくありません。成年後見制度では、そのようなリスクを防ぐために、親族や福祉の専門家などが代理で手続きを行います。
口座名義人に認知症の症状が見られる場合、成年後見制度を利用することで口座凍結を防げる可能性があります。成年後見人は本人に代わって財産を管理できるだけでなく、口座の解約や不動産の売却などを行うこともできます。
口座凍結前の預貯金の引き出しに関する注意点
このように、口座凍結の対策にはいくつかの方法があります。生前に預貯金を引き出しておくのが難しい場合は、口座凍結の直前にお金を出金する方法も考えられるでしょう。
しかし、口座凍結前に預貯金を引き出すときは以下の注意点があります。
- 相続放棄できない可能性がある
- 相続人同士でのトラブルにつながる可能性がある
次の項目から、それぞれのポイントを紹介します。
相続放棄できない可能性がある
相続には以下の3種類があり、それぞれ「相続人が財産をどの程度引き継ぐのか」という条件が異なります。
- 単純承認:プラス・マイナスのすべての財産を相続する
- 限定承認:プラスの財産の範囲のみを相続する
- 相続放棄:プラス・マイナスのすべての財産を相続しない
単純承認を選ぶ場合は、特に手続きは必要ありません。相続開始から3ヶ月が経過すると、自動的に単純承認が適用されます。一方、限定承認や相続放棄を選ぶ場合は、家庭裁判所での手続きが必要です。
ただし亡くなった人の口座から勝手に預貯金を引き出すと「相続の意思がある」とみなされ、自動的に単純承認が適用されてしまう可能性があります。単純承認とみなされると原則として相続放棄ができず、プラス・マイナスの財産をすべて相続しなければなりません。相続放棄を検討している場合、口座凍結直前にお金を引き出すことは避け、口座名義人が元気なうちに出金を済ませておくことをおすすめします。
相続人同士でのトラブルにつながる可能性がある
「口座が凍結される直前に独断でお金を引き出し、ほかの相続人から不信感を抱かれてしまった」というトラブルは多いものです。先述したように、亡くなった人の預貯金は遺産分割協議の対象となります。勝手にお金を引き出すと「個人的にお金を使ったのではないか」「お金を隠しているのではないか」などと勘違いされる可能性も少なくありません。相続財産は原則として相続発生時のまま手を付けず、預貯金の引き出しが必要なときは必ず相続人全員の合意を得ることが大切です。
まとめ
銀行は口座名義人の死亡を知ると、口座を凍結します。しかし凍結は一時的なもので、口座凍結解除の手続きをすれば今まで通り口座が利用できるようになります。手続きには以下のステップがあり、2〜3週間ほどで完了するのが一般的です。
- 銀行に口座凍結解除の依頼をする
- 必要書類の準備を行う
- 必要書類を銀行に提出する
- 口座凍結が解除される
必要書類は銀行や相続の状況などによって異なるため、口座凍結解除の依頼時に確認しておくとスムーズです。遺言書があると必要書類を省略できるため、口座名義人が元気なうちに作成の準備を進めておくとよいでしょう。
ほかにも、家族信託や成年後見制度を利用して口座凍結にそなえる方法もあります。しかし法的手続きには専門的な知識が必要となるため、状況に応じて弁護士などのプロにサポートを依頼するとよいでしょう。なるべく早い段階で相続に精通した弁護士に相談のうえ、適切な対策について理解を深めておくことをおすすめします。
口座凍結に関するよくある質問
口座凍結とは?
口座凍結される理由にはどのようなものがありますか?
- 口座名義人が死亡した
- 口座名義人が認知症を患った
- 債務整理手続きの対象になった
- 不正利用された
次の項目から、それぞれの詳しいケースを紹介します。
口座名義人が死亡した
口座名義人が亡くなったことが銀行に知られると、口座が凍結されます。口座に入っている残高は遺産相続の対象となるため、それらを勝手に引き出すと相続トラブルに発展する可能性があるからです。遺産分割の内容が決定するまでは一時的に取引が停止され、預金の引き出しや振り込み、クレジットカードの引き落としなどができなくなります。
口座凍結のタイミングは、家族や相続人などが銀行に申請をしたときです。役所に死亡届を提出した段階で、自動的に口座が凍結されることはありません。もし「銀行へ死亡を知らせていないのに口座が凍結されている」という場合は、ほかの家族が申請を行ったか、あるいは別の理由での凍結が考えられます。
口座名義人が認知症を患った
口座名義人が認知症を患い、判断力や記憶力の低下が見られたときも口座が凍結される可能性があります。正常な判断ができない状態で金融取引を行うと、詐欺や悪質な勧誘などに騙されてしまうリスクがあるからです。家賃・公共料金の引き落としなど、生活に必要なサービスは引き続き利用できますが、現金の引き落としができなくなったり、定期預金が解約されたりと口座に一定の制限が設けられることがあります。この凍結は、成年後見制度などの法的手続きが完了するまで続きます。
口座凍結のタイミングは、判断力の低下などが銀行側に知られたときです。たとえば窓口での受け答えや振る舞いから発覚するケースや、親族からの連絡で発覚するケースなどがあり、具体的な事例は以下のとおりです。
- 窓口で質問の受け答えができない
- 1人での来店が難しい
- 氏名や住所、日時などが言えない
- ATMで暗証番号の入力ができない
ただし認知症の初期症状で口座が凍結されるケースは多くありません。「明らかに認知症が進んでいる」「著しい判断能力の低下が見られる」と銀行が判断した場合のみ、口座凍結が検討されます。また認知症の症状について家族と相談したうえで一部の取引を許可するケースもあり、銀行によっても対応が異なります。
口座が債務整理手続きの対象になった
債務整理とは、借金を減額したり支払いの期間を見直したりすることで、返済の負担を減らす制度のことです。債務整理の申請をすると、金融機関は借金の借入をしている口座を一時的に凍結します。債務整理では口座の残高を借金の返済に充て、債権を相殺することがあるからです。
しかし借金をしているからといって金融機関などの債権者が勝手に口座を凍結することはありません。口座凍結のタイミングは、金融機関が受任通知を受け取ったときです。
受任通知とは、債務整理の依頼を受けた弁護士や司法書士が、債権者に送る通知を指します。債務整理を開始する旨や、弁護士などが代理人となる旨を伝える役割があり、金融機関は受任通知を受け取った段階で口座凍結を開始します。
口座が不正利用された
口座の不正利用が発覚し、口座が凍結されることもあります。具体的なケースは以下のとおりです。
- 口座情報を誤って他人に教えてしまった
- 個人情報の流出によって違法に口座が作られた
- 詐欺被害者や警察などから口座凍結の要請があった
- 不自然な入出金があり金融機関が不正利用の疑いを持った
- 自分名義のほかの口座が犯罪に利用された
口座が犯罪に利用された場合、所有しているほかの口座も同時に凍結される恐れがあります。不正利用の疑いで口座が凍結された場合は、ただちに専門の弁護士に相談し、金融機関に事情を説明してもらいましょう。