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2024年12月現在

親が死亡したときの手続き一覧|やることの期限や必要書類【チェックリストあり】

親が死亡したときの手続き一覧|やることの期限や必要書類【チェックリストあり】

親が亡くなると、子などの遺族は各種の手続きを行う必要があります。親の死亡にかかる手続きは煩雑で、手続き漏れによるトラブルも少なくありません。

そのため、少しでも負担を減らすために「おくやみ窓口」などを設置して、一括で手続きを終えやすいように仕組みを整える自治体も増えています。

しかし現状はほとんどの場合、遺族はさまざまな手続きを、ひとつずつ着実にこなしていかなければいけません。

本記事では、必要な手続きがより円滑に進められるよう、優先順位の高いものからひとつずつ解説していきます。

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親の死亡後に必要な手続きチェックリスト

まずは、親が亡くなった後に必要な手続きをチェックリストで把握しましょう。時系列でまとめてあります。

亡くなった当日にやること 手続きの場所
死亡診断書(死体検案書)の受取 医療機関、警察
家族・近親者・関係者への連絡 -
葬儀社の決定、連絡 -
故人の搬送 -
7日目までにやること 手続きの場所
死亡届の提出 役所
火葬許可証の申請 役所
勤務先への連絡 -
通夜・火葬・葬儀・初七日法要などの手配 -
14日目までにやること 手続きの場所
健康保険の資格喪失届の提出 故人の勤務先へ郵送、役所(故人の住所地)など
住民票の世帯主の変更 役所(故人の住所地)
年金の受給停止 年金事務所など
介護保険の資格喪失届 役所(故人の住所地)
公共料金の名義変更・解約 水道局、電力会社、ガス会社など
銀行への連絡 -
なるべく早くやること 手続きの場所
戸籍謄本の取得 役所(故人の住所地など)
相続人の特定 役所(各相続人の本籍地など)
財産の調査 役所
遺言書の確認や検認 家庭裁判所、法務局など
死亡退職届の提出 故人の勤務先
遺品の受け取り・貸与品の返却 故人の勤務先
印鑑証明の登録証の返還 役所
クレジットカードの解約 -
携帯電話やスマートフォンの解約(故人の勤務先や友人などに連絡が済んでから) -
3か月以内にやること 手続きの場所
(する場合)相続放棄、限定承認の手続き 家庭裁判所
4か月以内にやること 手続きの場所
所得税の準確定申告 税務署
10か月以内にやること 手続きの場所
相続税の申告と納付 税務署
1年以内にやること 手続きの場所
(する場合)遺留分の減殺請求 家庭裁判所
2年以内にやること 手続きの場所
死亡一時金の請求 年金事務所など
葬祭費・埋葬料の請求 故人が加入していた健康保険組合、役所
未支給の高額療養費の申請 故人が加入していた健康保険組合、役所
5年以内にやること 手続きの場所
未支給年金の請求 年金事務所
遺族年金の請求 年金事務所
任意のタイミングでやること 手続きの場所
パスポートの返却 パスポートセンターなど
運転免許証の返却 警察署など
マイナンバーカードの返納 役所(故人の住所地)
(受取人である場合)死亡保険金の請求 生命保険会社(時期は契約内容による)

親が亡くなった当日の手続き

当日はまだ混乱が抜けきらない方も少なくありませんが、以下の手続きは最も重要ですので、周囲のサポートも受けながら行ってください。

死亡診断書の受け取り

まず、死亡診断書(または死体検案書)を受け取ります。なお、遺族が作成して役所に提出する死亡届は、死亡診断書/死体検案書と同じ一枚の書類にまとめられています。

死亡診断書と死体検案書には、次の違いがあります。

死亡診断書

死因が生前の怪我や病気に関連している場合、医師や歯科医師が病院・介護施設などで死亡診断書を作成します。医師が臨終に立ち会った際はもちろんですが、例えば末期がんで自宅療養している方が自宅で亡くなった場合など、死因が生前に診療していた傷病であれば、基本的に臨終に医師が立ち会っていなくても、主治医が死後に改めて診察をすることで死亡診断書を作成できます。

保険適用外で、公的な医療機関で3,000円~5,000円、私立の医療機関で5,000~10,000円が目安です。

死体検案書

それ以外の場合は、警察医や監察医が死体検案書を発行します。生前の傷病と関連しない死、突然死、自死や事故死、他殺なども同様です。検案代などを含めた30,000円~100,000円が目安です。

家族・近親者・関係者への連絡

亡くなった直後は、臨終の場にいなかった家族や故人がとりわけ親しくしていた方、3親等までの親族などを目安に、なるべく速やかに連絡しましょう。連絡は喪主が電話で行うのが基本ですが、必要に応じて家族で分担しても構いません。

葬儀の日程が決まったら、葬儀に参列してほしい方や会社関係の方に連絡します。電話の後に、メールなどで葬儀の詳細を案内すると丁寧です。また、近隣の方同士で葬儀を手伝う習慣がある地域なら、自治会や町内会の方にも報告しましょう。

それ以外の方には、葬儀が終わってからの連絡で問題ありません。例えば家族葬であれば、家族葬を選んだ理由、参列してもらわなかったことへのお詫びなども伝えましょう。

葬儀社への連絡

なるべく早く、葬儀社の選定と打ち合わせを行います。葬儀社は生前のうちから決めておくと、いざという時に焦らなくて済みます。医療機関が紹介してくれる葬儀社を選ぶという方法もあります。葬儀社が決まったら、遺体の搬送、納棺、仏教式であれば僧侶、キリスト教式であれば神父・牧師を呼ぶ手はずを整えるなど、諸準備を始めます。個人の意向や信仰、交友関係、予算などを総合的に判断して葬儀の方法を選びましょう。

故人の搬送

病院の霊安室などに遺体を安置できる時間は限られているので、早めに自宅などに移動させることが大切です。自宅にスペースがない場合、エレベーターがなく搬送が難しい場合などは、葬儀社や斎場、教会などの安置所を借りましょう。

その際は、遺体搬送サービスなどの専門家に依頼してください。日本では、葬儀社が手配する寝台車で搬送するのが一般的です。また、別途費用がかかりますが、安置場所を提供している会社もあります。なお、遺体を自分の車で搬送するのは違法ではありませんが、遺体の損傷や感染症の予防のため、葬儀社などに依頼するのが適切です。

親が亡くなってから7日目までにやること

7日目までには、主に葬儀に関連した事柄を進めていきます。

死亡届の提出と火葬許可の申請

死亡届の提出は「死亡診断書/死体検案書を受け取った日も含めて7日以内」と定められています。国外で亡くなった場合は、逝去の事実を知った日から3か月以内です。

7日以内とありますが、直前に提出することは避け、なるべく早く行いましょう。死亡届を期限までに出さないと、次のような問題が生じます。

  • 火葬の許可を得られず葬儀が執り行えない
  • 年金の受給停止ができず、結果的に不正受給することで、罰則や刑罰の対象になってしまう
  • 相続など、さまざまな手続きを円滑に進められない

なお、死亡届は故人の住所地の役所ではなく、故人の本籍地または死亡地、届出人の住所地に提出する決まりなので注意してください。24時間365日いつでも提出できますが、窓口が閉まっている時間帯は受付のみで、実際の手続きは翌日以降に行われる自治体もあります。

通夜・火葬・葬儀・初七日法要

日本では多くの方が仏教式のお通夜、葬儀、火葬、初七日法要を行っています。地域差もありますが、基本的には通夜は亡くなった日から2日目、葬儀や火葬は3日目、初七日法要は7日目です。しかし、火葬場の空き具合などによって、葬儀や火葬はこれより後になることもあります。また、初七日は葬儀と同じ日に行うことも増えています。

本来キリスト教やイスラム教などの場合は土葬埋葬が一般的ですが、日本では基本的に土葬を行えないため、基本的には仏教式と同じく火葬を行います。

なお、葬儀の費用は喪主が負担し、仏教式であれば香典は葬儀代にあてるのが基本です。

親が亡くなってから14日目までの手続きと必要書類

葬儀などを無事に終えた後は、国民健康保険や年金の手続きなどを行っていきます。

健康保険の資格喪失届

故人が社会保険に加入していた場合、故人が勤務していた会社の担当者が、健康保険・厚生年金保険の「被保険者資格喪失届」を日本年金機構に提出します。亡くなった翌日から5日以内に手続きを行う必要があるので、なるべく早急に会社に連絡した上で、保険証を送付しましょう。

なお、亡くなった翌日から保険証は使用できなくなるので、扶養に入っていた方は迅速に新たに国民健康保険などに入り直す必要があります。国民健康保険に切り替える場合、亡くなった翌日から14日以内に、住んでいる自治体に加入手続きを行います。

国民健康保険に加入していた場合、基本的に亡くなった日から14日以内に、市区町村の役所で国民健康保険資格喪失届を提出します。次の書類を持参しましょう。

  • 国民健康保険証
  • 死亡届のコピーなど、死亡を証明する書類
  • 手続きを行う方の本人確認書類
  • 印鑑

ただし、死亡届さえ出せば、国民健康保険資格喪失届の届出はいらない自治体もあります。

住民票の世帯主の変更

故人が世帯主で、世帯に15歳以上の方が2人以上いる場合は、そのうちの誰かを世帯主に決めた上、14日以内に「世帯主変更届」を提出しなければいけません。

故人1人の世帯だったり、故人と配偶者の2人世帯で残った1人が新しい世帯主になったりする場合など、世帯主変更届が不要なこともあります。申請ができるのは、基本的に新しい世帯主本人か同一世帯の方です。それ以外の方が申請を行う場合は、委任状が必要です。故人の居住地の役所で手続きを行いましょう。

  • 世帯主変更届
  • 申請者の身分証明書
  • 申請者の印鑑
  • (加入している場合)世帯全員分の国民健康保険被保険者証

年金の受給停止

年金の受給停止には、「受給権者死亡届(報告書)」の提出が必要です。次の書類を年金事務所、または街角の年金相談センターに提出しましょう。期限は国民年金の場合14日以内、厚生年金は10日以内です。

  • 年金受給権者死亡届(報告書)
  • 故人の年金証書
  • 亡くなった事実を明らかにできる書類(住民票除票、戸籍謄本、死亡診断書/死体検案書等)のコピー、死亡届の記載事項証明書のいずれか)

ただし、マイナンバーが日本年金機構に登録されている方は、原則としてこの届出を省略できます。マイナンバーが収録されているかどうかは、ねんきんネットや年金事務所で確認しましょう。

提出が遅れると、すでに振り込まれた年金を後から返却しなければいけません。不正受給とみなされる恐れもあるので、忘れずに行いましょう。

介護保険の資格喪失届

「65歳以上の方」または「40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた方」は、「介護保険資格喪失届」を提出しなければいけません。それ以外の場合、手続きは不要です。提出先は、故人の住民票がある自治体の役所です。介護保険負担限度額認定証の返却もあわせて行うとスムーズです。

  • 介護保険資格喪失届出
  • 介護保険被保険者証

ただし、死亡届を出していれば、介護保険被保険者証を返却するだけでよい自治体や、返却も不要な自治体もあります。あらかじめ自治体に電話で問い合わせましょう。

それにあたって、未払い分があれば相続人が納付する必要があります。逆に納め過ぎていた場合は、相続人に還付されます。

公共料金の名義変更・解約

故人名義の銀行口座から公共料金などの引き落としをしている場合、速やかに解約/変更を行いましょう。通帳などの明細をチェックして、定期的に引き落としされている項目を洗い出した上で、それぞれの契約元に死亡の届出と解約/変更の手続きを行っていきます。

住居や駐車場の賃料、電気・ガス、水道、NHK、インターネットのプロバイダをはじめ、スポーツジムや習い事、新聞・雑誌の定期購読、百貨店などの年会費、インターネット上で契約するサブスクリプション(サブスク)なども忘れずに手続きしましょう。期限はありませんが、余分な料金が発生してしまうので、早めに進めてください。

銀行への通知手続き

親が亡くなったら、その後の相続に関する手続きを円滑にするためにも、銀行へ連絡しなければいけません。銀行に連絡せずに故人名義の口座からお金を引き落としてしまうと、相続人同士のトラブルの原因となります。また、相続放棄ができなくなり、故人の負債まで引き継いでしまうことにもなりかねません。

銀行に名義人が亡くなった旨の連絡をすると、遺産分割協議が完了するまでの間、故人名義の銀行口座は凍結されます。凍結されると、入出金や引き落としは一切できません。なぜなら、故人名義の預貯金は、すべての相続人の共有財産であるためです。

故人名義の口座の預金を、遺族の当面の生活や故人の生前の医療費、葬儀費用などに使いたい場合は、銀行に連絡して「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を利用できるかを問い合わせましょう。金融機関と金額によっては家庭裁判所に認められたら、必要な金額の払い戻しを受けられます。必要な書類は金融機関によって異なるため、電話などで確認してください。

親が亡くなってから2年以内の手続き

2年と聞くと余裕があるように感じますが、うっかりすると時効を迎えてしまうので、早めに取りかかりましょう。

死亡一時金の請求手続き

支給要件を満たしている場合、死亡一時金の請求も行いましょう。時効は亡くなった日から2年です。支給要件は次のとおりです。

  • 亡くなった前日の時点で、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36か月以上
  • 老齢基礎年金・障害基礎年金のいずれも受けていないまま死亡した

生計を同じくしていた、次に挙げる順位のうち最も高い遺族1名のみに死亡一時金が支給されます。

  • 1.配偶者
  • 2.子
  • 3.父母
  • 4.孫
  • 5.兄弟姉妹

遺族年金の支給を受ける場合は、死亡一時金は支給されません。また、寡婦年金の対象者は、どちらかを選ぶことになります。請求先は住所地の役所、年金事務所、年金相談センターのいずれかです。次の書類をそろえておきましょう。

  • 国民年金死亡一時金請求書
  • 故人の年金番号がわかるもの(基礎年金番号通知書、年金手帳など)
  • 故人との関係性がわかるもの(戸籍謄本など)
  • 世帯全員分の住民票(本籍地と続柄が記載されたもの)
  • 故人の住民票の除票
  • 申請者の本人確認書類、印鑑
  • 申請者の振込先がわかるもの

追加の書類がいる場合もあるため、あらかじめ窓口に問い合わせてください。

葬祭費・埋葬料の請求手続き

社会保険の場合、故人に生計を維持されており、かつ埋葬を執り行う方に「埋葬料」5万円が支給されます。「生計を維持されていた」とは、生計を同一にしており収入要件を満たしていることを指します。必ずしも親族であるとは限りません。被扶養者が亡くなった場合でも同じく5万円が支給されます。組合によっては独自の給付金制度があるかもしれないので、一度確認してみましょう。

どちらも対象となるのは、霊柩車代、霊柩運搬代、霊前供物代、火葬料、僧侶への謝礼などです。また、被保険者だった方が資格喪失後3か月以内に亡くなった場合も支給されます。その際は、亡くなった日から5日以内に手続きしなければいけません。

国民健康保険・共済組合に加入していた場合、葬祭費として約5万~7万円が支給されます。後期高齢者医療保険に加入していた場合は約3~5万円です。葬祭費は社保の埋葬料にあたるもので、金額は自治体によって異なります。申請ができるのは基本的に喪主で、それ以外の方が葬祭費の手続き・受け取りをするには、喪主の委任状が必要です。

高額療養費の申請手続き

未支給の高額療養費があれば、本人が亡くなった後でも支給申請が可能です。2年で時効となるので注意してください。自己負担限度額を超えた分が払い戻されますが、対象となるのは保険適用の医療費のみです。入院の食費、本人の希望による差額ベッド代、自由診療の治療費などは払い戻されません。

払い戻しの手続きは、原則として相続人が行います。申請先は、故人が加入していた医療保険によって異なります。国民健康保険の場合は故人が住んでいた自治体の役所、社保などの場合は加入していた健康保険組合です。次の書類を準備しておきましょう。

  • 高額療養費支給申請書
  • 医療費の領収書など
  • 故人との関係がわかる戸籍謄本など
  • 申請人の身分証明書
  • 振込先口座がわかるもの

※相続人全員の印鑑証明書、遺言書、委任状(代理人の場合)などが必要になる場合もあります。

還付金を受け取る際の大きな注意点は、還付金は相続財産に含まれるということです。遺産分割の対象となるため、一度受け取ると相続放棄は基本できません。故人の負債も相続しなければいけなくなるので注意してください。ただし、亡くなったのが被扶養者で、被保険者が還付金を受け取る場合は、相続財産とはなりません。

親が亡くなってから5年以内の手続き

5年で時効を迎えるものには、次のようなものがあります。

未支給年金の請求手続き

故人が亡くなった月分までの年金は、配偶者や子どもなど、生計を同じくしていた遺族が受け取れます。提出先は最寄りの年金事務所か年金相談センターです。

  • 故人の年金証書
  • 故人との続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
  • 故人と生計を同じくしていたことがわかる書類(故人の住民票の除票と請求者の世帯全員の住民票の写しなど)
    ※故人と別世帯の場合は「生計同一関係に関する申立書」
  • 振込先口座がわかるもの

未支給年金を受け取ったら、受取人の一時所得として確定申告が必要になる場合があります。

遺族年金の請求手続き

国民年金などに加入していた被保険者が亡くなった場合、受給要件を満たしていれば、その方に生計維持されていた「18歳になる年度末までの(障害がある場合は20歳未満)の子がいる配偶者」または「子」が遺族年金を受け取れます。加入状況などによって、遺族基礎年金か遺族厚生年金のどちらか、または両方を受け取れます。手続きを行うのは、未支給年金の請求と同様、最寄りの年金事務所か年金相談センターです。次の書類をそろえておいてください。

  • 基礎年金番号通知書など、基礎年金番号がわかる書類
  • 戸籍謄本(故人との続柄、請求者の氏名・生年月日がわかる、半年以内に交付されたもの)
  • 世帯全員の住民票の写し、またはマイナンバー
  • 故人の住民票の除票
  • 請求者の収入が確認できる書類(所得証明書、源泉徴収票、課税/非課税証明書など)※マイナンバーがあれば省略可
  • 子の収入が確認できる書類(在学証明書、学生証など。義務教育終了前は不要)※マイナンバーがあれば省略可
  • 死亡診断書(死体検案書)のコピー、または死亡届の記載事項証明書
  • 振込先口座がわかるもの

亡くなった原因が第三者の行為によるものであれば、第三者行為事故状況届、交通事故証明、損害賠償金の算定書などが必要になります。ほかの公的年金から年金を受けている場合は年金証書と合算対象期間が確認できる書類が必要です。

また、10年以上国民年金の第1号被保険者として保険料を納めたにもかかわらず、何の年金も受け取らずに亡くなった夫がいた場合、妻が60~65歳になるまで寡婦年金を受け取れる可能性があります。要件は、故人である夫に生計を維持されていたことなどです。なお、年金額は夫の第1号被保険者期間で計算した老齢基礎年金額の4分の3です。

受給要件などを満たしているかは個々に確認をしなければわからないので、受給権者死亡届を出すのと同時に問い合わせるとスムーズです。

そのほかの手続き

急ぎではありませんが、必要に応じて次の手続きも行いましょう。

パスポートの返却手続き

国内では最寄りの旅券事務所(パスポートセンターなど)、国外では最寄りの在外公館にて失効手続きを行います。自治体によっては役所で手続きができる場合もあります。必要な書類は、次のとおりです。

  • 故人名義のパスポート
  • 名義人が亡くなった事実がわかる書類(戸籍謄本、死亡診断書/死体検案書の写し、住民票の除票など)
  • 申請者の身分証明書

なお、有効期間が切れているパスポートに関しては返納届を出す必要はありません。形見として手元に置いておきたいと希望すれば、旅券事務所などで無効化処理を行った後、パスポートを返却してもらうことも可能です。

運転免許証の返却手続き(義務なし)

遺族に返納の義務はありません。しかし、免許更新の通知などが亡くなった後も届くため、それを避けるためには、警察署か運転免許センターで通知停止の手続きを行わなければいけません。第三者による悪用のリスクなどを避けるためにも返納するのがおすすめです。次の書類が必要です。

  • 故人名義の運転免許証
  • 名義人が亡くなった事実がわかる書類(戸籍謄本や死亡診断書/死体検案書の写し、住民票の除票など)
  • 申請者の本人確認書類
  • 申請者の認印

マイナンバーカードの返納(義務なし)

故人のマイナンバーカードも、免許証と同じく遺族に返納の義務はありません。
相続や未請求の年金などに関する手続きでマイナンバーを求められる場合もあるため、すべての手続きが終わるまで遺族が保管しておくようにしましょう。すべての手続きが終わって返納する場合には、自治体の役所で次のものを提出します。

  • 故人のマイナンバーカード
  • 届出人の本人確認書類

なお、死亡届を提出すると、マイナンバーは自動的に失効します。

印鑑証明の登録証の返還手続き

印鑑登録も自動的に廃止されるので、遺族が手続きをする必要はありません。印鑑登録証は遺族がみずから処分するか、自治体に返却してください。

携帯電話やスマートフォンの解約手続き

故人の携帯電話はそのままにしておくと月額料金が発生するため、なるべく早く手続きを行いましょう。手続きにあたって用意するものは、各携帯電話会社に問い合わせしてください。例として、主要3キャリアの手続きに必要なものを挙げていきます。ただし詳細は各キャリアに確認のち手続きを行いましょう。

NTT docomo

  • 契約しているドコモUIMカード/ドコモeSIMカード
  • 来店者の本人確認書類
  • 契約者本人が亡くなったことがわかる書類(除籍がわかる戸籍謄本、死亡診断書、住民票の除票など)

なお、故人の契約を遺族が引き継ぎ、契約を継続することも可能です。

Softbank

  • 契約しているUSIMカード
  • 来店者の本人確認書類
  • 契約者本人が亡くなったことがわかる書類(除籍がわかる戸籍謄本、死亡診断書、住民票の除票など)

au

au Style/auショップで行います。

  • スマートフォン本体
  • 来店者の本人確認書類
  • 契約者本人が亡くなったことがわかる書類(除籍がわかる戸籍謄本、死亡診断書、住民票の除票など)

クレジットカードの解約手続き

クレジットカードの解約をしないと年会費の請求が半永久的に続き、カードが不正利用されるリスクも高まります。

親子であっても故人のカードを使い続けるのは規約違反なので、必ず解約するようにしましょう。必要な書類などはクレジットカード会社によって異なるため、まずは連絡して名義人が亡くなった旨を伝え、カード会社の案内に応じて手続きを進めてください。

解約にあたって留意しておきたいのが、クレジットカードを解約しても、未払い分は相続人が支払わなければいけない点です。また、故人が会員で遺族が家族カードを所有している場合、その家族カードも原則利用できなくなるので注意してください。

クレジットカードの支払いが残っている場合、その金額も債務として相続することになります。債務が多過ぎる場合は相続放棄を検討したほうがよいこともあるので、早めに金額を確認しましょう(相続放棄は亡くなった後3か月以内まで)。

なお、溜まっているポイントやマイルは原則として相続できませんが、クレジットカード会社によっては相続を認めていることもあります。

親が在職中に死亡したときの手続き

親が在職中に亡くなった場合は、次の手続きも必要です。

勤務先への連絡

在職中に亡くなった場合は、勤務先へも連絡を入れましょう。葬儀や通夜などの日程が決まっていれば、それも伝えます。後日行う手続きについても尋ねておきましょう。

死亡退職届の提出

故人の勤務先に死亡退職届を提出します。会社によってフォーマットが異なるので、あらかじめ確認を取ってください。その際、最終給与についての確認、勤務先に制度がある場合は死亡退職金などの請求も行います。なお、亡くなった日以降に支払われた給与や死亡退職金は相続税の対象となります。また、死亡退職金に関しては、受け取っても相続放棄をすることが可能です。

遺品の受け取り・貸与品の返却

訃報を伝えた後、会社側と連絡を取りながら、故人に貸与されていたパソコンや携帯電話、社員証、鍵、文具類、工具、社用車などを返却します。健康保険被保険者証なども、亡くなった後速やかに返却しておきましょう。会社側からは、遺品を受け取ります。郵送で届けてくれる場合もあるため、職場の方に確認しながら進めましょう。

親の死亡による相続に関連した手続き

相続に関する手続きは、期限が決められているものが多いので注意が必要です。

なお、相続に関する手続きや銀行での手続きには「故人が出生から逝去するまでのすべての戸籍謄本」が求められることが少なくありません。必要な手続きが多くなると予想される場合、2017年5月から始まった「法定相続情報証明制度」を利用するのが便利です。「法定相続情報一覧図の写し」を必要枚数分交付してもらい、「故人が出生から逝去するまでのすべての戸籍謄本」の代わりに提出することが可能になります。

参照元:法務局「法定相続情報証明制度」について

戸籍謄本の取得と相続人や財産の調査

金融機関の通帳、不動産の権利書、固定資産税評価証明書などを見ながら、故人の財産の種類と金額を細かく把握します。それと同時に、故人の法定相続人を特定するために、次の戸籍謄本をそろえましょう。

  • 故人の出生から逝去まで、すべての戸籍
  • 相続人全員の現在戸籍

各相続人の本籍地の役所で取得する必要があるため、相続人が遠方の場合は、各自で取得するのがスムーズです。また、故人が本籍地を異動している場合などは、取得までに時間がかかる可能性があります。相続税の申告は10か月以内なので、そこから逆算し時間に余裕をもって、可能な限り早めに手続きを進めてください。思わぬトラブルも発生する恐れがあるので、専門家に相談しながら進めると安心です。

遺言書の有無と内容の確認

続いて遺言状の有無を確認します。遺言状があれば、自筆であれば家庭裁判所が検認を行い、問題がなければそれに従って財産を分割します。公証人に作成してもらった遺言であれば、家庭裁判所での検認は不要です。2020年7月10日からは法務局で自筆の遺言書が保管されている可能性もあるため、忘れずに問い合わせましょう。

遺言状がない場合や、遺産の分割方法が明確に指定されていなかったり、遺言状が所定の方式でなかったりして無効になった場合などは、相続財産を確定させた上で、相続人全員で遺産分割協議を行います。合意が成立すると、相続財産の名義変更、相続税の納付に進むことが可能です。協議が成立しない場合は、遺産分割調停を行うことになります。

相続放棄・限定承認の手続き(3か月以内)

相続人は「単純承認」「相続放棄」「限定承認」のいずれかを選びます。それぞれ簡単に解説します。

単純承認 故人のプラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継ぐ方法です。
相続放棄 相続放棄は、文字どおりすべての財産を放棄する方法です。故人に借金などの負債があれば、相続放棄をすることでマイナスの財産を引き継がなくても済みますが、プラスの財産も引き継ぐことはできません。
限定承認 マイナスの財産を清算した上で、プラスの財産が残れば受け継ぐ方法です。負債の金額が不明である場合などに有効です。相続放棄をした方を除き、相続人全員により共同で行わなければいけません。

単純承認には特別な手続きはいりませんが、相続放棄・限定承認は、相続の開始があったことを知ってから3か月以内に行わなければいけません。特に限定承認は手続きが非常に複雑なので、選択する場合は早めに手続きを進めましょう。

相続放棄 ・相続放棄の申述書
・故人の住民票除票または戸籍附票
・相続放棄する相続人本人の戸籍謄本
・故人の死亡が記載された戸籍謄本
・収入印紙(800円分)
・連絡用の郵便切手
限定承認 ・限定承認の申述書
・財産目録
・故人が出生から逝去するまでのすべての戸籍謄本
・故人の住民票の除票、または戸籍の附票
・相続人全員の戸籍謄本
・(故人に死亡した子がいる場合)その子の出生から逝去までのすべての戸籍謄本
・収入印紙(800円分)
・連絡用の郵便切手

そのほか、故人との関係などによって追加の書類が必要になるケースもあります。確認しながらそろえてください。

所得税の準確定申告(4か月以内)

故人の状況によっては、所得税の純確定申告が必要になることがあります。準確定申告とは、故人の確定申告を相続人が行うことです。基本的には各相続人が連署して、故人の1月1日~亡くなった日までに確定した所得金額と税額を計算し、故人の住所地を管轄する税務署で申告・納税します。

納税の期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。期限を過ぎると、加算税や延滞税がかかってしまいます。故人が次の条件にあてはまる場合は、なるべく早めに手続きを行いましょう。

  • 自営業またはフリーランス
  • 2か所以上から給与を得ていた
  • 2,000万円以上の給与所得があった
  • 400万円以上の年金受給があった
  • 不動産所得や株取引などで48万円以上の所得があった

また、申告が必要なくても、医療費控除を受ける場合など、準確定申告を行うことで還付金が発生することもあります。

なお、手続きには次の書類が必要です。

  • 確定申告書
  • 故人の源泉徴収票
  • 所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表
  • 故人の生命保険などの控除証明書
  • 故人の医療費の領収書
  • (代理人を立てる場合は)委任状

確定申告と同じく電子申告も可能ですが、これらの作業に慣れていない場合などは、専門家へ依頼するのがおすすめです。

相続税の申告と納付(10か月以内)

相続税が発生する場合、相続の開始があったと知った日から10か月以内に、相続税の申告・納付を行わないといけません。各相続人が相続した財産に個別に相続税がかかるのではなく、遺産総額から基礎控除額を差し引いた上で、相続人ごとの法定相続分に応じて税金が算出されます。

相続人が1人の場合の基礎控除額は3,600万円で、法定相続人が1人増えるごとに600万円ずつ基礎控除額が増えます。基礎控除額は、以下の計算式によって求められます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

遺産総額が基礎控除額を下回れば無税です。また、相続税の申告・納付をするには、遺産分割協議を終えている必要があります。

遺留分侵害額請求(1年以内)

遺留分とは、最低限度の遺産をもらえる権利のことで、故人の配偶者や子、親に認められています。遺留分は基本的に、法定相続分の2分の1と定められています。

例えば相続人が配偶者と子1人の場合、法定相続分はそれぞれ2分の1なので、相続人ごとの遺留分は、配偶者と子それぞれ4分の1ずつです。なお、きょうだいには遺留分はありません。

この遺留分を下回った場合は「遺留分侵害額請求」(以前の名称は「遺留分減殺請求」)を行い、本来の遺留分の返還を求めることが可能です。期限は遺留分の侵害があったことを知ったときから1年です。知らなかったとしても相続開始から10年経つと時効になります。

当事者間で話し合いができない場合は、相手方への内容証明郵便などの意思表示を行った上で、家庭裁判所の調停手続きを行います。申立先は、相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です。次の書類を用意しましょう。

  • 故人の出生から逝去までのすべての戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • (故人に死亡した子がいる場合)その子の出生~逝去までのすべての戸籍謄本
  • 不動産登記事項証明書
  • 遺言書の写し、または検認調書謄本の写し
  • 申立書および、その写し1通
  • 標準的な申立添付書類
  • 収入印紙1,200円分
  • 連絡用の郵便切手

ほかにも、状況によって追加の書類が求められることがあります。

遠方に住む親の死亡による相続手続き

亡くなった親が遠方に住んでいた場合、相続の手続き方法には2種類あります。

  • 郵送で相続手続きを行う
  • 専門家に手続きを代行してもらう

時間はかかりますが、遺産分割協議は相続人全員が一同に集まる必要はないので、郵送で手続きすることも可能です。

まとめ

親が亡くなると程度の差はあるとしても多くの方が動揺してしまいます。そういった中で、葬儀の段取り、役所や年金事務所などへの届出、相続にあたっての調査や協議など、重要な手続きを次々と行うことは、遺族にとって大きな負担です。チェックリストを活用しながら、順に手続きを済ませていきましょう。
また、多忙で手続きを行う時間が取れない、亡くなった親や他の相続人の住居が遠隔にあり手続きが大変、といった場合は、弁護士など専門家に必要に応じてサポートしてもらうのも一案です。

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更新日 : 2024年12月12日
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