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相続放棄申述書の書き方と記入例|提出方法や提出後の流れも解説

相続放棄申述書の書き方と記入例|提出方法や提出後の流れも解説

相続放棄申述書とは、相続人が故人からの遺産を法的に放棄する意志を表明するために家庭裁判所に提出する公的な書類です。相続が発生した際、相続人は故人の財産だけでなく、負債や債務も引き継ぐことになります。もし故人が多額の負債を残していた場合、相続人はその返済責任を負うことになります。しかし、相続人がその負債の責任を負いたくない、または財産の管理に関わりたくない場合、相続放棄を選択することができます。

相続放棄をする場合、相続放棄申述書の作成と提出は、家庭裁判所に対して相続放棄の意志を正式に通知するために必要なステップです。この文書には、申述人の情報、被相続人の詳細、相続放棄の理由、相続財産の内容を正確に示す必要があります。
しかし、相続放棄の手続きは期限内に正確に行わなければならず、多くの人にとって、相続放棄申述書の正しい書き方や手続きの流れは未知の領域です。

この記事では、相続放棄申述書の書き方や記入例を詳細に解説します。また、提出方法、必要書類、そして専門家に依頼すべきケースなど、相続放棄に関連する情報も紹介しますので、参考にしてみてください。

相続放棄申述書とは相続を放棄するために提出する書類

「相続放棄申述書」とは、相続を放棄するために家庭裁判所に提出する必要がある公的な書類です。この文書を通じて、相続人が故人からの遺産を受け取ることを正式に拒否する意向を示します。相続放棄を行う主な理由には、故人が多額の負債を残していた場合などがあります。相続放棄をすることで、相続人は故人の負債を引き継がずに済みます。

相続放棄申述書の提出は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に行わなければなりません。この期限を過ぎると相続放棄ができなくなる可能性があります。したがって、相続放棄を考えている場合は迅速に行動することが重要です。

相続放棄申述書の作成には、申述人(相続放棄をする人)の基本情報、被相続人(亡くなった人)の情報、相続の開始を知った日、放棄の理由など、正確な情報の記入が必要です。また、相続財産の概略も記載する必要があります。特に重要なのは、相続放棄の意志が明確であることと、提出期限内に正しい手続きを行うことです。

相続放棄申述書の書き方・記入例

相続放棄申述書は、以下の裁判所の提供する記入例を参考にすることで、正確に作成することができます。
相続放棄申述書は申述人(相続放棄する人)が成人か未成年者かで記入内容が異なります。

下記は成人が相続の放棄の申述をする場合の申述書記入例です。

参照:相続の放棄の申述書(成人)|裁判所

ここからは、相続放棄申述書の作成にあたって、基本的な書き方を手順に沿って紹介します。

  1. 提出先の家庭裁判所と申述人を記入する
  2. 被相続人(亡くなった人)の情報を記入する
  3. 申述の趣旨・相続を知った日を記入する
  4. 相続放棄の理由を記入する
  5. 相続財産の概略を記入する

1. 提出先の家庭裁判所と申述人を記入する

まず、申述書を提出する家庭裁判所の名前を記入します。提出先の家庭裁判所は、被相続人が亡くなった時点で最後に居住していた地区を管轄する家庭裁判所となります。管轄する家庭裁判所は、裁判所公式ホームページで確認することができます。

参照:相続の放棄の申述書(成人)|裁判所

申述人の欄には、相続放棄を希望する人の氏名、本籍地、住所、生年月日、職業、被相続人との関係などの情報を記入します。申述人の押印には認印が使用できます。

未成年者が相続放棄を希望する場合は、親権者が代わりに申述人となり、未成年者用の相続放棄申述書を使用します。

申述人が未成年者の場合の記入例は、下記を参考にしてください。

参照:相続の放棄の申述書(未成年者)|裁判所

この書類は、未成年者の相続放棄を適切に行うために特別に設計されており、親権者の情報や署名が必要になります。

2. 被相続人(亡くなった人)の情報を記入する

「被相続人」の欄には、被相続人の本籍地、最後の住所、死亡当時の職業、氏名、そして死亡年月日、を記入します。
「本籍地」の情報は、被相続人の最後の戸籍の謄本から取得できます。被相続人の戸籍謄本は、本籍地のある市区町村の役所で入手します。「最後の住所」は、住民票の除票を取り寄せて記載します。住民票の除票は最後に住んでいた市区町村の役所で入手できます。死亡当時の職業が無職である場合は、「無職」と書きます。
本籍地の正確な記載は、相続放棄申述書が適切に処理されるために不可欠です。この情報は、相続放棄の手続きにおいて、被相続人を特定するために使用されます。

参照:相続の放棄の申述書(成人)|裁判所

3. 申述の趣旨・相続を知った日を記入する

申述の趣旨の欄は、「相続の放棄をする」と印字されているため、特に記入は必要ありません。
相続の開始を知った日は、「被相続人が死亡したことを知った日」もしくは「自身が相続人になることを知った日」となります。
故人の死亡または自分が相続人となる事実をどの方法で知ったかに応じて、以下のように記載します。

故人の死亡または自分が相続人となる事実を知った方法 選択肢
故人と生活を共にしていた、または直ちに死亡の知らせを受けた場合 故人の死亡日を記載し、「1 被相続人死亡の当日」を選ぶ
故人の死亡を後日知った場合 故人の死亡の知らせを受けた日を記載し、「2 死亡の通知をうけた日」を選ぶ
もともと相続人だった人が相続を放棄し、結果として自分が相続人となった場合 自分が相続人となったことを知った日を記載し、「3 先行する相続人の放棄を知った日」を選ぶ

この日付は、相続放棄を行うための期限を計算する基準となります。相続の開始を知った日から3ヶ月を過ぎてしまうと、相続放棄ができなくなる可能性があるため、この期限は非常に重要です。

参照:相続の放棄の申述書(成人)|裁判所

4. 相続放棄の理由を記入する

「放棄の理由」の欄は、「1. 被相続人から生前に贈与を受けている。」「2. 生活が安定している。」「3. 遺産が少ない。」「4. 遺産を分散させたくない。」「5. 債務超過のため。」から、相続放棄を考える理由を選択し丸を付けます。これらの項目に当てはまらない場合は、「6. その他」を選び、具体的な理由を記入します。
相続放棄の理由によって、受理・不受理に影響することはないため、「疎遠のため、相続には関わりたくないから」など正直な理由を書きましょう。

参照:相続の放棄の申述書(成人)|裁判所

5. 相続財産の概略を記入する

「相続財産の概略」の欄は、把握している相続財産の内容は全て、可能な限り正確に記載します。不明な点が多い場合でも、わかっている範囲での記入で問題ありません。亡くなった人が残した財産で、把握していないものがある場合は、空欄にするか、不明と記入します。なお、財産に関する内容を示す書類の提出は必須ではありません。
しかし、虚偽の記載は法的な問題を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。相続財産に関する情報は、相続放棄の判断に影響を与える可能性があるため、正確な情報提供が求められます。

参照:相続の放棄の申述書(成人)|裁判所

相続放棄申述書に関して把握しておきたいこと

相続放棄申述書の作成と提出は、相続を放棄したい意志を法的に表明する重要な手続きです。このプロセスをスムーズに進めるためには、代筆の可否、書類の訂正方法、そして必要な書類について正確に理解しておく必要があります。
以下では、これらの要点を詳細に解説します。

相続放棄申述書は代筆可能

相続放棄申述書の作成において、相続人自身が書類を記入することが基本ですが、代筆も可能です。これは、相続放棄が相続人の意志に基づくものであるため、相続人の意向を正確に反映させることが最優先されるからです。代筆を依頼する場合は、特に代筆者への委任状も必要ありません。
ただし、相続人が認知症などで判断能力が低下している場合、代筆は認められません。このような状況では、成年後見人が設定され、後見人が申述書の作成や提出を代行することになります。

相続放棄申述書の訂正は二重線と訂正印

相続放棄申述書の記入中に誤りがあった場合の訂正方法は、間違えた部分に二重線を引き、正しい情報をその上に記入した後、訂正印を押すことです。
この方法により、書類の誤りが正式に訂正されたことが明確になります。修正液の使用は認められていないため、訂正は必ず二重線と訂正印を使用して行う必要があります。

相続放棄手続きの必要書類

相続放棄を行う際には、以下の書類が必要となります。

  • 相続放棄申述書:相続放棄の意志を正式に表明するための書類
  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本:被相続人の死亡事実を証明するための書類
  • 被相続人の住民票除票(又は戸籍の附票):被相続人の最終住所地を証明するための書類
  • 申述する人の戸籍謄本:相続放棄を行う人が法定相続人であることを証明するための書類
  • 収入印紙(800円)
  • 切手(84円を5枚程度)

住民票除票や戸籍謄本は、被相続人および申述人の本籍地の市区町村役場で取得できます。収入印紙は郵便局や一部のコンビニエンスストアで購入可能です。相続放棄申述書は裁判所のホームページで入手することができます。

参照:相続の放棄の申述 | 裁判所

これらの書類を事前に準備し、相続放棄の手続きに備えることが重要です。

相続放棄申述書の提出方法は家庭裁判所に持ち込むか郵送

相続放棄申述書の提出方法としては、2つの選択肢があります。一つは家庭裁判所の窓口に直接持ち込む方法、もう一つは郵送による方法です。どちらの方法を選択するかは、申述人の状況や裁判所の位置、さらには現在の健康状態や移動の便利さによって異なります。

家庭裁判所に直接持ち込む場合は、相続放棄申述書を含む必要書類をすべて準備し、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所の窓口に直接提出します。この方法の利点は、提出時に書類に不備があった場合、すぐに裁判所の職員から指摘を受け、その場で修正することができる点にあります。また、直接裁判所を訪れることで、手続きの流れや必要な追加書類について直接質問する機会も得られます。

郵送による方法は、相続放棄申述書を含むすべての必要書類を郵便で家庭裁判所に送付する方法です。郵送の場合でも直接持ち込む方法と同じく、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に郵送します。この方法の利点は、遠方に住んでいる場合や、何らかの理由で裁判所に直接行くことが難しい場合でも手続きを進めることができる点にあります。郵送の際は、書類が途中で紛失しないように書留郵便や特定記録郵便など、追跡サービスが付いた郵送方法を選択することが推奨されます。

相続放棄申請書の作成を専門家に依頼すべきケース

相続放棄申請書の作成は、一見シンプルな手続きのように思えますが、実際には多くの法的知識と注意が必要です。特定の状況では、専門家に依頼することが賢明な選択となります。ここでは、専門家の助けを借りるべき具体的なケースを3つ解説します。

  • 相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎた場合
  • 相続放棄のやり方が分からない場合
  • 相続人間でトラブルがある場合

相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎた場合

相続放棄を行うには、被相続人の死亡を知った日から3ヶ月以内に手続きを完了させる必要があります。この期限を過ぎてしまった場合、原則として相続放棄は認められません。

しかし、期限を過ぎたにも関わらず相続放棄を行いたい特別な事情がある場合、「上申書」を提出することで相続放棄が認められる可能性があります。このような状況では、法的な知識と経験が必要となるため、専門家に依頼することが推奨されます。

また、相続放棄の期限が過ぎていなくても期限が迫っている場合や、申述期限後にマイナスの財産が判明した場合についても相続に強い弁護士など専門家に依頼した方が良いでしょう。

相続放棄のやり方が分からない場合

相続放棄の手続きは複雑であり、正確な書類の準備や提出が求められます。手続きの流れや必要書類に不安がある場合、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することで、スムーズかつ正確に手続きを進めることができます。
専門家は相続放棄手続きに関する豊富な経験と知識を持っており、申請書の作成から提出までを適切にサポートしてくれます。

相続人間でトラブルがある場合

相続放棄を巡っては、相続人間で意見の対立やトラブルが生じることがあります。特に、相続放棄をするべきか否かについて意見が分かれる場合や、遺産をどのように分配するのが妥当か判断が難しい場合、不動産など分割して分けることが難しい資産が遺産として残された場合は弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することで、法的な観点から最適な解決策を見つけることができます。弁護士は、相続人間のトラブルを解決するための調停や交渉をサポートし、相続放棄の手続きを円滑に進めるためのアドバイスを提供します。

相続放棄を検討している場合は、自身の状況を慎重に評価し、必要に応じて専門家のサポートを求めることをお勧めします。

相続放棄手続きの費用相場

相続放棄手続きは、自分で行うか、司法書士に依頼するか、弁護士に依頼するかによって費用が大きく異なります。相場は以下の通りです。

  • 自分で相続放棄手続きをした場合:3,000~5,000円程度
  • 司法書士に依頼した場合の費用相場:3万~5万円程度
  • 弁護士に依頼した場合の費用相場:5万~10万円程度

これらの費用には、申述書の作成、印紙代、郵送費用、専門家への相談料や代理手数料などが含まれます。ここからは、それぞれの詳細な費用内訳を紹介します。

自分で相続放棄手続きをした場合の相場:3,000円~5,000円

自分で相続放棄の手続きを行う場合の費用の相場は、相続人1人につき3,000円〜5,000円程度です。費用の内訳は下記の通りです。

内訳 費用
相続放棄の申述書に添付する印紙代 800円
郵便切手 500円程度
被相続人の住民票除票又は戸籍附票 300円程度
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 750円
その他離婚条件の申立 1,200円

自分で手続きを行う場合にかかる費用は、主に公的な書類の取得と郵送の切手代です。自分で相続放棄の手続きを行うことで、費用を抑えることが出来ますが、必要書類を全て集め、家庭裁判所に提出を行うのは時間と労力がかかります。適切な書類が揃っていないと手続きが遅れる可能性もあるため注意が必要です。

司法書士に依頼した場合の費用相場:3~5万円

司法書士に相続放棄手続きを依頼した場合の費用相場は、相続人1人につき、3万円〜5万円程度です。この費用は以下のような内訳となります。

内訳 費用
相談料 無料から5,000円程度(60分あたり)
申述書の作成代行費用 3,000円~6,000円程度
代理手数料 2万円~3万円程度

司法書士に依頼する場合は、初回相談料として5,000円(60分あたり)程度がかかる場合があります。初回の相談は無料でやってもらえる場合も多いので、詳しくは司法書士事務所に問い合わせる必要があります。

初回相談では、相続放棄の手続きについての概要や必要な書類、手続きの流れなどが説明されます。
また、相続放棄に必要な申述書の作成も司法書士が代行しますが、3,000円〜6,000円程度かかります。この書類は相続放棄の手続きの中心となるものです。
司法書士が家庭裁判所への提出手続きを含め、相続放棄のプロセス全体を代行するにあたり、2万円〜3万円程度の代行手数料がかかります。

必要書類の収集や申述書の作成のみのサポートでよいときは、弁護士に比べて相談料や手続き費用を安く抑えることができます。
また、司法書士は不動産の登記や書類作成に詳しいので、不動産を含む相続放棄手続きにおいては頼りになります。

弁護士に依頼した場合の費用相場:5~10万円

弁護士に相続放棄手続きを依頼した場合の費用相場は、大体5万円〜10万円程度とされています。この費用には以下のような内訳が含まれます。

内訳 費用
相談料 無料から1万円程度(60分あたり)
申述書の作成代行費用 5,000~1万円程度
代理手数料 5万円~10万円程度

弁護士に相続放棄の依頼をする場合は、裁判所などとのやり取りを代理してもらう手数料が高額となり、相場としては5〜10万円になります。

弁護士に相続放棄手続きを依頼する最大のメリットは、法的な専門知識と経験を活用できることです。
特に、相続人同士や債権者とトラブルを抱えている場合は、中立的な立場から調整を行い、トラブルの解決に至るまで、相続放棄に関する手続きを全面的にサポートしてもらえます。

ただし、弁護士に依頼する場合は、費用が高額となります。依頼前には、費用の詳細を確認し、予算内でサービスを受けられるかどうかを検討しましょう。
さらに、相続法に精通している弁護士を選ぶことが重要です。相続放棄手続きに経験豊富な弁護士に依頼することで、手続きのスムーズな進行が期待できます。

相続放棄は、一定の期限内に正確な手続きを完了させなければならないため、専門家の支援は非常に価値があります。また、複雑な法的手続きや書類の準備を弁護士が代行してくれるため、手間と時間を大幅に節約できます。

相続放棄申述書を提出した後の流れ

相続放棄申述書を提出した後にも、下記の手続きが必要になります。

  1. 相続放棄の回答書・照会書に回答する
  2. 受理通知書を受け取る
  3. 次の順位の相続人に伝える

これらの手続きを理解し、適切に対応することで、相続放棄のプロセスをスムーズに進めることができます。以下では、相続放棄申述書を提出した後に必要な手続きについて詳しく解説します。

1. 相続放棄の回答書・照会書に回答する

相続放棄申述書を家庭裁判所に提出してから約1〜2週間後に、裁判所から相続放棄回答書と相続放棄照会書が送られてきます。照会書は、相続放棄の意志が本人によるものであるかを裁判所が確認するためのものです。
回答書は、申立人が家庭裁判所に自分の意思で相続放棄することを伝えるための書面です。回答書では主に下記の内容に答えることになります。

  • 相続人となったことをいつ知ったか
  • 被相続人に債務がある場合、被相続人に債務があることを知ったのはいつか
  • 被相続人の死亡後、被相続人の財産を処分したり、債務を弁済したことはあるか
  • 相続放棄は本当に自分の意思に基づくものか

回答書には、申述書に記載した内容と同じ情報を記載し、正確に回答します。この手続きは、相続放棄の意志が明確であることを裁判所に示すために重要です。

2. 受理通知書を受け取る

回答書を裁判所に返送し、裁判所が内容を確認した後、問題がなければ受理通知書が送られてきます。この受理通知書を受け取ることで、相続放棄の手続きが正式に完了します。受理通知書は、相続放棄が法的に認められたことを証明する重要な書類であるため、大切に保管する必要があります。また、正式に相続放棄を証明するためには、受理通知書を基に「相続放棄の受理証明書」を裁判所に申請する必要があります。

相続放棄を行った後、特定の法的手続きや対外的な証明が必要になる場合、相続放棄の受理証明書の提出が求められる場合があります。相続放棄の受理証明書が必要になるケースは以下のような場合です。

不動産の名義変更をする場合

他の相続人が、故人名義の不動産の名義変更する場合、相続放棄の受理証明書が必要となります。この証明書によって、相続放棄者が不動産に対する権利を放棄したことが明確になり、名義変更の手続きがスムーズに進行します。ただし、相続放棄の受理証明書は他の相続人が申請することもできるため、相続放棄者が申請する必要はありません。

他の相続人が相続手続きをする場合

相続放棄を行った人がいる場合、残された相続人が名義変更などの相続手続きを進める際にも、相続放棄の受理証明書が必要になることがあります。ただし、この場合も相続放棄の受理証明書は他の相続人が申請することもできるため、相続放棄者が申請する必要はありません。

債務者から催促を受けた場合

故人が残した債務に関して、債権者から相続人への催促があった場合、相続放棄の受理証明書を提出することで、相続放棄者がその債務の支払い責任を負わないことを証明できます。

3. 次の順位の相続人に伝える

相続放棄を行うと、相続権は次の順位の相続人に移ります。このため、相続放棄したことを次の順位の相続人に伝えることが重要です。これにより、相続に関する手続きを進める際の誤解やトラブルを防ぐことができます。相続放棄の事実を伝える際には、受理通知書や受理証明書などの書類を用いて、相続放棄が正式に行われたことを証明することが望ましいです。

まとめ

相続放棄をする場合は、相続放棄申述書を作成し、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に手続きを完了させる必要があります。このプロセスを正確に進めるためには、相続放棄申述書の正しい書き方を理解し、必要な書類を適切に準備し、提出することが不可欠です。

相続放棄申述書には、申述人(相続放棄をする人)の情報、被相続人(故人)の情報、相続放棄の理由、相続財産の内容を正確に記入します。書き方が分からない場合は、
裁判所公式ホームページで公開されている記入例も参考にしましょう。

相続放棄申述書の提出後、裁判所から送られてくる回答書に対しても正確に回答する必要があります。回答書を裁判所に返送し、裁判所が内容を確認後、問題がなければ受理通知書が送られてきます。受理通知書を受け取ることで、相続放棄の手続きが正式に完了します。

相続放棄申述書を作成において、相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎた場合や、相続放棄を検討している場合は、無料相談などで専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

相続放棄についてのよくある質問

相続放棄の照会書は再発行してもらえますか?

相続放棄に関する照会書を紛失した場合、家庭裁判所に連絡し、申請をすることで再発行できます。ただし、受け取りは郵送になるため、具体的な手順は裁判所に確認することが重要です。また、郵便切手や封筒などを準備する必要があります。

照会書の送付先は変更できますか?

照会書の送付先を変更したい場合は、「送達場所等の届出書」を家庭裁判所に提出すれば、送付先を変更することができます。また、他の人に書類を受け取ってもらいたい場合は、その方を送達受取人として届け出ることもできます 。
「送達場所等の届出書」は家庭裁判所の窓口や裁判所ホームページで入手することができます。

ただし、送達場所の届出をすると、以後の送達はその届出場所になるため注意が必要です。

相続放棄申述受理通知書は再発行してもらえますか?

相続放棄申述受理通知書の再発行はできません。そのため、紛失を心配される方は、予めコピーを保管しておくことをお勧めします。
万が一、紛失などが発生した際には、「相続放棄申述受理証明書」を発行してもらうことで、相続を放棄したことを証明することができます。