相続の専門家の無料相談・専門家探しならツナグ相続

相続放棄の手続きは自分でできる? 必要書類や費用相場を紹介

相続放棄の手続きは自分でできる 必要書類や費用相場を紹介

家族や親族が亡くなり、相続に直面している人の中には「プラスの財産よりも借金の方が多い」「故人と疎遠なので相続に関わりたくない」などの理由で相続放棄を選択する人もいるでしょう。

弁護士や司法書士などの専門家に依頼すると費用がかかることを知り、自分で手続きを進めたいと考えている人もいるはずです。しかし、多くの人にとって相続放棄は初めての経験になるため、自力で手続きができるのか、何から始めればよいのか、不安に感じるケースも多いでしょう。

実際のところ、「相続財産が自宅として利用している土地や建物のみ」「生前から被相続人の財産を管理していた」などのように相続内容が複雑ではない場合や、相続人全員が相続放棄に合意しているケースなどでは自力で手続きを進めても問題ありません。その場合は、以下の手順で相続放棄の手続きを行います。

  1. 相続財産を明らかにする
  2. 相続放棄の手続きにかかる費用を確認しておく
  3. 必要書類を準備する
  4. 家庭裁判所に申し立てを行う
  5. 照会書・回答書を記入して返送する
  6. 相続放棄申述受理書を受け取る

ただし、相続放棄には相続の開始があったことを知った時から3ヶ月の期限があるため、相続財産の把握や書類の準備などの手続きにつまずく可能性がある場合や、債権者への対応が必要になる場合などは、弁護士に相談した方がスムーズに手続きを進められるでしょう。

今回の記事では、相続放棄を自分で行う方法について、一般的な流れや必要書類、費用相場などを詳しく解説します。手続きを進める上での注意点や、弁護士に依頼するメリットなども紹介しますので、相続放棄の手続きで悩んでいる人は参考にしてください。

相続放棄の手続きを自分でしても問題が起こりにくいケース

被相続人に借金がある場合や相続トラブルに巻き込まれたくない場合、あるいは売却のコストや手間がかかる「負動産(不動産)」を相続する可能性がある場合などをは相続放棄を検討したほうがよいでしょう。以下のようなケースであれば、相続放棄の手続きを自分で行っても、大きな問題が生じるリスクは低いといえます。

  • 財産状況が明確または自分で調査ができる
  • 相続人全員が相続放棄に合意している
  • 3ヵ月の申述期限に間に合う

以下で詳しくみていきましょう。

財産状況が明確または自分で調査ができる

「相続財産が自宅として利用している土地や建物のみ」「生前から被相続人の財産を管理していた」など、相続財産の状況がある程度明確になっている状況であれば、自分で相続放棄の手続きをしても問題ないでしょう。

相続が発生した際は、相続放棄するかどうかを決定するために、被相続人の財産調査をするケースが一般的です。もし正確な財産調査が行われないまま相続放棄をした場合は、本来得られるはずだった利益を失ったり、不利益を被る可能性があります。

また、相続財産を漏れなく調査できるだけの法的知識がある場合は、自力で手続きを進めても問題ないでしょう。とくに不動産の評価方法などについては、専門的な知識が必要とされることが多くなっています。

しかし、財産が多い場合は、以下のように調査範囲が広範囲に及びます。とくに近年では資産をデジタル管理しているケースも多いため、注意深く調査が必要です。

  • インターネットバンキングの口座
  • ネット証券で管理している有価証券(株式や投資信託など)
  • FXや仮想通貨の口座
  • 電子マネーのチャージ残高
  • 生命保険契約

自分一人では対処が難しい場合、早めに専門家に相談しましょう。

相続人全員が相続放棄に合意している

相続人全員で財産調査の結果を共有し、相続放棄に合意している場合は、トラブルに発展したり相続放棄の判断を誤ったりする可能性は少ないため、自力で手続きを進めても問題ないでしょう。

ただし、対立関係にある相続人がいる場合は、特定の財産を隠される・相続放棄を勧められるなどの嫌がらせを受けて、相続放棄の判断を誤ってしまう可能性があります。

また、借金が多いことを理由に相続放棄を選択した場合は、相続放棄をすることによって次順位の相続人が借金返済の義務を負うことになり、関係性が悪化することにもなりかねません。

相続放棄をする際は、あらかじめ親族と相談しながら検討することをおすすめします。

3ヵ月の申述期限に間に合う

民法第915条においては「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」と定めています。

3ヵ月以内に財産調査や家庭裁判所への申し立てが終わる見込みがあれば、自分で手続きをするのも一つの手でしょう。

ただし、相続開始後は葬儀や役所や金融機関への届け出、相続財産の調査など、さまざまな手続きと並行しながら相続放棄についても検討しなければなりません。3ヶ月はあっという間に過ぎてしまう可能性もあるので、スケジュールにゆとりがない場合は、弁護士などの専門家に手続きを依頼することも検討した方がよいでしょう。

相続放棄の手続きを自分で行うときの流れ

相続放棄の手続きを自分で行う際の、一般的な流れは以下の通りです。

  1. 相続財産を明らかにする
  2. 本当に相続放棄すべきか検討する
  3. 相続放棄の手続きにかかる費用を確認しておく
  4. 必要書類を準備する
  5. 家庭裁判所に申し立てを行う
  6. 照会書・回答書を記入して返送する
  7. 相続放棄申述受理書を受け取る

それぞれの手順を詳しく解説していきます。

相続財産を明らかにする

相続放棄すべきか検討するために、まずは故人の相続財産を明らかにすることが大切です。相続財産の調査をせずに相続放棄をすることも可能ですが、想定よりも財産や負債が多かったり少なかったりしたとしても、基本的に相続放棄を撤回することはできません

相続放棄をした後に多額の預金が見つかった場合などは、相続をしておけばよかったと後悔することもあるでしょう。反対に、相続放棄をした後に、自宅が被相続人の名義になっていることがわかり、自宅を手放すことになってしまうようなケースも考えられます。

代表的な相続財産やその確認方法は以下のとおりです。

項目 調査方法
預貯金 通帳やキャッシュカード、郵便物などから利用していた金融機関を特定し、残高証明書の発行を依頼する
不動産 登記識別情報(登記済権利書)や固定資産税の課税通知書や評価証明書などを確認する
有価証券(株式・国債) メールや郵便物から証券会社を特定して、取引残高報告書を確認する
借金 ローンカードや返済の明細書、借用書・督促状などを確認し、消費者金融やクレジットカード会社に問い合わせる

調査項目が多すぎる場合や、財産の有無を特定しにくい場合など、自分だけで確認するのが難しいと感じたときは、弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。

本当に相続放棄すべきか検討する

財産調査の結果をもとに、プラスの財産とマイナスの財産を確認しながら、本当に相続放棄すべきか慎重に検討しましょう。

相続の方法には以下の3種類があります。

項目 概要
単純承認 負債を含めた全ての財産を受け継ぐ
相続放棄 負債を含めた全ての財産を受け取らない
限定承認 プラスの財産の範囲内で負債を受け継ぐ

たとえば、プラスの財産に対して負債が大きい場合は、相続人が債務を返済する負担が大きくなるため、相続放棄を選択するのはありでしょう。また「借金は相続したくないけれど自宅だけはどうしても相続したい」といったケースでは、限定承認をした上で先買権を行使することで、自宅を相続できます。

先買権とは?
相続した不動産が競売にかけられた時に、優先的に購入できる権利のこと。

相続放棄の手続きにかかる費用を確認しておく

相続放棄の手続きを自分で行う場合にかかる費用の目安は、約3,000~5,000円です。

手続きをする家庭裁判所や自治体によっても費用は異なりますが、主に以下のような費用がかかることが多くなっています。

項目 費用
相続放棄の申述書に添付する収入印紙代 800円程度
連絡用の郵便切手 500円程度
被相続人の住民票除票または戸籍附票 300円程度
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 750円程度
相続放棄を申し込む人の戸籍謄本 450円程度

あらかじめ費用を用意しておくと安心できるでしょう。

必要書類を準備する

相続放棄の手続きをする際は、家庭裁判所へ「相続放棄申述書」と「申立添付書類」を提出する必要があります。

相続放棄申述書は裁判所のホームページからダウンロードできますが、18歳以上・18歳未満で様式が異なるので注意しましょう。

また申立添付書類は、被相続人と相続放棄する人の関係性によっても異なります。後順位の相続人が相続放棄する場合は、必要書類が多くなる点に注意しましょう。

相続放棄の必要書類については、以下の記事でも詳しく解説しています。

配偶者が相続放棄する際に必要な書類

配偶者が相続放棄する際に申述書への添付が必要な書類は以下のとおりです。

  • 相続放棄を申し立てる人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

被相続人の子ども・孫などが相続放棄する際に必要な書類

被相続人の子どもが相続放棄する際に申述書への添付が必要な書類は以下のとおりです。

  • 相続放棄を申し立てる人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 申述人が代襲相続人(孫、曾孫等)の場合は、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

被相続人の父母・祖父母などが相続放棄する際に必要な書類

被相続人の子どもが相続放棄する際に申述書への添付が必要な書類は以下のとおりです。

  • 相続放棄を申し立てる人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合は、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属に死亡している人(相続人より下の代の直系尊属に限る)がいる場合は、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

被相続人の兄弟姉妹・甥姪などが相続放棄する際に必要な書類

被相続人の兄弟姉妹・甥姪が相続放棄する際に申述書への添付が必要な書類は以下のとおりです。

  • 相続放棄を申し立てる人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合は、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属に死亡している人(相続人より下の代の直系尊属に限る)がいる場合は、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 申述人が代襲相続人(甥、姪)の場合は、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

家庭裁判所に申し立てを行う

必要書類が準備できたら、被相続人の住民票がある地域を管轄する家庭裁判所に相続放棄を申し立てます。相続放棄の申し立ては相続人本人が行うのが原則ですが、未成年者や成年被後見人の場合は法定代理人が代わりに申し立てます。

申し立ての際は、相続放棄申述書と申立添付書類に800円(申述人1人あたり)の収入印紙と連絡用の郵便切手を同封して、家庭裁判所に送付しましょう。

照会書・回答書を記入して返送する

相続放棄の申し立てが完了すると、2週間程度で家庭裁判所から照会書と回答書が送られてきます。紹介書や回答書は相続放棄が申請者本人の意思に基づいて行われているかを判断するための書類です。

「相続人になったのを知ったのはいつか」「被相続人の死後、財産を処分したり債務を弁済したりしたことがあるか」など、複数の質問に回答・押印し返送する必要があります。

なお、差出人が家庭裁判所の職員になっているケースもあるので、見落とさないよう注意しましょう。書面に記載されている期日までの回答が難しい場合は、早めに裁判所へ連絡してください。

相続放棄申述受理書を受け取る

照会書・回答書の返送後、裁判所から送付される「相続放棄申述受理書」を受け取ると相続放棄の手続きは完了です。相続放棄申述受理書は紛失しても再発行できないため、大切に保管しておきましょう。

相続人全員が相続放棄したら相続財産管理人が処分・清算を行う

相続人全員が相続放棄した場合、家庭裁判所から選任された相続財産管理人によって、相続財産の処分や精算が行われます。相続放棄によって財産を管理する人がいなくなると、借金の返済が滞ったり、不動産の管理が行き届かなくなったりなど、さまざまなトラブル・リスクが生じる可能性があるためです。

相続財産管理人は、地域の弁護士や司法書士などの専門家が選任されるケースが一般的です。相続財産管理人の選任後は、財産調査を行い、すべての財産を処分・清算していきます。内縁の配偶者のような特別縁故者に対して財産分与が行われる場合もあります。

特別縁故者とは?
特別縁故者とは、被相続人と生計を同一にしていた、被相続人の療養看護をしていたなど、被相続人と特別な関係にあったことを理由に、法定相続人がいない場合に財産を相続する権利を持つ人のことです。

特別縁故者への財産分与や借金の返済などをして残った財産は、最終的に国庫に帰属します。

相続放棄の手続きを自分で行う際の注意点

相続放棄の手続きを自分で行う際は、以下の点に注意しましょう。

  • 照会書・回答書の項目は事案によって異なる
  • 相続放棄の申し立ては3ヶ月まで
  • 一度却下された場合は再申請しても受理されにくい
  • 相続権が移ってトラブルになってしまう恐れがある
  • 相続放棄後にも管理義務が及ぶ可能性がある

手続きがスムーズに進まない場合、相続放棄の期限を過ぎてしまったり、新たな親族間トラブルを招く可能性もあるため、事前にチェックしておきましょう。

照会書・回答書の項目は事案によって異なる

相続放棄の申し立てをした後に家庭裁判所から送付される、照会書・回答書に記載されている内容や書式は、その時々の事案や裁判所によっても異なります。

質問数や回答方法(選択式・自由記入式)なども異なるため、記入する際には法的な判断が必要となるケースもあるかもしれません。自分だけで判断するのが難しい場合は弁護士や司法書士などに相談することをおすすめします。

相続放棄の申し立ては3ヶ月まで

相続放棄の申し立てができるのは、基本的に相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内です。3ヶ月の間に相続財産を明らかにして必要書類を準備し、申し立てを行う必要がありますが、多くの人にとって慣れない作業なので、手続きがスムーズに進むとは限りません。

金融機関や自治体の窓口を訪問するために、仕事を休まなければならないこともあります。また、不備が生じて手続きのやり直しが必要になったり、裁判書から呼び出されたりすることもあるでしょう。申し立てまでの準備期間は最低でも1ヶ月はかかると考え、早めに手続きを進めておくのが賢明です。

一度却下された場合は再申請しても受理されにくい

申し立てを行っても必ず相続放棄できるわけではありません。
たとえば、以下のようなケースは民法第921条で定めている「法定単純承認」に該当するため、相続放棄は基本的に認められません。

  • 被相続人の財産を使い込んだ
  • 被相続人の財産の中から被相続人の借金を返済した
  • 被相続人の財産を他人に贈与した

家庭裁判所に相続放棄が却下された場合、再度申し立てをしても、よほど合理的な理由がない限り、受理される可能性は低いと考えておいた方がよいでしょう。

相続権が移ってトラブルになってしまう恐れがある

相続放棄をすると次順位の相続人に相続権が移行します。たとえば被相続人の借金が多いことを理由に相続放棄した場合、次順位の相続人が借金を相続することになってしまうかもしれません。相続放棄をするとしても手間や費用がかかるので、次順位の相続人は快く思わない可能性が高いでしょう。

相続トラブルに発展する可能性もあるので、相続放棄をする際は次順位の相続人に対して一声かけておくことをおすすめします。

相続放棄後にも管理義務が及ぶ可能性がある

相続財産管理人が選任されるまでは、相続放棄した人に財産を管理する義務が生じます。たとえば不動産を相続放棄した場合、相続財産管理人に引き渡すまではその不動産を管理しなくてはなりません。放置していると、万が一周辺の住民や財物に損害を与えてしまった場合、管理義務責任を問われる可能性があるので、注意しましょう。

自分で相続放棄の手続きが困難なら弁護士に依頼しよう

相続放棄をする場合、3ヶ月の期限内に相続財産の調査や必要書類の準備などを終えなければなりません。もし相続人同士でのトラブルを抱えている場合や、海外に住んでいる場合など、自力で手続きを進めるのが難しい場合は弁護士に相続放棄の手続きを任せるのがおすすめです。

弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

  • 相続放棄が本当に適しているのか判断してもらえる
  • 手続きや必要書類についてアドバイスをもらえる
  • 期限を過ぎても申し立てできる可能性がある
  • 債権者への対応も依頼できる

なお、弁護士へ依頼する際の費用相場は、相続放棄する人一人当たり約5〜10万円です。ただし、実際にかかる費用は依頼先によって大きく異なるため、まずは無料相談を活用して費用や依頼できる内容を確認しておきましょう。

相続放棄が本当に適しているのか判断してもらえる

そもそも本当に相続放棄が適しているのかは事案によって異なります。たとえば、限定承認をした方がメリットがある、相続放棄によって相続人同士のトラブルに発展するリスクがある、といった場合は相続放棄を選択しない方が良いかもしれません。

相続放棄をすると、詐欺や錯誤などよほどの理由がない限り、取り消しはできないため、慎重な判断が求められます。また、一度相続放棄が却下されると、2度目の申請が認められることはほとんどありません。

弁護士に相談すれば、個別のケースごとに法的な観点で相続放棄が本当に適しているか判断してもらうことが可能です。

手続きや必要書類についてアドバイスをもらえる

初めての相続放棄だと手続きや書類の準備に手間取ってしまう可能性もあります。弁護士に相談すれば以下のようなケースでも、アドバイスをもらったり、手続きの代行をしてもらったりすることが可能です。

  • 相続放棄の手続き(書類取得など)をする時間が取れない
  • 相続財産の調査ができない
  • 申述書の書き方がわからない
  • 照会書や回答書の記入方法がわからない
  • トラブルを避けるために疎遠な親族に連絡してほしい

とくに相続財産が多い場合や、後順位の相続人が相続放棄をする場合は、集めなくてはならない書類も多くなるので、弁護士に依頼した方が正確に手続きを進められるでしょう。

なお、司法書士に依頼しても、手続きに関するアドバイスを受けられる可能性はあります。しかし、司法書士には弁護士のように「代理権」がないため、申述書の提出や照会書の記入など手続きの代行はできません

期限を過ぎても申し立てできる可能性がある

通常、相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎると申し立てはできなくなってしまいます。とくに死亡日から3ヶ月経過後に申請をする場合は「死亡日から3ヶ月は経過しているものの、自己のために相続の開始があったことを知った時からは3ヶ月経過していない」ということを説明する必要があります。

特別な事情があり、相続放棄の期限が過ぎてしまった場合には、上申書を提出すれば、期限を過ぎても申し立てできる可能性があります。ただし、上申書の作成には、専門的な知識が必要になるため、弁護士に相談したほうが適切に対処できるでしょう。

債権者への対応も依頼できる

相続放棄をする場合は、相続財産の中に借金が含まれているケースも多いでしょう。相続放棄が完了する前に債権者から督促の連絡が来るケースも少なくありません。

あらかじめ弁護士に相続放棄の手続きを依頼しておけば、債権者からの督促が来ることを防いだり、代理で対応してもらったりすることも可能です。

まとめ

相続放棄を希望する場合、自分で手続きを進めることもできます。3,000〜5,000円程度の費用で手続きを進められるため、相続内容が複雑でなく、相続人全員が放棄に合意している場合は、自分で手続きを行うことを検討してもよいでしょう。

しかし、そもそも相続放棄が必要なのか悩んでいる場合や、相続放棄の期限である3ヶ月以内に手続きが終わるか不安がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼すると、相続放棄がベストな選択肢なのかアドバイスを受けられる、必要書類の準備や手続きを代行してもらえる、など多くのメリットがあります。

相続財産が多い場合や、相続人同士でトラブルが生じる懸念がある場合は、弁護士の助けを借りることで安心して手続きを進められるでしょう。