税理士に無料で相談できる窓口
税理士に無料相談できる窓口は、下記のように複数あります。
- 税理士事務所の無料相談
- 国税庁や税務署の無料相談窓口
- 税理士会が主催する無料相談窓口
- 商工会議所など自治体主催の無料相談窓口
それぞれの特徴やメリット、デメリットを紹介します。
税理士事務所の無料相談
多くの税理士事務所が電話やメール、LINE、チャットボットなどを活用した無料相談を行っています。面談での相談は予約制の場合が多いですが、事務所によっては即日相談が可能なこともあります。無料相談を利用したからといって必ずその事務所に依頼する必要はないため、まずは問い合わせてみるのも良いでしょう。
税理士事務所の無料相談のメリットは、税に関する申告方法や必要書類といった基礎的な内容の相談であればその場で解決でき、税理士費用の削減ができる点です。対応する税理士が相談内容を専門としている場合は、適格なアドバイスをもらえるでしょう。
また、メール相談であれば税理士からの回答を記録として残せるため、メモを取る手間を省けます。最近は24時間対応のチャットボットを活用している税理士事務所もあり、日中働いている方も時間を気にせず相談可能です。
デメリットは面談での相談は予約制が多く、希望するタイミングで相談できない場合がある点です。また、対応する税理士が相談内容に関する知識が乏しい場合は、期待通りの回答を得られないことも考えられます。一般的に無料相談は「初回のみ30分無料」など、時間や回数が決められているため、無料相談の範囲で解決しないこともあります。
限られた時間を有効活用するためには、事務所選びも意識しましょう。事務所によって法人税や所得税が得意、相続税や贈与税が得意など専門が異なるため、相談先の事務所が自分の相談内容を得意としているかも確認しておくと良いでしょう。
国税庁や税務署の無料相談窓口
国税庁や税務署でも無料相談を行っています。国税庁では電話やチャットボットでの相談の他、よくある税の質問・回答を検索できるタックスアンサーを提供しています。
税務署では電話やチャットボットでの相談を受け付けています。基本は電話相談での対応ですが、電話での回答が難しい場合や書類の確認が必要な相談の場合は、税務署での面談を予約できます。
国税庁や税務署の無料相談のメリットは予約不要・匿名で利用でき、相談時間が区切られていない分、ある程度自分のペースで相談できる点です。相談に対応するのは税務署職員ですが、税に関する基礎的な質問であれば、国税庁や税務署の無料相談で満足な回答を得られる可能性が高いといえます。
一方で、節税のアドバイスといった個別相談への回答は期待できないため、相談内容によっては不十分な結果になることもあるでしょう。また、確定申告などで相談が混み合う時期は、相談まで時間を要することがあります。相談が混み合う時期で電話がなかなかつながらない場合は、24時間受付のチャットボットなどの利用も検討してみてください。
国税相談専用ダイヤル:0570-00-5901
チャットボット
タックスアンサー
税理士会が主催する無料相談窓口
税理士会とはすべての税理士が加入する組織です。電話での無料相談の他、税務や会計に関する無料相談会などを定期的に開催しています。
税理士会の無料相談のメリットは、電話相談であれば、どこからでも手軽に利用できる点です。また、無料相談で信頼できる税理士に出会えれば、今後依頼先を探す手間が省けるでしょう。
デメリットは「相談時間30分」など時間が制限されていることが多く、複雑な相談内容の場合は無料相談の範囲で解決するのが難しい点です。また、地域によっては「税理士事務所と顧問契約を結んでいる人は利用不可」「申告書のチェック依頼不可」などの条件を設けている場合もあります。
税理士会は全国に15ヵ所あり、それぞれ利用条件などが異なります。最寄りの税理士会のホームページを確認のうえ相談すると良いでしょう。
日本税理士会連合会
商工会議所や自治体主催の無料相談窓口
商工会議所や自治体主催の無料相談窓口を利用する方法もあります。税に関する相談が増える確定申告の時期などに相談会が開催されることが多く、地元の現役税理士や公認会計士が相談に応じてくれます。
商工会議所や自治体主催の無料相談窓口は、地元の現役税理士や公認会計士などが対応することが多く、後に依頼する場合もやり取りしやすいといったメリットがあります。また、地元の会場での開催のため、足を運びやすいでしょう。
デメリットは複雑な相談内容の場合は対応してもらえない、「1つの相談内容につき1回のみ無料」「相談時間30分~1時間」などの条件が設けられている点です。また、土日祝日の利用はできず、予約が必要な場合もあります。
商工会議所の無料相談に関しては「無料相談は会員のみ相談可」「会員以外の相談可」など相談会によって利用条件が異なるため、事前に確認のうえ利用しましょう。
日本商工会議所
相談無料の税理士に相談できる内容
税理士への無料相談では、下記のような内容を相談できます。
- 確定申告の方法
- 納税額の減らし方
- 給付金などの申請方法
- 個人事業主の開業方法
- 相続が発生した時の税金
無料相談の範囲では踏み込んだ内容の相談は難しいですが、基礎的な内容であれば正確な回答を得られます。税理士への依頼を迷っている場合は、まずは無料相談で様子を見るのも良いでしょう。
確定申告の方法
無料相談では、確定申告の方法について相談できます。確定申告書を初めて作成する場合に躓きやすい、記載方法や計算方法についてアドバイスをもらうことが可能です。また、白色申告から青色申告へ切り替えるタイミングなども相談でき、節税対策に役立ちます。
納税額の減らし方
無料相談では「節税のための経費計算を知りたい」「相続に備えて、生前贈与などで節税したい」といった、節税に関する相談も多く見られます。
節税の知識がないまま事を進めると、脱税になるおそれもあります。税理士に相談することで節約可能な税金と、支払わなければならない税金の切り分けなどのアドバイスをもらうことが可能です。
ただし、無料相談は時間や回数も限られているため、節税に関しても基礎的な内容への回答のみで、細かな節税方法へのアドバイスをもらうのは難しいでしょう。
給付金などの申請方法
給付金や助成金、補助金の申請方法についての質問も無料相談で行えます。申請に必要な書類や受け取った給付金の活用法、税法上の扱いなどを相談できます。
その他、事業拡大に必要な融資に関する質問なども可能です。金融機関から融資を受ける方法や会計処理などの相談などができます。
個人事業主の開業方法
個人事業主として開業するためのアドバイスをもらうために、税理士の無料相談に足を運ぶケースもあります。個人事業主になる際は、税務署に開業届を出します。そして、1年間の所得や納税額を計算し、確定申告と納税をするなど、会社員とは異なる手間が生じます。
開業時は本業に加え、確定申告に向けた帳簿作成などの経理業務も発生するため、どのように進めていけば良いか迷う人も多い模様です。税理士に相談することで専門的なアドバイスをもらえるため、開業準備、日々の帳簿付けなどもスムーズに進むでしょう。
相続が発生した時の税金
税理士への無料相談では、相続に関する質問も可能です。相続税は基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)を超える場合に発生する可能性があります。相続税が発生する場合は、被相続人の死亡日の翌日から10ヵ月以内に申請する必要があり、申請にはさまざまな書類の準備が必要です。納付期限に間に合わなかったり、知識がないまま誤りのある申告をしたり、基礎控除を超えるのに無申告で通したりすれば、追加徴税という形で最大40%の税率でペナルティを課されるおそれがあります。
無料相談の範囲で相続の申告のすべてを相談するのは難しいですが、申告の必要があるのかの切り分けや、実際に申告が必要になった場合の手続き方法などを確認するためにも、無料相談を利用するのは大いにメリットがあります。
相続税の申告が不要なケースや、非課税でも申告が必要なケースなどについては下記の記事を参考にしてみてください。
税理士の無料相談のメリット
税理士の無料相談のメリットは下記の通りです。
- お金をかけずに専門家に相談できる
- 書類準備などの負担を軽減できる
- ストレスを軽減できる
無料で利用でき、基礎的な質問は正確な回答を得られるため、「税理士に依頼するほどの内容なのか」と迷う場合は、まずは無料相談を利用するのが良いでしょう。
お金をかけずに専門家に相談できる
無料相談では、その名の通り無料で専門家に相談ができます。税に関する基礎的な内容であれば、お金をかけずに有意義な回答を得られるでしょう。
踏み込んだ内容の相談であった場合は、その場ではすべてが解決しなくても、今後その税理士に依頼するかを判断する機会になります。無料相談したからといって必ずしも依頼する必要はないため、無料相談を複数あたって信頼できる税理士を探すのも良いでしょう。
なお、有料相談の相場は、申告方法や会計処理の相談などの単発契約であれば、30分以内の相談で5,000円前後、1時間以内の相談で10,000円前後です。以降30分ごとに3,000〜5,000円の追加費用が発生します。
書類準備などの負担を軽減できる
税に関する手続きは書類準備などもあり、手間がかかります。例えば、相続税の申告であれば下記のような書類が必要となります。
- 相続税の申告書
- 被相続人とすべての相続人に関する書類(戸籍謄本や住民票など)
- 相続財産に関する書類(預貯金の残高証明書や不動産の登記簿謄本など)
さらに、特例や控除を受ける場合は別途書類が必要になります。例えば、小規模宅地等の特例を受ける場合は相続人の戸籍の附票や相続人の自宅の賃貸借契約書など、配偶者の税額軽減などを利用する場合はすべての相続人の印鑑証明書や申告期限後3年以内の分割見込書なども揃えます。必要書類を調べるだけでも労力を要するでしょう。無料相談を利用すれば、手続きに必要な書類を教えてもらえるため、負担を軽減できます。
また、手続きの際に発生するおそれのある問題や、その解決策などについてもアドバイスをもらえるため、自分一人で取り組むよりもずっと労力を減らすことが可能です。
自分に合った税理士が見つかる
税理士に依頼しても「自分の話が上手く伝わらない」「知識不足を感じる」といった問題が生じる場合もあります。無料相談を利用すれば、まずは税理士と話をすることができるため、意思疎通が取りやすい相手か、自分の相談内容に特化している税理士かなどの見極めができます。信頼できる税理士を探せるといった点でも、無料相談は大きなメリットがあるといえるでしょう。
税理士の無料相談のデメリット
無料相談の範囲では踏み込んだ内容への相談は難しく、満足な結果が得られないことも考えられます。また、時間や回数が限られているため、相談前の準備が必要になります。これらのデメリットも把握したうえで、無料相談を利用しましょう。
期待するような回答が得られない場合がある
無料相談では、税理士より十分な回答が得られない可能性もあります。税に関する手続きに必要な書類や、確定申告についてなど基礎的な質問であれば、比較的満足のいく回答を得られますが、節税や相続の踏み込んだ内容などへの回答はあまり期待できません。
無料相談の範囲を超える質問や時間が足りない場合は、有料相談となることもあります。また、相談内容が複雑な場合は、相談先に断られてしまう可能性もあります。無料相談はあくまでも相談内容に対する行動指針の概要をアドバイスしてもらう機会として考え、さらに詳しいアドバイスが必要な場合は有料での依頼を検討しましょう。
無料相談時間は30分~1時間程度と短い
税理士への無料相談の多くは、30分~1時間と時間が限られています。利用回数も1回までとしているケースが多く、限られた時間を有効活用する必要があります。
相談したい内容や質問、要望を整理する、資料などがあれば用意しておくなど、事前準備が重要です。無料相談をスムーズに進めるための準備については、後述します。
【相続税編】スムーズに相談を進めるために準備すべきこと
限られた時間の無料相談を有効活用するためには、事前準備をしっかりとしておきましょう。例えば、相続の相談をする場合は下記のような準備が必要です。
- 相談内容を整理し、ポイントを書き出しておく
- 相続財産の関連する書類をそろえる
- 法定相続人を決めておく
事前準備をしておくことで、相続にまつわる状況が税理士に伝わりやすくなり、相談や質問に時間を割くことができるでしょう。
相談内容を整理し、ポイントを書き出しておく
相続税に関する相談に限らず、税理士の無料相談を利用する場合は、あらかじめ相談内容を整理しておきましょう。相談内容を書き出すとともに、できる範囲で相談内容に関する知識を身につけておくことも重要です。知識をつけることで自分で理解できる点と、専門家でなければわからない点の切り分けができ、無料相談で質問したいことが明確になります。
相続財産の関連する書類をそろえる
相続に関する相談の場合は、相続財産に関する書類を準備しておきましょう。相続税の申告の可否の判断や相続税の計算などに役立ちます。具体的には、下記のようなものが相続財産に該当します。
- 現金
- 預貯金
- 不動産(土地や家屋)
- 有価証券(株式や債権、ゴルフの会員権)
- 生命保険(500万円×法定相続人の数の非課税限度額を超える分)
- 自動車
- 貴金属
- 美術品や骨董品 など
なお、借入金やローン、未払いの税金や医療費、保証債務、損害賠償債務といった負の財産も相続の対象に含まれるため、こちらも事前に洗い出しておく必要があります。
また、被相続人の通夜や告別式、火葬、埋葬、納骨といった葬儀にかかった費用は、相続財産から控除できるため、事前に金額をまとめておくと良いでしょう。
法定相続人を決めておく
無料相談の前に、法定相続人を明確にしておくことも重要です。法定相続人とは、民法で定められた被相続人(亡くなった人)の財産を受け取る人を指します。法定相続人を確定するには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本・改正原戸籍謄本)が必要です。
法定相続人が明確になったら、相続関係説明図を作成しておくことをおすすめします。相続関係説明図とは、被相続人と相続人の関係を一覧にまとめたものです。相続関係説明図を用意しておくことで、複雑な相続関係であっても税理士に理解してもらいやすくなります。限られた時間の無料相談を有効に使うためにも、事前準備をきちんとしておきましょう。
戸籍謄本は市役所や区役所で取得する
戸籍謄本は被相続人の本籍地で発行されるため、本籍地の市区町村役場で取得もしくは郵送で取り寄せます。本籍地が不明な場合は、被相続人の住民票除票で確認可能です。戸籍謄本を取得する際は、戸籍交付申請書と本人確認書類が必要となります。
なお、戸籍謄本の請求者と被相続人の関係が戸籍上で確認できない場合は、関係を証明する戸籍謄本も用意しましょう。
令和6年3月1日の戸籍法の改正により、本籍地以外の市区町村役場でも戸籍証明書等が請求できるようになりました。ただし、始まったばかりのサービスのため、交付まで時間を要する可能性もあります。
相続関係説明図はテンプレートから作成できる
先述した通り、相続関係説明図は被相続人と相続人の関係を一覧にしたものです。被相続人と相続人の氏名や住所、それぞれの生年月日、死亡年月日、被相続人との続柄などを記載します。また、配偶者は横線でつなぎ、子どもは縦線でつないで家系図のようにすると関係性がわかりやすいでしょう。
インターネット上でダウンロードできるテンプレートを利用すると、住所や氏名の入力だけで済むためスムーズに作成できます。
相談をする税理士の選び方
税理士と一口に言っても専門はさまざまで、相続に特化している場合もあれば、経営管理や指導を得意としている場合もあります。税理士事務所の無料相談を利用する場合は、事務所のホームページなどを閲覧し、在籍する税理士が自分の相談内容を専門としているかを確認しましょう。
また、有料での依頼を検討している場合は、無料相談を信頼できる税理士であるかを判断する場としても活用してみてください。具体的には、自分と税理士の相性、税理士の対応の良さ、知識や実績の豊富さなどを確認できると良いでしょう。実際に依頼することを想定するなら、料金体系が明確な事務所を選ぶこともポイントです。
まとめ
税理士の無料相談は時間や回数が限られているものの、税に関する手続きの概要や必要書類などの基礎的な内容は明確な回答を得られます。自分一人では解決策が見つからず、悩んでいる場合は、一度無料相談を利用してみると良いでしょう。仮にその場で解決しなくても、専門家のアドバイスをもらえることで、今後税理士への依頼が必要かの判断ができます。相談内容に特化した税理士に相談し、手続きをスムーズに進めましょう。
無料相談・電話相談OK!
一人で悩まずに士業にご相談を
- 北海道・東北
-
- 関東
-
- 東海
-
- 関西
-
- 北陸・甲信越
-
- 中国・四国
-
- 九州・沖縄
-