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【2024年】相続税はいくらまで無税?計算方法や早見表を紹介

【2024年】相続税はいくらまで無税?計算方法や早見表を紹介

「相続したから相続税を納付しなくては…」「相続税ってどうやって計算するの?」など、相続税の問題は相続人の頭を悩ませます。被相続人から財産を相続すると「相続税」を支払わなければならない、というイメージがある人は多いでしょう。

しかし、計算してみると相続税が発生する相続は、ごくわずかです。「3,000万円+(法定相続人×600万円)」を基礎控除として計算します。そのため、相続人が1人でもいる場合は3,600万円までの相続財産であれば、相続税は発生しません。

また、基礎控除だけでなく、配偶者の税額軽減・未成年者控除・相次相続控除・贈与税額控除など、その他にもさまざまな控除があります。それぞれ控除が受けられる条件が定められているため、当てはまるかどうかをチェックしたうえで控除を利用しましょう。

相続税の計算方法は、相続する人数・相続する人の状況によって異なります。計算を間違えると申告する相続税が正しい納付額と異なり、後々問題になってしまう可能性もあるでしょう。正しく算出できるように、順序を守って計算しなくてはなりません。

ここでは、相続税が無税になる資産の目安と計算方法・わかりやすい早見表を紹介します。

相続税はいくらまで無税なのかの目安は「3,600万円」

相続財産が基礎控除額内であれば相続税は無税になります。

基礎控除額は、3,000万円+(法定相続人の×600万円)で算出されます。よって、相続税が無税となる目安は、相続財産が3,600万円までです。

基礎控除額は法廷相続人の人数によって異なるため、以下を参考にしてください。

基礎控除額の計算方法は「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」

基礎控除額の計算は以下の通りです。

3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

例えば、子供がいない夫婦の場合、法定相続人は1人です。計算式は3,000万円+(1×600万円)となり、3,600万円が基礎控除額です。

続いて子供が1人の場合、法定相続人が2人となり、計算式は3,000万円+(2×600万円)=4,200万円が基礎控除額として算出されます。

法定相続人とは、被相続人の配偶者・子どもなど血縁関係がある人を指します。配偶者は常に法定相続人と定められており、子と孫は第1位、父母・祖父母は第2位、兄弟・姉妹は第3位と血縁関係が近い順に分類されています。順位の高いグループの人が相続人になることが原則です。

例えば、被相続人に配偶者と子どもがいた場合、法定相続人となるのは配偶者と子どものみです。一方で、被相続人に配偶者はいるが子供がおらず、両親が生存している場合は配偶者と両親(父・母)が法定相続人です。

いずれの場合でも、基礎控除の計算方法は変わりません。

相続税の計算に役立つ早見表

相続税を計算する場合は、以下の早見表を参考にしてください。

配偶者あり・なしで分けて紹介します。
配偶者ありの相続税は、配偶者の税額軽減を適用した金額です。

配偶者あり
基礎控除前の相続財産 配偶者+子ども1人 配偶者+子ども2人 配偶者+子ども3人
5,000万円 40万円 10万円 なし
6,000万円 90万円 60万円 30万円
7,000万円 160万円 113万円 80万円
8,000万円 235万円 175万円 138万円
9,000万円 310万円 240万円 200万円
1億円 385万円 315万円 263万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1,218万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,540万円
4億円 5,460万円 4,610万円 4,155万円
5億円 7,605万円 6,555万円 5,962万円
配偶者なし
基礎控除前の相続財産 子ども1人 子ども2人 子ども3人
5,000万円 160万円 80万円 20万円
6,000万円 310万円 180万円 120万円
7,000万円 480万円 320万円 220万円
8,000万円 680万円 470万円 330万円
9,000万円 920万円 620万円 480万円
1億円 1,220万円 770万円 630万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,460万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円
4億円 1億4,000万円 1億920万円 8,980万円
5億円 1億9,000万円 1億5,210万円 1億2,980万円

基礎控除以外の控除・特例

基礎控除は法定相続人の人数で定められている一定の控除額です。

相続税の計算では、そのほかにさまざまな控除・特例も設けられています。

  • 配偶者の税額軽減
  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除
  • 小規模宅地等の特例
  • 贈与税額控除
  • 外国税額控除

配偶者の税額軽減

配偶者は「1億6,000万円」もしくは「配偶者の法定相続分相当」のどちらか多い金額までは相続税が発生しません。

ただし戸籍上の配偶者にのみ適用される特例です。内縁のパートナーや事実婚だった場合は、配偶者の税額軽減の特例が受けられません。

ほかにも、以下の条件があります。

  • 遺産分割方法を相続税の申告期限までに決めている
  • 相続税の申告を行っている

条件に当てはまる場合に限り、配偶者の税額軽減の特例が受けられます。

未成年者控除

法定相続人が満18歳未満の場合、相続したときの年齢を18から差し引き、その数に10万円をかけた分が控除されます。

(18歳ー相続時の年齢)×10万円

例えば、相続時に15歳だった場合、(18歳-15歳)×10万円=30万円が控除されます。成人年齢が引き下げられたことで18歳未満としていますが、令和4年3月31日以前の相続については、20歳を基準とします。

また過去に未成年者控除を利用している場合、控除額が制限される可能性があるため、注意してください。

障害者控除

心身に障害をもつ法定相続人に適用可能な控除です。障害者控除は、一般障害者と特別障害者で分けられています。

一般障害者の場合:(85歳-相続時の年齢)×10万円
特別障害者の場合:(85歳-相続時の年齢)×20万円

一般障害者と特別障害者は、障害の程度によって判断されます。どちらに当てはまるかをよく確認しておきましょう。

相次相続控除

相次相続控除は、10年以内に2回以上の相続が発生した場合の相続税負担を減らせる制度です。短い期間で相続をする場合、同じ財産に再度相続税がかかってしまいます。そのため、前回納めた相続税の一部が控除できます。

被相続人が前回の相続時に支払った税金額×1-(前回から今回までの経過年数×10%)

例えば、被相続人が前回相続税100万円を支払っていた場合、その3年後に被相続人が亡くなって前回相続した財産と同じ財産を相続するとなったケースでは、

100万円×1-(3×10%)=70万円が控除額として算出されます。

ただし、前回の相続時に相続税が課せられていなかった場合は適用されません。また同時死亡で発生した相続に関しても適用外です。

小規模宅地等の特例

自宅・事業所などを受け継ぐ際に利用できます。土地の評価額を最大で80%減額できる特例です。一般的な家庭の相続では、預貯金や株式などよりも不動産(自宅)が大半を占めます。

不動産の相続で発生した相続税のために住んでいた家を手放さければならないとなると、相続人の生活が一変してしまいます。

そこで、相続人が相続前と変わらない生活を送れるように設けられた特例です。
ただし、どんな土地でも小規模宅地等の特例が利用できるわけではありません。

小規模宅地等の特例が適用されるのは、以下の通りです。面積の限度と減額割合も合わせてチェックしましょう。

特定居住用宅地

自宅の土地などを含め、居住用として使用していた土地のことです。配偶者・同居していた相続人・条件を満たしている別居親族が相続する場合に適用されます。

面積の限度は330平方メートル、減額割合は80%です。

貸付事業用宅地等

駐輪場や駐車場、マンションやアパートなど、貸付事業で使用していた土地のことです。相続が開始する前から土地を貸し出していたこと、また相続税を申告する期限まで土地を貸し出していることが条件です。

面積の限度は400平方メートル、減額割合は80%です。

特定事業用宅地等

お店の土地や事務所の土地など、被相続人が事業で使用していた土地です。申告期限内に事業を引き継いで申告期限まで事業を営んでいる、相続開始直前から申告期限まで事業を営んでいる、さらに相続税の申告期限までに土地を保有している場合に適用されます。

面積の限度は200平方メートル、減額割合は50%です。

小規模宅地等の特例の適用により、相続税は大きく節税できる可能性が高いでしょう。

贈与税額控除

相続税と贈与税の二重課税にならないように設けられた特例です。贈与された財産には贈与税が、亡くなった後に発生した相続には相続税が課せられます。しかし、相続税を計算するルールとしては、贈与財産も相続財産にプラスして計算するのが原則です。

すると、1つの財産に対して贈与税と相続税が課せられる「二重課税」が発生します。二重課税を防ぐために、贈与税額控除を利用しましょう。

相続時精算課税で生前贈与されている財産は、贈与者が亡くなると相続税の対象です。生前贈与で財産を受け取っており、すでに納付している贈与税は相続税から控除されます。

外国税額控除

被相続人が日本国外に財産を持っていた場合に利用できる特例です。外国で保有する財産に対して相続税が課せられた際、日本の相続税から一部が控除されます。二重課税を防止するために設けられた控除です。

金額は「外国で既に支払っている相続税の相当分」もしくは「相続した財産のうち外国で保有している資産の金額×相続税額」のうち、どちらか少ない方が適用されます。

控除が適用される順序

上記で紹介した控除が複数適用される場合は、順序に沿って適用されます。

適用の順序は以下の通りです。

  1. 贈与税額控除
  2. 配偶者控除
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 相次相続控除
  6. 外国税控除
  7. 贈与税額控除

控除の途中で相続税が0円になった場合、それ以上の還付は受けられません。

相続税を計算する流れ

相続税の計算は、以下の流れで行うとスムーズです。

  1. 遺産の総額を把握する
  2. 基礎控除分を差し引く
  3. 相続税を計算する
  4. 一人ひとりの納税額を計算する

1.遺産の総額をすべて把握する

まず行うべきなのは、被相続人の財産を確認、すべて把握することです。財産の総額が間違っていると、相続税の計算に影響を及ぼします。被相続人名義の通帳や不動産、株式などを含めて、財産目録を作成しましょう。

葬式費やマイナスの財産は、プラスの財産から差し引いて計算できます。

マイナスされる財産

マイナスされる財産は、被相続人の借金・葬式日・過去7年以内の贈与財産に対して発生した贈与税などです。住宅ローンの残高・事業用の借り入れなどもマイナスの財産に含まれます。

ただし、住宅ローンの残高に関しては、被相続人が加入していた団信で完済できるケースが多いです。その場合、財産から差し引くことはできません。

相続税の非課税枠となる財産

被相続人の財産の中には、相続税の対象とならない財産もあります。非課税枠となる財産は以下の通りです。

  • 墓地や墓石、仏具
  • 弔慰金や花輪代
  • 損害賠償金
  • 国や地方公共団体への寄附金

これらは非課税財産として扱われるため、相続税の計算には含めません。

また、死亡保険金や死亡退職金は、非課税枠のあるみなし相続財産です。
「500万円×法定相続人の数」で算出された金額までは非課税となり、相続税の計算には含めません。

2.基礎控除分を差し引く

財産の総額が算出されたら、基礎控除分を差し引きましょう。基礎控除額が多ければ、その時点で相続税は無税です。

相続税が発生する場合は、10か月以内に申告書を作成し、税務署に提出します。

3.相続税を計算する

財産総額を法定相続人で按分して、相続税を計算します。法定相続分は被相続人との関係性で異なります。

それぞれの相続人の法廷相続分が計算できたら、税率をかけて控除額を差し引き、支払う必要のある相続税を算出しましょう。

相続税早見表やシミュレーションソフトを利用すると、容易に計算できます。

4.一人ひとりの納税額を計算する

法定相続分の相続税総額が算出されたら、それぞれの相続人の相続税を計算します。ただし、法定相続分で相続を行わないケースもあるでしょう。

法定相続分ではなく、実際の相続割合をもとに計算します。
その後、相続人ごとに利用できる控除がないかどうかを確かめましょう。

相続税が無税なら申告は不要

相続財産が基礎控除よりも少なければ、相続税は無税です。無税の場合は税務署への申告は必要ありません。

ただし、相続放棄・限定承認などを行う場合、また特例や控除を利用して無税とする場合は、その旨を申告する必要があります。

まとめ

相続税は、相続する財産が多い場合に納付義務がある税金です。基礎控除やその他の特例・控除の制度があり、実際に相続税が発生する相続はそれほど多くありません。

まずは相続財産をすべてまとめ、相続税を納める必要があるかを確かめましょう。相続財産から適用される控除を差し引き、計算して最終的な相続税額を算出します。

ただし、相続税の計算は、想像しているよりも複雑です。正しい計算を行わないと、間違った相続税額が算出されてしまいます。また、相続税の申告期限は相続の発生から10ヶ月と定められています。

「どのように計算したらよいかわからない」「相続税が発生するかどうか確かめたいけれど、申告期限まで時間がない」というときは、専門家に相談してみましょう。