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親等とは?数え方や相続における考え方をわかりやすく解説

親等とは?数え方や相続における考え方をわかりやすく解説

親等とは、親族関係における親族同士の距離を表すものです。親族関係といっても、先祖代々からつながる血族関係だけでなく、婚姻や養子縁組によって生じる親族関係もあります。そのなかで親等の数え方や親等の違いで何が変わるかを知っておくことが大切です。

配偶者には親等はなく、本人と同列の扱いとなります。親等の数え方は、自分を0として、世代を経るごとに1つずつ増えます。

  • 1親等:子ども・親
  • 2親等:孫・祖父母・兄弟姉妹
  • 3親等:甥(おい)・姪(めい)・叔父・叔母、曾孫など

親等は、相続において「親等が近いほど相続順位が高い」「原則1親等以外の相続人は相続税が2割増し」など、相続人や相続税にも関係します。

また、離婚によって婚姻関係が終了する場合や内縁関係の場合、親等や相続にどう影響するのか理解しておくことも必要です。
この記事では、親等の意味から数え方、相続関係に影響する点まで分かりやすく解説します。

親等とは親族との関係の距離を表す

親等とは、親族関係における距離を表す法律上の単位です。1親等から2親等、3親等と数が大きくなるほど、親族としての距離は遠くなります。

また、親族関係においては、さまざまな用語が使われ、親等や相続について理解するうえでもその意味を知っておくことが大切です。

  • 血族と姻族(いんぞく)
  • 直系血族と傍系(ぼうけい)血族
  • 直系尊属と直系卑属(ひぞく)

血族と姻族

親族関係には「血族」と「姻族」があります。

同じ先祖からつながる血縁関係にある人を血族といいます。本人からみて、子、祖父母、孫、兄弟姉妹などです。
ただし、注意しなければならないのは、血族としてつながるのは生物学上の血縁関係だけでなく、養子縁組によって生まれた法律上の関係も血族に含まれる点です。これを「法定血族」といいます(民法809条)。

一方、姻族は、婚姻によって発生する親族関係です(民法727条)。本人もしくは配偶者それぞれの義理の両親や兄弟、叔父・叔母、甥・姪などが姻族となります。

婚姻によって発生した姻族関係は、離婚もしくは、夫婦の一方が亡くなり、残された配偶者が姻族関係を終了させる意思表示をしたときには終了します(民法728条)。

つまり、離婚の場合、配偶者との関係だけでなく姻族関係も当然に終了しますが、配偶者の死亡の場合は、当然には終了せず、姻族関係終了届を提出して終了させる意思表示が必要ということです。姻族関係終了届は、配偶者の死亡後、本人の本籍地もしくは住居地の市区町村に提出するだけで終了します。

直系血族と傍系血族

血族関係にも、本人の先祖から子孫まで縦につながる「直系血族」と直系ではない「傍系血族」があります。

直系血族は、先祖から子孫へつながる縦系統の血族関係です。
曾祖父母→祖父母→父母→自分→子→孫→曾孫といった関係を指します。基本的には血のつながりがある血縁関係になりますが、養子縁組した場合は、養父母と養子は血縁関係になくても直系血族となります。

一方、傍系血族とは、自分の兄弟姉妹やその配偶者、子ども(甥・姪)、あるいは自分の親の兄弟姉妹(叔父・叔母)など、血はつながっているものの親子関係ではない血族です。相続関係においては、傍系血族は直系血族と比べ相続順位は低くなります(民法889条)。

なお、原則として、戸籍謄本や除籍謄本を請求できるのは、本人のほか配偶者と直系血族ですので傍系血族の戸籍を請求することはできず、委任状が必要です。
ただし、傍系血族の兄弟姉妹が相続人になる場合など、権利や義務を履行する必要がある場合には傍系血族でも認められます。

直系尊属と直系卑属

親族関係のなかで、父母や祖父母、叔父、叔母など自分より上(前)の世代の親族を「直系尊属」といい、一方で子や孫、甥や姪など自分より下の世代の親族は「直系卑属」といいます。
相続においては、直系尊属でも親等が異なる者がいる場合(親と祖父母など)、親等が近い人が優先されます(民法889条2項)。

民法上の親族とは?

法律上の親族関係は、親等の数に限りなく続くわけではありません。民法725条では、親族について以下のように規定しています。

  • 6親等内の血族
  • 配偶者
  • 3親等内の姻族

つまり、配偶者のほか6親等内の血族、3親等内の姻族より遠い親族は、法的には親族にはあたりません。なお、配偶者には1親等などの親等の割り振りはなく、本人と同列に扱われます。

親等の数え方

親等の数によって親族関係の距離が決まりますが、親等はどのように数えるのでしょうか。親等の数え方には、以下のような決まりがあります(民法726条)。それぞれについて解説します。

  • 血族の親等は自分を0として数える
  • 姻族の親等は配偶者を0として数える
  • 兄弟姉妹は2親等、甥・姪は3親等と数える

血族の親等は自分を0として数える

血族関係の親等は、自分を0として、世代を経るごとに1つずつ増えていきます。
自分より上の世代は、自分→親(1親等)→祖父母(2親等)→曾祖父母(3親等)、自分より下の世代は、自分→子ども(1親等)→孫(2親等)→曾孫(3親等)などです(図表1参照)。

図表1:直系血族の親等
本人との関係 親等
曾祖父母 3親等
祖父母 2親等
父母 1親等
本人 0親等
1親等
2親等
ひ孫 3親等

婚姻の親等は配偶者を0として数える

姻族関係の親等の数え方は、血族関係の数え方と基本的に変わりません。血族関係では本人を0として数えていたところを、姻族関係では、配偶者を0として、世代を経るごとに1つずつ増えていきます。配偶者には親等がなく本人と同列に考えますので、本人からみて、配偶者の親(1親等)→配偶者の祖父母(2親等)となります(図表2参照)。

図表2:姻族関係の親等
本人との関係 親等
配偶者 0親等
配偶者の親 1親等
配偶者の祖父母 2親等
配偶者の兄弟姉妹 2親等
配偶者の甥・姪 3親等
配偶者の叔父・叔母 3親等
配偶者の従兄弟(いとこ) 4親等

兄弟姉妹は2親等、甥や姪は3親等と数える

直系血族ではなく、兄弟姉妹の血族(傍系血族)についての数え方は、少し注意が必要です。この場合、兄弟姉妹は、親の世代を経由してつながるという考え方をしますので(民法726条2項)、本人から親で1親等、親から兄弟姉妹で2親等となります。兄弟姉妹の子どもである甥や姪は3親等と数えます。

また、同様の考え方から、自分の親(1親等)の兄弟である叔父、叔母は3親等となり、叔父、叔母の子どもである従兄弟(いとこ)は4親等となります。

自分と配偶者の兄弟姉妹についても、自分と同列の配偶者を0として同様の考え方です。自分からみて配偶者の兄弟姉妹は2親等、配偶者の姪や甥は3親等、配偶者の従兄弟は4親等となります(図表3参照)。

図表3:傍系血族の親等
本人との関係 親等
兄弟姉妹 2親等
甥・姪 3親等
叔父・叔母 3親等
従兄弟(いとこ) 4親等

親等を数える際に注意が必要なケース

親等を数える際に注意すべきケースについて解説します。

  • 養子は親から1親等と数える
  • 連れ子は親から1親等の数える
  • 内縁関係は親族にならない
  • 異母兄弟・異父兄弟は2親等となる
  • 離婚で離れた親子は1親等となる

養子は親から見て1親等と数える

養子は、本人からみて1親等になります。親族関係を考える場合、血のつながった血縁関係や婚姻によって生じる姻族関係をイメージするかもしれません。
ただ、養親と養子との間に法律上の親子関係を作る養子縁組によって成立する親族関係についても親等が生じます(法定血族)。

本人の養子と実子は、兄弟姉妹の関係になりますので2親等となり、養子からみて養親は1親等、養親の親(養子の祖父母)は2親等となります。
ただし、養子の親族と養親の親族は、婚姻による姻族のように親族関係にはならない点には注意が必要です。

さらに、養子に養子縁組前にもうけていた子どもがいる場合、養子縁組しても養親と養子の子どもは親族にならず、養親の孫にもなりません。
一方、養子縁組後に養子がもうけた子どもは、親族関係がすでに生じていますので、養親の孫として親族関係になります。

なお、養子縁組には、実の親(生みの親)との親族関係が残る「普通養子縁組」(民法792条以下)と実の親との親族関係が終了する「特別養子縁組」(民法817条の2)があります。
普通養子縁組の場合、養親だけでなく実親との親子関係が継続しますので、養親、実親ともに亡くなった場合はともに相続権が発生します。

一方、特別養子縁組は、実親との親子関係ならびにその血族との親族関係が終了しますので、養親の相続権のみ発生し、実親の相続権はありません(民法817条の9)。

連れ子は親から見て1親等と数える

再婚した相手に連れ子がある場合、本人からみて連れ子は1親等となります。本人と再婚した連れ子との関係は姻族となり、再婚だけでなく連れ子と養子縁組した場合は、血族になるという違いがあります。

また、再婚時にそれぞれに連れ子がいる場合、連れ子同士は血族でも姻族でもありませんので親等はありません。
ただし、養子縁組をした場合は、連れ子同士は兄弟姉妹の血族になりますので2親等です。

内縁関係の場合は親族にならない

法律上の夫婦と異なり、内縁関係の夫と妻は親族関係になりません。
内縁関係とは、法律上、明確な定義はありませんが、「婚姻届を出していないものの、双方に婚姻の意思を持ち、夫婦同然の生活をしている男女関係」をいいます。

法的に内縁関係が認められるかはケースバイケースですが、慰謝料や財産分与の請求、社会保障などの面で法律婚の夫婦に準じた法的保護を受けられることがあります。
ただし、内縁の夫と妻は親族関係にならないため、内縁関係の間に生まれた子どもと父親との関係は、法律婚の夫婦とは異なります。

内縁関係の妻と夫に子どもが生まれた場合、母親との関係では1親等になりますが、父親との関係では親族関係が生じません。このとき、内縁関係に生まれた子どもは(「非嫡出子」や「嫡出ではない子」と呼びます)、内縁の妻の戸籍に入ります。

一方で、内縁の夫が子どもを認知した場合(民法779条)、子どもは父親の戸籍に入り実子と同様に1親等の関係になります。認知された子どもは、相続においても法定相続人となります。

異母兄弟や異父兄弟は2親等と数える

異母兄弟や異父兄弟は、全血の兄弟と同じく2親等です。
例えば、父親が再婚した場合に、再婚前の子どもと再婚後にできた子どもは異母兄弟となります。父母とも同じ兄弟を全血の兄弟というのに対し、異母兄弟は半血の兄弟といいます。

このような異母兄弟や異父兄弟であっても、親等の数え方は全血の兄弟と同じく2親等です。

離婚で離れた親子は1親等と数える

夫婦が離婚した場合、法律上の姻族関係は終了します(民法728条)ので、配偶者の親や兄弟などの家族との親族関係は解消され、親等はなくなります。

一方、夫婦の離婚によって離れた子どもとの関係は1親等のままです。離婚後に親権者にならなくても、音信不通になった場合でも親子関係の親等は変わりません。離婚は、子どもとの親族関係に影響しません。

親等と法定相続人の関係性

法定相続人は、民法で定められた、亡くなった人(以下「被相続人」)の相続財産を承継する権利がある人です(民法886条以下)。
離婚や内縁関係の配偶者、親等によって相続関係がどのように変わるか解説します。

配偶者は必ず法定相続人になる

親等の割り振りがなく本人と同列の配偶者は、常に相続人になります(民法890条)。
ただし、離婚した場合、姻族関係が終了し血族関係もありませんので、相続においても法定相続人にはなりません。

また、内縁関係の場合、内縁の夫がなくなり相続が発生しても、内縁の妻は法定相続人になりません。同様に、内縁関係でもうけられた子どもは、認知された場合を除き、法定相続人にはなりません。相続関係においては、内縁関係は、法律婚の夫婦と比べて大きな違いがあります。

親等が近いほど相続が有利になる

配偶者と同時に法定相続人になる人は以下のとおりです。

  • 第1順位:被相続人の子
  • 第2順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母)
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹

第2順位の相続人は第1順位の相続人がいない場合、第3順位の相続人は、第1順位、第2順位の相続人がいない場合に相続人となります。

相続に関して、直系血族である被相続人の子(1親等)や父母(1親等)が、傍系血族である兄弟姉妹(2親等)に優先して相続人になることが分かります。
また、同じ直系血族でも、直系卑属である子どもは、直系尊属である父母や祖父母より優先されます。

なお、第1順位の子が相続発生時点で亡くなっている場合、その子ども(被相続人の孫)が相続人となり(代襲相続人)、さらに、その子どもが亡くなっている場合は、その子ども(被相続人の曾孫)が法定相続人(再代襲相続人)になります(民法887条)。

同様に、第3順位の兄弟姉妹が亡くなっている場合も、その子ども(被相続人の甥、姪)が法定相続人(代襲相続人)となりますが、兄弟姉妹には再代襲はありません。

親等と相続税の関係性

相続税が課税されるとき、相続財産の受け取り人によって相続税が加算されることがあります。相続税が2割加算される人は、次のとおりです。

  • 配偶者ではない
  • (被相続人からみて)1親等の血族ではない
  • 被相続人の孫が被相続人の養子の場合
  • 遺言などで受取人となった第三者

親等と相続税の関係について解説します。

2親等以上からの相続税が加算される

被相続人の配偶者と1親等の血族(親・子ども)には相続税の加算はなく、2親等以上の血族から加算されます。

●相続税が2割加算される相続人

  • 祖父母(2親等)
  • 孫(2親等)
  • 兄弟姉妹(2親等)
  • 甥・姪(3親等)
  • 離婚した配偶者
  • 内縁関係の配偶者
  • 内縁関係の配偶者との間の子(認知されていない場合)

これは、相続順位から考えても2親等以上の親族が相続財産を受け取ることは稀であることから、相続税の負担に違いをもうけているためです。そのため、2割加算される相続税は、対象となる相続人の相続分に関してであり、相続税全体が2割加算されるわけではありません。

孫の場合は加算の条件が異なる事も

同じ被相続人の孫でも、相続税が加算される場合とされない場合があります。
前述の通り、被相続人の孫は2親等の血族であるため、相続税が2割加算されます。これは、孫が財産を相続することで、前の世代(子の世代)の相続税の負担を免れることになることから規定されているものです。

同様の考え方から、被相続人が孫を自分の養子としていた場合、養子は子ども(1親等)の立場で相続しますが、もともとは孫であったため相続税は2割加算されます。

一方、相続時点で子どもが亡くなっており、その子ども(孫)が代襲相続する場合、相続税の2割加算はありません。被相続人の孫が相続しますので加算されると考えられますが、この場合、孫の立場で相続するのではなく、亡くなった子どもの代わりに相続するからです。

このように、形式上は被相続人の孫という同じ立場であっても、相続税が2割加算となる場合とならない場合がある点には注意してください。

参照:No.4157 相続税額の2割加算 |国税庁"

まとめ

親族関係には血族と姻族があり、血族には養子縁組によって血族関係となる法定血族があります。このような親族関係のなかで親等の数え方や考え方について解説しました。

  • 血族関係において、親や子どもは1親等となる
  • 血族関係において、孫や兄弟姉妹は2親等となる
  • 姻族関係において、配偶者を0として数える
  • 養子や連れ子は、親からみて1親等になる
  • 離婚によって親族関係は終了する
  • 内縁関係の配偶者とは親族関係は発生しない

親等は、相続が発生した場合の相続順位にも関係します。

  • 配偶者は親等がなく、本人(被相続人)と同列の立場で常に相続人となる
  • 法定相続人の相続順位は親等が近い者が優先される
  • 原則として1親等以外の相続人は相続税が2割加算される

相続が発生した場合、まずすることは相続財産と相続人を明確にすることです。被相続人が養子縁組していた場合や認知している子どもがいる場合など、一般的な相続関係より複雑な場合もあります。
是非参考にしてください。