相続財産管理人(相続財産清算人)とは相続人のいない遺産を管理する人
相続財産管理人(相続財産清算人)とは、相続人の代わりに被相続人の財産の管理、清算を行い、最終的に残った財産を国庫に帰属させる人を指します。
本来、被相続人の財産管理は相続人が行います。しかし、家族や親族がいない、相続人が明らかでない、相続人全員が相続放棄した場合は、財産管理する人がいなくなってしまいます。
仮に相続放棄したとしても、財産管理する人がいなければ、被相続人の債権者から損害賠償請求される可能性があります。また、放置された土地などで他人に迷惑をかければ管理不行届でクレームがくる場合も考えられるでしょう。こういったリスクを避けるために、相続財産管理人が選任されるのです。
相続財産管理人の申し立ては、相続放棄したにも関わらず不動産管理の義務を負っている人、特別縁故者や特定遺贈の受遺者、被相続人の債権者などの利害関係人、もしくは検察官が行い、選任は家庭裁判所が行います。
相続財産管理人の役割
相続財産管理人(相続財産清算人)は、相続人の可否や相続財産の調査を行って財産を管理し、被相続人の債権者や受遺者への支払いを行う役割を担っています。
相続財産管理人は下記の3つの権限をもちます。
- 財産を維持する「保存行為」
- 財産を利用・改良する「管理行為」
- 財産の形を変える「処分行為」
保存行為と管理行為は、相続財産管理人の独断で行えますが、処分行為は家庭裁判所の許可が必要となります。それぞれの権限について、詳しく解説していきます。
保存行為:財産を維持する
保存行為とは、財産を適切に維持するために必要な行為を指します。不動産の相続登記や建物の修繕、骨董品の修復などが該当します。財産の価値を維持する行為のため、家庭裁判所の許可は必要なく、相続財産管理人が独断で行えます。
管理行為:財産を利用・改良する
管理行為とは、財産の性質や権利を変えない範囲で利用・改良する行為を指します。預金で利息を得る、不動産の賃貸契約や更新・解除などが該当します。こちらも家庭裁判所の許可なく、行えます。
相続財産管理人は、被相続人の債権者や受遺者への支払いにも対応します。そのため、被相続人名義の財産の調査はもちろん、預貯金の払い戻しや解約などを行う際も、家庭裁判所の許可は必要ありません。
処分行為:財産の形を変える
処分行為とは、財産の形を変える行為を指します。不動産や株式の売却、定期預金の解約の他、家具家電の処分や、墓地の購入、永代供養の支払いなどが該当します。
処分行為を行う際には、家庭裁判所の許可が必要です。許可なく行った場合は、相続財産管理人の法的責任が問われる可能性があります。
相続財産管理人を選任できる条件
相続財産管理人(相続財産清算人)を選任できるのは、下記のような条件が揃った場合です。
- 被相続人の遺産があるにも関わらず、相続人が誰もいない
- 法定相続人の全員が相続放棄をし、相続人が誰もいない
それぞれの条件について、詳しく解説していきます。
遺産があるのに相続人が誰もいない
遺産があるにも関わらず、その遺産を受け取る相続人がいない場合は相続財産管理人を選任できます。
なお、法定相続人になるのは配偶者と、下記の相続順位にならった血族です。
第1位順位:子ども(亡くなっている場合は孫)
第2位順位:両親(亡くなっている場合は祖父母)
第3位順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪)
つまり、独身で子どももおらず、親や兄弟もいないようなケースであれば、相続財産管理人を選任できる条件が整います。
また、本来相続人になるべき人が、被相続人への詐欺や脅迫などにより相続欠格、被相続人の希望で相続廃除されている場合も、相続人がいない状態であるため、相続財産管理人の選任が可能です。
なお、相続人の所在や生死が不明といった場合は、実際は相続人が実在する可能性があるため、相続財産管理人の選任ができません。
法定相続人の範囲や順位、相続廃除については、下記の記事で詳しく紹介しています。
法定相続人の全員が相続放棄している
法定相続人が存在していても、全員が相続放棄した場合は相続人が誰もいない状態であるため、相続財産管理人の選任が可能です。
被相続人にお金を貸していた債権者や、被相続人から財産を渡すことを約束されていた遺贈者などは、相続財産管理人に対応してもらうことになります。
相続財産管理人が必要となる具体例
相続財産管理人(相続財産清算人)の選任が必要となるのは、下記のような場合です。
- 相続放棄したにも関わらず財産管理をしている
- 被相続人に債権がある
- 被相続人に特別縁故者がいる
- 相続人以外への遺贈がある
それぞれのケースについて詳しく紹介していきます。
相続放棄したにも関わらず財産管理をしている
相続放棄をしたとしても、不動産や建物といった管理が必要な遺産がある場合、財産管理をせざるを得ないケースもあります。相続人全員が相続放棄した場合は、最後に相続放棄した人が財産の管理をしなければなりません。
最後に相続放棄した相続人が、財産管理の義務から解放されるためには、相続財産管理人を選任する必要があります。
被相続人に債権がある
被相続人に対して債権があっても、相続人がいない場合は、債権者は弁済の請求ができません。仮に被相続人に遺産があったとしても、相続人がいないため遺産から債権を回収することも叶いません。
債権者が弁済請求するためには、相続財産管理人を選任し、支払いに対応してもらうことになります。
被相続人に特別縁故者がいる
特別縁故者とは、法定相続人がいない場合に、家庭裁判所への申し立てにより被相続人の財産を受け取る可能性のある人を指します。具体的には、内縁関係にある配偶者や同性パートナーといった生計を同一にしていた人、被相続人の看護をしていた人、被相続人と親しくしていた友人などが該当します。
特別縁故者として財産分与を希望する場合は、被相続人の財産を管理する相続財産管理人が必要です。相続財産管理人を選任し、家庭裁判所で「特別縁故者に対する財産分与」の申し立てを行い、裁判所が認めれば財産分与を受けられます。
相続人以外への遺贈がある
被相続人が遺言書にて、法定相続人以外の人(受遺者)への特定遺贈を希望しているにも関わらず、相続人や、被相続人の相続財産の管理や遺言の執行を行う「遺言執行者」がいない場合は遺贈が行われません。
受遺者が財産を受け取るためには、相続財産管理人の選任し、特定遺贈の手続きを行ってもらう必要があります。
なお、遺言の内容が、遺産の全部または一定の割合を指定して遺贈する「包括遺贈」だった場合は、受遺者が相続人と同じ権利義務をもつことになるため、相続財産管理人の選任は必要ありません。
相続財産管理人が却下されるケース
相続財産管理人(相続財産清算人)の申し立てを行っても、下記のようなケースでは却下されます。
- 相続人がいる
- 相続財産がない
- 相続財産管理人の申し立て権限がない
- 家庭裁判所から予約金を支払えていない
相続財産管理人の選任が難しいケースについて、詳しく説明していきます。
相続人がいる
相続財産管理人を選任できるのは、「相続人が誰もいない場合」「相続人全員が相続放棄している場合」です。当然ながら相続人が存在すれば、相続財産管理人の申し立ては却下されます。
相続人が存在していないと誤解してしまう理由には「戸籍謄本等の読み間違い」「相続人の範囲の勘違い」などが考えられます。
相続財産管理人の申し立ての際には、複数の戸籍謄本を集めますが、昔の手書きの戸籍は読みづらく、読み間違いによって相続人がいないと誤解してしまう可能性があります。
相続人の範囲が複雑なケースでは、相続人を見落とすおそれもあります。例えば、相続人は亡くなっていても子どもが代襲相続により相続人となったり、親交のない非嫡出子でも実子であれば相続人となったりといったことも起きるため、相続人がいないと勘違いする場合もあるでしょう。
相続財産がない
相続財産管理人は財産を管理する人のため、管理する相続財産が存在しなければ、申し立てをしても却下されます。また、相続財産は存在するものの少額の場合は、家庭裁判所により選任する意味がないと判断され、申し立てを却下されることもあります。
相続財産管理人の申し立て権限がない
相続財産管理人の申し立てが行えるのは、その権限をもつ被相続人の利害関係人や検察官です。申立人に権限のない場合は、申し立てを却下されます。
申し立ての権限をもつ利害関係人については、家庭裁判所に申し立てるにて説明します。
家庭裁判所から予約納金を支払えていない
相続財産管理人の申し立てを行うと、家庭裁判所より予納金の支払いを求められる場合があります。予納金とは、相続財産管理人に支払う経費や報酬です。予納金の額は相続財産によって異なり、相場が10~100万円と幅があります。予納金を求められた場合は、支払いが完了するまで相続財産管理人の選定が行われません。
なお、相続財産に預貯金が多く、報酬や経費の支払いをそこから賄えるのであれば、予納金が不要もしくは少額になることもあります。
また、相続財産管理人の業務が完了した際に、使用しなかった予納金は返還されます。
相続財産管理人の選任が不要なケース
相続財産管理人(相続財産清算人)を選任するには、費用も手続きの手間もかかります。特定の人に財産を残したい場合は、遺言書を残したり、財産を残したい人と養子縁組をしたりする方法もあります。これらの方法であれば相続財産管理人を選任せずに、受遺者が財産を受け取れます。
遺言がある
被相続人が遺言を残しており、法定相続人以外の人(受遺者)に全部または一定の割合を指定して遺贈する「包括遺贈」を行うと記されていれば、相続財産管理人の選任は不要となります。包括遺贈の場合は、受遺者は相続人と同じ権利義務をもつことになるためです。
また、特定の財産を渡す「特定遺贈」であっても遺言執行者が選任されていれば、遺言執行者が遺贈の手続きを行うため、相続財産管理人の選任は必要ありません。
ただし、被相続人に債務があるにも関わらず、遺言書に債務の支払いについての記載がなく、債権者側が弁済を請求する場合は、相続財産管理人の選任が必要になることもあります。
養子縁組している
遺産を相続させたい人と養子縁組を行っておけば、相続財産管理人の選任をすることなく相続できます。養親と養子の関係になっていれば相続権が発生するので、遺言書の必要もありません。
相続財産管理人を選任して特別縁故者に遺産分与を行う場合、遺産分与の可否や金額が家庭裁判所の決定に左右されるため、必ずしも被相続人の希望に沿う内容になるとは限りません。その点、養子縁組をしておけば、相続に自分の意思を反映しやすいでしょう。
相続財産管理人の申し立て方法と選任までの流れ
相続財産管理人(相続財産清算人)の申し立ては家庭裁判所で行います。選任までの流れは下記の通りです。
- 家庭裁判所に申し立てる
- 必要書類を準備する
- 家庭裁判所による審理・審判が実施される
それぞれ詳しく解説していきます。
家庭裁判所に申し立てる
相続財産管理人の申し立ては、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で行います。申し立てができるのは、被相続人の利害関係人もしくは検察官です。
利害関係人に該当するのは、下記のような人です。
利害関係人 |
詳細 |
財産管理者 |
相続放棄したが、建物や不動産などの管理しなければならない財産があり、管理義務を負っている人が該当します。 |
相続債権者 |
被相続人に対して債権をもっている人を指します。 |
特別縁故者 |
生計を共にしていた内縁の妻、事実上の養子、被相続人の看護や介護をしていた人などが該当します。 |
特定遺贈を受けた者 |
被相続人の遺言書により、特定遺贈を受けた相続人以外の人を指します。 |
不動産の共有者 |
被相続人と共有名義の不動産をもっている人で、被相続人の共有持分を取得したい人を指します。相続財産管理人を選任することで、遺産分配を行うことが可能となり、共有持分の取得ができます。 |
地方自治体 |
空き家対策などで動いている地方自治体を指します。例えば、被相続人の家が放置されたことにより倒壊などの危険性があれば、処分するために地方自治体が相続財産管理人の選任をすることがあります。 |
必要書類を準備する
相続財産管理人の申し立てでは、家事審判申立書と呼ばれる書類に「相続財産管理人選任」と記載して使用します。申立書や財産目録の他に、下記のような添付書類が必要となります。
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合は、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の兄弟姉妹で死亡している者がいる場合は、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 代襲者としての甥、姪で死亡している者がいる場合は、その甥または姪の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
- 財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有価証券の残高がわかる書類(通帳写し、残高証明書等)等)
- 利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、金銭消費貸借契約書写し等)
- 相続財産清算人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票
戸籍謄本に関しては、被相続人の親・子ども・兄弟姉妹などの出生から死亡するまでの戸籍謄本と多岐にわたります。
家庭裁判所による審理・審判が実施される
被相続人の利害関係人もしくは検察官が申し立てを行うと、家庭裁判所は相続財産管理人が必要かどうかを審理します。家庭裁判所が必要と判断すれば、被相続人との関係や利害関係の有無、相続財産の内容などを考慮し、相続財産管理人を選任します。被相続人との利害関係が認められない場合は、申し立てを却下される場合もあります。
なお、候補者がいる場合はそのまま選任されることもありますが、財産管理や清算に対する専門知識を有する弁護士や司法書士が選任されるのが一般的です。
相続財産管理人選任後の流れ
家庭裁判所により選任された相続財産管理人(相続財産清算人)は、下記のような流れで財産管理や清算、国庫への帰属を行います。
- 官報公告
- 相続人や相続財産の調査・管理
- 相続債権者と受遺者への公告・支払い
- 相続人捜索の公告請求
- 特別縁故者へ財産分与
- 報酬の受け取り
- 残った財産を国庫へ帰属
項目ごとに詳しく解説していきます。
官報公告
相続財産管理人が選任されると、その事実を政府が発行する官報に載せる「官報公告」が行われます。官報公告の目的は、相続財産管理人の選任を報せることで、相続人、相続債権者、受遺者の申し出を待つためです。
相続人や相続財産の調査・管理
相続財産管理人は、被相続人の近親者への聞き取りや被相続人の自宅への立ち入りなどをして、相続人や相続財産の調査を行います。被相続人の最終の住所地近隣の金融機関に照会して、財産調査を行うこともあります。
預貯金や生命保険などは解約、不動産や有価証券などは売却し、相続財産管理人の口座へと入金して管理します。生活用品など換金が難しいものは、家庭裁判所の許可をとって処分するのが一般的です。
相続債権者と受遺者への公告・支払い
選任後の官報公告より2ヵ月以内に相続人が見つからない場合、次は相続債権者や受遺者に対し、一定期間内(2ヵ月以上)も請求の届け出をするように官報広告を行います。既に判明している相続債権者と受遺者に対しては個別に催告をします。
届出期間の終了後、相続債権者、受遺者の順に支払いを進めます。なお、届出期間を過ぎた場合も、債権者は残った財産からのみ支払いを受け取れます。
相続人捜索の公告請求
相続債権者と受遺者に対する官報公告後、誰からも届け出がなく、相続人も現れない場合は再度、相続人捜索の官報公告を行います。相続人がいれば一定期間内(6ヵ月以上)に届け出るように広告します。期間内に誰からも届け出がない場合は、「相続人不存在」が確定します。
特別縁故者へ財産分与
相続人がいないことが確定したら、内縁の配偶者などの特別縁故者の申し立て期間になります。3ヵ月以内に特別縁故者より申し立てがあり、家庭裁判所が認めれば、相続財産管理人が特別縁故者への財産分与を行います。
なお、特別縁故者が取得した財産も相続税の対象となります。3,000万円以下の財産であれば基礎控除の適用で相続税がかかりませんが、それ以上の場合は2割加算された相続税が発生します。
報酬の受け取り
特別縁故者への財産分与まで完了したら、相続財産管理人は家庭裁判所に報酬付与の請求を行います。家庭裁判所は、相続財産の種類や額、管理の期間や難易度などを考慮し、報酬額を決めます。
残った財産を国庫へ帰属
相続財産管理人の報酬を差し引いた後に財産が残っている場合は、国庫へ帰属させます。なお、不動産の共有持分や財産権の共有持分に関しては、他の共有者に帰属します。
帰属の手続きを済ませ、家庭裁判所に管理終了報告書を提出すれば、相続財産管理人の業務は完了です。
相続財産管理人の選任にかかるお金
相続財産管理人(相続財産清算人)の選任には、収入印紙や切手代などの申し立てにかかる費用と、相続財産管理人への報酬や経費といった予納金が必要です。それぞれの費用について詳しく紹介します。
申し立て費用:収入印紙や切手代など
申し立て費用の内訳は下記の通りです。
- 収入印紙:800円分
- 連絡用の郵便切手代:1,000~2,000円
- 官報公告料:5,075円
- 戸籍謄本の取得費用:1,000~5,000円
連絡用の郵便切手代は、家庭裁判所によって異なります。また、戸籍謄本の取得費用は、取り寄せる枚数によって変動します。
予納金:相続財産清算管理人への報酬や経費
予納金は、相続財産管理人への報酬や財産管理にかかる経費として、相続財産管理人の選任前に支払うお金です。申立人が支払うもので、金額は家庭裁判所が決定します。予納金の相場は10~100万円と幅が広く、財産の内容や金額などによって変動します。
相続財産管理人の選任にかかる費用を抑える対策
相続財産管理人(相続財産清算人)の申し立ての手続きを自分や他の親族が行えば、専門家にかかる費用を節約できます。また、申し立ての際には、相続財産管理人の候補者を伝えられるため、親族を候補者とし、それが認められれば専門家報酬を抑えられます。
ただし、財産管理人の申し立てや選任、選任後の業務は簡単なものではなく、時間や労力も要するため、弁護士や司法書士に依頼した方がスムーズな場合もあります。専門家に依頼した方が良かったという場合も考えられるため、よく検討して決めましょう。
また、相続財産に負債が多いと予想される場合は、相続財産管理人の申し立てを取りやめるのも選択肢の1つです。回収できる財産が予納金よりもプラスにならないのであれば、申し立ては得策とはいえないでしょう。
死後事務委任契約で相続手続きは任せられない
一人暮らしの人などが死後の手続きを委託する死後事務委任契約では、相続に関する手続きは委任できません。相続財産管理人(相続財産清算人)の選任を避け、特定の人に財産を遺贈したいといった場合は、遺言書の作成がおすすめです。
遺言書については、下記の記事も参考にしてみてください。
相続財産管理人の選任で困ったら専門家に相談
相続財産管理人(相続財産清算人)の選任は準備する書類が多く、手続きが複雑なため、選任を検討している場合は弁護士や司法書士といった専門家に相談するのが安心です。相続税や財産分与といった相続に関する問題が複数ある場合は、包括的に対応してくれる事務所を選ぶと良いでしょう。
まとめ
被相続人の不動産の管理義務から免れたい、被相続人の財産から債権を回収したい、特別縁故者や受贈者として財産を受け取りたいといった場合には、相続財産管理人(相続財産清算人)の申し立てが必要です。被相続人に相続人がいない、もしくは法定相続人の全員が相続放棄しており、家庭裁判所が申し立てを認めれば、相続財産管理人の選任ができます。
とはいえ、相続財産管理人の申し立て、選任には費用がかかります。回収できる財産や債権が、必要な費用を上回るのであれば価値がありますが、下回るようなら申し立てを行わないのも1つの手です。
「財産管理人の選任をすべきか判断できない」「財産管理人の申し立てを検討しているが手続きを依頼したい」といった場合は、相続を専門とする弁護士や司法書士に相談するのがおすすめです。専門家ならではの観点からアドバイスがもらえ、手続きを行う際もスムーズに進むでしょう。
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