遺産相続でお金を振り込んでくれないときは、代表者や金融機関などに連絡しましょう。代表者に何らかのトラブルがあって手続きが進んでいない場合も考えられますし、金融機関側で処理が進んでいない場合もあります。
しかし、どのように手続きをするにしても、遺産というのは協議が終わった後にすぐ振り込まれるというわけではありません。場合によっては3ヶ月以上かかるケースもあるため、振込されないからといって、代表者や金融機関側で問題が発生しているとは限りません。
そのため、振込がされない原因に合わせて対処をすることが大事です。
代表者に連絡して、代表者が遺産の使い込みをしていることが発覚した場合は、不当利得返還請求や損害賠償請求をする必要が出てきますし、「代償金を振り込んでくれない」という場合は代償金請求をする必要があります。
どちらにしても、まずは代表者や金融機関など、原因となり得る人に連絡をして事情を聞きましょう。もし「連絡がとれない」「遺産がどうなっているのか見当がつかない」という状況なら弁護士に相談することも検討してください。弁護士に相談することで、現在の遺産の状況、どのように対処をするべきなのかが明確になるでしょう。
本記事でも、遺産を振り込んでくれないときの対処法、遺産を受け取りの手続きをする流れなどを紹介しますので、参考にしてください。
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相続した遺産を振り込んでくれないときの対処法
相続した遺産というのは、さまざまな手続きを経て振込されます。「振り込んでくれない」という状況では、代表者が手続きをしていないことが原因の場合もありますし、金融機関の処理が遅れていることが原因となっている場合もあります。代償分割をしたなら、代償金を振り込んでくれないという場合もあるでしょう。
また「遺産が振り込まれるまでの期間」でも解説しますが、そもそも遺産というのは、協議が完了した後すぐに振込されるわけではありません。場合によっては3か月以上かかる場合もあるため、振り込みに時間がかかってていても実際は適切な処理を行っているだけで「振り込んでくれない」という考えは思い込みである可能性も考えられます。
そのため、振込がされない原因に合わせて正しく対処をしましょう。
代表者や金融機関などに連絡を取る
遺産分割協議が終わったあとは、代表者が各種手続きをし、金融機関などが処理を行って振込をするというのが一般的な流れとなります。そのため、まずは代表者に連絡して、手続きをしたのか確認しましょう。
協議をしたのにも関わらず「代表者が納得せずに振り込んでくれない(手続きをしていない)」という状況なら、再度話し合いをします。また「代表者が遺産を使い込んでいる」といった状況なら「不当利得返還請求・損害賠償請求」をしましょう。
代表者がすでに手続きをしている場合、もしくは代表者と連絡がとれない・信用できないという場合は、金融機関に連絡をしましょう。金融機関に亡くなった人の相続人であることを証明できれば、現在の手続き状況を教えてもらえます。
手続きがされていないのであれば、代表者に連絡して現在の状況を確認してください。手続きがされているのであれば、金融機関側で処理が完了すればじきに振込がされます。
紛争調整調停を申し立てる
「代表者が手続きをしてくれない」「代表者と話し合いができない」という場合は、紛争調整調停を申し立てましょう。
紛争調整調停をすることで、家庭裁判所の調停委員が間に入ってくれて、調停委員を介して話し合いができるようになります。当事者同士の言い分をぶつけるだけでなく、調停委員が中立の立場となり解決策を導いてくれるため、問題を解決しやすくなるでしょう。
ただし、紛争調整調停はあくまで調停委員を介した話し合いによって解決策を見つけていくというものです。そのため、双方が合意しない場合は無効となります。
請求訴訟を提起する
遺産分割協議が成立したのであれば、原則としてはその後に一人の都合によって協議の内容を変えることはできません。そのため「協議通りにしてくれない」「調停にも応じてくれない」「代償金を振り込んでくれない」という状況なら、訴訟をして遺産の請求をします。
なお、訴訟の種類や手続き方法などは、相手がどのような問題を起こしているのかによって異なります。遺産の使い込みをしているなら「不当利得返還請求」「損害賠償請求」などを行いますし、代償金を払わないなら「代償金請求」などを行います。
そのほかにも、さまざまなケースが考えられますし、ご自身1人で行うのは非常に手間や労力がかかるため、訴訟をする場合は弁護士への依頼を検討してください。
なお、判決後にも振り込まれない場合は、財産の差し押さえが可能です。つまり、相手が拒否をしても請求分を受け取れます。
遺産が振り込まれるまでの期間
遺産が振り込まれるまでの期間は、遺産の種類によって異なります。
多くの場合では1ヶ月程度で受け取れるものの、3ヶ月以上かかるケースもあるため「遺産を振り込んでくれない」というのは思い込みで、実際には手続きに時間がかかっているだけという場合もあります。
振り込まれるまでの期間を確認して、代表者や金融機関側で何らかのトラブルが発生しているのか、それとも通常通り手続きが行われているのか把握しておきましょう。
遺産の多くは1ヶ月程度で受け取れる
後述の「【遺産別】相続の手続きから受け取りまでの流れ」でも詳しく解説しますが、遺産の多くは1ヶ月以内で振込されます。
手続きをしてから預貯金なら2週間程度もあれば振込されますし、死亡保険金なら1週間程度で振込されるでしょう。
ただし、提出書類に不備があれば再提出することになり、手続き完了まで時間がかかる場合もあります。協議が成立してから1ヶ月経っても振込されない場合は、何らかのトラブルが発生している場合があるので、一度代表者に連絡してみると良いでしょう。
自筆証書遺言があると3ヶ月以上かかる可能性もある
自筆証書遺言によって遺産を相続する場合は、遺言書の偽造や変造を防止するために、家庭裁判所での検認が必要です。また、検認が完了しないと、不動産の名義変更や預貯金の払い戻しなども行えません。
つまり、自筆証書遺言だった場合は、遺産を振り込んでもらうには検認が必須です。
検認には2週間から2ヶ月程度の期間を要するため、その後にも手続きがあることを考えると、被相続人が亡くなってから遺産が振り込まれるまでに3ヶ月以上かかる可能性も十分あります。
自筆証書遺言で時間がかかっている場合は、申立人に連絡して何らかの問題が発生していないか確認してみると良いでしょう。
遺産の不正使用で振り込めないと言われたときの対処法
相続した遺産を振り込んでくれないケースの中には「遺産を不正使用されて振り込んでくれない」という場合もあります。
そんなときは、財産の仮差押えや、不当利得返還請求・損害賠償請求によって対処します。
財産の仮差押えの手続きをする
遺産の不正使用が発覚した場合は、話し合いによって相手から不正使用した分を返してもらいます。応じてもらえない場合は、最終的に不当利得返還請求や損害賠償請求をして、本来受け取るはずだった遺産を請求することになります。しかし、請求をしたときに相手がお金を持っていないと、今後の支払いに支障をきたしてしまう可能性があります。
そのため、仮差押えをして相手が財産に手を付けられないような状態にしましょう。仮差押えができれば、不動産の売却、預貯金の引き出しなどはできなくなり、より遺産の回収がしやすくなります。
また、仮差押えをすると、相手は法的な手続きをされたことによって心理的なプレッシャーを感じることが多いです。そのため、不当利得返還請求や損害賠償請求をしなくても、相手が自ら返済に応じてくれるようになる可能性もあります。
そのため、相手が遺産の不正使用をしたのにも関わらず、返済に応じてくれない・話し合いに応じてくれない場合は、まずは仮差押えをしましょう。裁判所に申し立てをすることで仮差押えができます。
不当利得返還請求や損害賠償請求をおこなう
相手が不正使用した遺産の返済に応じてくれない場合は、不当利得返還請求もしくは損害賠償請求をおこないます。不当利得返還請求と損害賠償請求の内容は異なりますが、不正使用された遺産の返済を要求する場合は、どちらの方法でも問題ありません。
ただし、不当利得返還請求・損害賠償請求どちらも時効があるため、確認しておきましょう。
請求 |
時効 |
不当利得返還請求 |
遺産の不正使用を知ったときから5年
遺産の不正使用をされたときから10年 |
損害賠償請求 |
遺産の不正使用を知ったときから3年
遺産の不正使用をされたときから20年 |
つまり、遺産の不正使用を知ったときから3年経過しているなら損害賠償請求はできないため、不当利得返還請求をしましょう。反対に遺産の不正使用をされたときから10年たっている場合は不当利得返還請求はできないため、損害賠償請求をしてください。
どちらにしても遺産の不正使用を知ったら、できるだけ早めに請求をしましょう。ただし、請求をする場合は証拠を集めるなど、するべきことが数多くあるため、弁護士への相談も検討してください。
【遺産別】相続の手続きから受け取りまでの流れ
相続の手続きをしてから受け取りをするまでの流れを以下の遺産別に紹介します。
それぞれ振込までにかかる時間も解説しているので「遺産が振り込まれない」という人はぜひ参考にしてください。
預貯金
預貯金の遺産は、被相続人が契約している金融機関に手続きをします。
相続する方法は以下の2つです。
- 口座の名義を相続人の名義にする
- 口座を解約して預貯金を払い戻してもらう
どちらの方法で相続するにしても、大まかな手順は同じで以下のような流れで進んでいきます。
- 金融機関に被相続人が亡くなったことを連絡する
- 金融機関に必要書類を提出する
- 書類の確認がされる
- 名義変更・払い戻しがされる
金融機関によって手続きにかかる期間は異なるものの、おおむね2週間程度で完了します。
ただし、預貯金の受け取りに限らず、必要書類に不備がある場合は再提出となり、その分遅くなることは理解しておきましょう。
有価証券
有価証券を相続する場合は証券会社に名義変更もしくは移管の連絡をします。
具体的には以下の流れで相続を進めていきます。
- 証券会社に被相続人が亡くなったことを連絡する
- 証券会社に必要書類を提出する
- 書類の確認がされる
- 移管・名義変更がされる
- 相続した有価証券を管理する
協議にて「有価証券を現金化して分割する」といった取り決めをしていない場合は、基本的に相続の際は現金化されるわけではなく、そのまま有価証券を受け取ることになります。その後現金化するのか、運用を続けるのかは相続人次第です。
証券会社によって異なりますが、相続にかかる期間は1ヶ月ほどです。
死亡保険金
死亡保険金は以下の流れで受け取ります。
- 保険会社に被保険者が亡くなったことを連絡する
- 保険会社に必要書類を提出する
- 書類の確認がされる
- 保険金が振り込まれる
保険会社によって異なりますが、必要書類を提出してからおおむね1週間程度で保険金は振り込まれます。
不動産
不動産を相続するとは、すなわち名義変更・相続登記をすることを意味します。
名義変更・相続登記をしないままだとまま放置し続けると、今後さまざまなトラブルが発生します。2024年4月から相続登記は義務化され、3年以内に登記しなければ10万円以下の過料が発生するため、今後住み続けるにしても、売却するにしても相続登記は忘れないようにしましょう。
手順は以下のとおりです。
- 管轄の法務局へ必要書類を提出する
- 書類の確認がされる
- 名義が変更される
名義が変更されたあとは、売却して現金にすることもできますし、自宅として住み続けたり、賃貸として活用したりできます。
相続登記にはおおむね2週間程度かかります。
自動車
自動車を相続する場合は、名義変更(移転登録)をします。不動産と同じように、名義を相続人の名前にして相続をするということです。
相続後は売却したり、ご自身使い続けたりするのが一般的です。
名義変更の手順は以下のとおりです。
- 管轄の陸運局に必要書類を提出する
- 車検証が交付される
名義変更は陸運局の混雑具合によって異なりますが、おおむね1時間程度で完了します。自動車の所有者が変わった場合は、15日以内に名義変更をする必要があるため遅れないようにしましょう。
まとめ
「遺産を振り込んでくれない」という状況では、さまざまなケースが考えられますが、まずは代表者に連絡をしましょう。代表者に連絡することで、現状遺産がどのような状況なのかを確認できます。
代表者が金融機関などに手続きをしている最中なら、その手続きを待つ必要があります。代表者が協議に納得しておらず、手続きを意図的に行っていないなら話し合いをする必要があるでしょう。
ほかにも、遺産の不正使用によって振込がされなかったり、遺産ではなく代償金の支払いが滞っていたりと、考えられるケースは多岐に渡り、それぞれで対処法も異なります。
ご自身の力で対処するのが難しい場合は、一度弁護士に相談してみましょう。各種請求の手続きを代行してもらえますし、請求をする際に必要になる証拠についても教えてもらえます。訴訟をする場合も弁護士がいれば大きな力になってくれるでしょう。
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