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2024年12月現在

個人再生するとクレジットカードは強制解約に!再作成の条件と使える支払方法

個人再生するとクレジットカードは強制解約に!再作成の条件と使える支払方法

借金の返済が厳しい場合、債務整理の一つの方法として「個人再生」があります。

個人再生は裁判所に再生計画を認めてもらうことで、借金を大幅に減額できる方法です。

ただし、個人再生後はクレジットカードを強制解約され利用できません。

個人再生の情報は事故情報として信用情報機関に5年から7年間登録されるため、その間これまで利用していないカードを含めて、新たな借り入れやクレジットカードを作成することはできません。

また、個人再生後に確実にクレジットカードを作成するためにおさえておいたほうがよい点があります。

  • 個人信用情報機関の事故情報が消えているか確認する
  • キャッシング枠は0円で申し込む
  • 以前とは異なるカード会社で作成する
  • 複数社へ同時に申し込まない
  • 信用を回復できる実績を積む

個人信用情報機関には「JICC」「CIC」「KSC」の3社があり登録期間が異なるため、事故情報が消えているか慎重に確認が必要です。

また、以前個人再生の対象となったクレジット会社では、社内で事故情報として共有されている可能性があるため、その系列会社を含めて避けたほうがよいでしょう。

なお、裁判所から個人再生の認可を受けるためには、個人再生手続きの前あるいは手続き中にしてはならない行為もあります。

個人再生手続き前後のNG行為
NG行為 考えられるリスク
個人再生する前提でクレジットを利用する 返済できる見込みがないにもかかわらずクレジットカードを利用した詐欺的行為として、個人再生の申し立てが棄却される、あるいは詐欺罪に問われる可能性がある
未使用のクレジットカードを隠す 個人再生の申し立て後に申告していない借金が裁判所に発覚すると再生計画の認可が受けられないリスクがある。
クレジットカードの現金化をする クレジットカードの利用規約に違反する行為であり、法律違反の可能性もある。日本クレジット境界や金融庁もクレジットカードの現金化を禁じており、ヤミ金などの悪質業者と取引することでトラブルに巻き込まれる可能性もある。
個人再生前にクレジットカードの返済をする 特定の債権者に返済する行為は、個人再生における債権者平等の原則に反し、個人再生後の返済額が増えたり、再生計画案が不認可となるリスクがある

この記事では、個人再生をしたときのクレジットカードの使用、作成の制限や再度作成する際のコツを解説します。

個人再生手続きのを確実に進めるために、してはならないNG行為も紹介しますのでぜひ参考にしてください。

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個人再生をするとクレジットカードは強制解約される!

債務整理のうち、個人再生するとクレジットカードは強制解約となります。

個人再生とは、借金の返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、およそ5分の1~10分の1に減額した借金を、原則3年~5年で返済する手続きです。

債務整理の方法として、個人再生のほかに任意整理と自己破産がありそれぞれの違いは次のとおりです。

個人再生と任意整理・自己破産の違い
個人再生 任意整理 自己破産
裁判所の手続き 必要 不要 必要
債務の減額幅 最大1/5~1/10程度 主に将来利息のカット 原則すべての借金が免除
返済期間 3~5年 3~5年 返済の必要なし
官報への掲載 あり なし あり

個人再生は、自己破産と異なり借金のすべてが免除されるわけではありませんが、住宅などの財産を残しながら借金を減額することが可能です。

また、任意整理より時間や費用はかかりやすい反面、借金を大幅に減額できる方法と言えるでしょう。

ただし、他の債務整理の方法も同様ですが、個人再生すると利用中のクレジットカードは利用できなくなります。これは、返済能力を含めた信用情報に問題があると判断されるためです。

例えば、楽天カードの利用規約では、次のような場合に会員資格を取り消し、カードを無効にできる旨が規定されています。

「差押・破産・民事再生申立・取引停止処分があった場合等会員の信用状態が著しく悪化した場合」

引用:楽天カード会員規約 第19条第3項4号

つまり、個人再生すると返済能力に問題があると判断されるため、カードの利用停止措置が取られ利用できなくなるわけです。

また、貸金業者が借り手のリスクを把握し、返済能力を超える貸付けを防止するために、ローンやクレジットカードなどの取引に関する信用情報を把握できる仕組み(個人信用情報機関)が設けられています。

個人再生の情報は個人信用情報機関に事故情報として登録されるため、利用していないクレジットカードについても利用できなくなります。

個人信用情報機関には次の3つがあり、加盟するクレジットカード会社は、新規の借り入れの審査を行う際に申込者の信用情報を照会し、融資するか判断するわけです。

個人再生でクレジットカードが強制解約されるのは「受任通知」がカード会社に届いてから

個人再生をしたとき、クレジットカードが強制解約されるのは弁護士や司法書士からの受任通知がカード会社に届いてからです。

受任通知とは、債務整理の依頼を受けた弁護士や司法書士が、契約者の代理人になったことをクレジットカード会社などの債権者に伝える通知です。

弁護士や司法書士から受任通知を送ることで、債務の取り立てや返済の催促を止める効果がある一方で、カード会社に受任通知が届くとカードの利用は停止されます。

個人再生後、クレジットカードを再作成できるタイミングは事故情報が消える5〜7年後

個人再生をしたあと、再度クレジットカードを作成するためには、個人信用情報機関に登録された事故情報が消える5~7年が必要です。

個人信用情報機関には次の3つがあります。

株式会社日本信用情報機構(JICC) 株式会社シー・アイ・シー(CIC) 全国銀行個人信用情報センター(通称KSC)
概要 加盟団体として貸金業者が多く、地方信用金庫も加盟している。JICCとCICは「FINE」というネットワークシステムで利用者の貸付け残高や返済実績などの情報を共有。 クレジットカード会社の共同出資により設立され、主にクレジットカード会社と消費者金融が加盟。 全国銀行協会によって設立され、メガバンクのほか地方銀行やネット銀行、信用金庫などほとんどの銀行が加盟している。CIC、JICC、KSCの3社は「KRIN」というネットワークで情報を共有し、過剰貸付けを防止しています。

信用情報機関には、本人に関する個人情報(氏名や生年月日、住所など)のほか、契約内容(契約日や商品名、支払い回数など)、支払い状況に関する情報(残債額や入金履歴など)が登録されています。

登録情報のうち個人再生を含む債務整理をした事実は事故情報として「異動」と記録されます。

それぞれの信用情報機関に登録される期間は次のとおりです。

個人再生した情報が登録される期間
株式会社日本信用情報機構(JICC) 株式会社シー・アイ・シー(CIC) 全国銀行個人信用情報センター(通称KSC)
登録期間 債務整理の事実の発生日から5年以内 契約終了後5年以内 民亊再生手続き開始決定日から7年を超えない期間

信用情報機関によって登録機関は異なり、クレジットカードを再度作成するためには年から7年間の時間が必要です。

参照
株式会社日本信用情報機構「信用情報の内容と登録期間」
株式会社シー・アイ・シー「CICが保有する信用情報」
一般社団法人全国銀行協会「センターの概要」

個人再生後にクレジットカードを再作成する方法・コツ

個人再生後に改めてクレジットカードを作成する場合、どのような方法があり注意しなければならないのでしょうか。ここではクレジットカードを確実に再作成するコツを含めて解説します。

  • 個人信用情報機関の事故情報が消えているか確認する
  • キャッシング枠は0円で申し込む
  • 以前とは異なるカード会社で作成する
  • 複数社へ同時に申し込まない
  • 信用を回復できる実績を積む

個人信用情報機関の事故情報が消えているか確認する

個人再生後に再度クレジットカードを作る場合、個人信用情報機関の事故情報が確実に消えているかを確認しましょう。

事故情報が消えているかを確認するために、各信用情報機関に開示請求することができます。

信用情報を開示請求する方法と手数料は次のとおりです。

信用情報機関 方法 手数料
JICC CIC KSC
スマホアプリ
郵送
インターネット 郵送
データで受け取り:1,000円
郵送で受け取り:1,300円
インターネット:500円
郵送:1,500円(申込から10日程度)
インターネット:500円
郵送:1,679円~1,800円

キャッシング枠は0円で申し込む

クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠があります。

個人再生後に確実にクレジットカードを作成するためには、キャッシング枠を0円とすることも考えましょう。

ショッピング枠は、買い物やサービスの利用代金を立て替えてもらえる限度額を定めたものです。一括払いのほか複数回に分けての分割払いにも対応しています。

一方、キャッシング枠は、クレジットカードに付帯できる機能で、借り入れできる上限額を設定することが可能です。

キャッシング枠を申し込むことは、将来お金を借りる可能性があるということであり、その分審査は厳しくなる傾向です。

なかには、キャッシング枠の付帯が義務付けられているクレジットカードもありますが、多くの場合、付帯するかどうか、利用限度額をいくらにするかを決めることができます。

確実にクレジットカードを作成するためには、キャッシング枠を申し込まないことも一つの方法といえます。

以前とは異なるカード会社で作成する

新たにカードの作成を申し込む会社として、個人再生時に利用していたカード会社やその系列の会社に申し込むことは避けたほうがよいでしょう。

これは、信用情報機関に登録されている事故情報は5~7年間で消えますが、個人再生の際に債権者であった会社には社内独自の情報として残っている可能性があるためです。

カード会社によって顧客情報の保有期間は異なるため一概には言えませんが、利用していたカード会社だけでなくその系列のカード会社も事故情報を共有しているケースもあります。

事故情報の記録が残っている場合、審査に通ることが難しくなるといえるでしょう。

そのため、再度クレジットカードを申し込む際には、利用条件や申込書類に不備がないことを確認したうえで、以前とは異なる会社に申込ましょう。

複数社へ同時に申し込まない

個人再生後にクレジットカードを申し込む場合は1社に絞り、同時に複数の会社に申し込むのは避けましょう。

申し込みを受けたカード会社は信用情報機関に申込者の信用情報を照会しますが、信用情報にはこれまでのクレジットカードの申し込みに関する情報も含まれます。

複数の会社に同時に申し込んいると、カード会社に「お金に困っている」「他社に断られた」という認識を持たれやすく、審査に悪影響を与える、いわゆる「申し込みブラック」と言われる状況に陥る可能性があります。

信用を回復できる実績を積む

個人再生後にカードを作成するにあたって、個人信用情報機関の信用を回復に役立つ実績を作ることも大切です。

個人信用情報機関への事故情報の登録期間が完了すると、すべての金融機関や貸金業者との取引履歴がない白紙の状態となります。

このとき審査するカード会社は、まったく取引履歴がない信用情報を見て、過去に事故情報が登録されていたのではないかと考える可能性があります。

そのため、カードの審査に通りやすくするために、返済期日をきっちりと守ることが前提となりますが、カードや分割払いを利用した取引実績を作り信用の回復を図りましょう。

例えば、携帯電話の機種代金の分割払いを、一定期間確実に返済した実績を作るなどがおすすめです。

個人再生前後のクレジットカードに関する4つのNG行為

ここでは個人再生の前後でしてはならないNG行為について解説します。

  • 個人再生をする前提でクレジットカードを利用する
  • 未使用のクレジットカードを隠す
  • クレジットカードの現金化をする
  • 個人再生前にクレジットカードの返済をする

個人再生をする前提でクレジットカードを利用する

個人再生をして借金を減額する前提でカードを利用する、あるいはそのように解釈されるようなクレジットカードの利用をしないことが必要です。

具体的には、遅くとも弁護士が債権者にあてて受任通知を発送したあとはクレジットカードを利用してはいけません。

確かに、個人再生の申し立て前であれば事故情報には登録されていないため、限度額の範囲内でクレジットカードを利用することも可能です。

とはいえ、個人再生をする前提で借り入れを行うことは、それまでの債務を返済することが困難である状況で新たな借り入れを行う行為といえます。

このように返済できる見通しはないと分かりながら借り入れする行為は、返済できると装ったとして詐欺罪に問われる可能性があります。

また、このような詐欺的な行為によって生じた債務について個人再生の申し立てをしても、「不法な目的で再生手続開始の申立てがされた」「申立てが誠実にされたものでない」(民事再生法第25条第4項)として、個人再生の申し立てが棄却される可能性が高くなるでしょう。

そのため、遅くとも個人再生の申し立てをすると決め、受任通知が送られたあとは、クレジットカードを含めすべての借り入れはしないようにしましょう。

未使用のクレジットカードを隠す

個人再生の申し立て時に未使用のクレジットカードがあっても、そのカードを解約されないために隠してはいけません。

未利用あるいは少額しか利用していないクレジットカードであっても、すべて申告する必要があります。

これは、個人再生の手続きでは、依頼を受けた弁護士や司法書士は正確に借入金や家計の状況を知る必要があるためです。

そもそも個人再生では家計の状況を詳細に調査するため、持っている財産や口座、カードもすべて確認します。そのような調査のなかで未利用のクレジットカードを隠し通すこと自体難しいといえるでしょう。

また、申し立て後に申告していない借金が裁判所に発覚すると個人再生の手続きが進められない可能性があるだけでなく、信用できない依頼者とみなされ弁護士などから契約を解除される可能性もあります。

クレジットカードの現金化をする

個人再生の前であっても一時的に現金を得るために「クレジットカードの現金化」と呼ばれる行為がありますが、これもNG行為といえます。

クレジットカードの現金化とは、ショッピング枠を利用して現金を得る行為です。

クレジットカードを現金化する方法には、次の2つの方法があります。

・買取式:ブランド品や金券など換金性の高い商品をクレジットカードで購入し、買取業者に売ることで現金を得る方法
・キャッシュバック式:現金化業者が取り扱う商品を購入し、購入特典のキャッシュバックを受けることで現金を得る方法

通常でもこれらの行為は、クレジットカード会社の規約に違反する行為であり、カードの利用停止や強制退会措置を受けることがあります。

また、法律違反の可能性もあり、日本クレジット協会や金融庁もショッピング枠を利用した現金化を禁じています。

そもそもクレジットカードの現金化で得になることはなく、一時的に現金を手にできても金銭的には損をするだけです。

クレジットカードの現金化を事業として行うヤミ金などの悪質業者と取引することでトラブルに巻き込まれる可能性もあるでしょう。

個人再生前にクレジットカードの返済をする

個人再生の前に特定のクレジットカード会社に返済をすることも注意しなければなりません。

債務者が特定あるいは一部の債権者に対してだけ返済する行為を「偏頗(へんぱ)弁済」といいます。

個人再生の手続き中に偏頗弁済を行うと、返済額が増える、あるいは再生計画の不認可につながる恐れがあります。

これは、個人再生や自己破産の手続きにおいては、「債権者平等の原則」というルールがあるためです。

債権者平等の原則とは、債務者が所有していた財産は、すべての債権者に対し債権額に応じて分配されるというルールです

つまり、偏頗弁済を行うことで、本来債権者が受け取るべき財産が特定の債権者の弁済にあてられ債権者平等の原則に反することになります。

そのため、個人再生の手続き中に偏頗弁済を行うと、特定の債権者に返済した金額分について、個人再生後に返済しなければならない額が増える可能性があります。

さらには、再生計画案の不認可事由の一つである「再生計画の決議が再生債権者一般の利益に反する」場合にあたり、再生計画案が不認可となるリスクもあります。

まとめ

個人再生するとクレジットカードは強制解約され、事故情報として信用情報機関に登録されます。

そして、信用情報機関に登録されている5~7年間間は、クレジットカードを作成することはできません。

また、個人再生後に再度クレジットカードを作るとしても次の点には気をつけたほうがよいでしょう。

  • 個人信用情報機関の事故情報が消えているか確認する
  • キャッシング枠は0円で申し込む
  • 以前とは異なるカード会社で作成する
  • 同時に複数の会社へ申し込まない
  • 信用を回復できる実績(取引履歴)を積む

また、個人再生の手続きをする前後においても注意しなければ、再生計画の認可を受けることが難しくなります。

個人再生をするつもりで新たにクレジットカードを利用する行為は、詐欺的行為として不許可事由にあたる可能性があるだけでなく、詐欺罪に問われる恐れがあります。

また未使用のクレジットカードを隠したり、特定の債権者に返済する行為は、裁判所の信用を失い、債権者平等の原則に反することから個人再生が認められないリスクがあるため注意が必要です。

裁判所に個人再生が認められれば、クレジットカードの利用は一定期間制限されるものの、借金は最大10分の1~5分の1に減額され、新たな再生計画案のもと返済を進めることが可能です。

まずは、個人再生手続きをしっかりと進めることが大切です。

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更新日 : 2024年12月16日
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