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個人再生ができないケースとは?失敗する原因と不認可になった時の対処法を紹介

個人再生ができないケースとは?失敗する原因と不認可になった時の対処法を紹介

「毎月の返済に追われ、将来が不安」「借金が膨らみ、個人再生ができるか心配」などといった不安を抱えていませんか?「自己破産は避けたいけれど、今の生活をどうにか変えたい」と悩んでいる方もいるかもしれません。

個人再生は借金額を5分の1~10分の1と、大幅に減額できる制度ですが、利用にはいくつかのルールがあります。

以下の内容にあてはまる場合は、個人再生の申立てが不認可になる可能性が高いため、事前に確認が必要です。

  • 収入が不安定である
  • 借金総額が5,000万円を超えている
  • 多額の財産を所有している
  • 申立てに必要な費用が用意できない
  • 借金額が少なく、自力での返済が可能である

個人再生の手続きを始めるためには、一定のルールがある点を念頭におきましょう。

また、個人再生の条件を満たしたうえで手続きが開始しても、いくつかの理由で廃止になってしまうケースもあります。

  • 債務や財産の申告内容に漏れや虚偽があった
  • 債権者から不同意を出された
  • 偏波(へんぱ)弁済をした
  • 提出書類や手続きの不備や期限切れがあった
  • 手続き中に新たな借入れをした

個人再生は法律を基にした制度であるため、厳密な手続きが必要になります。不備や違反行為があった場合は手続きが失敗する可能性もあるため、慎重に行うことが大切です。

ここまでの内容から、大きな負担を感じるかもしれませんが、専門知識を持った弁護士に依頼することで、手続きで発生しがちなトラブルを事前に防ぐことができます。提出書類の確認債権者から不同意をだされた際の交渉返済ができなくなった場合の対処法など、さまざまなサポートを受けられるでしょう。

さらに、経験豊富な弁護士がいることで適切なアドバイスが得られるため、安心して手続きを進められます。ご自身の状況に応じて任意整理や自己破産など、代替案も提供してくれるはずです。

本記事では個人再生を申立てるための条件失敗するケース手続きができなかったときの対処法を解説しています。弁護士に相談することで、個人再生を成功させるコツも見えてくるでしょう。

手続きをご検討中の方はぜひご参考になさってください。

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個人再生ができないケースとは?不認可になる条件・状況

個人再生は借金問題を解決する有効な手段ですが、誰もが利用できるわけではありません。令和5年の司法統計年報によると、個人再生の成功率は約92%と高いものの、約8%が手続きに失敗しています。

個人再生が不認可に終わる主な原因は、以下の通りです。

  1. 収入が不安定で継続的な返済能力を示せない
  2. 借金総額が5,000万円を超えている
  3. 多額の財産を所有している
  4. 申立てに必要な費用を用意できない
  5. 借金額が少なく、自力返済が可能と判断される

個人再生は債務者にとって、借金を5分の1~10分の1程度に減額できる有益な制度です。しかし、債務者だけでなく、債権者の利益も考慮する必要があるため、利用には一定のルールが設けられています。

まずは、ご自身の状況を把握し、個人再生の手続きができるのかを確認していきましょう。

個人再生の概要については、こちらでもまとめています。

1.収入が安定していない

個人再生を利用するためには、安定した収入が必要になります。これは、個人再生が借金をゼロにする制度ではなく、原則として3年~5年で減額後の借金を返済する仕組みであるからです。

返済能力を示すためには、一定の収入が不可欠となります。

また、個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類が存在することを知っておきましょう。どちらも返済額を5分の1~10分の1程度に減額できる制度ですが、小規模個人再生の方が収入に関する条件が優しいため、選択する人が多い傾向です。

個人再生には安定した収入以外にも必要な条件があります。以下で確認していきましょう。

項目 小規模個人再生 給与所得者等再生
対象者 個人事業主※会社員も可能 会社員などの給与所得者
利用条件 借金額が5,000万円以下
返済の見込みがある
借金総額が5,000万円以下
返済の見込みがある
※過去7年以内に自己破産、給与所得者等再生を行っていない
弁済額 最低弁済額または清算価値の高い方 最低弁済額、清算価値、可処分所得2年分のうち最も高い額
債権者の同意 必要 不要

※最低弁済額:減額後の返済額
※清算価値:個人再生の申立人が所有している財産の総額
※可処分所得:収入から税金や社会保険料などの義務的な支払いを差し引いたもの

借金額については、どちらも5,000万円以下であることが条件です。弁済額(返済額)については、給与所得者等再生に可処分所得の要件が加わる点をご留意ください。

また、大きく異なるのは、給与所得者等再生では債権者の同意が不要という点です。何らかの理由で債権者に手続きを反対される可能性がある場合は、給与所得者等再生を選択するケースも考えられます。

いずれの手続きにおいても、安定した収入があることは、個人再生の認可を得るための重要な条件となります。まずはご自身の収入状況を確認し、最適な手段を選択しましょう。

また、失業中の方、専業主婦(夫)の方が個人再生を行うことは、継続的な収入が見込めない理由から、一般的に困難とされています。ただし、近い将来に就職が決まっている、パートを始めて収入を得ようとしている、家族からの支援がある、などといった場合は期待がもてます。

不安な点は専門家に相談して、ご自身が手続き可能かどうかを確認しましょう。

2.借金総額が5,000万円を超えている

前述の表でもご説明したとおり、借金総額が5,000万円を超えている場合は、個人再生ができません。

金額が設定されているのは、個人再生が債務者の経済的再生を支援しつつ、債権者の利益も保護するという目的があるからです。

負債が大きくなるだけ、債権者には不利益が生じます。5,000万円を超える高額な借金については、通常の民事再生手続きによって解決すべきと考えられているのです。

ただ、借金総額といっても、すべての支出が借金になるわけではありません。主に税金や、社会保険は範囲外となります。

主な内容をこちらでご確認ください。

借金総額に含まれるもの 借金総額に含まれないもの
銀行や消費者金融からの借入れ 税金
利息、延滞金 国民健康保険料の滞納分
保証人の債務 住宅ローン特例適用時の住宅ローン
クレジットカードの利用代金 悪質な不法行為に基づく損害賠償債務
友人や知人からの借金 養育費

※住宅ローン特例:住宅ローンを個人再生の減額対象から除外し、家を残したままその他の借金を整理できる仕組み

ご自身の借金の内訳を理解し、総額が5,000万円を超えていないかを再確認してみましょう。

3.多額の財産がある

多額の財産を所有している場合は、個人再生を申立てることが困難になります。これは、手続きに「清算価値保障原則」というルールが適用されるからです。

個人再生において、債務者は自身が所有している財産の価値以上の金額を返済しなければならないという条件になっています。(清算価値保障原則)そのため、ご自身が預貯金や不動産などの財産を所有している場合、返済額が上がってしまうのが一般的です。

これは月々の返済額が増加し、個人再生が認可されにくくなる原因にもなります。

ここでは、多額の財産と判断されるものの一部を確認しておきましょう。

  • 銀行口座に残っている貯金
  • 親から相続した不動産
  • 株式や投資信託
  • 生命保険や医療保険の解約返戻金
  • 高級自動車

ご自身が所有している財産によって、個人再生の手続きが滞る可能性があります。改めて、財産状況をチェックしてみましょう。

また、清算価値保障原則については、以下の記事でも詳しく解説しています。借金の減額に深くかかわる内容ですのでご覧ください。

4.申立てに必要な費用が用意できない

個人再生の申立てには裁判所への費用と、手続きのサポートを依頼した専門家への費用が必要です。このお金が支払えないと、個人再生は認可されません。

費用の主な内容は以下になります。

裁判所に支払う費用 ・収入印紙代
・郵便切手代
・官報公告費用
・再生委員に支払う予納金
専門家に支払う費用 ・相談料
・着手金
・報酬金

それぞれの費用は、裁判所や依頼した専門家によっても異なりますが50万円~90万円が相場とお考えください。高額に感じるかもしれませんが、個人再生を進める以上、必要なお金です。

金銭面で不安がある方は、事前に費用を抑えるコツを確認しておきましょう。

詳しくは、こちらでまとめていますので、ご参考になさってください。

5.個人再生をしなくても返済できる

借金額が比較的少ない場合は、個人再生をしなくても返済が可能と見なされ、申立てが認められないケースがあります。

通常、返済が困難な状況であるかを判断するのは、債務者の収入や所有財産からです。借金総額が100万円未満のように、返済の分割回数で対処できそうなものは自分で返せると判断される可能性があります。

また、民事再生法に基づく個人再生で決められているのが、最低弁済額(減額後の返済額)の基準です。総額100万円未満のものに対しては、借金総額の全額を支払うルールとなっています。

90万円の借金を個人再生しようとしても、この制度により借金は90万円のままです。個人再生の最低弁済額(減額後の返済額)については、100万円未満にならない点を念頭におきましょう。

最低弁済額は手続き後に必ず支払わなければいけないお金です。金額を決める基準や、支払いについてのルールはこちらでご確認ください。

個人再生が失敗するケース・事例とは?申告内容の虚偽・ミスに注意

個人再生の条件を満たし、手続きに進んだ場合でも、途中で廃止になる場合があります。

最新の司法統計年報のデータによると、個人再生の手続きの廃止率は約3%、不認可率は約0.2%です。

一見、低い数字に思われますが、少なからず該当者が存在するため、以下のような、危険なケースを事前に確認しておくと安心です。

  1. 債務や財産の申告内容に漏れや虚偽がある
  2. 債権者からの不同意
  3. 偏波(へんぱ)弁済を行う
  4. 再生計画通りに返済できない
  5. 提出書類や手続きの不備や期限切れ
  6. 手続き中の新たな借入れ

個人再生は法律に基づく制度のため、厳密な手続きが必要です。決められたルールを守ることで無事に申立てを進めることができるでしょう。

ここからは、それぞれのポイントを詳しく解説していきます。

1.債務や財産の申告内容に漏れや虚偽がある

個人再生において、債務や財産の申告内容に漏れや虚偽があると、申立てが認められない可能性があります。これは、正確な情報を提供することが基盤にあるからです。

借入先や借金額、所有している財産状況など、ご自身の情報を正確に申告しなければいけません。

仮に、虚偽の報告や情報の漏れが発覚した場合は、裁判所はその申立てを不誠実と見なし、個人再生の申立てを認めない可能性があります。

また、最悪の場合、申立てが認められないだけでなく、財産を隠したと判断され、罪に問われる可能性もありうるのです。

個人再生をスムーズに進めるためは、すべての申告を正確かつ誠実に行うことが重要です。

2.債権者からの不同意を出された

前述のとおり、2種類ある個人再生のうち、給与所得者等再生債権者の同意は不要ですが、小規模個人再生債権者の同意が必要です。

債権者の過半数が再生計画に反対した場合、申立てた個人再生はその時点で廃止になります。

主な反対理由はこちらの3点です。

  • 大口債権者の反対
  • 業者の内部基準による反対
  • 債務者の取引内容が悪い場合

詳しく見ていきましょう。

大口債権者の反対

反対をした債権者の債権額が、借金総額の2分の1を超えると、個人再生ができなくなります。たとえば、3社から借金をしている場合、A社から500万円、B社とC社からそれぞれ30万円ずつ借りているとします。この場合、A社が反対すると、A社の債権額が全体の過半数を占めるため、個人再生の手続きは認可されません。

このように、大口債権者の意向が大きな要因となります。個人再生を進める際には、一番借金額が大きい債権者の意向を確認することが大切です。

業者の内部基準による反対

業者によっては、社内で設定された基準があります。内容の良し悪しにかかわらず、基準に基づいて不同意の意見が出されるケースです。

信用保証協会、消費者金融、クレジットカードの保証会社などは該当する場合もありますので、念頭におきましょう。

債務者の取引内容が悪い場合

ご自身の過去の返済履歴や信用状況が悪い場合、業者はリスクを感じて反対することがあります。

明らかに浪費といえる買い物を繰り返している、個人再生申立て直前に高額な融資を受けているなど、不誠実な行動は債権者の信頼を失う原因です。

債権者からの同意を得るためにも、まずは適切な行動を心がけましょう。

3.一部の債務者にだけ返済する「偏頗(へんぱ)弁済」をした

個人再生では、一部の債権者だけに返済をする「偏頗(へんぱ)弁済」が禁止されています。この行為は債権者平等の原則に反し、すべての債権者を平等に扱うべきというルールを破るものです。

たとえば、家族や友人など特定の人を優先して返済をしたとしましょう。これは債権者平等の原則に違反します。結果、裁判所から個人再生の手続きを取り消される可能性もあります。

さらに、偏頗弁済したお金は裁判所からすると「持っていたはずの財産」です。返済計画が変更され、返済額が増えることも考えられます。

偏頗弁済を防ぐためには、債権者全員を公平に扱い、特定の人だけを優遇しないことが重要です。

4.再生計画通りに返済できない

個人再生では、再生計画に沿った返済が必要です。しかし、返済が滞ってしまうと、「返済能力がない」とみなされ、手続きが取り消される可能性があります。

その結果、借金が元の額に戻るだけでなく、利息や遅延損害金が追加され、経済的負担がさらに増すかもしれません。

また、ルールを破ったことで、裁判所や債権者から一括返済を求められる可能性もあります。精神的にも大きな不安を強いられ、厳しい状況におちいってしまいます。

仮に、返済が困難になってしまった場合は、再生計画の変更を申立てましょう。裁判所が認めた場合に限り、返済期間を最長2年間延長することで、毎月の返済負担を軽減することが可能です。

さらに、返済額の4分の3以上を支払い終わっている場合には、ハードシップ免責を利用できる場合もあります。この制度では、裁判所が正当と判断したのみ、残りの返済額が免除されます。

再生計画の立て直しやハードシップ免責には「やむをえない理由」のような条件がつきますので、すべてのケースが認められるわけではありません。まずは、返済可能な範囲で再生計画をたてることが重要です。

5.提出書類や手続きに不備があった・期限を守らなかった

個人再生の手続きでは、期限を守り、正確な書類を提出することが重要です。これらが守られないと、裁判所が手続きを進められず、最悪の場合、手続きが廃止される可能性があります。

個人再生は法律に基づいた手続きであり、裁判所は提出された書類を細かく確認して債務者の状況を把握します。不備や遅れが発生した場合、裁判所から「補正命令」という修正要求が出され、この命令に対応しない場合は、手続きが廃止される危険性もあります。また、正確な情報を伝えないと「財産隠し」とみなされるため危険です。

このような事態を避けるためにも、書類の作成と提出については、つぎの3点を念頭におきましょう。

  • 提出期限を事前に確認し、余裕をもって準備を始める
  • 記入漏れや不適切な記載がないよう慎重に作成する
  • 必要に応じて、弁護士や司法書士のサポートを受ける

専門家に相談することで、複雑な書類作成の負担を軽減できるだけでなく、提出スケジュールの管理も行ってもらえます。

裁判所や債権者の信頼を失わないためにも、重要書類の提出については慎重に行いましょう。

6.手続きの途中で新たに借入れをした

個人再生の手続き中に新たな借入をする行為は、裁判所や債権者から不誠実とみなされ、手続きが中止になる可能性があります。

金銭的余裕がないにもかかわらず、新たな借入れをするということは「返済の意思がない」と解釈されてしまうからです。

結果、手続きの失敗にも近づいてしまいます。

さらに、個人再生では借金総額を正確に確定することが求められますが、新たな借入れにより、借金総額が変動してしまいます。借金総額が決まらない限りは手続きも進みません

個人再生をスムーズに行うためにも、新たな借入れは避けるべきです。

ほかにも、以下の行動は控えましょう。

  • 新たなクレジットカードの作成
  • クレジットカードでの高額な買い物
  • 銀行や消費者金融でのキャッシング
  • 家族や友人からの借金
  • ギャンブルによる浪費

個人再生の手続きは、計画的な支出と慎重な行動を心がけましょう。

個人再生ができないケースに当てはまる場合の代替案・対処法

個人再生は、債務整理のなかでも大幅な減額が望める制度ですが、場合によっては認められない場合もあります。

しかし、代替案や対処法は存在します。

  • 自己破産を検討する
  • 任意整理を検討する
  • 再度、申立てる
  • 財産を処分する
  • 安定した収入を確保する

さまざまなケースを事前に確認しておくことは、個人再生を進めるうえでも安心材料になるはずです。

1.自己破産を検討する

個人再生ができなかった場合の代替案として挙げられるのが自己破産です。

自己破産は裁判所に申立てを行い、認可されることで、税金など一部を除いた借金の返済義務が免除される手続きです。借金を大幅に減額して返済を進める個人再生とは異なり、自己破産は基本的に借金が全額免除となるのが大きなポイントです。

まずは、個人再生と自己破産の特徴やそれぞれのメリット、デメリットを見てみましょう。

項目 個人再生 自己破産
適用できる借金額 住宅ローン以外で5,000万円以下 特に上限なし
借金の返済 借金総額の5分の1~10分の1に減額したものを3年〜5年で返済 原則として全ての借金が免除
財産 一定の財産を保持できる可能性あり 生活に必要のない20万円以上の財産は処分
職業制限 なし 一部あり
収入条件 安定した収入が必要 収入の有無は問わない
メリット 財産を残したまま借金返済が可能 すべての借金の支払い義務が免除される
デメリット 借金の返済義務が完全にはなくならない 財産の大部分を失う可能性がある

自己破産を選ぶケースは以下のような状況で見られます。

  • 借金額が多額で、返済の見込みがない
  • 安定した収入がない、または低収入
  • 財産がほとんどない
  • 早急な債務整理が必要

自己破産は借金をゼロにする制度ですが、のちに及ぼす影響も気にしなければいけません。

たとえば、新たな借入れができなくなる一部の職業に制限がかかるなど、普段の生活に支障がでる可能性があります。また、財産が処分されることで、ご家族の生活にも少なからず負担がかかるでしょう。さらに、保証人をつけている場合はその人に返済義務が生じてしまいます。

このように、自己破産は借金を全額免除できる制度ではありますが、いくつかのデメリットも存在します。検討する際には、弁護士などの専門家に相談し、アドバイスを受けながら判断しましょう。

自己破産についての詳細はこちらでもまとめています。

2.任意整理を検討する

個人再生とは別に、任意整理という選択肢もあります。任意整理とは裁判所を通さず、債権者と交渉して借金の返済条件を変更するものです。

具体的には、利息のカット返済期間の延長などを交渉します。

任意整理はほかの債務整理と比べて手続きが簡易的であるのが特徴です。

項目 個人再生 任意整理
適用できる借金額 住宅ローン以外で5,000万円以下 特に上限なし
借金の返済額 借金総額の5分の1~10分の1に減額したものを3年〜5年で返済 利息をカットし、元本は原則減額されない
返済期間は債権者との交渉による(原則5年以内)
財産 一定の財産を保持できる可能性あり すべての財産を保持できる
職業制限 なし なし
収入条件 安定した収入が必要 安定した収入が必要
メリット 借金額を大幅に減額できる 裁判所を通さず、債権者との直接交渉のみで行える
デメリット 裁判所を通すため、手間や時間がかかる 基本的には利息のカットのみで、元本は減額されない

任意整理は以下のようなケースで選択されます。

  • 安定した収入がある
  • 手続きの手間を減らしたい
  • 家族や職場に知られたくない
  • 保証人に迷惑をかけたくない

一般的に、任意整理は利息がカットされるだけですので、借金額が変わることはありません。そのため、安定した収入を保ち、返済を続けることが必要です。債権者と直接交渉をするため、手続きも簡潔に済みます。家族や職場に知られずに、プライバシーを保つこともできるでしょう。

また、保証人がついている借金については、その借金のみを任意整理の手続きから除外することが可能です。これにより、保証人に対して請求が行われず、迷惑をかけずに済みます。

裁判所を通さない点では、気負いなく選択できる任意整理ですが、安定した収入が必要なことに変わりはありません。個人再生と比較して、ご自身に合うものを選択しましょう。

また、個人再生中の方でも、任意整理に変更することは可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

3.再度、個人再生を申し立てる

個人再生の手続きに失敗した場合でも、再度申し立てることは可能です。ただし、再申し立てを成功させるためには、以前の失敗をご自身がきちんと理解していることが重要になります。

たとえば、初回の個人再生後に新たな借金をした、収入が不安定で返済計画が実現不可能だったなど、それぞれ問題を解決していることが大前提です。

また、初回で小規模個人再生を利用した場合は、回数制限がないため、債権者からの異議が出ない限り、何度でも申立てることが可能です。

一方で、初回の申立てが給与所得者等再生だった場合は制限があります。給与所得者等再生は制度上、認可決定から7年が経過していないと再度の申立てはできません。個人再生の種類によって、条件がかわることを覚えておきましょう。

また、債務総額が5,000万円を超えている場合や、安定した収入がない場合も再申し立ては認められません。

このように、個人再生の再申し立ては条件を満たす限り可能ですが、一定のルールが存在します。詳細に関しては、専門家と相談しながら計画を見直し、ご自身の状況に応じて検討することが大切です。

4.財産を処分して借金を返済する

多額の財産があるせいで個人再生が難しい、という場合は、財産を処分することも考えなければいけません。

通常、多額の財産がある場合は、再生計画で求められる返済額も上がる傾向です。これは清算価値保障原則のルールにのっとり、返済額は債務者が所有するすべての財産(預金、住宅、車など)を上回る額でなければいけないからです。

たとえば、借金額が3,000万円なのに対して、1,000万円分の財産を所有していた場合、返済額は最低1,000万円支払う必要があります。借金総額を5分の1~10分の1に減額できるはずのメリットが得られません。

また、財産を売って得たお金を借金返済にあてることも一つの選択肢です。高価な自動車や不動産を売却することで、返済が可能になることもあります。

しかし、この行為には注意が必要です。たとえば、財産を処分して得たお金を特定の債権者にだけ返済するとしましょう。これは「偏頗(へんぱ)弁済」と呼ばれ、法律的に問題になることがあります。

また、万が一、将来的に自己破産を検討するとしましょう。適切な方法や価格で財産を処分していないことが、トラブルになる可能性もでてきます。

個人再生ができないときに財産を売って借金を返すことは可能ですが、その際にはきちんと検討したうえでに行動することが重要です。債務整理をお考えであれば特に慎重に行いましょう。

専門家に相談することで、最適な解決策が見つかるはずです。

5.安定した収入を確保する

個人再生の認可を受けるためには、安定した収入が必要になります。これは、毎月決まった返済額を返済するというルールを守るためです。そのため、継続的な収入を得ることが必要になります。

一般的に、個人再生は「継続・反復した収入が見込める」と判断されれば利用することが可能です。これには、正社員だけでなく、派遣社員アルバイト個人事業主も含まれます。

ただし、パートやアルバイトの方は注意が必要です。病気などで稼働日数が減少すると給料が下がり、収入が安定しない可能性があります。このため、大切なのは申立て時点での勤務期間ということを覚えておきましょう。1年~2年の勤務実績がある場合は、その継続性が認められ、個人再生が通る可能性が高まるはずです。

また、個人事業主の場合は、収入の安定性が重要です。毎月均等な収入でなくても、年間を通じて得られる総収入の見込みがあれば、個人再生ができる可能性があります。

さらに、年金受給者についてもふれておきましょう。老齢年金は終身年金であるため、今後も継続的かつ反復した収入があると見なされ、個人再生が認められる可能性があります。ただし、障害年金については障害がなくなることで受給資格を失うリスクがあるため、個別の判断が必要です。

個人再生の再生計画案を通しやすくする3つのコツ!まず債務整理に強い弁護士に相談しよう

個人再生の手続きが成功するかどうかは、適切なサポート次第といっても過言ではありません。債務整理に詳しい弁護士に相談することで、再生計画案もスムーズに作成できるでしょう。

しかし、弁護士への相談には一定の料金が発生します。個人再生を検討している方にとっては、より負担に感じるはずです。

ただ、個人再生は法律に基づいた手続きであり、決して安易ではありません。専門的な作業が多く含まれるため、経験豊富な弁護士のアドバイスが重要です。再生計画の作成複数の提出書類など、弁護士のサポートがあれば、手続きがスムーズに行えるだけでなく、ご自身の不安も多く解消されるでしょう。

結果として、申立ての成功率も高まるはずです。

ここからは、弁護士との具体的なやり取りの流れをご紹介します。

弁護士に相談して条件や申立棄却事由などを確認する

個人再生を進めるには、法律で定められた条件を満たし、申立棄却事由に該当しないことを確認する必要があります。

返済能力があるか一定の収入が確保されているか提出書類に不備がないかなど、多くの項目をクリアしなければいけません。

しかし、これらをすべて自力で確認しながら手続きを進めるのは非常に困難です。弁護士に依頼することで状況を的確に分析し、必要なサポートが受けられます。

さらに、弁護士に相談することで、個人再生以外にも幅広い解決策を提示してもらえるでしょう。

たとえば、任意整理で十分対応できるケース家計の見直しで返済計画を立て直す方法など、ご自身にとって最適な解決策を提案してくれます。ひとりでは考えつかなかったことも、経験豊富な弁護士に相談することで、有益な情報を得られるでしょう。

また、弁護士は債務者の代理に人として申立てることも可能です。債権者から同意を得る交渉は、時間的にも精神的にも負担が大きくのしかかります。

しかし、弁護士に依頼することで、法律の専門知識を活かしながら交渉を代行してくれます。特に難航しがちなケースでも、プロの視点で対応することで、債権者の信頼を得やすくなり、認可を受ける可能性が高まるのです。

現実的な再生計画案を作成する

個人再生を進める際には、返済可能な範囲の再生計画案を提出することが重要です。

無理のある計画案では、仮に通ったとしても返済中に滞納して、計画自体が取り消されてしまうリスクがあります。

これでは借金が元の額に戻ってしまい、ご自身の負担が増すばかりです。

返済可能な再生計画案を作成するためには、まず自分の収入や支出を正確に把握することが必要です。毎月の収支を明確にし、返済にあてられる金額を現実的に見積もります。この際、返済期間も無理のない範囲で設定することがポイントです。

さらに、作成した計画案が実行できるかどうかを、弁護士に相談することをおすすめします。経験豊富な弁護士であれば、収入や支出の状況をもとに、内容の確認だけでなく、裁判所で認可されやすい形に調整してくれます。

個人再生を成功させるためには、自分の状況に合った計画を立てることが絶対条件です。弁護士のサポートを得ることで、認可されやすい再生計画案が作成できるでしょう。

書類に不備がないかを確認し、期日までに提出する

提出書類は内容の不備がないかを確認し、必ず提出期限を守らなければいけません。

個人再生の手続きでは、裁判所に提出する申立書や再生計画案をはじめ、さまざまな書類が必要となります。一部は弁護士が準備してくれますが、ご自身で用意する書類も多くあります。

以下が、債務者本人が手配する書類の一部です。

  • 住民票
  • 源泉徴収票
  • 給与明細
  • 借金額を証明する書類
  • 預金通帳のコピー
  • 所有財産の一覧表
  • 住宅に関する書類
  • 退職金や保険に関する資料

弁護士が管理している書類については心配がありませんが、ご自身で用意する書類についてはミスのないよう慎重に確認しましょう。種類も多岐にわたるため、準備漏れを防ぐことが必要です。

仮に、書類に不備があった場合、手続きが差し戻される恐れがあります。書類がそろわない限り個人再生は開始されないため、書類内容や提出期限をしっかり確認してください。

弁護士のサポートを受ける場合でも、自分で用意する書類については責任を持って準備することが大切です。内容に不備がなく、提出期限を守ることで、個人再生の手続きもスムーズに進められます。

まとめ

個人再生は借金を大幅に減額する手段のひとつです。

しかし、利用するためにはご自身の借金額や収入所有財産の量によっても状況がかわってきます。

また、手続きには再生計画の作成提出書類の手配など多くの準備が必要です。これに不備があると、申立てても手続きに進めませんので、不安がある方は弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

経験や知識を持った弁護士に依頼することで、新たな解決策にも出会えるかもしれません。任意整理のような、裁判所を通さない債務整理の方法も提案してくれるでしょう。

当サイトでも借金問題を専門としている弁護士・司法書士を紹介しています。個人再生を行うときはぜひご参考になさってください。

まずは、無料相談を活用して、ご自身の不安を解消することから始めましょう。

個人再生ができないケースに関するQ&A

個人再生が不認可になる確率はどのくらい?

令和5年の司法統計年報によると、個人再生の総数が9367件に対し、不認可数は18件となっています。

これは全体の0.2%とかなり低い数字です。

計画通りに返済できなくなったらどうしたらよい?

計画にそった返済が不可能となった場合は、まずスケジュールをたて直しましょう。

通常2年程度、期間を延ばしてもらえます。支払い総額は変わりませんが、期間が延長されることで、毎月の支払いは楽になるはずです。

また、借金額の4分の3以上を支払い終わっている場合は、ハードシップ免責が利用できます。これは、残りの返済が免除される仕組みです。

どちらにも一定のルールがありますので、ご自身の状況に応じて検討しましょう。

個人再生をすると家族や職場にバレる可能性はある?

個人再生をすると「官報」という国の機関紙に情報が掲載されますが、一般の方は見る機会がない資料ですので、ここから発覚する可能性は低いと思われます。

会社や家族内に保証人がいる場合は話が別ですが、わざわざ官報を目にする人は少ないでしょう。

しかし、手続き書類などが自宅に送られることで、家族に知られてしまうパターンがありますので注意が必要です。

また、保険会社や金融会社にお勤めの方は勤務先が官報を確認している可能性があります。会社には個人再生の通知等は送られませんのでご安心ください。

さらに、個人再生の手続きには「退職金見込額証明書」が必要になる場合があります。こちらは会社に依頼するものですので、なんらかの理由を尋ねられる可能性があります。

個人再生のデメリットは?

個人再生を行うと、いわゆるブラックリストにのってしまいます。信用情報に傷がつくため、5年~7年間はクレジットカードが作れず、ローンも組めません。

また、保証人がついている債務については、そちらに請求がいく可能性があります。信頼関係が崩れるなど、影響がでるかもしれないことを念頭に置いてください。

また、官報に個人情報がのることで、闇金からの勧誘があるかもしれません。これらのリスクを確認したうえで、個人再生を検討しましょう。

個人再生でのデメリットはこちらでもまとめています。
個人再生の7つのデメリットと注意点について

生活保護を受給していても個人再生はできる?

生活保護を受けながら個人再生を行うことはできません。なぜなら、生活保護費で借金の返済をすると、生活保護を打ち切られてしまうからです。

また、債権者側も生活保護費を利用した返金は受け入れ難いでしょう。

このことから、生活保護を受けながら債務整理をしたい場合は自己破産を検討することになります。国の支援センターである、法テラスの民事法律扶助を利用することで、専門家に支払う費用を立て替えてもらうことが可能です。

詳しくはこちらでもご紹介しています。
生活保護受給中でも自己破産できるのか?ケースワーカーへの説明や費用を用意する方法について

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更新日 : 2025年01月09日
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