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2025年01月現在

個人再生すると官報でバレる?載るタイミングやデメリットについて解説

個人再生を検討しているものの、「個人再生をすると官報からバレる可能性がある」と聞き、手続きをためらっている人はいませんか?

結論をいうと、個人再生で官報に載っても、周囲にバレる可能性はほとんどありません。なぜなら国の機関紙である「官報」は一般的な読み物ではなく、弁護士・司法書士などの士業や税務署、信用情報機関といったごく限られた人しか目にしないものであるためです。

もちろん、官報を習慣的にチェックする職業の人が身近にいる場合、バレる可能性はゼロではありません。しかし、バレるのはレアケースだと思っておいてもよいでしょう。

注意しなければならないのは、官報に掲載する際にかかる「官報公告費用」を負担する必要がある点と、官報に載ることでヤミ金融業者に目をつけられ、ダイレクトメールが送られてくるようになる可能性があることです。

官報に掲載する際にかかる「官報公告費用」は、裁判所によって異なる場合がありますが2024年5月時点で1万3,744円かかります。ヤミ金融業者は借入れをさせようとして近づいてくるため、絶対に相手にしないようにしましょう。

この記事では、個人再生が官報でバレるかどうかや、官報に載るタイミング、デメリットなどについて解説します。官報に載らない債務整理方法「任意整理」についても紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

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監修
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅(弁護士)

個人再生すると官報に掲載される

個人再生」をすると、以下のとおり国の機関紙である「官報」に掲載されます。

(再生手続開始の公告等)
第三十五条 裁判所は、再生手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。

引用元 民事再生法第三十五条|e-Gov法令検索

ここでは、個人再生の概要や官報について解説します。

  • 個人再生とは債務を減額して返済する債務整理手続き
  • 官報とは政府発行の機関紙で、個人再生の情報も記載される

個人再生とは債務を減額して返済する債務整理手続き

「個人再生」とは、返済できなくなった借金やクレジットカード、ローンなどを大幅に減額してもらい、完済できるようにする債務整理手続きです。

【債務整理とは】
借金を返済できなくなったときの救済制度のこと。主に以下の3種類があり、合法的に借金を減額したりゼロにしたりできる。


・任意整理:将来発生する利息をカットし、残った借金を3〜5年で完済する手続き
・個人再生:元本を5分の1〜10分の1程度に減額し、残った借金を3〜5年で完済する手続き
・自己破産:すべての借金をゼロにする手続き

各債権者に対してどのように返済していくかを具体的に記した「再生計画案」が裁判所に認められ、減額された借金を計画どおりに返済できれば、残った借金が免除されます。

たとえば、300万円の借金を普通に3年で返済しようと思ったら月々8万円以上返済していく必要がありますが、個人再生で借金を5分の1(60万円)に減額してもらった場合、月に1万6,000円程度の返済で済みます。残った240万円については支払う必要がありません。

なお、個人再生には以下の2つの手続きがあります。

小規模個人再生手続 個人事業主やアルバイトなどで生計を立てている人を対象とした手続き。以下の要件を満たす必要がある。


・住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下
・今後も継続して収入を得られる見込みがある
給与所得者等再生手続 会社員を対象とした手続き。「小規模個人再生手続」の要件+以下の要件を満たす必要がある。


・収入が給料で金額が安定している

参照:個人再生手続利用にあたって|裁判所

このうち、原則として「小規模個人再生手続」が行われ、債権者との折り合いがつかない場合に「給与所得者等再生手続」を選択します。

個人再生は、債務整理の中でもとくに複雑な手続きです。申立てにあたって多くの資料を用意する必要があるのに加え、裁判所に提出する「再生計画案」は民事再生法に従って作成しなければならないため、専門家の力を借りずに作成するのは困難です。

そのため裁判所も、できるだけ弁護士に依頼することを推奨しています。

個人再生の減額効果や手続きの流れについては、以下の記事で解説しています。あわせてチェックしてみてください。

官報とは政府発行の機関紙で、個人再生の情報も記載される

官報」とは、政府が発行する機関紙です。行政機関の休日以外は毎日発行されており、以下のような政府情報を国民に広く伝え、法令公布するための唯一の手段として重要な役割を果たしています。

公文 ・法律・政令・条約
・内閣官房令、府令・省令、規則、公示
・国会に関する事項
・司法試験に関する事項 など
公告 ・裁判所公告
・国や各府省・特殊法人・地方公共団体からの告知 など

個人再生に関する情報は、上記のうち「裁判所公告」にあたります。

個人再生を行った場合、以下の情報が官報に掲載されます。

  • 事件番号
  • 住所
  • 氏名
  • 決定年月日時
  • 決定の内容
  • 裁判所名

個人再生を行った人の情報を官報に掲載する理由は以下のとおりです。

  • 法律に基いて決定された事実であるため
  • 債権者が手続きに参加できるようにするため
  • 金融機関や信用情報機関が確認できるようにするため

法律に基づいて決定された事実は、国民に公表すべきとされています。裁判所の決定は「法律に基づいて決定された」といえるため、個人再生を行うと官報に掲載されるのです。

そのほか、債権者が手続きに参加し、権利を行使できるようにすることや、金融機関や信用情報機関が個人再生をした人の情報を確認できるようにすることも官報の役目です。

とくに債権者にとっては、「債務者が個人再生をした」というだけでも一大事です。申立ての際には裁判所に「債権者一覧表」を提出しますが、もし「債権者一覧表」から漏れている債権者がいた場合、その債権者は知らないうちに個人再生の手続きを進められてしまい、返済を受けられなくなる可能性があります。

しかし個人再生をしたことが官報に掲載されれば、債権者はそこから個人再生の事実を知り、手続きに参加できるようになります。手続きに参加できれば、全額ではないにしても返済を受けられるでしょう。

個人再生した人の情報を公開する目的には、借金が払えなくなった人を晒し者にするためではなく、このような理由があることを知っておきましょう。

個人再生で官報に載っても周囲にバレることはほぼない

個人再生で官報に載っても、周囲にバレることはほとんどありません。その理由は以下のとおりです。

  • 官報を読む人は限られているので見つかりにくい
  • 官報の情報量は多いので見つけ出すのは難しい

ここでは、官報に載っても個人再生したことがバレにくいことについて解説します。

官報を読む人は限られているので見つかりにくい

官報に載っても個人再生したことがバレにくい理由の1つは、官報を読む人が限られていることです。官報は誰でも閲覧できますが、普通に生活していて官報を読まなければならない状況になることはあまりなく、そもそも官報の存在を知らない人も多く存在します。

ただし職業によっては、日常的に官報をチェックしている可能性があるため要注意です。たとえば以下の職業に就いている人が周囲にいた場合、その人にバレる可能性はゼロではありません。

  • 弁護士や司法書士などの士業
  • 税務署の職員
  • 市区町村役場の税金担当者
  • 信用情報機関
  • 金融機関の担当者
  • 保険会社の担当者
  • 警備会社
  • 破産者の住宅売買を取り扱う不動産会社
  • ヤミ金融業者

とはいえ上記に該当する人でも、毎日欠かさず隅から隅までチェックするケースはまれです。

たとえば、支払いの遅れや個人再生・自己破産などの法的手続きを指す「事故情報」を扱う信用情報機関であれば日々の官報チェックは必須ですが、士業や市区町村役場の税金担当者が毎日すべての情報をチェックするのは難しいでしょう。

また、万が一上記の職業に該当する知人や友人に個人再生の事実を知られてしまっても、官報で知った情報をむやみに多言する行為は違法です。

たとえばインターネットで広めたり周囲に言いふらしたりした場合、刑法で規定される名誉毀損罪個人情報法保護法違反にあたる可能性があります。

噂を広められたことで社会的評価を落とすような事態に発展したときは、民法の定める不法行為にも該当し、損害賠償の対象になることもあります。そのため、知人や友人に知られてしまったとしても、その人が法的なリスクを冒してまで噂を広めるとは考えにくいでしょう。

官報の情報量は多いので見つけ出すのは難しい

官報に載っても個人再生したことがバレにくいもう1つの理由は、情報量の多さです。

官報は、日によっては100ページを超えるほどのボリュームがあり、個人再生だけでも年間何万件と掲載されます。また、前述のとおり、行政機関の休日以外は毎日発行されています。

そのため、「たまたま見た官報でたまたま知人の名前を見つける」という偶然はそうそうないでしょう。前項で紹介した「官報を見る可能性のある職業」に就いている人でも、膨大な情報の中から特定の誰かを探すことは簡単ではありません。

個人再生が官報に載る回数は3回

個人再生で官報に掲載されるのは以下の3回です。

  • 再生手続開始決定(申立てから約1ヶ月後)
  • 再生計画案を提出(申立てから約3~4ヶ月後)
  • 再生計画認可決定(申立てから約5ヶ月後)

ここでは、官報に載るタイミングや内容について解説します。

再生手続開始決定(申立てから約1ヶ月後)

はじめて官報に掲載されるのは、「再生手続開始決定」が出るタイミングです。期間でいうと、「個人再生の申立てから約1ヶ月後」が目安です。

このとき官報には、以下のような内容が掲載されます。

  • 事件番号
  • 住所
  • 氏名
  • 再生手続き開始決定日時
  • 主文
  • 再生債権の届出期間
  • 一般異議申述期間
  • 管轄裁判所

再生手続開始決定のタイミングで官報に掲載する目的は、個人再生の手続きが開始した旨を債権者に知らせることです。債権者は、「再生債権の届出期間」内に裁判所に対して「債権届出書」を提出し、債務者が返済すべき金額を主張します。

再生計画案を提出(申立てから約3~4ヶ月後)

2回目の官報掲載は「再生計画案」を提出したあと、書面決議や意見聴取を行うタイミングです。期間でいうと、「個人再生の申立てから約3〜4ヶ月後」が目安です。

【再生計画案とは】
各債権者にいくらずつ返済していくかを具体的に記載した書面のこと。「再生債権の届出期間」満了後、裁判所が指示した期間内に、確定した各債権者の債権額をもとに債務者が作成する。再生計画案が裁判所に認められれば残りの借金が免除され、計画どおりに返済がスタートする。
【書面決議とは】
書面による決議のことで、「小規模個人再生」の際に行われる。再生計画案に反対する債権者は裁判所に書面を送付し、とくに意見がないか賛成している場合は回答しない。反対する債権者が債権者の半数以上または債権額の過半数に達すると、再生計画案が認められず手続きが中止される。
【意見聴取とは】
再生計画案の認可を行うにあたって、裁判所が債権者に意見を聞くこと。「給与所得者等再生」の場合に行われる。意見は聞くものの決議は行われないため、再生計画案への反対意見が多いときでも個人再生の手続きが中止されることはない。

2回目に掲載される内容は、「小規模個人再生」か「給与所得者等再生」かで異なります。

小規模個人再生を行う場合の掲載内容は以下のとおりです。

▼小規模個人再生を行う場合

  • 事件番号
  • 住所
  • 氏名
  • 再生計画案
  • 再生計画に対する回答期限
  • 決定日付
  • 裁判所名

このタイミングで官報に掲載する理由は、債権者に反対するチャンスを与えるためです。再生計画案に納得がいかない債権者は、「再生計画に対する回答期限」までに反対する旨を回答します。

一方、給与所得者等再生を行う際の掲載内容は以下のとおりです。

▼給与所得者等再生を行う場合

  • 事件番号
  • 住所
  • 氏名
  • 再生計画案
  • 書面で意見を述べられる旨の記載
  • 書面の提出期間
  • 決定日付
  • 裁判所名

給与所得者等再生の場合、債権者の反対によって手続きが中止することはありませんが、債権者には意見を述べるチャンスが与えられます。再生計画案に納得がいかない債権者は、「書面の提出期間」内に意見を述べます。

再生計画認可決定(申立てから約5ヶ月後)

3回目の官報掲載は、裁判所が再生計画の認可を決定したタイミングです。期間でいうと、「個人再生の申立てから約5ヶ月後」が目安です。

このとき官報には、以下の内容が掲載されます。

  • 事件番号
  • 住所
  • 氏名
  • 主文
  • 理由の趣旨
  • 決定日付
  • 裁判所名

このタイミングで掲載する目的は、再生計画が認可されたことを債権者に伝えることです。認可決定は掲載日の翌日から2週間で確定し、その翌月から返済がスタートします。

なお、再生計画が認可されなかった以下のようなケースでも、その旨が官報に掲載されます。

  • 再生計画の不認可
  • 再生計画の取消し
  • 再生手続きの廃止

個人再生にかかる期間については以下の記事で解説しているため、ぜひあわせてチェックしてください。

官報の掲載内容を見る方法と掲載期間

官報の閲覧方法には、以下の2つがあります。

  • インターネット官報で調べる
  • 紙の官報を購入して調べる

なお、発行日は行政機関の開庁日の午前8時30分です。「国立印刷局」と「東京都官報販売所」に掲示され、インターネットでも同じタイミングで配信されます。

ここでは、官報の閲覧方法と掲載期間について解説します。

インターネット官報で調べる

まずは「インターネット版官報」で調べる方法です。

【インターネット版官報とは】
紙の官報と同様の内容をPDFデータで閲覧できるサービスのこと。以下のものが無料で閲覧できる。


・直近90日間の官報情報(本紙・号外・政府調達など)
・平成15年7月15日以降の法律・政令など
・平成28年4月1日以降の政府調達

無料では、日付や氏名での検索ができません。そのため、特定の人物の個人再生案件を膨大なデータの中から探すのは至難の業でしょう。

また、「直近90日間」の公開期間を過ぎたものに関しては、無料では閲覧できません。見られるようにするには、有料のサービスである「官報情報検索サービス」に申し込む必要があります。有料サービスに申し込むと、半永久的に閲覧できます。

「記事検索」ができるプランに申し込んだ場合は氏名での検索もできるため、無料版よりは特定の人物を探しやすくなりますが、実際に利用しているのは業務上官報チェックを行う必要のある会社や組織くらいのものでしょう。

官報情報検索サービスの申込み方法は以下のとおりです。

  1. 利用規約を確認する
  2. 利用申込書を記入する
  3. 最寄りの「官報販売所」で申込みをする
  4. 後日ユーザーID・パスワードが届く

申込みから2〜3日程度で利用できるようになります。

月額料金は以下のとおりです。

紙の官報を定期購読している人 紙の官報を定期購読していない人
日付検索のみ 無料 1,672円
日付検索

記事検索
528円 2,200円

※上記は税込金額です。

紙の官報を定期購読している場合、日付検索のみであれば無料で利用可能です。「記事検索」も追加すると料金がかかりますが、割引が効くため紙の官報を定期購読していない人よりもリーズナブルに閲覧できます。

なお、利用料金がかかるのは翌月からですが、申込み月に解約すると料金が発生します。

参照:インターネット版官報|国立印刷局

紙の官報を購入して調べる

もう1つは、紙の官報を購入して調べる方法です。閲覧できる情報はインターネット版と同じですが、紙で残したい人には紙の官報がおすすめです。

紙の官報を購入するときは、最寄りの「官報販売所」や「取次所」に申し込みます。

なお、愛知県以外は1都道府県につき1カ所しか販売所がありませんが、定期購入を申し込む際に販売所を訪問する必要はありません。東京都については、取次所(全12カ所)での購入も可能です。

申し込み方法は以下のとおりです。

  1. 全国官報販売協同組合」のホームページから「官報購読」を開く
  2. 「紙媒体の官報申し込み」の「申し込み詳細はこちら」から必要事項を入力する
  3. 送信後は販売所からの連絡を待つ

購読には、以下の料金がかかります。

利用するサービス 購読料(税込)
冊子官報定期購読 3,841円
冊子官報+官報情報検索サービス
(日付検索のみ)
3,841円
冊子官報+官報情報検索サービス
(日付検索・記事検索)
4,369円

インターネット版では過去に発行されたものも閲覧できますが、紙の官報の場合は原則その日発行されたものしか入手できません。そのため、インターネット版よりも特定の人物の情報を探すのは難しいでしょう。

個人再生で官報に載るデメリット

個人再生で官報に載るデメリットは以下のとおりです。

  • 官報公告費用を負担しなければならない
  • ヤミ金融からダイレクトメールが送られてくる可能性がある

それぞれ解説します。

官報公告費用を負担しなければならない

官報に載るデメリットの1つは、官報公告費用を負担しなければならないことです。「こちらが掲載を依頼しているわけではないのに」と思うかもしれませんが、個人再生を申し立てる際に納付しなければなりません。

2024年5月時点での費用は1万3,744円ですが、裁判所によって異なる場合があるため事前に確認することをおすすめします。

掲載のタイミング 小規模個人再生 給与所得者等再生
開始決定 4,816円 4,816円
書面決議に付す決定 4,112円 -
意見聴取決定 - 4,816円
認可・不認可決定 4,816円 4,112円
合計 1万3,744円 1万3,744円

参照:官報広告料金の改定について|横浜地方裁判所第3民事部

ヤミ金融からダイレクトメールが送られてくる可能性がある

官報に掲載されたことによって、ヤミ金融からダイレクトメールが送られてくる可能性がある点も官報に載るデメリットです。

前述のとおり、官報には住所や氏名が掲載されます。また、個人再生をしたということは「ブラックリスト」に載った状態であり、通常は借金をしたくてもできない状況ということです。

中には、これから借金をがんばって返済していこうと思う反面、自力で借金を完済しなければならない状況に対して不安を感じている人もいるかもしれません。ヤミ金融業者は、そういった心理をうまくついてきます。

「ブラックでもOK」「審査なし」といった謳い文句で弱みにつけ込んでくることがありますが、ここで手を出してしまうと個人再生をした意味がなくなってしまいます。個人情報を悪用されるおそれもあるため、怪しい誘いには決して乗らないようにしましょう。

個人再生すると官報に載らないということはできない

個人再生をした場合、官報に載らないようにすることはできません。官報に個人再生した人の情報を載せるのは、債権者を保護する目的があるためです。

「どうしても官報に載せてほしくない」「官報に載るなら個人再生したくない」という場合は、官報に載らない手続き「任意整理」を選択する方法もあります。ここでは、官報に情報が載る理由と任意整理の詳細について解説します。

官報に載るのは債権者に手続参加の機会を与えるため

官報に個人再生をした人の住所や氏名が載るのは、前述のとおり債権者に手続きに参加する機会を与えるためです。

官報とは政府発行の機関紙で、個人再生の情報も記載される」でも解説したように、もし申立ての際に「債権者一覧」から漏れている債権者がいた場合、そのまま手続きが進んでしまうとその債権者は一銭も回収できなくなってしまいます。

そのため官報への掲載は拒否できず、「官報に載せないでほしい」「一度掲載された情報を消してほしい」というような要望は通りません。情報に誤りがある場合の訂正は可能ですが、官報への掲載から免れる術はないことを知っておきましょう。

任意整理ならば官報に載らずに債務整理ができる

同じ債務整理でも、「任意整理」なら官報に載りません。

【任意整理とは】
債権者と交渉することで将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらい、残った借金を3〜5年かけて完済する債務整理方法のこと。基本的に元本は減額されないが、利息が減った分借金総額が減るため、膨れ上がった利息のせいで返済がうまくいかなかったケースでも完済を目指しやすくなる。

「どうしても官報に載るのを避けたい」という人は、任意整理を検討してみるとよいかもしれません。

任意整理を個人再生と比較したときのメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット ・官報に掲載されない
・個人再生よりも周囲にバレにくい
・整理対象を選択できる
・財産を失う心配がない
・裁判所の手続きが不要
デメリット 個人再生のように元本が大きく減るわけではない

官報に掲載されない点や、同居家族の収入証明・退職金見込み額証明書といった書類を必要としないことから、個人再生よりもバレにくい傾向にあります。

また、個人再生は整理対象を選べませんが、任意整理では「整理したくない債権者」を対象から外せます。たとえば保証人つきの借金や返済中の自動車ローンなどを対象から外せば、保証人に迷惑がかかったり車を失ったりすることがありません。

裁判所の手続きが不要で、個人再生よりも手軽にできるところもメリットといえるでしょう。

ただし、元本を大幅に減らせる個人再生とは違い、利息はカットできても元本はほとんど残る点には注意が必要です。返済義務が残るのは個人再生も同じですが、任意整理では思ったほど借金を減らせない可能性があります。

任意整理のメリットや減額効果については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。ぜひあわせてチェックしてみてください。

まとめ

個人再生をすると「官報」に載ることや載るタイミング、デメリットについて解説しました。

個人再生をすると、必ず官報に住所や氏名が掲載されてしまいます。「できれば載らないようにしたい」と思うかもしれませんが、官報への掲載は債権者に手続き参加の機会を与えるためのものであるため、掲載は拒否できません。

ただし官報は一般的な読み物ではなく、読む習慣がある人は士業や信用情報機関、金融機関の担当者といった一部の人に限られています。そのため、そのような人が身近にいない限り官報からバレることはないでしょう。

注意点は、官報公告費用を負担しなければならないことと、官報に掲載されることでヤミ金融業者からダイレクトメールが送られてくるようになる可能性があることです。

とくにヤミ金融業者は、「ブラックでもOK」「審査不要」などの謳い文句で借入れをさせようとしてくるため、決して相手にしないようにしましょう。

「借金をどうにかしたいけど、どうしても官報に載りたくない」というときは、官報に載らずに手続きできる債務整理方法、「任意整理」を検討することをおすすめします。

(参考:債務救済

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更新日 : 2025年01月09日
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