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2024年11月現在

個人再生の「住宅ローン特則」なら自宅は守れるって本当?

住宅ローンのある自宅を持っているのですが、自宅を守りながら債務整理する方法はあるんですか?

個人再生であれば「住宅ローン特則」という制度を利用することで自宅を守りながら借金を大幅に減額することが可能です。ただ住宅ローン特則の利用にはさまざまな条件があるので利用できるかを確認する必要はあります。

そうなんですね。じゃあ利用条件に当てはまらなかったときは自宅を守るのは難しいんですか?

個人再生以外にも「リースバック」や「親族間取引」という方法で自宅を守りながら自己破産するという方法もありますが、利用には厳しい制限や条件があるので簡単とは言えません。

なるほど。厳しい条件はあるけど可能性はあるってことですね。

その通りです。確かに自宅を守りながら借金を減額するのはさまざまな条件があり難しいこともあります。しかし、自宅を守りたいがために債務整理をためらうと選択肢はどんどん狭まってしまいます。まずは自宅を守りたいことも含めて弁護士・司法書士に相談して、最適な方法をアドバイスしてもらうとよいでしょう。

個人再生であれば住宅ローン特則を利用し自宅を守りながら大幅に借金を減額することができます。

ただし、住宅ローン特則は利用にさまざまな条件があり、それをクリアしないと利用できません。

また個人再生以外にも自宅を守りながら債務整理する方法がありますが、これも簡単にはいかないことが多くなっています。

ですが、状況をしっかりと確認すれば自宅を守りながら苦しい状況を脱する方法がないわけではありません。

まずは早めに弁護士・司法書士に相談し、最適な方法をアドバイスしてもらうことをおすすめします。

この記事でわかること
  • 個人再生は住宅ローン特則を利用して住宅ローンの残る自宅を守り借金を大幅に減額できる債務整理手続き
  • 住宅ローン特則の利用には「本人が所有、居住していること」「住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと」といった条件や注意点 がある
  • 個人再生後は一定期間住宅ローンが組めなくなる可能性が高い
  • 借金が住宅ローンだけでも個人再生は利用可能だが、住宅ローン自体の減額はできない
  • 個人再生以外にも親族間売買やリースバックを活用し、自宅を残しながら債務整理する方法がある

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監修
弁護士法人アクロピース
伊藤 俊太郎(弁護士)

個人再生で住宅ローンのある自宅は残せる

個人再生には「住宅ローン特則」という制度があり、制度を利用して住宅ローンの残っている自宅を手放さず借金を大幅に減額することができます。

この制度は個人再生の大きなメリットの1つですが、制度の利用にはさまざまな条件があります。

ここでは住宅ローン特則の利用条件やメリット、注意点について解説します。

「住宅ローン特則」を使うことで自宅を残しながら債務整理が可能

住宅ローン特則は正式には「住宅資金貸付債権に関する特則」という制度です。

この制度の利用により、住宅ローン等の住宅資金貸付債権についてはこれまで通り返済を継続することで、自宅を処分することなく住宅ローン以外の債権を大幅に減額し、残った借金を分割払いとすることができるようになります。

本来、個人再生は原則的にすべての債権者を平等に扱うという考え方の上で成り立っています。住宅ローンがある場合には通常、購入した不動産に担保として抵当権が設定されているため、原則的な考え方に則って取り扱えば自宅は個人再生手続きをした時点で手放さなければなりません。

しかし、住宅はその他の財産と違って生活の基盤になっているものであり、住宅の維持はその後の経済的な更生につながると考えられています。個人再生は手続き完了後も残額を返済しながら経済的再生を目指す手続きであることから、再生の基盤である住宅の確保のためこの制度が設けられているわけです。

住宅の競売手続きが進んでいる場合でも住宅ローン特則は利用できる

住宅の競売手続きが進んでいる場合も、税金滞納等がなければ住宅ローン特則の利用が可能です。

個人再生を申し立て、住宅ローン特則を含めた認可の見込がある場合は裁判所が競売手続の中止命令を出してくれます。ただし税金滞納がある場合は一般優先債権にあたり競売手続きは進んでしまうため、滞納を解消する必要があります。

住宅ローンを滞納している場合も利用可能

住宅ローンを滞納している場合でも住宅ローン特則の利用は原則的には可能です。

ただし、個人再生は減額後の借金を返済できるだけの収入があることが条件です。住宅ローンを滞納している場合は、認可後の返済が確実であることが疑わしいと判断される可能性がありますので、滞納は解消しておいた方がいいでしょう。

ただし、住宅ローン特則を利用するには厳しい条件も

住宅ローン特則はこれまでご説明した通り大きなメリットのある制度ですが、そのかわり利用する条件がかなり厳しく制限されています。

住宅ローン特則を利用する場合は個人再生自体の利用要件を満たすことに加えて、住宅ローン特則の利用要件を満たす必要があるため、かなり複雑なものとなっています。

住宅の購入、又は改良に必要な資金であること

住宅ローン特則が適用されるのはあくまで住宅資金貸付債権、つまり住宅の購入に関する資金の借入である住宅ローンに限られます。この住宅資金貸付債権は、住宅の新築、購入に加えてリフォームなどの資金が対象です。

まれに住宅以外の資金である教育費なども含めて住宅ローンを借り入れることができる場合もありますが、そのような場合は住宅ローン特則の要件を満たしていないため利用することが出来ません。住宅以外の資金の借入が少額だった場合は利用できるケースもありますが、最終的には裁判所の判断に委ねられるため、不安がある場合は弁護士・司法書士に相談し、見通しを聞いてみると良いでしょう。

対象となる住宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと

住宅ローン特則は居住している自宅に住宅ローン以外の抵当権が設定されている場合、利用できません。

住宅ローン特則は経済的再生に不可欠だと考えられている自宅を残すため債務整理手続きの対象から除外することを認める制度で、住宅ローン以外の債権者は原則的に平等に扱われます。

住宅ローン特則の対象となっている自宅に住宅ローン以外の債権者の抵当権が設定されている場合、個人再生を行った時点で抵当権が行使され自宅を残すことができないため、利用できなくなっています。

本人が所有し、居住している住宅であること

住宅ローン特則の対象となる不動産は本人が居住している住宅に限定されます。

本人が居住しているとは具体的に、自分の居住用の建物且つ床面積の50%以上が居住用である住宅のことと規定されています。

例えば自宅の一部を自分で営業している店舗にしている場合などはその面積が50%を超えている場合は利用できません。

保証会社による代位弁済後、6ヶ月を経過していないこと

住宅ローンが既に延滞している場合、延滞が数か月に及ぶと債務者は期限の利益を喪失し、債権者は債務者に対して住宅ローンの一括請求を行えるようになります。

住宅ローンを借入する場合、同時に保証会社との間で保証委託契約を締結するケースが多くあります。住宅ローンを滞納し、かつ債務者が一括請求に対応できない場合、債権者は保証会社に対して一括請求し、保証会社が債権者に住宅ローンを一括返済します。これを代位弁済といいます。代位弁済が行われると原則的に住宅ローン特則は利用できません。

ただし代位弁済が行われてから6ヶ月以内の場合、個人再生手続きを申し立てれば代位弁済をなかったことにできます。個人再生を申し立てる方は返済が苦しくなっているケースが多く、住宅ローンを滞納していることも少なくありません。そのため、保証会社による代位弁済が行われると同時に住宅ローン特則が利用できないとしてしまうと、住宅ローン特則の利用範囲が限定されてしまいます。

個人再生は債務者の救済を趣旨として制定されている制度ですが、このような利用範囲の限定はその趣旨に反するものであることから、6ヶ月間の猶予が与えられているのです。

裏を返せば、代位弁済から6ヶ月以上が経過してしまうと個人再生を申し立てても住宅ローン特則は利用できず、自宅を失うこととなってしまいます。

個人再生は申立までに資料の準備も多く時間がかかるため、すでに延滞している場合や代位弁済されている場合は早めに弁護士・司法書士に相談するようにしましょう。

税金を滞納していないこと

税金を滞納し住宅が差し押さえられている場合、住宅ローン特則を利用することができません。

税金などの公租公課は一般優先債権といって個人再生等の手続きの影響を受けず随時弁済を求められるものとして認められています。そのため、これらを滞納し差し押さえされると債権者は個人再生手続き中であっても住宅を競売にかけることができます。

税金を滞納している場合はまず事前に税金の滞納を解消しましょう。一括で解消が難しい場合には債権者の同意を得られれば分納していくことを条件に手続きできることもあるため、弁護士・司法書士に相談してみましょう。

個人再生手続きにより借金の大幅な減額が見込めることもメリット

個人再生手続きは借金を大幅に減額できる債務整理手続きです。

具体的には、個人再生を利用することで借金を約1/5まで圧縮できます。

任意整理よりも大きな借金カットが見込める

その他の債務整理手続きである任意整理でも、住宅ローンを債務整理の対象に含まなければ自宅を残しながら債務整理を行えますが、任意整理では元本は減らないので、大きな借金減額にはつながりません。

この「自宅を残しながら大きな借金減額が見込める」という点は、個人再生手続きを選択する大きなメリットになるでしょう。

また、住宅ローンが債務整理の対象から除外されることにより、債務整理手続きに伴って債権者から保証人に請求がいくこともなく、迷惑をかけずにすみます。

ただし、高額な費用がかかることや裁判所手続きが必要になることがネック

ただし、個人再生は一般的に高額な費用が必要となります。具体的には30〜50万円ほどの弁護士費用がかかり、また裁判所で行われる手続きに15万円〜30万円ほどの費用がかかります。

弁護士に依頼すればこれまでの返済はストップするので、返済に回したお金を毎月積み立てて費用を準備することもできますが、それでも任意整理の費用と比べると高額と言わざるを得ません(任意整理の場合は1社約4万円〜で手続き可能)。

また、裁判所で行われる手続きとなるため、認可がおりるまでは半年ほどの時間がかかるのが通常です。

こうしたことと比べると任意整理は負担の少ない手続きと言えるので、状況に応じて自分にあった手続きを選ぶことが大切です。

住宅がアンダーローンになっている場合は個人再生後の返済額が増える可能性がある点に注意

住宅がアンダーローンになっている場合は、個人再生における返済額が増える可能性がある点には注意してください。

アンダーローンとは住宅を売却した場合の価値(清算価値)が住宅ローン残高を上回っている状態のことを言います。アンダーローンとなっている場合、仮に自己破産するなどして資産を清算すると債務者の手元にはお金が残ることになります。

個人再生では認可後の弁済額を決める基準に「清算価値基準」というものがあり、個人再生で弁済する額は清算価値以上でなければならないと定められています。

例えば住宅を売却した場合の価値が2,000万円で住宅ローンの残債が1,000万円だった場合、1,000万円が清算価値となります。仮に個人再生で定められている最低弁済額が500万円だった場合、清算価値が上回るため、個人再生での弁済額は1,000万円となり、先ほどの最低弁済額500万円より多くの金額を返済しなければいけなくなるということです。

個人再生の住宅ローン特則以外にも自宅を残す方法はある

アンダーローンの場合は返済額が増えてしまいます。結果として個人再生後の返済が難しくなり再生計画が認可されなかったり、個人再生の大きなメリットである大幅な借金の減額とならないケースもあります。

再生計画が認可されなければ残る債務整理方法は自己破産です。また大きなメリットを得られないために自己破産を選択するケースもあり得ます。

自己破産は原則的に所有資産は処分する必要があるため自宅を守ることは難しくなりますが、状況によっては自己破産を選択しつつ自宅を守る方法もいくつか存在します。どの方法もデメリットもあり、実現が難しいものですが可能性はゼロではありません。内容を十分に理解し検討してみてください。

自己破産しリースバックで自宅を残す

1つ目は債務整理で自己破産を選択しつつ、自宅はリースバックで守るという方法です。

リースバックとは自宅を不動産業者に買い取ってもらい、不動産業者から賃貸する形で住み続ける方法のことです。リースバックは将来的には買い戻すことが前提となっているケースが多いため、リースバックと呼ばれます。

このリースバックであれば自己破産した後でも自宅に住み続けることができるのですが、利用する際には注意すべき点があります。

売却価格が相場より安くなることが多く自己破産時にリースバックを取り消される可能性がある

リースバックの場合、売却価格が一般的な相場より安くなるケースも多く売却について管財人から問題視される可能性があります。

自己破産の場合は債務者の財産を売却し債権者に配分します。そのため、債権者側からすれば少しでも高く売却してもらった方が回収できる金額は大きくなります。

管財人には「否認権」といって債権者が不当に不利益を被る場合はその行為の取り消しを請求できる権利が与えられています。この権利に基づいて、自己破産の場合、不当に自宅を安い価格で売却すると否認対象行為とみなされ、売却自体を取り消されてしまうということです。

家賃負担が重くなり経済的再生が困難になってしまう

リースバックの場合、支払う家賃は相場よりも高くなる傾向があります。

一般的に賃貸物件はその地域の賃貸相場に合わせて賃料を決めますが、リースバックの場合家賃は買取価格によって決まるため、周辺相場よりも高くなってしまうことも多くあります。

債務整理をしなければならない状況であれば、厳しい経済状況であることが多く相場より高い家賃負担が経済的な再生を難しくしてしまうこともあるのです。

将来買い戻すことができず売却することになることもある

リースバックは2~5年後に買い戻すことを前提とした契約になることが一般的です。

もし経済的な再生がうまくいかず買い戻すことができなければ、結局は競売にかけられてしまい自宅を守ることができなくなってします。

自己破産し自宅を親族等に買い取ってもらう方法

自己破産の場合、通常自宅は競売で処分されますが任意売却といって自分で売りに出すこともできます。住宅ローン債権者が認めればこの任意売却で第三者ではなく両親などの親族に買い取ってもらうことも可能です。

ただし親族間の売買の場合、住宅ローンの借入が難しいケースが多くなります。

住宅ローンを借入する際には住宅ローンの保証会社が保証することがほとんどですが、親族間の売買の場合この保証の対象外です。そのため、通常の金融機関はローンの許可を出さないのです。一括で不動産を購入できる場合は問題ありませんが、そうでない場合は売却自体がスムーズに進まないこともあります。

個人再生手続後は一定期間住宅ローンは組めない可能性が高い

個人再生手続き後は一定期間住宅ローンが組めなくなる可能性が高くなります。

ブラックリストに登録される5~7年は住宅ローンが組めない可能性が高い

個人再生を行うと信用情報機関に事故情報として登録され、5~7年の間は住宅ローンが組めなくなってしまう可能性が高くなります。

この事故情報として登録される状態が、いわゆる「ブラックリストに登録される」という状態です。銀行などの金融機関は信用情報機関の情報を照会して与信を判断していますので、そこに事故情報があると審査に通らなくなるのです。

個人再生の場合、信用情報機関の種類により事故情報が登録される期間は異なりますが、認可後5~7年の間は履歴が残るためその期間に住宅ローンを組むことは難しくなります。

信用情報機関の種類 事故情報登録期間
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 7年
日本信用情報機構(JICC) 5年
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 5年

2022年11月以前は手続きから5年~10年で個人再生の登録情報が抹消されていましたが、現在は5〜7年に変更されました。これは、KSC(全国銀行個人信用情報センター)が登録期間を短縮(10年から7年)したことによります。なお、2022年11月以前に個人再生や自己破産をしていた方は適用(7年に短縮)されません

なお、連帯保証人の財力や経済的信用度が高い場合はそれらの信用度が優先され住宅ローンを組める可能性があるため、可能性はゼロではありません。

事故情報が抹消されても住宅ローンに通らない可能性もある

また、個人信用情報機関から事故情報が抹消されても、すぐに住宅ローンに通るかというとそうではない可能性もあります。

事故情報が抹消されると個人信用情報には借入やクレジットカードの利用の履歴がまったくないまっさらの状態になります。最近ではクレジットカードの利用や、ローンを組むことは当たり前になっています。一定の年齢で個人信用情報がまっさらだと金融機関やローン会社に事故情報が過去にあったのではないかと疑われ、審査に通らない可能性があります。

また個人再生の対象とした債権者(貸金業者など)では、個人再生などの債務整理をした履歴を社内情報として半永久的に保存しています。このような状態を「社内ブラック」と呼び、個人信用情報の事故情報が抹消されたとしても「社内ブラック」は抹消されないため、審査に通らない可能性が高いです。

どうしても個人再生後に住宅ローンを組みたい方は、有効な対策を覚えておこう

上記のように、個人再生後に住宅ローンを組むことは非常に難しい状況にあります。ただし、個人再生後に住宅ローンが組めないかというと可能性はゼロではありません。

少しでも住宅ローンを組める可能性が高くなるためには、事前の対策が重要であり、具体的には以下の方法が有効と考えられます。

頭金をできるだけ用意する

個人再生の事故情報が削除された後、住宅ローンを組む場合には頭金をできるだけ多く用意しておくようにしましょう。

事故情報が削除されたあと、住宅ローンを組む際に最も問題になるのが年齢です。事故情報の登録機関は10年間に及びます。住宅ローンは返済期間が長いことが多いですが、年齢は多くの住宅ローンで70歳までの期間でしか組めません。そのため返済期間が短くなることにより月々の返済負担が増え、結果としてローンに通らないということが起こります。

返済期間が短くなっても無理のない範囲で返済していくためにも頭金が重要です。事故情報が消えるまでの間にしっかりと頭金を準備し申し込めば住宅ローンを組める可能性は高まるでしょう。

クレジット履歴を貯めておく

良いクレジット履歴をためておくことも住宅ローンを通りやすくするコツです。

個人再生などの事故情報が抹消された後、個人情報は借入などのクレジット履歴がないまっさらの状態です。この状態のままだと金融機関は過去に事故情報があったことを疑うことも多く、審査に通りにくくなります。

クレジットカードの支払い履歴など、良いクレジット履歴をためることで返済能力があることを証明できれば住宅ローンに通る可能性も高くなるでしょう。

個人再生したローン会社の系列を避ける

個人信用情報機関の事故情報が抹消されても、それぞれの企業内で事故情報が保存されている場合があります。そのため、一度個人再生などの債務整理を行うと同じ貸金業者やそのグループ会社では審査に通らないことが多いため避けたほうがよいでしょう。

最近では消費者金融が大手銀行の傘下になっていることも多いため、確認しておきましょう。

家族名義でローンを組む

自分でローンを組むのが難しい場合、家族の名義でローンを組むのも方法です。

事故情報などは個人でしか登録されないため、家族に一定の安定した収入があればローンを組める可能性は高くなります。ただ、この場合保証人などを依頼されても事故情報があった本人は保証人でも審査が通らないことは認識しておいてください。

住宅ローンだけでも個人再生はできる

個人再生は住宅ローンが残る自宅を守りながらそのほかの借金を大幅に減額できる債務整理手続きですが、住宅ローンのみの場合でも手続きを利用するメリットがあります。

住宅ローンのみで個人再生を行った場合のメリットを解説します。

住宅ローンのみで個人再生をするメリット

住宅ローンしか借金がない場合に個人再生をするメリットは以下の2つです。

  • 期限の利益の回復・巻き戻し
  • 返済期間の延長

期限の利益を回復し、代位弁済が行われている場合は巻き戻しされる

1つ目のメリットは期限の利益の回復と代位弁済の巻き戻しです。

通常、住宅ローンを3ヶ月以上滞納すると期限の利益を喪失し住宅ローンの保証会社が残りの住宅ローンを一括返済(代位弁済)し、債権が保証会社に移転します。このような保証人からの代位弁済のことを「法定代位」と呼び、この法定代位によって移転した債権には住宅ローン特則は適用されません。

つまり、代位弁済を受けた時点でその住宅ローンは住宅ローン特則の範囲外となるため、保証会社は抵当権のある住宅を競売にかけることができるようになってしまいます。

しかしながら、個人再生では債務者(借金をした側)の経済的再生が趣旨であり、自宅はその基盤となることからこの自宅没収を回避するために「代位弁済の巻き戻し」を認めています。「代位弁済の巻き戻し」とは住宅ローン特則の対象となる住宅ローンが代位弁済されてから6ヶ月以内に個人再生の申立をすれば、代位弁済前の状態に戻すことを認める制度のことです。

この制度により延滞した住宅ローンについて期限の利益を回復し、代位弁済前の状態に戻すことが可能なため、住宅ローンのみであっても個人再生をすることで自宅を失わず返済していくことが可能になっています。

返済期間の延長

個人再生では期限の利益の回復以外にも返済期限の延長などのリスケジュールが可能です。ただし、その場合は住宅ローン債権者との間で事前に打合せをしておくことが重要です。住宅ローン特則の利用によるリスケジュールの方法は5つありますが、特に「最終弁済期間延長型」と「元本猶予型」はメリットが特に大きいものとなっています。

  • そのまま型
  • 期限の利益回復型
  • 最終弁済期間延長型
  • 元本一部据置型
  • 同意型

最終弁済期間延長型は最終の返済日が満70歳を超えない範囲で住宅ローンの返済期間を最長10年間延長することができます。返済期間を延長することで月々の弁済金額を抑えることができるため、返済が軽くなった分をこれまでの滞納分や遅延損害金の返済に充てることができる点が大きなメリットとなります。ただし、この方式の場合は住宅ローンの返済期間が長くなることにより利息が増え、最終的な返済額は増加することに注意してください。

元本猶予型は再生計画に基づく弁済期間である個人再生認可からの3年間について元本の一部返済を猶予してもらえる方法です。再生計画の弁済中は再生計画に基づく弁済に加えて、通常の住宅ローンの返済、住宅ローンの滞納分の返済など多くの返済をしなければならず、返済が厳しくなることもあります。

この元本一部据置型で元本返済を猶予してもらうことで月々の返済が軽くなるため、滞納分の返済や再生計画の弁済をまずは優先して返済していくことができる点がメリットです。こちらも期限延長型と同様に元本返済が延長される分利息の支払いが多くなるため、最終的な返済額は多くなります。

またリスケジュールの方法については原則的にどうしてもリスケジュールをしないと返済できない場合に利用できる制度のため、契約通りの返済が可能な場合は選択できません。

住宅ローン債権者には個人再生を反対することはできない

住宅ローン債権者は個人再生の認可について議決権がなく同意は必要ないとされており、個人再生を行うことについて反対することはできません。

小規模個人再生の場合、再生計画の認可は債権者による書面決議で債権者数の2分の1且つ総債権額の50%以上の反対があった場合は認可されません。そのため、住宅ローンのみで個人再生を行う場合、債権者は受託ローンの債権者のみとなるため、反対されると自動的に過半数になってしまいます。

また住宅ローンのみでない場合でも、住宅ローンが含まれる場合は債権の過半数を住宅ローンが占めるケースも多く、住宅ローン債権者が議決権を持っていると住宅ローン特則が機能しなくなってしまうため、議決権を有しないこととされているのです。

まとめ

債務整理を悩んでいる方の中には住宅ローンのある自宅を守りたいと考えためらっている方も多くいます。

個人再生手続きでは住宅ローン特則が利用できれば自宅を守りながら債務整理ができ、このような方には大きなメリットとなるでしょう。

ですが、住宅ローン特則の利用にはさまざまな条件があり利用が難しいケースもあり、利用の際に注意すべき点もあります。

個人再生以外にも自宅を守る方法もありますが、どれも利用のハードルは高いのが実情です。

しかしながら債務整理はタイミングが遅れれば遅れるほど状況は悪化します。

自宅を守りつつ現状の厳しい返済をなんとかしたいとお考えの方はまずは弁護士・司法書士に相談し、状況にあった最適な方法についてアドバイスを受けることをおすすめします。

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更新日 : 2024年11月18日
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