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個人再生と任意整理の違いを12項目で徹底解説!どちらを選ぶべきかも紹介

個人再生と任意整理の違いを12項目で徹底解説!どちらを選ぶべきかも紹介

債務整理を検討している人の中には、「個人再生と任意整理どちらを選べばよいかわからない」「そもそも違いがよくわからない」というように、個人再生と任意整理で迷っている人もいるのではないでしょうか。

個人再生と任意整理には、以下のような違いがあります。

任意整理 個人再生
①申立ての条件 ・安定した収入がある
・借金完済まで返済を続ける意思がある
・安定した収入がある
・借金完済まで返済を続ける意思がある
・返済不能に陥るおそれがある
・住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下
②裁判所の手続 不要 必要
③借金の減額幅 将来発生する利息はカットされるが元金は減額されない 将来発生する利息や元金をカットし、借金を5分の1〜10分の1に圧縮する
④返済期間 目途は3年での完済だが、5年やそれ以上になる場合もある 原則3年での完済を目指すが、特別な事情があるときは5年まで延長可能
⑤保証人に対する影響 保証人つきの借金を整理対象から外せば、保証人には影響しない 保証人つきの借金も整理対象になるため、保証人が一括請求される
⑥財産に対する影響 担保がついていなければほとんど影響しない 基本的に財産は処分されないが、ローン返済中の財産は処分の対象になる
⑦給料差押えの停止 差押えを止められない 差押えを止められるうえ給料を全額受け取れる
⑧ブラックリストへの搭載 残債の完済から5年 残債の完済または再生手続開始決定から5〜7年
⑨官報への掲載 掲載されない 掲載される
⑩家族・勤務先への影響 家族や勤務先に知られる可能性が低い 家族に内緒で実行することは難しいが、勤務先に知られる可能性はそれほど高くない
⑪手続にかかる期間 依頼から和解まで最短で3カ月、一般的には4〜6カ月程度かかる 申立てから認可まで4〜6カ月程度かかる
⑫手続にかかる費用 債権者1社あたり5〜10万円程度 50〜90万円程度

一方で、「職業や資格の制限がない」「借金の原因は問われない」「信用情報機関に事故情報として登録される」といった共通点もあります。

個人再生と任意整理のうちどちらを選ぶべきかは、財産・借金の状況や整理対象にしたくない借金があるかどうか、すでに給料の差押えが始まっているかといったことで判断するとよいでしょう。

自身のケースにどちらの方法が合っているかわからないときや、債務整理方法の切り替えを検討している場合は、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

この記事では、個人再生と任意整理の違いを12項目で徹底解説します。どちらの方法を選ぶべきか相談先も紹介しているため、ぜひ最後までチェックしてください。

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個人再生とは?任意整理とは?

個人再生とは、借金を5分の1〜10分の1までカットする手続きです。一方、任意整理は将来利息をカットする手続きです。

借金の元金自体が大きく減額される個人再生に対し、任意整理でカットできるのは和解後に発生する利息のみであることが多く、基本的に元金自体は減額されません。

ここでは、個人再生と任意整理の違いについて解説します。

個人再生は借金を1/5〜1/10までカットする手続

個人再生は裁判所に申し立て、再生計画案の許可を得ることで借金の元金を5分の1〜10分の1までカットできる手続きです。残った元金は再生計画案のとおり、原則3年で返済していきます。

【再生計画案とは】
個人再生によって減額されたあとの借金を、3年間でどのように返済していくかを記した計画書のこと。再生計画が裁判所に認められれば、その内容で返済がスタートする。

個人再生を行うメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット ・借金の元金自体を大きく減らせる
・借金の原因は問われない
・持ち家を残せる可能性がある
・ローンを完済している車は残せる
デメリット ・ブラックリストに搭載される
・借金の返済義務が残る
・手続きが複雑で時間がかかる
・整理対象を選べない
・官報に住所・氏名が掲載される

個人再生最大のメリットは、借金の元金を大幅に減らせる点です。

ただし、減額できるのは100万円までです。100万円以下にはならないため、借金総額が100万円以下の場合は任意整理を検討したほうがよいでしょう。

借金の原因に関係なく手続きできる点もメリットのひとつです。たとえばギャンブルや浪費などで負った借金でも、それを理由に許可されないということはありません。

「住宅ローン特則」を利用することで、持ち家を残せる可能性がある点もメリットといえるでしょう。車も、ローンを完済しているものに関しては手元に残せます。

多くのメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。

個人再生で借金が減っても返済義務は残るため、完済するまで返済し続けなければなりません。また、裁判所が絡むため手続きが難しく、再生計画案をはじめ多くの書類を用意する必要があるため時間もかかります。

整理対象を選べない点もデメリットのひとつです。たとえば保証人つきの借金や職場からの借入れなども整理対象になるため、保証人や職場に迷惑がかかるおそれがあります。

そのほか、「官報」に住所や氏名が掲載される点にも注意が必要です。

【官報とは】
国が発行する機関紙のこと。個人再生をした事実や個人再生をした人の住所・氏名が掲載される。

官報を閲覧する可能性があるのは、士業や金融機関などの限られた業種の人ですが、公表される以上周囲にバレるリスクはゼロではありません。

なお、ブラックリストに搭載されるのは個人再生に限ったことではなく、すべての債務整理に共通することです。もっとも、借金を滞納しているならすでにブラックリスト入りしている可能性があります。

個人再生の減額効果や手続きの流れについては、以下の記事を参考にしてください。

任意整理は将来利息をカットする手続

任意整理は債権者と交渉し、和解することによって将来発生する利息をカットしてもらう手続きです。残った元金は3〜5年かけて完済します。

任意整理を行うメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット ・利息をカットすることで返済総額を減らせる
・整理対象を選べる
・財産を失う心配がない
・周囲にバレにくい
デメリット ・ブラックリストに搭載される
・元本自体は減額されない可能性が高い
・借金の返済義務が残る
・債権者が和解に応じてくれるとは限らない

任意整理で将来発生する利息をカットしてもらえば、返済総額を減らせます。これまで「返しても返しても元金が減らない」状態だったケースでも、今後は返済した分だけ元金が減っていくため、借金を返済できているという実感が持てるでしょう。

整理対象を選べるのも大きなメリットです。ほかの債務整理方法では整理対象を選べないため、保証人やお金を貸してくれた知人・友人などにも迷惑がかかりますが、任意整理では任意整理したくない借金を除外して手続きできます。

また、財産を失う心配がない点もメリットのひとつです。持ち家や車などを対象から外せば、ローン返済中でも処分されません。

そのほか、周囲にバレにくいというメリットもあります。裁判所を介さない手続きであるため裁判所から書類が届くことがなく、家族の収入を証明する書類なども不要であるためです。

ただし、任意整理にもデメリットはあります。任意整理の目的は利息のカットであり、元金自体は過払い金が発生しない限り減額されません。

【過払い金とは】
本来であれば支払う必要がない、払いすぎた利息のこと。2010年6月17日以前に、法律が定める上限金利を超える利息で借入れをしていた場合は過払い金が発生する可能性があり、返還請求をすることで借金と相殺したり取り戻したりできる。

借金の返済義務が残ることもデメリットとして挙げられます。はじめはよくても、途中で収入が減ったり途絶えたりすれば、返済できなくなるおそれがあります。

債権者が和解に応じてくれるとは限らない点も、デメリットといえるでしょう。自己破産に移行されるよりは元金だけでも払ってほしいと考える債権者は多く、和解できるケースが大半ですが、ときには和解できなかったり条件をつけられたりすることもあります。

任意整理の減額効果やデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてチェックしてください。

任意整理と個人再生の違いは?12項目で比較

前章では任意整理と個人再生それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説しましたが、ここでは両者の違いを以下の12項目で比較します。

任意整理 個人再生
①申立ての条件 ・安定した収入がある
・借金完済まで返済を続ける意思がある
・安定した収入がある
・借金完済まで返済を続ける意思がある
・返済不能に陥るおそれがある
・住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下
②裁判所の手続 不要 必要
③借金の減額幅 将来発生する利息はカットされるが元金は減額されない 将来発生する利息や元金をカットし、借金を5分の1〜10分の1に圧縮する
④返済期間 目途は3年での完済だが、5年やそれ以上になる場合もある 原則3年での完済を目指すが、特別な事情があるときは5年まで延長可能
⑤保証人に対する影響 保証人つきの借金を整理対象から外せば、保証人には影響しない 保証人つきの借金も整理対象になるため、保証人が一括請求される
⑥財産に対する影響 担保がついていなければほとんど影響しない 基本的に財産は処分されないが、ローン返済中の財産は処分の対象になる
⑦給料差押えの停止 差押えを止められない 差押えを止められるうえ給料を全額受け取れる
⑧ブラックリストへの搭載 残債の完済から5年 残債の完済または再生手続開始決定から5〜7年
⑨官報への掲載 掲載されない 掲載される
⑩家族・勤務先への影響 家族や勤務先に知られる可能性が低い 家族に内緒で実行することは難しいが、勤務先に知られる可能性はそれほど高くない
⑪手続にかかる期間 依頼から和解まで最短で3カ月、一般的には4〜6カ月程度かかる 申立てから認可まで4〜6カ月程度かかる
⑫手続にかかる費用 債権者1社あたり5〜10万円程度 50〜90万円程度

それぞれ解説します。

①申立ての条件

任意整理・個人再生の条件は、それぞれ以下のとおりです。

任意整理 ・安定した収入があること
・借金を完済するまで返済を続ける意思があること
個人再生 ・安定した収入があること
・借金を完済するまで返済を続ける意思があること
・返済不能に陥るおそれがあること
・住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下であること

任意整理も個人再生も、債務整理後に返済義務が残る手続きです。そのため返済を継続できる収入が安定的にあることや、完済まで返済を続ける意思が必要である点は共通しています。

ただ、個人再生の場合は給与明細や確定申告書といった収入を証明できる書類を準備する必要があるのに対し、裁判所を介さない手続きである任意整理では、そういった書類を求められることがありません。

任意整理と個人再生の大きな違いは、個人再生には「返済不能に陥るおそれがある」「住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下」といった条件もあることです。任意整理には、現在の返済状況や借金総額に関する条件はありません。

もっとも、5,000万円を超えるような多額の借金があるケースでは、そもそも任意整理や個人再生では解決しない可能性が高いため、すべての借金を帳消しにする「自己破産」を検討するしかないでしょう。

任意整理・個人再生の条件については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

②裁判所の手続

裁判所での手続きに関する違いは以下のとおりです。

任意整理 不要。債権者と交渉した結果、和解できれば任意整理ができる。
個人再生 必要。裁判所に申し立て、再生計画案を認めてもらえれば個人再生できる。

任意整理を行う場合、裁判所の手続きは不要です。任意整理は、基本的に裁判所が介入しない手続きであるためです。各債権者と交渉し、和解できれば手続きは完了し、その後返済がスタートします。

ただし債権者によっては、和解が成立するのに時間がかかると訴訟を提起してくるところもあり、その場合は裁判上で和解を目指すことになります。

それに対し、個人再生を行うにははじめから裁判所への申し立てが必要です。任意整理とは違い、裁判所が介入する手続きであるためです。そして「再生計画案」をはじめ、以下のような書類を裁判所に提出しなければなりません。

  • 住民票
  • 源泉徴収票
  • 給与明細書・確定申告書
  • 公的年金受給証明書(年金を受給している場合)
  • 児童手当受給証明書(児童手当を受けている場合)
  • 同居している家族の課税申告書
  • 預金通帳のコピーや取引明細書
  • 登記事項証明書(不動産がある場合)
  • 車検証(車がある場合)
  • 保険証券(生命保険や自動車保険に加入している場合)
  • 退職金見込額証明書または退職金支給規定+計算書
  • 電気・ガス・水道代などの金額がわかるもの など

裁判所の手続きが必要な分、個人再生のほうが手間がかかるといえるでしょう。

③借金の減額幅

借金の減額幅には以下のような違いがあります。

任意整理 将来発生する利息をカットする。交渉によってはこれまでに発生した利息や遅延損害金もカットしてもらえる場合があるが、できないケースのほうが多い。
個人再生 将来発生する利息や元金をカットし、借金を5分の1〜10分の1に圧縮する。ただし、最低でも100万円は返済する必要がある。

任意整理の目的は、主に将来発生する利息のカットです。そのため任意整理では、元金自体は減額できないと思っておいたほうがよいでしょう。

一方で個人再生は、将来発生する利息だけでなく元金自体もカットすることで、借金を5分の1〜10分の1に圧縮できる手続きです。ただし個人再生では、借金総額に応じて以下のように最低弁済額が設定されています。

借金総額 最低弁済額
100万円未満 借金全額(減額されない)
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1,500万円未満 借金総額の5分の1
1,500万円以上3,000万円未満 300万円
3,000万円以上5,000万円未満 借金総額の10分の1

たとえば借金総額が100万円未満の場合、借金全額を返済しなければならないため個人再生をする意味がありません。このような場合は、任意整理を検討したほうがよいでしょう。

反対に、元金が高額で利息をカットしても3〜5年で返済できないときは個人再生のほうが適しているかもしれません。判断が難しければ、弁護士に相談することをおすすめします。

個人再生の最低弁済額や、任意整理で遅延損害金をカットできるかどうかは、以下の記事を参考にしてください。

④返済期間

返済期間の違いは以下のとおりです。

任意整理 債権者と協議して決める。目途は3年での完済だが、毎月の負担を軽くするため、できる限り長期で返済できるよう和解を求めることが多い。
個人再生 原則3年での完済を目指すが、特別な事情があるときは5年まで延長可能。

個人再生では、原則3年での完済を目指します。しかし3年での完済が難しい特別な事情があるときは、最長5年まで延長が可能です。

任意整理も目途となるのは3年ですが、5年で完済を目指す場合や、それより長期になるケースもあります。

⑤保証人に対する影響

保証人に与える影響については、以下のような違いがあります。

任意整理 保証人つきの借金を整理対象から外せば、保証人には影響を与えない。ただし、整理対象から外した借金については、これまでどおり利息も含めて返済する必要がある。
個人再生 整理対象を選べないため、保証人つきの借金も整理対象になる。そのため、保証人が一括請求される可能性が高い。

任意整理は整理対象を選べるのに対し、個人再生は整理対象を選べません。そのため任意整理なら、保証人つきの借金を整理対象から外すことで保証人に迷惑がかからないようにできます。

しかし個人再生では保証人つきの借金も個人再生の対象になってしまい、債権者から保証人に一括請求が行ってしまいます。

注意したいのは、保証人に迷惑をかけたくないからといって、個人再生前に保証人つきの借金だけを完済してしまわないことです。一部の債権者にだけ返済する行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といい、個人再生では禁止されています。

偏頗弁済を行えば、再生計画案が認められず個人再生自体ができなくなってしまうためやめましょう。

保証人に迷惑をかけたくない場合は、任意整理を検討することをおすすめします。任意整理では借金問題を解決できそうにないときは、トラブルを避けるためにも保証人に相談してから個人再生手続きに入るようにしましょう。

債務整理が連帯保証人に与える影響や迷惑をかけない方法については、以下の記事を参考にしてください。

⑥財産に対する影響

財産への影響については、以下のような違いがあります。

任意整理 担保がついていなければほとんど影響しない。
個人再生 基本的に財産は処分されないが、ローン返済中の財産は処分の対象になる。たとえば持ち家なら競売にかけられるおそれがあるが、「住宅ローン特則」を利用すれば残せる。

任意整理の場合、担保がついていなければほとんど影響しないと考えてもよいでしょう。もし持ち家や車のローンを返済している途中でも、整理対象から外せば問題ありません。

しかし整理対象から外した場合、これまでどおり利息も含めて返済していく必要があります。

個人再生も基本的には財産を処分されることはありませんが、ローンを完済していない財産は処分の対象になるため注意しましょう。たとえば住宅ローン返済中なら持ち家が競売にかけられ、自動車ローン返済中なら車が引き上げられてしまいます。

しかし持ち家に関しては、「住宅ローン特則」を利用すれば手放さずに済みます。

【住宅ローン特則とは】
これまでどおり住宅ローンの返済を続けることで持ち家を残せる制度のこと。返済計画を見直したり持ち家の差押え・競売を止めたりできる。ただし、税金の滞納で差押えの登記がされている場合や持ち家を担保に融資を受けているときなど、利用できないケースもある。

注意点は、所有している財産の総額以上の金額を返済する必要があることです。これを「清算価値保証の原則」といい、たとえば所有している財産の総額が借金を上回っている場合、返済額が最低弁済額より大きくなります。

任意整理や個人再生で車を残せるかどうかや、個人再生で持ち家を守る方法については以下の記事を参考にしてください。

⑦給料差押えの停止

借金の長期滞納で債権者から給料を差し押さえられた場合、任意整理と個人再生では以下のような違いがあります。

任意整理 差押えを止められない。
個人再生 差押えを止められる。それに加え、給料を全額受け取れる。

任意整理には、すでに行われた差押えを止める効果はありません。また、交渉を試みたとしても、債権者はすでに給料を毎月4分の1ずつ回収できる権利を得ているため、交渉に応じてくれない可能性が高いでしょう。

ただし、まだ差押えを受けていなければ、裁判を起こされている場合でも交渉によって差押えを阻止できる場合があります。

それに対し、個人再生には差押えを止める効果があります。再生手続開始決定が出た時点で、差押えの手続きが中止されるためです。この段階では単に差押えがストップしているだけですが、その後認可決定が確定すると差押えが取り消され、給料も全額返ってきます。

⑧ブラックリストへの搭載

任意整理も個人再生も、行うことでブラックリストに搭載されるのは同じです。ただし信用情報機関によっては、任意整理と個人再生とで搭載期間が異なるところもあります。

【信用情報機関とは】
債務整理をした事実や借金・返済の状況などを指す「信用情報」を管理する機関のこと。CIC・JICC・KSCの3つの信用情報機関が存在し、CIC・JICCには主にクレジットカード会社や消費者金融、KSCには銀行や農協などが加盟している。

ブラックリストに搭載される期間は、それぞれ以下のとおりです。

▼任意整理

CIC(株式会社シー・アイ・シー) 残債を完済してから5年
※代位弁済として登録
JICC(株式会社日本信用情報機構) 残債を完済してから5年
※2019年9月30日以前の契約・借金なら、債権者が受任通知を受け取ってから5年
KSC(全国銀行個人信用情報センター) 残債を完済してから5年
※代位弁済として登録

▼個人再生

CIC(株式会社シー・アイ・シー) 残債を完済してから5年
JICC(株式会社日本信用情報機構) 残債を完済してから5年
※2019年9月30日以前の契約・借金なら、再生手続開始決定日から5年
KSC(全国銀行個人信用情報センター) 以下のうちいずれか遅い方
・残債を完済してから5年
・再生手続開始決定日から7年

任意整理は残債の完済から5年個人再生は残債の完済または再生手続開始決定から5〜7年間ブラックリストに事故情報が搭載されます。搭載期間が過ぎると事故情報は削除されますが、それまでは新たな借入れやクレジットカードの新規作成などができなくなることを念頭に置いておきましょう。

なお、任意整理を行った場合、CIC・KSCには任意整理としてではなく、保証会社が代わりに返済することを指す「代位弁済」として登録されます。

⑨官報への掲載

官報への掲載については、以下のような違いがあります。

任意整理 掲載されない
個人再生 掲載される

任意整理は裁判所が介入しない手続きであるため、官報に掲載されません。

しかし個人再生を行うと官報に掲載されてしまいます。個人再生は裁判所に申し立てて行う手続きであり、民事再生法で官報への掲載が定められているためです。(民事再生法35条1項、169条3項・4項、188条5項

官報への掲載事項は以下のとおりです。

  • 事件番号
  • 住所・氏名
  • 決定年月日時
  • 決定の内容
  • 裁判所名

とはいえ、官報を日常的にチェックする人は限られています。士業や信用情報機関、金融機関、警備会社などは確認する場合がありますが、一般の人で官報を購読している人はまれです。

士業や信用情報機関に知人がいるなら知られる可能性もゼロではありませんが、ただちに家族や勤務先に知られてしまうとは考えにくいでしょう。

個人再生で官報に載るタイミングやデメリットについては、以下の記事を参考にしてください。

⑩家族・勤務先への影響

家族や勤務先に与える影響については、以下のような違いがあります。

任意整理 家族や勤務先に知られる可能性が低い
個人再生 家族に内緒で実行することは難しいが、勤務先に知られる可能性はそれほど高くない

任意整理を弁護士に依頼すると、弁護士が債権者と交渉してくれます。

状況報告のために弁護士から連絡が入ったり、書類が送られてきたりすることはありますが、「家族にバレないようにしてほしい」と相談すると、家の固定電話には電話しないようにしたり事務所名の入っていない封筒を使用したりなど、家族に知られないよう配慮してもらえるでしょう。

また、家族の収入証明書や給与明細書などを求められることがなく、訴訟を提起されない限り裁判所から書類が届くこともありません。絶対に誰にもバレたくないのであれば、まずは任意整理を検討したほうがよいでしょう。

ただし任意整理を選択したケースでも、差押えを止められず給料が差し押さえられてしまったときは、勤務先に借金の滞納で給料を差し押さえられていることが知られてしまうため注意が必要です。

それに対し、個人再生の場合は同居している家族に内緒で進めることは難しいでしょう。本人の収支や所有財産だけでなく、同居している家族の資産・収入に関する書類を提出したり、世帯の家計収支を報告したりしなければならないためです。

そのほか、裁判所から届いた書類でバレてしまう可能性もあります。勤務先に知られるリスクはそれほど高くありませんが、官報を日常的にチェックする職業に就いている人は、官報から個人再生したことが知られてしまうおそれがあります。

債務整理で家族や子どもに影響を与えないための対策については、以下の記事を参考にしてください。

⑪手続にかかる期間

手続きにかかる期間については、任意整理と個人再生とで以下のような違いがあります。

任意整理 依頼から和解まで最短で3カ月、一般的には4〜6カ月程度かかるが、交渉が難航すれば1年以上かかる場合もある
個人再生 申立てから認可まで4〜6カ月程度かかるのが一般的だが、1年以上かかるケースも多い

上記は、弁護士に手続きを依頼したときの目安です。自分で手続きする場合は、さらにかかる可能性があります。

個人再生は、申立後に開始決定や債権の届出、再生計画案の提出を経てようやく認可といった流れになるため、手続きが長期にわたる傾向にあります。任意整理も、交渉が難航すれば長期化する可能性がありますが、個人再生よりも早く和解に漕ぎ着けるケースが多いでしょう。

任意整理・個人再生にかかる期間については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてチェックしてください。

⑫手続にかかる費用

任意整理・個人再生の手続きには、それぞれ以下のような費用がかかります。

任意整理 債権者1社あたり5〜10万円程度
個人再生 50〜90万円程度
(裁判所費用:3〜30万円/弁護士・司法書士への報酬:40〜60万円)

任意整理で必要になるのは、弁護士や司法書士への報酬だけです。自分で手続きするなら郵便代や印紙代程度の出費で済みますが、自分で債権者と交渉しなければならないためあまりおすすめできません。

個人再生にかかる費用の内訳は以下のとおりです。

  • 裁判所への申立手数料
  • 官報掲載費用
  • 個人再生委員選任費用
  • 弁護士・司法書士への報酬

依頼する事務所やケースによって金額は前後しますが、一般的には任意整理よりも個人再生のほうが高額になります。

任意整理・個人再生にかかる費用や費用を払えないときの対策については、以下の記事を参考にしてください。

個人再生と任意整理の共通点は?

個人再生と任意整理の共通点は以下のとおりです。

  • 職業や資格の制限がない
  • 借金の原因は問われない
  • 信用情報機関に事故情報として登録される

それぞれ解説します。

職業や資格の制限がない

任意整理にも個人再生にも、職業や資格の制限はありません。任意整理や個人再生を行っても、これまでどおり仕事を続けられます。

手続きすることによって職業・資格制限を受けるのは、「自己破産」をした場合です。

【自己破産とは】
任意整理・個人再生とは異なる債務整理方法で、裁判所に認められれば借金をゼロにできる。メリットは大きいが、一定期間特定の職業への就業が制限されたり多くの財産を失ったりといったデメリットがある。

自己破産をすると、士業や警備員、保険外交員といった一部の職業が制限を受けます。手続きが完了すれば制限は解消されますが、制限を受けている間休職したりほかの部署に回してもらったりといった対応をしなければならなくなります。

自己破産の減額効果や残せる財産の範囲については、以下の記事を参考にしてください。

借金の原因は問われない

借金の原因が問われないところも、任意整理と個人再生の共通点です。

たとえば自己破産なら、借金の原因がギャンブルや浪費だった場合は免責が認められない「免責不許可事由」に該当するため、免責を受けられない可能性があります。

しかし任意整理や個人再生であれば、どのような事情で借金を負っても手続き可能です。そのため自己破産をしたいと思っていても、免責が許可されそうになければ任意整理や個人再生を検討することになるでしょう。

信用情報機関に事故情報として登録される

信用情報機関に事故情報として登録される点も共通しています。「⑧ブラックリストへの搭載」で解説したとおり、任意整理では完済から5年、個人再生では完済から5年または再生手続開始決定日から7年はブラックリストに搭載されてしまいます。

そもそもブラックリストとは、長期滞納や債務整理などで信用情報が傷つくことをいい、実際にそのようなリストが実在するわけではありません。

事故情報は5〜7年経てば消えますが、それまでは以下のことができなくなる可能性があります。

  • 各種ローン契約(住宅ローン・自動車ローンなど)
  • 新たな借入れ
  • クレジットカードの新規作成・利用・更新
  • ETCカードの利用
  • スマートフォン本体の分割購入
  • 奨学金やローンの保証人になること
  • 賃貸アパート・マンションの契約

ただし、スマートフォンの本体や自動車を現金で購入する分には構いません。

また、クレジットカードは利用できませんが、デビットカードやプリペイドカードなら利用できます。ETCカードに関しては、あらかじめ保証金を預けておく「デポジット制」のものであればブラックリスト搭載中も利用できる場合があります。

賃貸アパートやマンションは、家賃を滞納せず支払っていれば、債務整理したことを理由に追い出されることはありません。

しかし、債務整理後新たに契約する場合、審査に通らない可能性があることを覚えておきましょう。

個人再生と任意整理のどちらを選べばいい?

個人再生がおすすめなケース・任意整理がおすすめなケースはそれぞれ以下のとおりです。

債務整理方法 おすすめなケース
個人再生 ・借金総額が一定額(おおむね500万円)以上で任意整理での完済は難しいが、ある程度収入がある
・住宅ローン返済中の持ち家を手放したくない
・すでに給料や預貯金の差押えを受けている
任意整理 ・借金総額が一定額(おおむね500万円)未満で、将来利息をカットしてもらえば3〜5年で完済できる
・手間や時間をかけたくない
・債務整理したことを誰にも知られたくない
・保証人に迷惑をかけたくない
・家族や勤務先から借金をしている
・債権者と和解できる可能性が高い

それぞれ解説します。

個人再生がおすすめなケース

個人再生がおすすめなケースは以下のとおりです。

  • 借金総額が一定額(おおむね500万円)以上あり、任意整理では完済が難しいがある程度の収入はある
  • 住宅ローン返済中の持ち家を手放したくない
  • すでに給料や預貯金の差押えを受けている

借金総額が500万円以上あると、元金がほとんど減らない任意整理では完済が難しい可能性があります。

たとえば500万円の借金が個人再生によって5分の1になった場合、残金は100万円です。100万円を3年で完済するなら、月々2万8,000円程度の返済で済むため、ある程度の収入があれば可能でしょう。

住宅ローン返済中の持ち家を手放したくないときも、個人再生がおすすめです。

任意整理でも、整理対象から外せばローン返済中の持ち家を失わずに済みます。しかし借金総額が多ければ任意整理では解決が難しいため、「任意整理では解決不可能な借金があるが、持ち家を失いたくないため自己破産は避けたい」というケースに適しています。

すでに給料や預貯金が差し押さえられているときは、個人再生が向いているでしょう。任意整理では、すでに始まった差押えを止められないためです。

個人再生であれば、裁判所に個人再生を申し立てたあと「強制執行の中止命令の申立て」を行うことで、差押えを止められる可能性があります。

ただし差押えを止められるのは再生手続開始決定後であるため、それまでに債権の回収が完了した場合は差押えを防げない点に注意しましょう。

任意整理がおすすめなケース

任意整理がおすすめなケースは以下のとおりです。

  • 借金総額が一定額(おおむね500万円)未満で、将来発生する利息をカットしてもらえば3〜5年で完済できる
  • 手間や時間をかけたくない
  • 債務整理したことを誰にも知られたくない
  • 保証人に迷惑をかけたくない
  • 家族や勤務先から借金をしている
  • 債権者と和解できる可能性が高い

借金総額が個人再生を検討するほど大きくなく、将来発生する利息をカットしてもらえるなら3〜5年で完済できるというケースなら、任意整理が向いているでしょう。

また、手間や時間をかけたくない場合や誰にも知られず手続きを終えたいときも、任意整理なら手間がかからず、家族や勤務先に内緒で進められます。

手続きにかかる期間も、個人再生よりは早く完了するケースがほとんどです。そのほか、保証人つきの借金や、家族や勤務先などからの借金があるときも、個人再生より任意整理がおすすめです。

個人再生では整理対象を選べないため保証人に迷惑がかかりますが、任意整理なら保証人つきの借金や迷惑をかけたくない人からの借金を対象から外せます。債権者と和解できる可能性が高いケースも任意整理向きです。

反対に、債権者が任意整理に応じないときは、任意整理以外の方法を検討したほうがよいでしょう。

任意整理と個人再生は切り替えができる

任意整理と個人再生は途中で切り替えが可能です。ここでは、任意整理から個人再生に切り替えたほうがよいケースと個人再生から任意整理に切り替えたほうがよいケースについて解説します。

任意整理→個人再生に切り替えたほうがよいケース ・任意整理について債権者と交渉をしているが、和解の成立が難しい
・債権者から裁判を起こされた
・任意整理後の返済が難しい
個人再生→任意整理に切り替えたほうがよいケース ・整理したくない債務がある
・残したい財産が高額で、個人再生では返済が難しそう

なお、任意整理と個人再生の切り替えは、切り替え前に依頼した弁護士に相談することをおすすめします。

それぞれ解説します。

任意整理から個人再生に切り替えたほうがよいケース

任意整理から個人再生に切り替えたほうがよいケースは以下のとおりです。

  • 任意整理について債権者と交渉をしているが、和解の成立が難しい
  • 債権者から裁判を起こされた
  • 任意整理後の返済が難しい

債権者との交渉が難航し、和解が難しい場合は個人再生に切り替えたほうがよいでしょう。このままでは裁判を起こされる可能性があるためです。

任意整理の場合、債権者は必ずしも和解に応じる必要がないため、中には和解できないケースもあります。返済回数を少なくしたり遅延損害金のカットを諦めたりといった妥協をしても債権者が応じないときは、ある程度のところで見切りをつけることをおすすめします。

債権者から裁判を起こされたときも、個人再生に切り替えたほうがよいケースのひとつです。裁判に発展すると、最終的に給料や預貯金などの財産が差し押さえられるおそれがあるためです。

裁判所から差押命令が出ると、債権者はいつでも差押えによって債権を回収できるようになりますが、任意整理では差押えを回避できません。そのため、できるだけ早く個人再生に切り替えたほうがよいでしょう。

そのほか、任意整理後に返済を開始したものの、返済が難しくなってしまったときも個人再生に切り替えたほうがよいケースに該当します。返済できなくなると一括請求されてしまい、余計に状況が苦しくなるでしょう。

任意整理では元金自体を減額できませんが、個人再生をすれば元金自体が大きく減額される可能性があります。

個人再生から任意整理に切り替えたほうがよいケース

個人再生から任意整理に切り替えたほうがよいケースは以下のとおりです。

  • 整理したくない債務がある
  • 残したい財産が高額で、個人再生では返済が難しそう

どうしても整理したくない債務があるなら、任意整理に切り替えたほうがよいかもしれません。個人再生ではすべての債務を整理しなければなりませんが、任意整理では整理対象を選べるためです。

たとえば、保証人つきの借金や家族や勤務先からの借金があるときに個人再生をすると、保証人に一括請求が行ったり裁判所から家族や勤務先に個人再生の開始決定通知が送られたりします。

かといって特定の債権者にだけ返済を続けると、禁止行為である「偏頗弁済」に該当してしまいます。

任意整理なら、整理対象にしなかった債務はこれまでどおり返済し続けることになるため保証人や家族、勤務先に迷惑をかけずに済み、裁判所からの通知も行きません。

そのほか、残したい財産が高額なケースも、任意整理に切り替えたほうがよい可能性があります。個人再生では、残したい財産が最低返済額を超える場合、最低返済額を財産額に合わせて引き上げる必要があるためです。それによって、返済が難しくなることがあります。

たとえば以下のケースでは、借金総額の5分の1である最低返済額が100万円でも、残したい財産が500万円あるために最低返済額が500万円まで増額するため、個人再生をしても意味がありません。

・借金総額:500万円
・最低返済額:100万円
・残したい財産:500万円

任意整理では元金が減額されません。しかし長期の返済にできるよう債権者と交渉し、できるだけ月々の返済負担を抑えることも可能です。交渉次第では、無理なく返済していけるでしょう。

個人再生から任意整理に切り替える際の注意点については、以下の記事を参考にしてください。

任意整理と個人再生の切り替えは依頼した弁護士に相談を

任意整理と個人再生の切り替えは、切り替え前に依頼した弁護士に相談しましょう。依頼者の債務状況や切り替え前の状態をよくわかっているため、あらためて別の弁護士に依頼するよりスムーズです。

任意整理から個人再生への切り替えは、個人再生の要件を満たしていれば可能です。また、個人再生から任意整理への切り替えは、債権者との交渉や和解が問題なくできそうであれば行えます。

ただし、いつまでも切り替えができるわけではないため、タイミングには注意する必要があります。

裁判所に申し立てる前であれば問題ありません。問題は申立後です。申立後でも取り下げは可能ですが、裁判所から再生手続開始決定が出たあとは取り下げができないため、切り替えは難しいと思っておきましょう。

個人再生の条件については、「①申立ての条件」を確認してください。

個人再生や任意整理についての相談先は?

個人再生や任意整理についての相談先には、以下の機関があります。

相談先 対応時間 連絡先
法テラス 【法テラス・サポートダイヤル】
・平日:9時〜21時
・土曜日:9時〜17時


【各法テラスの法律相談予約】
平日9時〜17時
0570-078374(法テラス・サポートダイヤル)
消費生活センター
(国民生活センター)
・消費生活センター:自治体による
・国民生活センター
┗平日:10時〜12時・13時〜16時
┗土日祝日:10時〜16時
・消費者ホットライン:188
・平日バックアップ相談:03-3446-1623
※188につながらないとき
弁護士
(弁護士会)
【法律相談センター】
法律相談センターによる(新宿総合法律相談センターなら月〜土曜日の9時30分〜16時30分)


【ひまわり相談ネット】
365日24時間


【ひまわりお悩み110番】
法律相談センターによる
【法律相談センター】
法律相談センターによって異なる
(新宿総合法律相談センターなら03-6205-9531)


【ひまわりお悩み110番】
0570-783-110
司法書士
(司法書士会)
法律相談センターによる(東京司法書士会総合相談センターなら月〜金曜日の14時〜15時40分)
※年末年始・祝日を除く
法律相談センターによる
(東京司法書士会総合相談センターなら03-3353-9205)
日本賃金業協会
賃金業相談・紛争解決センター
9時〜17時
※土日祝日・年末年始を除く
0570-051-051
公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会 平日10時〜12時40分/14時〜16時40分
※12月28日〜1月4日・祝日を除く
0570-031640(多重債務ほっとライン)
一般財団法人全国銀行協会
カウンセリングサービス
(東京・大阪)
平日9時〜17時
※祝日・銀行の休業日を除く
・東京:0570-017-003(全国銀行協会相談室)
・大阪:06-6867-9547(銀行とりひき相談所)
市区町村役場の無料相談 自治体に確認 自治体に確認

それぞれ解説します。

法テラス

法テラスでは、同じ問題につき3回までであれば無料で弁護士や司法書士に相談できます。

【法テラスとは】
金銭的に困っている人を対象に、法的サービスの提供を目的とした国の機関。無料の法律相談のほか、弁護士・司法書士費用の立替えも行っている。

注意点は、法テラスの利用には一定の条件が設けられている点です。収入や資産が以下の基準以下でなければなりません。

家族人数 収入基準
(東京23区・大阪市など/その他)
資産基準
1人 20万200円/18万2,000円 180万円
2人 27万6,100円/25万1,000円 250万円
3人 29万9,200円/27万2,000円 270万円
4人 32万8,900円/29万9,000円 300万円

そのほか、和解・認可される見込みがあるか、報復・嫌がらせが目的でないか、といった条件もあります。

なお、法テラスでは相談に乗ってくれる弁護士や司法書士を選べません。そのため、任意整理や個人再生を得意としている専門家に担当してもらえるとは限らない点にも注意しましょう。

自分で専門家を選びたいなら、法テラスと提携している専門家に直接相談し、法テラスを利用したい旨を伝えるとよいでしょう。

対応時間
【法テラス・サポートダイヤル】
・平日:9時〜21時
・土曜:9時〜17時


【各法テラスの法律相談予約】
平日9時〜17時
連絡先
【法テラス・サポートダイヤル】
0570-078374


※法律相談を予約する際は、最寄りの法テラスに連絡してください。

参照:日本司法支援センター法テラス

消費生活センター(国民生活センター)

消費生活センター(国民生活センター)でも、個人再生や任意整理についての相談が可能です。

【消費生活センター(国民生活センター)とは】
商品やサービス、契約、商法に関する相談を受け付けている機関のこと。名称は自治体によって異なるが、消費生活センターは各自治体、国民センターは消費者庁によって設置されている。

平日は、消費者ホットラインの「188」の番号にかければ最寄りの消費生活センターに繋がります。

消費者ホットラインにかけてもつながらない場合や土日祝日は国民生活センターにつながるようになっており、年末年始以外であれば基本的に毎日相談可能です。

個人再生や任意整理に詳しい専門家が対応してくれるわけではないため具体的な相談はできない可能性がありますが、悪徳商法や詐欺などの対応には長けていると考えられるため、違法な金融業者から借金をしてしまったときの相談先に適しているといえるでしょう。

対応時間 ・消費生活センター:自治体による
・国民生活センター
┗平日:10時〜12時・13時〜16時
┗土日祝日:10時〜16時
連絡先 ・消費者ホットライン:188
・平日バックアップ相談:03-3446-1623
※188につながらないとき

参照:全国の消費生活センター等|独立行政法人国民生活センター

弁護士(弁護士会)

各弁護士会が運営する法律相談センターでは、所属している弁護士に相談できます。料金は30分あたり5,500円前後が目安ですが、弁護士会によっては初回30分に限り無料で相談に乗ってもらえるところもあります。

担当してくれる弁護士が任意整理や個人再生を得意としているとは限りませんが、相談した弁護士にそのまま手続きを依頼できるためスムーズです。

なお、法律相談を予約する際は各法律相談センターのサイトからでもできますが、「ひまわり相談ネット」を利用すればインターネットから24時間いつでも予約が可能です。電話で予約できる「ひまわりお悩み110番」を利用するのもよいでしょう。

ひまわりお悩み110番にかけると、近くの法律相談センターにつながります。

対応時間 【法律相談センター】
法律相談センターによる
(新宿総合法律相談センターなら月〜土曜日の9時30分〜16時30分)


【ひまわり相談ネット】
365日24時間


【ひまわりお悩み110番】
法律相談センターによる
連絡先 【法律相談センター】
最寄りの法律相談センターはこちらから検索してください。
(新宿総合法律相談センターなら03-6205-9531)


【ひまわりお悩み110番】
0570-783-110

参考:法律相談|日本弁護士連合会

債務整理でおすすめの弁護士・司法書士については、以下の記事を参考にしてください。

司法書士(司法書士会)

各司法書士会でも、相談窓口を設けています。所属している司法書士に任意整理や個人再生について相談し、そのまま債権者との交渉や書類作成などを依頼できます。

注意点は、債務整理に関する業務をすべて行える弁護士とは違い、司法書士は扱える業務が制限されていることです。

司法書士が扱える業務は以下のとおりです。

債務整理方法 司法書士に扱えない業務
任意整理 債権者1社あたりの債務金額が140万円を超えるケース
個人再生 手続きの代理人になること

たとえば任意整理を依頼する場合、借金総額が140万円を超えていても、債権者1社あたりの債務金額が140万円以下であれば手続きを依頼できますが、債権者1社あたりの債務金額が140万円を超えている場合は依頼できません。

また、個人再生では、書類を作成してもらうことは可能ですが、弁護士のように依頼者の代理人として手続きを進められないため、依頼者自身にかかる負担が大きくなる可能性があります。

そのため、債務金額が140万円を超える債権者がいるときや個人再生を検討しているケースは、弁護士に相談することをおすすめします。

対応時間 法律相談センターによる
(東京司法書士会総合相談センターなら平日14時〜15時40分)
※年末年始・祝日を除く
連絡先 各法律相談センターの連絡先は、こちらで確認してください。
(東京司法書士会総合相談センターなら03-3353-9205)

参照:司法書士総合相談センター一覧|日本司法書士会連合会

日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター

日本賃金業協会が運営する「賃金業相談・紛争解決センター」では、無料で借金について相談できます。

個人再生・任意整理に関する相談はもちろん、ギャンブルや買い物依存、浪費といった、借金をつくる原因となった問題を根本的に解決するためのカウンセリングも受けられます。

【日本賃金業協会の「賃金業相談・紛争解決センター」とは】
賃金業界の自主規制機関として、公正・中立な立場からお金に関するさまざまな相談を受け、問題解決を支援している団体のこと。貸付自粛手続きの対応なども行っている。

任意整理や個人再生によって今ある借金が解決しても、ギャンブルや浪費などによって再び同じ状況になる可能性がある人は、生活再建支援カウンセリングを受けてみるのもよいでしょう。

なお、生活再建支援カウンセリングや、これ以上借入れできないようにする貸付自粛手続きの申込みは、本人ではなく同居の家族でも可能です。

対応時間 9時〜17時
※土日祝日・年末年始を除く
連絡先 0570-051-051

参照:借金などについて相談したい|日本賃金業協会 賃金業相談・紛争解決センター

公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会

公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会では、弁護士会から推薦された弁護士カウンセラーと、消費生活アドバイザーなどの資格をもつ専任カウンセラーが借金の相談に乗ってくれます。

任意整理や個人再生に関する相談はもちろん、任意整理が可能なケースであればそのまま任意整理の手続きも無料で進めてくれるため、弁護士費用の捻出が難しい人におすすめです。

【公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会とは】
クレジットや消費者ローンの利用によって多重債務に陥った人を対象に、公正・中立な立場から電話相談・カウンセリングを行っている機関。家計管理の改善もサポートしている。

カウンセリングでは弁護士が対応してくれるため、どの債務整理方法が合っているかも判断してもらえます。

注意点は、日本クレジットカウンセリング協会のカウンセリングで行えるのは任意整理だけであり、個人再生や自己破産は行えない点です。個人再生をすべきケースについては弁護士会などを紹介してもらい、紹介先で相談・依頼する必要があります。

対応時間 平日10時〜12時40分/14時〜16時40分
※12月28日〜1月4日・祝日を除く
連絡先 0570-031640(多重債務ほっとライン)

参照:公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会

一般財団法人全国銀行協会 カウンセリングサービス(東京・大阪)

一般財団法人全国銀行協会では、東京・大阪の2カ所でカウンセリングを行っています。対象は、銀行に預金や借入れがあり、個人向けのローンの返済が難しくなっている人です。

債務状況のヒアリング・家計診断の結果、債務整理が必要と判断されれば弁護士会や法テラス、日本クレジットカウンセリング協会などを紹介してもらえます。

【一般財団法人全国銀行協会とは】
国内にある多くの銀行を会員とする組織。日本の銀行業界を代表する組織として、銀行業界の発展を促進するためさまざまな取り組みを行っている。

注意点は、日本クレジットカウンセリング協会のように、カウンセリングの中で債務整理を行ってもらえるわけではない点です。適切な窓口は紹介してもらえますが、手続きまでは行えません。

対応時間 平日9時〜17時
※祝日・銀行の休業日を除く
連絡先 ・東京:0570-017-003(全国銀行協会相談室)
・大阪:06-6867-9547(銀行とりひき相談所)

参照:カウンセリングサービス|一般社団法人全国銀行協会

市区町村役場の無料相談

市区町村役場の中には、定期・不定期で弁護士や司法書士による無料相談会を実施しているところがあります。自分が在住・在勤している市区町村で行われているかどうかわからないときは、市区町村のサイトや広報を確認してみましょう。

たとえば東京都渋谷区では、以下のような内容で無料法律相談を行っています。

相談内容 相続・離婚・不動産・近隣関係・金銭問題など
対象者 区在住・在勤の人
相談日 毎週月曜日・木曜日
相談時間 40分間

注意点は、任意整理・個人再生に詳しい弁護士に担当してもらえるかわからない点です。そのため具体的な相談ではなく一般的なアドバイスしかもらえない可能性があります。

また、市区町村役場の無料相談では、「この弁護士に依頼したい」と思っても、そのまま依頼できません。手続きを急ぐ場合は、直接弁護士事務所の無料相談を利用したほうがよいでしょう。

まとめ

個人再生と任意整理の違いについて解説しました。

個人再生と任意整理の違いは、条件や裁判所の手続きの要不要、借金の減額幅などさまざまです。しかし職業・資格制限を受けないところや信用情報機関に事故情報が登録される点など、いくつか共通点もあります。

どちらを選択すべきかは借金や資産の状況、借金の種類によって異なります。たとえば、借金総額が500万円を超えているケースやすでに給料を差し押さえられているなら個人再生、保証人に迷惑をかけたくないなら任意整理というように、自身の状況に合わせて選択すべきでしょう。

借金の返済で悩んでいる場合や、どちらの債務整理方法が自身に合っているかわからないときは、できるだけ早い段階で弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。

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更新日 : 2025年02月07日
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