任意整理で遅延損害金の免除は認められやすい傾向にある
前提からお伝えしますが、そもそも任意整理は、返済条件を見直してもらうために債権者と交渉をする手続きです。任意整理の和解条件は当事者同士で自由に決められるため、任意整理をすれば必ず遅延損害金が免除されるとは言えません。
とはいえ、任意整理をすれば遅延損害金の免除は認められやすい傾向にあります。これには、弁護士会や司法書士会が定めている「統一基準」がかかわります。
近年、任意整理の案件を取り扱う法律事務所が増えている傾向にあります。そして、任意整理は裁判所を通さない私的な手続きであり、債権者との交渉次第で遅延損害金の免除ができるかどうかなどが変わります。
そのため、どの法律事務所に依頼するかによって、任意整理の結果が変わることもあり、その場合には法律事務所全体の信用にも影響してしまいます。
そこで、どの法律事務所に依頼したとしてもある程度の基準はクリアできるようにと、弁護士会や司法書士会は任意整理における統一基準を定めたのです。任意整理における統一基準では、下記のような内容が定められています。
- ①貸金業者に対して最初の取引からの全取引経過の開示を求めること
- ②利息制限法に引き直し債権額を確定すること
- ③和解案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金、並びに将来の利息は付けないこと
参照元:日本司法書士連合会「「司法書士による任意整理の統一基準」を求める決議」
任意整理における統一基準には「和解案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金、並びに将来の利息は付けないこと」という規定が設けられています。そのため、任意整理を弁護士や司法書士に依頼すれば、遅延損害金が免除されるように交渉を進めてもらえるのが基本です。
債権者となる金融機関も、任意整理における統一基準を考慮して交渉に応じてくれるのが一般的です。交渉次第では和解できない可能性も考えられますが、多くの場合では任意整理によって遅延損害金の免除が認められると言えるのです。
任意整理をすれば必ず遅延損害金がカットされるとは限らない
前述したように、統一基準によって多くの任意整理案件で和解条件の目安とされているのは確かです。しかし、この統一基準に法的拘束力はなく、統一基準とは異なる条件で和解しても債権者に罰則などが科されることはありません。
そもそも、遅延損害金を受け取ることは、法律で認められた債権者の権利です。債権者との契約書でも、借金の返済を滞納した場合は遅延損害金を支払うことが定められているため、原則遅延損害金が発生した場合は支払義務があるとも言えます。
つまり、統一基準が定められているからといって、任意整理をすれば必ず遅延損害金がカットされるとは限らないのです。なかには、会社の方針で遅延損害金のカットに応じない債権者も存在することも考えられます。
任意整理で遅延損害金をカットしたい場合、まずは弁護士や司法書士に相談をして、自身の状況で免除が認められそうかどうかについて尋ねておくのがよいでしょう。
無料相談だけでも、個々の状況に合わせて詳しい和解条件を調べてもらえるので、まずは気軽に相談してみてください。
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任意整理で免除が認められる可能性があるものの例
任意整理はあくまで交渉の手続きであるため、遅延損害金以外も免除が認められる可能性はあります。どのように和解できるかは交渉次第であるため、必ずカットされるとは言えませんが、任意整理によって免除が認められる可能性があるものには下記が挙げられます。
任意整理で免除が認められる可能性があるものについて、それぞれ解説していきます。
遅延損害金
前述したように、遅延損害金は任意整理によって免除される可能性があるものです。
そもそも遅延損害金は、返済が遅れたことに対するペナルティとして請求されます。滞納した翌日から日割りで発生し、滞納が解消されるまで遅延損害金は発生し続けます。
遅延損害金の金額は年率や滞納日数などによって異なり、下記の式で算出可能です。
元金×利率÷365(日)×滞納日数=遅延損害金 ※うるう年は366で計算
たとえば、200万円の借金を滞納しており、遅延損害金の利率が年20%だった場合、遅延損害金の金額は以下が目安となります。
滞納日数 |
遅延損害金 |
10日 |
10,958円 |
30日 |
32,876円 |
60日 |
65,753円 |
今回のケースであれば、任意整理によって30日分の遅延損害金がカットされた場合、約3万円の支払いが免除になるともいえます。
将来利息
任意整理によってカットされる可能性があるものとして、将来利息が挙げられます。
将来利息とは、任意整理の和解日から完済日までに発生する利息のことです。簡単に言い換えれば、これから発生するであろう利息のことを指します。
弁護士会や司法書士会が定める任意整理における統一基準では、「和解案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金、並びに将来の利息は付けないこと」とあります。
そのため、確実とは言えませんが、遅延損害金と同じように将来利息も任意整理によってカットされる傾向にあるといえます。
任意整理によって将来利息がカットされれば、完済までに支払う総額も抑えられます。たとえば、年18%の金利で30万円の借金を3年〜5年で完済した場合の将来利息をまとめましたので、参考にしてみてください。
完済までの期間
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完済までに発生する将来利息の合計
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3年で完済
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90,456円
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4年で完済
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122,976円
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5年で完済
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157,080円
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経過利息
任意整理によってカットされる可能性があるものとして、経過利息が挙げられます。
経過利息とは、最後に借金を返済した日から任意整理の和解日までに発生する利息のことです。
任意整理を法律事務所へ依頼した場合、債権者に受任通知が送付され、その後の返済は一旦ストップされます。とはいえ、任意整理の交渉期間に入っても利息は発生し続けており、この期間に発生した利息を経過利息と呼ぶのです。
経過利息に関しては、任意整理における統一基準で明確に定められていません。そのため、将来利息や遅延損害金と同じように、カットが認められやすいとは言えません。
経過利息については、あくまで交渉次第でカットしてもらえるケースもあるものとして考えておくのがよいでしょう。
任意整理で遅延損害金などの免除が認められた場合の返済シミュレーション
任意整理を検討している場合、「利息や遅延損害金がカットされた場合はどれだけ返済が楽になるのか」のように考えているかもしれません。そこで、ここからは、任意整理で遅延損害金などの免除が認められた場合の返済シミュレーションをしていきます。
あくまで目安に過ぎませんが、借金総額が30万円・50万円・100万円ごとのシミュレーションをしていくため参考にしてみてください。
30万円の借金を任意整理した場合のシミュレーション
ここでは、30万円の借金を任意整理した場合のシミュレーションをしていきます。
○シミュレーションの前提条件
- 適用されている金利:年18%
- 完済までの期間:3年(36か月)
- 任意整理の和解条件:遅延損害金と利息を免除して元金のみの支払いとする
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任意整理をした場合
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任意整理をしない場合
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毎月の返済額
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約8,400円
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約11,000円
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支払総額
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30万円
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390,431円
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※あくまでシミュレーションです。参考程度にお考えください。
今回のシミュレーションでは、任意整理をすることで毎月の返済額を約2,600円を抑えつつ、支払総額については9万円程度抑えられる結果になりました。
50万円の借金を任意整理した場合のシミュレーション
ここでは、50万円の借金を任意整理した場合のシミュレーションをしていきます。
○シミュレーションの前提条件
- 適用されている金利:年18%
- 完済までの期間:3年(36か月)
- 任意整理の和解条件:遅延損害金と利息を免除して元金のみの支払いとする
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任意整理をした場合
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任意整理をしない場合
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毎月の返済額
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約14,000円
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約18,000円
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支払総額
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50万円
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650,721円
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※あくまでシミュレーションです。参考程度にお考えください。
今回のシミュレーションでは、任意整理をすることで毎月の返済額を約4,000円を抑えつつ、支払総額については15万円程度抑えられる結果になりました。
100万円の借金を任意整理した場合のシミュレーション
ここでは、100万円の借金を任意整理した場合のシミュレーションをしていきます。
○シミュレーションの前提条件
- 適用されている金利:年15%
- 完済までの期間:3年(36か月)
- 任意整理の和解条件:遅延損害金と利息を免除して元金のみの支払いとする
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任意整理をした場合
|
任意整理をしない場合
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毎月の返済額
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約28,000円
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約35,000円
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支払総額
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100万円
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1,247,934円
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※あくまでシミュレーションです。参考程度にお考えください。
今回のシミュレーションでは、任意整理をすることで毎月の返済額を約13,000円を抑えつつ、支払総額については24万円程度抑えられる結果になりました。
任意整理で遅延損害金の免除が認められづらいケース
任意整理はあくまで交渉であるため、必ず遅延損害金の免除が認められるわけではありません。自身の状況次第でも免除が認められない可能性もあります。
あくまで例に過ぎませんが、任意整理で遅延損害金の免除が認められづらいケースとしては下記が挙げられます。
- 遅延損害金をカットしても返済の目処が立たない
- 無職などで自身に収入がない
- 3年〜5年以上経っても元金を完済できそうにない
- すでに強制執行が行われている
なお、遅延損害金の免除が認められないケースがあるように、任意整理は借金問題を抱えているすべての人に適した方法とも言い切れません。条件やデメリットを十分に把握したうえで、任意整理をするべきかどうかを考えるのが大切です。
遅延損害金をカットしても返済の目処が立たない
任意整理で遅延損害金の免除が認められづらいケースとして、遅延損害金をカットしても返済の目処が立たないケースが挙げられます。
そもそも、任意整理を含めた債務整理は、債務者の生活再建を目指すことを目的にした手続きです。遅延損害金をカットしたとしても元金自体が返済できない状況であれば、生活再建は望めないことでしょう。
また、債権者からしても、遅延損害金のカットを認めたとしても元金を完済できないのであれば、交渉に応じる必要はないと考えられてしまうと予測できます。
そのため、「そもそも元金自体が完済できるかがわからない」という状態であれば、任意整理以外の方法を視野に入れておくのもよいでしょう。
無職などで自身に収入がない
遅延損害金や将来利息がカットされたとしても、任意整理をした後は元金の返済が必要です。無職などで収入がない場合には手続き後の返済が滞ると考えられてしまい、そもそも任意整理ができません。
そのため、収入がない場合には任意整理による遅延損害金のカットではなく、ほかの方法で借金問題を解決することを検討するべきです。
3年〜5年以上経っても元金を完済できそうにない
任意整理後には返済が必要になりますが、3年〜5年で返済できるような条件に見直されるように交渉を進めるのが一般的です。遅延損害金や将来利息がカットされたとしても、元金自体を3年〜5年で完済できない場合には任意整理ができない傾向があります。
つまり、3年〜5年で元金を完済できる見込みがあることが、任意整理をするための条件の1つとも言えます。
5年以上経っても元金を完済できそうにない場合には、遅延損害金のカットどころか、任意整理で債権者と和解できない可能性があることも踏まえておきましょう。
すでに強制執行が行われている
借金問題を抱えている人のなかには、債権者から強制執行がとられている人もいるかもしれません。この状況では、遅延損害金のカットどころか、任意整理で和解しようとしても債権者は応じてくれないのが一般的です。
債権者からすれば、このまま財産を差し押さえれば確実に債権を回収できるので、和解に応じるメリットがほとんどないからです。
すでに給料や財産の差し押さえがおこなわれた後なら、任意整理での解決は困難になると考えられます。自己破産や個人再生などの法的手続きで対処する必要があります。
任意整理で遅延損害金をカットされやすくするための対策
「任意整理をするなら、遅延損害金をできるだけカットしてほしい」のように考えている人は多いでしょう。
前述したように、弁護士会の統一基準はあるものの法的拘束力がないため、実際の和解条件はその都度、債権者と法律事務所の話合いで決まります。
債権者に「遅延損害金をカットしてあげよう」と思ってもらうためにも、債権者がその気になるような条件を揃えておくのも1つの手です。任意整理で遅延損害金をカットされやすくするための対策としては、下記が挙げられます。
- 取引期間をできるだけ長くする
- 裁判を起こされる前に任意整理する
なお、これらの対策は任意整理の交渉の材料に過ぎません。そのため、対策を講じれば必ず遅延損害金がカットされるとは限りません。
あくまで遅延損害金のカットを認めてもらう可能性を少しでも高めるための対策に過ぎないことを念頭に置いておきましょう。
取引期間をできるだけ長くする
債権者は、債務者が返済時に支払う利息によって利益を得ています。
取引期間が短かったり、借りてからほとんど返済していない場合、債権者はほとんど利益を回収できていない状態です。一方、取引期間が長い人であれば、利益をある程度回収できているとも言えます。
そのため長い間返済を続けてたくさん利息を払っている人に対して、寛容な対応をとってもらえる可能性も考えられるのです。
あくまで可能性の話に過ぎませんが、任意整理で遅延損害金を免除してもらいたい場合、少しでも取引期間を長くすることも検討してみてください。
裁判を起こされる前に任意整理する
裁判を起こされている状態で任意整理する場合、財産の差押えを避けるためには早急に債権者と和解する必要があります。そうなると遅延損害金のカットなど、債務者に有利な条件となるよう十分な時間をかけて交渉することは難しくなると予測されます。
有利な条件で和解したいなら、裁判を起こされる前に任意整理することが重要です。
任意整理にはメリットだけでなくデメリットもある
任意整理をすることで、遅延損害金や将来利息のカットが認められる傾向にあるため、毎月の返済負担を抑えられるのが一般的です。とはいえ、任意整理にはメリットだけでなくデメリットもあるため注意が必要です。
任意整理のデメリットには下記が挙げられます。
- 最長5年間はブラックリスト入りになる
- 連帯保証人を立てている借金を任意整理するとその人に返済義務が生じる
- 銀行からの借入を任意整理すると口座が一時的に凍結される可能性がある
今後の生活に支障をきたしてしまうおそれのあるデメリットもあるため、任意整理をするかどうかは慎重な判断が必要です。
最長5年間はブラックリスト入りになる
任意整理のデメリットとして、いわゆる「ブラックリスト入り」になることが挙げられます。
前提として、「ブラックリスト」というリストが存在するかどうかは断言できません。信用情報として返済能力が疑われやすい履歴が残っている状態を、一般的に「ブラックリスト入り」「ブラック状態」などと呼びます。
ブラックリスト入りになると、クレジットカードやローンなどの審査に通りづらくなります。具体的には、下記のような契約が難しくなるでしょう。
- クレジットカード
- カードローン
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- パソコンやスマートフォンなどの割賦払い
任意整理をした履歴は最長5年間残るため、ブラックリスト入りの状態も最長5年間続くと言えます。5年の間はクレジットカードやローンなどを利用しづらくなってしまうため、任意整理をするべきかどうかは慎重に判断するべきです。
連帯保証人を立てている借金を任意整理するとその人に返済義務が生じる
連帯保証人を立てている借金を任意整理した場合、その人に返済義務が生じます。つまり、連帯保証人に借金を肩代わりしてもらうことになるのです。
連帯保証人に返済義務が生じた場合、原則的には一括返済が求められます。借金額や連帯保証人の状況にもよりますが、迷惑をかけてしまうことは避けられません。
ワンポイント解説
○連帯保証人がついている借金は任意整理の対象にしないこともできる
任意整理は対象とする借金を自身で選べる手続きです。そのため、連帯保証人がついている借金だけ、任意整理の対象外にすることも可能です。
連帯保証人に迷惑をかけることを避けるのであれば、連帯保証人を立てている借金は任意整理の対象外にすることも検討しておくとよいでしょう。
銀行からの借入を任意整理すると口座が一時的に凍結される可能性がある
銀行からの借入を任意整理した場合、その銀行の口座が一時的に凍結される可能性があります。これは、債権者である銀行が債券を預金から回収するためです。
口座凍結となる期間の目安は3か月程度といわれています。銀行からの借入を任意整理する場合には、口座が凍結してしまうリスクのためにも、「預金を引き出しておく」「公共料金の引き落としを別の銀行口座に変えておく」などの対策を事前に講じておくのがよいでしょう。
任意整理をせずに返済を放置すると遅延損害金の発生以外にもリスクがある
任意整理をしたからといって、必ず遅延損害金が免除になるわけではありません。また、任意整理にはデメリットもあるため、場合によっては任意整理をしないことを考える人もいるかもしれません。
しかし、任意整理をせずに返済を放置するのは絶対に避けてください。任意整理をせずに返済を放置してしまうと、まずは遅延損害金が発生し続けるリスクがあります。
また、他にも下記のようなリスクがあります。
- いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になる
- 一括返済を求められる
- 最終的には財産が差し押さえられる
ここからは、任意整理をせずに返済を放置した場合のリスクについて、それぞれ解説していきます。
いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になる
借金返済を放置すると、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になる可能性があります。
前提として、「ブラックリスト」というリストが存在するかどうかは断言できません。信用情報として返済能力が疑われやすい履歴が残っている状態を、一般的に「ブラックリスト入り」「ブラック状態」などと呼びます。
長期的な延滞は返済能力を疑われる可能性がある履歴です。「○日間返済を滞納するとブラックリスト入りになる」とは断言できませんが、返済遅延の期間が長ければ長いほどブラックリスト入りになる可能性は高まると言えます。
そのため、借金返済が遅れており任意整理もしないとなると、ブラックリスト入りになってしまうことも考えられるのです。
一括返済を求められる
借金返済を放置すると、いずれ債権者から一括返済を求められます。この際には、借りた金額である元金と利息だけでなく、滞納によって発生した遅延損害金の総額を一括で支払う必要があります。
一括請求をされれば、返済方法は原則一括返済のみしか認められません。この段階であれば、任意整理せざるを得ない状況に陥ってしまうことも考えられます。
最終的には財産が差し押さえられる
任意整理の場合には財産の差し押さえに発展することは原則ありません。しかし、借金返済を放置し続けた場合には、最終的に裁判による強制執行で財産の差押えを受けてしまいます。
差し押さえが行われた場合、以下のような財産や給与が差し押さえの対象になり、滞納額の返済に充てられます。
差し押さえに発展してしまえば、今後の生活に支障をきたしてしまうことも考えられます。
任意整理をしても借金問題を解決できないときの解決策
任意整理を検討している人のなかには、「任意整理では借金問題を解決できそうにない」という人もいるかもしれません。そのような場合、任意整理以外の方法で借金問題を解決することも検討してみてください。
借金問題の解決につながる任意整理以外の方法としては下記が挙げられます。
- 任意整理以外の債務整理手続きへ方針変更する
- 時効援用で返済義務をなくす
- 過払金返還請求をする
ここからは、借金問題の解決につながる任意整理以外の方法について、それぞれ解説していきます。
任意整理以外の債務整理手続きへ方針変更する
債務整理手続きは任意整理だけではありません。ほかにも「個人再生」「自己破産」という手続きがあり、これらは任意整理よりも借金減額効果が大きいものです。
- 自己破産:20万以上の価値ある財産を手放す代わりに借金を全額免除してもらう
- 個人再生:借金を1/5〜1/10程度に圧縮して3年~5年で分割返済する。返済額の圧縮分は、負債総額で異なる。
たとえば、自己破産であれば原則借金を帳消しにできます。また、個人再生であれば、借金自体を減額できます。
任意整理の場合、遅延損害金や将来利息のカットは見込めますが、借金自体を減額することは難しいです。そのため、借金が減らなければ返済が難しい場合には、個人再生や自己破産を検討するのもよいでしょう。
時効援用で返済義務をなくす
借金には時効があり、時効援用をすることで借金を払わなくて済むケースもあります。長く滞納していた借金について債権譲渡通知書が届いた場合には、時効が成立している可能性を検討するのもよいでしょう。
時効が成立するには、債権者に対して最後に返済した「最終返済日」から5年〜10年が経っていることが条件です。
とはいえ、単に5年〜10年の間返済をしなければ借金の時効が成立するわけではありません。消滅時効が中断(リセット)されるケースもあるためです。
借金の消滅時効が成立しているかどうかは、専門的な知識がなければ判断しづらいです。借金の消滅時効を迎えている可能性があるのであれば、一度弁護士や司法書士に相談してみることも検討してみてください。
過払金返還請求をする
過払金とは、払いすぎた利息のことをいいます。
過払金が発生している場合、過払金請求をすることで残りの返済額が少なくなったり、場合によってはお金が戻ってくることもあるのです。
一般的に「2010年6月18日以前」から借入をしている場合、過払金が発生している可能性があるといわれています。
「過払金が発生しているかも」と思ったら、まずは法律事務所へ相談してみましょう。
多くの法律事務所が、過払金の無料相談に対応しています。
電話で相談すると、その場で過払金が出る可能性があるか簡単に調べてもらえるので、借入開始時期が曖昧な場合なども、法律事務所へ相談してみるとよいでしょう。
まとめ
統一基準が定められたことで、任意整理をすれば遅延損害金が免除される傾向にあると言えます。また、遅延損害金だけでなく将来利息のカットも認められやすいため、任意整理をすることで基本的に今後は元金のみを返済していくようになるといえるでしょう。
とはいえ、任意整理はあくまで交渉であるため、必ず遅延損害金がカットされるとは限りません。また、そもそも任意整理が適していないパターンも考えられるため、遅延損害金が免除される可能性があると言っても、安易に任意整理を選ぶのはおすすめできません。
まずは弁護士や司法書士に相談したうえで、「遅延損害金が免除されるのか」「本当に任意整理で問題ないのか」などを検討しておくことが大切です。
任意整理・遅延損害金のよくある質問
任意整理をすれば遅延損害金をカットできるのですか?
弁護士会の統一基準では「将来利息・遅延損害金のカット」が定められています。しかし法的拘束力はなく、遅延損害金をカットするかどうかはあくまでも債権者との話合い次第です。そのため債権者である会社の方針や、債務者の返済状況によっては、任意整理をしても遅延損害金がカットされない場合もあります。
遅延損害金をカットされやすくするコツはありますか?
取引期間が長い場合や残金を一括で返済できる場合は、通常より債務者に有利な条件で和解できる場合もあります。また、裁判を起こされていると債権者に有利な条件で和解せざるを得ない状況になる恐れがあるので、裁判を起こされる前に任意整理しましょう。
遅延損害金が高額になり過ぎて、カットされないなら任意整理は厳しいです。この場合どうすればよいですか?
任意整理で返済が厳しいなら、自己破産や個人再生を検討しましょう。任意整理より借金の負担を軽減できる可能性があります。また5年以上滞納している借金なら、時効援用で返済義務をなくせる可能性もあるので、法律事務所へ相談して確認するとよいでしょう。
そもそも遅延損害金がどの範囲を指しているのか分からないのですが・・・。
遅延損害金とは、返済が遅れたことに対するペナルティとして請求されるお金です。通常、返済を滞納している期間、つまり「返済期日の翌日から滞納分の支払いが完了した日まで」の間に発生します。通常の利息が返済期日までの期間に発生するのに対し、返済期日以降に発生するのが遅延損害金です。
遅延損害金も含めて、任意整理でカットされる借金の範囲を知りたいです。
遅延損害金以外にも「元々借りた金額=元金」に対してかかる利息には、将来利息・経過利息・利息制限法を超過した利息などさまざまなものがあります。基本的に将来利息は、任意整理によってカットできます。また利息制限法を超過した利息は、本来払わなくてよい利息なので返還請求も可能です。経過利息については、債権者である会社の方針によって、任意整理でカットできる場合とできない場合があります。
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