任意整理を依頼したら遅延損害金の発生はストップする
多くの法律事務所などが運営するサイトでは「任意整理で利息をカット」などと記載されています。
しかし利息をカットの「利息」とは一体どの範囲を表しているのか、正確に把握していない人も多いでしょう。
特に、既に借金の返済が厳しい人の場合、滞納すると高額な遅延損害金が発生してしまうため「任意整理を依頼したら遅延損害金の発生がストップするのか」は大きな問題です。
結論からいうと、任意整理でカットする利息の範囲は、主に「和解後に支払うはずの利息」を指しています。
つまり任意整理を依頼すれば、本来支払うべき遅延損害金の発生もストップするのです。
遅延損害金は通常の利息よりも高額となる場合が多く、短期間の滞納でもあっという間に借金が膨れ上がってしまう原因になります。
既に借金の返済が厳しいなら、遅延損害金がこれ以上増えないうちに法律事務所へ相談するとよいでしょう。
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任意整理で遅延損害金は原則カットできる
任意整理を依頼したら遅延損害金の発生はストップします。
では任意整理を依頼した時点で、既に発生している遅延損害金についてはどうなるのでしょうか。
結論からいうと、任意整理で遅延損害金はカットできる可能性が高いといえます。
なぜ、任意整理で遅延損害金はカットできるのか。
また、遅延損害金がカットできないケースはどのような場合か。
次の項目から詳しくお伝えします。
弁護士会の統一基準で「遅延損害金・将来利息のカット」が定められている
任意整理で遅延損害金がカットできるといえる根拠は、弁護士会の統一基準にあります。
本来、任意整理の和解条件は当事者同士で自由に決められます。
しかし近年、任意整理の案件を取扱う法律事務所が増えてきたため、弁護士会や司法書士会は全国で統一された「統一基準」を作成し、和解条件の目安を定めました。
弁護士会の統一基準には「和解案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金、並びに将来の利息は付けないこと」という規定が設けられています。
そして大手貸金業者であれば、この統一基準に従って和解交渉に応じてくれる場合がほとんどです。
つまり弁護士会の統一基準に従って和解交渉に応じてくれる業者が相手であれば、任意整理で遅延損害金と将来利息をカットできるということです。
会社の方針で「遅延損害金のカットに応じない」債権者もいるので注意
前述した弁護士会の統一基準が、多くの任意整理案件で和解条件の目安とされているのは確かです。
しかしこの統一基準に法的拘束力はなく、統一基準とは異なる条件で和解しても債権者に罰則などが科されることはありません。
そもそも遅延損害金を受取ることは、法律で認められた債権者の権利です。
また借入時に記入する契約書でも、借金の返済を滞納した場合は遅延損害金を支払うことが定められています。
そのため、債権者によっては会社の方針で遅延損害金のカットに応じないことも珍しくありません。
特に会社の経営状況が厳しい債権者の場合は、遅延損害金のカットに応じない傾向が強いので注意してください。
自分が任意整理しようとしている会社の和解条件について、詳しく知りたい場合は法律事務所へ直接相談しましょう。
無料相談の段階でも、個々の状況に合わせて詳しい和解条件を調べてもらえるので、まずは気軽に相談してみてくださいね。
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遅延損害金とは「借金を滞納している期間にかかる損害賠償金」
借入時に記入する契約書や規約、貸金業者から送られてくる請求書などを見ると、遅延損害金とは別に「利息」という項目が設けられていると思います。
別々に請求されている「遅延損害金」と「利息」を見て、以下のような疑問や不安を抱く人も多いでしょう。
- 「遅延損害金」と「利息」では何が違うの?
- 借金を滞納すると、遅延損害金と利息が二重でかかるの?
まず遅延損害金と利息は別物であり、利息よりも遅延損害金の利率を高く設定している貸金業者が多いです。
遅延損害金は、返済が遅れたことに対するペナルティとして請求されます。
返済を滞納している期間、つまり「返済期日の翌日から滞納分の支払いが完了した日まで」の間に発生するのが通常です。
一方、利息は「お金を借りる」というサービスを受ける対価として請求されます。
お金を借りている期間、つまり「借入日から返済期日まで」の間に発生するのが通常です。
例えば借入日が2020年5月20日で返済日が2020年9月20日に設定されている場合、遅延損害金と利息が発生する期間は以下のようになります。
- 2020年5月20日~2020年9月20日 → 利息が発生
- 2020年9月21日~ → 遅延損害金が発生
上記のように「返済期日」を基準にして、返済期日までに発生するのが利息、返済期日以降に発生するのが遅延損害金であり、二重にかかることはありません。
遅延損害金の計算方法
遅延損害金は年率を日割りで計算します。
元金×利率÷365(日)×滞納日数=遅延損害金 ※うるう年は366で計算
元金は借金を滞納した期間内の元本額となります。
例えば200万円の借金を滞納しており、遅延損害金の利率が年利20%だった場合、以下のようになります。
滞納日数 |
遅延損害金 |
10日 |
10,958円 |
30日 |
32,876円 |
60日 |
65,753円 |
なお利息制限法では、貸金業者が設定できる遅延損害金の上限利率を、年利20%と定めています。
そのため、多くの貸金業者が遅延損害金を年利20%と定めています。
契約書や規約などに遅延損害金の利率が記載されているので、確認しましょう。
遅延損害金以外の利息
遅延損害金以外にも「元々借りた金額=元金」に対してかかる利息にはさまざまなものがあります。
これらの利息も、任意整理によってカットできたり、既に払った分を返還請求できる場合もあります。
それぞれの利息について、次の項目から詳しくお伝えします。
将来利息
将来利息は、任意整理の和解日から完済日までに発生する利息です。
ただし前述したとおり、弁護士会の統一基準では将来利息のカットが和解条件の目安として定められています。
そのため任意整理をすれば、将来利息はカットされる場合がほとんどです。
経過利息
経過利息とは、最後に借金を返済した日から任意整理の和解日までに発生する利息です。
法律事務所へ依頼し任意整理の交渉期間に入ると、債権者への返済は一旦ストップします。
しかし交渉期間に入っても利息は発生し続けており、この期間に発生した利息を経過利息と呼ぶのです。
経過利息に関しては、任意整理で和解することによりカットしてくれる債権者も多いです。
ただし、なかには経過利息込みの和解を要求してくる債権者もいるので、法律事務所とよく相談のうえ、できるだけ早期和解を目指すとよいでしょう。
利息制限法を超過した利息
利息制限法を超過した利息とは、利息制限法で定められている年利15%~20%を超える部分の利息です。
2010年以前に消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた人であれば、発生している可能性があります。
利息制限法を超過した利息が発生している場合、本来払わなくてよい利息を払った(=過払い)として、後から返還請求できます。
もしくは現在払っている借金の残金から、過払金額を差引いて借金を減らせる場合もあります。
ただし過払金の返還請求には、原則的に最後の取引日から10年の期限があるため、できるだけ早く法律事務所へ相談し、過払金返還請求が可能か調べてもらうとよいでしょう。
任意整理で遅延損害金をカットされやすくするには?
「どうせ任意整理をするなら、遅延損害金をできるだけカットしてほしい」
そう考えている人は多いでしょう。
前述したように、弁護士会の統一基準はあるものの法的拘束力がないため、実際の和解条件はその都度、債権者と法律事務所の話合いで決まります。
債権者に「遅延損害金をカットしてあげよう」と思ってもらうには、こちらも債権者がその気になるような条件を揃えなければなりません。
次の項目から「任意整理で遅延損害金をカットされやすくする方法」について紹介しますので、ぜひ参考にして和解交渉に挑んでください。
取引期間をできるだけ長くする
債権者は、債務者が返済時に支払う利息によって利益を得ています。
そのため長い間返済を続けてたくさん利息を払っている人に対して、債権者は寛容です。
任意整理した場合「今まで十分儲けさせてくれたから、今後は貸した分をきっちり返してくれればいいですよ」と遅延損害金カットに応じてくれる可能性が高いでしょう。
しかし取引期間が短かったり、借りてからほとんど返済していない場合、債権者はほとんど利益を回収できていない状態です。
そのため、任意整理の和解条件が厳しかったり、業者によっては和解に応じない場合もあります。
裁判を起こされる前に任意整理する
裁判を起こされている状態で任意整理する場合、財産の差押えを避けるためには早急に債権者と和解する必要があります。
そうなると遅延損害金のカットなど、債務者に有利な条件となるよう十分な時間をかけて交渉することは難しくなります。
また債権者が多少債務者に不利な条件を提示してきても、受入れて和解しなければならない可能性が高いです。
債権者もそのような事情を理解しているため、わざと債務者に不利な条件を提示してくる恐れもあります。
有利な条件で和解したいなら、裁判を起こされる前に任意整理することが重要です。
一括払いなどできるだけ短い返済期間で和解する
借金の残金を一括で返済できる場合、通常より債務者に有利な条件で和解に応じてくれる債権者は多いです。
遅延損害金はもちろん、債権者によっては元金のカットに応じてくれる可能性もあります。
- 遅延損害金を全額免除してくれる。
- 遅延損害金を一部免除してくれる。
- 遅延損害金だけでなく元金も一部免除してくれる。
上記のような細かい和解条件は、債権者となる会社の方針や債務者の返済状況などにより、さまざまです。
詳しい和解条件を知りたい場合は、法律事務所へ一度相談するとよいでしょう。
任意整理しても多額の遅延損害金が残る場合の解決策
前の項目では、任意整理で遅延損害金をカットされやすくする方法について紹介しました。
しかし、なかには「複数の法律事務所へ相談しても、希望どおりの条件で和解できる法律事務所が見つからず、多額の遅延損害金が残ってしまう」という人もいるでしょう。
任意整理で遅延損害金のカットが難しい場合は、遅延損害金も含めた金額を3~5年で分割返済するのが一般的です。
しかし滞納期間が長い人だと、元金の2倍3倍の遅延損害金が上乗せされ、3~5年の分割払いでは返済できない場合も珍しくありません。
そこで次の項目から「任意整理しても多額の遅延損害金が残る場合の解決策」について詳しくお伝えします。
任意整理以外の債務整理手続きへ方針変更する
「任意整理で将来利息をカットし、3~5年の分割払いにしても返済が厳しい」
そのような場合は、別の債務整理も検討しましょう。
任意整理以外の債務整理には、以下のような方法があります。
- 自己破産・・・20万以上の価値ある財産を手放す代わりに借金を全額免除してもらう。
- 個人再生・・・20万以上の価値ある財産を手放さずに借金を約1/5に圧縮し、3~5年で分割返済する。返済額の圧縮分は、負債総額で異なる。
例えば自己破産は、家や車など所有している財産を失う恐れがある代わりに、最も借金の負担を減らせる方法です。
また個人再生なら、条件を満たせばローンの残る住宅を手元に残せます。
どの方法が合っているのかは個々の状況によるので、詳しく知りたい場合は法律事務所へ一度相談することをおすすめします。
【5年以上払っていない借金なら】時効援用で返済義務をなくす
借金には時効があり、時効援用をすることで借金を払わなくて済むケースもあります。
長く滞納していた借金について債権譲渡通知書が届いた場合には、まずは時効の可能性を疑ってみましょう。
時効が成立するには、債権者に対して最後に返済した「最終返済日」から5年経っていることが条件です。
しかし、滞納期間が長いと最終返済日がわからないという場合がほとんどです。
その場合、最後に返済したのが元々借入をした会社だった場合、信用情報に最終返済日の記録が残っていて、信用情報を取り寄せることでわかる可能性があります。
信用情報の取り寄せ方については、こちらの関連記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。
最後に返済したのが元々借入をした会社以外の場合、信用情報を取り寄せても最終返済日はわからないため、直近で債権者から送られてきた通知などを確認しましょう。
債権者から送られてきた通知に「期限の利益喪失日」「支払期日」「最終入金日」などの項目があれば、最終返済日かそれに近い日付である可能性が高いです。
なお、債権が譲渡された日を表す「譲受日」などは時効の成立とは無関係なので注意しましょう。
時効援用についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらの関連記事で紹介していますので参考にしてください。
【10年以上前から払っている借金なら】過払金返還請求をする
過払金とは、払いすぎた利息のことをいいます。
過払金が発生している場合、過払金請求をすることで残りの返済額が少なくなったり、場合によってはお金が戻ってくることもあるのです。
一般的に「2010年6月18日以前」から借入をしている場合、過払金が発生している可能性が高いといわれています。
「過払金が発生しているかも」と思ったら、まずは法律事務所へ相談してみましょう。
多くの法律事務所が、過払金の無料相談に対応しています。
電話で相談すると、その場で過払金が出る可能性があるか簡単に調べてもらえるので、借入開始時期が曖昧な場合なども、法律事務所へ相談してみるとよいでしょう。
まとめ
任意整理をすれば、遅延損害金の発生をストップし、既に発生した遅延損害金もカットできる可能性があります。
ただし債権者である会社の方針や、債務者の返済状況によっては、和解条件が厳しくなる可能性もあるので注意しましょう。
もし任意整理で返済するのが厳しいなら、自己破産や個人再生など他の債務整理を検討するのも一つの方法です。
いずれにせよ法律事務所へ相談すれば、個々の状況に合わせて最適な方法を提案してくれるので、借金返済に困っているなら一度相談することをおすすめします。
任意整理・遅延損害金のよくある質問
任意整理をすれば遅延損害金をカットできるのですか?
弁護士会の統一基準では「将来利息・遅延損害金のカット」が定められています。しかし法的拘束力はなく、遅延損害金をカットするかどうかはあくまでも債権者との話合い次第です。そのため債権者である会社の方針や、債務者の返済状況によっては、任意整理をしても遅延損害金がカットされない場合もあります。
遅延損害金をカットされやすくするコツはありますか?
取引期間が長い場合や残金を一括で返済できる場合は、通常より債務者に有利な条件で和解できる場合もあります。また、裁判を起こされていると債権者に有利な条件で和解せざるを得ない状況になる恐れがあるので、裁判を起こされる前に任意整理しましょう。
遅延損害金が高額になり過ぎて、カットされないなら任意整理は厳しいです。この場合どうすればよいですか?
任意整理で返済が厳しいなら、自己破産や個人再生を検討しましょう。任意整理より借金の負担を軽減できる可能性があります。また5年以上滞納している借金なら、時効援用で返済義務をなくせる可能性もあるので、法律事務所へ相談して確認するとよいでしょう。
そもそも遅延損害金がどの範囲を指しているのか分からないのですが・・・。
遅延損害金とは、返済が遅れたことに対するペナルティとして請求されるお金です。通常、返済を滞納している期間、つまり「返済期日の翌日から滞納分の支払いが完了した日まで」の間に発生します。通常の利息が返済期日までの期間に発生するのに対し、返済期日以降に発生するのが遅延損害金です。
遅延損害金も含めて、任意整理でカットされる借金の範囲を知りたいです。
遅延損害金以外にも「元々借りた金額=元金」に対してかかる利息には、将来利息・経過利息・利息制限法を超過した利息などさまざまなものがあります。基本的に将来利息は、任意整理によってカットできます。また利息制限法を超過した利息は、本来払わなくてよい利息なので返還請求も可能です。経過利息については、債権者である会社の方針によって、任意整理でカットできる場合とできない場合があります。
最短即日取立STOP!
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