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個人再生における弁護士と司法書士の9つの違い│選ぶポイントも詳しく解説

個人再生における弁護士と司法書士の9つの違い│選ぶポイントも詳しく解説

借金の返済が難しくなり、個人再生を検討している人の中には、「弁護士と司法書士どちらに依頼するか」で迷っているものの、どのような違いがあるのかよくわからないという人もいるでしょう。

個人再生における弁護士と司法書士の違いは以下のとおりです。

項目 弁護士 司法書士
個人再生の申立てを代理できるか できる できない
職務範囲 個人再生全般 個人再生申立書の作成に関する相談・書類作成
法律相談 できる できない
書面の作成代行 できる できる
債権者(お金を貸す側)との代理交渉 できる できない
裁判所の代理対応 できる できない
報酬相場 40万~60万円程度(全体の費用は58万~95万円程度) 30万~50万円程度(全体の費用は48万~85万円程度)
督促の停止 できる できる

弁護士と司法書士を比較すると、行える業務に大きな差があることがわかります。基本的な書類の作成やアドバイスであれば司法書士にもできますが、手続き自体の代理は認められていないため、債権者との交渉や裁判所への代理対応などはできません。

どちらへの依頼が向いているかは、以下の点から判断するとよいでしょう。

弁護士への依頼が向いている人 個人再生の手続きを全体的に任せたい人
司法書士への依頼が向いている人 ・書類作成のみを任せたい人
・費用を抑えたい人

ただし費用に関しては注意点があります。

専門家報酬だけを見れば司法書士のほうが安く済む傾向にありますが、司法書士に依頼した場合、財産の調査や再生計画案の作成に関するアドバイスを行う「個人再生委員」が選任される可能性が高く、その分裁判所費用が高額になることがあるためです。

個人再生委員を選任するかどうかの判断は地域によって異なるため、管轄裁判所の特徴を相談の時点で確認しておくことをおすすめします。

また、費用だけでなく、「何を依頼したいか」「親身になって対応してくれるか」といったことも含めて総合的に考える必要があるでしょう。

この記事では、個人再生における弁護士と司法書士の違いや、選ぶポイントについて詳しく解説します。記事を最後まで読むことで、弁護士と司法書士のうちどちらに依頼すればよいかがわかるでしょう。

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これを見ればまるわかり!個人再生における弁護士と司法書士の違い

個人再生において、弁護士と司法書士が扱える業務には以下のような違いがあります。

項目 弁護士 司法書士
個人再生の申立てを代理できるか できる できない
職務範囲 個人再生全般 個人再生申立書の作成に関する相談・書類作成
法律相談 できる できない
書面の作成代行 できる できる
債権者(お金を貸す側)との代理交渉 できる できない
裁判所の代理対応 できる できない
報酬相場 40万~60万円程度(全体の費用は58万~95万円程度) 30万~50万円程度(全体の費用は48万~85万円程度)
督促の停止 できる できる
依頼に向いている人 全般的な対応を任せたい人 自身で手続きをしたいが、書類の作成などのサポートしてもらいたい人

このように、弁護士には個人再生に関する業務全般を依頼できます。弁護士には、個人再生の手続き自体を代理できる権限があるためです。

弁護士に依頼した案件は弁護士名義で申し立てる「代理人申立」として扱われ、書類の作成はもちろん、債権者との交渉や裁判所とのやりとりも一任できます。

一方、司法書士には個人再生の手続き自体を代理する権限がありません。そのため代理人申立ではなく、あくまでも申立人本人の名義で申し立てる「本人申立」として扱われます。

書類作成や手続きのサポートは可能ですが、弁護士のように債権者と交渉・和解したり申立人に代わって裁判所に出頭したりといったことはできないため、申立人は自ら裁判所に出頭し、さまざまな手続きを行わなければなりません。

また、法律相談にも制限があります。書類に記載すべき内容についての相談はできても、高度な法律的判断が必要になるような相談はできません。

費用については、司法書士に依頼したほうが抑えられると思われがちですが、必ずしもそうとは言い切れません。

地域によっては、司法書士に依頼した場合に「個人再生委員」が選任されやすくなるためです。個人再生委員が選任されると報酬が発生するため、その分費用が高額になります。

個人再生委員については、「個人再生委員が選任されると15万円〜30万円程度かかることも」で解説します。

個人再生における弁護士と司法書士の職務の違い

個人再生における弁護士と司法書士の職務の違いについて、さらに詳しく見てみましょう。

弁護士・司法書士の職務の違いと共通点は以下のとおりです。

  • 弁護士には個人再生全般の相談・依頼ができる
  • 司法書士には個人再生申立書について相談・依頼ができる
  • 弁護士・司法書士のどちらも督促・取り立てをやめさせられる

それぞれ解説します。

弁護士には個人再生全般の相談・依頼ができる

前章でも解説したとおり、弁護士には個人再生全般の相談・依頼が可能です。弁護士には、弁護士法で法律事務全般が認められているためです。

申立書類の作成であれば司法書士にもできますが、以下の行為は弁護士にしかできません。

  • 申立書類を提出する
  • 裁判所とやりとりする
  • 申立人に代わって裁判所での「審尋」を受ける
  • 個人再生委員との面接に同席する

審尋」とは、提出した書類に不明点があったときに行われる、裁判官との面接です。本人申立のときは本人が出頭しなければなりませんが、代理人申立なら弁護士が代理で対応してくれます。

弁護士に依頼すると裁判所からの連絡がすべて弁護士に行きますが、司法書士に依頼した場合は申立人の名義で申し立てるため、申立人本人に連絡が来ます。

弁護士に依頼することで申立人にかかる負担を最小限にできるため、できるだけ負担を減らしたいなら弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

なお、弁護士資格を持たない人が報酬を得る目的で以下の行為を行うことは、弁護士資格を持つ人のみに認められている行為を指す「非弁行為」として、弁護士法第72条で禁止されています。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

引用元 弁護士法|e-Gov法令検索

たとえば、司法書士が弁護士にしか認められていない行為を報酬目的で行うと弁護士法に抵触し、以下のような罰則を受けます。

(非弁護士との提携等の罪)
第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

三 第七十二条の規定に違反した者

引用元 弁護士法|e-Gov法令検索

司法書士には基本的に個人再生申立書について相談・依頼ができる

司法書士には個人再生申立書や再生計画案といった、申立てに必要な書類の作成について相談・依頼できます。

ただし、「書類作成に関することであればすべて対応できる」というわけではありません。

たとえば、申立てにどのような書類が必要か、書類にはどのようなことを記載するかといったことの相談は可能ですが、高度な法律的判断が必要になる場合は書類に関することでも対応できません。

また、以下の行為も行えないため注意しましょう。

  • 申立書類を提出する
  • 裁判所とやりとりする
  • 申立人に代わって裁判所での「審尋」を受ける
  • 個人再生委員との面接に同席する

書類の提出に関しては、申立時だけでなく追加書類の提出もできません。

そのほか、裁判所とのやりとりや面接への同行なども行えませんが、手続きをサポートしたり面接前にアドバイスをしたりといったことは可能です。

なお、申立書類を作成できるのは、司法書士の中でも法務大臣から認定を受けた「認定司法書士」だけです。以下の手続きを行う権限はありますが、個人再生が行われる地方裁判所での手続きについては職務範囲外であり代理できません。

  • 簡易裁判所で行われる民事訴訟手続き
  • 債権額140万円以下の民事訴訟の和解・交渉・訴訟を代理すること

弁護士・司法書士のどちらも督促・取り立てをやめさせられる

弁護士・司法書士の共通点は、督促・取り立てをやめさせられることです。

弁護士・司法書士は債務整理手続きの依頼を受けたあと、「受任通知」を賃金業者や債権回収などの債権者に向けて発送します。受任通知には督促や取り立てを止める効果があり、受任通知を受け取った債権者は、それ以降債務者に対して直接の督促・取り立てができません。

受任通知の受領によって督促・取り立てができなくなる理由は、賃金業法(第21条第1項第9号)債権管理回収業に関する特別法(第18条第8項)で受任通知受領後の以下の行為が禁止されているためです。

  • 郵送・FAX・電報による督促状の送付
  • 自宅・勤務先への取り立て

条文上は、正当な理由があれば直接の取り立てが認められるとされています。

しかし賃金業法のいう「正当な理由」とは、弁護士・司法書士の承諾があるときや、弁護士・司法書士との委任契約が終了した旨を通知した場合をいいます。そのため、手続き開始直後のタイミングで直接取り立てを受けた場合、債権者の行為が違法になる可能性が高いでしょう。

督促・取り立てが止まれば、精神的・金銭的に余裕が生まれます。個人再生後に返済が再開するまで返済する必要がなくなるため、その間に生活を立て直したり裁判所費用を積み立てたりといったことが可能です。

個人再生の減額効果や手続きの流れ、手続きにかかる費用や期間については以下の記事を参考にしてください。

個人再生における弁護士と司法書士の費用

費用に関しては、弁護士と司法書士とで異なる部分と共通している部分があります。

個人再生にかかる費用は以下のとおりです。

  • 裁判所費用は3万円~数万円程度
  • 個人再生委員が選任されると15万円~30万円程度かかることも
  • 弁護士・司法書士費用は30~60万円程度

それぞれ解説します。

裁判所費用は3万円~数万円程度

裁判所費用は、弁護士・司法書士のどちらに依頼しても3万円〜数万円程度かかります。

内訳は以下のとおりです。

費用の種類 概要 金額
申立手数料(収入印紙) 裁判所に申立てる際に発生する費用 1万円
予納金(官報公告費用) 「官報」への掲載にかかる費用 1万3,744円
※中目黒庁舎の出納窓口で納付するなら1万4,000円
予納郵便切手 債権者への連絡用 2,320円+280円×債権者数

上記は、東京地方裁判所への申立てにかかる費用です。費用は裁判所によって異なる可能性があるため、「各地の裁判所一覧」から管轄の裁判所を検索して確認するか、依頼した弁護士・司法書士に聞いておくとよいでしょう。

なお、「官報」とは、国民に広く知らせるべきとされる内容が掲載される国の機関紙です。個人再生をすると、住所や氏名、個人再生をした事実などが3回にわたって掲載されます。

  1. 再生手続きの開始が決定したとき
  2. 書面による決議に付する旨の決定がなされたとき
  3. 再生計画が認可決定されたとき

「官報に自分の情報が載る=個人再生したことが知られる」と思うかもしれませんが、多くの場合は心配いりません。なぜなら官報を日常的にチェックする習慣のある人は、弁護士や司法書士、信用情報機関といった一部の業種に限られているためです。

そのような職業の人が知人・友人にいる場合は100%バレないとは言い切れませんが、個人再生の事実を周囲に言いふらす行為は名誉毀損に該当する可能性があります。万が一知られたとしても、情報を漏らされることは通常ないと考えてよいでしょう。

個人再生委員が選任されると15万円~30万円程度かかることも

個人再生委員」が選任されると前項で紹介した裁判所費用に加え、15万円〜30万円程度の分割予納金が個人再生委員への報酬としてかかります。

【個人再生委員とは】
申立人の財産や収入を調査したり、個人再生後の返済計画を記載する「再生計画案」を作成する際のアドバイスをしたりする人のこと。

たとえば東京地方裁判所では、以下のように定められています。

  • 代理人申立:15万円
  • 本人申立:25万円

つまり、個人再生委員への報酬に関しては、司法書士に依頼したほうが高額になるということです。

さらに、司法書士に依頼した場合、弁護士に依頼したケースよりも個人再生委員が選任されやすくなります。司法書士に依頼すると「本人申立」の扱いになり、事前に弁護士が事実関係や書類を確認していないことから、個人再生委員の選任が必要との判断になりやすいためです。

ただし、個人再生委員が選任されるかどうかは地域によって異なります。たとえば、東京地方裁判所ではすべてのケースで必ず選任されますが、関東地方のほかの地方裁判所では、司法書士が関与する場合に選任されやすい傾向にあります。

一方、関西方面の裁判所では、個人再生委員が選任されるケース自体がまれです。

そのほか、裁判所が「個人再生後の返済が難しいのではないか」「申立人の財産調査が必要」などと判断したケースも選任される可能性があります。

個人再生委員が選任されると、個人再生にかかる費用が高額になるおそれがあります。管轄の裁判所がどのような傾向にあるのかを、依頼した弁護士・司法書士に確認しておくとよいでしょう。

弁護士・司法書士費用は30~60万円程度

個人再生にかかる弁護士・司法書士費用は30万円〜60万円程度です。

それぞれ分けて見てみると、司法書士のほうが若干安くなる傾向にあります。

  • 弁護士:40万円〜60万円
  • 司法書士:30万円〜50万円

ただし、申し立てる裁判所が「本人申立=個人再生委員を選任する」という方針の場合、司法書士に依頼したケースは個人再生委員への報酬(15万円〜30万円)が余分にかかります。

結果的に、弁護士に依頼したケースよりもトータルの費用が高くなってしまう可能性がある点に注意しましょう。

なお、弁護士・司法書士費用は、主に以下の費用で構成されます。

相談料 法律相談の際にかかる費用。初回から有料のところもあるが、借金問題で相談する場合は無料にしている事務所も多い。
着手金 個人再生を正式に依頼した際に発生する費用。通常は着手金を支払ってから専門家が業務に着手する。結果にかかわらず発生する。
報酬金 個人再生を申し立てたあと、裁判所から再生計画の許可決定を得た場合に発生する費用。事件の成果や持ち家の有無によって金額が変動する可能性がある。

料金体系や依頼する事務所によって異なりますが、債務整理の報酬に関しては日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会によってそれぞれ費用項目や上限が設けられており、多くの事務所はこれらの指針に従っています。

参照:債務整理事件処理の規定を定める規程|日本弁護士会連合会
参照:債務整理事件における報酬に関する指針|日本司法書士会連合会

着手金・報酬金がそれぞれいくらかかるかや支払いのタイミングについては、相談の段階でよく確認しておきましょう。

分割払いや後払いに対応している事務所もあるため、支払いが難しければそのような事務所を選ぶことをおすすめします。費用に関して不安があるなら、依頼する前に費用についても相談しておくとよいでしょう。

なお、司法書士事務所の中には、着手金・成功報酬といった名称ではなく「書類作成費用」「基本報酬」などと呼ぶこともあります。

個人再生の費用を抑えるコツや払えない場合の対処法については、以下の記事を参考にしてください。

個人再生は弁護士と司法書士のどちらに依頼すべき?

結局、個人再生の手続きは弁護士・司法書士のうちどちらに依頼すればよいのでしょうか?

ここでは、弁護士に依頼したほうがいいケース・司法書士に依頼したほうがいいケースをそれぞれ紹介します。

弁護士に依頼したほうがいいケース ・手続きを一任したい
・費用を抑えたい
司法書士に依頼したほうがいいケース ・書類の作成だけ任せたい
・任意整理か個人再生かで迷っている

弁護士に依頼した方がいいケース

弁護士に依頼したほうがいいのは、たとえば以下のようなケースです。

  • 法律相談から裁判所の手続きまですべてを任せたい
  • 費用を抑えたい

まずは、専門家にすべて任せたいケースです。

司法書士に依頼すると、申立書類の提出や裁判所とのやりとり、個人再生委員との面接など、自分で対応しなければならないことが発生します。そのため平日仕事がある人や、さまざまな事情から裁判所に出向けない人には向かないでしょう。

しかし弁護士に依頼すれば、申立書類の提出や裁判所とのやりとりを代理で行ってくれるため、自分で裁判所に行く機会を最小限にできます。

個人再生委員との面接には出席する必要がありますが、弁護士に依頼しているケースであれば、弁護士が面接に同行し申立人本人の代わりに個人再生委員からの質問に回答してくれます。

また、費用を抑えたいケースも弁護士に依頼するのがおすすめです。

専門家にかかる費用だけを見れば、司法書士のほうが安く済むケースが多いです。しかし個人再生委員が選任される可能性を考えると、弁護士に依頼したほうが個人再生委員への報酬(分割予納金)が不要になる可能性が高く、トータルの費用を抑えやすいでしょう。

司法書士に依頼した方がいいケース

司法書士に依頼したほうがよいのは、たとえば以下のようなケースです。

  • 個人再生の手続きは自分でできるが、必要書類の作成は任せたい

「裁判所とのやりとりや出頭することなどに抵抗はないが、書類の作成だけはプロに任せたい」というケースなら、司法書士への依頼がおすすめです。

個人再生は、債務整理の中でもとくに複雑な手続きです。用意しなければならない書類も多く、書類に不備があったり再生計画案が提出期限に間に合わなかったりすると認可されない可能性があります。

そのためすべて自分でするとなるとハードルが高いですが、再生手続きに慣れた司法書士であれば正確な書類を作成してくれると考えられるため、認可を受けられる可能性が高まるでしょう。

個人再生における弁護士・司法書士を選ぶポイント

個人再生で弁護士・司法書士を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

  • 最初に弁護士への相談を検討する
  • 何を依頼したいか、親身に対応してくれるかで決める

それぞれ解説します。

最初に弁護士に相談する

弁護士か司法書士かで迷ったら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。司法書士では対応できないケースがあることから、先に司法書士に相談した結果対応できないと言われてしまうと、再度弁護士に相談し直さなければならなくなるためです。

「弁護士は費用がかかる」というイメージがあるかもしれませんが、弁護士も司法書士も、初回の相談については多くの事務所が無料で対応しています。

直接弁護士・司法書士事務所に相談するケースはもちろん、弁護士会や司法書士会が運営する「法律相談センター」や「司法書士総合相談センター」では全国各地で無料相談を実施しているため、最寄りの相談センターに相談するのもよいでしょう。

そのほか、「法テラス」でも弁護士・司法書士による無料法律相談を実施しています。法テラスとは、経済的な事情で弁護士・司法書士に依頼できない人を対象に、無料法律相談や専門家費用の立替えを行っている国の機関です。

利用するには収入・資産が一定の基準以下でなければならず、審査を受ける必要がありますが、審査に通れば同じ問題に対して3回まで無料相談が受けられます。

詳しい利用条件については、以下の公式サイトでチェックしてみてください。

参照:無料法律相談・弁護士等費用の立替|日本司法支援センター法テラス

何を依頼したいか、親身に対応してくれるかで決める

「弁護士か司法書士か」という2択で選ぶのではなく、何を依頼したいか、親身になって対応してくれるかといったことを重視するのも大切です。

裁判所とのやりとりや個人再生委員との面談の際に同行してほしいなら弁護士、とにかく正確な書類を作成してもらえればあとは自分で対応するというなら司法書士というように、どのように手続きを進めたいかによって依頼先を判断するとよいでしょう。

弁護士や司法書士に個人再生を依頼した場合、年単位の付き合いになる可能性があります。

個人再生の手続き自体に半年〜1年程度かかるうえ、専門家経由で各債権者に返済してもらう「返済代行」も依頼するなら、認可決定後に返済が再開したあと3年〜5年は専門家経由での返済が続きます。

そのため、親身になって対応してくれない・相談しにくいというような事務所は、弁護士か司法書士かに関係なくやめておいたほうがよいでしょう。

ほかにも、以下のことを重視して選ぶことをおすすめします。

  • 費用が明確か
  • 対応が迅速か
  • 仕事が丁寧か

一般的に「弁護士のほうが高く、司法書士のほうが安い」と思われがちですが、費用はケースや依頼する事務所によって異なるため、一概に「弁護士だから高い」とも「司法書士だから安い」ともいえません。

債務整理における弁護士・司法書士の違いやどちらに依頼すればよいかの判断基準、費用を抑える方法については以下の記事を参考にしてください。

まとめ

個人再生における弁護士と司法書士の違いについて解説しました。

弁護士と司法書士との大きな違いは、取り扱える業務の範囲です。弁護士はオールマイティにこなせますが、司法書士は業務が限定されており、弁護士のように手続き自体を代理できるわけではありません。

そのためか、「弁護士のほうが高い・司法書士のほうが安い」と言われることもありますが、費用については依頼内容や事務所によって異なるため、一概にどちらが高い・安いとはいえないことを念頭に置いておきましょう。

専門家を選ぶ際は、費用だけでなく「何を頼みたいか」「相談しやすいか」といったことも含め、総合的に判断することが重要です。

費用面で不安があるときは、弁護士会や司法書士会、法テラスなどの無料法律相談を利用するのがおすすめです。実際に直接会って相談した結果で判断するとよいでしょう。

よくある質問

個人再生を司法書士に依頼するときの注意点はありますか?

個人再生を司法書士に依頼した場合、個人再生委員への報酬(分割予納金)の軽減や手続きの簡略化といったメリットを受けられない点に注意しましょう。

また、司法書士に依頼するなら、以下を満たしていることが重要です。

  • 本人が弁護士に依頼した場合との違いについて十分な説明を受けており、十分に理解できていること
  • 裁判所や個人再生委員とやりとりできる能力・余裕が本人にあること
  • 複雑な問題を含んでいないこと
  • 弁護士に依頼した場合にかかる裁判所費用・弁護士費用よりも高額にならないこと
  • 途中で弁護士に変更する場合に、費用をどのように精算し、引き継ぐかが前もって定められていること

弁護士のように手続き自体を代理し、申立てや裁判所とのやりとりを本人に代わって行えるわけでないことを、申立人自身がよく理解していなければなりません。

また、裁判所や個人再生委員とのやりとりが生じたとき、本人に対応できる能力や余裕が必要です。たとえば多忙でそもそも裁判所に出向けない、裁判所や個人再生委員に質問されても自分で回答できないというようなケースでは、弁護士への依頼が望ましいでしょう。

そのほか、案件自体が複雑なケースでないことや、弁護士に依頼した場合に比べ、費用が高額にならないかどうかも重要なポイントです。

個人再生の手続きを一任できる弁護士より、主に書類作成やサポートしか依頼できない司法書士のほうが費用が高額になる場合、依頼者にとってメリットがあるとはいえないためです。

そして、司法書士に依頼したものの弁護士に切り替える際、どのように精算・引き継ぎをするかについて定められているかどうかもきちんと確認しておきましょう。

精算方法や引き継ぎ方法に関する定めがない場合、引き継ぎがスムーズにいかず借金問題がさらに深刻化してしまうおそれがあります。

個人再生を司法書士から弁護士に切り替えることはできますか?

司法書士から弁護士への切り替えは、基本的には可能です。

「司法書士に対応できない業務があることを知らずに依頼してしまったが、書類作成だけでなく手続きを代理してもらいたい」というときは、弁護士に切り替えることをおすすめします。

司法書士から弁護士に切り替える際の流れは以下のとおりです。

  1. 司法書士への依頼を取り下げる
  2. 弁護士を探し、相談を受ける
  3. 司法書士から弁護士に引き継ぎをしてもらう

注意点は、引き継ぎに時間がかかる可能性がある点です。すぐに良い弁護士が見つかるとも限らないため、できるだけ早く探し始めたほうがよいでしょう。

また、多くの場合、司法書士に支払った費用は返金されません。そのため費用がかさむおそれがある点に注意が必要です。

ただし、司法書士自身が権限を超える依頼であるとわかっていながら引き受けたときは、受任自体が違法になるため費用の返還を要求できる可能性があります。さらに依頼者に落ち度はないため、契約を解除しても違約金の対象にはならないと考えられます。

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更新日 : 2025年03月03日
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