アコムに利息をたくさん支払っているのですが、過払い金請求はできるのでしょうか?
借り入れた時期や完済日から経過した期間など、いくつかの条件をクリアしていれば過払い金請求ができる可能性があります。ただし、近年は過払い金請求の件数自体が減少傾向にあります。
そうなんですね。過払い金請求のほかに、借金を軽くする方法はありませんか?
例えば「任意整理」なら、これからかかるはずの利息をカットして、月々の返済額を抑えられます。借金問題に強い弁護士・司法書士に相談すれば、個々の状況に応じたアドバイスをしてもらえるでしょう。
過払い金請求とは、払い過ぎてしまった金利を返還してもらう手続きです。アコムでお金を借りた経験があれば、例え返済中でも請求できる可能性があります。
ただし、過払い金請求は対象となる借入時期があるうえに、完済日から10年以上経つと時効が成立してしまいます。アコムで借入があっても、実際に過払い金請求できる人は限られるのです。
この記事では過払い金請求の対象となる借入時期を解説するので、自分が請求可能か確かめてみましょう。
また、過払い金請求ができないときに、借金を軽くする方法もあわせて紹介していきます。
利息カットや支払い額の軽減ができる「任意整理」という方法もあるので、いまもアコムの返済が苦しいと感じている人は、弁護士や司法書士に相談して具体的な借金軽減方法を聞いてみましょう。
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- アコムは「2007年6月18日以降の借入」だと過払い金請求ができない。
- 過払い金は「完済から10年以上」が経過すると時効が成立する。
- 過払い金請求ができない場合は「任意整理」など他の方法で借金を減額しよう。
アコムに利息を払い過ぎた!過払い金請求の対象になる?
過払い金とは、消費者金融などが「グレーゾーン金利」を利用して過剰に取っていた利息のことです。
過払い金請求は、本来は支払う必要のなかった利息を交渉や訴訟によって返還してもらう手続きです。
アコムもグレーゾーン金利で利息を取っていた期間があるので、その時期に契約していた場合は過払い金を請求できます。
反対に、グレーゾーン金利を取っていない時期に借りた人は、どれだけ利息を支払っていても過払い金は戻ってこないので注意しましょう。
2007年6月18日以降の借入は過払い金請求の対象外
アコムの場合、グレーゾーン金利を設定していたのは2007年6月17日以前の契約までです。2007年6月18日以降の借入については、過払い金請求はできません。
前提として、グレーゾーン金利とは「利息制限法」と「出資法」という2つの法律で上限金利に矛盾があったことから発生したものです。
グレーゾーン金利が生まれた仕組み
利息制限法では、上限金利を年15~20%(貸し付ける金額に応じて変動)としています。一方、刑事罰について規定する出資法では、かつて上限金利を年29.2%としていました。
つまり、本当なら15~20%を超える金利は無効になるのに、実際は29.2%を超えないと罰則が科されなかったのです。この中間を「グレーゾーン金利」といい、貸金業者の多くは20%を超える金利を取っていました。
なお、2010年6月の法改正で出資法の上限金利が引き下げられたため、現在の借入でグレーゾーン金利は発生しません。
参照:e-Govポータル「利息制限法第1条」
参照:e-Govポータル「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第5条第2項」
アコムは出資法の法改正以前、2007年6月18日に金利を引き下げたので、過払い金請求ができるのは2007年6月17日以前の借入になります。
過払い金請求の対象となる可能性がある人は、下記の記事で具体的な手続き方法を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
どんなに利息を返しても法定利息内なら過払い金は発生しない
上記で解説した通り、2007年6月18日以降のアコムは法定金利で貸付をおこなっているので、過払い金請求もできません。
適正な金利で取られた利息であれば、いくら支払っていても過払い金は発生しないのです。
ただし、借金には過払い金請求以外にも軽減方法が多数あります。例えば、金利の低いローンに借り換えたり、任意整理で将来分の利息をカットするといった方法です。
後の項目で過払い金請求以外の方法を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
最後の返済から10年間が経過すると時効によって請求できなくなる
仮にグレーゾーン金利の時代に借り入れていても、時効によって過払い金を請求できなくなる場合があります。過払い金の時効は、最後の取引日から10年間(もしくは権利の行使が可能と知ってから5年間)で成立します。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
上記の「権利を行使することができる時」については、最高裁の判断で取引が終了した日(借金を完済した日)とされています。
(前略)過払金返還請求権の消滅時効は、特段の事情がない限り、上記取引が終了した時から進行する。
つまり、2022年1月30日に完済している人は、2032年の1月29日までに請求をしなければ過払い金が消滅するということです。
法改正から10年以上経ったいま、時効が成立して過払い金請求をできなくなる人は増えつつあります。
近年のアコムは過払い金の返還件数が減少している
アコムが発表しているデータによると、過払い金請求の件数は年々減っています。
アコムの決算資料を見ると、利息返還請求件数※1と利息返還損失※2が、いずれも減少し続けているとわかります。
参照:アコム「決算プレゼンテーション資料 2022年3月期 第3四半期 利息返還請求件数の推移(p9~p10)」
※1:過払い金請求の件数
※2:過払い金請求で実際に返還された金額の総数
時効の成立や、対象者の大半がすでに請求を済ませたなど、減少の要因はいくつか考えられますが、請求できる人が減っているのは確かです。
2007年6月17日以前にアコムから借り入れた経験があるなら、できるだけ早いうちに、弁護士・司法書士へ過払い金請求の相談をするとよいでしょう。
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過払い金請求以外にアコムの返済負担を軽くする方法4つ
過払い金請求ができなくとも、借金の負担を軽減することは可能です。
具体的には、下記の方法があげられます。
- 低金利ローンに借り換える
- おまとめローンで金利負担を軽くする
- 繰り上げ返済などで返済期間を短縮する
- 任意整理で将来利息をカットする
それぞれの方法でどれくらい軽減できるのか、シミュレーションとともに詳しく見ていきましょう。
1.低金利ローンに借り換える
現在アコムの金利は年3.0%~18.0%ですが、低金利のローンに借り換えれば月々の返済額や支払い総額を軽減できます。
参照:アコム「ご返済に関するよくあるご質問 Q利率はいくらですか?」
例えば、銀行のカードローンだと年1.5%~14.5%程度が相場なので、アコムで返済を続けるより返済が楽になるでしょう。
借り換え候補としては、次のような銀行があげられます。
カードローン | 上限金利(年率) |
---|---|
楽天銀行スーパーローン | 14.5% |
auじぶん銀行カードローン「じぶんローン」 | 15.0% |
みずほ銀行カードローン | 14.0% |
三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」 | 14.6% |
低金利ローンに借り換えた場合の返済シミュレーション
金利だけ見ても実際にどれくらい軽減できるのか把握しにくいと思うので、具体的なシミュレーションをもとに借り換え前後を比較してみます。
「50万円の借入」という条件で、返済回数を46回(3年10ヶ月)として計算すると、次の通りです。
アコム | みずほ銀行カードローン | |
---|---|---|
月々の返済額 | 15,125円 | 14,512円 |
適用金利(上限) | 18% | 14% |
返済総額 | 695,756円 | 653,009円 |
表を見ると、みずほ銀行に借り換えることで返済総額が4万円ほど減っており、借金減額の効果があるとわかります。
ただし、借り換えローンは通常の借入より審査が厳しくなる傾向にあるので、注意が必要です。また、審査を通過できたとしても、借入上限が低すぎて現在の借入のうち一部しか借り換えできなかったり、金利が思ったほど下がらない恐れもあります。
審査に通っても実際に借りるかどうかは後で決められるので、まずは申し込んでみて、借入上限や金利がどうなるかチェックしてみるとよいでしょう。
2.おまとめローンで金利負担を軽くする
アコム以外にも借入がある人は、おまとめローンで1つにまとめる方法がおすすめです。
複数の借入を金利の低いおまとめローンにまとめることで、利息が減って返済額も少なくなる効果が期待できます。また、返済日が月1回になるので、返済管理をしやすくなるのもメリットです。
ただし、借入条件によっては逆に返済総額や金利負担が増えてしまう恐れもあるので、事前にしっかりとシミュレーションをおこないましょう。
おまとめローンを利用した場合の返済シミュレーション
複数の借入をしている場合と、それをおまとめローンで1本化したときの違いを比較していきます。
まず、いまの借入状況が、下記のような多重債務だとします。
アコムの借入 | 他社Aの借入 | 他社Bの借入 | |
---|---|---|---|
借入額 | 50万円 | 50万円 | 50万円 |
年利 | 18% | 18% | 15% |
月々の返済額 | 15,125円 | 15,125円 | 12,471円 |
返済総額 | 695,756円 | 695,756円 | 710,793円 |
上記の状態だと、月々の返済額が3社合わせて42,721円です。
これを、金利が12%のおまとめローン(5年返済計画)に借り換えた場合、次のようになります。
乗り換えなしの場合 | おまとめローンの場合 | |
---|---|---|
借入額 | 150万円 | 150万円 |
金利 | 15~18% | 12% |
月々の返済額 | 42,721円 | 34,000円 |
利息分 | 602,305円 | 510,000円 |
返済総額 | 2,102,305円 | 2,010,000円 |
月々の返済額は8,000円ほど、返済総額は9万円近く差があります。
多重債務は金利が別々にかけられる分、利息が高くなりやすいので、おまとめローンで1本化したほうが返済しやすくなるでしょう。
3.臨時返済などで返済期間を短縮する
アコムの利息は日割り計算で課されるため、元本を早めに減らしていけば、利息総額も少なくなります。
元本を早く減らす方法としては、月々の返済額を高く設定するか、余裕があるときに「臨時返済」をするかのどちらかです。
現状の返済にも苦労している人は、毎月の返済が増えるとさらに生活が厳しくなるので、余裕があるときに臨時返済をするとよいでしょう。
臨時収入が入ったときなどに、いつもの支払いにプラスして臨時返済することで、返済期間を短縮できます。
返済期間を短縮した場合の返済シミュレーション
通常の返済を続けた場合と、臨時返済で返済期間を短縮した場合で、具体的にどんな違いが出るかシミュレーションしていきましょう。
「借入から1年後に30万円の臨時返済」をしたと想定すると、下記のようになります。
臨時返済しない場合 | 臨時返済する場合 | |
---|---|---|
臨時返済(時期と金額) | – | 借入1年後に30万円 |
支払い回数 | 4年2ヶ月 | 2年9ヶ月 |
支払い総額 | 697,827円 | 627,264円 |
※利息は日割り計算なので、支払い日によって若干の変動あり
表を見てわかる通り、支払い総額は7万円ほど軽減されると考えられます。
1度に30万円でなくても、ボーナス月に5万円追加で返済するといった方法でも、通常の返済を続けるだけより利息を減らすことが可能です。
4.任意整理で将来利息をカットする
任意整理とは、債権者と直接交渉をして将来の利息をなくし、月々の返済額も無理のないように設定し直す方法です。交渉がうまくいけば、月々の返済額を半分程度まで減らせる可能性があります。
一見すると債権者にメリットはなさそうですが、借主が返済できなくなって自己破産してしまうより、元本だけでも払ってもらったほうが債権者にとって都合がよいという事情があります。
そのため、現状のままだと返済自体ができなくなる場合は、遠慮せず任意整理をおこないましょう。
ただし、任意整理をすると信用情報にキズがつき、5年ほどクレジットカードや新規の借入を利用できないというデメリットがあります。
弁護士や司法書士に相談すれば、個々の状況にあわせて「任意整理すべきか」「借り換えやおまとめローンを利用すべきか」のアドバイスをもらえるので、まずは無料相談を受けてみましょう。
任意整理をおこなった場合の返済シミュレーション
実際に任意整理をした場合、どのように借金が軽減されるかシミュレーションしていきます。
「借入元本が50万円」「自力で返済をしていたが残高が30万円のときに任意整理を検討」という条件で計算すると、次のようになります。
アコムでそのまま返済 | 任意整理後(5年で返済) | |
---|---|---|
金利 | 15% | 0(将来利息はカットされる) |
月々の返済額 | 15,125円 | 8,416円 |
残りの返済回数 | 24回 | 60回 |
発生する利息 | 60,030円 | 0円 |
毎月の返済額は1/2近くまで減少し、発生する利息も約6万円減っています。
実際の減額幅は個々の借入状況などにもよるので、自分の場合はどれくらい減らせるのか知りたい人は、当サイトの借金減額チェッカーもぜひ活用してみてください。
まとめ
アコムへの過払い金請求は、2007年6月17日以前に借り入れた人が対象です。
ただし、仮に借り入れた時期が対象期間内でも、完済日から10年以上経っていると時効によって過払い金は消滅してしまいます。
過払い金請求ができない場合、おまとめローンや任意整理など、別の方法で返済負担を減らしていきましょう。
弁護士や司法書士に相談すれば、適切な解決方法や具体的な手続きをアドバイスしてもらえます。
無料相談だけでも受け付けている弁護士・司法書士もいるので、アコムの返済で苦しんでいる人は気軽に問い合わせてみましょう。