リボ払いは高利息だが基本的に過払金は発生していない
リボ払いとは、クレジットカードで購入した商品の金額を分割払いで返済していく「リボルビング払い」と呼ばれる支払方法のことで、以下の3種類が存在します。
種類 |
解説 |
定額方式 |
事前に設定した一定の金額を毎月支払う |
残高スライド方式 |
利用残高に応じ月々の支払額が変動する |
定率方式 |
利用残高に一定利率をかけた金額を返済する |
過払い金とは、現在の法定利率を上回る金利で返済してしまった借金のことで、年利20%を超える金利で過去に返済した借金に対して、過払い金返還請求がおこなえます。
しかし、ほとんどの貸金業者がリボ払いの金利を利息制限法によって決められている上限「年利20%まで」に設定しているので、基本的に過払い金の対象となることはありません。
そもそも、クレジットカードのキャッシング枠とは異なり、ショッピング利用分のリボ払いに対して過払い金は発生しないとされています。
リボ払いで過払い金の返還請求ができる条件
クレジットカードのなかには、コンビニや銀行などの提携ATMからお金を借入できる「キャッシング枠」という機能が備わっているカードが存在します。
クレジットカードのキャッシング枠で借入したお金をリボ払いで返済する「キャッシングリボ」を利用していた場合、過払い金の返還請求ができる可能性があります。
リボ払いで過払い金の返還請求ができる条件は以下のとおりです。
- グレーゾーン金利で借りている
- キャッシングによるリボ払いである
- 借金完済から10年経過していない
- 借入先が倒産していない
- 過去にゼロ和解をしていない
キャッシング枠での借入は、グレーゾーン金利での借入などであれば過払い金の返還請求ができます。
それぞれの条件について、1つずつ解説していきます。
1.グレーゾーン金利で借りている
1つ目の条件は、グレーゾーン金利で借入していることです。
ワンポイント解説
グレーゾーン金利とは?
利息制限法と出資法の上限金利が異なるせいで発生した金利帯。
利息制限法では、金利上限を貸し付ける金額に応じて年利15〜20%としていますが、かつての出資法では、上限金利を年利29.2%と設定していました。
そのため、利息制限法の上限金利を超えても年利29.2%を超えなければ罰せられないため、多くの貸金業者がグレーゾーン金利で貸付をおこなっていました。
2010年6月の法改正により、出資法の上限金利も利息制限法と同じく年利20%に引き下げられているため、現在の法律ではグレーゾーン金利は発生しません。
しかし、契約した時点での金利がグレーゾーン金利であれば、過払い金が発生します。
「自分の借金がグレーゾーン金利の借入であるか?」を調べるには、金銭消費貸借契約書という書類を閲覧することで確認できます。
もし金銭消費貸借契約書が手元にない場合は弁護士や司法書士に相談して、借入先に「取引履歴開示請求」をおこない、借入時期や支払った利息を確認してもらいましょう。
>>【無料相談】過払い金を弁護士・司法書士にチェックしてもらう!
2.キャッシングによるリボ払いである
2つ目の条件は、キャッシングによるリボ払いであることです。
リボ払いには、お金を直接借りる「キャッシング枠」とクレジットカードで買い物をする「ショッピング枠」の2種類があります。
先述した「利息制限法」や「出資法」はキャッシング枠での借入に対する制限であり、ショッピング枠の買い物は対象となりません。
クレジットカードで買い物をした際のリボ払いではなく、キャッシング枠によるリボ払いであれば過払い金を請求できるので覚えておきましょう。
3.借金完済から10年経過していない
3つ目の条件は、借金完済から10年経過していないことです。
過払い金が発生していても、借金完済から10年間もしくは過払い金の発生を知った日から5年間が経過すると、時効が成立してしまい過払い金請求ができなくなります。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
引用元:e-Govポータル「民法第166条」
例えば、2010年1月30日に借金を完済した人であれば、2020年1月30日の時点で時効が成立してしまうので、以降は過払い金請求ができません。
4.借入先が倒産していない
4つ目の条件は、借入先が倒産していないことです。
過払い金が発生していても、請求先である借入先が倒産していると、どうやっても請求しようがないので、過払い金請求ができません。
ただし、他社に金融事業を譲渡していたり、会社ごと吸収・合併されている場合、借入先が倒産していても引継ぎ先の会社に過払い金請求ができるケースもあります。
例えば、下記の会社はすでに存在しませんが、引続き先の会社に過払い金を請求できます。
過去に存在した会社と過払金請求の引き継ぎ先(2023年時点)
過去に存在した会社 |
過払金請求の引き継ぎ先 |
楽天KC |
ワイジェイカード株式会社 |
コーエークレジット |
新生フィナンシャル |
ポケットバンク クラヴィス |
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 |
「自分の借入先が倒産していても別の会社に請求できるのか?」がわからない場合、弁護士や司法書士に聞いてみるとよいでしょう。
>>過払い金請求ができるかを弁護士・司法書士に確認してみる!
5.過去にゼロ和解をしていない
5つ目の条件は、過去にゼロ和解をしていないことです。
ゼロ和解とは、債権者と債務者で「これ以上の返済は不要なので借金はなかった」という合意をおこなうことです。
返済が滞っている場合などに、債権者からゼロ和解を提案してくるケースがありますが、債権者が過払い金請求を回避するための方便であるケースが大半です。
過去にゼロ和解をしていると、そもそも借金はなかったと法律上は扱われるため、過払い金請求ができなくなってしまうので注意しましょう。
リボ払いの過払い金が返還されるかを見分ける方法
「リボ払いの過払い金が返還されるか?」は、以下の方法で見分けられます。
- 2010年以前にキャッシング枠を利用しているか?
- 最後の取引から10年以上経過していないか?
グレーゾーン金利が廃止された2010年以前にキャッシング枠を利用しており、最後の取引から10年以上経過していない場合は過払い金が返還される可能性が高いです。
それぞれの見分け方を1つずつ解説していきます。
2010年以前にキャッシング枠を利用しているか?
2010年以前にキャッシング枠を利用している場合、過払い金を請求できる可能性が高いです。
グレーゾーン金利は改正法の成立が2006年で施行が2010年とタイムラグがあるため、適正金利への切り替え時期は借入先によって異なります。
ちなみに、グレーゾーン金利を設定していたのは消費者金融やクレジットカード会社などで、銀行は以前から法定金利を遵守していたので、過払い金は発生しません。
例えば、大手消費者金融でグレーゾーン金利が廃止された時期は以下のとおりです。
主な消費者金融と金利の引き下げ時期
消費者金融 |
金利引き下げ時期 |
アコム |
2007年6月18日 |
アイフル |
2007年8月1日 |
レイク |
2007年12月2日 |
プロミス |
2007年12月19日 |
SMBCモビット |
なし(グレーゾーン金利だった時期がない) |
借入先によって過払い金が発生する契約時期は異なるので、覚えておきましょう。
最後の取引から10年以上経過していないか?
最後の取引から10年以上経過していない場合、過払い金を請求できる可能性が高いです。
民法第166条で定められているように、債権者との最後の取引から10年経過した時点で時効を迎えてしまい、過払い金の返還請求ができなくなります。
ただし、取引の分断が発生しているケースであれば、借金完済から10年経過していても過払い金を請求できる可能性があります。
取引の分断とは、借入と完済を何度も繰り返している債権者とのやりとりにおいて、ある一定期間は取引が中断されている状態を指します。
わかりやすいように例を使って解説します。
例えば、グレーゾーン金利で2003年4月10日に借入をおこない、同年9月10日に完済します。
その後、再びグレーゾーン金利で2004年9月10日に借入をおこない、翌年4月10日に完済したとします。
このケースでは、1度目の借金を完済して2度目の借入をおこなうまでの1年間は取引が中断されていたと扱われます。
取引の分断がある場合、消滅時効の起算点になる「債権者との最後の取引」がいつになるのかを判断することが難しいため、過払い金を請求できる可能性があるのです。
例えば、2つの取引に一連性があると裁判で判断された場合、先ほどの例でいうと、時効の起算点は2度目の借金を完済した2005年4月10日になります。
つまり、この例でいえば、1度目の借金を完済した2003年9月10日から10年経過していても過払い金を請求ができるのです。
弁護士・司法書士の無料相談で確認してもらおう
先述した5つの条件を確認する必要があるので「過払い金が発生しているか?」を自分で見分けることは非常に面倒です。
そのため、過払い金の有無を知りたい場合、弁護士や司法書士の無料相談を利用して、専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。
過払い金を確認してもらうだけであれば、費用はかからないので、過払い金の有無が無料でわかります。
以下のリンクから、弁護士や司法書士の無料相談が受けられるので「過払い金が返ってくるか?」を一度チェックしてみるとよいでしょう。
>>過払い金の有無を無料でチェックしてもらう!
リボ払いの過払い金返還請求を行う際の注意点
過払い金返還請求をおこなえば、払い過ぎた利息が戻ってくる可能性があるため、一見メリットがあるように思えますが、デメリットもあるため注意しましょう。
リボ払いの過払い金請求をおこなう場合、以下のデメリットが生じます。
- クレジットカードが使用できなくなる
- 今後クレジットカードが発行しづらくなる
- ブラックリストに登録される恐れがある
過払い金請求をしたクレジットカードが使用できなくなる上、ブラックリストに登録されると、他のクレジットカードやローンも利用しづらくなる恐れがあるのです。
それぞれのデメリットを1つずつ解説していきます。
クレジットカードが使用できなくなる
過払い金請求をしたクレジットカードは、基本的に解約されて使用できなくなります。
クレジットカードを解約されると、貯めていたポイントなども失効するため、過払い金請求をおこなう前に使い切っておくことをおすすめします。
また、公共料金などをカード払いで支払っていた場合、自動引き落としがされなくなるため、払い忘れが起こりやすい点にも注意しましょう。
今後クレジットカードが発行しづらくなる
過払い金請求をおこなうと、以降はクレジットカードが発行しづらくなります。
過払い金を請求したクレジットカード会社では、会社が独自に保有する顧客情報へ社内ブラックとして登録されてしまう可能性が高いです。
社内ブラックに登録されると、信用力がない顧客と判断されてしまうため、今後そのクレジットカード会社で取引をおこなうことが困難になります。
ちなみに、社内ブラックは永久的に情報が残るため、今後同じ会社でクレジットカードを発行することは、ほとんど不可能といってよいでしょう。
ブラックリストに登録される恐れがある
過払い金請求をおこなうと、ブラックリストに登録される恐れもあります。
リボ払いの利用残高が過払い金を上回る状態で過払い金請求をおこなうと、信用情報機関に事故情報が登録されて、ブラックリスト状態に陥る可能性が高いです。
なぜなら、支払いが終わっていない借入がある場合、過払い金を返済に充てるのが当然と考えられるため、借金の減額を目的とする任意整理と同様の扱いになるからです。
過払い金請求が任意整理と判断されると、約5年間ブラックリスト状態と扱われてしまい、登録期間中はローン・クレジットカードが利用できないといった弊害が生じます。
リボ払いの高すぎる利息負担を軽減する方法
過払い金請求の条件を満たせない場合、別の方法でリボ払いの負担を軽減できます。
具体的には、以下の方法で毎月の返済額を減らしたり、利息をカットしましょう。
- 繰り上げ返済をおこなう
- 低金利のローンに借り換える
- 任意整理で利息をカットする
一括返済をおこなったり低金利のローンに借り換えることで利息を減らせますし、任意整理という方法では合法的に利息をカットすることも可能です。
それぞれの方法を1つずつ解説していきます。
繰り上げ返済をおこなう
毎月の返済額における利息の割合が多いリボ払いは、元金がなかなか減らずに借入期間が長くなってしまい、利息総額も増えてしまいやすいです。
そのため、繰り上げ返済で元金を減らして、借入期間を短縮することが返済負担の軽減につながります。
例えば、ボーナスなどの臨時収入が入った際は普段より5万円多く返済するなど、余裕があるときに繰り上げ返済をするだけでも、利息総額は確実に減っていきます。
繰り上げ返済したときのシミュレーション
繰り上げ返済をすると、どれだけ負担を軽減できるか見ていきましょう。
- リボ払い利用額が50万円(年利18%)
- 1年後に30万円を臨時返済
このケースでシミュレーションをすると、以下のようになります。
借金50万円(年利18%)の借入で臨時返済をした場合
|
臨時返済しない場合 |
臨時返済する場合 |
臨時返済(時期と金額) |
– |
借入1年後に30万円 |
支払い回数 |
4年2ヶ月 |
2年9ヶ月 |
支払い総額 |
697,827円 |
627,264円 |
※利息は日割り計算なので、支払い日によって若干の変動あり
上記の表からわかる通り、臨時返済によって7万円ほど支払い総額を減らせることがわかります。
低金利のローンに借り換える
繰り上げ返済が難しい場合、金利の低い別のローンへ借り換える方法もおすすめです。
例えば、現在のリボ払いが消費者金融によるものなら、金利の低い銀行ローンに借り換えるだけでも、月々の返済額や利息総額を減らせる可能性があります。
また、複数の貸金業者でリボ払いをしている「多重債務」状態であれば、おまとめローンに借り換えることも検討しましょう。
おまとめローンを利用することで、金利の低いローンへ借り換えるだけでなく、返済を一元化して管理しやすくなるという効果も期待できます。
借り換え・おまとめの候補としては、次のローンがあげられます。
低金利ローンに借り換えたときのシミュレーション
低金利ローンへ借り換えた場合のシミュレーションをしてみましょう。
- リボ払い残高が50万円、年利は年15%
- 元金を月々1万円ずつ返済
- 年12%のローンに借り換え
このケースの場合、低金利ローンに借り換えることで以下のようになります。
低金利ローンに借り換えた場合
|
リボ払い |
借り換え後 |
支払い回数 |
79回 |
70回 |
利息総額 |
290,019円 |
196,886円 |
※元利定額方式で計算
シミュレーションだと、支払い回数は9回分短縮され、利息も10万円近く減額できることがわかりました。
任意整理で利息をカットする
任意整理とは、債権者と交渉して合法的に利息をカットして、減額後の借金を3〜5年程度かけて返済していく手続きです。
ただし、デメリットとして5年ほど信用情報にキズがつき、新規借入やクレジットカードの利用ができなくなるので注意しましょう。
とはいえ、リボ払いを滞納すると結局は信用情報にキズがついてしまうので、早めに任意整理をおこなったほうがよいケースもあります。
以下に該当する人は、早めに任意整理をおこなったほうがよいでしょう。
- リボ払いの支払い残高が年収の1/3を超えている
- キャッシング枠やショッピング枠が上限いっぱいになった
- リボ払いでの借入や買い物がクセになっている
- リボ払いの返済で生活費が圧迫されている
任意整理をしたときのシミュレーション
任意整理をした場合のシミュレーションを見ていきましょう。
例えば、リボ払い残高が50万円を5年かけて返済していく計画で任意整理をすると、次のようになります。
任意整理を行った場合
|
リボ払いでそのまま返済 |
任意整理後(5年で返済) |
金利 |
15% |
0(将来利息はカットされる) |
月々の返済額 |
1万円 |
8,416円 |
返済回数 |
70回 |
60回 |
発生する利息 |
290,019円 |
0円 |
※元利定額方式で計算
任意整理によって、利息も月ごとの返済額も減らすことができました。
以下のリンクから、借金減額チェッカーが利用できるので「自分の場合はどれくらい借金を減らせるか?」を知りたい人は、ぜひ利用してみてください。
まとめ
リボ払いのせいで高額な利息を支払っていても、法律で定められた上限利率を超えた支払いでなければ、過払い金請求はおこなえません。
過払い金を請求できない場合は、別の方法でリボ払いの負担を軽減しましょう。
とくに利息をカットする「任意整理」を利用すれば、毎月の支払額を減らせるので、リボ払いの負担を大幅に軽減できます。
弁護士や司法書士に相談すれば、過払い金の有無や毎月の支払額を減らす方法などをアドバイスしてもらえるので、まずは無料相談を受けてみるとよいでしょう。
リボ払いの過払い金に関するよくある質問
過払い金請求とはなんですか?
現在の法定利率を超えた利息「グレーゾーン金利」で貸付をおこなっていた貸金業者から、支払い過ぎた利息を返還してもらう手続きです。
リボ払いでも過払い金は発生しますか?
2010年以前にクレジットカードのキャッシング枠で借入をしていた場合、過払い金が発生している可能性があります。
リボ払いの過払い金が返還されるかは、どのように見分けられますか?
基本的には「2010年以前にキャッシング枠を利用しているか?」と「最後の取引から10年以上経過していないか?」の2点を確認しましょう。
リボ払いの過払い金返還請求には、デメリットもありますか?
クレジットカードが使用できなくなる・今後クレジットカードが発行しづらくなる・ブラックリストに登録される恐れがあるといったデメリットがあります。
リボ払いの支払いを楽にするには、どうすればよいですか?
繰り上げ返済をおこなう・低金利のローンに借り換える・任意整理で利息をカットするといった方法で、リボ払いの支払いを楽にできます。
【任意整理で利息をカット】弁護士・司法書士による無料相談はこちら
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