過払い金無料診断とは?怪しくないの?
テレビCMやネット広告などで「過払い金無料診断」という宣伝文句を見た人は多いと思います。
過払い金とは、文字通り払い過ぎたお金(利息)を取り戻す手続きです。借金をした人のうち、一定の条件にあてはまる人は過払い金請求でお金を取り戻すことができます。
そして、過払い金が実際にあるかどうかを調べるためのサービスが、過払い金無料診断です。
しかし、法律について詳しくない人にとって、「無料でお金が戻ってくる」「過払い金があるか無料で診断します」という宣伝は、怪しさを感じてしまうこともあるでしょう。
ここでは、過払い金無料診断や過払い金請求の安全性について解説します。
運営元が弁護士・司法書士なら基本的には怪しくない
過払い金無料診断が怪しいか怪しくないかの結論は、「運営元が弁護士・司法書士なら基本的には怪しくない」となります。
集客とはいっても、弁護士・司法書士からすれば正式に返還請求を依頼してもらわなければ報酬を得られません。むしろ集客だからこそ、過払い金の有無を正しく調査し、具体的な金額や手続きのメリット・デメリットを知ってもらう必要があります。
適切な仕事ができなれば、悪い評判が立って事務所としてはマイナスです。借金問題を専門とする弁護士・司法書士が提供する診断であれば、安心して利用できます。
過払い金請求は合法な手続き
無料診断は安全と解説しましたが、そもそも過払い金とは何なのか、改めて確認しておきましょう。
過払い金は法律で定められた上限を超えて支払った利息のことで、基本的に「グレーゾーン金利」を指します。
ワンポイント解説
グレーゾーン金利とは?
利息の上限を定めた「利息制限法」の上限金利が年15~20%なのに対し、刑事罰を定めた「出資法」の上限金利が29.2%だったことから発生した「違法だが刑事罰のない金利帯」のこと。
2010年6月17日に改正出資法が施行され、現在の借入でグレーゾーン金利は発生しなくなっている。
改正出資法の施行と併せて、それまでの利息制限法と出資法の法解釈が整理され、グレーゾーン金利は無効とされました。
つまり、法律の矛盾で曖昧になっていた金利のルールが明確になり、グレーゾーン金利によって払い過ぎた利息(過払い金)を正当に取り戻せるようになったのです。
このグレーゾーン金利が存在していたことにより払い過ぎていた利息を取り戻していいことは、裁判所の判例からもわかります。
つまり、過払い金請求は、自分のお金を守るための真っ当な手続きであるとも言えます。手続き自体に怪しさは一切ないので、安心して手続きを進めて大丈夫です。
悪徳業者の過払い金・還付金詐欺に注意
基本的には危なくない過払い金無料診断ですが、悪徳業者の過払い金・還付金詐欺には注意が必要です。
基本的に、過払い金請求は弁護士や司法書士にしか扱えない分野で、企業やNPOを含め、民間団体が扱えるものではありません。
また、弁護士や司法書士のほうから、過払い金や還付金について電話営業をすることは一切ありません。自分から相談していないのに弁護士などのほうから勧誘された場合は、詐欺を第一に考え、相手にしないようにしてください。
そのほか、借金の過払い金だけでなく、保険料や年金、医療費などで「過払い金、還付金がある」と偽り、お金をだまし取ろうとするケースもあるようです。
参考:警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ還付金詐欺」
過払い金・還付金詐欺見分け方
過払い金・還付金詐欺に引っかからないためには、以下のチェックポイントを押さえておきましょう。
- 向こうから電話がかかってきた
- NPOなど民間団体を名乗っている
- ATMで振込させようとしている
- 口座番号と暗証番号を聞いてこようとする
上記に当てはまる場合は、ほぼ間違いなく詐欺業者です。それぞれ詳しく解説します。
向こうから電話がかかってきた
先述の通り、自分から何の相談もしていないのに、弁護士や司法書士のほうから電話勧誘がくることはありません。
日本弁護士連合会の規定で、弁護士などは面識のない人に訪問や電話で勧誘することを禁じています。
弁護士等は、面識のない者(現在及び過去の依頼者、友人、親族並びにこれらに準じる者以外の者をいう。以下同じ。)に対し、訪問又は電話による広告をしてはならない。(後略)
引用元:日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程 第5条」
例外として、過去の依頼者などに対しては勧誘が認められていますが、一度も相談したことがない弁護士や司法書士から勧誘された場合は、高確率で詐欺業者と考えられます。
民間団体や公的機関を名乗っている
詐欺業者は、さまざまな機関を装って勧誘をしてきます。下記は代表的な例です。
上記のほか、さまざまな団体や機関を偽ってくる恐れがあります。
しかし、弁護士や司法書士以外のあらゆる企業・団体・機関は、そもそも過払い金請求に関する業務は取り扱えません。民間団体や公的機関を名乗る勧誘が来た場合は、まず詐欺業者を疑いましょう。
ATMで振込させようとしている
過払い金・還付金詐欺の典型例として、ATMを使わせる手口があります。
「今日までに手続きしないと払い戻しを受けられない」などと言ってATMに誘導し、お金を振り込ませるという手口です。
どのような過払い金・還付金でも、ATMの操作でお金が返ってくることは絶対にありません。相手が弁護士や公的機関でも、ATMでの振込を指示してくるような場合は詐欺業者であると考えましょう。
口座番号と暗証番号を聞いてこようとする
詐欺業者によっては、口座番号や暗証番号を聞き出そうとしてくる場合があります。
口座番号や暗証番号がわかれば、赤の他人でも口座からお金を引き出せる可能性があるので、注意が必要です。
ATMと同様、口座番号や暗証番号を聞き出そうとしてくる相手は、詐欺業者であると考えられます。
また、普段から口座番号や暗証番号が漏れないようしっかり管理し、自分や家族以外には教えないよう気をつけましょう。
過払い金・還付金詐欺被害に遭わないためには?
過払い金・還付金詐欺の被害を避けるためには、具体的な対策を覚えておくことが大切です。
特に、以下のような対策は常に心得ておきましょう。
- 電話営業は絶対に無視する
- 弁護士・司法書士の実在を確認し、事務所に直接電話連絡を取る
- 電話でのATM操作には応じない
電話営業は絶対に無視する
過払い金や還付金に関する電話営業は、基本的に詐欺業者と考えましょう。
自分で相談・問い合わせた場合を除き、過払い金や還付金について電話がくることはありません。信頼できそうな相手だと思っても、まずは家族や警察などに相談してください。
弁護士・司法書士の実在を確認し、事務所に直接電話連絡を取る
民間団体などからの営業で「うちは弁護士や司法書士と提携している」と言われても、安易に信用してはいけません。実際には提携しておらず、勝手に事務所名を使っている可能性があるからです。
必ず弁護士・司法書士の名前や連絡先を確認し、所属する事務所に直接問い合わせましょう。情報を隠したり、ごまかそうとしてきたりする場合は詐欺の可能性が高いので、取り合わないでください。
電話でのATM操作には応じない
先にも解説した通り、ATMを使って過払い金・違約金が返ってくることは絶対にありません。ATM操作を指示してくる場合、確実に詐欺業者です。
「手続きに期限がある」と言われても焦らず、冷静に判断・行動することが大切です。
過払い金無料診断でわかること
過払い金無料診断を受けてわかることは、以下の2つです。
過払い金の返還請求が可能かどうかを判断する、基本的な情報がわかります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
過払い金の有無
1つ目は、「請求できる可能性があるかどうか」ということです。
専門家であれば、過払い金の有無は借入時期や金額、利率などである程度推測できます。可能性が0なのに「請求しましょう」とは言いません。
過払い金がない場合、返還請求できない旨をはっきり伝えられるでしょう。
過払い金のおおまかな金額
2つ目は、「過払い金がどのくらい発生しているか」ということです。相談者は、具体的な金額を見てから返還請求をするかどうか決められます。
取り戻せる金額がコストに見合ってないない場合、あえてスルーするという選択肢もあるでしょう。
ただし、実際にいくら取り戻せるかは、債権者との交渉によります。債権者が強硬的な態度を取ってきた場合、診断通りの金額を取り戻せない恐れもあります。
過払い金診断を受けた人の口コミ
いくら過払い金診断は安全だといっても、実際に問い合わせるとなると、不安を感じる人も多いでしょう。
そこで、ここから過払い金診断を実際に受けた人の口コミを見てみます。良い口コミ、悪い口コミの両方を見て、診断を受けるときの参考にしてみましょう。
良い口コミ
まずは好意的な口コミです。
ダメ元で話だけでもと思いましたが、相談から二ヶ月経たないうちに過払い金が戻ると言われ、相談して良かったです。それも予想を上回る額でした。うやむやにしたり泣き寝入りしていたら1円も返って来なかった。これで次の人生を踏み出せそうです。
引用元:弁護士法人ユア・エース Google Map
過払い請求でお世話になりました。
既に完済済みのキャッシングを試しに依頼しましたが、結構戻ってきました。
宝くじ気分で、戻ったらラッキー程度に思ってたので嬉しかったです。
手数料等安く、安心してお任せできました。
殆どが、電話のやりとり。郵送書類等一回。
現地事務所に一回行きましたが、遠方の方は相談できるとの事。
当方、訴訟など無かったので、訴訟する場合は、これに限らないと思いますが、弁護士のプロ根性は感じられると思えます。
追記、返済金が戻るまでのトータルの日数は、約半年ぐらいでした。
訴訟あると更に伸びるとのこと、その場合のシュミレーションもしてくれましたが、大差ないので訴訟しませんでした。
引用元:弁護士法人東京ロータス法律事務所 Google Map
電話での対応も良いし、実際事務所にお邪魔したときも分かりやすく説明してくださいました。
過払い金なんかないかなーと思って電話してみましたが、想像以上にありました。
迷ってるなら電話だけでもした方が良いかもしれません。
引用元:弁護士法人・響 Google Map
「ダメ元だったが思ったより戻ってきた」「想像以上に過払い金があった」など、相談前に考えていたより多くのお金を取り戻せている人が多くいます。
コメントにもある通り、迷っているのであればとりあえず相談だけでもしてみて、専門家のアドバイスを聞くことが大切です。
悪い口コミ
次に、悪い口コミを見てみましょう。
何度拒否してもしつこく電話をかけてきます。過払い金なんか無ぇっつうの。
引用元:司法書士法人 中央事務所 Google Map
ネットの広告を見て電話で予約をしました。電話対応は礼儀があり丁寧に案内してくれましたが、担当者は自分がまだ若いからなのか分かりませんが、上から目線で話されて見た目で判断するような話し方で驚きです。弁護士ってそんな人が多いのでしょうか?。
引用元:司法書士法人杉山事務所(東京事務所) Google Map
とんでもない集客方法をしている悪質な司法書士事務所。
(おそらくどこかのネット広告代理店の悪知恵か?)
集客用LP上で、返済状況と携帯番号だけ入力して、
「過払い金があるかチェック」をクリックすると、
何の同意も取っていないのに、相談完了の画面表示。
その後、しつこい過払い金の営業電話を毎日かけてくる。
ネット広告の闇というのは、こういうのを言うと実感。
引用元:司法書士法人さくら事務所 Google Map
弁護士・司法書士とのコミュニケーションがうまく取れずにすれ違いが起きているケースや、しつこい営業電話に悩んでいるという意見があります。
弁護士・司法書士の態度については、人としての相性が悪い場合、担当替えや事務所替えを検討しましょう。無料診断の時点ならいつでも事務所を変えられるので、ストレスの溜まる相手とわざわざ契約する必要はありません。
勧誘電話については、委託しない旨と、電話をかけてこないようにしてほしいことをきっぱりと伝えましょう。過払い金は時効があるため、弁護士・司法書士側も「手遅れになる前に」と何度も連絡してくる可能性があります。
過払い金無料診断の方法は3つ
過払い金の無料診断には、以下3つの方法があります。
- Web上の無料診断ツールを利用する
- 弁護士・司法書士事務所の無料相談を利用する
- 法テラスを利用する
次の項目から、それぞれの方法のメリットについて詳しく紹介しますので、無料診断を受ける前の参考にしてください。
Web上の無料診断ツールを利用する
Web上の無料診断ツールを利用すれば、借入金額や借入期間、当時の借入金利などを入力することで、過払い金の有無やおおよその金額を診断できます。
時間・場所を問わずすぐに結果を確認できるのが大きなメリットですが、一方で正確な診断が難しい点には注意が必要です。
また、過払い金返還請求をする際は、改めて弁護士や司法書士へ依頼をする必要があります。
なお、無料診断ツールを利用すると、電話番号など個人情報の入力を求められる場合がほとんどで、診断後に入力した電話番号宛てに電話がかかってくることが多いです。もし、電話連絡をされると困るという場合は、注意してください。
無料診断ツールの特徴
無料診断ツールによる過払い金無料診断の特徴は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説していきます。
匿名で気軽に利用できる
「運営元が弁護士事務所や司法書士事務所とわかっていても、名前を伝えるのは抵抗がある」という人もいるでしょう。
その点、過払い金の無料診断ツールは、基本的に匿名で診断を受けられるため安心です。
メールアドレスや電話番号の記載は必要ですが、本名を入力する必要はありません。そのため「本名などの個人情報を知られたくない」という人でも、気軽に利用しやすいメリットがあります。
すぐに結果がわかる
過払い金の無料診断ツールで回答が必要な項目は、せいぜい3つ程度です。具体的には、「おおよその借入総額」「借入期間」「当時の借入金利」などです。
しかも、あらかじめ用意された選択肢の中から選ぶだけなので、数秒で回答できます。
回答を入力すると、その内容が弁護士事務所や司法書士事務所へ送信され、早ければ当日中に診断結果の通知が届きます。
自分の借入状況が詳細にわからない場合でも、大まかな金額や期間を入力すれば問題ないので、過払い金の有無やおおよその金額を調べたい人は、まず試してみることをおすすめします。
弁護士・司法書士事務所の無料相談を利用する
弁護士・司法書士事務所の無料相談を利用して、過払い金が発生しているかどうかを調べるのも一つの手です。
無料相談で過払い金があることがわかれば、弁護士・司法書士にそのまま過払い金返還請求を依頼することも可能です。
弁護士・司法書士事務所に相談というと、敷居が高いように感じられるかもしれませんが、直接足を運ばなくても、電話などで診断できる事務所もあります。
借入金額や借入期間、当時の借入金利などの情報を伝えれば、即日~数日程度で過払い金の金額を診断してもらえるでしょう。
無料相談の特徴
弁護士・司法書士事務所の無料相談による過払い金無料診断は、以下のような特徴があります。
- 正確かつ詳細な診断結果が得られる
- 専門家に直接相談できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
正確かつ詳細な診断結果が得られる
弁護士・司法書士に直接診断してもらう場合、借入状況などを細かく話すことができるので、より正確な診断を受けられます。
実際に返還請求をするのであれば、診断結果を聞いてそのまま委任契約へ移行できるため、スムーズな手続きが可能です。
専門家に直接相談できる
返済に関することや、借金に対する不安や悩みなど、さまざまな事柄に法律家の視点からアドバイスをもらえます。
過払い金の有無だけでなく、精神的な部分でも負担を軽くできるでしょう。
また、弁護士や司法書士と直接話すことで、依頼前に相性を確認することも可能です。
他にも「任意の交渉と裁判のどちらで返還請求をおこなったほうがよいか?」などについて具体的なアドバイスを受けられる点は、大きなメリットといえるでしょう。
法テラスを利用する
法テラスとは、法律トラブルの総合相談窓口として全国各地に設置された、法務省所管の公的な法人です。
法テラスは診断を行うというより、過払い金返還のために必要な情報提供や、適切な相談窓口の案内、弁護士・司法書士の斡旋をしてもらうことになります。
なお、経済的に余裕のない人は無料の法律相談や費用の立て替えを行う「民事法律扶助」が使えます。
民事法律扶助には審査があり、以下の条件を満たさなくてはいけません。
- 資力が一定額以下であること
- 勝訴の見込みがないとはいえないこと
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
参照:日本司法支援センター 法テラス「民事法律扶助業務」
収入が少なく生活が困窮している人や、「いきなり弁護士事務所に行くのは怖い」という人におすすめです。
法テラスの特徴
法テラスの無料相談には、以下のような特徴があります。
- 過払い金返還請求の費用を抑えられる
- 費用を立て替えてもらえる
各内容を詳しく見ていきましょう。
過払い金返還請求の費用を抑えられる
法テラスを使った場合、返還請求するときの費用を抑えられる可能性があります。
実際の手続きは法テラスから紹介された弁護士・司法書士に依頼しますが、その際の手数料は、一般的な相場より低く設定されるのが普通です。
具体的な費用は地域や相談内容によって異なるため、まずは最寄りの法テラスで相談してみましょう。
費用を立て替えてもらえる
法テラスを介して弁護士や司法書士に依頼した場合、費用を立て替えてもらうことが可能です。
立て替えてもらった費用は、おおむね月5,000円~1万円ずつ返していきます。生活保護受給者など支払い能力に問題がある場合は、猶予や免除を受けられる場合もあります。
過払い金があるかもしれないものの費用面で不安があれば、法テラスは頼りになる存在です。
過払い金無料診断のデメリット
過払い金無料診断のデメリットとしては、次の3つが挙げられます。
- 診断しただけでは過払い金は戻ってこない
- 無料診断だと時効が成立しているかは判断が難しい
- 診断中に時効を迎えてしまう恐れもある
過払い金返還には期限があるので、請求したい場合は診断だけでなく、具体的な手続きを進めるつもりで動いたほうがよいでしょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
診断しただけでは過払い金は戻ってこない
当然のことですが、診断だけしても過払い金は帰ってきません。
過払い金返還の請求をしたいのであれば、弁護士や司法書士と正式に委任契約を結ぶ必要があります。
委任するための費用や、返還請求を行うにあたっての注意点をよく聞いて、納得の上で契約を結びましょう。
過払い金診断ツールは二度手間になる可能性が高い
Web上には、簡単な情報入力で過払い金を診断できる無料ツールがあります。
いつでも好きなときに診断を受けられるのがメリットですが、診断ツールは限られた情報で判断する分、精度の面では劣るので注意が必要です。「ツールだと数十万円の過払い金があったのに、いざ正式に手続きを始めたら1円もなかった」というケースもありえます。
また、仮にツールを使っても、いざ返還請求するときは弁護士・司法書士がより詳細な調査を行います。ツールは特に簡易的な診断になるので、実際に請求する場合は二度手間になるだけの恐れがあるのです。
無料診断だと時効が成立しているかは判断が難しい
過払い金は、最後の取引から10年を経過すると時効が成立します。最後の取引日とは、基本的に最終返済日のことです。
しかし、同じ金融機関で借入と完済を繰り返している場合は「連続した一つの取引」とみなされて、10年以上前に完済したものでも過払い金を取り戻せる可能性があります。
借入が一連の取引とみなされるかどうかの判断を、過払い金診断でおこなうのは極めて困難です。そのため、過払い金診断で「過払い金あり」と診断されても、実際には時効を迎えているケースもあれば、その逆もあり得るということを覚えておきましょう。
診断中に時効を迎えてしまう恐れもある
最後の取引日があいまいな場合、無料診断を受けている間に時効を迎えてしまう恐れもあります。
たった数日のズレで、本来取り戻せるはずのお金を失ってしまうのです。
先述の通り、無料診断で時効が成立しているかどうかは判断できない場合があります。時期的に時効成立の恐れがある場合、なるべく早く正式に委任契約をしたほうがよいでしょう。
過払い金無料診断を利用する際の注意点
無料診断を利用するにあたって、押さえておきたい注意点は下記の3つです。
- どの診断も最終的には弁護士・司法書士に行き着く
- ツールはあくまで簡易診断でしかない
- 診断結果通りに過払い金が返還されるとは限らない
どの診断も最終的には弁護士・司法書士に行き着く
過払い金無料診断は、弁護士・司法書士が自分たちの事務所に相談・依頼してもらうことを目的としているのが基本です。また、法テラスを利用する場合も、返還請求をするときは弁護士・司法書士と委託契約を結びます。
このように、どのようなルートをとっても、最終的には弁護士・司法書士に行き着きます。
最終的なゴールが一緒であれば、最初から弁護士や司法書士に直接相談したほうが、手続きの流れはスムーズです。時効が迫っているなど時間的余裕がない場合は、事務所に直接問い合わせてみることをおすすめします。
ツールはあくまで簡易診断でしかない
Web上の無料診断ツールは気軽さとスピード感がメリットですが、入力する項目が少ない分、情報が制限されてしまいます。
過払い金は、借入額や時期、返済期間など、様々な要因から計算しなければいけません。無料診断ツールでは情報に限りがあるため、高い精度での診断はむずかしくなります。
そのため、無料診断ツールはあくまで簡易的なものを考え、詳しいことは弁護士・司法書士に直接相談するようにしましょう。直接話した方がより細かい経緯を話すことができ、正確な状況判断とアドバイスをしてもらえます。
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診断結果通りに過払い金が返還されるとは限らない
診断で高額の過払い金が提示されても、その金額通りに返還されるとは限りません。なぜなら、返還額は債権者との交渉で決まるためです。
債権者が請求を全面的に受け入れれば全額返還されますが、返還額を減らそうと、態度を頑なにしてくる場合があります。
交渉で和解できないと訴訟に移行する場合もありますが、そうなると返還まで時間がかかったり、弁護士費用が高額になったりといった部分も考える必要が出てきます。
過払い金請求はどんな人が対象?自己診断チェックリスト
「過払い金があるかもしれないけど、診断を受けるのは抵抗がある」という人もいるでしょう。
そこで、下記に挙げる「過払い金の有無を調べるためのチェックポイント」を使って、自己診断してみましょう。
- 1.借入時期は2010年6月18日より前か
- 2.借入金利が法定金利を超えているか
- 3.「取引から10年経過」で時効が成立していないか
- 4.過払い金の対象となる借入先か
上記のチェックリストに当てはまれば、より詳細の調査のため、弁護士や司法書士に診断を依頼すると良いでしょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
1.借入時期は2010年6月18日より前か
先にも解説しましたが、過払い金とは基本的にグレーゾーン金利による借入で発生します。そして、グレーゾーン金利は2010年6月17日の法改正により消滅しました。
つまり、2010年6月18日より前に借りた借金であれば、過払い金が発生しているということです。
ただし、法改正前であれば必ず過払い金があるかというと、そうとは限りません。なぜなら、貸金業者は改正法の施行前から自主的に金利を修正しており、その時期は業者によって異なるためです。
実際には改正法施行の数ヶ月前から修正している場合もあるため、その時期も含めて弁護士・司法書士に確認してもらうことが重要となります。
2.借入金利が法定金利を超えているか
過払い金とはグレーゾーン金利のことであり、グレーゾーン金利とは利息制限法と出資法の中間にあった金利であることはすでに説明しました。では、具体的にどのくらいの金利があてはまるのでしょうか?
旧出資法の上限金利が一律29.2%だったのに対し、利息制限法の上限金利は借入額によって次のように定められています。
利息制限法の上限金利
借入額 |
上限金利 |
10万円未満 |
年20% |
10万円以上100万円未満 |
年18% |
100万円以上 |
年15% |
参照:e-Govポータル「利息制限法 第1条」
この基準は、グレーゾーン金利の撤廃前から現在まで変わっていません。自分の借入額に当てはまる上限を超えていれば、その金利は「払いすぎ」といえるのです。
3.「取引から10年経過」で時効が成立していないか
先述しましたが、過払い金は最後の取引から10年を経過すると時効になります。時効が成立してしまうと、過払い金の返還請求はできません。
よって、過払い金を取り戻したい場合は、最後に取引(借入または返済)をした日から10年以内に返還請求をおこなわなければなりません。
もし、最後に取引をした日の記憶が曖昧な場合は、なるべく早く弁護士や司法書士に直接相談することをおすすめします。
同じ業者で借入と完済を繰り返している場合は判断がむずかしい
時効については、同じ貸金業者で借入と完済を繰り返している場合、判断が難しくなります。
例えば、A社からグレーゾーン金利で借入を行い、2009年1月1日に完済したとします(1回目の取引)。
それから1年後に再びグレーゾーン金利で借入をおこない、今度は2015年1月1日に完済したとします(2回目の取引)。
このような経緯で2023年1月1日に過払い金返還請求を起こした場合、返還対象に1回目の取引は含まれるのでしょうか?それとも2回目の取引だけでしょうか?
上記の例では、1回目の取引と2回目の取引が「一連の取引」か「分断された取引」かで議論が生まれます。
仮に「一連の取引」であれば、1回目の取引の時効起算点は、2回目の借金を完済した2015年1月1日となります。つまり、1回目の取引で発生した過払い金も取り返せるということです。
一方、「分断された取引」とみなすと、1回目の取引は2019年1月1日に時効となります。つまり、2023年時点では返還請求ができないということです。
一連取引か分断取引かの判断は、空白期間の長さや契約条件の同一性、その他の経緯など、さまざまな要素で複雑に変わります。事例ごとに個別の判断が必要なので、弁護士・司法書士に相談することが重要となります。
4.過払い金の対象となる借入先か
グレーゾーン金利か否かが重要となる過払い金ですが、そもそも全ての貸金業者がグレーゾーン金利を設定していたわけではありません。
借入先によっては、法改正前から適正金利での貸付しか行っていない場合もあります。
グレーゾーン金利を設定していなかった借入先であれば、過払い金は「ない」と判断できます。
過払い金の対象になる借入先
まずは、過払い金の対象となる借入先を見ていきましょう。
- 消費者金融(街金・サラ金)
- クレジットカードのキャッシング枠
- 個人間の借金
消費者金融については、大手から中小企業まで過払い金発生の可能性があります。クレジットカードのキャッシング枠も同様です。
また、上限金利は業者であるかどうかに関わらず適用されるため、相手が友人・知人でも過払い金を請求できます。ただし、個人間だと明細を細かく作成しないことが多いため、領収書や振込書がないと過払い金の証明ができず、返還請求もできない恐れがあります。
過払い金の対象にならない借入先
次に、過払い金の対象とならない借入先です。
- 銀行のローン
- クレジットカードのショッピング枠
- 住宅ローン
- マイカーローン
- 奨学金
これらは法改正前から適正な金利を遵守していたため、過払い金はありません。
とくに、クレジットカードはキャッシング枠とショッピング枠で有無が異なるため、混同しないように注意しましょう。
過払い金の計算方法
発生している過払い金の金額は「引き直し計算」と呼ばれる計算方法によって求められます。
下記の計算式に当てはめて、返済していた当時の金利と利息制限法の上限金利での毎月の利息額を計算し、その差額を調べるのが引き直し計算です。
毎月の利息額=借入金額×金利÷365×借入日数
以下の①〜③の計算を返済期間分繰り返し、その合計額を算出すると発生している過払い金の総額がわかります。
- 返済していた当時、実際に払っていたひと月分の利息額を計算
- 本来払うべき利息制限法の上限金利で計算した利息額を算出
- ①から②を引いてひと月に発生した過払い金を計算
ただし、実際には以下のような複雑なケースもあるため、正確な金額を算出するためには過去の取引履歴や法律の専門知識が必要です。
- 同じ金融機関から複数のローンを利用して借入をした
- 過去に返済が遅れて遅延損害金が発生したことがある
- 借入先の金融機関によって返済プランが異なる
- 同じ金融機関で完済と借入を繰り返したことがある
正確な過払い金の金額が知りたい場合は、弁護士や司法書士に依頼することをおすすめします。弁護士や司法書士なら複雑な引き直し計算も正確におこなってくれますし、金融機関から取引履歴を取り寄せる際もスムーズです。
>>【引き直し計算も対応可】弁護士・司法書士への無料相談はこちら
過払い金の計算に使える無料計算ソフト
過払い金の計算方法は複雑であり、法律の専門知識がない一般の人が正確な金額を算出するのは極めて困難です。
しかし、以下のような無料計算ソフトを利用すれば、簡単に発生している過払い金の金額をシミュレーションできる可能性があります。
- 外山式利息計算ソフト
- アドリテム司法書士事務所の外山敦之氏が配布している無料の過払い金計算ソフト
- 名古屋式利息計算ソフト
- 消費者問題に関連する被害の予防・被害回復などを目的に設立された「名古屋消費者信用問題研究会」が配布している無料の過払い金計算ソフト
いずれの無料計算ソフトも、取引日と借入金額または返済金額を入力することで、発生している過払い金の金額を計算できます。
なお、名古屋消費者信用問題研究会は「利息計算ソフトの使用方法」で利用方法を解説しているので、併せて参考にしてください。
参照:外山式利息計算ソフト
参照:名古屋式利息計算ソフト
過払い金の診断~返還請求までの流れ
ここからは、実際に過払い金無料診断を受けてから、返還請求を行うまでの流れを見ていきましょう。
先に紹介した、以下の3パターンごとに解説してきます。
- 無料診断ツールを利用する場合
- 弁護士・司法書士事務所の無料相談を利用する場合
- 法テラスを利用する場合
無料診断ツールを利用する場合
無料診断ツールの場合、以下のような流れになります。
- ツールに必要事項を入力(匿名可)
- メールか電話で結果報告
- 直接相談、正式に委任契約を締結
- より正確に過払い金を調査
- 債権者に過払い金返還請求書を送付
- 交渉(まとまらなければ訴訟へ移行)
- 和解成立(訴訟の場合は判決)
- 過払い金の返還
まずは診断結果を聞いて、「より詳しい話を聞きたい」「返還請求を実行しよう」と思ったら、弁護士・司法書士に直接相談します。
事務所に予約を取り、直接面談で改めて説明を受けた後、委任契約を結びます。大きな事務所の場合、基本的な対応はパラリーガル(弁護士助手)などが対応するケースもあるようです。
その後は弁護士・司法書士が過払い金の正式調査を行い、交渉もしくは裁判手続きを経て、返還が実行されます。返還されるまでの期間は、交渉で済めば3~6ヶ月程度、裁判手続きに入った場合は6ヶ月~1年程度が目安です。
なお、無料診断ツールを利用して過払い金診断を受けたとしても、ブラックリストに載ることはないので安心してください。
弁護士・司法書士事務所の無料相談を利用する場合
弁護士・司法書士に直接相談する場合、無料相談を受け付けている事務所を探し、直接電話をかけるかメールフォームに質問事項を入力して送信します。
電話の場合は、その場で過払い金の有無やおおよその金額を調べて教えてもらえますし、メールの場合は後日、診断結果がメールや電話で届くことになるでしょう。
診断結果に納得し、返還請求で実際に過払い金を取り戻したい場合は、そのまま弁護士や司法書士と面談をおこない、正式に過払い金返還請求を依頼します。その後の流れは、無料ツールを使った場合と同様です。
法テラスを使った場合
法テラスを使う場合、まずは最寄りの法テラスに相談予約をしましょう。法テラスのホームページから予約ができます。
申込フォームから必要事項を入力して送信すると、メールでWeb予約サービスのURLが送られてくるので、案内に従って仮予約を行います。
仮予約の完了後、予約成立メールがくれば予約は完了です。予約が成立しなかった(利用条件に当てはまらなかった)場合も、メールや電話でお知らせがきます。
当日の相談時間は30分間なので、聞きたいことなどある程度まとめておくと良いでしょう。なお、同一問題については3回まで無料相談が可能です。
相談の中で弁護士・司法書士の紹介をしてもらったり、立て替え制度の申込などをして、過払い金返還請求を行います。
過払い金診断を受ける際に必要なものは?
過払い金診断を受けるにあたって、必要なものはそれほど多くありません。
仮に診断ツールを使うのであれば、下記の情報を入力することで申し込めます。
- 借入件数
- 借金総額(おおよそでOK)
- 借入開始時期、返済状況
- 毎月の返済額
- 名前(匿名可)
- 結果を連絡するためのメールアドレス・電話番号
診断を受けるだけなら、上記の情報さえあれば充分でしょう。
「取引履歴がわかる資料」があるとスムーズ
直接相談や、実際に委任契約を結ぶ際は、取引履歴がわかるものを用意するとスムーズに話を進められます。
具体的には、下記のような書類です。
- 金銭消費賃借契約書
- 請求書
- 返済計画書
- 返済履歴書
これらの書類が揃っていれば、正確な過払い金の診断ができますし、返還請求もすぐに送付することができます。
請求するときは印鑑と身分証明書があればよい
先述した資料はあくまで「あればベター」といったもので、実際には書類がなくても返還請求ができます。なぜなら、取引履歴は、信用情報機関に請求することで調べられるからです。
ワンポイント解説
信用情報機関とは?
個人の借入や返済履歴、収入、勤務先、家族構成などの情報(信用情報)を管理する機関。貸金業者は、貸付の際に信用情報機関から情報を照会して審査を行う。
信用情報は、本人もしくは委任契約を受けた弁護士・司法書士であれば開示請求が可能です。資料がなくても開示請求をすれば全ての取引履歴がわかるので、実際には印鑑と身分証明書さえあれば過払い金返還請求ができるのです。
まとめ
過払い金無料診断は、個人情報を求められることも多く、人によっては申込に躊躇してしまう人もいるでしょう。
怪しい業者に引っかからないためには、運営元がしっかりしている無料診断を利用すべきです。弁護士や司法書士の中でも、借金問題の解決事例が豊富な事務所であれば安心です。
過払い金は時効があるので、調べるのが遅くなると消滅してしまう恐れもあります。少しでも気になっているのであれば、なるべく早く相談し、返還請求に動き出すようにしましょう。
過払い金無料診断についてよくある質問
過払い金無料診断では、どのようなことがわかりますか?
過払い金無料診断でわかるのは、「過払い金の有無と金額」です。あくまで簡易的なものであり、より正確な調査や返還請求には弁護士・司法書士との委任契約が必要です。
過払い金無料診断が安全かどうか判断する基準はありますか?
運営元が、借金問題に精通している弁護士・司法書士であれば、基本的に安全です。運営元の企業経歴や所在がはっきりしない場合は、利用を避けたほうがよいでしょう。
過払い金無料診断を受けるには、どのような方法がありますか?
具体的な方法としては、「Web上の無料診断ツールの利用」「弁護士・司法書士事務所の無料相談の利用」「法テラスの利用」といった方法があります。実際に返還請求をするのであれば、弁護士・司法書士事務所に直接相談するのが最もスムーズに話が進むでしょう。
過払い金無料診断を利用する際の注意点はありますか?
どの診断も最終的には弁護士・司法書士に行き着き、場合によっては勧誘の電話を受けるかもしれません。ほかには、あくまで簡易診断でしかないこと、診断結果通りに過払い金が返還されるとは限らないことも覚えておきましょう。
過払い金について詳しく相談できるところを知りたいです。
借金問題の実績が豊富な弁護士・司法書士事務所なら、状況に合わせて最適なアドバイスをしてもらえます。当サイトでも無料相談が可能な事務所を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。→
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