自己破産から任意整理に途中変更はできるのか?変更する場合の注意点について

今、自己破産の手続きを進めているのですが、相続した土地があることが分かり、やっぱり任意整理で返していきたいと考えています。途中で自己破産から任意整理へ変更することはできるのでしょうか?


自己破産の申立前であれば、自己破産から任意整理への方針変更は可能な場合が多いです。申立てはまだしていませんか?
まだ申立てはしていません。ただ、任意整理だと返済がかなりギリギリなため自己破産を選択したという経緯があるので、任意整理で本当にやっていけるか自信がありません。


なるほど。それなら個人再生も併せて検討してはいかがでしょうか。任意整理より大幅に借金の負担を減らせますが、自己破産と違って財産を手元に残せます。弁護士と一度相談して改めて自分の状況に合った方法をアドバイスしてもらうとよいでしょう。
弁護士に自己破産を依頼したものの、後から任意整理に変更したいという人は少なくありません。
裁判所への申立て前であれば、自己破産から任意整理への方針転換は可能です。まずは依頼した弁護士へ相談しましょう。
また、なかには「自己破産は避けたいけど、任意整理へ方針変更しても返済ができるか不安」という人もいます。
そういう人は、任意整理だけでなく個人再生も検討しましょう。個人再生なら任意整理より大幅に返済額を減らせるうえに、自己破産と違ってマイホームや家を手元に残せます。
ただし、どの方法に変更するとしても、まずは弁護士としっかり話し合うことが大切です。現在依頼している弁護士の方針に疑問がある場合は、他の弁護士に意見を聞いてみるとよいでしょう。

- 自己破産から任意整理への変更は可能。
- 自己破産も任意整理もブラックリストに載る期間はほぼ同じ。
- 自己破産から任意整理への変更が難しければ個人再生も検討しよう。
自己破産から任意整理への変更は可能
- 自己破産すると決めてから、思わぬ大きな財産が手に入ったので、やっぱり自力で返済したい。
- 一度は自己破産を選択したが、どうしても家族に打明けられないので、任意整理に変更したい。
このように、一度は自己破産を選択したものの、さまざまな理由から任意整理へ変更したいと考える人は少なくありません。
「一度自己破産すると決めてしまったら、もう任意整理への変更はできないのでは」と考える人もいるかもしれません。
しかし、実際に多くの人が自己破産をすると決めてから任意整理へ方針変更しており、手続きの途中で方針変更することは可能といえます。
また、任意整理の場合、自己破産や個人再生ほど手続きを利用するための要件が厳しくありません。
「このような人は絶対に任意整理できない」という明確な決まりはないので、比較的誰でも利用しやすい手続きといえます。
そのため、自己破産から任意整理へ方針変更しようか迷っている人は、まずは弁護士へ相談して、改めて自分に合った債務整理の方法を提案してもらうとよいでしょう。
弁護士が方針変更を了承しないこともあるので注意
どの債務整理を選択するかは債務者が決めることであり、弁護士は債務者が選択した手続きがスムーズに進むようサポートする立場にすぎません。
しかし、なかには債務者の意向を無視して、自己破産から任意整理への方針変更を認めない弁護士もいるため注意が必要です。
弁護士も専門家としての考えがあるため、より借金の負担を減らすために、依頼者の希望とは違う方針を提案する場合があります。
また、悪質な弁護士だと、少しでも儲けるために報酬の高い自己破産を勧めてくるケースもあります。
弁護士の方針に納得できないなら「他の弁護士」に相談するのもおすすめ
自己破産から任意整理への方針転換を弁護士に相談しても、きちんと話を聞いてもらえず、強引に自己破産を勧めてくる場合があります。
自分の要望を聞いてもらえず不満があるときや、弁護士の方針に疑問がある場合は、他の弁護士に相談してみることもおすすめです。
弁護士によってもっている知識や交渉力、あるいは重視する要素や方針が違うため、弁護士を変えることで任意整理への変更がスムーズにできる可能性があります。
当サイトで紹介している弁護士は、いずれも自己破産や任意整理に詳しい「債務整理に強い弁護士」ばかりなので、あなたの希望に合わせて借金問題を解決してくれるでしょう。
自己破産から任意整理へ変更が可能なのはいつまで?
自己破産から任意整理への方針変更は可能ですが、タイミングが遅れると自己破産の取消しができない場合もあります。
そのため、方針変更がしたくなったら、できるだけ早く弁護士へ相談することをおすすめします。
では、具体的に自己破産から任意整理へ変更が可能なのはいつまでなのでしょうか。
次の項目から詳しくお伝えします。
基本的に「自己破産の申立前まで」
自己破産から任意整理へ方針変更したい場合、自己破産の申立前なら問題なく変更できることがほとんどです。
方針変更のために裁判所へ書類を提出するなどの手続きも必要なく、自己破産を依頼している弁護士へ申し出るだけで済みます。
そのため、自己破産の申立準備期間は、ただ必要書類を揃えるだけではなく「本当に自己破産で後悔しないのか」じっくりと考えてください。
早く手続きを進めたいからと焦って申立てしてしまうと、自己破産を取消すタイミングを逃す恐れもあります。
申立準備期間は自己破産から方針変更できる最後の機会だと考え、改めて自己破産の注意点を確認したり、自己破産後の生活をシミュレーションしてみましょう。
申立後は自己破産の取消しができない可能性が高い
自己破産の申立後にどうしても自己破産から任意整理へ方針変更したくなった場合、変更が絶対にできないわけではありません。
自己破産の申立後、裁判所が破産手続開始決定を出すと、自己破産の手続きが始まります。
この破産手続開始決定が出る前であれば、原則として自由に申立てを取下げられます。
第二十九条 破産手続開始の申立てをした者は、破産手続開始の決定前に限り、当該申立てを取り下げることができる。この場合において、第二十四条第一項の規定による中止の命令、包括的禁止命令、前条第一項の規定による保全処分、第九十一条第二項に規定する保全管理命令又は第百七十一条第一項の規定による保全処分がされた後は、裁判所の許可を得なければならない。
申立てを取下げたい場合は、自己破産を依頼している弁護士へ相談して、裁判所へ申し出てもらいましょう。
ただし、破産手続開始決定が出た後は、余程のことがない限り申立ての取下げができなくなります。
申立ての取下げが認められなかった場合、自己破産にかかる費用(予納金)も返金されず無駄になってしまう可能性が高いです。
申立てから破産手続開始決定が出るまでの期間は、個々の状況によりさまざまですが、申立てをした当日に破産手続開始決定が出る場合もあります。
そのため、自己破産の申立後に方針変更をしたい場合は、自己破産の取消しができなくなる前に、早急に弁護士へ相談してください。
自己破産より任意整理の方がブラックリストに載る期間が短くなる?
なかには「自己破産より任意整理の方がブラックリストに載る期間が短くなると聞いたから、任意整理に変更したい」という人もいるかもしれません。
ブラックリストに載るとは、信用情報に事故情報が載った状態のことを指します。
債務整理をすると信用情報に事故情報が載り、事故情報が載っている間は新規借入やクレジットカードの発行ができません。
ただし、信用情報に載った事故情報は永遠に残るわけではなく、債務整理後しばらくすると削除されます。
では、本当に自己破産より任意整理の方がブラックリストに載る期間が短くなるのでしょうか。
次の項目で詳しくお伝えします。
自己破産も任意整理もブラックリストに載る期間はほぼ同じ
結論からいうと、自己破産も任意整理もブラックリストに載る期間はほぼ同じといえます。
まず任意整理の場合、ブラックリストに載る期間は「和解後に債権者へ完済してから5年間」です。
和解後に債権者へ返済する期間は3~5年間が一般的なので、完済後の期間と合わせて8~10年間がブラックリストに載る期間になります。
一方、自己破産の場合は信用情報機関信用情報を管理している「CIC」「JICC」「KSC(全銀協)」の3つの機関。によってブラックリストに載る期間が以下のように異なります。
- CIC・・・免責が下りてから5年
- JICC・・・申立てがあった日から5年
- KSC(全銀協)・・・破産手続開始決定の日から10年
上記をまとめると、自己破産の場合にブラックリストに載る期間は5~11年間です。
つまり、債務者の状況によっては、自己破産の方がブラックリストに載る期間が短くなる可能性もあります。
また、最長期間で考えると任意整理は10年間、自己破産は11年間ブラックリストに載ることになります。
よって、確実にブラックリストから削除されるまでの期間で考えると、どちらの手続きもそれほど変わらないといえるでしょう。
自己破産から任意整理へ変更する場合のリスク
自己破産から任意整理へ方針変更を検討している人は、以下のようなリスクがあることを理解したうえで慎重に選択しましょう。
- 借金全額の返済義務が残る。
- 和解時までに発生した遅延損害金はカットされないことが多い。
- 債権者から裁判を起こされる恐れもある。
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えします。
借金全額の返済義務が残る
任意整理は今後支払う予定の利息をカットや減額して、3~5年の分割返済で完済を目指す方法です。
これは裏を返せば、借金の元金部分は全く減額されず、全額返済する義務が残ることになります。
借金全額の返済義務が免除される自己破産と比べると、減額される金額は大幅に少なくなり、長い期間をかけて残った借金を返済しなければならないことを覚えておきましょう。
和解時までに発生した遅延損害金はカットされないことが多い
弁護士へ自己破産を依頼した場合、依頼した時点で債権者への返済を止めるのが一般的ですが、実はこの間にも遅延損害金が一日ごとに増えています。
自己破産から任意整理へ方針変更した場合、返済を止めてから最終的に任意整理で和解する日まで発生した遅延損害金は、カットされず借金に加算されることが多いです。
そのため、加算された遅延損害金も含めて借金全額を返済できるかどうか、しっかりと計算して返済のシミュレーションをする必要があります。
債権者から裁判を起こされる恐れもある
自己破産手続きの途中で任意整理へ方針変更する場合、返済を止めてから和解するまでに、かなり長い時間がかかることもあります。
その場合、債権者によっては裁判を起こすこともあるのです。
裁判を起こされると、給料や預貯金口座など財産を差押えられる恐れもあります。
財産差押えを避けるためには、任意整理へ方針変更すると決まったらできるだけ早く債権者と和解し、返済を再開することです。
自己破産から任意整理への変更が難しければ個人再生も検討しよう
- 自己破産の資格制限の影響を受ける職業に就いている。
- 手元に残したい財産がある。
上記のような理由で、自己破産から任意整理への方針変更を検討している人は多いです。
しかし、なかには借金が高額過ぎるなどの理由から、任意整理への方針変更が難しい人もいるでしょう。
そのような人は、個人再生も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
次の項目から「個人再生を検討するとよい理由」について詳しくお伝えしますので、参考にしてください。
個人再生なら資格制限がなく財産も手元に残せる
任意整理は今後支払う予定の利息しか減額できないのに比べ、個人再生は借金の元金を約1/5から1/10ほどまで減額できます。
さらに、個人再生は自己破産と違って資格制限がなく、財産を手元に残したまま手続きすることも可能なのです。
ちなみに、個人再生の手続きと自己破産の手続きはよく似ており、自己破産のために用意した書類がそのまま個人再生の手続きにも利用できる場合が多いです。
自己破産を検討していたけど何らかの理由でできなくなってしまった場合は、ぜひ任意整理だけでなく個人再生も検討してみてください。
個人再生の利用要件や自分の場合どれくらい借金が減るのか、詳しく知りたい場合は法律事務所へ直接相談してみましょう。
当サイトでも、個人再生に詳しい法律事務所を紹介しているので、ぜひ気軽に相談してみてください。
まとめ
自己破産の途中で任意整理へ方針変更することは可能です。
ただし、申立後だと自己破産の取消しができないこともあるので注意してください。
また自己破産は避けたいけど、任意整理で返済するのも難しいという場合は、個人再生も検討してみましょう。
任意整理より大幅に借金を減らせますが、自己破産と違って財産を手元に残せるなどのメリットがあります。
当サイトでは債務整理に詳しい法律事務所を紹介しているので、ぜひ気軽に相談してみてください。
自己破産と任意整理のよくある質問
可能ですが、自己破産の申立後だと取消しが認められなかったり、予納金が無駄になる可能性もあるので、変更する場合は申立前におこないましょう。
基本的に変更できないということはありませんが、担当弁護士が方針変更を了承しない場合もあります。どうしても変更したい場合は、他の弁護士へも相談して任意整理を引き受けてくれる弁護士を探すとよいでしょう。
例えば、過払金がたくさん出て借金が大幅に減った場合などは、自己破産する必要がなく任意整理を選んだ方がよいこともあります。
個人再生を検討してみてはいかがでしょうか。任意整理より大幅に借金の負担を軽減できますが、自己破産と違って資格制限がなく、財産を手元に残せるなどのメリットがあります。
自己破産と違い借金が残ることが最大のリスクです。返済が滞れば財産差押えなどに発展する恐れもあるため、本当にきちんと返済していけるのか、弁護士とよく話し合ったうえで決定することをおすすめします。

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