自己破産で法テラスを利用した場合の弁護士費用の目安
法テラスを利用した自己破産をする場合と、法テラスを利用せずに弁護士に依頼して自己破産する場合を比較すると、法テラスはどの程度安くなっているのでしょうか。
法テラスを利用せずに弁護士に自己破産について依頼した場合、約21万~100万円以上かかります。しかし法テラス経由で弁護士に依頼したときは、約15万~21万円と非常に安くなっています。
以下では、法テラスを使ったときの自己破産の弁護士費用について詳細を解説します。
法テラスを使ったときの自己破産の弁護士費用
自己破産の対応を弁護士に依頼する際、法テラスでの弁護士報酬基準と、一般的な弁護士報酬の相場には違いがあります。
法テラスで自己破産の依頼をするときの費用目安、および自己破産申立書等作成の費用目安を見ていきましょう。
自己破産にかかる弁護士費用は、法テラス公式サイトにて費用の目安が掲載されています。
債権者数 |
着手金 |
実費 |
合計 |
1~10社
同時廃止事件規模 |
132,000円 |
23,000円 |
155,000円 |
11~20社
少額管財事件規模 |
154,000円 |
23,000円 |
177,000円 |
21社以上
通常管財(特定管財)事件規模 |
187,000円 |
23,000円 |
210,000円 |
引用:法テラス「自己破産 費用の目安」
※ 同時廃止事件:破産管財人を選出せず、破産手続き開始と同時に廃止する手続きをする事件
※少額管財事件:管財事件よりも破産者の費用負担が軽減され、手続きが簡易になった事件
※通常(特定)管財事件:管財事件の中でも複雑かつ問題が多い事件
上記はあくまで目安であり、事件の内容やその他審査によって依頼料は決まります。
21社以上の債権者数の自己破産でも、弁護士費用21万円しかかからないのは、次の章で説明する一般的な相場よりも安いと言えるでしょう。
法テラスを使わず弁護士に依頼したときの費用
法テラスを使わず弁護士に自己破産について依頼すると、法テラスの弁護士報酬基準よりも原則として高額になります。法テラスを使ったときの弁護士報酬との比較は次の通りです。
|
法テラスを利用した場合 |
直接弁護士に依頼した場合 |
差額 |
同時廃止事件 |
15万5,000円 |
21~44万円 |
5万5,000~28万5,000円 |
少額管財事件 |
17万7,000円 |
50万円~ |
32万3,000円~ |
通常管財(特定管財)事件 |
21万円 |
100万円~ |
79万円~ |
つまり、法テラスの民事法律扶助を利用することで、費用が5万5,000円以上は安くなる計算になり、手続きの内容によっては79万円以上の節約になる可能性もあるのです。
自己破産の費用について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
法テラスを利用したら自己破産の費用を抑えられる理由
自己破産を求める場合、法テラスを通じて弁護士に依頼できます。法テラスは、弁護士費用の立替制度や安い報酬での依頼など、費用の捻出に困っている人でも弁護士に依頼しやすい環境を整えています。お得に弁護士の協力を得られる可能性があるので、自己破産を検討している人は一度確認してみてください。
以下では、法テラスを利用した自己破産の詳細を解説します。
「民事法律扶助制度」の立替制度で月々の分割払いができる
法テラスが提供するサービスの中でも「民事法律扶助業務」を利用すれば、経済的に困窮している人でも、自己破産を行えるように支援が受けられます。
民事法律扶助業務の内容をさらに詳しく説明すると、以下のとおりです。
- 無料の法律相談(法律相談援助)
- 弁護士へ支払う費用などの立て替え(代理援助、書類作成援助)
代理援助による立替例
(令和元年度標準額) |
実費 |
着手金 |
立替額合計 |
500万円請求の訴訟 |
35,000円 |
220,000円 |
255,000円 |
金銭的請求のない離婚訴訟 |
35,000円 |
231,000円 |
266,000円 |
債権者10社の自己破産申立 |
23,000円 |
132,000円 |
155,000円 |
引用:法テラス「民事法律扶助業務」
法テラスにて立て替えてもらった費用は、後に法テラスへ月々分割払いで返済します。分割払いの金額は、月5,000円〜10,000円程度です。
民事法律扶助は法テラス対応の弁護士に直接依頼する場合も利用できる
法テラスに依頼していなくても、法テラスの提供する民事法律扶助を利用できる場合があります。
自分で弁護士をWeb上などで検索し「法テラス対応可能」や「法テラス利用可能」などと、公式サイトに記載されている事務所へ直接依頼するケースです。
法テラスと契約している弁護士を自分で探して依頼する方法を、持ち込み方式と呼びます。
公式サイトにそうした記載がない場合も、依頼したい弁護士事務所があれば、電話やメールなどで法テラスの民事法律扶助を利用できるか確認してみるとよいでしょう。
法テラス対応の事務所なら、相談の際に民事法律扶助を利用したい旨を伝えれば、正式な依頼となった場合に弁護士から法テラスへ援助申請をおこなってくれます。
法テラスは一般的な弁護士事務所よりも弁護士への報酬が安く設定されている
法テラスと契約している弁護士への依頼は、一般的な弁護士事務所へ支払う報酬よりも安めに設定されています。
報酬基準が安い理由は、「法テラスはお金がない人でも司法制度を利用できるよう、援助するために設立された制度」という背景があるためです。
しかし、なかには「法テラスの報酬が安すぎて、法テラス経由の仕事だと弁護士はやる気が出ないのでは」という意見が存在します。一概には言えないものの、実際に弁護士からも「法テラスの料金は安すぎでは?」との声が出ているのも事実です。
とはいえ、法テラスでやる気のない弁護士とマッチングするかはケースバイケースです。低額な報酬であっても、正義感や実績作りなどを理由にしっかりと仕事に取り組んでくれる法テラス提携の弁護士は大勢いらっしゃいます。
少なくとも利用者側から見ると、法テラスは安すぎると言われるほど安価で、収入が少なくても利用しやすい公的サポートの側面が強い機関だと言えるでしょう。
法テラスの費用立替制度を利用する条件とは?
法テラスの費用立替制度を利用するには、以下4つの条件のクリアが必要です。
- 収入や資産が一定基準以下である
- 審査に必要な書類を用意できる
- 破産予定者が法人・在留資格を持たない外国人・日本に住所を有しない個人ではない
- 借金が免責になる見込みがある
それぞれの詳細を見ていきましょう。
収入や資産が一定基準以下である
民事法律扶助は、もともと「弁護士に依頼したいけどお金がない」という人のために設けられた制度です。そのため、収入と資産が一定の金額以下であることが利用条件の1つとなっています。
また、配偶者に収入または資産がある場合は、原則加算された金額で判断される点にも注意が必要です。
法テラスが定めている収入と資産、それぞれの基準をみていきましょう。
収入要件
収入要件は、家族の人数によって手取り月収や加算額が変化します。生活保護一等地に住んでいる場合は、別途基準値が適用されます。
家族の人数 |
手取り月収 |
家賃または住宅ローンを負担している場合に加算できる限度額 |
単身 |
182,000円以下
(200,200円以下)※1 |
41,000円以下
(53,000円以下)※2 |
2人 |
251,000円以下
(276,100円以下) |
53,000円以下
(68,000円以下) |
3人 |
272,000円以下
(299,200円以下) |
66,000円以下
(85,000円以下) |
4人 |
299,000円以下
(328,900円以下) |
71,000円以下
(92,000円以下) |
※1:居住地が東京・神奈川・埼玉・大阪などの生活保護一級地に該当する場合、()内の基準が適用されます。
※2:居住地が東京都特別区の場合、()内の基準が適用されます。
引用:法テラス「民事法律扶助のしおり」
なお、同居家族が1人増えるたびに基準額に30,000円、生活保護一級地なら33,000円が加算されていきます。
資産要件
利用者または配偶者が自宅や係争物件を除外した不動産・有価証券などを保有しているなら、資産要件が考慮されます。
保有している資産の時価と現金・預貯金の合計額が、家族人数に応じた基準以下であることが条件です。
家族の人数 |
資産合計額の基準 |
単身 |
180万円以下 |
2人 |
250万円以下 |
3人 |
270万円以下 |
4人以上 |
300万円以下 |
引用:法テラス「民事法律扶助のしおり」
なお、将来負担する必要がある医療費や教育費などの出費がある場合、相当額が控除されるのでその点も覚えておきましょう。
審査に必要な書類を用意できる
民事法律扶助の立替制度を利用するには、民事法律扶助の審査に使う書類が必要です。具体的な必要書類は次の通りです。
必要書類 |
詳細 |
本人および同居の家族人数を確認するための資料 |
申込から3か月以内に発行された住民票(本籍、筆頭者、続柄、世帯全員の記載があるもの) |
給与明細や源泉徴収票などの収入を証明する資料 |
給与明細・賞与明細
源泉徴収票
課税(所得)証明書
確定申告書の写し
年金振込通知書
年金支払通知書
年金証書
非課税(所得)証明書
雇用保険受給者証明書
離職票
解雇通知
生活保護受給証明書
生活保護(開始・変更)決定書
生活保護受給書証など |
資産を確認するための書類 |
省力申告書(生活保護受給中の場合は不要)
<現金や預金以外の資産がある場合>
固定資産評価証明書
固定資産納税通知書 |
勝訴の見込みや事件内容を確認するための資料 |
債務整理の場合は債務一覧表 |
返済に使用する口座の確認のための資料 |
自動払込利用申込書兼預金口座振替依頼書の写し
通帳(キャッシュカード)もしくは、Web口座画面の写し |
破産予定者が法人・在留資格を持たない外国人・日本に住所を有しない個人ではない
破産予定者が法人の場合だと、法テラスの民事法律扶助は利用できません。法テラスは原則として個人の法的トラブルを解決するための組織であり、法人は民事法律扶助の対象外であるからです。
なお個人であっても、在留資格を持たない不法滞在の外国人、日本国内に住所を有しない人は法テラスのサポートの対象外となります。
借金が免責になる見込みがある
自己破産の場合、借金の免責決定の見込みがある場合は、立替制度を利用できる可能性があります。また離婚党請求事件の場合だと、離婚成立の見込みがある人は立替制度の利用対象です。
要するに、法的トラブルにおいて「勝訴の見込みがないとはいえないこと(問題を解決する見込みがあること)」がある場合は、民事法律扶助を利用できます。
「ギャンブルや浪費が原因で自己破産した」「財産を意図的に隠してから自己破産した」といった、自己破産の免責不許可事由に該当する行為をした人は、自己破産における民事法律扶助は使えないと知っておきましょう。
法テラスを利用して自己破産するメリット
実際に法テラスを利用して自己破産するメリットは、主に次の通りです。
- 弁護士費用が全体的に安くなる
- 月5,000円から弁護士費用の分割払いが可能
- 生活保護受給者には費用の返済免除がある
- 家の近くにある事務所で相談できる
それぞれの詳細を見ていきましょう。
弁護士費用が全体的に安くなる
自己破産を法テラスと契約している弁護士に依頼することで、発生する弁護士費用が全体的に安くなります。安くなる理由は次の通りです。
- 同一の問題なら30分×3回まで無料で法律相談ができる
- 一般的な自己破産の弁護士費用より安くなる
自己破産を検討する人の多くは、現在進行系で金銭の悩みを抱えているケースも多いでしょう。比較的安く弁護士に相談できる法テラスは、お金に悩む人の強い味方になってくれるはずです。
なお無料の法律相談を利用するには、以下の条件を満たしていなければなりません。
- 収入などが一定額以下である
- 民事法律扶助の趣旨に適している
上記は前述した「法テラスの費用立て替え制度を利用するための条件」とほぼ同じものです。
無料法律相談の場合、資産の基準は「不動産や有価証券などを含まない現金と預貯金の合計額のみ」で判断されるため、注意してください。
月5,000円から弁護士費用の分割払いが可能
法テラスの民事法律扶助の立替制度を利用したときは、一般的な弁護士事務所よりも細かい分割払いに対応しています。
一度にたくさん支払えないという場合は、毎月約5,000円〜10,000円ずつ支払うことが可能です。
弁護士に頼むための初期費用が足りない人は、分割払いをぜひ利用してみてください。
生活保護受給者には費用の返済免除がある
生活保護を受給中に法テラスの民事法律扶助を利用した場合、返済を免除してもらえる可能性があります。
生活保護受給者の場合、立替制度を利用したときに一定の条件を満たすと、援助集結まで返済が猶予される可能性があります。また事件がすべて終了した時点でも引き続き生活保護を受給していると、返済の免除申請をすることが可能です。
自己破産後も生活の立て直しが難しい場合、立て替えてもらった費用を強制的に徴収される心配はありません。
家の近くにある事務所で相談できる
法テラスにて民事法律扶助の業務を担当する提携弁護士は、令和5年度時点で24,418人です。
提携先の事務所では、法テラスの民事法律扶助を利用して法律相談ができるよう契約しています。
そのため、居住地の近くに法テラスがない場合でも、要望に合った事務所を紹介してもらうことで、家の近所で法律相談を受けられる可能性が高いです。
法テラスを利用して自己破産するデメリット
法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産するデメリットは、以下のとおりです。
- 審査に時間がかかる
- 審査期間中に債権者から督促を受ける恐れがある
- 立て替え制度の対象外となる手続き費用もある
- 担当弁護士を自分で選べない
次の項目から、それぞれのデメリットについて詳しくみていきましょう。
審査に時間がかかる
法テラスを介して弁護士に依頼する場合、弁護士事務所に直接依頼する場合より多くのステップを踏まなければならず、時間がかかる可能性があります。
法テラスを利用して自己破産をする場合、弁護士と契約するまでの流れは以下のとおりです。
- 法律相談を予約
- 無料相談
- 民事法律扶助の審査
- 弁護士の選定
- 弁護士と契約
法テラスの民事法律扶助を利用して、無料で法律相談を受けたり費用を立て替えてもらうには、審査を通過しなければなりません。
審査を受けてから結果が通知されるまでに、2週間〜1ヶ月かかる場合もあります。また、審査の際に必要書類の提出を求められるため、その書類を揃えるために時間を要する可能性もあるでしょう。
そのため、急いで自己破産の手続きを進めたいと考えている場合は、無料の法律相談が可能な弁護士事務所を自分で探してみることをおすすめします。
審査期間中に債権者から督促を受ける恐れがある
先述の通り民事法律扶助には一定の条件があるため、人によっては審査に落ちてしまう場合もあります。
また、解説した条件に該当しないのに審査に落ちる場合は、書類の誤りが原因かもしれません。
事前に収入要件や資産要件を確認し、正確な書類を用意したうえで審査に臨みましょう。
立替制度の対象外となる手続費用もある
民事法律扶助の審査に通過すると、自己破産手続きにかかる費用は法テラスが立て替えてくれます。
ただし、自己破産手続きにかかるすべての費用が、費用立て替え制度の対象になるわけではないので注意してください。
自己破産をする際は、弁護士への報酬とは別に、各裁判所へ定められた金額を納付しなければなりません。これを予納金といい、費用立て替え制度の対象外となります。
予納金の金額は各裁判所や自己破産の種類によっても異なりますが、おおまかな目安は以下のとおりです。
同時廃止事件 |
1~4万円 |
少額管財事件 |
約20万円 |
通常管財(特定管財)事件 |
50万円~ |
担当弁護士を自分で選べない
法テラスを介して弁護士を紹介してもらう場合「有名な弁護士の○○さんを紹介してほしい」などと、特定の弁護士を指定することはできません。
法テラス側が相談内容や居住地域などの条件に合わせて、弁護士を選んで紹介します。
場合によっては、紹介された弁護士の債務整理の実績が少なかったり、話しにくい(相性が悪い)弁護士を紹介されてしまうケースもあります。
もし、特定の弁護士へ自己破産を依頼したい場合は、法テラスを介さずその弁護士が所属する事務所へ直接問い合わせて、民事法律扶助を利用できるか確認するとよいでしょう。
民事法律扶助を利用できる弁護士かどうかは、事務所の公式サイト内に「法テラス利用可」などの記載があるかどうかでも確認できます。
法テラスを利用して自己破産する場合の流れ
この項目では、法テラスの民事法律扶助を利用して自己破産する場合の一般的な流れについて解説します。
また、自己破産手続きに必要な期間や書類についても具体的に解説しますので、ぜひ参考にしてください。
法テラスを介して弁護士に依頼する場合
知り合いの弁護士がいる場合や依頼したい弁護士が決まっている場合以外は、法テラスを介して弁護士に依頼する人が多いでしょう。
法テラスを介して弁護士に依頼する流れは、以下のとおりです。
- 近くの法テラスに電話する
- 無料相談の日時を予約する
- 弁護士に依頼内容を伝える
- 必要書類を提出する
- 法テラスによる審査
- 法テラスによる援助開始
まずは近くの法テラス地方事務所または法テラスサポートダイヤルに電話しましょう。
そして、無料相談をおこなう日時を決め、予約してください。なお、予約の際には以下のような点について質問されるので、事前に準備しておくとよいでしょう。
- 相談の内容
- 収入・家族構成・家賃または住宅ローンの金額
- 保有資産(現金・預貯金のみ)
予約した日には、弁護士に依頼内容を伝え法律相談を受けます。相談の結果、依頼することを決めた場合は、法テラスによる民事法律扶助の審査を受けることになるのです。
後述する必要書類を提出し、法テラスによる2週間〜1ヶ月程度の審査を経て、援助がおこなわれるかどうかが決まります。
法テラスからの援助開始が決定されると、実費や着手金・報酬金などの弁護士費用は、法テラスが立て替えてくれます。手続きが完了するまでの間は、立替分の支払いを待ってもらえるので、返済する必要はありません。
実費・着手金・報酬金といった法テラスの立替分は、手続き終了後に毎月分割で法テラスへ返済することになります。
参照:お近くの法テラス(地方事務所一覧)|法テラス
法テラス対応の弁護士を自力で探して依頼する場合
法テラスを介して弁護士に依頼する以外にも、法テラス対応の弁護士を自力で探して依頼する方法もあります。
法テラス対応の弁護士を自力で探して依頼する流れは、以下のとおりです。
- 弁護士事務所の公式サイトを見て「法テラス対応可」などの文言があるか確認する
- 電話やメールで民事法律扶助を利用したい旨を伝える
- 弁護士事務所と直接相談する
- 正式な依頼をする
法テラスの民事法律扶助を利用できるのは、法テラスと提携している弁護士に依頼した場合のみです。そのため、まずは法テラス対応の弁護士かどうかを確認しましょう。
無料相談を受け付けている弁護士事務所を探し、電話やメールで民事法律扶助を利用したい旨を伝えたうえで、直接相談に乗ってもらいます。
借金や収支の状況などを詳しく聞いたうえで、法テラスから援助を受けられる可能性が高いと判断されたら、弁護士に依頼して法テラスへ援助申請をおこなってもらう流れとなります。
法テラスを使って自己破産を行うのがおすすめな人
自己破産を行う際は、あなた自身が「法テラスを使ったほうがよい人」なのか「法テラスなしで弁護士に依頼したほうがよい人」かどうかを、一度確認してみてください。
法テラスは非常によいサービスではあるものの、人によっては弁護士に直接依頼したほうが問題解決に向けて動きやすい可能性があります。
収入が著しく少ない人・収入がない人
一定の条件を満たす場合、立て替えてもらった費用の償還(返済)を免除してもらえます。
収入要件
本人および配偶者(内縁関係含む)の収入の合計額が、下記表に示された金額以下であること。
●生活保護法の一級地以外に居住している場合
人数 |
収入基準(注1) |
家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額 |
1人 |
127,400円以下 |
41,000円以下 |
2人 |
175,700円以下 |
53,000円以下 |
3人 |
190,400円以下 |
66,000円以下 |
4人 |
209,300円以下 |
71,000円以下 |
注1:以下、1名増加することに基準額に21,000円を加算 |
●東京・大阪等生活保護法の一級地に居住している場合
人数 |
収入基準(注2) |
家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額(注3) |
1人 |
140,140円以下 |
41,000円以下 (53,000円以下) |
2人 |
193,270円以下 |
53,000円以下 (68,000円以下) |
3人 |
209,440円以下 |
66,000円以下 (85,000円以下) |
4人 |
230,230円以下 |
71,000円以下 (92,000円以下) |
注2:以下、1名増加するごとに基準額に23,100円を加算 注3:居住地が東京都特別区の場合、( )内の基準を提供 |
参照:法テラス神奈川「生活保護を受給していない方の償還免除申請について」
資産要件
本人および配偶者(内縁関係含む)の資産について、下記すべての要件にあてはまること。
- (1)現金、預貯金、保険(生命保険、学資保険、個人年金等)の解約返戻金、有価証券の時価等の合計額が66万円以下であること
- (2)自宅の他に不動産を保有していないこと
- (3)車を保有している場合は、世帯あたり1台のみであること
参照:法テラス神奈川「生活保護を受給していない方の償還免除申請について」
資力回復困難要件
下記いずれかの要件に該当すること。
- (1)65歳以上の高齢者
- (2)重度または中度の障害のある者で、一定の要件(障害基礎年金の受給者など)にあてはまる
- 上記(2)の障害のある者を扶養している者
- 病気により長期の療養が必要で、現に収入を得ておらず、かつ、今後1年程度の間に収入を得るために働くことが見込めない者
- 上記(1)から(4)に準ずる理由により、今後1年ないし2年で、現在よりも生計が改善される見込みに乏しい者
参照:法テラス神奈川「生活保護を受給していない方の償還免除申請について」
これらの条件にあてはまる人は、立て替え費用の返済を免除されるので、自己破産の手続き後に申請を行いましょう。ただし、事件の相手方等から金銭等を得た場合などは、原則としてその25%以上を返済にあてられます(自己破産で金銭を得ることはないので、基本的には考慮しなくて大丈夫です)。
また、上記の償還免除が使えないとしても、法テラスを通した弁護士・司法書士費用は低めに設定されています。これらのことから、収入が著しく少ない人・収入がない人こそ、法テラスは利用すべきと言えます。
生活保護受給者
生活保護受給者も、申請すれば返還免除を受けられます。複雑な要件はなく、生活保護を受給してれば原則として免除審査に通過可能です。
法テラスなしで直接弁護士に自己破産を依頼するのがおすすめな人
法テラスなしで直接弁護士に依頼するほうがおすすめな人は、次の通りです。
- 普通の弁護士に依頼できる予算がある人
- 自分が選んだ弁護士に依頼したい人
- 早めに着手して欲しい人
一般的な弁護士に依頼できる予算がある人
一般的な弁護士に依頼できる予算がある人は、民事法律扶助を使わず弁護士に依頼するほうがよいでしょう。理由は次の通りです。
- 法テラスと提携していない弁護士も自由に選べる
- 弁護士報酬が高いので、弁護士のモチベーションが高い傾向がある
自分が選んだ弁護士に依頼したい人
法テラスに相談した場合、紹介される弁護士を選ぶことはできません。持ち込み方式で弁護士に依頼したとしても、あくまで法テラスと提携した弁護士の中から依頼先を選定することになります。
自分が選んだ弁護士にしたいときは、法テラスを介さずに直接依頼するのがよいでしょう
早めに着手して欲しい人
法テラスを利用する大きなデメリットは、実際に弁護士と契約するまでに時間がかかる点です。そのため、依頼してから早めに案件に着手して欲しい人は、法テラスを使わないほうがよいでしょう。
法テラスを使って自己破産したい人がよくある疑問・質問
法テラスは金銭的にも負担を抑えられるので便利ですが、いざ利用するとなったら不安に思う人も多いでしょう。
ここでは、法テラスを利用するときによくある疑問や質問について回答します。
法テラスへの返済はいつから始まる?
立て替えた費用については、援助開始の翌月以降からスタートします。口座引き落としで、月額5,000円~1万円程度を返済していきます。
引き落としにかかる手数料が別途発生し、ゆうちょ銀行の場合は33円、それ以外の銀行は40円かかるので注意しましょう。
なお、返済が困難な状況なら猶予してもらえることもあるため、困ったときは滞納せず法テラスに相談しましょう。
参照:法テラス「立て替え費用の償還とは何ですか?」
立替費用を滞納してしまったらどうなる?
立て替え費用を滞納してしまった場合、法テラスからの督促が行われます。状況によって督促の方法は異なり、以下のような方法が取られます。
- 手紙、コンビニ支払い用紙の送付
- 電話
- 法的措置(裁判所での支払督促調停など)
法的措置になった場合、せっかく自己破産で借金問題を解決したのに、再び裁判所での手続きになってしまいます。
先に解説した通り、返済困難な状況なら猶予される制度もあるため、黙って滞納せず法テラスに相談するようにしましょう。
参照:法テラス「返済がなかった場合」
2回目の自己破産も法テラスを使える?
2回目の自己破産であっても、もう一度法テラスを使って手続きを進められます。ただし、通回目以上の自己破産をする場合は、以下の要件を注意点を確認しておいてください。
- 1回目の免責許可から原則7年が経過している
- 1回目の自己破産とは違う理由である
- 免責が認められるハードルが高い可能性がある
- 過去に法テラス関係で未払いが発生していない
2回目の自己破産ができない、または自己破産しても免責が認められないときは、個人再生などの別の方法を検討しましょう。
無職や専業主婦(主夫)でも法テラスで自己破産できる?
無職や専業主婦(主夫)の人でも、法テラスで自己破産できます。ただし、配偶者や親などの収入・資産などが法テラスの基準を下回っている必要があります。
自己破産するメリットは?自分はどうすべき?
自己破産と聞くと人生の終わりを想像してしまう人も多いと思われますが、生活の再建を目指すうえで自己破産にはさまざまなメリットがあります。自己破産のメリットは次の通りです。
- 免責が認められれ借金などの法的支払い義務が免除される
- 債権者からの取り立てや強制執行を避けられる
- 最低限の生活を送るための財産を残せる
しかし一方で、「クレジットカードやローンが5~7年使えなくなる」「官報での広告や一部職業への就職制限がある」といったデメリットも存在します。
自分だけで自己破産を進めるのはあり?
結論としては、自己破産を進めたいときは弁護士への依頼を推奨します。弁護士への依頼をおすすめする理由は次の通りです。
- 自己破産の手続きや対応が非常に複雑だから
- 手続きに必要な資料を自分だけで集める必要があるから
- 借入先や金融業者と直接やり取りするストレスが大きいから
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まとめ
法テラスが提供するサービスの1つである「民事法律扶助」を利用すれば、経済的に困窮している人でも自己破産を行えるように支援が受けられます。
ただし、民事法律扶助を利用するにはいくつか条件をクリアする必要があり、条件を満たしているかどうかを確認する審査に通過しなければならないので注意してください。
自分が民事法律扶助の利用条件を満たしているか気になる場合は、弁護士事務所に直接相談して確認してもらうとよいでしょう。
また法テラスを利用して弁護士に依頼することには、メリット・デメリットのどちらも存在します。メリット・デメリットを確認したうえで、法テラスを利用すべきかを検討することを推奨します。
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