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2024年11月現在

自己破産の費用が払えない!法テラスの立て替えや分割払いなど対処方法について解説 

自己破産の費用が払えない!法テラスの立て替えや分割払いなど対処方法について解説 

自己破産の費用は、状況により異なりますが30~130万円程度かかるのが一般的です。そのため、自己破産をせざるを得ない状況にある人でも、費用面で不安を抱え、なかなか自己破産手続きへ踏み込めない人も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、「自己破産は現時点でお金がなくても可能」です。

現在返済に追われているのであれば、弁護士に自己破産を依頼して借金の返済をストップしてもらい、いままで返済に充てていたお金を自己破産の費用積み立てに充てるなど対策は可能です。

また、法テラスに相談すれば、収入要件や財産要件を満たしている場合に「民事法律扶助制度」を利用できる可能性もあります。民事法律扶助制度を利用すれば、弁護士に支払う費用を立て替えてもらえます。

万が一民事法律扶助制度を利用できなくても、多くの事務所で分割払いを認めているので今すぐまとまったお金を用意するは必要ありません。

ただし、あくまでも支払いの積み立てをする時間がもらえるのに過ぎないため、全く費用をかけずに自己破産はできないケースが多いです。支払いが難しくてもきちんと相談すれば問題ありませんが、無断で未払いをすると弁護士が辞任してしまい、自己破産の手続きが進まなくなる可能性もあります。

自己破産は自分でも可能ですが、複雑な手続きや書類の準備が必要なほか、弁護士に依頼するよりも裁判所に支払う費用が高額になる可能性があるためあまりおすすめできません

当サイトでは、自己破産に力を入れており、かつ費用の分割払いに対応している弁護士事務所を多数紹介しています。無料相談が可能なので、ぜひ気軽に利用してみてください。

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この記事でわかること
  • 自己破産の費用が支払えなくても、対策はいくつもあるので何ら心配はない
  • 自己破産の弁護士費用は高額だが、費用を支払っても弁護士に依頼するべきメリットがある
  • 弁護士費用や裁判所へ支払う費用の相談なしでの支払い遅延は絶対NG

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監修
一歩法律事務所
南 陽輔(弁護士)

自己破産の費用が払えない場合の対処方法

自己破産の費用は高額であり、自己破産を検討している人がそう簡単に用意できる金額ではありません。しかし以下の3つのように対処法はあるので、いますぐに自己破産費用の用意ができなくても、心配する必要はありません。

  • 弁護士に相談して返済がストップしている間に費用を積み立てる
  • 自己破産費用を分割払いで用意する(一括支払いの必要なし)
  • 法テラスの民事法律扶助を利用して費用を立て替えてもらう

手元に1銭もなく困っている人であっても、自己破産はいますぐにできるので安心してください。

弁護士に相談して返済がストップしている間に費用を積み立てる

自己破産手続きを弁護士に依頼すると、債権者に受任通知が送付されます。

すると借金の取り立てや督促がストップするため、その時点で返済を一旦止めることが可能です。取り立てや督促によって精神的に追い詰められる心配もありません。

借金の返済が止まれば、いままで返済資金に充てていた金額を弁護士費用に充てられるので、債務者は無理なく弁護士費用を支払えるようになります。

一般的に、自己破産は申請までに3~6ヶ月の準備期間があるため、その間に自己破産費用を積み立てておくのがおすすめです。

自己破産費用を分割払いで用意する(一括支払いの必要なし)

自己破産の費用は、基本的に一括で支払う必要はありません。ほとんどの弁護士事務所では、弁護士費用の分割に対応しています。

分割回数などは債務者の生活状況などを踏まえて、相談のうえ無理のない金額で決定してくれるので安心してください。

また、裁判所へ支払う費用についても、一括で用意する必要がない場合がほとんどで、弁護士と相談のうえ、積み立てという形で用意できます。

前述したように、弁護士へ依頼すれば、借金の返済が止まります。毎月返済資金に充てていたお金を、弁護士費用や裁判所へ支払う費用の積立金として支払ってもよいでしょう。生活再建と同時に自己破産へ向けた準備もできるため、まずは弁護士へ相談してみてください。

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法テラスの民事法律扶助を利用して、費用を立て替えてもらう

民事法律扶助制度は、経済的困窮者が法的なトラブルに見舞われた際に利用できる制度です。この民事法律扶助制度を利用すれば、現時点で自己破産費用を払えなくても、自己破産ができます。

法テラスの民事法律扶助制度を利用した破産手続きは、下記のとおりです。

  1. 近くの法テラスへ無料相談(近くの法テラスを検索するにはこちらから
  2. 審査(民事法律扶助制度を利用するためには一定の基準を満たさなければいけません)
  3. 援助開始の決定
  4. 自己破産手続きの開始
  5. 事件終了

民事法律扶助制度を利用するための要件は、以下の3つです。

  • 収入要件
  • 勝訴の見込みがあること
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること(報復や宣伝を目的とした訴訟などは不可)

自己破産手続きは、免責不許可事由(自己破産ができない事由)に該当しない限り、勝訴の見込みはあるでしょう。また、民事法律扶助の趣旨に適しているので、2つの条件は満たしていることになります。

収入要件については、保有資産および毎月の収入が一定額以下でなければなりません。また、家族の人数や医療費などを個別に判断されるため、下記に示す表以上の収入があっても、民事法律扶助制度を利用できる可能性があります。

毎月の収入要件

単身 182,000円以下
(200,200円)
2人家族 251,000円以下
(276,100円)
3人家族 272,000円以下
(299,200円)
4人家族 299,000円以下
(328,900円)

※()内は東京大阪などの大都市の場合
※5人家族以上は1人あたり30,000(33,000)円加算

保有資産の要件

単身 180万円以下
2人家族 250万円以下
3人家族 270万円以下
4人家族 300万円以下

参考:法テラス|民事法律扶助制度

毎月の収入要件や保有資産の要件を満たせない人は、弁護士費用を一括または分割で支払う必要があります。弁護士費用も裁判所へ支払う費用も、すべて分割での支払いが可能なので、無理のない範囲で、弁護士と相談のうえ金額を決定するとよいでしょう。

仮に、法テラスの民事法律扶助制度を利用して自己破産手続きをおこなったとしても、生活保護を受給しない限りは返済義務が発生します。法テラスへの返済は、契約後2ヶ月が経過したときです。

どうしても支払えない場合には免除されることもありますが、基本的には支払わなければならないお金です。法テラスと直接依頼の弁護士事務所、どちらに依頼した場合も費用の支払義務があることは覚えておきましょう。

費用の立て替えができるのは専門家の報酬のみ

法テラスの民事法律扶助を利用して費用の立て替えができるのは、弁護士や司法書士に依頼した場合に発生する費用(着手金や報酬、実費など)のみです。裁判所に支払う以下の費用は立て替えの対象外となっています。

  • 申立手数料
  • 官報公告費
  • 予納郵券
  • 引継予納金(管財事件のみ)

法テラスを利用する場合でも、上記の費用は自己破産を申し立てるまでに準備しておかなければなりません。

自己破産にかかる費用は20~130万円

自己破産には、裁判所と弁護士に支払う費用の2つが発生し、全体では20~130万円ほどかかるのが一般的です。なお、それぞれで必要な費用は以下の通りです。

  • 裁判所に支払う費用【2~50万円】
  • 弁護士費用【20〜80万円程度】

裁判所に支払う費用にはいくつか内訳があり、実際に裁判所へ支払う費用がどれくらいかかるのかは、管轄する裁判所や自己破産の種類によって異なります。ここでは東京地方裁判所の場合を例にとって紹介していきます。

参照:破産事件の手続費用一覧 | 東京地方裁判所

裁判所に支払う費用【2~50万円】

裁判所に支払う費用の内訳は以下の通りです。

  • 申立手数料(収入印紙)【1,500円程度】
  • 予納郵券(郵便切手)【4,400円程度】
  • 官報公告費【10,000円〜19,000円程度】
  • 引継予納金【20〜50万円程度】

とくに、引継予納金は自己破産の種類によって大幅に異なるため、自分はどの事例に当てはまるのか確認しましょう。

申立手数料(収入印紙)【1,500円程度】

申立手数料とは、自己破産を申し立てる際に必要となる手数料です。

個人の自己破産(及び免責)申立ての場合は1,500円を、裁判所に対して収入印紙で納めます。収入印紙の貼付がない自己破産の申立書は、窓口に持っていっても受付けてもらえないため注意しましょう。

なお、多くの裁判所には売店が設置されているので、裁判所内の売店で収入印紙を購入することも可能です。

予納郵券(郵便切手)【4,400円程度】

予納郵券とは、債権者に対して申立人が自己破産した旨などを郵送で通知する際に必要なもので、事前に裁判所へ納付しなければなりません。

東京地方裁判所の場合、自己破産申立時に納付する予納郵券の金額は4,400円で、内訳は210円×8枚・140円×1.84円×29枚・10円×12枚・2円×10枚・1円×4枚となります。

予納郵券の金額や内訳は裁判所によって異なりますが、1,000~4,000円程度のことが多いです。

通常は多めに納めるよう設定されていますが、裁判所によってはぴったりの金額を納付(足りなくなれば補充)すればよいという運用をしている場合もあります。

官報公告費【10,000円〜19,000円程度】

官報とは、国や国民についての重要な情報を知らせるための機関紙のことです。自己破産をすると、債権者に自己破産したことを知らせ、自己破産手続きに参加できるようにするために破産手続開始決定と免責許可決定のタイミングで2回、官報に公告されます。

この官報に公告するための費用も、予納金として自己破産の申立時に納付しなければなりません。官報公告にかかる費用は、10,000円〜19,000円程です。

引継予納金【20〜50万円程度】

個人の自己破産において、最も高額な予納金が「引継予納金」です。

引継予納金は、財産などの調査・管理・処分といった破産管財業務にかかる実費や、破産管財人の報酬に充てられます。

調査すべき財産が多かったり、免責不許可事由に該当する疑いがあるなど、対処すべき事柄が多くなるほど、破産管財人の仕事量が増え引継予納金も高額になります。

なお、引継予納金が必要となるのは、破産管財人が選任される管財事件の場合だけで、同時廃止事件の場合には不要です。

引継予納金の金額は裁判所によって異なりますが、20〜50万円が一般的です。

また、この引継ぎ予納金制度には、自己破産に一定のハードルを設けることで無用な自己破産申立てを防止するという意味もあります。

弁護士費用【20〜80万円程度】

自己破産手続きを弁護士に依頼した場合は、裁判所へ支払う費用とは別に弁護士費用がかかります。弁護士費用の金額は一律で決まっているわけではなく、各事務所がそれぞれ定めており、相場はおおむね20〜80万円程度です。

弁護士費用には、弁護士と委任契約を結ぶ際に支払う着手金と、自己破産の手続き終了後に支払う報酬金の大きく2つの種類があります。

着手金は、弁護士に手続きを依頼すると発生する費用です。原則として、一度支払うと返金されないため、途中で委任契約を解除したとしても戻ってこない点に注意しましょう。

また、報酬金は、自己破産の手続きにおいて最終的に免責が下り、借金返済義務の免除が確定すると発生する費用です。報酬金を無料としている弁護士もいますが、その分着手金が割高な場合もあるので注意してください。

着手金と報酬金の金額の目安は、以下のとおりです。

金額の目安
着手金 20万円~50万円
報酬金 0万円~30万円

自己破産費用は事件の種類によって異なる

ここからは、自己破産の種類ごとに、かかる費用の金額や内訳について見ていきましょう。自己破産には、自己破産する時点で残っている財産ごとに以下の3つの種類に分けられます。

  • 同時廃止事件
  • 少額管財事件
  • 通常管財事件

それぞれ、裁判所へ支払う費用や弁護士費用が以下のように異なります。

裁判所へ支払う費用 弁護士費用 総額
同時廃止事件 1~4万円 20~40万円 21~44万円
少額管財事件 約20万円 30~50万円 50万円~
通常管財(特定管財)事件 50万円~ 50~80万円 100万円~

費用の金額に幅がある理由は、自己破産の種類によって手続きにかかる手間や期間などが異なるためです。同時廃止事件の場合は費用が安く、少額管財事件や通常管財事件の場合は費用が高くなる、と考えておきましょう。

ここからは、それぞれの事件について詳しく解説していきます。

同時廃止事件の場合

同時廃止事件とは、債権者への返済として分配するほどの財産がない場合の自己破産です。同時廃止事件は、以下の条件を満たせれば認められる可能性が高いです。

・20万円を超える資産を有していない
・借金の原因が会社の倒産や病気などやむを得ない理由である
・手続き費用の支払いも難しい

安くて魅力的な同時廃止事件ですが、誰でも利用できるわけではないので、注意してください。

東京地方裁判所において同時廃止事件となった場合、裁判所へ支払う費用は以下のようになります。

申立手数料 1,500円
官報公告費 11,859円
予納郵券 4,400円

引継予納金は、破産管財人に対する報酬が主です。破産管財人とは、自己破産者に残った財産を調査し、処分や債権者への分配など管理を行う人のことです。

一般的には、破産者や債権者と関わりがない弁護士の中から裁判所が選定します。同時廃止事件では、破産開始決定と同時に自己破産手続きが終了するため、破産管財業務にかかる実費や破産管財人の報酬は発生しません。

よって引継予納金は不要です。上記に加えて弁護士費用が20〜40万円程度かかるため、費用の総額は約21~44万円となります。

少額管財事件の場合

少額管財事件は「弁護士に依頼して自己破産をおこなう」など、裁判所が定める一定の要件を満たした場合に、破産管財人が自己破産手続きを簡略化して迅速におこなう制度です。

引継予納金があまりに高額だと、自己破産を利用できる人が限られてしまうため、少額な継予納金で自己破産を利用できるように誕生しました。東京地方裁判所において少額管財事件となった場合、裁判所へ支払う費用は以下のようになります。

申立手数料 1,500円
官報公告費 18,543円
予納郵券 4,400円
引継予納金 20万円~(事案によっては増額もあり得る)

ただし、裁判所によっては少額管財事件の運用が無い場合もあるので、事前に確認しておく必要があります。なお、上記に加えて弁護士費用が30〜50万円程度かかるため、費用の総額は約50万円〜となります。

通常管財(特定管財)事件の場合

東京地方裁判所において通常管財(特定管財)事件となった場合、裁判所へ支払う費用は以下のようになります。

申立手数料 1,500円
官報公告費 18,543円
予納郵券 4,400円

さらに通常管財(特定管財)事件の場合も、裁判所に選任された破産管財人が破産者の財産を管理するため、破産管財人の報酬に充てる費用として引継予納金がかかります。通常管財(特定管財)事件の引継予納金は、債務の金額によって以下の表のように変動します。

負債総額(単位:円) 引継予納金
5,000万円未満 50万円
5.000万円~1億円未満 80万円
1億円~5億円未満 150万円
5億円~10億円未満 250万円
10億円~50億円未満 400万円
50億円~100億円未満 500万円
100億円~ 700万円~

ただし、東京地方裁判所など多くの裁判所において、個人の自己破産は少額管財事件として処理するのが通常で、通常管財事件(東京地裁では特定管財事件)となることはほとんどありません。

仮に弁護士へ依頼したうえで通常管財事件となった場合、上記に加えて弁護士費用が50〜80万円程度かかるため、費用の総額は約100万円〜となります。

実際に自己破産をした人によるかかった費用のアンケート結果

ここでは、自己破産をした人が実際にはどれくらいの費用がかかったのかを当サイトが独自に取ったアンケート結果を用いて解説します。

※調査方法…インターネットアンケート
※調査期間…2023年12月
※調査人数…29人

自己破産にかかった費用 該当人数
10万円未満 4人
10万円〜20万円未満 6人
20万円〜30万円未満 5人
30万円〜40万円未満 5人
40万円〜50万円未満 2人
50万円〜60万円未満 3人
60万円〜70万円未満 2人
70万円〜80万円未満 1人
不明 1人

アンケートの結果、10万円未満〜30万円台の費用がかかった人が多い傾向がありました。自己破産にかかる費用相場として、50万円〜120万円程度といわれることもありますが、実際にかかった費用はこの相場よりも低い結果です。

これには、過払い金請求によって返還された金額があったことも関係しています。詳しくは「過払い金を取り戻して費用の支払いに充てる」の見出しで詳しく解説しますが、過払い金があれば場合によっては数十万円が返還されることもあります。

また、「法テラスを利用したために費用がほとんどかからなかった」というアンケート回答もいただきました。法テラスであれば弁護士事務所に直接依頼するよりも費用を抑えられるのが一般的であるため、それがアンケート回答に反映されている可能性もあります。

生活保護受給者は自己破産費用の援助や免除が受けられる可能性がある

自己破産は、生活保護を受給していても手続きが可能です。生活保護受給者であれば、法テラスを利用することで自己破産費用の援助や免除が受けられる可能性があるため、極めて少ない費用負担で自己破産の手続きが行えます。

民事扶助の返還が免除される可能性がある

生活保護受給者であれば、民事扶助の返還が免除される可能性があります。法テラスの民事扶助制度を利用すれば、専門家に支払う費用を立て替えてもらうことが可能ですが、この費用は分割で返還していかなければなりません。

しかし、自己破産後も生活保護を受給している場合は、返還の免除の申請ができます。法テラスに必要な書類を提出し、免除の対象者であると判断されれば、立替金の返済義務が消滅します。

予納金が援助される

自己破産を申し立てる際には、官報公告費や破産管財人の報酬(管財事件のみ)に充てるための予納金を支払う必要があります。予納金は法テラスの立て替え制度の対象外となっているため、通常であれば破産者自身が用意しなければなりません。

しかし、生活保護受給者の場合は、予納金の支払いについても立て替え制度の対象となっており、破産管財人の報酬については20万円を限度に援助が受けられます。

また、自己破産手続きが終了した時点で生活保護を受給していれば、予納金の返済の免除を申請できます。法テラスに必要な書類を提出し、免除の対象者であると判断されれば、予納金の返還も不要となります。

費用を払っても自己破産を弁護士に依頼するメリット

自己破産手続きは自分でもおこなうことが可能ですが、多くの人は弁護士に依頼しています。

高額な費用がかかりますが、弁護士に依頼することで以下のようなメリットを得られるからです。

  • 書類作成などの複雑な手続きを代行してもらえる
  • 督促や返済を一時的にストップできる
  • 免責を得られやすくなる
  • 少額管財事件が利用できるのは弁護士が代理人の場合だけ
  • 自己破産以外の方法も含めて最適な解決策を提示してくれる

次の項目から、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

書類作成などの複雑な手続きを代行してもらえる

自己破産の申立てをするには、自己破産申立書や陳述書(または報告書)などの申請書類を記入して、提出する必要があります。

記入には法律の知識が必要であり、そのような知識のない一般の人にとっては、書類の記入が難しく感じたり、時間もかかるでしょう。

一方で、法律の知識と豊富な実務経験を持つ弁護士なら、必要なポイントをおさえて素早く書類を作成可能です。

取り立てや督促をストップできる

弁護士に自己破産手続きを依頼すると、すぐに弁護士から債権者へ受任通知が送られます。

受任通知とは、弁護士が債務者と委任契約を結んだことを知らせる通知です。受任通知を受け取って以降の債務者に対する督促は、貸金業法第21条で禁じられているため、債権者が受任通知を受け取ると、取り立てや督促が止まります。

とくに、滞納していて毎日のように督促の電話や郵便物が来ていた人は、精神的な負担が軽くなることでしょう。

参照:e-Govポータル「貸金業法第21条」

免責を得られやすくなる

自己破産をすれば絶対に借金の返済義務がなくなるわけではなく、最終的に裁判所から免責許可を得ることで、借金全額の返済義務が免除されます。

免責許可が得られなかった場合、借金の返済義務は残ってしまうので、自己破産をする意味がないといっても過言ではありません。

自己破産において免責許可を得られやすくするには、弁護士へ依頼して自己破産をおこなうことが有効です。

たとえば、免責不許可事由に該当する浪費が原因の借金だったとしても、弁護士が豊富な知識や経験を駆使して裁判所に働きかけてくれるので、裁判所の心証が良くなります。

このように、免責許可を得られやすくなることが、高額な費用を支払ってでも弁護士に依頼する最大のメリットといえます。

少額管財事件が利用できるのは弁護士が代理人の場合だけ

前述の通り、少額管財事件は弁護士が代理人となって手続きをおこなう場合にのみ利用できる制度です。

もし、通常管財事件になれば、裁判所へ支払う費用だけで最低でも50万円程度が必要になります。しかし、弁護士に依頼すれば少額管財事件を利用できるので、裁判所へ支払う費用を約30万円も抑えられるのです。

弁護士に依頼すれば弁護士費用がかかりますが、少額管財事件の場合、裁判所へ支払う費用と弁護士費用を合計しても金額は50万円程度です。

同程度の金額で、かつ免責許可を得られやすくなるのなら、弁護士に依頼して少額管財事件を利用するメリットは大きいといえるでしょう。

自己破産以外の方法も含めて最適な解決策を提示してくれる

弁護士に相談すると、自己破産以外で借金問題を解決できる方法についてもアドバイスをもらえます。

自己破産をすると、借金を帳消しにできる代わりに家などの財産を没収されてしまいます。もし、保証人が設定されている借金があれば、保証人にも迷惑がかかるでしょう。

このようにデメリットの多い自己破産を避けたい場合、他にも借金問題を解決する方法があります。具体的には「任意整理」や「個人再生」といった方法です。

弁護士に相談すると、債務者の希望や状況に応じて、自己破産以外の方法も含めて最適な解決策を提示してもらえるので、まずは無料相談などを利用してみることをおすすめします。

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手続き中に自己破産費用を支払えなくなったらどうなる?

裁判所へ支払う費用や弁護士費用に支払義務はないため、弁護士費用や予納金を支払わなくても、厳しい取り立てが来ることは一切ありません。

そのため、弁護士に自己破産手続きを依頼した後に、裁判所へ支払う費用や弁護士費用が支払えなくなってしまっても、基本的に心配する必要はありません。ただし、何の連絡もなしに支払いが滞ってしまうと、以下のような不利益を被る可能性があります。

  • 裁判所へ支払う費用が支払えないと免責許可が得られない
  • 弁護士費用を支払えなくなると最悪の場合「辞任」となる
  • 支払えなくなる前に相談することで、減額や再分割の対応をしてくれる

もし、自己破産の費用が支払えないとわかったのであれば、必ず弁護士や裁判所へ相談してください。相談すれば、あなたにとって最適な解決策を提案してくれます。

裁判所へ支払う費用が支払えないと免責許可が得られない

裁判所へ支払う費用に、支払い期日は定められていませんが、費用を支払えないと、自己破産手続きが開始されません。

自己破産手続きが開始されなければ、当然終結することもなく、永遠に免責許可が得られないことになります。

裁判所へ支払う費用は原則、分割などに対応していませんが、弁護士と相談のうえ弁護士費用と一緒に積立で用意することが一般的です。

支払えない事情があるのであれば、何の連絡もなしに滞納するのではなく、早めに担当弁護士や裁判所に相談するとよいでしょう。

弁護士費用を支払えなくなると最悪の場合「辞任」となる

最もやってはいけないことが、音信不通や無断で費用を支払わないことです。

弁護士費用を支払えないまま急に音信不通になってしまうと、業務の遂行が困難になり、最悪の場合「辞任」となります。辞任になれば、債権者からの督促も再開し、借金の返済義務も復活するので、支払えないと分かった時点で必ず弁護士に相談しましょう。

支払えなくなる前に相談することで、減額や再分割の対応をしてくれる

弁護士費用を支払えなくても、弁護士へしっかり相談すれば何ら心配はありません。

月々の支払額減額や支払期日の猶予、今後も支払えないのであれば、他の解決策を一緒に模索してくれます。

再分割してもらい、毎月の支払額を減額してもらうなどの解決策を提案してもらえる可能性があるので、必ず相談しましょう。

自己破産手続き前にやってはいけない行動

自己破産の費用が払えないからといって、以下のような行動は絶対にやってはいけません。

  • 財産を隠す
  • 新たに借り入れる
  • 商品の換金行為

これらの行為をすると免責不許可事由に該当するとして自己破産ができなくなったり、刑事罰に問われたりする恐れがあります。ここからは、上記のやってはいけない行動についてそれぞれ詳しく解説していきます。

財産を隠す

自己破産前に財産隠しを行うと、免責許可が下りなかったり、詐欺破産罪という罪に問われたりする恐れがあります。財産隠しとは、具体的に以下のような行為を指します。

  • 預貯金のある口座や返礼解約金のある保険をわざと申告しない
  • 口座から現金を引き出し、家族や知人に預ける
  • 手元にある預金を申告せずに隠す(タンス預金)
  • 離婚による財産分与や売買、贈与などによって、財産が譲渡されたように偽装する
  • 自宅や車などの名義を家族名義に変更する

自己破産はすべての財産を返済に充てる代わりに、残りの債務が免除される手続きなので、わざと手元にある財産を申告しなかったり、不当に財産を減らしたりする行為は認められません。

財産隠しは安易な気持ちでやってしまいがちな行動ですが、破産管財人による財産調査によってほぼ確実にバレてしまうので絶対にやめましょう。

新たに借り入れる

自己破産の費用が払えないからといって、銀行や消費者金融などの金融機関から新たにお金を借り入れてはいけません。返済能力がない状態で借入をすると、免責不許可事由に該当するとして免責が認められず、借金の返済義務がなくならない可能性があります。

「最初から借金を踏み倒すつもりで借りた」「年収や経歴を偽って借りた」など、悪質性が高いと判断された場合は詐欺罪に問われ、10年以下の懲役刑に科されるケースもあります。

新たな借り入れは自己破産ができなくなるどころか、さらに借金が膨らんで状況が悪化してしまう恐れがあるので、絶対に手を出してはいけません。

商品の換金行為

「クレジットカードで購入した商品をすぐ売却して現金を手に入れる」「クレジットカードのショッピング枠を業者に買い取ってもらう」といった、クレジットカードを利用した商品の換金行為もNGです。

破産を前提とした換金行為は、利用代金を一時的に立て替えたクレジットカード会社に大きな損害を与える行為です。これらの換金行為が発覚すると免責不許可事由に該当するとして、裁判所から免責許可が下りない可能性があります。

また、クレジットカードを利用した商品の換金行為はカード会社の規約違反にあたります。換金行為がカード会社に知られると、規約違反のペナルティとしてカードが今後使えなくなったり、信用情報機関のブラックリストに掲載されたりするリスクがあるので絶対にやめましょう。

費用が払えない以外で自己破産が認められないケース

自己破産の費用を払ったとしても、以下のようなケースでは自己破産が認められず、借金が免除されない可能性があります。

  • 免責不許可事由に当てはまる
  • 借金の総額が少額で返済の見込みがある
  • 自己破産しても免責にならない債権のみだった

ここからは、上記のケースについてそれぞれ詳しく解説していきます。

免責不許可事由に当てはまる

借金の理由が免責不許可事由に当てはまる場合、自己破産を申請しても原則として返済義務の免除は認められず、借金は残ったままになります。

免責不許可事由とは、裁判所が原則として返済義務の免除を認めないケースとして規定したもので、主に以下のような事由が該当します。

  • 債務者の財産を不当に減少させる行為(保有財産をわざと申告しない、家族名義に変更するなど)
  • 不当に債務を負担する行為(破産するのを前提とした借り入れ、クレジットカードで購入した商品を直ちに売却するなど)
  • 特定の債権者に利益があるように支払いをする行為
  • 浪費やギャンブルによる借金
  • 裁判所への説明を拒絶したり、虚偽の説明をしたりする行為
  • 過去7年以内に免責を受けたことがある場合

ただし、免責不許可事由に当てはまる場合でも、裁判所の判断で免責が許可されるケースもあります。

借金の総額が少額で返済の見込みがある

借金の総額が100万円以下と比較的少額で、借金の返済の見込みがある場合も、原則として自己破産は認められません。自己破産は収入や財産が不足しており、借金を返済できる見込みがないと裁判所に認められた場合のみ行える手続きです。

借金の総額が少額な場合は、病気やリストラなどで収入がない状態でも、保有財産の売却や任意整理などを行うことで借金の返済が可能であると判断されやすいため、自己破産の申し立てが却下される可能性があります。

借金の総額が少額で返済が難しい場合は、まず任意整理や個人再生の手続きを行うことを検討してみましょう。

自己破産しても免責にならない債権のみだった

自己破産が認められても、すべての支払い義務が免除されるわけではありません。以下のような免責にならない債権は、自己破産後も支払い義務が残り続けます。

  • 税金や年金、保険料などの公租公課
  • 罰金や科料、追徴金、過料、交通違反の反則金
  • 夫婦や親子、親族間の扶養義務に基づく債権(養育費や婚姻費用など)
  • 重大な過失や故意が認められる場合の損害賠償金
  • 債権者名簿に記載していない債権
  • 雇用関係に基づいた使用人への給料や預り金

非免責債権しか残っていない場合は、自己破産をしても免責が認められないため、手続きを行う意味がありません。

どうしても自己破産の費用が払えない場合の対処法

前述したとおり、自己破産はさまざまな公的支援は弁護士の協力により、すぐに費用を用意できなくても問題ありません。

しかし、なかには「分割払いが可能だとしても弁護士費用の支払いが不安」「収入要件を満たせず法テラスの民事法律扶助を利用できない」などの理由から諦めてしまう人もいるかもしれません。

その場合、以下の方法であれば最小限の費用で自己破産が可能です。

  • 財産を処分して費用の支払いに充てる
  • 過払い金を取り戻して費用の支払いに充てる
  • 司法書士に依頼する
  • 自分で自己破産手続きをおこなう

ただし、ここで紹介する方法は利用できる人が限られていたり、デメリットもあるため、一度弁護士の無料相談を利用して、自分の状況に適した方法かどうかアドバイスを受けるのがおすすめです。

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財産を処分して費用の支払いに充てる

少額管財事件(または通常管財事件)になった場合、破産手続開始決定時点で債務者が保有している財産は、一部を除いて換価処分の対象となります。換価処分された財産は、債権者へ配当されます。

預貯金や生命保険の解約払戻金など、一点で20万円以上の価値がある財産は基本的に換価処分の対象です。これを自己破産の申立前に現金化して、弁護士費用に充てることで、保有財産が減少し、同時廃止事件になる可能性が出てきます。

この方法なら、少額管財の場合は約20万円かかる裁判所へ支払う費用を1〜4万円程度で済ませられるので、自己破産にかかる費用を格段に抑えられます。

また、本来は債権者へ配当されてしまう財産を弁護士費用の支払いに充てられるので、弁護士費用の支払負担も軽減できるでしょう。

弁護士が自己破産の申立てに必要な書類を作成する際、債務者の保有する財産についても調査するので、その際に「弁護士費用に当てられる財産はないか」を相談してみるとよいでしょう。

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過払い金を取り戻して費用の支払いに充てる

弁護士に自己破産手続きを依頼して債権調査をおこなうと、過払い金があると発覚することがあります。

過払い金とは、利息制限法で定められた上限を超えて支払った利息のことで、過払い金返還請求をすることにより後から取り戻せる可能性があります。取り戻した過払い金は、裁判所へ支払う費用の支払いに充てることが可能です。

2010年(平成22年)6月17日以前から借入をしている場合は、過払い金が発生している可能性が高いです。

また、借金を完済していても、完済から10年以内であれば過払い金返還請求が可能なので、完済済みで自己破産手続きに関係がない場合でも、弁護士へ申告しておくとよいでしょう。

なお、自己破産手続きに加えて過払い金返還請求を依頼した場合は、取り戻した過払い金の金額に応じて別途弁護士費用が必要です。ただし、報酬は取り戻した過払い金の中から差し引くので、別途費用を準備する必要はありません。

司法書士に依頼する

自己破産手続きを依頼できる法律の専門家として、弁護士以外に司法書士が挙げられます。

司法書士に自己破産手続きを依頼した場合の費用相場は10〜30万円程度で、事務所によって金額が異なるものの、一般的には弁護士よりも少し安く済むことがほとんどです。

ただし、弁護士であれば自己破産手続きのほとんどを代理でおこなえるのに対し、司法書士が代行できるのは文書作成業務のみと定められています。

そのため、司法書士に依頼すると、裁判所での面接(審尋)や債権者集会における債権者とのやりとりなどについて、自分自身で対応しなければなりません。

また、管財事件の場合、弁護士に依頼していれば少額管財事件となって費用が安くなりますが、司法書士に依頼した場合は通常管財事件となり、50万円以上の費用が必要になります。

結果、費用総額は高くなってしまう恐れがあるため、総額や手前などを考慮したうえで決めるのがおすすめです。

自分で自己破産手続きをおこなう

どうしても、自己破産の費用を支払えないのであれば、自分で自己破産手続きをおこなうという方法もあります。

ただし、自分で自己破産手続きをおこなう場合には、受任通知が発送されることはないため、手続き完了までずっと督促が続きます。

さらに、弁護士などへ依頼すれば利用できる「即日面接制度(手続きが短くなる)」や「少額管財事件(裁判書に支払う費用を少額に抑えられる)」が利用できません。加えて膨大な書類を準備しなければならなかったり、頻繁に裁判所へ行かなければならないなど、多くのデメリットを受け入れる必要があります。

どうしても自己破産の費用が支払えないのであれば、前述した費用の分割払いに対応してくれる弁護士事務所や法テラスの民事法律扶助制度の利用を検討してみてください。

まとめ

今回は、自己破産の費用が払えない人でも、安心・安全に自己破産手続きをおこなえる方法などについてお伝えしました。自己破産の費用は一括で支払う必要はなく、毎月、弁護士事務所へ積み立てることも可能です。

一方で、弁護士費用の滞納や裁判所へ支払う費用の未納付は、辞任や免責許可が得られないなどの不利益をもたらし自分自身の首を絞めることになります。もし、支払いが厳しいのであれば、弁護士や裁判所にしっかりと相談をするように心がけてください。

自己破産手続き前や手続き中に、費用が払えなくても何ら心配をする必要はありません。安心して、弁護士へ相談してみてください。

自己破産に関してよくある質問

自己破産の費用相場はどれくらいですか?

一般的には30万円程度です。
ただ、管財事件となると50万円以上かかることも珍しくありません。

自己破産によって賃貸借物件を追い出されることはありますか?

自己破産を原因に、借りている部屋を追い出されることはありません。
ただし、家賃の滞納をしていると、強制退去になる可能性もあります。

借金の返済で生活が苦しいのですが、自己破産をすると人生終わりですか?

そんなことはありません。自己破産は国に認められた借金の救済制度で、裁判所に認められて借金の返済義務をなくし、再スタートを切るためのものです。借金が多額で返済が困難な場合は、自己破産も視野に弁護士に相談してみるとよいでしょう。

自己破産の費用を分割で払えますか?

弁護士費用については分割が認められるのが一般的です。しかし、申立手数料などの費用は一括でのみ支払いが必要です。

自己破産の予納金が支払えない場合どうなりますか?

自己破産の予納金が支払えないと、手続きを始めることができません。支払いをしないまま放置すると、最終的に自己破産の申し立てが却下されてしまいます。期限までに予納金を支払うのが難しい場合は、弁護士に依頼して返済がストップしている間に予納金を積み立てるか、予納金を分割払いにしてもらえないか裁判所に相談してみましょう。

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更新日 : 2024年11月18日
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