自己破産をするとカードローンの借金も原則返済免除になる
自己破産は、抱えているすべての借金が免責される手続きです。裁判所から免責許可が下れば、たとえ個人間の借金であっても原則的には返済義務がなくなります。
カードローンの借金も免責の対象になるため、消費者金融や銀行、信販会社などの金融機関にかかわらず自己破産をすればカードローンの借金が帳消しになります。
そのため、カードローンなどの借金が返済できない場合には、最終手段として自己破産を検討するのもよいでしょう。
なお、自己破産の免責対象になる借金としては、下記が挙げられます。
- カードローンの借金
- クレジットカードの利用金額
- 自動車ローンや教育ローンなどの目的別ローン
- 奨学金
- 滞納している家賃や携帯電話料金 など
自己破産で支払いが免除されない債権もある
「自己破産をすればすべての支払いが免除されるのか」のように考える人もいるかもしれませんが、免除されない支払いもあるため注意が必要です。
非免責債権とは、自己破産をしても支払いが免責されない債権のことです。非免責債権に該当するものは、自己破産をしたとしても支払いをしなければなりません。
非免責債権に該当する支払いの例としては、下記が挙げられます。
- 税金
- 国民健康保険料
- 年金
- 養育費や婚姻費用
- 未払いの給与・預かり金
- 交通事故などによる損害賠償債務
- 罰金
カードローンを自己破産するには条件を満たす必要がある
カードローンなどからの借金を自己破産するには、裁判所からの許可が必須になります。そのため、自己破産の申し立てをしたからといって、必ずカードローンなどの借金が帳消しになるわけではありません。
そして、自己破産が認められるには、下記の条件を満たしている必要があります。
- カードローンを含めた借金の支払いが不能な状態にあること
- 免責不許可事由に該当しないこと
どちらかでも満たしていない条件がある場合、裁判所からカードローンなどの借金の自己破産が認められません。ここからは、カードローンなどの借金を自己破産するための条件について、それぞれ詳しく解説していきます。
カードローンを含めた借金の支払いが不能な状態にあること
自己破産をするための条件として、カードローンを含めた借金の支払いが不能な状態にあることが挙げられます。
支払いが不能な状態は、下記のような項目をみて、裁判所によって客観的に判断されます。
- 借金の総額
- 借入先の金利や借入額
- 毎月の返済額
- 財産の総額
- 毎月の収入
- 職業
- 家族構成
- 毎月の出費の状況
現状でカードローンなどの支払いが難しい場合だからといって、必ず自己破産が認められるとは限りません。たとえば、カードローンなどからの借金が高額であったとしても、それを超えるほどの預貯金があればこの条件を満たせない可能性があります。
あくまで目安でになりますが、借金総額が100万円以上の場合や年収の1/3を上回る場合でないと、支払不能とは判断されずに自己破産が認められにくいです。
免責不許可事由に該当しないこと
自己破産の条件として、カードローンなどからの借金が免責不許可事由に該当しないことが挙げられます。
免責不許可事由とは、自己破産の手続きをしたとしても、借金の支払いの免責が許可されない事由のことです。カードローンにおいて言えば、下記のような理由で抱えた借金の場合は、免責不許可事由に該当してしまう可能性があります。
- 浪費やギャンブルのためにカードローンで借入をした
- 友人や金融機関など、特定の債権者にだけ優先的に返済をした
- 自己破産をする前提でカードローンで借入をした
自己破産は、借金問題を抱えている人の今後の生活を再建させることを目的とした手続きです。単に借金を帳消しにすることを目的としているわけではないため、免責不許可事由というルールが設けられています。
免責不許可事由に該当する場合でも裁量免責により自己破産が認められるケースもある
カードローンなどからの借金が免責不許可事由に該当する場合であっても、裁量免責によって裁判所から自己破産を認められるケースもあり、これを「裁量免責」といいます。
借金を抱えた理由などの個人的な事情を踏まえて、裁判所から考慮すべき事情があると判断された場合に裁量免責になるのが一般的です。裁量免責となるケースの具体例としては、下記が挙げられます。
- 自己破産をすることで経済的な更生の可能性がある
- 自己破産手続に協力的な姿勢がみられる
自己破産の目的は債務者の生活再建であるため、免責不許可事由に該当している場合でも経済的な更生の可能性があると判断されれば、裁量免責になる可能性があります。
たとえば、カードローンの借金の理由がギャンブルであった場合、原則的には免責不許可事由に該当します。しかし、「今後ギャンブルはしない」と誓ったうえで、今後の家計収支表を作成するなど、今後の生活再建を目指す姿勢を示すことで裁量免責になることも考えられます。
カードローンの借金を自己破産する場合の手続きの流れ
カードローンの借金だけに限った話ではありませんが、自己破産する場合には裁判所での申し立てが必要です。申し立てをするためには必要書類の作成といったさまざまな準備をしなければなりません。
書類の準備などが遅れてしまうとその分自己破産にかかる期間が長期化してしまうため、カードローンの借金を自己破産する場合には手続きの流れを把握しておくのがよいでしょう。
おおまかな流れになりますが、自己破産の手続きは下記のような流れで行われます。
流れ
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概要
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1. 弁護士に自己破産の相談や依頼をする
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インターネットや電話などで、弁護士事務所に連絡をして自己破産に関する相談や依頼をする。
実際に依頼することが決定すれば、その弁護士と委任契約を締結させる。
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2. 取引履歴の開示請求書と受任通知が債権者に発送される
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弁護士と委任契約を結んだ後は、カードローン会社などの債権者に対して、受任通知と取引履歴が発送される。
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3. 取引履歴をもとに債務額の確定や引き直し計算が行われる
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債権者から開示された取引履歴をもとに、借金の残債がいくらあるのかを確定させる。
また、利息制限法に基づいた利率に直したうえで利息を再計算する「引き直し計算」も行われる。
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4. 過払い金返還請求書の送付
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過払い金が発生している場合、その金額の返還を求めるための請求書を債権者に送付する。
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5. 申立書を作成し、裁判所に提出をする
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必要書類を準備したうえで、収入・資産状況などを確認する。そのうえで弁護士から申立書・陳述書などを作成してもらう。
そして、破産者が住んでいる地域を管轄する地方裁判所で自己破産の申し立てを行う。
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6. 裁判所で即日面接が行われる(東京地裁の場合のみ)
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裁判所へ申立しその場で裁判官との面接を行います。この面接は弁護士のみで行い、債務者は同席する必要はありません。
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7. 破産手続の開始が決定される
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破産手続の開始が決定されると破産管財人が選任されます。
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8. 管財人による面接が行われる
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管財人が、直接債務者本人に質問を行い、借金の内容・時期・理由、収支・財産の内容、免責の問題点等について審問を行います。特に問題がなければ30分ほどで終了します。弁護士に依頼している場合は、弁護士が同席することが多いので、フォローしてもらえます。
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9. 債権者集会が行われる
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申立から3~4か月後に裁判官・破産管財人とともに債権者集会が行われます。債務者は債権者集会には必ず出席する必要があります。
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10. 免責許可の決定がくだり、自己破産が完了する
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債権者集会からおおよそ1週間ほどで免責許可決定が下ります。
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なお、あくまで一般的な目安ですが、自己破産にかかる期間としては6か月〜1年程度と言われています。
不備のない必要書類の提出などの対応が早ければ早いほど、自己破産にかかる期間を短縮できると考えられるため、上記の流れを把握したうえで弁護士に相談するようにしてみてください。
カードローンの借金を自己破産することにはさまざまなデメリットがある
自己破産をするとカードローンを含めたすべての借金が原則帳消しになります。借金問題の解決につながるメリットがある一方で、自己破産にはさまざまなデメリットもあるため注意が必要です。
カードローンの借金を自己破産することのデメリットとしては、下記が挙げられます。
- いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になる
- 持ち家や自動車といった自身名義の財産が処分される
- 連帯保証人を立ててローンを利用している場合にはその人に返済義務が生じる
- 銀行カードローンを利用している場合にはその銀行の口座が凍結される可能性がある
- 自己破産をした事実が官報に掲載される
- 一部の資格が制限される
とくに、いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になるデメリットは、自己破産後の生活に影響を及ぼしうるものです。そのため、自己破産をする際には、事前にデメリットを把握したうえで、「本当に手続きをするべきか」を十分に検討することが大切です。
ここからは、カードローンの借金を自己破産することのデメリットについて、それぞれ詳しく解説していきます。
いわゆる「ブラックリスト入り」の状態になる
自己破産のデメリットには、いわゆる「ブラックリスト入り」になることが挙げられます。
前提として、ブラックリストの存在は金融機関から公表されているわけではありません。あくまで一般的に使用されている表現であり、「返済能力を疑われるような履歴が信用情報として残っている状態」を指します。
信用情報とは、ローンやクレジットカードなどの利用履歴のことです。「個人信用情報機関」という国内に3社ある機関で保管・管理されており、消費者金融やクレジットカード会社、銀行などの金融機関に共有されます。
消費者金融やクレジットカード会社といった金融機関は、審査の際に申込者の信用情報をチェックしたうえで返済能力の有無を判断しています。自己破産の履歴は返済能力を疑われる可能性があり、返済能力がないと判断されればローンなどの審査には通りません。
つまり、「自己破産をすると必ず審査に通らなくなる」とは言い切れませんが、返済能力を疑われやすい状態になるため、審査に通るのが難しくなるのです。
なお、自己破産をした後に審査に通りづらくなるものの例としては、下記が挙げられます。
- クレジットカード
- カードローンのような無担保ローン
- 教育ローンや住宅ローンなどの目的別ローン
- スマートフォンやパソコンなどの割賦払い契約
- 保証会社を通した賃貸住宅の契約
持ち家や自動車といった自身名義の財産が処分される
自己破産のデメリットとしては、持ち家や自動車といった自身名義の財産が処分されることが挙げられます。
自己破産という制度を簡単に説明すれば、「所有している財産を換価処分したうえで、それでも返済ができない分の負債の返済責任が免除される制度」といえます。生活を送るうえで必要最低限のものは手元に残せますが、それ以外の財産は差し押さえの対象になります。
具体的には、「99万円を超える現金」「20万円以上の価値がある財産」が自己破産による差し押さえの対象に該当します。
連帯保証人を立ててローンを利用している場合にはその人に返済義務が生じる
自己破産のデメリットとしては、連帯保証人を立ててローンを利用している場合にはその人に返済義務が生じることが挙げられます。
自己破産をすると、原則カードローンなどの借金が帳消しになります。その場合、債権者からすれば貸倒れになってしまうため、連帯保証人がいる場合にはその人に一括請求をするのが一般的です。
「連帯保証人に迷惑をかけたくない」のように考える人もいるかもしれませんが、自己破産によって連帯保証人に一括請求がきてしまえば、その人に迷惑をかけてしまうことになりかねません。
連帯保証人を立ててローンを利用している場合に自己破産をするのであれば、手続きをする前にその人へ相談をするようにしてみてください。
銀行カードローンを利用している場合にはその銀行の口座が凍結される可能性がある
自己破産を検討している人のなかには、銀行カードローンからの借入がある人もいることでしょう。その場合、借入先となる銀行の口座が一時的に凍結する可能性があるため注意が必要です。
債務者の預金口座が差し押さえられた場合、状況次第では口座が凍結するリスクがある点に注意が必要です。これは、債権者である銀行が貸倒れを防ぐため、債務者名義の口座残高がカードローン残債の返済に充てられることが理由になります。
前述したように、自己破産をすると銀行の預貯金も差し押さえの対象になります。本来は差し押さえになるはずの預貯金を事前に引き出されてしまうことを防ぐためにも、一時的に講座が利用できなくなってしまうのです。
銀行口座が凍結されると、預金の引き出しだけでなく、その口座を利用した口座振替などもできなくなります。
公共料金や携帯電話などの支払いを債権者となる銀行の口座で行っている場合、それらの支払いを滞納してしまう可能性もあるため、自己破産の前には支払方法を変更しておくのがよいでしょう。
自己破産をした事実が官報に掲載される
自己破産のデメリットとしては、国が刊行する「官報」にその情報が掲載されることが挙げられます。
官報とは、国が発行する新聞のようなもので、国が国民に周知すべきさまざまな情報が掲載されています。官報は一般に公表されており、掲載を差し止める方法はありません。
そのため、官報に掲載された情報から、自己破産をした事実が知られてしまうリスクは否定できません。
とはいえ、一般の方で官報を読んでいる人は非常に少ないと考えられます。官報の主な役割は国や自治体の交付や告知ですが、日常的に読んでいるのは自治体の税担当者など限られた人たちであるためです。
一部の資格が制限される
自己破産のデメリットとしては、一部の資格が制限されることが挙げられます。資格が制限されてしまえば、その資格が必要な業務を行えなくなるため、職業によっては仕事に影響が出てしまうことがあります。
自己破産によって制限される資格については、下記のとおりです。
ジャンル
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職業制限を受ける仕事・役職の具体例
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士業系
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弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、宅地建物取扱士、通関士など
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公職系
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人事院の人事官、教育委員会の教育委員、公正取引委員、公証人、人事院の人事官、都道府県の公安委員など
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団体役員系
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商工会議所、日本銀行、信用金庫、金融商品取引業、労働派遣業など
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会社法上の役員
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取締役、執行役員、監査役など
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その他の仕事
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警備員、生命保険募集人、質屋経営者、旅行業務取扱いの登録者・管理者、建築業経営者、廃棄物処理業者、調教師、騎手、風俗業管理者など
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職業が制限されるのは手続き開始からおおむね数か月〜半年程度です。制限が解除された後は通常どおり業務を行えます。
また、資格が制限される職業で働いている場合、自己破産を理由に解雇されることは不当解雇にあたります。自己破産の職業制限が解雇の理由にはならないため、この点については安心してください。
自己破産直後にカードローンを利用するのは難しい
インターネットなどでも情報がみられるように、自己破産をした後はいわゆる「ブラックリスト入り」の状態になります。そのため、自己破産直後にカードローンを利用することは難しいです。
前提から伝えますが、実は「ブラックリスト」と呼ばれているものの存在は金融機関から公表されているわけではありません。あくまで一般的に使用されている表現でしかなく、「返済能力を疑われるような履歴が信用情報として残っている状態」を指します。
信用情報とは、ローンやクレジットカードなどの利用履歴のことです。消費者金融や銀行といったカードローンを提供している金融機関にも共有されています。
カードローンの審査では、申込者の返済能力があるかどうかを判断するために信用情報が必ず確認されます。返済能力があると判断された場合のみ、カードローンの審査に通過できる仕組みです。
そして、自己破産をすると信用情報としてその履歴が記録されます。自己破産の履歴が残っている状態では返済能力を疑われやすくなるため、カードローンを含めたローンの審査に通るのが難しくなってしまうのです。
カードローンの利用条件に「自己破産をしていないこと」のような項目がない以上は審査に通る可能性も否定はできませんが、基本的には審査に通らなくなることを考えておくのが無難でしょう。
自己破産をしてから5年〜7年が経過していればカードローンを利用できる可能性はある
自己破産をした直後は審査に通るのは難しいですが、手続きから5年〜7年が経過していればカードローンの審査に通る可能性はあります。自己破産の履歴は最長5年〜7年で信用情報から抹消されるためです。
実際に、信用情報を保管・管理している個人信用情報機関の3社では、自己破産の履歴の保有期間を下記のように公表しています。
※個人信用情報機関名をタップ・クリックすることで、該当するページを確認できます。
自己破産の履歴が信用情報から抹消されれば、ブラックリスト入りの状態は解消されるため、カードローンの審査に通る可能性があるといえるのです。
ただし、あくまで自己破産の履歴が抹消されるだけであって、信用情報としてほかにも延滞などの履歴が残っている場合には、返済能力を疑われてしまう可能性はあります。
また、定められた利用条件を満たさなければカードローンを利用することはできないため、自己破産の履歴が抹消されれば審査に必ず通るというわけではありません。
自己破産後にカードローンなどで借入をする場合には事前に信用情報の開示請求をすることも検討する
自己破産をした後には、どうしてもお金が必要になってカードローンなどで借入をすることを検討するかもしれません。
前述したように、自己破産の履歴が信用情報として残っている期間は、カードローンなどの審査に通ることは難しいです。そのため、自己破産後に借入が必要な場合には、事前に信用情報を確認しておくのがよいでしょう。
信用情報は個人信用情報機関に開示請求をすることで確認できます。個人信用情報機関は国内に3社あり、それぞれで加盟している金融機関が下記のように異なります。
個人信用情報機関
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加盟している金融機関の例
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株式会社シー・アイ・シー(CIC)
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・信販会社
・クレジットカード会社
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日本信用情報機構(JICC)
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・消費者金融
・クレジットカード会社
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全国銀行個人信用情報センター(KSC)
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・銀行
・信用金庫
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たとえば、消費者金融のカードローンを自己破産した履歴を確認したい場合、信用情報の開示請求の申請先は日本信用情報機構(JICC)となります。
信用情報の開示請求は、基本的に「インターネット」「郵送」「窓口」の3種類の方法で行えます。信用情報の開示請求の手順や必要書類については、下記の記事で詳しく解説しているため参考にしてみてください。
自己破産後にカードローンなどで借入をする場合に気をつけるべきこと
自己破産は借金問題を解決させて生活を立て直すための手続きです。そのため、自己破産をした場合、不要な借入は推奨できません。
とはいえ、今後の生活を送るうえで、どうしてもお金が必要になることもあるかもしれません。そのような場合、下記に注意するようにしてみてください。
- 収入に関する利用条件を満たしていなければ審査に通らない
- いわゆる「社内ブラック」として扱われた金融機関のカードローンは利用が難しい
ここからは、万が一自己破産後にカードローンなどで借入をする場合に気をつけるべきことについて、それぞれ解説していきます。
収入に関する利用条件を満たしていなければ審査に通らない
カードローンなどのローンを利用するには、その金融機関が定めている利用条件を満たさなければなりません。仮に自己破産の履歴が抹消された後にローンを申し込んだとしても、利用条件を満たしていなければ審査には通りません。
たとえば、多くのカードローンでは、「安定した収入があること」のように収入に関する利用条件が定められています。安定した収入についての定義は公表されていない傾向がありますが、一般的には「給料などの収入が毎月あること」とされています。
そのため、無職や休職の場合には、自己破産の履歴が消えていたとしてもカードローンの審査に通りません。
なお、ローンの利用条件は金融機関によって異なります。基本的には公式サイトで利用条件が公表されているため、どうしても借入が必要になった際には条件を満たしているかどうかを確認しておくのがよいでしょう。
いわゆる「社内ブラック」として扱われた金融機関のカードローンは利用が難しい
自己破産の履歴は最長5年〜7年が経過すれば、信用情報から抹消されます。しかし、その金融機関が独自で保管している情報については、自己破産の保管期間が公表されていません。
あくまで仮説ですが、自己破産の対象となったカードローン会社では、その履歴が半永久的に保管されている可能性もあります。インターネット上では、この状態を「社内ブラック」と呼ばれています。
社内ブラックとして扱われた場合、自己破産から7年以上が経過していたとしても、そのカードローンの審査に通らないことも否定できません。
そのため、自己破産後にカードローンなどの借入が必要になった場合、社内ブラックによって審査に通らないことも考慮して、自己破産の対象にしたローンには申し込まないことも考えておくとよいでしょう。
自己破産後に借入が必要でも絶対に手を出すべきではない行為
自己破産をする前であれば検討していないかもしれませんが、急な出費などが原因でどうしても借入が必要になる可能性は0ではありません。
その際にカードローンなどから借入をしたいと考えても、自己破産をすると最長5年〜7年の間はブラックリスト入りとなることから審査に通るのが難しくなります。このような場合、「どうにかお金を用意する方法はないか」と考えるかもしれません。
自己破産後にどうしてもお金が必要であったとしても、下記のような方法には手を出さないようにしてください。
- 闇金などの違法業者からの借入
- クレジットカードの現金化
- 闇バイト
上記のような方法に手を出すと、自身の状況をさらに悪化させる可能性があるうえに、犯罪に加担してしまうことになりかねません。また、友人や家族などにも悪影響を及ぼすリスクも否めません。
ここからは、自己破産後に借入が必要でも絶対に手を出すべきではない行為について、それぞれ詳しく解説していきます。
闇金などの違法業者から借入する
自己破産後でカードローンの審査に通らない場合には、闇金のような違法業者からの借入を考えてしまう場面もあるかもしれません。
しかし、どのような事情があったとしても、闇金のような違法業者からの借入は絶対に避けてください。闇金にかかわると、自身だけでなく家族や職場、友人にも悪影響が及ぶリスクがあります。
闇金は法律を守らずに貸付を行っています。借入をしてしまうと、法外な金利による利息の請求や悪質な取り立て行為といった被害に遭ってしまう可能性があります。
さらに、自分だけでなく、会社や家族といった周囲の人に対しても取り立て被害が及ぶ危険性もあります。最終的には弁護士や司法書士に相談する以外に解決の方法がない状況にもなりえるため、怪しい業者からの借入は絶対に避けましょう。
クレジットカードの現金化のような規約違反行為に手を出す
自己破産後でカードローンの審査に通らない場合には、クレジットカードの現金化を検討することもあるかもしれません。しかし、クレジットカードの現金化は、カード会社が定める利用規約に違反する行為であるため手を出さないようにしてください。
クレジットカードの現金化とは、クレジットカードのショッピング枠を利用して現金を得る方法のことです。現金化の行為が発覚すれば、カードの利用停止や強制解約となる可能性があり、その場合には利用残高を一括請求されると考えられます。
なお、インターネットなどでは、クレジットカードの現金化に対して「合法」「安心」などと紹介されていることもあります。そのような情報を鵜呑みにすると、お金の問題を抱えている状態で利用分の金額を一括で支払わなければならないことにもなりかねません。
さらに事態を悪化させるリスクがあるため、クレジットカードの現金化を検討するのは避けてください。
闇バイトに手を出す
警察庁が「いわゆる「闇バイト」の危険性について」で注意喚起をしているように、近年SNSやインターネット掲示板などを通して闇バイトを募集する投稿が多々みられます。
闇バイトとは、高額報酬をちらつかせて違法行為を行わせるバイトのことです。
「高収入」「即日即金」などの文言に惹かれて応募してしまうと、振込詐欺の受け子や、薬物の運び屋など、犯罪行為に加担させられる可能性があります。事態が発覚すれば、自分が犯罪者として逮捕されてしまうことになりかねません。
途中でおかしいと思っても、「家族に危害を加える」などと脅されてしまい辞めたくても辞められない状態になる可能性もあります。甘い話には乗らず、一切関わらないよう注意しましょう。
まとめ
自己破産をするとカードローンを含めたすべての借金が原則免責されます。そのため、カードローンの返済ができない状態であっても、自己破産をすることで借金問題を解決できます。
しかし、自己破産をするには、「借金の支払いが不能な状態にある」「免責不許可事由に該当しない」という条件を満たす必要があります。これらの条件を満たしていなければ、自己破産の手続きを進めたとしても、裁判所から免責が認められません。
そのため、カードローンの借金などの自己破産を検討している場合、まずは条件を満たしているのかどうかを確かめておくのがよいでしょう。専門的な知識が必要になるため、その際には弁護士に相談することをおすすめします。
なお、自己破産は債務者の生活再建を目的としたものです。そのため、自己破産をした後には再度借金問題を抱えてしまわないように心がけることが大切です。
とはいえ、今後の生活でどうしても借入が必要な状況になることも考えられます。その際には返済可能な範囲で借入することを前提に、「信用情報に履歴が残っていないかを確認する」「社内ブラックとして扱われていないローンに申し込む」といった対策を講じてみてください。
カードローンからの借金を自己破産することについてのよくある質問
カードローンなどの借金を自己破産しても借りられるローンはありますか?
前提として、自己破産をしたからローンを絶対に利用できないとは言い切れません。一般的に、「自己破産をするとブラックリスト入りとなりローンの審査に通らない」と言われていますが、実際にはこれが絶対に正しいとは断言できないのです。
とはいえ、自己破産をした場合にはその履歴が信用情報として残るため、金融機関から返済能力を疑われやすくなるのは事実です。そのため、多くのローンを利用することは難しくなるでしょう。
カードローンを自己破産すると他のローンも利用できなくなるのでしょうか?
信用情報はさまざまなローンの審査で確認されます。具体的には「自動車ローン」「教育ローン」「住宅ローン」などが挙げられます。
これらのローンでも返済能力の有無を判断する要素の1つとして信用情報を確認しているため、自己破産をするとカードローン以外の審査にも通りづらくなります。
カードローンを自己破産するとクレジットカードは利用できなくなるのでしょうか?
基本的にはクレジットカードも利用が難しくなります。
自己破産をした場合、カードローン以外にもクレジットカードの利用残高も免責の対象になります。そして、現在契約しているクレジットカードは契約解除になるのが一般的です。
また、信用情報として登録される自己破産の履歴から返済能力を疑われやすくなるため、クレジットカードの審査に通ることも難しくなります。
つまり、現在契約中のクレジットカードは利用できなくなるうえに、新規で発行することも難しくなってしまうのです。
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