自己破産してからローンが組めるようになるのは5~7年後
自己破産したあと、新たにローンを組めるようになるまでに5~7年かかります。
自己破産とは、裁判所に申し立てを行い債務の返済が困難であることを認めてもらう手続きです。
免責が認められると、税金や養育費などの非免責債権を除くすべての借入金をゼロにすることができます。
しかし、自己破産するとその事実が信用情報機関に事故情報として登録されます。
ただし、永久に信用情報機関に事故情報が登録されているわけではありません。
次の表は、自己破産の登録期間を信用情報機関別にまとめたものです。
自己破産の登録期間
信用情報機関 |
事故情報が削除されるまでの期間 |
CIC(株式会社シーアイシー) |
免責許可決定が確認・登録された日から5年間 |
JICC(株式会社日本信用情報機構) |
契約継続中及び契約終了後5年以内 |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) |
破産手続開始決定日から7年を超えない期間 |
信用情報機関は、クレジットやローンの利用状況や返済状況など個人の信用に関する情報を管理する機関です。日本には、消費者金融、クレジット・信販会社、金融機関が業態ごとに設立した3つの個人信用情報機関があります。
新たに融資するにあたり、ローン会社やクレジットカード会社は必ず信用情報機関に登録された情報を照会します。
照会した情報に自己破産の事故情報が含まれている場合、貸し倒れのリスクがあると判断されるため審査に通りません。
自己破産時に債権者だった会社からは5~7年経ってもローンを組めない可能性もある
信用情報機関に登録される期間は5~7年ですがそれ以降もローンを組めない会社もあります。
自己破産したときに債権者だった会社は、社内で独自に債務整理の情報を共有し、債務整理の契約者への対応方法を規定していると言われています。
つまり、「自己破産した記録をいつまで残すか」また「自己破産した債務者の審査基準をどうするか」は企業ごとの判断となるため、一律に何年経過すれば融資対象となるかは分かりません。
なかには債務整理の事実は消えることはなく、一度情報が登録されると以後借り入れはできない会社もあります。
そのため。基本的には、自己破産時の債権者であった会社から融資を受けるのは難しいと考えていたほうがよいでしょう。
【ローン別】ローンが組めるようになるまでの期間
次の表は、ローンの種類別に自己破産後ロームが組めるようになる期間をまとめたものです。
ローンの種類 |
期間 |
概要 |
住宅ローン |
基本的に7年 |
融資を行うのはほとんどが銀行であるため7年間は融資を受けることは難しい |
自動車ローン |
5年~7年 |
借入先は銀行や信販会社、ディーラー、販売店など。銀行から借り入れする場合は7年間、信販会社やディーラーから借り入れする場合は5年程度は難しい。販売店の独自のローンでは、5~7年経過しなくても組める場合もある。 |
教育ローン |
基本的に7年 |
教育費のためのローン商品の借入先は、主に銀行や信用金庫であるため7年程度はローンを組むことは難しい。信販会社を利用する際でも5年程度は難しい。 |
カードローン |
5年~7年 |
利用目的が基本的に自由なカードローンは、銀行から信販会社、クレジット会社、消費者金融まで借入先はさまざま。借入先に応じて5~7年程度は難しい |
フリーローン |
5年~7年 |
利用目的に制限のないフリーローンの主な借入先は銀行系。一部の信販会社やクレジットカードでも取扱いあり。銀行からの借り入れの場合7年程度、信販会社やクレジットカード会社の場合5年程度は難しい |
自動車ローンは自己破産後にも契約できるものもある
さまざまなローン商品があるなかで、自動車ローンは自己破産後5~7年経過していなくても契約できる場合があります。
- 自社ローン|販売店が独自の基準で購入者に融資するローン
- GPS装置付きローン|確実に車を担保にできるローン
自社ローン|販売店が独自の基準で購入者に融資するローン
自社ローンは、自動車販売店が独自に提供しているローンです。
信販会社や銀行が提供する自動車ローンと異なり、金融機関の審査を通過する必要がありません。
自社ローンでは、販売店が独自に設けた審査基準に基づいて顧客の信用情報や返済能力を審査し、直接契約者に融資する形になります。
自社ローンの審査は、信販会社などの審査と比べて通りやすいのが特徴です。
また、自動車販売店や中古車販売店は、信用情報機関に加盟しておらず、購入者の信用情報を照会しません。そのため自己破産などの事故情報が登録されている期間であっても審査に通る可能性があります。
ただし、販売店ごとに独自の審査基準があり必ずしも借り入れできるわけではなく、保証人を求められることもあります。
GPS装置付きローン|確実に車を担保にできるローン
購入する車にGPS装置を取り付けることで審査基準が緩和される自動車ローンが「GPS付き自社ローン」です。
自動車にGPS装置を取り付け常に位置情報を把握し、万一支払いを滞納した場合に遠隔でエンジンを止めることができるシステムになっています。
このようなシステムにすることで、滞納があった場合に車を確実に担保にすることが可能です。
そのため、通常の自社ローンより緩和された審査で借り入れができ、自己破産などの金融事故がある人でも審査に通りやすくなっています。
ただし、緩和された基準とはいえ審査に通過する必要があるため必ず借りられるわけではない点に注意が必要です。
自己破産後にローン審査を通すための6つのポイント
自己破産した場合でも、一定期間経過することで新たな借り入れをすることもできます。ここでは自己破産後にローン審査を通すためのポイントについて解説します。
- 自己資金をできるだけ多く用意する
- 信用度が高くなるようにクレジット履歴を作る
- 収入を安定させる
- 自己破産時に利用していた金融機関やローン会社は避ける
- 事故情報が削除されていることを確認する
- 連帯保証人を立てる
自己資金をできるだけ多く用意する
住宅や車など大きな金額の借り入れをする場合、できるだけ多くの自己資金を準備することでローン審査を通しやすくなります。
例えば、購入する不動産を担保とする住宅ローンでは、大きく「返済能力」「不動産の担保価値」「信用情報」が審査対象です。
物件価格に対して自己資金を多く準備できれば、その分借入金額を抑えることができます。
その結果、融資率や返済比率、不動産の担保価値が下げることができるため審査に有利に働きます。
融資率とは、住宅ローン借入金額が物件価格に占める割合。
例えば、物件価格3,000万円に対して住宅ローン借入金額が2,400万円の場合、融資率は80%(2400万円÷3,000万円×100)となります。
返済比率とは、年収に対する1年間の返済額が占める割合
例えば、年収500万円に対して1年間の住宅ローン返済額が100万円の場合、返済負担率は20%(100万円÷500万円×100)となります。
※返済比率には住宅ローン以外の借り入れも含まれる点には注意が必要
融資率、返済負担率ともほとんどの金融機関が審査項目としているため自己資金を準備するほど有利になります。
また、長期間の返済を前提とする住宅ローンでは、自己資金を準備しておくことで「家計管理能力」や「返済能力」があると判断されやすくなるでしょう。
ローン審査では、収入や年齢、勤務先、雇用形態などさまざまな項目を総合的に審査されます。自己資金だけで判断されるわけではありませんが、自己資金が多いほど審査には通りやすくなるといえるでしょう。
信用度が高くなるようにクレジット履歴を作る
ローン審査が通りやすくなるように信用度を高めることが大切です。そのためにクレジット履歴を積み上げることも大切になります。
自己破産して5年から7年が経過すると事故情報は抹消され、信用情報はすべて消えた状態(いわゆるホワイト)になります。
新たに借り入れするにあたりホワイトの状態で審査を受けることは可能です。
ただし、審査のために信用情報機関に照会したときに、信用情報がすべて消えた状態だと過去の債務整理を疑われる可能性があります。
そのため、記録上は事故情報はなくても、過去に自己破産などがあったのではないかと考えられ審査に通りづらくなる可能性があります。
これを避けるために、事故情報の抹消後にクレジットカードや携帯電話の分割払いなどを滞りなく継続しクレジット履歴を積み上げることが大切です。
ただし注意しなければならないのは、信用情報機関にはローンやクレジットカードの申し込み状況や支払い状況なども記録されることです。
複数のローンをむやみに申し込んだりすることで、反対に家計管理能力や返済能力を下げてしまわないよう注意しなけれなりません。
また、当然ですが事故情報の抹消後の借り入れについて滞納などがあると、信用度は下がります。
信用力を上げるためのクレジット履歴を作るとしても、十分に返済可能な借入金額を設定することが大切です。
収入を安定させる
ローン審査でもっとも大切なポイントは完済までの返済能力です。
そのためには収入を安定させることが大切になります。
収入の安定性を判断する具体的な項目としては、勤務先や勤続年数、雇用形態(正社員や公務員、契約社員、パートなど)、転職回数、年齢などです。
勤務先の経営基盤が安定している、勤続年数が長い、正社員や公務員であるほうが収入が安定していると判断されやすくなります。
もし転職したばかりであれば、収入アップにつながる転職であることや同じ業界・職種でより安定した企業への転職であるなど、転職理由をしっかりとアピールすることも必要です。
自己破産時に利用していた金融機関やローン会社は避ける
自己破産時に利用していた金融機関やローン会社は避けなければなりません。
自己破産から一定期間が経過し信用情報機関での記録は抹消されたとしても、免責の対象となった会社では社内で記録として保有されていることは少なくありません。
また、その会社だけでなく同じ系列やグループ会社でも情報が共有されていることもあるため、利用する会社は注意して選ばなければなりません。
また、例えば住宅ローンの借り入れにあたっては、事前審査(仮審査)と本審査があります。
このとき、事前審査を同時に何社も申し込みすることも可能ですが、信用情報機関には事前審査の申し込みをした履歴が残ります。
そのため、事前審査で承認されなかった記録が残り、他の金融機関は審査落ちした事実を把握することが可能です。
審査基準は金融機関によって異なり、A社で否決されてもB社では承認される可能性はあります。ただし、他社で事前審査に落ちている情報を踏まえて審査されることになるため審査結果に影響する可能性があります。
そのため、複数の審査を受ければどこかのローン審査には通るだろうという考えで審査を申し込むことはおすすめできません。
事故情報が削除されていることを確認する
自己破産後に新たにローンを申し込む場合、事前に信用情報の開示請求をして事故情報が削除されていることを確認しましょう。
各信用情報機関は、それぞれ本人からの申請により信用情報を開示する制度を設けており、いつでも自分の信用情報を確認することができます。
信用情報には、契約者の個人情報から申込状況、返済状況、事故情報などさまざまな情報があり、情報や信用情報機関によって登録期間が異なります。
また、各信用情報機関同士で相互をつなぐネットワークを構築し共有している情報もあるため、1つの情報機関に登録されている情報は他の金融機関やクレジットカード会社などが把握することが可能です。
そのため、確実に信用情報の確認を行うためには、すべての信用情報機関に開示請求を行うことで情報の洩れを防ぐことができます。
次の表は、信用情報機関別の開示請求方法と手数料をまとめたものです。
信用情報の開示請求方法と手数料
信用情報機関 |
開示請求方法・開示手数料(税込み) |
CIC |
インターネット:500円
郵送:1,500円 |
JICC |
スマートホンアプリ:1,000円
郵送:1,300円 |
KSC |
インターネット:1,000円
郵送:1,679円~1,800円 |
参照:CIC「情報開示とは」
参照:JICC「開示を申し込む」
参照:一般社団法人全国銀行協会「本人開示の手続き」
連帯保証人を立てる
自分の信用が低くローン審査が通らない場合でも、親族や友人を保証人として立てることでローンを組める場合もあります。
審査内容によって金融機関などから承認条件として保証人を求められることもあります。
保証人は本人の信用力や返済能力を補完するものであるため、一定の収入や資産がある人を選ぶことが必要です。
ただし、保証人を依頼するとしても返済ができなくなった場合、保証人が返済しなければならないため慎重に検討する必要があります。特に、連帯保証人は、債務者が返済できない場合に保証人以上に重い責任を負うことになります。
家族の名義でローンを組んでもらう
自分でローンを組むことが難しい場合、家族名義でローンを組むことが考えられます。
個人信用情報に問題がある場合でも、自己破産などの事故情報は本人だけが事故情報として登録されるため、配偶者や同居家族の信用情報には影響しません。
家族に一定の収入がある審査に通過する必要はありますが、配偶者が契約者となって返済をサポートしていくこともできるでしょう。
例えば、住宅ローンの場合、金融機関によって申し込み条件は異なりますが、年収200万円~300万円以上であれば融資対象としている金融機関が多い傾向です。
ただし、民間の住宅ローンでは、収入や信用情報などの審査以外に団体信用生命保険に加入することが求められますので、審査に通過できる健康状態であることも必要です。
団体信用生命保険は、住宅ローン契約者が死亡もしくは高度障害の状態になった場合に住宅ローンが完済される保険。残された家族に高額な住宅ローン債務を残さないための保険です。
また、家族の収入が少なく借入できる金額が足りないという場合もあるかもしれません。
この点、住宅金融支援機構のフラット35の審査金利や返済比率からみた借入可能額は、民間の金融機関と比べると借入金額を増やしやすい特徴があります。
ペアローンまたは親子リレーローンを活用する
住宅ローンを組む際に1人の収入で借り入れが難しい場合や必要な購入資金に足りない場合、ペアローンや親子リレーローンを活用する方法があります。
ペアローンは、夫婦など収入がある2人でそれぞれ住宅ローンを組む方法です。
例えば、3,000万円の借入金額を夫が2,000万円、妻が1,000万円で分け合い、それぞれが契約者と借り入れする場合などです。
2本の住宅ローンを組むためそれぞれが審査を通過する必要があり、お互いが相手の住宅ローン債務の連帯保証人となります。
そのため、一方が返済ができなくなった場合もう一方が返済負担を負わなりません。
また、夫婦でペアローンを利用後離婚する場合、権利関係や不動産の処分方法でトラブルになりやすい可能性があります。
一方、親子リレーローンは、同居する親子が2世代にわたって返済していく住宅ローンです。
一般的に住宅ローンは80歳までの完済を条件としており、契約者が高齢の場合返済期間が限られることがあります。
この点、親子リレーローンであれば親世代から子世代に渡って返済していく仕組みのため、返済期間を確保しながら借り入れ金額を増やすことが可能です。
1人では収入ではローン審査が厳しい場合にも活用しやすい住宅ローン商品といえるでしょう。
ただし、親世代の契約者が早く亡くなった場合、子世代の負担が大きくなるなどのリスクがあります。
まとめ
自己破産すると、基本的に5年~7年間は新たにローンを組むことが難しくなります。
結婚や子どもの誕生に合わせて自動車や住宅のローンを組みたいと思ってもできなくなるため、将来の人生設計への影響も踏まえ慎重な判断が必要です。
返済が厳しい、自己破産すべきか迷っているという方は、借金問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
また、自己破産した場合でもその後新たにローンを利用しやすくするために押さえておくべきポイントがあります。
- 自己資金をできるだけ多く用意する
- 信用度が高くなるようにクレジット履歴を作る
- 収入を安定させる
- 自己破産時に利用していた金融機関やローン会社は避ける
- 事故情報が削除されていることを確認する
- 連帯保証人を立てる
借入先やローンの種類によって審査基準は異なりますが、これらのポイントを押さえ審査を通りやすくする対策をしておくことが大切です。
最短即日取立STOP!
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- 北海道・東北
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