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2024年11月現在

自己破産者が掲載される「官報」とは?どのような人が見ているのか?

自己破産をすると官報というものに自分の名前や住所が掲載されると聞きました。そもそも官報ってなんですか?

報は国が発行している新聞のようなもので、国の政策に関することなどを広く国民に知らせることを目的に毎日発行されています。自己破産の情報は破産法という法律で掲載が義務付けられています。

では、官報に掲載されると周囲の人に自己破産していることを知られてしまうんでしょうか。

実際のところ、官報を見ている人は一部の職業に限られていて、一般の人が目にすることはほとんどありません。また、官報に掲載されている情報は膨大ですのでその中から特定の個人を見つけるのも簡単ではないので、周囲に知られるリスクは低いといえるでしょう。不安ならまずは弁護士に相談することをおすすめします。

自己破産をすると、国が毎日発行している機関紙である「官報」に住所や氏名が掲載されます。

そのため、官報に掲載されることで周囲の人に自己破産したことが知られるのを懸念する人は多いのではないでしょうか。

しかし、実際は官報への掲載で周囲に知られる可能性は非常に低いといえます。

ただ、絶対に知られないとは限りませんし、官報への掲載よりも手続きの過程で周囲の人に知られるリスクも低くありません。

まずは弁護士へ相談し、なるべく周囲に知られないよう自己破産したい旨を伝えるとよいでしょう。最大限の配慮をしてくれます。とくに、自己破産に強い弁護士がおすすめです。

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この記事でわかること
  • 官報とは、国が発行する新聞のようなもので、国が国民に周知すべきさまざまな情報が掲載される
  • 自己破産に関する情報も掲載することが法律で規定されており、自己破産の事実とともに氏名や住所が掲載される
  • 官報は、一般の方の認知度も低く、閲覧している人もほとんどいないため、官報の掲載をきっかけに周囲に自己破産を知られる可能性は低い。
  • ただし、官報を定期的に閲覧している場合や家族が同居している場合など、本人の状況によっては、自己破産の手続過程で周囲に知られる可能性がある

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自己破産者が掲載される官報とは?

破産手続を行うと、官報で公告が行われますが、そもそも官報とはどのようなものか知っていますか?

ここでは官報とはどういうものなのか、なぜ自己破産した場合に官報に掲載されるのかについて詳しく解説します。

官報は国が発行する機関紙

官報は、日本国政府が発行している機関紙で休日を除き、毎日発行されています。

官報は、法令の交付や告示、公務員の異動など国に関わる重要事項を広く国民に知らせ、記録することが主な役割です。
自己破産に伴う官報への掲載は破産法10条にて、以下の通り規定されています。

破産法第10条
この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。
2.公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。
3.この法律の規定により送達をしなければならない場合は、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りではない。
4.この法律の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。
5.前二項の規定は、この法律に特別の定めがある場合には、適用しない。

引用元:e-GOV 法令検索 平成十六年法律第七十五号 破産法

自己破産した場合に掲載される情報は主に以下のようなものです。

  • 事件番号
  • 破産者の住所
  • 破産者の氏名
  • 決定年月日時
  • 決定の内容等
  • 裁判所名

自己破産情報が官報に掲載されるのは債権者保護のため

自己破産情報が官報に掲載されるのは、債権者の保護を目的としています。

自己破産は原則的な趣旨として、破産の申立人が負っているすべての借金を平等に扱わなければなりません。

申立人が認識し申告されているものについては、裁判所より通知が可能ですが、債権者の申告漏れや、隠匿などがあれば、その債権者に自己破産の情報は通知されません。

そういった場合に備え、官報に掲載することで全国的に通知したという状態を作っています。

つまり、官報への掲載はあくまでも、「関係する債権者のすべてが申立人の破産手続を認知する機会を提供すること」を目的としており、決して破産する人を公に公開することを目的とはしていません。

官報への掲載で周囲に自己破産の事実が知られる可能性は低い

自己破産する場合、官報に掲載されることで家族や知人に自己破産の事実が知られることに不安がある人もいます。

官報に掲載されることで他人に知られるリスクは「0」ではありません。しかし実際のところ、官報に掲載されたことで周囲に知られる可能性は極めて低いといえます。

ここでは、周囲に知られる可能性が低い理由について詳しく解説していきますので、不安な方はぜひ確認してみてください。

【理由①】官報を購読している人はほとんどいないから

1つめの理由は、官報を購読している人がほとんどいないことがあげられます。

官報は国民に国からの通知事項を広く知らせるためのものなのに、なぜ購読している人が少ないのでしょうか。

その理由について、解説していきます。

官報の存在は一般的ではない

そもそも官報の存在を知っている人があまり多くありません。まして官報に破産に関する情報が掲載されていることを知っている人も極一部です。

官報は法令の交付などを国民に知らせることが目的ではありますが、実際に官報を通じてそれらの情報を得ている人は少数で、裁判官や弁護士でさえ、毎日確認している人はほとんどいません。

実際に官報の紙面を見てみるとわかりますが、官報にはとても多くの情報がびっしりと掲載されています。それだけの情報が毎日掲載され、そのほとんどは見ている人からすると直接的な影響があリません。

そのため、毎日すみずみまで確認するケースはとても低いといえます。一般企業や、周囲の一般人の方は言わずもがなで、確認している可能性は極めて低いと言えるでしょう。

閲覧手段が限られている

官報の閲覧は手段が限られていて、手段は以下の通りです。

  • 一部の図書館での閲覧サービスの利用
  • 官報販売所での購入
  • インターネットでの閲覧

一番手軽に閲覧できる手段はインターネットですが、インターネット上で、無料で官報が閲覧できるのは、発行から30日以内のみです。この期間を超えると閲覧には有料サービスが必要となります。

先程述べた通り、情報収集を目的に閲覧する人はほとんどいないため、有料サービスに加入してまで閲覧することはないでしょう。

一部の図書館や官報販売所などでの閲覧についても、閲覧・購買できる場所はかなり限定的で、官報販売所は東京等の大都市圏を除き、多くの場合は都道府県に1つしかありません。

官報が一般的ではないことも踏まえると、わざわざ足を運んだり、お金を支払ったりしてまで購読することはほとんどないのが現実です。

【理由②】膨大な情報が掲載されているから

2つ目の理由は、官報に掲載される情報が膨大な量に及んでいることが挙げられます。

官報に掲載されている情報は、自己破産に関わるものだけではなく、法令の交付や入札情報、道路工事に関するもの、公務員の異動情報など多岐に渡ります。これらの情報が、全国の裁判所分一斉に掲載されています。

インターネットで公開されている無料の情報をご確認いただけるとわかりますが、紙面一杯に情報が記載されており、この中から特定の個人をたまたま見つけるというのはほぼあり得ません。

インターネット検索ではヒットしない

インターネットで公開されているなら、氏名などから検索すれば見つかるのでは?と思う方もいますが、それもあり得ません。

現在の官報のインターネット公開はテキストではなく、PDFです。つまり、写真や画像と同じようなものとして公開されています。

以前までは、官報はテキストデータとして公開されていました。2019年にこのテキストデータを悪用し、Googlemap上に可視化した「破産者マップ」というサイトが公開され、社会問題となりました。

同サイトについては、違法であるとして類似サイトも含め現在は閉鎖されていますが、今後も同様のサイトなどでこれらの情報が悪用されることを防止するため、現在はデータ化できない画像データとして公開されるようになりました。

このような経緯があるため、現在の公開データでは検索などでヒットしない形で公開されていますので、氏名などで検索したとしても情報が見つかることはありません。

自己破産の手続きが周囲にバレるケース

前項で述べたとおり、官報掲載によって自己破産の事実が知られる可能性はかなり低いと言えます。

しかし、官報掲載により自己破産の事実がバレる可能性はゼロではありません。

また、官報掲載でバレることはなくても、自己破産の手続きを進めることでバレる可能性もあります。

ここでは、官報掲載時も含め、自己破産の手続過程で周囲にバレるケースについて詳しく解説します。

【ケース①】官報は特定の職業で定期的に閲覧されている

以下のような職業についている人の中には定期的に官報をチェックしている人もいます。

  • 信用情報機関
  • 金融機関
  • 不動産業者
  • 市役所の税担当者

信用情報機関は、個人の借金やクレジットカードの利用や返済状況などを管理・公開している期間で、自己破産などの債務整理情報も掲載します。基本的には加盟している貸金業者などからの情報をもとに登録していますが、より精度を高めるために官報を定期的にチェックしています。

不動産業者は自己破産手続きの過程で処分される不動産を買い取ることを目的として、チェックすることがあります。

これらの職業についている人が家族や知人にいる場合、知られる可能性があるといえるでしょう。

闇金の勧誘に注意

また、闇金業者からの違法な貸付の勧誘にも注意してください。

闇金業者も先ほどご紹介した業者同様に、官報を定期的にチェックしています。

自己破産すると、個人信用情報に自己破産した事実が事故情報として登録されます。事故情報が登録されている間、一般的な貸付業者から新たな借入はできません。

闇金業者は、自己破産者の情報を入手し、新たな借金が難しい人にターゲットを絞って勧誘します。しかし、これらの誘いに絶対に乗ってはいけません。

一度借りれば最後、ほんの少しのつもりが何十倍にも借金が膨れ上がり、自分だけでなく周囲の人にも大きな影響が出る可能性もあります。

闇金の危険性については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

【ケース②】家族が同居している場合はバレやすい

同居している家族がいる場合は、手続きの過程で隠し通すのはかなり難しいと言えるでしょう。

【家族にバレやすい理由①】自己破産手続きには同居人の収入資料が必要になるから

自己破産の手続きではさまざまな資料を裁判所に提出する必要があり、その中には同居家族の収入資料や配偶者の通帳の写しなども求められる場合があります。

これらの資料を集めるために、同居人の家族に協力してもらわなければならないことがあるため、隠し通すのは難しいと言えるでしょう。

【家族にバレやすい理由②】持ち家や車などの高額資産を処分する必要があるから

持ち家や車などを所有している場合は、内緒にするのはほぼ不可能です。

自己破産手続きでは、持ち家や車などの高額な資産はすべて処分しなければなりません。自宅や車を失うわけですから、当然家族にバレることになります。

ただし、自動車は一定期間が計画しているものなど、資産価値がないとみなされる場合もあるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

【家族にバレやすい理由③】家族が保証人なら債権者から返済請求がくるから

保証人がついている借金がある場合、自己破産手続きをすれば、債権者は保証人に対し返済請求を行います。

そのため、債権者から保証人である家族に保証債務の履行を求める文書が送付されるため、文書をきっかけにバレる可能性が高くなります。

【ケース③】家族や職場から借金をしている場合は債権者として通知がくる

家族や職場から借金をしている場合、隠しておくことは難しいでしょう。

自己破産は、すべての債権者が平等に扱われるのが原則です。家族や職場から借金をしている場合、これらの人も債権者となります。

債権者には、裁判所から破産の通知が届くため、自己破産することを知られてしまいます。

なお、家族や職場にバレたくないからといって債権者一覧表に記載しないと、「虚偽の債権者名簿等提出行為」という免責不許可事由に当たり、免責が認められなくなってしまうため、絶対にしてはいけません。

職場に知られても直接的な影響はない

職場から借金をしている場合、職場へ知られることにリスクを感じる方も多いですが、仮に職場に知られたとしても、それによって直接的な影響がでることはありません。

なぜなら、自己破産を理由にした解雇や減給をすることは、法律で禁止されているからです。

会社が従業員を解雇するためには、以下の2つの条件を満たす必要があるとされています。

  • 解雇せざるを得ない合理的な理由
  • 解雇手続きの社会的相当性

自己破産は、「解雇せざるを得ない合理的な理由」とはなりませんので、これを理由に解雇はできませんし、減給や降格などの懲戒対象にはできません。

万が一、そのような自体となった場合は解雇無効として争うことも可能です。

ただし、手続中は就業できない職業があることに注意

ただし、自己破産手続き中は、一部の職業について資格を制限されるものがあり、就業できない場合があります。

制限される職業は以下の通りです。

  • 警備員
  • 弁護士、税理士、司法書士、公認会計士などの士業
  • 貸金業者、質屋・古物商、生命保険募集人などの金融関連業
  • 旅行業務取扱管理者
  • 公証人
  • 商工会役員

上記を含め、制限される職業は多岐に亘ります。以下の記事に詳しく解説されていますので、参考にしてください。また、気になる場合は手続き前に、弁護士に確認しておくことをおすすめします 。
EKAI法律事務所 自己破産における資格制限(職業制限)一覧

ただし、これらの制限はあくまで手続き期間中のみです。手続きが終了すれば、この制限は解除され就業も可能になります。

※ 自己破産を知られてしまう範囲について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

官報の掲載について覚えておきたいこと2つ

これまでご説明した通り、自己破産の手続きにより官報に自己破産した事実が掲載されますが、掲載によって周囲に自己破産の事実が知られる可能性は低いです。

ただ、掲載されることに間違いはなく、以下の2点については認識しておく必要があります。

  • 自己破産情報は影響に残る
  • 自己破産をした場合、官報に2度掲載される

①自己破産情報は永久に残る

一度官報に掲載された情報は消えることはなく、永久に残ります。

これは、一般の新聞などに掲載された情報が紙面から消えることがないことと同じです。つまり、誰かが意図を思って見ようと思えば、さかのぼって情報を確認することが可能ということです。

しかし、実際に過去の官報をさかのぼって確認する人はほとんどいません。また、過去の官報を閲覧するには有料会員になるなど、手段が限られているため、大きな影響はないと言えるでしょう。

②自己破産をした場合、官報に2度掲載される

自己破産の手続きにより、官報には情報が2回掲載されることになります。

1回目は破産開始決定後です。破産開始決定とは、裁判所が申立された内容を確認し、破産手続を認めるかどうかを調査した上で、手続き開始を決定したタイミングを指します。

2回目は免責許可決定後です。免責許可決定とは、自己破産に関する財産の処分や債権者への配当が終わり、裁判所から残った借金の返済義務について免責許可が下りたタイミングです。

自己破産手続とは厳密にいうと、破産者の財産を処分して、債権者に配当する手続を指します。破産手続そのものが、借金の返済義務を免除することではありません。

免責許可決定とは破産手続をして、なお借金が残る場合に残った部分について支払義務を免除することを認可されるタイミングにあたります。

つまり、自己破産における官報への掲載は、「財産の処分や配当などの破産手続が認可された時点」と「破産手続をしてもなお、残った借金について返済義務を免除する決定がなされた時点」の2度掲載されるということです。

そのため、自己破産を申し立てて免責が認められなかったとしても申立時点で1度は官報に掲載されることは認識しておきましょう。

まとめ

自己破産をすると、最大で2回、官報に氏名や住所が掲載されます。もちろん掲載されることで、周囲に知られるリスクは「0」ではありません。

しかし、官報を定期的に閲覧しているのは特定の職業の人に限られ、一般の人が官報をみることはほとんどありません。たまたま見たとしても掲載されている情報は膨大なため、官報の掲載をきっかけに周囲に自己破産の事実を知られる可能性はかなり低いといえるでしょう。

ただし、官報への掲載以外でも、状況によっては手続過程で周囲に知られてしまうリスクもあります。

大切なのは自己破産を周囲に知られるリスクや重要性を正しく理解しておくことです。

自己破産は借金で苦しむ人にとって、大きなメリットがある手続きです。周囲に知られるリスクを極端に恐れて、手続きしないでいればさらに状況が悪化します。

リスクを正しく理解し、状況改善に向けて一歩踏み出してみてください。

自己破産のよくある質問

官報とは何ですか?

国が発行している機関紙です。
官報は、法令の交付や告示、公務員の異動など国に関わる重要事項を広く国民に知らせ、記録することが主な役割です。

自己破産をすると官報に個人情報が掲載されると聞いたのですが、具体的には何が掲載されるのですか?

自己破産をすると、住所と氏名が官報に掲載されます。
また、事件番号や裁判の決定年月日や内容、裁判所名が掲載されます。

なぜ自己破産をすると官報に住所や氏名が掲載されるのですか?

自己破産者の情報が官報に掲載されるのは、債権者の保護を目的としています。
自己破産においては、自己破産者がが負っているすべての借金を平等に扱わなければなりません。
そのため、債権者の申告漏れや隠匿があった場合に、債権者が認知することができるように自己破産者の情報が官報に掲載されるのです。

官報の掲載によって自己破産が会社に知られたら、仕事をクビになりますか?

自己破産を理由に会社を解雇されることはありません。
仕事をクビになるには、正当な解雇理由が存在する場合に限られ、自己破産はこの「正当な解雇理由」には該当しないからです。
ただし、自己破産の資格制限に当てはまる職業に就いている方については、一定期間、職務に就けないので注意が必要です。

自己破産の費用が用意できないときはどうしたらよいですか?

弁護士に依頼をすると、債権者への返済が止められるので自己破産費用に回せます。
また、自己破産を積極的に取り扱っている弁護士は破産者の金銭事情を熟知しているので、分割や一部後払いなど、費用に関して柔軟に対応していることが多いです。
まずは法律事務所の無料相談で、費用に関しても相談することをおすすめします。
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更新日 : 2024年11月18日
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