自己破産中に代理人弁護士から辞任される主な原因
弁護士に辞任されてしまう原因には、主に以下のものがあります。
- 必要書類や情報がそろわない
- 弁護士費用や債権者への返済を滞納する
- 打ち合わせや面談の日程を守らない
- 裁判所に出頭すべき日に来ない
- 嘘の申告をする(財産隠し・借入隠し・家計簿の不一致など)
- 依頼後に新規で借入したり、クレジットカードを使用する
- 依頼先事務所からの電話にでない。着信があっても折り返し連絡をしない
これらは委任契約書に辞任事由として明記されていたり、依頼前に行う面談時に担当弁護士から禁止事項として直接伝えられたりしていることがほとんどです。
自己破産中に代理人弁護士から辞任されると各債権者から一括請求される
借金を滞納している人が弁護士に自己破産を依頼すると、今まで鳴りやまなかった債権者からの電話が、嘘のようにピタリと止まります。
また、これまで月何万、何十万もの支払いを続けてきた人は、弁護士に「もう返済しなくていい」といわれて、一気に肩の荷がおりるでしょう。
その開放感から一気に手続きへのやる気を失い、代理人弁護士からの連絡にきちんと対応しなかったり費用の支払期限を守らなかったりしたために、辞任になるケースもあります。
- もし辞任になってしまったら、借金はどうなるのでしょうか?
- 辞任になった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?
次の項目から、辞任後に予想されるリスクについて、時系列に解説します。
辞任通知を受け取った債権者は再び通知や電話での督促を再開する
辞任が決まると、代理人弁護士は債務者に連絡し、その旨を伝えます。その後、各債権者に辞任となった旨を伝える辞任通知を送るのです。
債権者が辞任通知を受け取ると、自己破産手続きを始める前と同じように、電話や通知での督促が再開します。
通常、代理人弁護士がいるのに貸金業者が正当な理由なく債務者に督促を行うことは、代理人の業務を妨害することになるため貸金業法21条で禁じられています。
守らなかった場合、貸金業者には2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます(両方の場合もあり)。
しかし辞任通知は「弁護士はもう債務者の代理人ではない」ことを示しているため、債権者が債務者に対して直接取り立てしても問題にならないのです。
督促内容は原則「一括請求」
辞任後に債権者から督促がくる場合、その内容は、一括請求であることがほとんどです。弁護士に依頼した時点で返済を一時的にストップしているため、債務者は期限の利益を喪失しているからです。
期限の利益とは・・・債務者が決められた期限までに決められた額を返済していれば、債権者からいきなり一括返済を請求されない権利のこと。期限の利益を喪失すると、債権者は債務者に対して残りの借金全額を一括で返済するよう請求できます。
さらに依頼前から借金を滞納していた場合、依頼後に返済を止めていた期間も含めて滞納期間が長期にわたります。そのため、高額な利息や遅延損害金も一緒に請求されるケースが多いです。
辞任後の督促を放置すると、裁判を起こされ財産を差押えられる
そもそも、分割払いにしても返せないほどの借金があるから自己破産を選んだのに、債権者から一括請求がきたところで、ほとんどの人は応じることが不可能でしょう。
しかし、辞任後の督促を放置してしまうと、債権者から裁判を起こされる可能性が高いです。
裁判を起こされると、最終的に債権者は財産を差押える権利を得るのが一般的です。
裁判による差押えの場合、自己破産しても残せるはずだった残高が20万円未満の銀行口座や給料なども対象となります。
大切な財産を守るために、代理人弁護士に辞任されることがわかったら、すぐに行動を起こすことが大切です。
辞任されても2度目の自己破産は可能
「辞任されてしまうと、もう自己破産できないのでは?」と考える人もいるでしょう。
しかし、自己破産手続きの途中で辞任になっても、再び自己破産を依頼することは可能です。
代理人弁護士に辞任されることがわかったら、裁判を起こされる前にすぐに別の法律事務所へ相談し、再び自己破産を依頼して借金問題を解決しましょう。
次の項目から、2度目の自己破産を依頼する場合に気をつけるべき点や、依頼する事務所を選ぶポイントについて解説します。
2度目の自己破産は別の法律事務所に依頼する
辞任されてしまうと、元々依頼していた事務所に再度依頼することは原則できません。そのため、辞任された場合は改めて依頼する法律事務所を探す必要があります。
このとき元々依頼していた事務所に、債権者のカードや信用情報などの書類を早めに返してもらいましょう。
債権者のカードや信用情報は、別の事務所で改めて自己破産を依頼する場合にも、必要な資料となります。
また、1つの債権者に複数の代理人弁護士がつくことは原則できません。
そのため、元々依頼していた事務所からの辞任通知が債権者に届いてからでないと、新たに依頼した事務所から受任通知を送れないのです。
辞任が確定している場合は、元々依頼していた事務所から早急に辞任通知をだしてもらうようお願いしましょう。
2度目の自己破産は自己破産に強い法律事務所に依頼する
自己破産は定型的な行政手続きではなく、裁判所に自己破産の必要性を認めてもらう、いわばプレゼンのようなものです。
とくに自己破産中に辞任されるケースには、費用の支払いが遅れただけでなく「財産を勝手に処分した」「嘘の申告をした」など、免責不許可事由になりかねない理由の場合も多いです。
免責不許可事由があると、最悪の場合は裁判所から免責が下りず、自己破産しても借金の支払義務が消えません。
2度目の自己破産が成功するかどうかは、代理人弁護士の手腕にかかっているといっても過言ではないのです。
少しでも自己破産が成功する確率を上げたいなら、自己破産に強い法律事務所を選ぶことをおすすめします。
自己破産に強い法律事務所は分割払いや無料相談可能な場合が多い
自己破産に強い法律事務所は、借金の無料相談ができる窓口を設けていたり、依頼後の費用も分割払い可能にしていたりする場合が多いです。
自己破産が辞任になっても、元々依頼していた事務所からすでに払った費用が返還されるケースは少ないです。そのため直近で相談料や弁護士費用など、まとまったお金を用意するのが困難な人がほとんどでしょう。
当サイトでは自己破産に強い法律事務所を紹介しています。
相談無料で弁護士費用の分割払いも可能なので、次の依頼先事務所を探している人は、ぜひ相談してみることをおすすめします。
代理人弁護士から再び辞任されないために気をつけるべきこと
ここまで記事を読んで、辞任されても2度目の自己破産は可能なことがおわかりいただけたと思います。ただし「給料や銀行口座を差押えられる恐れがある」「二重に費用がかかる」などデメリットも多いです。
代理人弁護士から再び辞任されないために気をつけるべきことは、以下の3つです。
- 代理人弁護士や裁判所に嘘の申告をしない
- 依頼後の新規借入は絶対にしない
- 管財人との打ち合わせや面談、裁判所に出頭すべき日は絶対に守る
こちらの記事では債務整理手続き全般に関する辞任されないためのポイントを紹介していますので、参考にするとよいでしょう。
代理人弁護士や裁判所に嘘の申告をしない
自己破産をする場合、代理人弁護士や裁判所が債務者のお金の流れを過去何年分にもわたって調べていきます。
家計簿をつけたときに債務者の申告と違う箇所があれば、なぜ違うのかを詳細に説明するよう求められるでしょう。
また、借入状況についても債務者の申告を鵜呑みにするのではなく、改めて信用情報を取り寄せて調べます。
そのため代理人弁護士や裁判所に嘘の申告をしても、隠しとおすことはできないと考えるべきです。
借入理由が浪費やギャンブルだったり、闇金からの借入があったりする場合「申告すると自己破産できなくなるかもしれない」と自己判断で隠してしまう人もいるかもしれません。
しかし、代理人弁護士は依頼者の利益を考えて、状況に合わせた最善の方法を提案してくれます。
なにより、申立て後に嘘が発覚した場合、裁判所や代理人弁護士からの信用を失い、辞任という最悪の結果になってしまう可能性もあるでしょう。
代理人弁護士や裁判所にすべてを正直に話せば、免責不許可事由があっても裁量免責で免責がおりる可能性は十分にあります。
代理人弁護士とよい信頼関係を築き、手続きをスムーズに進めるためにも、嘘の申告は絶対にやめましょう。
依頼後の新規借入は絶対にしない
自己破産の依頼をする段階で給料をすべて返済に充ててしまい、弁護士費用の積立がすぐにはできないという人もいるでしょう。
しかし、自己破産を依頼した後に新たに借入をして弁護士費用を工面することはできません。
申立て直前に借入をすると「最初から返すつもりがないのに借入した」とみなされ、免責が下りないだけでなく詐欺罪に問われる可能性もあります。
もし、すぐの費用積立が難しいなら、その旨を弁護士に伝えて支払開始の時期を調整してもらいましょう。
また事務所によっては、最初の1〜2回目の支払金額を少ない金額に設定してくれる場合もあります。
もし、ボーナスをもらえる見込みがあるなら、ボーナス時は多めに支払う前提で月々の支払額を少なく設定してくれることもあるので、相談してみてください。
ただし、法律事務所によって運用が異なるので、初回減額やボーナス併用に対応してくれるか、依頼前に必ず確認しましょう。
管財人との打ち合わせや面談、裁判所に出頭すべき日は絶対に守る
自己破産手続きには、主に同時廃止事件と管財事件の2種類があります。換価処分対象となる資産や、免責不許可事由がありそうな場合は、管財事件になるケースが多いです。
管財事件となった場合、管財人との打ち合わせや面談が必要です。また同時廃止事件になった場合でも、必ず1度は裁判所に出頭しなければならないときがあります。
このとき連絡もなく遅刻や欠席してしまうと、代理人弁護士や裁判所、管財人からの信用を失ってしまいます。
自己破産は、いってみれば「やむにやまれぬ事情があって返済できないため、どうか支払義務を免除してください」と裁判所にお願いする手続きです。
それなのに、大切な管財人や裁判所との約束を守らないようでは「反省の色がみられない」として免責がおりない可能性もあるでしょう。
管財人や裁判所との約束は必ず守り、手続きに積極的に協力する姿勢をみせることも、自己破産を成功させるために大切だといえます。
まとめ
弁護士費用や債権者への返済を滞納したり嘘の申告(財産隠し・借入隠し・家計簿の不一致など)をしたりした場合、自己破産中に代理人弁護士から辞任される恐れがあります。
自己破産中に代理人弁護士から辞任されると、各債権者から一括請求されます。辞任後の督促を放置してしまうと裁判を起こされ、最終的には財産を差押えられてしまうでしょう。
なお辞任されても2度目の自己破産は可能です。代理人弁護士に辞任されることがわかったら、裁判を起こされる前にすぐに別の法律事務所へ相談し再び自己破産を依頼しましょう。
その際は、元々依頼していたところとは別の、自己破産に強い法律事務所に依頼することが重要です。また代理人弁護士から再び辞任されないよう「依頼後の新規借入は絶対にしない」「弁護士や裁判所には嘘の申告をせず、管財人との約束は絶対守る」ことを徹底しましょう。
自己破産に強い法律事務所は、借金の無料相談ができる窓口を設けていたり、依頼後の費用も分割払い可能にしていたりする場合が多いです。
辞任されて次の依頼先を探している人は、ぜひ相談してみることをおすすめします。
自己破産の弁護士辞任でよくある質問
新しい弁護士に、前の弁護士が辞任したことを伝える必要はありますか?
不誠実な依頼者だと思われないよう、包み隠さず伝えるべきです。仮に伝えなくても、手続きを進めるうちに発覚してしまいます。
自己破産におすすめの弁護士を知りたいです。
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