アコムの借金を自己破産で解決できる条件とは?
アコムの借金を自己破産で解決できる条件は以下のとおりです。
- アコムを含めた債務に対して返済不能である
- 浪費やギャンブルなど免責不許可事由がない
それぞれ解説します。
アコムを含めた債務に対して返済不能である
アコムの借金を自己破産できる条件の1つは、アコムの借金を含めたすべての借金が返済不能に陥っていることです。また、返済不能であることを裁判所に認めてもらう必要があります。
このようなルールが設けられている理由は、返済できるだけの収入や資産があるにもかかわらず、不当に借金から免れようとするのを防ぐためです。
つまり、「返そうと思えば返せるが、返済したくないから自己破産する」ということはできません。一定の収入や資産があると「返済能力がある」と判断されるため、借金の免責が認められない可能性が高いです。
返済不能と判断される目安は以下のとおりです。
- 借金総額が年収の3分の1を超えている
- 収入・資産を超える借金がある
- 資産はあるが現金化は不可能
- 3年以内に返済するのが難しい
たとえば、借金が1,000万円ある場合でも、年収が3,000万円以上あると返済能力があると判断される可能性があります。
また、3年以内に返済できそうなときも、個人再生や任意整理といった自己破産以外の方法で解決できる可能性があることから、返済不能と判断してもらえない傾向にあります。
重要なのは、返済不能の状態が今後も継続するといえる状況です。現在返済不能の状態でも、それが失業などによる一時的なものであれば返済不能と判断してもらうことは難しいでしょう。
浪費やギャンブルなど免責不許可事由がない
浪費やギャンブルが原因で借金を負ったなど、「免責不許可事由」にあたらないこともアコムの借金を自己破産できる条件としてあげられます。
【免責不許可事由とは】
自己破産による借金の帳消しが認められない要件のこと。破産法第252条では、免責不許可事由に該当しないケースについて、免責許可の決定をする旨が定められている。
参照:破産法第二百五十二条|e-Gov法令検索
免責不許可事由とは、以下の11の行為を指します。以下のいずれかに該当する場合、免責許可が下りない可能性があります。
- 浪費やギャンブルが原因で多額の借金を抱えることになった
- 財産を隠したり、処分したくない財産を身近な人に贈与・格安で売却したりした
- 特定の債権者にだけ返済した
- はじめから自己破産をするつもりで、破産申立て前後に収入・借金額を偽って借入れをした
- ヤミ金融業者から借入れをしたり、クレジットカードで購入した物品を購入金額よりもはるかに安い金額で換金したりした
- 説明義務や重要財産開示義務、免責協力義務などに従わなかった
- 不正をして破産管財人や保全管理人の職務を妨げた
- 裁判所への説明を拒否または虚偽の説明をした
- わざと特定の債権者を債権者名簿に記載しなかったり嘘の債権者を記載したりした
- 帳簿を隠ぺい・偽装した
- 過去7年以内に免責を受けた
よく問題になるのは、上記のうち浪費やギャンブルが借金の原因になったケースです。浪費やギャンブルには、収入に見合わない大きな買い物や投資なども該当します。
注意点は、免責不許可事由にあたるからといって、裁判所や破産管財人との面談で自己破産に至った経緯を偽らないことです。そうすると今度は8の「裁判所への説明を拒否または虚偽の説明をした」にあたるため、どちらにせよ免責不許可事由に該当してしまいます。
ただし免責不許可事由があるからといって、必ずしも免責が許可されないとは限りません。破産法は免責不許可事由を定める一方で、裁判所が本人の態度や事情を考慮して免責を認めるかどうかを判断する「裁量免責」も認めているためです。
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
引用元 破産法第二百五十二条第二項|e-Gov法令検索
そのため免責不許可事由がある場合でも、裁量免責によって借金の免除が認められる可能性があります。
免責不許可事由に該当するときは、どのように申立てていけばよいかを弁護士に相談することをおすすめします。
自己破産できないと言われた借金問題の解決方法については、以下の記事を参考にしてください。
自己破産する際のメリット
自己破産には、以下のようなメリットがあります。
- アコム以外の借金もすべて帳消しになる
- 借金の請求・督促がなくなる
- 強制執行されるリスクがなくなる
- 生活に必要な最低限の財産は残せる
それぞれ解説します。
アコム以外の借金もすべて帳消しになる
自己破産をすることで、アコムの借金はもちろん、アコム以外の借金もすべて帳消しになります。裁判所から免責が認められれば、借金の返済義務がなくなるためです。
自己破産以外にも債務整理方法はありますが、いずれも返済義務は残るため、手続き後に返済から解放されるのは自己破産だけです。
そのため、今どれだけ借金のことで絶望的な状況に陥っていても、人生を立て直すチャンスが用意されているといえます。借金問題で精神的に追い詰められている人も、新たな気持ちで再出発できるでしょう。
ただし、債務の中には自己破産をしても免責にならないものも存在するため注意が必要です。免責の対象にならない債務については、「自己破産をしても支払いが免除されない非免責債権に注意」で詳しく解説します。
借金の請求・督促がなくなる
自己破産の手続きを弁護士や司法書士に依頼した場合、借金の請求や督促が止まります。依頼を受けた弁護士・司法書士が債権者に向けて発行する「受任通知」を受け取った債権者は、それ以降債務者に対して直接連絡できなくなるためです。
【受任通知とは】
弁護士や司法書士が債務整理手続きの依頼を受けたことについて、債権者に知らせる文書のこと。
賃金業法では、受任通知について以下のように定められています。
(取立て行為の規制)
第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
九 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士、弁護士法人若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
引用元 賃金業法第二十一条第九項|e-Gov法令検索
債権者が受任通知を受け取ったあとは、依頼を受けた弁護士や司法書士が債権者とのやりとりを含めて行ってくれます。条文にあるように、受任通知によって禁止されるのは電話による催促だけでなく郵便物や直接の訪問もです。
たとえばアコムからの借金を滞納した場合、はじめは「ACサービスセンター」名義で一見普通のDMに見える郵便物が届き、その後滞納が長期化するにつれて「アコム」名義のものや内容証明郵便が送られてきますが、そういった郵便物も届かなくなります。
中には繰り返される督促に疲弊し、いつ電話がかかってくるか、何か送られてこないか気が気でないという人もいるでしょう。そのような場合でも、専門家に依頼することによって大きなストレスから解放されます。
強制執行されるリスクがなくなる
自己破産をすることによって、強制執行を受けるリスクがなくなる点もメリットといえるでしょう。
【強制執行とは】
債権者が裁判所に申し立てることで、債務者の預貯金や給与といった財産を差し押さえられるようになる手続きのこと。
給与は、手取り金額の4分の1までであれば差し押さえてもよいことになっています。「借金を返済する余裕もないのに、このうえ給与まで差し押さえられたら生活すらままならなくなる」というようなケースでも、差し押さえを拒否することはできません。
また、強制執行によって債権を回収するのは債権者の権利であるため、差し止めるのは難しいでしょう。
しかし自己破産を申し立て、破産手続開始決定が出ると債権者は強制執行できなくなるため、いつ差し押さえに遭うか心配をする必要がなくなります。
なお、給与を差し押さえられる場合、裁判所から勤務先に「債権差押命令」が送付されるため、アコムからの借金を滞納していることがバレます。強制執行を受ける前に自己破産し破産手続開始決定が出れば、借金していることを勤務先に知られずに済みます。
アコムの差押えについては以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひあわせてチェックしてください。
生活に必要な最低限の財産は残せる
「自己破産=全財産を失う」というイメージがあるかもしれませんが、自己破産をしても生活に必要な財産は残せます。自己破産後も残せる財産(自由財産)は以下のとおりです。
99万円以下の現金 |
ただし33万円以上現金がある場合は「管財事件」になる可能性がある
※裁判所によって基準が異なる場合あり |
破産手続開始決定後に新たに得た財産 |
給与など |
差押えが禁止されている財産 |
・1カ月分の食料・燃料
・家具
・家電(1台目のテレビ・パソコン・洗濯機・冷蔵庫・電子レンジなど)
・寝具(ベッド・布団など)
・衣類
・事業に必要な財産 など |
「自由財産拡張」で残すことを裁判所に許可された財産 |
・20万円以下の預貯金
・解約返戻金20万円以下の保険契約)
・時価20万円以下の自動車
・支給見込額の8分の1が20万円以下の退職金債権 |
破産管財人が破産財団から放棄した財産 |
換金が難しい財産 |
自己破産をすると、ほとんどの財産が処分されます。財産を換金し、債権者に分配するためです。しかし上記のように、生活するうえで必要と判断された財産は手元に残せます。
「自由財産拡張」とは、本来自由財産にはあたらないものの、破産管財人からの意見や本人からの申立てによって手元に残せる財産を増やしてもらう制度です。拡張が認められると、時価20万円以下の自動車や保険契約を手元に残すことが可能です。
なお、自己破産には以下の2パターンがあります。
管財事件 |
債務者が処分すべき財産を所有している場合に行われる。手続きの手間や費用がかかる。 |
同時廃止事件 |
債務者が処分すべき財産を所有していないときに行われる。管財事件よりも手間・費用がかからない。 |
どちらの事件になるかは所有している財産の金額によって異なり、たとえば東京地方裁判所では33万円の現金があると管財事件になります。管財事件と同時廃止事件では、裁判所に納める予納金だけでも40〜50万円程度変わってくる場合があります。
アコムの借金で自己破産する際のデメリット
アコムの借金で自己破産するデメリットは以下のとおりです。
- アコムや三菱UFJ関連の企業からの借入は難しい
- ACマスターカードは契約できない
- アコム以外でも新しい借入ができない
- 官報に掲載されるので周囲に知られる可能性がある
- マイホームなど高価な資産を手放すことになる
- 保証人に支払い義務が移るので迷惑をかける
- 就業に制限がかかる職業がある
- 一定期間は保証人になれない
- 弁護士費用を負担しなければならない
それぞれ解説します。
アコムや三菱UFJ関連の企業からの借入は難しい
一度アコムの借金を自己破産すると、アコムや三菱UFJ関連の企業からの借入れが難しくなります。
アコムの借金を債務整理した場合、自己破産後一定期間が経過し信用情報から事故情報が消えてもアコム社内に自己破産の履歴が残る、「社内ブラック」の状態になるためです。
また、アコムは所属する三菱UFJフィナンシャル・グループにも情報提供しているため、アコムだけでなく、同グループに所属している金融関連会社でも借入れができなくなる可能性があります。
三菱UFJフィナンシャル・グループには、以下の金融関連会社が所属しています。
- 三菱UFJ銀行
- 三菱UFJ信託銀行
- 三菱UFJローンビジネス
- auじぶん銀行
- 中京銀行
- 三菱UFJニコス
- ジャックス など
信用情報から事故情報が消えても、クレジットカードの新規作成やローン契約を行うなら上記の金融関連会社を避けたほうがよいでしょう。
ACマスターカードは契約できない
アコムの借金を自己破産すると、アコムが発行するクレジットカード「ACマスターカード」の新規作成や再契約ができなくなります。前項と同様に、自己破産によって社内ブラックになるためです。
ただし、アコムと関係のない企業のマスターカードであれば作成できる可能性があります。どうしてもマスターカードのクレジットカードを持ちたいなら、社内ブラックになっていない企業でのカード作成をおすすめします。
自己破産後、ローンが組めるようになるまでの期間については以下の記事を参考にしてください。
アコム以外でも新しい借入ができない
自己破産をすると、アコム以外でも新たな借入れができなくなります。自己破産をしたことによって、ブラックリスト入りしてしまうためです。
【ブラックリストとは】
借入れやクレジットカードの利用状況・返済状況などを記録する「信用情報機関」に事故情報が登録されている状態のこと。
ブラックリストに掲載されていると、アコムだけでなく他社でも新たな借入れができないのが基本です。
そのほか、以下のことができなくなる可能性もあります。
- クレジットカードの新規作成
- 住宅ローン・カーローンなどのローン契約
- スマートフォンの分割購入
- アパート・マンションなどの賃貸借契約
上記のとおりクレジットカードの新規作成は難しいですが、たとえばデビットカードやプリペイドカードなどであれば所有できます。
・デビットカード:買い物時に利用すると、銀行口座から代金が支払われるカード
・プリペイドカード:チャージした分を買い物で使用できるカード
また、自動車やスマートフォンに関しては、現金で購入する分には問題ありません。購入や買い換えの必要がある場合は、自己破産後にコツコツ貯めましょう。
賃貸物件の賃貸借契約については、家賃を支払っている限り現在居住しているところから追い出されることはありません。ただし、新規の契約は審査に通らない可能性があります。
とはいえ、永遠にブラックリスト入りした状態になるわけではありません。事故情報は、5〜7年で消滅するためです。事故情報が消えれば、社内ブラックになっていない限り借入れやクレジットカードの新規作成などが再びできるようになります。
官報に掲載されるので周囲に知られる可能性がある
自己破産すると「官報」に住所・氏名が掲載されるため、周囲に自己破産したことが知られてしまう可能性があります。
【官報とは】
国が発行する、重要な事項を国民に広く知らせるための機関紙。自己破産をすると、自己破産をした人の住所や氏名が公表される。
自己破産をした場合、以下のタイミングで官報に情報が掲載されます。
- 破産手続開始決定の約2カ月後
- 免責決定の約2カ月後
官報に掲載されることは拒否できず、一度掲載されたら削除もできません。
もっとも、官報を日常的にチェックしている人はごく限られた職業の人です。一般の人が趣味で購読しているケースはほとんどないでしょう。
官報を閲覧する可能性のある職業は以下のとおりです。
- 弁護士・司法書士などの士業
- 信用情報機関
- 金融機関の担当部署
- 保険会社の職員
- 市区町村役場の税務担当者
- 警備会社
- 賃金業者 など
身近に上記の業種の人がいる場合、自己破産したことが知られてしまうリスクはゼロではないことを知っておきましょう。
マイホームなど高価な資産を手放すことになる
自己破産した場合、マイホームや自動車などの高価な資産は手放すのが原則です。価値のあるものは処分され、債権者への配当に充てられるためです。
マイホームに関しては、競売の申立てから実際に退去するまでには半年から1年程度猶予がありますが、最終的には落札者に引き渡さなければならないため住み続けることはできません。しかし「リースバック」を使えば、家にそのまま住み続けられます。
【リースバックとは】
家を不動産会社に売却し、不動産会社に家賃を支払いながら持ち家としてではなく借家として住み続けること。
自己破産後もマイホームに住み続けたいなら、リースバックを検討するのもよいでしょう。
ただし、リースバックには以下のような注意点があります。
- その地域の家賃相場よりも高額になる場合がある
- 将来的に家を買い戻せなければ結局退去する必要がある
リースバックをした場合の家賃は、その地域の相場とは関係なく買取金額に応じて設定されます。そのため高額になる可能性があり、支払えなければ住み続けられません。
また、家賃を支払えていても、家を買い戻せるだけの資金を用意できなければ結局退去しなければなりません。リースバックの契約は、2〜5年後に家を買い戻すことが条件になっているケースが一般的であるためです。
自己破産したことでローンや借入れ、分割払いなどはできなくなっているため、契約どおりに買い戻せないときは家を転売されてしまいます。
なお、「生活に必要な最低限の財産は残せる」でも解説したとおり、99万円を超える現金、20万円を超える資産も換金して返済に充てられます。
自己破産後に車を残す方法については、以下の記事を参考にしてください。
保証人に支払い義務が移るので迷惑をかける
保証人つきの債務がある場合、自己破産によって保証人に返済義務が移るため迷惑をかけてしまいます。自己破産で借金がゼロになるのは債務者本人だけであり、保証人も免除してもらうには債務者と同様に自己破産するしかないためです。
そのため、保証人つきの借金をしている人が自己破産するなら、事前に保証人に相談したほうがよいでしょう。
注意点は、保証人に迷惑をかけたくないからと、自己破産前に保証人つきの借金のみ返済しないことです。特定の債権者を優先したことになり、免責不許可事由に該当してしまいます。
どうしても保証人に迷惑をかけたくないときは、ほかの債務整理方法である「任意整理」を検討する方法があります。
【任意整理とは】
将来発生する利息をカットしてもらい、残った借金を3〜5年程度で返済していく債務整理方法のこと。
ただし、任意整理は利息をカットしてもらえても元本自体が減額されるわけではないため、借金総額が大きい場合や債務者に安定した収入がないケースなどは借金問題を根本的に解決できない可能性があります。
債務整理方法の選択については、自分では適切な判断が難しいこともあります。判断できなければ、弁護士に相談するとよいでしょう。
就業に制限がかかる職業がある
自己破産をすると、資格・職業によっては一時的に就業制限がかかります。
制限を受ける職業は、たとえば以下のとおりです。
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
- 土地家屋調査士
- 税理士
- 公認会計士
- 警備員
- 宅地建物取引士
- 公証人
- 生命保険募集人
- 旅行業務取扱主任者
- 貸金業登録者
- 質屋
- 建築士事務所開設者
- 一般建設業
- 特別建設業
- 教育委員会の委員長・委員
- 公正取引委員
- 商工会議所の役員
- 会社取締役・執行役・監査役 など
現在上記の職業に就いている場合、資格によっては市区町村役場や所属している団体への報告が必要です。会社の役員になっている人は、退任しなければなりません。
制限を受けている間はその業務に就けないため、たとえば自分で士業事務所を開業している人や警備員として警備会社に勤めている人などは、資格制限が解除されるまで休職する必要があります。
資格制限が解除されるタイミングは制限を受けてから3〜6カ月程度が多く、免責許可決定確定時に復権が可能になるのが一般的</span>です。ただし資格にもよるため、個別の確認が必要です。資格によっては審査が必要になるものもあります。
自己破産の制限から復権するまでの期間については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
一定期間は保証人になれない
自己破産をしてから一定期間は、ローンや奨学金などの保証人になれません。自己破産をしたことによって、事故情報が信用情報機関に記録されるためです。
たとえば子どもが進学を希望しており、返済が必要な貸与奨学金を受けたい場合、通常は父母が連帯保証人になり、別生計の親族が保証人になる必要があります。
しかし、自己破産した人は連帯保証人にも保証人にもなれません。そのため、破産者の子どもが奨学金を受給しようとしているなら連帯保証人には配偶者がなり、破産者が甥や姪、孫の保証人を頼まれているなら破産者以外の親族がなることが考えられます。
もしくは、連帯保証人・保証人を立てる「人的保証」ではなく、保証機関が保証人の代わりをしてくれる「機関保証」を利用する方法があります。毎月保証機関に対して保証料がかかりますが、機関保証を選択すれば連帯保証人・保証人を立てる必要がありません。
奨学金の連帯保証人になれなくなることを理由に自己破産を迷っているなら、機関保証を検討するとよいでしょう。
参照:第一種奨学金の人的保証制度|独立行政法人日本学生支援機構
弁護士費用を負担しなければならない
自己破産の手続きを弁護士や司法書士に依頼した場合、当然費用が発生します。案件や依頼する事務所にもよりますが、自己破産にかかる弁護士費用は20〜80万円程度、裁判所に支払う費用や実費とあわせるとトータルで20〜130万円程度かかるのが一般的です。
そのため「お金がないから自己破産をするのに、そんな大金を払えるわけがない」と思う人もいるでしょう。
自己破産の費用が用意できないときは、以下の方法を検討してみてください。
- 弁護士・司法書士の受任後、取り立てが止まっている間に費用を積み立てる
- 裁判所に支払う予納金を分割払いにしてもらう
- 法テラスを利用する
弁護士・司法書士への報酬は、事務所によっては支払いを待ってくれたり分割にしてもらえたりする場合があります。裁判所の予納金も、裁判所によって対応は異なりますが、分割払いが認められているケースが多いため裁判所や弁護士に確認してみるとよいでしょう。
そのほか、「法テラス」を利用する方法もあります。
【法テラスとは】
金銭的な理由から法的サービスを利用できない人向けに、無料の法律相談や弁護士・司法書士費用の立替えを行っている国の機関。収入や資産が一定以下であることなどの条件を満たせば利用できる。
参照:日本司法支援センター法テラス
法テラスの立て替えや分割払いなど、自己破産の費用が払えないときの対処法については以下の記事で詳しく解説しています。
解約返戻金がある保険は原則解約となる
解約返戻金がある保険は、原則解約になります。
【解約返戻金とは】
終身保険や個人年金保険を解約したときに戻ってくるお金のこと。掛け捨て型の保険には、解約返戻金がないことが多い。
対象になるのは、「破産手続開始決定時点で解約返戻金が20万円を超える」保険です。解約返戻金が発生しない掛け捨て型の保険や、発生しても20万円以下のものであればそのまま継続できます。
ただし複数の保険に加入している場合、それぞれの解約返戻金が20万円以下でも、トータルで20万円を超えるなら対象になります。
解約返戻金が発生するのは、以下のような「貯蓄型保険」です。
解約返戻金が発生するかどうか、発生するならどの程度戻ってくるかは、保険会社の担当者やカスタマーセンターなどに確認しましょう。
自己破産のデメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください。
アコムの借金を自己破産しても5~7年程度経てば他社なら新しい借入はできる
「アコム以外でも新しい借入ができない」でも解説したとおり、自己破産して信用情報機関に事故情報が登録されても、5〜7年程度経てばまた他社などから新たに借入れをしたりクレジットカードを作成したりできます。事故情報は時間の経過によって削除されるためです。
信用情報機関別の事故情報登録期間は以下のとおりです。
信用情報機関 |
事故情報登録期間 |
CIC(株式会社シー・アイ・シー) |
免責許可決定から5年程度 |
JICC(株式会社日本信用情報機構) |
免責許可決定から5年程度 |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) |
破産手続開始決定から7年程度 |
KSCだけ登録のタイミングと登録期間が異なります。
KSCの主な加盟機関は銀行や保証会社、クレジットカード会社などです。
たとえば、免責許可決定から5年後にクレジットカードの新規作成を行う場合、CICやJICCのみに加盟しているカード会社であれば作成できる可能性がありますが、KSCに加盟しているカード会社だと審査に通らない可能性があります。
アコムの借金で自己破産した後に借入審査を受けるときの注意点
アコムの借金で自己破産したあとに借入れ審査を受けるときは、以下の点に注意しましょう。
- 信用情報から事故情報が消去されているか確認する
- アコムには借り入れを申しこまない
- 申し込みブラックに注意!原則1社に絞ろう
それぞれ解説します。
信用情報から事故情報が消去されているか確認する
まず、信用情報から事故情報が消去されているかどうかを確認しましょう。事故情報は5〜7年程度で消えるため、自己破産をしたあといつまでもブラックリストに掲載されるわけではありません。
しかし、事故情報が残っていると借入審査に通らない可能性があります。
信用情報機関は以下の3つです。
信用情報機関 |
主な加盟機関 |
CIC |
・信販会社
・消費者金融
・クレジットカード会社
・携帯電話の割賦販売 など |
JICC |
・信販会社
・消費者金融
・クレジットカード会社
・銀行 など |
KSC |
・銀行
・労働金庫
・信用金庫
・農協 など |
事故情報が削除されても本人に通知がくるわけではないため、自分で各信用情報機関に信用情報の開示請求をする必要があります。たとえばアコムからの借金を自己破産したケースなら、JICCに開示請求するとよいでしょう。
開示請求方法と手数料は以下のとおりです。
信用情報機関 |
開示請求方法 |
手数料 |
CIC |
・インターネット
・郵送(簡易書留・親展)
※速達・本人限定郵便も可 |
・インターネット:500円
・郵送:1,500〜2,255円
※支払方法・郵送方法によって異なる |
JICC |
・スマホアプリ
・郵送(本人限定郵便) |
・スマホアプリ:1,000円
・郵送:1,300円
※速達の場合は+300円 |
KSC |
・インターネット
・郵送(本人限定郵便または簡易書留) |
・インターネット:1,000円
・郵送:1,679〜1,800円
※「本人開示・申告手数料利用券」を購入するコンビニによって異なる |
開示請求には、申込書や本人確認書類が必要です。申込書のダウンロードや詳しい請求方法については、それぞれの機関のホームページでご確認ください。
なお、開示請求は本人にしかできないのが原則ですが、法定代理人や本人の依頼を受けた弁護士であれば請求できます。
アコムには借り入れを申しこまない
アコムの借金を自己破産した人は、事故情報が消去されてもアコムでの借入れをしないほうがよいでしょう。アコムの借金を自己破産すると、事故情報が消えたあとも社内ブラックの状態が続くためです。
そのため、アコムやその系列の金融関連会社で借入れやクレジットカードの新規作成をしようとしても、審査に通らない可能性が高いでしょう。
ただし、自己破産で免責されていない金融機関や消費者金融からの借入れであれば審査に通る場合もあるため、借入れやクレジットカードの作成を行う際は自己破産前に取引のなかったところを選択することをおすすめします。
申し込みブラックに注意!原則1社に絞ろう
借入れを申込む際は、「申し込みブラック」にならないよう原則1社に絞りましょう。
【申し込みブラックとは】
短期間に複数社から借入れをしようとしたり、クレジットカードを何枚も作成しようとしたことが信用情報機関に登録されること。
申し込みブラックになると、「お金に困っているのではないか」と判断され、審査に通らなくなってしまいます。
また、借入先が消費者金融であれば、「総量規制」というルールも借入れできるかどうかに影響します。
【総量規制とは】
年収の3分の1を超える借入れを原則禁止するルールのこと。銀行からの融資や住宅ローンなどは対象にならないが、消費者金融からの借入れやクレジットカードのキャッシングなどは対象になる。
複数社に申し込んだ借入れがすべて審査に通った場合に、借入総額が年収の3分の1を超えるようなときは、過度な融資を避けるため審査に通りにくくする可能性も考えられます。
他社で審査に落ちれば信用度が下がるため、片っ端から借入れを申し込まないようにしましょう。
なお、どの程度の期間内に何社以上申し込めば申込みブラックになるかは明確な基準がありませんが、申込履歴は半年間登録されるといわれています。1社申し込んで審査に落ちたら半年程度間を空け、そのあと再チャレンジする方法をおすすめします。
アコムの借金で自己破産するときの見極めポイント
自己破産で借金を免除されると、長く苦しんできた返済から解放されます。しかしメリットが大きい分デメリットも多いため、自己破産を選択する際は慎重に判断することが重要です。
アコムの借金で自己破産するときの見極めポイントは以下のとおりです。
- 支払い不能に陥っており、すでに滞納が続いている
- 3〜5年以内の完済が不可能
- 借金の返済どころか、生活していくことすら難しい
- 自己破産以外に借金問題を解決できる方法がない
- 収入を増やせる見込みがない
上記に該当する場合は、自己破産を検討すべきかもしれません。自己破産することを視野に入れ、債務整理を得意としている弁護士に相談しましょう。
なお、支払い不能に陥っているかどうかは裁判所が判断します。目安としては、借金総額を36で割った金額が月の返済可能額を超えているかどうかです。
自分で「もう支払えない」と思っていても、支払い不能であると認められるとは限らない点に注意しましょう。
3〜5年以内の完済が難しければ、自己破産できる可能性が高いです。しかし3年以内の完済が可能なら、任意整理や個人再生を選択したほうがよい場合もあります。
任意整理 |
将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらい、残った借金を3〜5年で完済する債務整理方法。 |
個人再生 |
借金の元本を5分の1〜10分の1程度に減額してもらい、残った借金を原則3年で完済する債務整理方法。 |
以下に該当するときは、自己破産をすべきではないかもしれません。
- 家や自動車を残したい
- 保証人に迷惑をかけたくない
- 資格・職業制限を受ける職業に就いている
このような場合は、上記の任意整理や個人再生を検討するのも1つの手段です。任意整理・個人再生については、以下の記事を参考にしてください。
自己破産をしても支払いが免除されない非免責債権に注意
自己破産しても支払いが免除されない「非免責債権」というものがあります。
非免責債権に該当する債務は以下のとおりです。
- 税金や罰金
- 健康保険料・年金保険料
- 不法行為に基づく損害賠償金
- 養育費・婚姻費用
- 個人事業主や経営者が支払う給与・預り金
- 債権者名簿に記載しなかった債権
それに対し、金融機関や消費者金融からの借入れ、個人間の借金などは非免責債権にあたらないため自己破産によって支払義務がなくなります。
通常、消費者金融であるアコムの借金は非免責債権にはあたりません。しかしそれ以外の債務が非免責債権だった場合、自己破産をしてもアコムの借金以外は返済義務が残ります。
税金や健康保険料、損害賠償金、養育費などは、支払いを怠ると強制執行によって財産を差し押さえられるおそれがあります。支払えない場合は放置せず、たとえば税金や健康保険料であれば税務署や市区町村役場、養育費なら元配偶者に相談し、今後の支払い方について決め直す必要があるでしょう。
非免責債権については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてチェックしてください。
まとめ
アコムの借金を自己破産で解決する際の条件やメリット・デメリットについて解説しました。
アコムの借金を自己破産するには、アコムの借金を含めた債務に対して返済不能に陥っていることや「免責不許可自由」に該当しないことなどの条件を満たす必要があります。
3〜5年で返済できる場合や資産を売却すれば返済できるケースなどは自己破産が認められない可能性があるため、「自己破産したければできる」というものではない点に注意しましょう。
自己破産をすると、アコムの借金もそれ以外の借金も、非免責債権でなければすべて帳消しになります。また、手続きを弁護士や司法書士に依頼することで借金の請求や督促がなくなったり、強制執行されるリスクがなくなったりといったメリットもあります。
しかしその反面、事故情報が消えてもアコムや同系列での借入れができないことや官報に掲載されることで周囲に自己破産した事実が知られる可能性があること、マイホームをはじめとした高価な資産を手放さなければならないなどのデメリットもあるため、よく検討したうえで実行すべきでしょう。
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