自己破産すると借入している銀行の口座が凍結される
自己破産をすると、借入している銀行の口座が凍結されます。
これは、債権者である銀行が預金から少しでも多くの債権を回収しようとするためです。
ただし、口座の凍結は永久に続くわけではなく、3ヶ月程度で解除されるのが一般的です。
次の項目から、自己破産における銀行口座の凍結とその期間について詳しくお伝えします。
凍結期間は銀行が受任通知を受け取ってから3ヶ月程度
弁護士に自己破産を依頼すると、弁護士はすぐに債権者へ受任通知を送ります。
そして、受任通知を受け取ると、銀行は債務者の口座を凍結します。
そのため、自己破産を依頼してから数日以内に銀行口座が凍結されるのが一般的です。
この時、銀行は債務者が返済不可能な状態に陥ったと判断し、同時に保証会社へ代位弁済を求めます。
代位弁済が完了して債権を回収すれば、銀行は債権者から外れるため銀行口座の凍結も解除されます。
この手続きが完了するまでは1~3ヶ月かかるのが一般的なため、凍結期間は弁護士が受任通知を発送して数日後から3ヶ月程度と考えておくとよいでしょう。
銀行によっては凍結後の強制解約や代位弁済後も凍結が続く場合もある
前述したように、保証会社による代位弁済がおこなわれると口座凍結は解除され、元どおり使える場合が多いです。
しかし、銀行によっては口座凍結後に強制解約となったり、代位弁済後も凍結が解除されない場合もあります。
そうした場合に備えて、定期的な振込みや引き落としがある場合は、設定口座を変更しておく方が安全です。
※ 自己破産によって生じる財産処分の範囲について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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自己破産で銀行口座が凍結したときに預金を引き出す方法
銀行が債権者となっている場合、自己破産による銀行口座の凍結を回避することは残念ながらできません。
しかし、当該銀行口座が給料の振込先になっている場合など、利用できないと困ってしまいますよね。
そこでこの項目では、自己破産で銀行口座が凍結したときに預金を引き出す方法を2つお伝えしますので、参考にしてください。
銀行に預金の払戻を依頼する
銀行が受任通知を受取った後に振り込まれる給料などは、差押えの対象外となることが破産法で定められています。
第七十一条 破産債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。
四 破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。
引用元:e-Govポータル「破産法第71条4」
そのため、銀行の窓口で預金の払戻を依頼するとよいでしょう。
ただし、銀行が受任通知を受取る以前に振込まれた給料や、元々あった預金は凍結が解除されるまで払戻できませんので注意が必要です。
また、銀行口座の凍結が解除されれば、受任通知後の振込みは自由におこなえます。
借入のない銀行口座の預金を引き出す
「自己破産をしたら持っている口座すべてが凍結されてしまうのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、自己破産することで凍結されるのはあくまでも借入している銀行の口座だけです。
そのため、借入の銀行口座の預金であれば、自己破産後も引き出すことが可能です。
しかし、高額な預金を自己破産手続き中に引き出すと、財産隠しなどを疑われて自己破産が失敗する恐れもあるため、銀行口座から預金を引き出す際は弁護士に相談しましょう。
\ 自己破産をご検討中の方へ /
自己破産による口座凍結前にするべき対策
前述したように、自己破産により口座が凍結されると以下のようにさまざまな不都合が生じます。
- 口座内にある預貯金の入出金ができなくなる。
- 給料・年金・各種手当金などの振込みができなくなる。
- 公共料金・家賃などの引き落としがされなくなる。
これらを回避するためには、口座凍結前に対策をする必要があります。
次の項目から、それぞれの具体的な対策についてお伝えします。
預貯金の入出金ができなくなる前に口座残高を0にする
口座が凍結されると、口座内にある預貯金の入出金ができなくなるため、口座凍結前にあらかじめ口座残高を0にしておきましょう。
前述したように、代理人からの受任通知が受け取ると、銀行はすぐに口座を凍結します。
つまり、受任通知送付後はいつ口座が凍結されてもおかしくないため、代理人から受任通知を送る前に口座残高を0にしておくことをおすすめします。
給料・年金・各種手当金などの振込先を別銀行の口座へ変更する
口座が凍結されると、当該口座への振込みもできなくなるため、給料・年金・各種手当金など定期的に振込まれるお金がある場合は、振込先を別銀行へ変更しておきましょう。
口座変更申請には時間がかかる場合が多く、早めに手続きしておくことが大切です。
どうしても受任通知を送る前の変更が難しい場合は、弁護士に相談すると口座変更が完了するまで銀行への受任通知送付を待ってもらえる場合もあります。
口座変更が必要な場合は早めに弁護士へその旨を伝えておきましょう。
また、給料については現金払いに変更できるか交渉するのも一つの手です。勤め先の会社の規模や事情にもよりますが、対応してもらえるか問合せてみてもよいでしょう。
弁護士への依頼時に、上記のような対応を柔軟にしてもらえるか無料相談を利用して確認しておくと、のちにトラブルとなりにくいです。
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給料口座変更の申請理由に困ったときの対処法
自己破産による口座凍結で一番困るのが、給料口座を凍結される場合でしょう。
給料口座を凍結されると、給料を受け取れないだけでなく、勤め先に口座が凍結されている事実を知られる恐れもあります。
しかし、勤め先に借金のことを知られたくない場合、給料口座の変更を申し出るのはハードルが高い人も多いです。
給料口座変更の申請理由に困ったら、たとえば以下のように伝えてみてはいかがでしょうか。
- ●●銀行を給料口座に指定するとポイントが貯まるから
- ●●銀行を家族で利用していて、生活費の振込などの際に便利だから
- ●●銀行だとATM利用手数料が安いから
また、勤め先によっては特に理由を伝えなくても簡単に給料口座の変更ができる場合もあります。
給料口座の変更は決して珍しいことではないので、気負いせず勤め先に申請してみましょう。
会社指定で変更不可の場合、銀行窓口で給料を受け取れることもある
そもそも給料口座が会社指定になっており、変更ができないと考えている人もいるでしょう。
その場合、給料に関しては銀行窓口で受け取れることもあります。
ただし、銀行によって運用に違いがあるため、どの銀行でも受け付けてくれるわけではありません。
また、対象となるのはあくまで給料のみです。
どうしても給料口座の変更が難しい場合は、弁護士に給料を銀行窓口で受け取れるか相談しましょう。
公共料金・家賃などの引き落としを別銀行の口座へ変更する
口座が凍結されると、当該口座から引き落としもできなくなるため、公共料金・家賃など定期的に引き落されるお金がある場合も、引落口座を別銀行へ変更しておきましょう。
こちらも口座変更申請に時間がかかる場合が多いです。
ただ、ほとんどの場合は引き落としができなくても後日振込用紙などが送られてきます。
ひとまず振込用紙で支払いを済ませれば問題ありませんので、慌て過ぎずに1つずつ手続きしていきましょう。
自動引き落としで返済中の借入は口座残高を0にしておく
借入のない銀行の口座は凍結されないと前述しましたが、その口座から自動引き落としで返済中の借入がある場合、口座残高は0にしておくことをおすすめします。
弁護士に自己破産手続きを依頼し債権者に受任通知が届くと、すべての債権者に対して返済する必要がなくなります。
しかし、返済を自動引き落としにしている場合、受任通知到着後もすぐには引き落としが止まらない場合があります。
一度引き落とされたお金については、たとえ受任通知送付後でも取り戻すのが難しいです。
また、一部の借入先だけ引き落としがおこなわれることにより、偏波弁済となる可能性があります。
偏波弁済は免責不許可事由に該当するため、自己破産しても免責許可が下りず、借金の返済義務が残ってしまう可能性があります。
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自己破産しても新規で口座開設できる
一つの銀行に給料振込や公共料金・家賃の引き落としなどをまとめており、当該銀行から借入もしているという人は少なくないでしょう。
しかし前述のとおり、自己破産すると借入している銀行の口座が凍結されます。
そのため、自己破産することが決まったら新たに口座を開設しなければならない場合も多いです。
銀行が口座開設の際に信用情報などを確認することはないので、自己破産しても新規口座開設はできると考えて問題ありません。
ただし、借入やクレジット機能付きのキャッシュカードを発行することはできませんので注意してください。
振込詐欺防止のため同銀行で複数の口座を開設できない場合がある
前述したとおり、自己破産が理由で新規口座開設ができなくなることはありません。
しかし、銀行によっては振込詐欺に口座が悪用されることを防ぐため、同名義による複数の口座開設を禁止している場合もあります。
元々口座のない銀行で新規口座開設する分には問題ありませんが、同銀行で複数の口座を開設することは自己破産にかかわらずできない可能性があることを覚えておきましょう。
管財事件の場合、管財人に通帳を没収されたり口座を凍結されることもある
自己破産には大きく分けて「管財事件」と「同時廃止事件」の2種類があります。
管財事件になった場合は、裁判所に選任された管財人が資産の調査・管理・換価処分などをおこないます。
管財事件の場合、口座内の預貯金は基本的に破産財団となり管財人の管理下におかれるので、通帳はすべて管財人に没収されるのが原則です。
ただし、自由財産として認められた通帳は、例外的に返却されたり最初から預けなくてよい場合もあります。
自由財産として認められる基準は裁判所により異なるため、詳しくは弁護士に相談するとよいでしょう。
通帳を没収された口座から給料・年金を引き出す際は管財人に依頼が必要
破産財団になる通帳は、申立て前に代理人弁護士に預け、そのまま管財人に引き継がれることが多いですが、管財人との面談の際にはその他の通帳も最新の状態にして提出します。
実際に破産財団の範囲を決定する時は、破産手続開始決定時の金額を基準にするからです。
この時、多額の預貯金があったり申立てから破産開始決定時までに怪しい取引の履歴があると、管財人の判断で没収される場合もあります。
もし没収されることになった通帳の口座を、給料・年金の振込や公共料金・家賃の引き落としに利用していた場合はどうなるのでしょう?
まず、公共料金・家賃の引き落としについては、通帳没収後も問題なくおこなわれるので安心してください。
次に、給料・年金の振込については破産手続開始決定以降に振込まれた給料や年金は自由財産となるため、勝手に処分されたり没収されることはありません。管財人に依頼すれば引き出すことが可能です。
ただし、管財人から引き落とし口座などを変更するよう指示された場合は、従うようにしましょう。
未申告の口座があると、管財人によって予告なく凍結される恐れがある
管財人は債務者の郵便物や信用情報などをチェックできるので、そこから管財人に申告していない口座が発覚することがあります。
未申告の口座が見つかった場合、管財人は調査のため債務者に予告することなく銀行に取引履歴の開示を要求することがあります。
その際に、銀行の判断で口座が凍結されることもあります。
そうしたリスクを避けるため、昔作って今は使用していない口座や自己破産することが決まってから新規開設した口座なども、すべて弁護士や管財人に申告しましょう。
自己破産は必要書類が多岐に渡り、手続き自体も複雑で豊富な知識を必要とします。
弁護士に相談することで自己破産のさまざまなデメリットや他の債務整理手続きで解決できる可能性も含めてアドバイスをもらえるので、一度相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
自己破産をして凍結されるのは、借入している銀行の口座だけで、借入のない銀行の口座が凍結されることはありません。
また、銀行が受任通知を受取った後に振り込まれた給料は差押えの対象となりませんので、銀行の窓口で払戻依頼をしましょう。
もし一つの銀行に各種振込や引き落としをまとめており、当該銀行から借入をしている場合は、自己破産をすると決まったら早めに凍結される恐れのない口座に移しておきましょう。
また、管財事件になった場合、管財人に通帳が没収されたり口座が凍結されることもあるので、代理人弁護士や管財人に手持ちの通帳をすべて申告することが大切です。
自己破産のよくある質問
自己破産をしたら銀行口座がすべて凍結されてしまうのですか?
自己破産で凍結されるのは、借入のある銀行の口座のみです。
借入がない銀行の口座は、自己破産後も入出金が可能です。
自己破産で凍結された口座は永久に凍結されてしまうのでしょうか?
自己破産による口座の凍結は3ヶ月程度で解除されるのが一般的です。
凍結が始まるのは、弁護士が受任通知を送ってから数日後なので、凍結されると困る事情がある場合は受任通知を送る前に、弁護士へ相談しておきましょう。
自己破産中に銀行口座が必要になったのですが、新規で作ることはできませんか?
自己破産中であっても、普通の預金口座なら問題なく作れます。
しかし、自己破産時に借入れのあった銀行で口座を作るのは難しいため、別の銀行で作ることをおすすめします。
自己破産で銀行口座が凍結してしまい、給料が引き出せず困っています。どうしたらよいですか?
銀行が受任通知を受取った後に振り込まれた給料は、窓口へ払戻を依頼すれば引き出せる可能性があります。
窓口への交渉も弁護士がおこなった方がスムーズな場合がありますので、弁護士に相談してみるとよいでしょう。
自己破産で給料の振込み口座が凍結されたのですが、解除されるまでの約3ヶ月分、すべて差押えられてしまうのですか?
銀行は、弁護士から受任通知を受取った後の入金は差押えできません。
なので、凍結中に振り込まれる給料は凍結解除後、自由に使うことが可能です。
最短即日取立STOP!
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