弁護士に辞任されたら着手金はどうなる?
前述したように、弁護士に辞任された場合、着手金は返還されないのが原則です。
しかし、弁護士都合による辞任の場合や依頼してすぐに辞任となった場合は、その限りではありません。
この項目では、弁護士に辞任された場合の着手金返還について、状況別にお伝えします。
依頼者都合で辞任されると着手金は原則返還不可
弁護士が「依頼者と手続きを進めるのは困難」と判断すると、手続き中であっても辞任することがあります。
例えば、以下のような場合です。
- 依頼者と連絡が取れなくなった
- 弁護士費用の支払いが止まった
- 打ち合わせや面談に来なかった
上記のような、依頼者都合の辞任の場合、問題が解決していなかったとしても着手金は返還されないのが原則です。
そのため、忙しくて連絡が遅れそうなときは、必ずその旨を連絡しましょう。
未着手や分割払いの場合は返還される可能性がある
委任後すぐの辞任で依頼に未着手の場合は着手金が返還される可能性があります。
また、着手金を分割払いとしている場合、辞任以降の支払いは不要とされるケースもあります。
しかし、どちらの場合も弁護士との話し合いとなり、依頼者に落ち度がある場合は着手金の返還は難しいと考えたほうがよいでしょう。
弁護士都合による辞任なら着手金は返還される可能性がある
辞任の理由が「弁護士が病気になり依頼の継続が難しくなった」など、弁護士都合であるケースもあるでしょう。
その場合、着手金は返還される可能性があります。
しかし、委任契約書には「理由を問わず着手金は返還されない」と記載されていることが多く、やはり弁護士との話し合いとなるでしょう。
また、すでに依頼に着手していると、着手金の一部返還や報酬金との相殺とされる場合もあります。
弁護士を解任したいときの着手金はどうなる?
弁護士が依頼の解決に向けて、十分に動いてくれていないので解任したいという場合もあるでしょう。
また、もっとよい条件での弁護士を見つけたので、他の弁護士と契約しなおしたいというケースも珍しくありません。
弁護士との委任契約は、依頼者がいつでも一方的に解除できることが民法で定められています。解任に弁護士の同意は必要ありません。
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
引用元:e-Govポータル「民法第651条」
それでは弁護士を解任する場合、弁護士へ支払った着手金はどうなるのでしょうか。次の項目から、状況ごとにお伝えします。
弁護士に落ち度のない解任では着手金の返還はされないのが原則
弁護士に落ち度がないにもかかわらず解任をする場合、着手金は返還されないのが原則です。
ただし、前述したように委任後すぐの解任で、弁護士が事件に着手していない場合は返還される可能性もあります。
すでに弁護士が遠方の裁判所へ出廷しているなど、弁護士に不利なタイミングでの契約解除は着手金が返還されないだけでなく、損害を賠償しなければならないので注意しましょう。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
引用元:e-Govポータル「民法第651条2」
また、解任までに発生した報酬や交通費などの経費は、依頼者が支払う必要があります。
弁護士に落ち度があるとき着手金は委任契約書に基づいて返還請求できる
以下のように、弁護士に落ち度があるときは時期を問わず弁護士を解任できます。
- 弁護士と連絡が取れなくなった
- 弁護士が出廷に遅刻した
- 打ち合わせを弁護士都合で何度も変更・キャンセルされた
この際、損害を賠償する必要はありませんが、着手金に関しては委任契約書をよく確認しましょう。
委任契約書には、契約を途中で解約する場合の清算方法についての記載を必ずしなければならないと、弁護士会の規定で義務付けられているのです。
契約の内容によっては「理由を問わず着手金は返還されない」とされている場合も多くあります。
その場合、弁護士の落ち度によって依頼者が不利益を被ったのであれば、着手金の返還を請求できる可能性があります。
弁護士が着手金の返還に応じてくれないときは、弁護士会へ紛議調停を申立てるとよいでしょう。
次の項目で詳しくお伝えします。
着手金の返還請求は弁護士が所属する弁護士会へ紛議調停を申立てよう
弁護士へ直接着手金の返還を要求しても、委任契約に基づいて取り合ってもらえないことも多いです。
しかし、事件にほとんど着手してもらっていないのに、着手金が返還されずに納得がいかないというケースもあるでしょう。
そのような場合は、弁護士が所属している弁護士会へ紛議調停を申立てるとよいでしょう。
紛議調停では、弁護士会が選任した調停委員が間に入り、双方が納得できる落としどころを話し合いによって探ります。
解任に不安があるときは法律事務所の無料相談を利用しよう
弁護士を解任する前に、次に依頼する弁護士を探しておくと事件の引継ぎがスムーズです。
ただし、委任契約は弁護士の解任手続きが完了してからにしましょう。
他の弁護士へ相談するだけなら構いませんが、解任前の委任契約はマナー違反とされています。
債務整理に強い法律事務所なら、弁護士変更のマナーを守りつつ、債務整理の引継ぎをスムーズに進められます。
債務整理中に辞任されたらすぐに他の弁護士に依頼し直そう
債務整理中に弁護士から辞任された場合、すぐに他の弁護士へ依頼し直す必要があります。
なぜなら、債務整理中の辞任は債権者からの一括請求や債務整理の失敗に繋がるからです。
しかし、相談料や着手金といった弁護士費用に不安を感じる人もいるでしょう。
その場合、債務整理に強い法律事務所なら、債務整理が必要な人の金銭事情を熟知しているので、柔軟に対応してもらえる可能性が高いです。
まずは、無料相談を受け付けている法律事務所へ相談し、適切なアドバイスをもらってはいかがでしょうか。
債務整理に強い法律事務所なら相談料や着手金の支払も柔軟に対応してくれる
前述したように、債務整理に強い法律事務所は債務整理を必要とする人の金銭事情を熟知しています。
そのため、支払方法も柔軟に対応している法律事務所が多いです。
とくに、辞任された人は前の法律事務所への支払いがあり、新しい弁護士への費用が支払えないという人も多いでしょう。
その場合、分割払いや後払いに対応してくれる弁護士もいるため、債権者から一括請求を受ける前に債務整理に強い法律事務所へ相談してください。
当サイトでも債務整理を専門とし、無料相談を受け付けている法律事務所を全国から厳選して紹介しています。
債務整理中に弁護士の辞任を受けてお困りであれば、ぜひ一度相談してみてください。
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任意整理中に辞任されると債権者から一括請求される
任意整理中に辞任されると、弁護士は辞任通知を各債権者へ送ります。そして、辞任通知を受取った各債権者は電話や通知での督促を再開します。
督促の内容は、利息や遅延損害金も含めた一括請求であることがほとんどです。
一括請求に応じられないと、各債権者は裁判を起こして債務者の給料や財産を差押えます。
そうなる前に、任意整理中に弁護士に辞任された場合は、辞任された債務者の依頼を請け負ってくれる弁護士を早急に探さなければなりません。
任意整理中に弁護士に辞任された場合のさらに詳しい対処法は、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
個人再生や自己破産手続き中の辞任は手続きが失敗する恐れがある
個人再生や自己破産の場合、裁判所手続き中に辞任されると手続き自体が無効となり債務整理が失敗する恐れがあります。
その後は任意整理のときと同様に、債権者から一斉に一括請求の督促を受け、応じられないと差押えとなるのが一般的です。
この場合、着手金だけでなく裁判所費用などの返還も難しいことを覚えておきましょう。
弁護士に辞任されると、費用だけでなく時間や労力も無駄となり、通常の債務整理手続きよりも多くの費用や期間がかかってしまいます。
辞任された場合の対処も大切ですが、以下の記事を参考にまずは辞任されないように心がけましょう。
まとめ
弁護士に辞任された場合、原則として着手金は返還されません。
しかし、以下の場合は着手金の返還請求ができる可能性がありますので、弁護士とよく話し合うとよいでしょう。
- 辞任が弁護士都合によるものである
- 委任してから間もなく、弁護士がまだ着手していない
- 委任契約書に着手金の返還についての記載がある
債務整理中に弁護士から辞任された場合、早急に次に依頼する弁護士を探さないと給料や財産を差押えられてしまいます。
その場合は、債務整理を専門とする法律事務所へ相談するとよいでしょう。相談料や着手金についても、柔軟に対応してもらえる場合が多いです。
弁護士の辞任でよくある質問
任意整理中に弁護士への連絡を返し忘れていたところ、辞任通知が届きました。着手金は返してもらえますか?
連絡の返し忘れは依頼者都合とみなされるため、着手金の返還は難しいでしょう。もしも、弁護士が依頼案件に着手していなければ返還される可能性もあるため、委任契約書を確認し、弁護士と話し合うとよいでしょう。
弁護士が病気になり依頼の継続が難しくなったとして、辞任通知が届きました。着手金は返してもらえますか?
弁護士都合の辞任とみなされ、着手金が返還される可能性があります。ただし、委任契約書には「理由を問わず着手金は返還されない」と記載されていることが多く、その場合は弁護士との話し合いとなるでしょう。
弁護士があまり積極的に動いてくれないので、解任したいです。どうしたらよいですか?
弁護士の解任は、依頼者がいつでも一方的に解除できます。まずは電話やメール、書面などで弁護士へ解任の旨を伝えましょう。次に依頼したい弁護士が決まっている場合、委任契約は必ず現在契約している弁護士の解任が完了してからにしましょう。
弁護士を解任した場合、着手金は返してもらえますか?
弁護士に落ち度がないにもかかわらず解任をする場合、着手金は返還されないのが原則です。ただし、委任後すぐの解任で、弁護士が事件に着手していない場合は返還される可能性もあります。
任意整理中に辞任されたのですが、どうしたらよいですか?
任意整理中に辞任されると、債権者から一括請求を受けてしまいます。早急に別の弁護士を探す必要があります。その際は、債務整理に力を入れる法律事務所へ相談するとよいでしょう。
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