債務整理をしても結婚できる
債務整理と結婚に法律的な関係はなく、債務整理をしても結婚は可能です。
債務整理には「任意整理」「自己破産」「個人再生」の3種類あります。ど方法を選んでも、結婚は制限されません。
それぞれどんな方法で、どのようなリスクがあるのかは、下記の記事を参考にしてください。
重要なのは、結婚相手に債務整理を伝えるかどうかと、伝える場合は相手にどうやって伝えるのかです。
自分が債務整理をしても配偶者には影響しない
債務整理をすると、信用情報機関に債務整理をしたこと(=事故情報)が登録されます。これが、一般的に「ブラックリストに載る」といわれているものです。
ブラックリストに載ると、新規の借り入れやクレジットカードの使用ができなくなります。事故情報は5~10年にわたって残り、削除されるまではただ待つしかありません。
しかし、事故情報はあくまで個人のものなので、配偶者はブラックリストの制限を受けません。債務整理をした借金の保証人でなければ返済の請求もされませんし、借り入れなども自由におこなえます。
そのため、例えば結婚後にマイホームを購入する場合、自分が債務整理をしていても、配偶者名義で住宅ローンを組むことが可能です。
債務整理を隠していても法律的な離婚事由にはならない
法律的には、配偶者に債務整理をしたことを伝える義務はありません。したがって、債務整理を隠したままでも結婚は可能です。
結婚後に債務整理が発覚しても、法律的には離婚事由になりません。夫婦が一方の意志だけで離婚を求められる事由は、民法で決められています。
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
引用元:e-Govポータル「民法第770条」
「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは、虐待や犯罪の他、ギャンブルや極端な浪費も含まれます。債務整理そのものが離婚事由にならなくとも、その後の借金生活が改善しないときは離婚事由となるので注意しましょう。
また、上記の離婚事由にあてはまらなくとも、夫婦関係が破綻すれば結局は離婚につながります。債務整理を隠して結婚したとしても、信頼関係を損ねないよう細心の注意を払う必要があるでしょう。
債務整理をしたことを隠すなら公表されない「任意整理」を使おう
債務整理をしたことを隠しながら結婚する場合、債務整理の方法は「任意整理」がもっともばれにくくなります。
任意整理は金利の減額や返済計画の修正を直接債権者に交渉するため、家族や知人にも知られません。
一方、自己破産や個人再生をおこなうと「官報」という、だれでも見られる国の広報誌に記載されます。そのため、官報から債務整理が発覚する可能性も否定できません。
ただし、官報を見るのは公務員や金融業者がほとんどです。官報から債務整理が発覚する可能性は、実際にはかなり低いといえるでしょう。
実際には、借金や収入など各状況によって適切な債務整理方法が変わります。債務整理を検討するときは、最初に弁護士の無料相談を受けるとよいでしょう。
債務整理が結婚生活に与える影響
債務整理と配偶者に直接的な関係がなくとも、自分にかかる制限が結婚生活にどう影響するのか不安だと思います。
どのようなリスクがあるのかわからなければ、債務整理をしようにもできません。逆にいえば、どんなリスクがあるのか事前にわかれば、将来の人生設計も立てられて、債務整理に対する不安もなくなるでしょう。
債務整理全般のリスクについては、別の記事で詳しく解説しています。
この項目では、債務整理のリスクについて「結婚生活に関わる部分」を中心に解説していきます。
各種ローンが組めなくなる
債務整理のもっとも大きなリスクは、ローンが組めなくなる点です。
住宅や車のローン、教育ローンやブライダルローンなど、夫婦生活ではさまざまな場面でローンを組む機会があります。事故情報が残る5~10年間は、これらのローンは使えません。
ただし、すでに伝えたとおり、自分以外の家族はローンを組めます。名義を配偶者にした上で生活費は自分が多めに出すなど、工夫次第では一般的な夫婦生活も充分に送れるでしょう。
保証人にもなれない
債務整理をすると、他の人がローンを組むときの保証人にもなれません。
近年は保証会社の利用が主流とはいえ、保証人をつけなければならないケースも多くあります。ローンの種類や名義人の収入など、複数の要因で保証人を求められる可能性があるでしょう。
配偶者名義でローンを組むときは、双方の親などに保証人を頼むのが一般的です。普段からよい関係性を築き、可能であれば債務整理をしたこともあらかじめ伝えておくのをおすすめします。
クレジットカードを使えない
クレジットカードが作れないのも、債務整理の代表的なデメリットです。新規の発行はもちろん、現在使っているカードも利用停止になります。
不便に感じるかもしれませんが、口座から即座に引き落とされるデビットカードは作れますし、キャッシュレス決済が必要なら電子マネーという選択肢もあるでしょう。
クレジットカードは必ずいるものではなく、工夫次第で不自由なく生活できます。
家族が契約しているクレジットカードから家族カードは作れる
どうしてもクレジットカードが必要な場合、同一世帯の家族が契約するクレジットカードから、家族カード(ファミリーカード)を作るという方法もあります。
家族カードでの支払いは、もともと契約していた親カードの請求にまとめられます。家族カードの支払いにもポイントが発生し、親カードの付帯サービスは家族カードでも利用可能です。
ただし、限度額は親カードと共用となるので、使い方によってはすぐに限度額一杯となるので注意しましょう。
物件によっては賃貸契約ができない
近年の賃貸契約は、家賃保証会社をつけて契約するのが主流です。この家賃保証会社が金融機関系列の場合、事故情報があるとほぼ確実に審査に落ちてしまいます。
賃貸契約を結ぶときは、金融機関系以外の家賃保証会社を使える物件、もしくは保証会社そのものがいらない物件を選びましょう。選択肢は多少狭くなりますが、専門の不動産会社もあるため「物件が1つも見つからない」という状況にはならないはずです。
債務整理をしても引っ越しは問題なくできるので、その点はご安心ください。
自己破産をすると生命保険が強制解約になる可能性がある
債務整理で新規の借り入れやクレジットカードの契約はできなくなりますが、生命保険に関しては制限がありません。保険加入の審査においても、とくに影響はないでしょう。
債務整理以前から加入している保険も、基本的には解約の必要はありません。ただし、自己破産の場合は強制解約の可能性が出てきます。
自己破産は資産のほとんどを処分しなければいけませんが、生命保険については「自己破産時点で解約返戻金が20万円以上出るもの」が資産とみなされ、強制解約の対象になってしまうのです。
ただし、一度解約すると保険の再加入が難しい場合など、特別な理由があれば強制解約を避けられます。
任意整理・個人再生の支払いが遅れると給与や家が差し押さえられる
任意整理や個人再生の場合、借金の減額や返済計画の立て直しをしたうえで返済を続けていきます。
任意整理や個人再生で決まった月々の支払いを延滞してしまうと、債務整理自体が無効となってしまいます。その結果、残債の一括請求や、給与口座や持ち家を差し押さえられるなど、債務整理前より苦しい状況になるでしょう。
任意整理や個人再生の返済が苦しくなった場合、速やかに弁護士に相談してください。返済計画の組み直しや自己破産への移行など、延滞前に取れる手段はたくさんあります。
名字が変わっても事故情報は消えない
「結婚によって名字も住所も変われば、事故情報は関係なくなる」と考える人もいますが、実際はそう単純ではありません。
金融機関の審査では、旧姓の確認や結婚しても変わらない本人確認書類の提出があります。また、とくに30代以降の男性の場合、成人してから一度もクレジットカードの利用がないのは不自然に見られます。
反社会的勢力などによる養子縁組で名前を変える詐欺などを防ぐためにも、結婚前の名字など、過去の情報は徹底的に調べられると考えておきましょう。
国際結婚する際の配偶者ビザは申請できる
国際結婚する場合、配偶者ビザを取得しなければいけません。
債務整理をすると配偶者ビザの取得に悪影響があるのではと不安に思う方もいますが、実際には問題なく取得できるので安心してください。債務整理をした本人も、その配偶者も、ビザ取得に大きな影響はありません。
ただし、自己破産の場合は破産手続き中の海外への移動を制限されるため、海外渡航は弁護士と相談するようにしましょう。
※ 債務整理に伴うその他のデメリットについては以下の記事に詳しくまとめています。興味のある方はご覧ください。
債務整理を配偶者に伝えるときはどのように伝えたらいい?
債務整理が結婚生活におよぼす影響を見ると、どうしても配偶者の協力が必要なときがあります。
債務整理の事実を伝えるのは義務ではありませんが、基本的に配偶者には伝えておいた方が将来のトラブルを防げるでしょう。
「結婚が破談になるかもしれない」という不安はあると思いますが、隠したまま結婚しても「いつばれてしまうか・・・」と悩み続けることになります。そのストレスから体調を崩す人も少なくありません。
また、配偶者としては隠されていた方が、いざバレた時に「信頼されていない」と感じて大きなショックを受けるでしょう。
夫婦関係は信頼がもっとも大切です。理想は配偶者であるパートナーに債務整理をした事実をきちんと理解してもらえることなので、借金とは無縁の生活に改善した上で、誠意をもって伝えるようにしましょう。
債務整理のメリットとデメリットを伝えよう
伝えるときの工夫として、債務整理のメリットとデメリットをわかりやすく説明するとよいでしょう。
「破産するともう二度とまともな生活は送れない」といった、極端なイメージをもつ人も少なくありません。
債務整理はデメリットをしっかりと理解しておけば生活に支障はなく、5~10年で事故情報も消えるため普通の生活に戻れると説明しましょう。
また、債務整理は借金を解消するための正当な手段であること、債務整理が遅れるほど借金が膨らんで解決がむずかしくなることも一緒に伝えてみましょう。
債務整理の返済も含めて夫婦の将来設計を立てよう
結婚すれば長い期間をともに生活していき、財産も2人で協力して築いていきます。そのため、夫婦の収入や生活スタイル、子供についてや老後の過ごし方など、長期的な人生プランを立ててみるとよいでしょう。
債務整理の影響は短期的に見れば大きなものですが、長期的な視点で見ると冷静に捉えられるはずです。ファイナンシャルプランナーなど、ライフプランの専門家に相談するのもよいでしょう。
また、借金の原因がギャンブル・買い物などの依存症の場合、周囲の理解と協力が必要になります。
夫婦が連れ添う上で、いかにお互いを頼り、信頼できるかがもっとも重要といえるでしょう。
結婚するときに債務整理を隠すのは大きなリスク
結婚前に債務整理をしても、配偶者に直接的な影響はありません。生活の上で多少の不便を感じるかもしれませんが、それも一定の期間だけです。
借金のことを相手に伝えるには勇気がいります。しかし、隠したまま結婚すると、のちに発覚したときに夫婦仲が破綻するかもしれません。
結婚を考えるほど大切な相手だからこそ、誠意をもって債務整理のことを伝えた方がよいでしょう。
債務整理と結婚についてよくある質問
債務整理とはなんですか?
債務整理とは、債権者との交渉や公的制度によって、借金を減額・免除する方法です。弁護士に債務整理を依頼することで、支払督促を止めることもできます。
債務整理をすると結婚できなくなりますか?
いいえ、債務整理をしても結婚は可能です。また、自分が債務整理をしても配偶者に直接の影響はありません。
相手に債務整理をしたことを隠して結婚はできますか?
隠したまま結婚することも可能です。また、債務整理を隠していても法律的な離婚事由にはなりません。ただし、後から発覚すると相手の心情として「信用できない」と思われ、夫婦関係にヒビが入る可能性はあるでしょう。
債務整理をすると、結婚生活にどんな影響がありますか?
各種ローンやクレジットカードを使えないほか、物件によっては賃貸契約を断られる恐れがあります。ただし、配偶者名義で契約すればそれらのデメリットは発生しません。
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