「特定調停」とは自ら債権者と交渉して借金を減らす手続き
特定調停とは、簡易裁判所の調停手続きを利用して、お金を貸している債権者と自分で交渉して、借金を減らしてもらう手続きのことです。
債権者との話し合いの結果、あらためて借金の返済額や返済方法を再決定できるので、現状より借金を減らすことも可能です。
しかも単なる交渉ではなく、裁判所を通して話し合いの場を設けるため、法的効力を持った公的な手続きと扱われます。
まずは「特定調停がどのようなことをする手続きなのか?」という仕組みをはじめ、手続きにかかる期間や条件なども確認していきましょう。
裁判所を通して借金の返済方法を再決定する
特定調停では、債務者と債権者だけでなく調停委員という第三者も交えて「今後どのように借金を返済していくか?」という返済方法を話し合います。
特定調停では、以下のような流れで話し合いがおこわれます。
- 債務者が「借金を減らしてほしい」と主張する
- 調停委員が返済計画案を作成する
- 返済計画案をもとに、調停委員を仲裁役として債務者と債権者で話し合う
- 債務者と債権者が妥協点を見つけてお互いに合意
- 合意した条件で返済方法が再決定
調停委員が間に入って、借金を減らしたい債務者と借金を減らしたくない債権者の主張から妥協点を見つけて、新しい返済方法を再決定していく仕組みです。
ですので、債務者が「借金を減らしたい」と主張して、それを債権者や調停委員が認めて返済方法が再決定されれば、合法的に借金を減らすことが可能です。
ただし、特定調停で再決定した返済方法には、裁判の判決と同じ効力があるため、必ず決められた通りに完済しなければなりません。
返済方法の再決定には債権者の合意が必要
特定調停を手続きしたからといって、必ずしも借金を減らせるとは限りません。
特定調停で交渉した返済方法を再決定するには、債権者の合意が必要だからです。
いくら裁判所を介して「借金を減らしてほしい」と交渉しても、債権者が合意しない限り認めらない点は留意しておきましょう。
特定調停の成立までにかかる期間は3ヶ月程度
特定調停を申し立てても、すぐに借金が減る訳ではありません。
裁判所へ特定調停を申し立てて手続きがスタートしても、債権者との話し合いなどに時間がかかってしまうのです。
特定調停の申立てから成立までにかかる期間は、ケースによりますが約3ヶ月程度です。
ただし、話し合いが長引くと半年くらいかかるケースもあり、借金を減らす交渉をしたい債権者が多いほど、時間もかかってしまう傾向にあります。
特定調停の成立から借金完済までにかかる期間は約3〜5年
特定調停は借金を減らす手続きですが、借金をゼロにするわけではありません。
特定調停が成立した後、約3〜5年かけて減額後の借金を返済していく形になります。
ただし、特定調停で再決定された返済方法どおりに返済できず、再び返済が滞ってしまう場合、強制執行で財産や給与を差押えられる恐れがあるため注意しましょう。
特定調停の手続きができる3つの条件
特定調停の手続きをするには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 今のままでは借金を返せなくなるおそれがあると裁判所に認められること
- 減額後の借金なら返済できる見込みがあること
- 平日の昼間に簡易裁判所へ出向く時間があること
借金返済で苦しんでいる場合、特定調停の申立て自体は誰でもできるのですが、ある程度のお金や時間がないと、その後の手続きができません。
それぞれの条件について、1つずつくわしく見ていきましょう。
1.今のままでは借金を返せなくなるおそれがあると裁判所に認められること
1つ目の条件は、今のままでは借金を返せないと裁判所に認められることです。
法律上では、以下のように借金の返済が難しい状態にある人を「特定債務者」と呼びます。
特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律 第2条の1
この法律において「特定債務者」とは、金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人をいう。
引用元:e-Govポータル「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律 第2条の1」
この特定債務者であると裁判所に認められないと、特定調停を手続きできません。
特定債務者であると裁判所に認められる条件は、次の2つです。
- 借金を返せなくなっているか、今後返せなくなるおそれがある
- 借金のせいで個人事業などの継続に支障が出ている
いずれか一方でも満たせば特定債務者であると認められるので、借金返済が苦しい債務者なら、個人・法人を問わず特定調停を手続きできると考えてOKです。
2.減額後の借金なら返済できる見込みがある
特定調停を手続きすると、利息制限法の上限金利である15~20%まで金利を引き下げて再計算されるため、現在よりも借金を減額できる可能性があります。
また、返済期日を延長することにより、月々の返済額をさらに軽減することも可能です。
ただし、減額後の借金を返済できる見込みがないと、債権者の合意が得られないため、特定調停が成立しません。
例えば、特定調停によって毎月12万円→9万円まで支払いを減らせるとしても、毎月6万円を払うのが精一杯であれば債権者の合意を得られないでしょう。
3.平日の昼間に簡易裁判所へ出向く時間がある
特定調停では話し合いのため、平日の昼間に簡易裁判所へ出向く必要があります。
郵送や電話では手続きできない上、簡易裁判所へ2回も出向かなければなりません。
そのため「平日の昼間に簡易裁判所へ出向く時間がない・・・」といった理由で、特定調停を断念される方も少なくありません。
このように忙しい場合、債権者や裁判所との交渉を弁護士に一任できる「債務整理」を代替案として選ぶ方が多いです。
弁護士へ依頼して借金を減らす「債務整理」とは別物
借金を減らす方法は特定調停だけではなく、依頼した弁護士に債権者や裁判所と交渉してもらう「債務整理」という手続きもあります。
「債務整理」は借金を減らす3種類ある手続きの総称で、それぞれ減らせる金額などが異なります。
種類 |
減らせる金額 |
任意整理 |
借金の利息の全額または一部を減額 |
自己破産 |
借金総額をすべてゼロにする |
個人再生 |
借金総額を最大1/10に圧縮 |
なかでも、債権者と交渉して借金を減らす「任意整理」という手続きは、特定調停と似ているため混同しないように注意しましょう。
「特定調停」と「任意整理」の違いは次の通りです。
|
特定調停 |
任意整理 |
交渉する人物 |
原則として本人 |
弁護士 |
費用 |
1社あたり約1,000円 |
1社あたり約5万円
(※事務所による、成功報酬別途) |
減額できる借金 |
交渉次第
(将来金利をカットできる可能性は低い) |
利息制限法の上限金利を超える利息をカットする
(将来金利もカットできる可能性が高い) |
取立て |
申立後に取立てがストップ
(書類準備に時間がかかる) |
弁護士へ依頼後すぐに取立てがストップ |
過払い金 |
返還されない |
返還される |
成功率 |
低い |
高い |
わかりやすくいうと、自分だけで債権者と交渉する方法が「特定調停」で、弁護士を介して債権者と交渉してもらう方法が「任意整理」になります。
弁護士を介して債権者と交渉したほうが借金の減額を認めてもらいやすいため、確実に借金を減らしたい人は弁護士に任意整理を依頼しましょう。
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特定調停のメリット・デメリットを比較!
特定調停の仕組みを理解したところで、実際に特定調停を手続きするか迷っている方も多いでしょう。
そこで、この項目では「借金を減らしたい」という方へ向けて、特定調停のメリットとデメリットを比較していきます。
先述した債務整理とも比較しながら、特定調停のメリット・デメリットをそれぞれ見ていきましょう。
特定調停のメリットは6つ
特定調停のメリットを一言でいうと「セルフサービスなので費用を抑えられる」という点です。
特定調停のメリットとして、以下の6つが挙げられます。
- 手続きにかかる費用を安く抑えられる
- 弁護士へ依頼せずに自分で手続きできる
- ギャンブルなどの免責不許可事由による借金も減らせる
- 手続き後の資格制限がないので好きな仕事に就ける
- 財産を一切手放さずに借金を減らせる
- 強制執行による財産の差押えを無担保で止められる
手続き費用だけでなく、さまざまな制限が少なく自由度が高いことも特定調停の強みです。
それぞれのメリットを1つずつ解説していきます。
1.手続きにかかる費用を安く抑えられる
特定調停の最大のメリットは、手続きにかかる費用を抑えられることです。
特定調停と同じく借金を減らす方法でも、弁護士へ債務整理を依頼する場合、それ相応の弁護士費用を支払わなければなりません。
これは国家資格を持った法律のプロである弁護士へ交渉をお願いできる上、面倒な書類作成まですべて任せられると考えると、高いサービスに見合った金額ともいえます。
しかし、特定調停であれば手続き費用が1社あたり約1,000円で済むため、圧倒的に少ない経済的負担で借金を減らすことが可能です。
2.弁護士へ依頼せずに自分で手続きできる
弁護士などの第三者へ依頼せず、1人で手続きできることが特定調停の特徴です。
必要書類の準備や裁判所での債権者との交渉など、面倒な手間はかかりますが、自分1人で申立てすることが可能です。
ただし、交渉の専門家である弁護士と比べて、自分で交渉しても借金の減額が認められる可能性が低いことは留意しておきましょう。
3.ギャンブルなどの免責不許可事由による借金も減らせる
特定調停のメリットとして、どんな原因の借金も減額できることが挙げられます。
浪費やギャンブルなどが原因で借金をしてしまう方も多いですが、自己破産の場合、こうした原因の借金は「免責不許可事由」と呼ばれ、裁判所が減額を認めない可能性があります。
しかし、特定調停はあくまで債務者と債権者同士の話し合いなので、債権者が問題ないと判断すれば、ギャンブルなどの免責不許可事由による借金を減らすことも可能です。
4.手続き後の資格制限がないので好きな仕事に就ける
手続き後に資格制限を受けないことも、特定調停のメリットの1つです。
自己破産をした場合、その後の一定期間は弁護士や税理士といった士業や、金融業や警備業などの金銭に関わる仕事に就業できなくなります。
しかし、特定調停の場合は手続きしても資格制限は一切受けないため、借金を減らした後も好きな仕事に就業できます。
5.財産を一切手放さずに借金を減らせる
特定調停と任意整理の共通するメリットとして、財産を一切手放さずに借金を減らせることが挙げられます。
自己破産の場合、債務の全額免除が認められる反面、それと引換えに財産を差押えられてしまうため、家や車を失ってしまうかもしれません。
一方、特定調停と任意整理であれば財産を一切手放す必要がないため、これまでどおりの生活を続けながら、無理のない範囲で借金を減らせます。
6.強制執行による財産の差押えを無担保で止められる
債権者によっては「借金を滞納した場合、強制執行で財産を差押える」という旨の契約をしているケースがあります。
しかし特定調停では、手続き中に一部の債権者が強制執行による差押えを実行しないように裁判所命令で止められる仕組みになっています。
ただし、差押えを停止するかどうかは裁判所の裁量によるため、必ずしも強制執行を停止できるとは限りません。
特定調停のデメリットは7つ
特定調停の主なデメリットは以下の通りです。
- 債権者と顔を合わせて直接交渉しなければならない
- 平日に裁判所へ出向かなければならない
- 面倒な書類を自分で作成しなければならない
- 借金の督促をすぐに止められるとは限らない
- 必ずしも借金を減らせるとは限らない
- 手続き後5年間はクレジットカードやローンを新規借入できない
- 過払い金の返還を受けられない
手続きが面倒なだけでなく、必ずしも借金を減らせるとは限らないという不確実性も大きなデメリットですね。
続いては、それぞれのデメリットを1つずつ確認していきましょう。
1.債権者と顔を合わせて直接交渉しなければならない
特定調停はあくまで債務者と債権者同士の話し合いなので、顔を合わせて直接交渉しなければなりません。
特定調停を検討するほど借金滞納してしまうと「債権者に怒られるのでは・・・」といった不安や気まずさを感じる人も多いでしょう。
そうした場合でも、必ず債権者と顔をあわせて話し合いをしなければならないため、精神的負担が大きいこともデメリットといえます。
2.平日に裁判所へ出向かなければならない
特定調停の申立て後、裁判官や債権者との話し合いのために最低2回以上は裁判所へ出向かなければなりません。
ただし、簡易裁判所での特定調停の手続きは土曜日・日曜日ではなく、必ず平日の日中に話合いの場が設けられることになります。
そのため、平日に働いている会社員などの方にとっては、時間の都合を合わせづらいことも特定調停のデメリットです。
3.面倒な書類を自分で作成しなければならない
弁護士へ依頼せずに自分で手続きできることは、メリットと同時にデメリットも抱えています。
必要書類を自分で用意しなければならないため、面倒な上に手間や時間もかかってしまうのです。
申立て用紙はもちろん、返済が難しいと証明するための資料として、給与明細・家計簿・通帳の写し・借入契約書など、たくさんの書類を用意しなければなりません。
これらの膨大な必要書類を用意するとなると、1日で済まずに1週間以上かかってしまう場合もあるため、非常に面倒かつ手間がかかることがデメリットといえます。
4.借金の督促をすぐに止められるとは限らない
特定調停では、申立てをした時点で債権者からの取立てが止まります。
ただし、必要書類を準備しなければ申立てができないので、準備に時間がかかると、それだけ債権者からの督促が止まるまで時間がかかってしまいます。
このため、早いケースでは弁護士へ依頼した当日に取立てを止められる「債務整理」に比べて、取立てを止めるまで時間がかかってしまうと考えた方がよいでしょう。
5.必ずしも借金を減らせるとは限らない
債権者が合意しない限り、特定調停は成立しないので、借金を減らすことができません。
特定調停の合意に至らないケースは多く、申立て件数のうち約3%しか成立しないといわれています。
手間や時間をかけても、特定調停が成立せずに借金を減らせない場合、これまでの苦労が無駄になってしまうというリスクは留意しておきましょう。
6.手続き後5年間はクレジットカードやローンを新規借入できない
クレジットカードやローンなどで借入する時、カード会社やローン会社は「この人にお金を貸しても問題ないか?」を確認するために、信用情報というデータを確認します。
特定調停を手続きすると、その事実も信用情報に登録されてしまい、クレジットカードやローンの審査に通らなくなるのです。
また、新規借入だけでなく現在利用中のクレジットカードやカードローンが利用停止にされてしまうケースもあります。
ただし、信用情報のデータは永遠に残り続ける訳ではなく、約5〜10年すればデータが消えるため、クレジットカードやローンを新規借入できるようになります。
7.過払い金の返還を受けられない
法改正前は「グレーゾーン金利」が存在したため、法定利息以上に利息を払い過ぎていたケースが多く、その場合は払い過ぎた利息の返還を受ける権利があります。
この払いすぎた利息を過払い金といいますが、特定調停を手続きしても過払い金が返還される訳ではありません。
もし過払い金の返還を受けたい場合、特定調停とは別に弁護士へ依頼して、過払い金の返還請求を起こす必要があります。
一方で弁護士へ債務整理を依頼すれば、借金の減額と同時に過払い金の返還請求も多なってもらえるので、特定調停よりも手間なく済ませることが可能です。
過払い金の返還を受ける方法について、くわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
借金を減らすなら特定調停はオススメ?
メリット・デメリットを整理しましたが、結局のところ特定調停はおすすめなのでしょうか?
特定調停の向き・不向きについては、次のように分けられます。
- 手間や時間をかけても、費用を抑えて借金を減らしたい=特定調停に向いている
- あまり手間をかけずに、早く確実に借金を減らしたい=特定調停に向いていない
もし特定調停が向いていない場合、弁護士へ債務整理を依頼した方がよいでしょう。
それぞれのケースに分けて、くわしく理由を解説していきます。
自分で特定調停を手続きした方がよいケース
特定調停を選ぶべきか判断する上で重要なのが、手続きにかかる費用です。
債務整理の弁護士費用に比べて安く済むため、次のような方は特定調停が向いているかもしれません。
借金を減らすにしても、安く済ませられるに越したことはないので、なるべく手続き費用は安い方がよいですよね。
こちらのケースについて、あえて債務整理ではなく特定調停をおすすめする理由をくわしく説明します。
手続き費用を抑えて借金を減らしたい人
特定調停の最大のメリットは、1社あたり約1,000円で借金を減らせる可能性があることです。
特定調停の成立には債権者の合意が必要になるため、確実に借金を減らせるとは限りませんが、弁護士へ債務整理を依頼するよりは費用を抑えられます。
弁護士へ債務整理を依頼する場合、数万円はかかるのに対して、1社あたり約1,000円で手続きできる特定調停であれば、少ない出費で済むのでお財布にもやさしいですね。
「手間がかかってもいいから、手続き費用を抑えて借金を減らしたい」という方には、経済的負担の少ない特定調停がおすすめです。
弁護士へ債務整理を依頼した方がよいケース
特定調停の場合、確実に債権者を説得できるとは限らないので、わざわざ手続きしたのに借金を減らせないという失敗も少なくありません。
より手間なく確実に借金を減らしたい場合、特定調停ではなく弁護士へ債務整理を依頼するのがベストです。
具体的にいうと、以下のような方は弁護士へ債務整理を依頼した方がよいでしょう。
- 効率的に借金を減らしたい人
- 書類準備などの手続きが面倒くさい人
- いますぐ借金の取立てを止めたい人
特定調停を選ぶ場合「債務整理にかかる弁護士費用を避けたい」という理由が多いです。
とはいえ、近年では弁護士費用の後払いや分割払いに対応している事務所も多いので、弁護士費用を払えるか心配な方でも、問題なく債務整理を依頼できます。
それぞれのケースについて、おすすめする理由を説明します。
効率的に借金を減らしたい人
特定調停と任意整理は内容自体は似ていますが、借金の減額を債権者に認めてもらえる可能性は大きく変わります。
なぜなら弁護士へ依頼すると、債権者も「弁護士がついているなら借金を踏み倒す心配もないだろう」と安心できるため、借金の減額が認められやすいのです。
そのため「弁護士費用をかけても効率的に借金を減らしたい」という方は、弁護士へ債務整理を依頼するのがおすすめです。
書類準備などの手続きが面倒くさい人
特定調停の申立てにはたくさんの必要書類を集めなければならず、申立て後も簡易裁判所へ出向く必要もあるため、とても手間がかかります。
弁護士へ債務整理を依頼する場合、書類の準備はもちろん債権者との交渉まですべて一任できるので、基本的に何もしなくても大丈夫です。
「必要書類を準備したり、裁判所へ出向くのは面倒・・・」という方は、弁護士へ債務整理を依頼するとよいでしょう。
いますぐ借金の取立てを止めたい人
弁護士へ債務整理を依頼する場合、基本的に依頼当日または翌日には「受任通知」が各債権者に発送され、借金の取立てを止められます。
一方で特定調停を自分で手続きする場合、申立てに必要な書類を準備するだけでも数日はかかってしまうため、その間は借金の取立てが続いてしまいます。
ですので「借金の取立てで滅入っているので、いますぐ止めてほしい」と急いでいる方も弁護士へ債務整理を依頼した方がよいでしょう。
近年では特定調停より弁護士へ債務整理を依頼するのが主流
借金を減らしたい場合、近年では特定調停ではなく弁護士へ債務整理を依頼するのが主流となっています。
特定調停の申立て件数も年々減少しており、平成20年は10万2643件でしたが、平成23年は1万1351件、平成26年度には3358件まで減っています。
さらに特定調停が成立する確率は非常に低く、全体のうち約3%しか借金の減額に成功していないと言われています。
そのため、借金を減らせる可能性の低い特定調停よりも、ほぼ確実に借金を減らせる債務整理を選ぶ債務者が増えているのです。
当サイトからも債務整理に強い弁護士へ無料相談できるので、いちど「債務整理を依頼するべきか?」について話を伺うとよいかもしれません。
自分で特定調停を手続きする方法
特定調停の場合、すべて自分で手続きしなければならないので、わからないことだらけだと思います。
特定調停をしようと決めた後、このような疑問を抱く方も多いでしょう。
- 「特定調停を申し立てたいけど、何を用意すればいい?」
- 「特定調停の申立てに必要な書類は、どこへ提出すればいい?」
- 「特定調停の申立て後、どの裁判所へ行って何を話せばいい?」
最後は特定調停で借金を減らしたい方へ向けて、実際の手順どおりに手続き方法を解説します。
特定調停を申し立てるための必要書類を用意する
まずは特定調停を申し立てるため、裁判所へ提出する必要書類を用意します。
ただし、個人で申し立てる場合と法人で申し立てる場合では、必要書類が異なるため注意しましょう。
個人で特定調停を申し立てる場合、必要書類は以下のとおりです。
- 特定調停申立書×2部(正本・副本)
- 財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料×1部
- 関係権利者一覧表×1部
- 申立手数料(収入印紙)
- 手続費用(予納郵便切手)
- 資格証明書×1部
法人で特定調停を申し立てる場合、以下の書類を用意しましょう。
- 特定調停申立書×2部(正本・副本)
- 財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料×1部
- 関係権利者一覧表×1部
- 申立手数料(収入印紙)
- 手続費用(予納郵便切手)
- 資格証明書×1部
「特定調停申立書」は簡易裁判所で取得するか、裁判所のホームページからダウンロードできます。
特定調停申立書(裁判所ホームページ)
特定調停にかかる費用は1社あたり約1,000円
特定調停の申立てには、裁判所への「申立手数料」と郵便物発送などに使われる「手続費用」の2種類が必要です。
- 申立手数料(1社あたり500円)
- 手続費用(1社あたり430円)
それぞれ1社あたり500円と430円なので、特定調停にかかる費用は1社あたり930円になります。
ただし、特定調停をしたい債権者が多いほど費用も倍に増えていきます。
支払方法は、申立手数料が収入印紙、手続費用は郵便切手で払う形式です。
特定調停を申し立てる場合、必要書類と一緒に申立手数料の収入印紙と手続費用の郵便切手を簡易裁判所へ提出しましょう。
債権者の住所がある地域の簡易裁判所へ必要書類を提出する
特定調停を申し立てる場合、債権者の住所がある地域の簡易裁判所へ必要書類を提出しましょう。
例えば、債権者の住所が東京都であれば、東京簡易裁判所へ提出します。
もし複数の債権者へ特定調停をおこないたい場合、いずれかの債権者の住所を受け持つ簡易裁判所だけで済ませることも可能です。
必要書類の提出をもって、特定調停の申立てが完了し、実際の手続きへ進みます。
裁判所へ出頭して裁判官へ返済状況などを話す
特定調停を申立て後、債務者は裁判所へ最低2回は出向かなければなりません。
1回目は裁判官などの調停委員へ自身の主張を話す「事情聴取期日」です。
この日は債務者だけが裁判所へ呼ばれて、自身の生活状況や収入、今後の返済方法などを調停委員へ話します。
ここで話した内容をもとに、調停委員が新しい返済方法を検討していくことになります。
裁判所へ再び出頭して債権者と返済方法を交渉する
2回目は債権者の意見を交えて、返済方法を話し合う「調整期日」です。
基本的には、債権者も裁判所へ来てもらい、1社あたり30分~1時間かけて、今後の返済方法を話し合うことになります。
債権者が裁判所に来ない場合は調停委員が債権者と電話して、直接顔を合わせずに交渉することもあります。
調整期日では、まず債権者から提出された資料を参考にして、調停委員が「債務者には借金がいくらあるか?」を確定します。
その上で「どのくらい借金を減らせば、債務者が返済できるか?」を考えつつ、債務者と債権者の意見も取り入れて、新しい返済方法を提案します。
ただし、債権者が合意しない場合、1ヶ月に1度のペースで調整期日が何度も開かれることになるため、結論が出るまで何度も簡易裁判所へ出向かなければなりません。
債務者と債権者が合意すれば特定調停が成立する
話し合いの結果、債務者と債権者がお互いに合意すれば、特定調停は成立となります。
その後、新しい返済方法どおりに3〜5年程度かけて借金を返済していきます。
お互いが合意に至らない場合、特定調停は成立せず、借金の返済方法はこれまでどおり変わりません。
「たくさん借金を減らしてほしい」と主張すると、債権者から合意してもらえない可能性が高いですが、かといってあまり借金を減らせないのなら、自分も合意しづらいですよね。
このように必ずしも特定調停が成立するとは限らないため、思うように借金を減らせなかった場合は弁護士へ債務整理を依頼しましょう。
まとめ
特定調停は手続き費用が安い反面、債権者との交渉が難しいため、必ずしも借金を減らせるとは限りません。
にもかかわらず、必要書類の準備や裁判所へ出向いての交渉など、すべての手続きを自分でしなければならないため、手間や時間がかかってしまいます。
そのため、近年では手間のかかる特定調停より、弁護士へ債務整理を依頼して確実に借金を減らす方法が主流です。
当サイトからも債務整理に強い弁護士へ無料相談できます。
借入先・借入額・借入時期などの状況を話すだけで、弁護士から「あなたの場合、◯◯万円くらい借金を減額できそうです!」といったアドバイスを受けられます。
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特定調停に関するよくある質問
特定調停とは、どういう仕組みですか?
特定調停とは、裁判所を通してお金を貸してくれた債権者と自分で交渉して、借金を減らしてもらう手続きです。
特定調停をおこなう場合、いくらかかりますか?
特定調停を手続きする場合、1社あたり1,000円ほどかかります。
特定調停で借金完済する場合、どのくらい期間が必要ですか?
特定調停の申立てから成立までは3ヶ月程度かかり、特定調停の成立後は約3〜5年かけて借金返済していきます。
特定調停には、どんなメリットがありますか?
手続きにかかる費用を安く抑えられる・財産を一切手放さずに借金を減らせるといったメリットがあります。
借金を減らすなら、特定調停はオススメですか?
特定調停は手続き費用を抑えられる一方、調停が成立しないケースもあるので、確実に借金を減らしたいなら、債務整理を依頼したほうがよいでしょう。
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