「奨学金や生活費のために借金を抱えているけれど、これが就職に影響するのではないか?」と不安に感じる就活生は少なくないでしょう。
しかし、実際には、一般企業が借金の有無を採用の判断材料とすることはほとんどありません。なぜなら、借入状況を確認できる「信用情報」は本人の同意がなければ閲覧できず、無断で確認することは個人情報保護法違反となるためです。
一方で、金融機関に就職を希望する場合は注意が必要です。応募者が自社の顧客であれば、社内のデータベースに記録された借入状況や取引履歴を参照する可能性があり、これが選考に影響を与える場合もあります。
また、個人再生や自己破産を行った場合には、官報で公示されるため、過去の借金が就職先に知られる可能性もゼロとは言えません。
本記事では、借金が就活にどのような影響を及ぼすのか、就活生が気になるポイントを詳しく解説します。
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借金していることが就活に影響することはほぼ無い
借金が就活に影響することは基本的にありません。なぜなら、個人の「信用情報」に掲載されている借入状況や返済履歴は、一般企業が本人の同意なしに調べることができないためです。一般的な企業では、借入の有無が選考に影響を及ぼすことはなく、借金が理由で不採用になるケースはほぼないと考えられます。
ただし、金融機関への就職を希望する場合、借金の有無が合否に影響を及ぼす可能性もあります。
個人の信用情報を本人の同意なく閲覧することは違法
信用情報とは、借入・返済の状況やクレジットやローンなどの申込状況などを記録した個人情報です。信用情報は個人情報なので、誰でも自由に閲覧できるわけではなく、信用情報機関に加盟している銀行や貸金業者などの金融機関しか閲覧できません。開示請求できるのは、本人のみです。
さらに、信用情報機関に加盟している企業であっても、本人の同意なく信用情報を照会することは違法とされており、照会の履歴も残ります。仮に採用目的で照会が行われると違法行為が発覚するリスクがあり、企業にとっても大きなリスクを伴うため、通常、企業が採用のために信用情報を確認することはありません。
金融機関への就職活動の場合は注意が必要なケースがある
顧客の資産や個人情報を取り扱う金融機関では、不正やトラブルを避けるために、一般企業に比べ、応募者の経済状況なども加味して厳しい選考を行う傾向があります。
そのため、銀行や証券会社などの金融機関に就職する際には、以下の方法で借入の有無がチェックされるケースがあります。
- 求職者に対して個人信用情報の提出を求める
- 自社内のデータベースを参照する
信用情報の提出を求められるケースがある
銀行や信販会社などの金融機関に就職する際は、信用情報の提出を求められるケースがあります。企業が信用情報を本人の同意なく勝手に閲覧することは違法ですが、本人が同意の上で自ら提出した情報を確認する行為は違法ではありません。
ただし、信用情報は本来、支払能力や返済能力を調査する場合にのみ利用が認められており、採用活動で利用すると「目的外利用」に該当します。目的外利用が発覚すると、信用情報機関から利用停止や加盟契約の解除などの厳しいペナルティを課せられる可能性があります。
企業にとってもリスクが高いため、実際に信用情報が採用活動に用いられるケースはほとんどないと考えてよいでしょう。
金融機関の顧客の場合に調べることは可能
応募者がその金融機関の顧客である場合、借入状況や取引内容が確認される可能性があります。多くの金融機関は、自社内で顧客情報を管理するデータベースを持っているからです。応募者に借金がある場合、社内のデータベースから情報が知れ渡る可能性はあります。
社内データについては、各企業の社内規定によって運用方法が定められており、どのように利用されたのか外部からチェックする手段がありません。そのため、借金の内容や返済状況によっては、就職活動に悪影響を及ぼす可能性もゼロではないと考えておいた方がよいでしょう。
個人再生または自己破産した場合の注意点
個人再生や自己破産した人が就職活動をする際は、以下の点に注意しましょう。
- 官報の閲覧で就活先にバレる可能性はゼロではない
- 自己破産の場合は職業制限がある
それぞれ詳しく解説します。
官報の閲覧で就活先にバレる可能性はゼロではない
個人再生や自己破産をすると、氏名や住所などが「官報」と呼ばれる国の機関紙に2〜3回掲載されるため、応募先の企業に借金していた事実が知られる可能性があります。
官報は行政機関の休日を除いて毎日発行され、インターネット版官報では過去90日分を閲覧することが可能です。日常的に官報を確認している人は少ないものの、以下のように法令改正などの情報をチェックするために官報を利用している業種もあります。
- 士業(弁護士や司法書士など)
- 金融業(銀行や保険会社など)
- 警備業(警備会社など)
また有料の「官報情報検索サービス」では、昭和22年5月3日以降の官報が閲覧可能です。日付やキーワードを指定して検索することも可能なので、採用時に確認されるケースも全くないとは言い切れないでしょう。
自己破産の場合は職業制限がある
自己破産をした場合、一定期間は他人の財産や機密情報を取り扱う職業には就けなくなります。以下は制限される職業の一例です。
- 弁護士
- 税理士
- 公認会計士
- 司法書士
- 行政書士
- 生命保険外交員
- 警備業者
- 公証人
自己破産の事実を隠してこれらの職業に就くと、法律上のペナルティを受けたり、会社から懲戒解雇されたりするリスクがあります。自己破産の申し立てから4〜6ヶ月経過し、免責許可が終わると職業制限は解除されるので、正直に申告した方がよいでしょう。
まとめ
借金をしていることが就活に悪影響を及ぼすケースはほとんどありません。応募者が自ら申し出ない限り、企業が個人の借入状況を知る手段がないためです。クレジットやローンの利用状況は信用情報として記録されていますが、一般企業が自由に閲覧できるわけではありません。
金融機関など信用情報機関に加盟している企業でも、本人の同意なく信用情報を閲覧するのは違法です。本人の同意があったとしても、採用目的で利用することは目的外利用にあたるためリスクが高く、実際に調べる企業はほとんどないでしょう。
ただし、過去に取引がある金融機関への就職を希望する場合は注意が必要です。社内のデータベースに残っている情報を参考にされる可能性があり、選考に影響を及ぼすことも考えられます。
さらに、自己破産の手続き中である場合、一部の職業には就けないため、事前に確認しておくと安心です。
借金があって就活をする場合によくある質問
借金がある場合の就活でのNG行動はある?
就活先に自ら借金の状況を伝える必要はなく、履歴書に記載する義務もありませんが、面接などで尋ねられた場合には、嘘をつかないようにしましょう。
嘘をついて後に借金があることが発覚すると、経歴詐称と見なされ、信頼を損なうリスクがあります。
親が自己破産しているけれど、就活に不利になる事はある?
親が自己破産している場合でも、子どもの就職活動に影響が出ることは基本的にありません。自己破産には職業制限や資格制限が伴う場合がありますが、それは本人に限られるため、親の自己破産は本人と無関係です。
また、就職差別につながる可能性があるため、選考過程で確認されることもほとんどないと考えてよいでしょう。
債務整理を隠して入社した後、バレたら解雇されることはあり得る?
債務整理が後から発覚しても、それが理由で解雇されることは通常ありません。労働基準法第16条では、解雇には客観的な合理的理由が必要とされており、個人的な債務整理はこれに該当しないとされているためです。債務整理を理由とする解雇や降格は不当解雇・不当な扱いとして、不服を訴えることもできます。
ただし、職場で金銭トラブルを起こしたり、借金が原因で業務に支障が出たりしている場合には、解雇されることもあり得るため注意が必要です。
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