自己破産で管財人がつくのはどのような場合?
自己破産において、管財人がつくのは大きく分けて以下の3つの場合です。
- 債務者に評価が難しい財産があり調査が必要な場合
- 一定以上の財産を所有しており処分が必要な場合
- 借金の理由が免責不許可事由に該当する可能性がある場合
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えしていきます。
債務者に評価が難しい財産があり調査が必要な場合
まずは債務者に評価の難しい財産があり、調査が必要な場合です。
例えば、債務者が過去に友人へ150万円を貸していたけれど返ってきていない場合、その150万円を債務者の財産とするかの判断は非常に難しいです。
そのため、管財人が調査をして債権者へ報告をします。
また、個人事業主で報酬をそのまま現金で保管している場合も管財人による調査が入るケースが多いです。
また、申立の数ヵ月前に保険を解約し、保険解約返戻金を受取っているのに申立て時には財産がないという場合なども、調査が必要とされて管財事件となる可能性があります。
一定以上の財産を所有しており処分が必要な場合
申立人が、以下のような財産を所有していると、処分が必要となり管財人が選出されるケースが多いです。
- 99万円以上の預貯金
- 自宅や土地などの不動産
- 高価な車
- 20万円以上の価値を有する貴金属などの財産
上記のような財産は、換価されて債権者への配当に充てられます。その財産を調査し、換価や配当をするのが管財人の役割です。
借金の理由が免責不許可事由に該当する可能性がある場合
借金の理由が浪費やギャンブルによる場合、免責不許可事由に該当して自己破産の免責がおりない可能性があります。
その調査をするのも、管財人の役割です。
また、以下のような場合も、免責不許可事由にあたる可能性があります。
- 破産申立の際に意図的に財産を隠した
- 返済のあてがないにもかかわらず闇金などから借入をした
- 特定の債権者にのみ返済をした
- 財産の情報に関する帳簿や書類を意図的に隠した
- 虚偽の債権者名簿を提出した
知らないうちに免責不許可事由に該当する行動をしてしまう場合もあるので、自己破産を決めたら弁護士とよく話し合い、弁護士にアドバイスをもらうとよいでしょう。
また、免責不許可事由については、以下の記事でさらに詳しく解説しているので参考にしてください。
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管財人がつくとどうなる?
それでは、実際に管財事件となった場合、管財人はどのような役割を担うのでしょうか。
また、財産の調査はどのようにおこなわれ、どのように処分されるのか気になりますよね。
そこでこの項目では、管財人がついた場合に、おこなわれることをわかりやすくお伝えします。
財産の状態や評価価値を管財人が調査する
まず、債務者に換価可能な財産がある場合、その財産がどのような状態であり、どのように保管されているのか調べる必要があるのです。
債務者が自宅や土地などの不動産を所有している場合、登記簿を取得して抵当権の有無や、共有関係の有無なども調べます。
その際に、住宅ローンが大幅に残っており、負債が大きいと判断されると同時廃止事件へと移行する可能性もあります。
不動産の任意売却を管財人がおこなう可能性がある
不動産が債務者の財産に含まれる場合、管財人によって任意売却がおこなわれる可能性があります。
この場合、管財人が買主を探し、その売買価格で不動産の担保権者と交渉します。
買主と担保権者双方の合意が得られれば、管財人による任意売却は成功するのです。
場合によっては、管財人への報酬などを差引くと、競売の方が担保権者が得られる配当が大きく、競売となることもあります。
財産調査のため郵便物がすべて管財人に転送される
自己破産で管財事件となると、債務者宛の郵便物は基本的にすべて管財人へと転送されます。
第八十一条 裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(次条及び第百十八条第五項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
引用元:e-Govポータル「破産法第81条」
これは、破産者宛の郵便物から新たな財産や負債が発覚する可能性があるからです。
また、以下のような郵便物は、管財人への転送対象とはなりません。
破産手続きが完了すれば、郵便物は通常どおり債務者へと届くようになります。
個人破産の場合、破産手続き開始から第1回の債権者集会期日までが、原則として管財人への転送期間となっています。
免責不許可事由にあたる場合は家計の指導や反省文の提出を求められる
借金の理由が前述した免責不許可事由にあたる場合、管財人の指導のもと家計の管理や反省文の提出を求められる場合があります。
借金の理由が免責不許可事由にあたる場合でも、裁判所の裁量免責によって免責の許可がおりるケースは少なくありません。
そのため、管財人が裁判所へ裁量免責を求めて意見するためにも、管財人から家計の見直しや反省文の提出を求められたら速やかに対応しましょう。
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同時廃止事件との費用の違いはどれくらい?支払えないときの対処法
自己破産が管財事件となると、自己破産費用に「引継予納金」がプラスされます。
引継予納金は、管財人への報酬や破産管財実務にかかった実費などに充てられます。
引継予納金は20~50万円程度かかるのが一般的で、支払いに不安を覚える方も多いのではないでしょうか。
そこでこの項目では、管財人の費用である引継予納金について説明し、支払えないときの対処法を2つお伝えします。
管財人の費用は20~50万円が一般的
引継予納金は、負債額によって以下のように変動します。
負債総額(単位:円) |
引継予納金 |
5,000万円未満 |
50万円 |
5.000万円~1億円未満 |
80万円 |
1億円~5億円未満 |
150万円 |
5億円~10億円未満 |
250万円 |
10億円~50億円未満 |
400万円 |
50億円~100億円未満 |
500万円 |
100億円~ |
700万円~ |
裁判所が定める一定の要件を満たすと少額管財事件となり、引継予納金は20万円となります。
ただし、少額管財事件を取り扱っていない裁判所もあるため、事前に担当の弁護士や裁判所へ確認しておきましょう。
自己破産における費用については、以下の記事でさらに詳しく解説しているので参考にしてください。
【対処法①】債務整理に強い弁護士に依頼する
自己破産の費用が支払えないときの対処法として、まずは債務整理に強い弁護士に依頼する方法があります。
債務整理に強い弁護士は、費用の工面が難しいという依頼者の金銭事情も熟知しています。
そのため、相談無料や分割払い・後払いに対応している場合が多いです。
また、債務整理に強いほど同時廃止事件や少額管財事件にできる可能性も高いです。
当サイトでは、借金問題の解決に力を入れる弁護士を紹介しています。相談は無料で受け付けていますので、ぜひ一度相談してみてください。
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【対処法②】法テラスを利用する
自己破産の費用に不安がある場合、法テラスを利用するのも1つの方法です。
法テラスは、国民向けの法的支援をおこなう機関で、要件を満たせば弁護士費用の立替えなどが可能です。
以下の条件を満たすと、無料法律相談や弁護士費用の立替え制度を利用できます。
- 収入等が一定額以下であること
- 勝訴の見込みが少しでもあること
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
ただし、生活保護を受給していない場合は、自己破産の予納金は立替えの対象とはなりません。
詳しくは、以下の法テラスのページを参考にしてください。
「費用を立て替えてもらいたい」
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管財人は破産者の味方!面談では正直に答えよう
管財人は基本的に、破産手続きを申立てた裁判所の管轄地域の法律事務所に所属する弁護士が選任されます。
そして、破産手続きの開始と破産管財人の選任が決定したら、管財人、申立人、申立人の弁護士とで面談がおこなわれます。
管財人は破産者の味方として、経済的な更生を図る立場です。
第一条 この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
引用元:e-Govポータル「破産法第1条」
また、財産の配当に関しては、債権者の味方となる公正で中立な立場です。面談では、無事に免責がおりるように質問には正直に答えましょう。
管財人は裁判所の代理人で公正中立な立場
前述したように、管財人は破産者と債権者の間で公正中立な立場です。
そのため、面談で財産などについて正直に報告し、誠実な態度で臨めばしっかり最後までサポートしてくれます。
しかし、逆に質問に対して虚偽の申告をしたり、申告すべき質問に正しく答えないと、裁量免責に値しないという判断が下される恐れがあります。
そのため、友人からの借金や残しておきたい財産があったとしても、すべて正直に申告しましょう。
また、管財人からの質問に虚偽の回答をすると、詐欺破産罪という刑事罰に問われる恐れもあります。
面談での財産隠しは免責不許可事由となることも
管財人との面談において、財産を隠したり、友人からの借金を申告しないなどの対応をすると、免責不許可事由となる可能性があります。
免責不許可事由とみなされると、自己破産をしても借金の返済義務がなくなりません。
また、申立てまでに支払った弁護士費用や裁判所費用は戻ってこないため、負債が増えてしまう恐れもあります。
管財人は、借金の理由が免責不許可事由になりそうな場合でも、裁量免責を受けるための助言や裁判所への報告をする立場です。
管財人からの質問には、すべて正直かつ誠実に答えるようにしましょう。
自己破産で管財人がつかないようにする方法
管財人がつくと、同時廃止事件よりも大幅に自己破産の費用が高くなるのは前述したとおりです。
そこで、なるべく同時廃止事件にしたいと思う人が多いでしょう。
しかし、同時廃止事件と管財事件のどちらになるかは、自己破産を申請するまでわからないのが現状です。
そこでこの項目では、自己破産においてなるべく管財人がつかないようにする方法をお伝えします。
自己破産に強い法律事務所へ依頼する
まずは、自己破産に強い法律事務所へ依頼することです。
自己破産には「同時廃止基準」があります。手持ちの財産がこの基準を超えると、管財事件となる可能性が高くなります。
例えば、申立のタイミングによっては給料の振込み日と重なり、基準をオーバーしてしまうということも考えられるのです。
そのため、自己破産の申立はタイミングも重要となります。
また、借金の理由がギャンブルといった場合でも、自己破産に強い弁護士の指導の下で生活改善や破産申立書の作成をすれば、裁量免責が認められる可能性が高まります。
当サイトでは、自己破産に強い法律事務所を紹介しています。24時間無料相談可能なので、ぜひ一度ご相談ください。
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任意整理や個人再生ができないか検討する
債務整理には、自己破産の他に任意整理と個人再生という方法があります。
- 任意整理・・・将来分の利息をカットし、元金を分割返済していく
- 個人再生・・・借金を1/5程度に圧縮し、残債を分割で返済していく
上記の方法なら、手元に財産を残せたり周りに知られず手続きができる可能性があります。
ただし、どちらも手続き後も返済を続けていく必要があります。
任意整理か個人再生が可能かどうかは、担当の弁護士に相談してみるとよいでしょう。
また、以下の記事も参考にしてください。
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まとめ
自己破産において、管財人がつく場合は大きく以下の3つです。
- 債務者に調査が必要な財産がある場合
- 債務者が一定以上の財産を所有している場合
- 免責不許可事由にあたる可能性がある場合
管財事件となった場合、引継予納金の支払いが必要になり、一般的に自己破産の費用は20~50万円程度高くなってしまいます。
そのため、自己破産の際は自己破産に強い弁護士に依頼をして、同時廃止事件となるよう相談するとよいでしょう。
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自己破産のよくある質問
自己破産の費用はどれくらいかかりますか?
自己破産費用の相場は同時破産事件で35万円程度、管財事件となると100万円を超えることも少なくありません。どちらになるかは借金の理由など、個々の事情に大きく左右されるので、一度法律事務所へ相談することをおすすめします。
ギャンブルが原因で借金を作ってしまったのですが、自己破産できますか?
ギャンブルが原因の借金は免責不許可事由となり、自己破産の免責がおりない可能性があります。裁判所に裁量免責を求めるためにも、自己破産の実績が豊富な弁護士へ依頼することをおすすめします。
自己破産の実績が豊富な弁護士はこ知らで紹介しています。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」
自己破産にかかる期間はどれくらいですか?
自己破産を申し立ててから免責の許可が下りるまで、同時廃止事件では2~6ヶ月、管財事件では6~12ヶ月ほどかかるとされています。管財事件では、財産の調査などがあるため期間が長くなります。
自己破産の費用が用意できないときはどうしたらよいですか?
債務整理が得意な法律事務所なら、債務者の事情を踏まえて相談無料や分割・後払いに対応しているところが多いです。また、一定の条件を満たしていれば法テラスで費用の立替え制度を利用することができます。
借金が高額となってしまい、自己破産を考えているのですが持ち家を手放したくありません。どうしたらよいですか?
個人再生ができないか検討するのがよいでしょう。住宅ローンの状況や借入、収入の状況がわかる資料を持って、一度法律事務所へ相談してみてください。
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