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2024年11月現在

慰謝料は債務整理で減額対象に含めることはできるのか?

債務整理で借金や債務が減らせると聞きました。

はい。債務整理では借金だけでなく、家賃や通信費、買い物の支払いなども減額できる可能性があります。

そうなのですね。では、私は離婚したときから支払っている慰謝料があるのですが、慰謝料も債務整理で減額できるのでしょうか?

慰謝料については、債務整理できる場合とそうでない場合があります。ですが安心してください。弁護士や司法書士に依頼すれば、離婚に対する慰謝料は債務整理できる場合が多いです。

そうなんですね!慰謝料の支払いにも困っていたので、安心しました。

慰謝料の支払いにお悩みではありませんか?慰謝料は場合によっては、非常に大きな額となります。

例えば不倫が原因で離婚に至った場合の慰謝料は、200万円~300万円に上る場合もあります

また交通事故の場合も、100万円以上の慰謝料が請求されることは珍しくありません。また慰謝料を取り決めた当初は問題なくても、経済状況が変わって支払いが難しくなってしまうこともあります。

慰謝料は相手に対して支払いの義務があるため、債務整理ができないと考える人が多いでしょう。しかし、実は債務整理で慰謝料を減額または免除できる可能性があるのです。

できるかできないかは場合によって異なりますが、弁護士や司法書士が間に入って手続きをすることで債務整理できる可能性が上がります。

つまり慰謝料は、必ずしも支払い続けなければいけないものではありません。

この記事を読んで、どんなときに慰謝料が債務整理できるのか把握し、前向きに債務整理を検討してみましょう。

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この記事でわかること
  • 慰謝料を債務整理できるのは「非免責債権」に該当しない場合
  • 慰謝料を債務整理するための手続きは「個人再生」と「自己破産」の2種類
  • 債務整理は「免責不許可事由」とならないように注意が必要
  • 確実に債務整理をするなら弁護士や司法書士に相談するのがおすすめ

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監修
弁護士法人アクロピース
伊藤 俊太郎(弁護士)

慰謝料が債務整理できるかどうかは「非免責債権」に該当するかで決まる

前提として、慰謝料とは相手の精神的苦痛に対する損害賠償です。特に、不倫や浮気などといった不貞行為に対して支払う場合が多い傾向にあります。

そのほかには、名誉棄損などの行為、または交通事故などに対して支払います。

そんな慰謝料ですが、基本的に債務の1つとして債務整理の対象となります。しかし、まれに債務整理できない場合も。それは慰謝料が「非免責債権」に該当した場合です。

ワンポイント解説
非免責債権とは?

非免責債権とは、免責許可決定の対象とならない債権のこと。つまり支払い義務を免除できない債権のことを指します。
非免責債権にあたるものは、免責許可決定がおりても支払いを続けなければなりません。
参照:破産法第253条

つまり慰謝料が非免責債権に該当しなければ、原則として債務整理はできます。では慰謝料の債務整理ができるケースと、そうでないケースを順に見ていきましょう。

浮気や離婚に対する慰謝料は債務整理できるケースが多い

浮気や離婚に対する慰謝料は、債務整理できる場合が多いです。つまり非免責債権には該当しません。なぜなら非免責債権は、以下のような慰謝料が該当するからです。

  • 明らかな悪意を持った行為に対する慰謝料
  • 生命を脅かす行為に対する慰謝料

つまり上記以外の慰謝料は基本的に債務整理できます。不倫や浮気などといった不貞行為は、一般的にパートナーに対して悪意を持って行うものではありません。

生命を脅かすものでもないでしょう。そのため浮気や不倫に対する慰謝料は債務整理できる可能性が高いのです。

ただしパートナーに対してDVがあった場合は、慰謝料が非免責債権に該当する可能性があります。

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悪意ある名誉棄損などに対する慰謝料は債務整理できないこともある

名誉棄損や、相手が大怪我を負った交通事故の慰謝料は債務整理できないことがあります。先述のとおり、債務整理できるかできないかのカギとなるのは、「悪意」と「危険性」の有無です。

つまり、これら2つのいずれかを含む行為に対する慰謝料は、非免責債権に該当し、債務整理できない可能性があります。

ただし、名誉棄損や交通事故の慰謝料が100%債務整理できないとは限りません。

例えば相手に命の別状がない軽傷の交通事故に対する慰謝料の場合、問題なく債務整理できる場合もあります。

養育費は債務整理できない

離婚と同時に養育費の支払い義務を負うことがありますが、養育費は債務整理できません。養育費は慰謝料と異なり、「非免責債権」に該当します。

そのため、どの債務整理手続きでも減額はできないのです。

慰謝料を債務整理したい場合にとれる手続き

慰謝料を債務整理するには自己破産と個人再生の2つの方法があります。

ここからはそれぞれの方法や、利用すべきシーンについて見ていきましょう。また、債務整理を確実に進めるためのポイントについてもご紹介します。

自己破産

自己破産は全ての債務を免除する手続きです。手続き後は債務がなくなり、支払いをする必要がありません。

そのため、債務が大きく全く支払いのめどが立たない人や、収入がない人に最適な手続きといえます。

自己破産後に残る財産は、20万円以内の財産または99万円以内の現金です。これを超える額の財産は全て返済にあてなければならないため、家や車などは売却する必要があります。

また、自己破産の手続き中は資格の制限があります。例えば、警備員や保険外交員、宅建などの資格を必要とする仕事ができません。

現在これらの資格の必要な職業に就いている方は仕事ができなくなるため、一定期間収入がなくなることを視野に入れなければなりません。

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個人再生

個人再生は慰謝料を含め、債務を大幅に減額する手続きです。債務を最大10分の1にまで減額することができます。

全額免除というわけではないので、少なからず支払い義務は残ります。そのため減額さえできれば、支払いの余地があるという人におすすめです。

一方で、個人再生では必ずしも財産を処分したり、家を売却したりする必要がありません。つまり、マイホームなどの財産を残しつつ債務整理したい方には最適な手続きといえるでしょう。

ただし、個人再生では保有財産と同等額以上の返済が求められるため注意してください。また、ローンの残っている自動車は売却する必要があるケースもあります。

個人再生のメリットや注意点を知りたい方は「個人再生とは?減額効果や手続きの流れなどを詳しく解説」も合わせてご覧ください。

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慰謝料の債務整理を確実に進めるための注意点

自己破産をすると、例外的に免責不許可事由」として裁判所が債務整理を認めない場合があります。

つまり免責不許可事由となると、慰謝料だけでなく全ての債務に対する債務整理そのものができなくなってしまいます。では免責不許可事由にならず、確実に債務整理をするにはどうすればよいのでしょうか。

債務整理における注意点をご紹介します。

債権者一覧表に慰謝料を記載する

債務整理をするときは、「債権者一覧表」という帳簿を提出する必要があります。これは債権者の名前や取引額などを詳細に記した書類です。

債権者一覧表には、慰謝料についても忘れず記載しましょう。慰謝料以外にも、自分の支払うべき費用については全て記載が必要です。

債権者一覧表の内容についてわざと嘘をつくと、免責不許可事由として自己破産ができなくなってしまいます。

これは破産法第252条7項において「虚偽の債権者名簿提出行為」として定められています。

参照:破産法 | e-Gov法令検索

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財産隠しをしない

自己破産をする際、自身の財産を正確に申告する必要があります。手続き中に、財産について虚偽の申告をすると免責不許可事由となることがあるのです。

虚偽の申告は破産法第252条1項で「不当な破産財団価値減少行為」と定められており、これが発覚すると自己破産ができなくなります。

自己破産をすると財産が処分されてしまいますが、だからといって財産を隠したり一時的に誰かへ譲渡したりするのは控えましょう。具体的には、以下の場合が「不当な破産財団価値減少行為」とされます。

  • 家を自己破産の手続き中に売却・譲渡する
  • 自分の預金を親族の口座に移す
  • 自分の財産を一時的に譲渡する
  • 車の名義を変更する

保有している財産については、全て正直に申告しましょう。

債務整理の正当な理由を伝える

債務整理に至った理由がギャンブルでの浪費など悪質なものだと、免責不許可事由となることがあります。

ギャンブルや賭博は破産法第252条4項において「浪費または賭博その他の射幸行為」と定められており、免責不許可事由の対象です。他にも、以下のような行為で財産を失った場合は免責不許可事由となる可能性があります。

  • パチンコや競馬などのギャンブル
  • ホストまたはキャバクラ通い
  • 株またはFX
  • ブランド品の購入
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慰謝料を債務整理するなら弁護士・司法書士への相談がおすすめ

債務整理は代理人を立てず、自分で手続きをすることもできますが、弁護士や司法書士に依頼して、手続きを進めてもらうのがおすすめです。

ここからはその理由について見ていきましょう。

弁護士・司法書士に依頼すると慰謝料を債務整理できる可能性が高くなる

1つめの理由として、弁護士や司法書士に依頼することで慰謝料を債務整理できる可能性が高くなるからです。先述のとおり、慰謝料を債務整理できるかどうかは場合により異なります。

そのため、法律家のアドバイスを仰ぎつつ慎重に判断して手続きをすることが必要となります。さらに、弁護士や司法書士は裁判所へのアプローチの仕方や、債務整理を有利に進めるためのコツを熟知しています。

つまり場合に応じて依頼者に有利な働きをしてくれるのです。

また、一般の人が債務整理手続きを行うには専門的知識が必要です。提出書類に不備があった場合、債務整理ができなくなってしまう可能性もあります。

知識不足によるちょっとしたミスで、減額できるはずだった借金がそのままになってしまうのは非常にもったいないことです。債務整理ができないというリスクを回避するためにも、弁護士や司法書士に依頼をすると良いでしょう。

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弁護士・司法書士が間に入れば手続きがスムーズになる

2つめに、弁護士や司法書士に依頼することで手続きがスムーズになります。当然ながら、自分で手続き方法を調べながらでは時間がかかるでしょう。

仕事をしている場合は特に、債務整理に時間を割くのは大変です。その点、弁護士や司法書士に依頼すれば無駄なく、そして手早く手続きを進めてくれます。

また、裁判所へ提出する書類の作成も、弁護士や司法書士に全て任せることができます。

自分ですることといえば債権者と交わした契約書など、債務に関する情報を集めて弁護士や司法書士に渡すだけです。このように自分の手間が省けるという点も、弁護士や司法書士に依頼するメリットの1つです。

さらに、当然ながら債務者と債権者の間で直接交渉をするよりも、第3者である弁護士や司法書士が間に入った方が手続きはスムーズになります。

自分で一連の手続きをする手間や時間を考えると、お金を払っても弁護士や司法書士に依頼する方が効率的でしょう。

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債権者から不服申し立てがあった場合も安心

場合によっては債権者から免責決定に対して不服申し立てをされる場合があります。免責決定により、支払いが免除されることになるため債権者としては、「きちんと支払って欲しい」という意図で免責決定への不服を申し立てることができるのです。

このような場合でも、弁護士や司法書士に依頼していれば安心です。弁護士や司法書士が間に入ってくれるので、債権者の不服申し立てに対して適切に対応してくれます。

また再び支払いの義務が発生し、生活がおびやかされる心配もないでしょう。

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まとめ

慰謝料は借金と異なり「債務」というイメージが沸きにくく、債務整理できないと考えている人が多いかもしれません。

しかし慰謝料は「非免責債権」にさえ該当しなければ、債務整理ができます。

特に不倫や浮気に対する慰謝料は、債務整理できる可能性が高いです。ただし慰謝料を含む債務について減額、免除の対象にならない「免責不許可事由」にあたるかどうかは、注意しなくてはなりません。

このほかにも債務整理をするには、知識のない人が作るには難しい書類の提出や、裁判所とのやり取りが求められます。こうした手間や不安は、弁護士や司法書士に依頼することで解決できます。

弁護士や司法書士へ相談すれば、現在の経済状況を踏まえたアドバイスをしてもらえます。ぜひ、気軽な相談からスタートしてみてはいかがでしょうか。

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更新日 : 2024年11月18日
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