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自己破産すると裁判所から呼び出しがある?タイミングや回数について解説

自己破産すると裁判所から呼び出しがある?タイミングや回数について解説

自己破産をした場合、裁判所から呼び出されることがあります。裁判所が自己破産の申立人を呼び出す理由は、財産の状況や借金に至った経緯を確認し、手続きが正当であるかを判断するためです。

裁判所に行くタイミングは自己破産手続きの種類によって異なります。詳しくは以下の表のとおりです。

自己破産手続きの種類 裁判所に行く必要がある場面
同時廃止手続き ①自己破産を申し立てる時
②債務者審尋(借金の理由や現在の状況を確認する面接)
③免責審尋(借金免除の可否を判断する最終手続き)
管財事件
(少額管財事件を含む)
①自己破産を申し立てる時
②債務者審尋(借金の理由や現在の状況を確認する面接)
③免責審尋(借金免除の可否を判断する最終手続き)
④債権者集会

同時廃止手続きは破産手続きの開始と同時に破産事件を廃止するものなので、書類の簡単な審査で済むことが多く、場合によっては出頭が不要なケースもあります。

一方、管財事件の場合は債権者への残債分配などがあるため、同時廃止手続きよりも多く裁判所に出廷することが必要です。

「自己破産の申し立て」と「債務者審尋」については弁護士に依頼することで代理出廷してもらえます。

時間的あるいは精神的負担を軽減できるだけでなく、自己破産ができるかや書類作成の専門的なアドバイスもしてもらえるので、心強い味方になってくれるでしょう。

この記事では、自己破産手続きに伴う裁判所への出頭タイミングや、どのようなケースで出頭が必要になるのかについて詳しく解説します。手続きの流れを知り、不安を解消する一助としてお役立てください。

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自己破産する際には裁判所から呼び出しを受ける

自己破産の手続きを行う際は、調査内容や反省の意思の確認を行うために裁判所から呼び出しを受けます

必ず出廷が必要な回数は、自己破産手続きの種類で次のように変わります。

自己破産手続きの種類 必ず出廷が必要なタイミング
同時廃止事件 ・免責審尋
管財事件
(少額管財含む)
・免責審尋
・債権者集会

免責審尋とは破産手続きの最終段階に行われる手続きです。債務者の本拠地や住所に変更がないことや破産した理由、破産後の生活を確認して破産手続きの妥当性が審理されます。

一方、責任者集会は破産管財人が破産申立人の財産状況や借金の経緯を調査して、結果を裁判所や債権者に報告する場です。

ここでは、自己破産手続き時に起こる裁判所からの呼び出しについて以下の内容で解説します。

  • 原則、自己破産をする本人が裁判所に行くことが必要
  • 弁護士に依頼すれば行く回数が減る
  • 出廷が不要なケース

原則、自己破産をする本人が裁判所に行くことが必要

自己破産を申し立てる場合、原則として破産申立人本人が裁判所に出向くことが必要です。

裁判所に出向くタイミングや回数は破産手続きの種類によって、以下のように変わります。

自己破産手続きの種類 裁判所に行く必要がある場面
同時廃止手続き ①自己破産を申し立てる時
②債務者審尋(借金の理由や現在の状況を確認する面接)
③免責審尋(借金免除の可否を判断する最終手続き)
管財事件
(少額管財事件を含む)
①自己破産を申し立てる時
②債務者審尋(借金の理由や現在の状況を確認する面接)
③免責審尋(借金免除の可否を判断する最終手続き)
④債権者集会

上記のうち、「自己破産の申立」「債務者審尋」「免責審尋」はどちらのケースであっても出廷が必要です。

一方、管財事件の場合は上記3つに加えて債務者集会への出廷も求められるため、出廷回数は多くなります。

それぞれの手続きの意味については、下表を参考にしてください。

手続き 内容
自己破産の申立 裁判所に書類を持参し、自己破産手続きを依頼する。
債務者審尋 提出した書類を元に面接を行い、自己破産手続きを行うかを決める。
書類の内容から借金の経緯などが質問される。
免責審尋 申立人の免責を審議するための面接。
債務の詳細や財産状況、反省の意思確認などから判断される。
債権者集会 申立人の財務状況などを裁判所が選任した破産管財人が債権者に対して説明する。

なお、自己破産の申立ては申立人が住んでいる場所を管轄する地方裁判所で行われるため、遠方に出向く必要はありません。

弁護士に依頼すれば行く回数が減る

自己破産の手続きでは、弁護士に依頼することで裁判所への出頭回数を大幅に減らせる場合があります。

弁護士は、破産申立時や書類の提出、債務者審尋といった手続きの多くを代理で進めてくれるため、本人が裁判所に出向く機会は限られます。特に、書類が正確に作成されており、形式的な確認で済むケースでは、弁護士がすべてを代行することが可能です。

それでも本人が出頭を求められる場合、弁護士が同行するため安心して対応できます。裁判所の手続きに慣れていない人にとっては、緊張や不安を感じる場面もありますが弁護士が事前に流れや質問内容を説明してくれるため、手続きはスムーズに進むでしょう。

弁護士のサポートは、心理的な負担を軽減するだけでなく、手続きの正確性を高めるうえでも大きな助けとなります。

出廷が不要なケース

自己破産の手続きでは、通常、裁判所に出向く必要があります。しかし、以下のような特定の条件を満たす場合には、出廷が不要になるケースもあります。

  • 裁判所が「書面審理」を採用している場合
  • 破産申立人が病気など特別な事情がある場合
  • 破産申立人に成年後見人が付いている場合

まず、「書面審理」とは、提出された書類をもとに裁判所が審査を行う手続きです。「同時廃止事件」に適用されることが多く、申立人に資産がほとんどない場合に選ばれる形式です。

債権者へ破産申立人が保有する資産の分配が不要なため、出廷せずに手続きが完了します。ただし、この方法が採用されるかどうかは裁判所によって異なるため、事前に確認が必要です。

また、病気や身体的な障害など特別な事情がある場合、裁判所が出廷を免除することがあります。実際に免除を得るためには裁判所に適切に事情を説明することが必要なので、医師の診断書などを準備しておくことをおすすめします。

さらに、申立人が高齢や認知症などで判断能力が低下している場合、成年後見人が代理で出廷することが認められるケースもあります。本人が直接裁判所に行かなくても、成年後見人が裁判手続きが進めることが可能です。

このように、自己破産の手続きにおいて出廷が不要になるケースは状況によって異なります。事前に確認が難しい場合は、弁護士など専門家の力を借りることも大切です。

下記記事では自己破産の詳しいやり方を解説しているので、参考にしてください。

自己破産で裁判所に行くタイミング

自己破産手続きを行う際は、以下の流れで進んでいくことが一般的です。

  1. 弁護士に相談する
  2. 債権者に受任通知を送る
  3. 申立書類を作成する
  4. 裁判所で破産手続きの申立てを行う
  5. 裁判所で債務者審尋を受ける
  6. 破産手続きを行う
  7. 裁判所で免責審尋を行う
  8. 免責許可の決定及び確定

上記の流れの中で裁判所に行くタイミングは、破産手続きの種類によって以下のように変わります。

自己破産手続きの種類 裁判所に行く必要がある場面
同時廃止手続き ①自己破産を申し立てる時
②債務者審尋(借金の理由や現在の状況を確認する面接)
③免責審尋(借金免除の可否を判断する最終手続き)
管財事件
(少額管財事件を含む)
①自己破産を申し立てる時
②債務者審尋(借金の理由や現在の状況を確認する面接)
③免責審尋(借金免除の可否を判断する最終手続き)
④債権者集会

自己破産の申立時

自己破産の手続きは、まず裁判所に以下のような申立書と必要書類を提出することから始まります。

  • 破産申立書
  • 陳述書
  • 債権者一覧表
  • 収支や支出に関する書類など

債務者本人が上記書類を持って裁判所に直接出向くケースもありますが、弁護士に依頼している場合は代行が可能です。

自己破産手続きに必要な書類は、下記で詳しく解説しているので参考にしてください。

債務者審尋(さいむしゃしんじん)

債務者審尋は、自己破産手続きの開始を決定する前に裁判所にて行われる面接で、申立書類の内容や借金に至った理由を申立人に直接確認する場です。

ただし、全てのケースで行われるわけでなく、書類の不備が多いなど問題の事情が認められる場合や所得隠しなどの疑いがあり、裁判所が追加確認を必要と判断した場合に実施されるケースが目立ちます。

原則本人が出廷する必要がありますが、弁護士に依頼している場合は同行してくれるだけでなく、そもそも必要書類を正しく提出しているので本人の出廷が不要なケースもあります。

また、破産手続きの審議の開始と同時に終了が見込まれる「同時廃止事件」では債務者審尋そのものが省略される可能性が高いです。

実際に審尋が行われる場合でも、裁判所は事務的な質問をするに留まるため、大きな心配は必要ありません。弁護士と事前に相談し、正確な情報を提供することでスムーズに手続きが進むでしょう。

免責審尋(めんせきしんじん)

免責審尋とは自己破産手続きの中で、裁判所が破産申立人の免責(借金の支払い免除)を認めるかどうかを判断する重要な面接です。

この審尋では、申立人が免責不許可事由(免責が認められない条件)に該当する行為をしていないか、また破産に至った経緯に反省の意思があるかなどが確認されます。

免責審尋は破産者本人が必ず出頭しなければならないため、不安を覚える人も多いでしょう。しかし、弁護士に依頼している場合は同行してもらい、不安な点を事前に相談したりその場でサポートを受けたりすることが可能です。

また、質問内容は基本的には事務的なものなので、借金をした理由や反省の意思について誠実さを持って簡潔に答えられれば問題ありません。

申立人が裁判所の質問に誠実性を持って答えている場合は、短時間で形式的に進められるケースが多く、破産について責め立てられることもないでしょう。

自己破産の期間や免責決定までの流れについては、下記記事でも解説しているので参考にしてください。

債権者集会(少額管財事件、管財事件のみ)

債権者集会は、少額管財事件や管財事件で実施される手続きの一環です。

裁判所の管轄内にいる弁護士の中から選任された破産管財人が、申立人の財産状況や借金の経緯を調査して結果を裁判所や債権者に報告します。

返済の可能性や今後についての話し合いが行われるため、以下の人たちは裁判所への出廷が必要です。

  • 担当裁判官
  • 債務者本人
  • 債務者本人の代理人弁護士
  • 破産管財人
  • 債権者(任意)

債権者集会は裁判所や管財人が重要な確認を行うため、債権者以外は出席が義務付けられています。

債務者本人が出席を怠ると説明義務を果たさず誠実性がないと判断され、免責が許可されない可能性もあるため必ず出席しなければなりません。

場合によっては債権者と顔を合わせることになるため、債権者集会に出席したくないと考える人も多いでしょう。

しかし、一般的な債権者集会は事務的な手続きが中心であり、多くのケースでは短時間で終わります。

事前に管財人から書類提出や情報提供を求められるため、正確に準備しておけば問題ありません。債権者集会を通じて破産申立人としての説明義務を果たすことで、手続きが円滑に進みます。

説明義務を果たさないで逃げる方がより苦しくなるため、債権者集会には必ず出席しましょう。

自己破産で選任される破産管財人の役割などは、下記記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

自己破産で出廷するタイミング・回数は手続きの種類で変わる

自己破産で出廷するタイミングや回数は手続きの種類によって変わります。自己破産の申立手続きは3種類ありますが、それぞれの適用に関わる条件は下表を参考にしてください。

手続きの種類 該当する条件
同時廃止事件 ・財産額が20万円未満
管財事件 ・財産額が20万円以上
・法人の代表や個人事業主
・債務額が5000万円以上
・免責深事由に関する調査が必要
少額管財事件 ・管財事件に該当するが、財産や問題が比較的小規模

また、少額管財事件は法律で規定された制度ではなく、地方裁判所によって利用の可否や対象となる金額が変わるため弁護士などの専門家の指示を仰ぐことが必要です。

ここでは、それぞれの手続き方法による出廷タイミングや回数を紹介します。

  • 同時廃止事件:免責審尋(1回)
  • 少額管財事件:債権者集会・免責審尋(1〜3回程度)
  • 管財事件:債権者集会・免責審尋(1〜3回程度)

同時廃止事件:免責審尋(1回)

同時廃止事件とは、破産手続開始決定と同時に手続きが終了する形式の自己破産手続きです。債務者にほとんど資産がなく、破産管財人による財産の現金化が不要な場合に適用されます。

具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 債務者の資産額が20万円以下
  • ギャンブルや浪費などでの出費ではない(免責不許可事由ではない)

同時廃止事件における裁判所への出廷タイミングは、原則として「免責審尋」の1回のみです。

ただし、裁判所自体が同時廃止事件を書面審理のみで運用している場合は、免責審尋も出廷が不要なケースがあります。

同時廃止事件の手続きは他のケースよりも期間が短く出廷も少ないので、精神的・経済的な負担が少ない点がメリットです。

少額管財事件:債権者集会・免責審尋(1〜3回程度)

少額管財事件は通常の管財事件に比べて手続きが簡略化され、予納金の負担を軽減できる自己破産手続きです。

通常、20万円を超える資産がある個人や企業の破産手続きは管財事件として扱われます。

管財事件では自己破産手続きを進めるために、手数料や官報広告費、破産管財人への補習として予納金の支払いが必要です。

予納金は裁判所や負債額によって変わり、概ね50万~700万円の費用がかかります。

しかし、これらの金額では大きすぎるため債務者が負担できないケースもあり、予納金を抑えた少額管財事件の制度が利用できるようになりました。

少額管財事件では「債権者集会」と「免責審尋」の2回の出廷が必要となるケースが多いです。

債権者集会では破産管財人が債権者に対して財産状況や借金の経緯を説明し、債務者本人も必要に応じて質問に答えます。一方、免責審尋では、裁判所が申立人の反省の意思や免責不許可事由がないかを審理します。

どちらも誠実に対応しない場合、免責が認められないため嘘偽りなく借金の経緯を説明し、反省の弁を述べることが大切です。

また、債務者本人に激しい浪費癖がある場合や債務増加の経緯が不明瞭な場合は、上記に合わせて「債務者審尋」が実施される場合もあります。

したがって、債務者審尋が実施されたケースでは、合計で3回程度裁判所へ出廷する可能性があると覚えておきましょう。

なお、少額管財事件では弁護士が裁判所とやり取りして予納金を抑えた手続きを行うため、制度を利用するためには弁護士への依頼が必須条件です。

弁護士費用等は必要になりますが、その分、予納金が少なく手続きに必要な期間が短いメリットがあります。

管財事件:債権者集会・免責審尋(1〜3回程度)

管財事件は破産申立人の資産額が一定額を超える場合や、免責不許可事由の疑いがある場合に適用される自己破産手続きです。

裁判所が選任した破産管財人が中心となり、申立人の財産状況や借金の経緯を調査します。

特に特定の債権者だけを優遇して返済したり、浪費やギャンブルによる借金があったりする場合は、免責不許可事由に該当する可能性があるため慎重に確認されます。

管財事件では少額管財事件と同様に「債権者集会」と「免責審尋」が実施されることが一般的です。債務増加が不明瞭な場合は「債務者審尋」が実施されるケースもあるため、裁判所への出廷が1〜3回程度必要です。

管財事件は債務者本人に多大な借金だけでなく多くの資産があるため、債務者への平等分配を行ったり、財産等を隠し持っていないかなどが慎重に判断されるため手続きに時間がかかります。

自己破産の管財事件・少額管財事件・同時廃止事件を詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

自己破産で裁判所に呼び出されたら何を聞かれる?

ここからは自己破産で裁判所に呼び出された場合の質問を以下の内容で解説します。

  • 債務者審尋での質問内容
  • 免責審尋での質問内容
  • 債権者集会での質問内容

それぞれ詳しく見ていきましょう。

債務者審尋での質問内容

債務者審尋では、裁判所が自己破産の申立内容や申立人の誠実性を確認するために、提出書類の内容に基づいて以下の質問を行います

  • 債務の増加理由や経緯
  • 返済不能となった理由や経緯
  • 現在の借金額はいくらか
  • 保有している財産の内容
  • 債権者一覧表以外に債権者がいないか

審尋では事務的な質問が中心で、裁判官や破産管財人は虚偽の申告をしていないかを注意深く確認します。

また、裁判所の運用方法や提出書類で債務の増加理由などが明確にわかる場合は、債務者審尋は行われないケースも多いです。

免責審尋での質問内容

免責審尋は、裁判所が債務者の免責を認めるかを判断するために行われる手続きです。

申立書類や破産管財人の調査で特に問題がなければ、「集団審尋」と呼ばれる形式で複数の申立人が一度に以下のような質問をされます。

  • 本籍や住所などの基本情報の確認
  • 免責不許可事由があるか
  • 免責制度が生活を再建する支援制度と理解しているか
  • 生活再建に向けた計画や心構え
  • 借金に対する反省の意思

また、上記に加えて「自己破産を申し立てるしかなかった理由」や「今後どのように借金を防ぐか」など、免責後の生活再建を視野に入れた質問がされるケースもあります。

自己破産手続きが借金をリセットするだけでなく、二度と返済不可にならないようにするための支援であることを理解して現実的な生活再建の計画を答えましょう。

なお、申立人に免責不許可事由が疑われる場合には、1人ずつ面接する「個別審尋」が行われることがあります。

申立書類と食い違いがないかなどを詳しく聞かれるため、正直に答えることが大切です。虚偽の申告をした場合は破産法第265条により、詐欺破産罪に問われる可能性もあります。


破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者(相続財産の破産にあっては相続財産、信託財産の破産にあっては信託財産。次項において同じ。)について破産手続開始の決定が確定したときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。
一債務者の財産(相続財産の破産にあっては相続財産に属する財産、信託財産の破産にあっては信託財産に属する財産。以下この条において同じ。)を隠匿し、又は損壊する行為
二債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
三債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
四債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為
2前項に規定するもののほか、債務者について破産手続開始の決定がされ、又は保全管理命令が発せられたことを認識しながら、債権者を害する目的で、破産管財人の承諾その他の正当な理由がなく、その債務者の財産を取得し、又は第三者に取得させた者も、同項と同様とする。
引用元 破産法

財産を隠したり、他者と共謀して財産を譲渡したりする行為は犯罪行為となるため、絶対にしてはなりません。

具体的な免責不許可事由については、下記でも解説しているので参考にしてください。

債権者集会での質問内容

債権者集会は破産管財人が裁判官や債権者に対し、破産申立人の財産状況や調査結果を報告する場です。このため、破産申立人が直接質問を受ける機会は少なく、基本的には債権者が出席すること自体が例外的です。

債権者から質問があった場合、通常は破産管財人または代理人である弁護士が回答します。質問内容としては、申立人の財産状況や借金の経緯などが考えられますが、弁護士が対応するため申立人が答える必要はほとんどありません。

債権者集会の手続きは多くの場合形式的で短時間で終わるため、破産申立人にとって大きな負担になるケースは少ないでしょう。事前に弁護士と十分な準備をしておけば、安心して臨めます。

自己破産で裁判所に出頭する際の注意点

自己破産で裁判所に出頭する際の注意点には、以下の3つがあげられます。

  • 時間を必ず守る
  • 落ち着いた服装で行く
  • 免責審尋では誠実な受け答えをする

時間を必ず守る

自己破産で裁判所に出頭する際、時間厳守が非常に重要です。

特に免責審尋は通常であれば10〜15分程度で終了することが多く、短時間でのスムーズな進行が求められるため遅刻は絶対に避けるべきです。遅刻すると、裁判所の信頼を損ない手続きが遅延する恐れがあります。

受付時間も考慮して集合時間の10分前には裁判所に到着することを心がけ、余裕をもって行動しましょう。

裁判所の場所や交通機関の確認は前日までに行い、当日の予想外の遅延にも対応できるよう計画を立てておくと安心です。

また、当日は弁護士が同席する場合が多いですが、自身の責任として時間を守る姿勢が求められます。誠実な対応を心がけて、円滑に手続きを進めましょう。

落ち着いた服装で行く

自己破産で裁判所に出頭する際の服装は、落ち着いた印象を与え、清潔感があるものを選びます。

具体的には、シンプルで控えめな色合いのシャツやジャケット、無地のパンツやスカートが適切です。派手な色彩や過度な装飾、目立つブランドものは避けます

また、帽子やTシャツやジーンズなどのカジュアルすぎる服装は控えたほうが無難です。服装から誠実さや真摯な姿勢を伝えるためにも、場にふさわしい装いを心がけてください。

免責審尋では誠実な受け答えをする

免責審尋では、裁判所からの質問に対して誠実に答えることが何より重要です。自己破産手続きにおいては、破産申立人の誠実性が免責許可の大きな判断材料となります。

質問に対して嘘をついたり説明を拒否したりすると、免責不許可事由に該当する可能性があるため誠実な受け答えが必要です。

裁判所が行う質問は提出された書類の確認や借金の経緯、現在の生活状況についてなど、事務的な内容が中心です。難しい質問がされることは少なく、正直かつ簡潔に答えれば問題ありません。

誠実な受け答えが免責の認定につながる重要なポイントであることを意識して臨みましょう。

自己破産の手続きでかかる費用

自己破産の手続きにかかる費用は手続きの種類によって以下の違いがあります。

手続きの種類 同時廃止事件 少額管財事件 管財事件
裁判所の費用 1~3万円程度 20万円程度 50万円程度
弁護士費用 30~50万円程度 30~50万円程度 30~80万円程度

上表のとおり、自己破産の費用は最低でも30万円程度必要といえます。ここからはそれぞれの費用について、下記の内容で解説するので参考にしてください。

  • 裁判所に支払う費用(約1万〜50万円)
  • 弁護士・司法書士に支払う費用(約30万〜80万円)

裁判所に支払う費用(約1万〜50万円)

裁判所に支払う費用は、以下のとおりです。

科目 費用 解説
申立手数料 1,500円程度 自己破産を申し立てる際に必要な費用で、収入印紙によって支払う。
予納郵券代 3,000~1万5,000円 債権者に対する通知や関連書類を郵送するための郵便代金。破産手続き開始前に納める。
予納金 1~50万円 破産管財人の報酬や官報公告費用など、自己破産手続きに必要な基本費用。

裁判所に納める金額の中で最も大きな割合を占めるのが「予納金」です。これは、手続きや破産管財人の業務に必要な費用をカバーするために、事前に支払うお金を指します。

予納金の支払い通知を受け取った後、通常2週間から1か月程度の間に支払う必要があります。この期限を守らないと手続きが遅れる可能性があるため、事前に資金計画を立てておくことが重要です。

このように、裁判所にかかる費用にはさまざまな項目があるため、事前に詳細を確認し、計画的に準備を進めましょう。

弁護士・司法書士に支払う費用(約30万〜80万円)

弁護士に依頼する際の費用は、一般的に着手金と成功報酬がそれぞれ30万円程度かかるケースが多いです。着手金は、弁護士への依頼を正式に開始する際に支払う費用で、成功報酬は自己破産手続きが完了した後に支払う形になります。

もし、これらの費用を一括で支払うのが難しい場合は、分割払いに対応している弁護士を探すと良いでしょう。

自己破産を検討する方は、経済的に余裕がないことが一般的なため、弁護士事務所の多くが分割払いに応じています。事前に相談し、自分の支払い状況に合った事務所を選ぶことが大切です。

まとめ

この記事では、自己破産の手続きにおいて、破産申立人が裁判所に出向く必要がある場面について解説しました。

自己破産を進める際には、裁判所からの呼び出しに応じることが求められます。特に以下の場面では、弁護士の有無にかかわらず、本人の出席が義務付けられています。

  • 免責審尋(めんせきしんじん)
  • 債権者集会(少額管財事件や管財事件に該当する場合)

これらの場面で出席を怠ると、誠実性を欠くとみなされ、免責が認められなくなる可能性があります。裁判所や債権者の質問には、正直に答えることが重要です。

また、自己破産の手続きには裁判所や弁護士に支払う費用が発生します。費用の負担が厳しい場合には、分割払いに対応している弁護士事務所を利用することも選択肢です。迷いや不安がある場合は、専門家への相談をおすすめします。

自己破産は借金をゼロにして再スタートを切るための制度ですが、一定のデメリットも伴います。そのため、利用するかどうかは慎重に判断することが必要です。

現在の状況で自己破産を選ぶべきかを正確に判断するためにも、法律の専門家の助けを借りることを検討してください。

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