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勝手に借金の連帯保証人にされた場合も返済義務はある?契約を取消す方法について

兄に勝手に実印などを持出され、借金の連帯保証人にされていました。金融機関から督促状が届いて、どうしたらよいかわかりません。

他人があなたになりすまして連帯保証人の契約をしたのなら、基本的に契約は無効にできます。督促を受けて債権者へ返済などはしていませんか?

まだ返済はしていません。契約したのはもう10年以上前のことだったようで、兄も何年も返済していなかったようです。債権者へ電話して少しでも払った方がよいでしょうか?

少しでも返済してしまうと追認といって、連帯保証人であることを認めることになってしまい、契約は有効とみなされてしまいます。何年も払っていなかったなら時効で返済義務がなくなる可能性もあるので、法律事務所へ一度相談するとよいでしょう。

印鑑などを持出され、勝手に借金の連帯保証人にされたというケースは、珍しくありません。

もし連帯保証人になったのがあなたの意思ではないのなら、場合によっては契約を無効にできる可能性もあります。

ただし債権者の求めに応じて少しでも返済してしまうと、連帯保証人の立場を追認したとみなされ、返済義務が生じる恐れがあります。

身に覚えのない請求を受けたら、債権者へ連絡したり返済する前に、法律事務所へ相談してください。

当サイトでは無料相談できる法律事務所を紹介しているので、ぜひ気軽に相談してみてくださいね。

>>【身に覚えのない請求が来たら】法律事務所の無料相談はこちら

この記事でわかること
  • 勝手に連帯保証人にされても支払いをすると返済義務が生じる。
  • 口約束だけで連帯保証人になったなら返済義務はない。
  • 自分の意に反して連帯保証人にされたら法律事務所へ相談するとよい。

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監修
力武法律事務所
力武伸一(弁護士)

勝手に借金の連帯保証人にされても返済義務はある?

借金の連帯保証人になると、主債務者に代わって返済義務を負わなければなりません。

  • 内容をよく読んでいなかったので知らなかった。
  • 「名前を貸して」といわれて書いただけで、そのようなつもりはなかった。
  • 「絶対に迷惑をかけない」といわれたから書いただけだ。

このように後から反論しても、自分の意志でサインや押印した場合は、連帯保証人に返済義務が生じます。

では、自分の意志に反して勝手に借金の保証人にされた場合、返済義務はあるのでしょうか。

次の項目から、状況別に詳しくお伝えします。

勝手に実印などを持出され契約されたなら返済義務はない

実印などを持出し、他人が連帯保証人の名前で勝手に契約をする行為は、無権代理行為と呼ばれます。

第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。

引用元:e-Govポータル「民法第113条」

無権代理行為によっておこなわれた契約は無効となるため、連帯保証人に返済義務は生じません。

特に夫婦や親子、兄弟が本人に黙って実印を持出し、連帯保証人の契約をしてしまうケースは珍しくないので注意しましょう。

ただし、あなたの過失が原因で代理権を与えたかのような状況があった場合には、連帯保証人の契約が有効とされてしまう場合があります。

例えば以前、知人に実印を預け、必要がなくなった後も預けたままにしていたような場合です。

実印や印鑑カードなどは安易に人に預けず、十分注意して管理してください。

債権者に騙されて契約したなら返済義務はない

基本的に債務者が騙したり嘘をいっていたような場合、詐欺には当たらず連帯保証人の契約は有効です。

しかし債権者側が連帯保証人に対して嘘をついていた場合は、詐欺を主張することで契約が無効になり、返済義務がなくなる可能性があります。

第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

引用元:e-Govポータル「」

例えば「債権者からの請求額を見たら、契約時に保証した金額より高額になっていた」というケースです。

この場合、契約書に署名・捺印した時に貸付額が記載されておらず、後から書入れられた可能性があります。

もし契約書記入の際に債権者も同席していて、口頭で確認された金額とは異なる金額が後から書入れられたなら、口頭で確認された金額を超える請求は認められません。

また、契約書記入の際に債権者が同席していなかった場合も、基本的に当初確認された金額を超える請求は拒否できます。

もし債権者が引下がらない場合は、法律事務所へ相談するとよいでしょう。

脅迫され無理やり契約させられたなら返済義務はない

脅迫され、無理やり連帯保証人にさせられた場合にも、契約が無効となり、返済義務が生じない可能性があります。

民法第96条1項によると、脅迫によっておこなった意思表示は取り消すことが可能です。

第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

引用元:e-Govポータル「民法第96条1項」

もし連帯保証人になるという意思表示が脅迫によるものなら、取消すと主張できるのです。

この場合、債権者が契約書を証拠として借入金返還訴訟を提起することも考えられるので、心配な人は法律事務所へ相談して間に入ってもらうとよいでしょう。

口約束だけで連帯保証人になったなら返済義務はない

口約束で「いいよ」といっただけにもかかわらず、勝手に連帯保証人の契約書を作成されるケースもあります。

民法では、多くの契約は書類だけでなく口約束によるものも認められており、必ずしも契約書にサイン・押印しなければ、契約が成立しないということはありません。

連帯保証人の契約についても、以前は口約束でも成立するとされていましたが、口約束だけでは連帯保証人のリスクが大きすぎることから民法が改正されました。

2005年4月1日以降の契約では、契約書が作成されていなければ、連帯保証人の契約は成立しない扱いとなっています。

従って、口約束だけで連帯保証人になることはありません。

支払いをすると「追認」となり返済義務が生じる

身に覚えのない借金の請求が来たとしても、絶対に返済してはいけません。

勝手に借金の連帯保証人にされた場合でも、請求に応じて返済してしまうと、連帯保証人の立場を「追認」したものとみなされます。

追認・・・本来は無効の契約を契約時に遡って有効と認めること。

追認することで契約が当初から有効だったことになり、連帯保証人として返済義務を負うことになってしまいます。

また借金の返済以外にも、契約書作成後に連帯保証人の立場を認める言動をしてしまうと、連帯保証人の立場を追認したと判断されてしまうことがあるため、注意が必要です。

自分の意に反して連帯保証人にされたら法律事務所へ相談しよう

自分の意志でサインや捺印をして契約を結んだのなら、例え主債務者が騙したり嘘をついていたような場合でも連帯保証人の契約は有効とお伝えしました。

ただし悪質なケースでは「そういうことなら、連帯保証人になろうとは思わなかった」と後から主張して連帯保証人の契約を無効にできる可能性もあります。

例えば主債務者に以下のような事情があり、連帯保証人はそのことを知らずに契約したような場合です。

  • 連帯保証人になる時点で、主債務者に多額の借金があった。
  • 主債務者が、破綻の危険性の高い事業を始めようとしていた。

上記のような悪質なケースに該当しそうな人は、法律事務所へ一度相談するとよいでしょう。

法律事務所へ依頼すれば、弁護士が間に入って債権者からの請求をストップしてくれたり、裁判を起こされた場合は、代理人として訴訟対応もしてくれます。

また契約が有効とみなされた場合も、借金額などに応じて借金自体の負担を減らす方法もアドバイスしてもらえます。

まずは無料相談を利用して、気軽に相談してみましょう。

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勝手に借金の連帯保証人にされた!取消す方法は?

勝手に借金の連帯保証人にされた場合、契約を取消したいなら、まずは債権者に対して、内容証明を送りましょう。

  • 自分は連帯保証人になった覚えはないこと。
  • 自分の意思で連帯保証人の契約をしていないこと。
  • 契約を追認するつもりはないこと。

上記のような内容を明示した文書を作成し、債権者へ送るのです。

そのうえで債権者に、連帯保証人の契約書を送ってもらいましょう。

内容証明を送っても債権者が引下がらない場合、裁判上で争うことになり契約が無効であることを立証しなければならないケースがほとんどです。

どのようにして契約が無効であることを立証すればよいのか、次の項目から詳しくお伝えします。

筆跡や印鑑の印影が自分のものではないと立証する

連帯保証人の契約書自体に身に覚えがない場合、他人があなたになりすまして契約書にサインしたり、偽造した印鑑で押印した可能性があります。

この場合、サインの筆跡や印鑑の陰影が自分のものではないことを証明できれば、契約は無効だと主張できます。

ただし厄介なのが「勝手に実印が押印され、印鑑証明書まで添付されていた」というケースです。

最近は署名欄がパソコンの印字などになっている契約書もあり、そうなると筆跡鑑定もできず、契約を無効と証明するのは非常に難しくなるでしょう。

ただし連帯保証人の契約に関して、債権者から一切確認の連絡がなかったなどの事情があれば争う余地があります。

一般的に連帯保証人の契約をする場合、金融機関は連帯保証人に直接の意思確認をする義務があると考えられています。

金融機関が連帯保証人に意思確認をしていなかった場合、押印された契約書が存在しても連帯保証人の契約が無効になる可能性があるのです。

このように連帯保証契約の効力自体を争うケースでは、難しい裁判となることが多いので、自分自身で無理に対応しようとせず弁護士に相談しましょう。

証拠を集め詐欺に遭ったことを立証する

契約時と違う内容で請求を受けた場合などは、契約書にサイン・押印後に内容が書き加えられたり、書き換えられたと考えられます。

そのような場合、主債務者と債権者が協力してあなたに対し詐欺を働いた可能性があります。

契約時の会話を録音していたり、契約直後に渡された契約書の控えなどがあれば、証拠を集めて詐欺を立証し、契約を無効にできる可能性があるでしょう。

脅迫されて契約させられたことを立証する

脅迫され無理やり書かされた契約書によって、連帯保証人の返済義務を強要されている場合、脅迫の証拠があれば契約が無効となる可能性があります。

契約時の会話を録音していたり、LINEやメールなどのやり取りが残っていれば、証拠として警察や弁護士へ提出しましょう。

脅迫による契約の場合、相手から報復を受ける恐れもあるので、心配な人は法律事務所へ相談して間に入ってもらうとよいでしょう。

5年以上滞納している場合は時効援用で返済義務をなくす

契約を取消す以外にも、最終返済日から5年以上経過している借金であれば、時効援用をすることで返済義務をなくせる場合があります。

ただし時効成立までの期間に時効の中断事由があると、時効期間がリセットされてしまうので注意しましょう。

時効援用ができるのは主債務者だけと思っている人もいるかもしれませんが、連帯保証人も時効援用で返済義務をなくせます。

また付従性といって、主債務者の時効が成立したり、時効が中断すると、連帯保証人の時効もそれに伴って成立・中断します。

加えて連帯保証人の時効が中断していても、主債務者の時効が成立していれば、連帯保証人が主債務者の時効援用をすることで借金の返済義務をなくせる場合もあります。

連帯保証人の時効援用方法や時効の中断事由について、詳しく知りたい場合は法律事務所へ相談してみるとよいでしょう。

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勝手に借金の連帯保証人にされないための対策

連帯保証人は保証人と違い、主債務者より優先して借金を返済するよう要求される恐れもあるなど、重い責任を負っています。

また連帯保証人の契約書だけでなく、以下のような契約書類にもサインしてしまった場合、さらなるリスクを負うことになるのです。

契約書類 連帯保証人が負うリスク
公正証書作成嘱託委任状 連帯保証人の財産を、裁判なしで差押さえできる
根抵当権設定仮登記承諾書 連帯保証人の所有する不動産を、裁判なしで競売にかけられる

このような思わぬリスクを背負うことになる前に、普段から勝手に借金の連帯保証人にされないための対策を十分にしておきましょう。

次の項目から、具体的な対策について詳しくお伝えします。

実印・印鑑カード・身分証などは自分しか分からない場所に保管する

勝手に借金の連帯保証人にされるケースとして多いのが、実印・印鑑カード・身分証などを勝手に持出され、他人が連帯保証人になりすまして契約をする場合です。

特に同居している夫婦や親子、兄弟の場合は、普段から貴重品をどこにしまっているか把握していたり、場合によっては本人以外が預かって管理しているケースもあります。

そのため、実印・印鑑カード・身分証などを簡単に入手できてしまうのです。

実印や印鑑カードなどを家族に預け、連帯保証人の契約に悪用された場合「あなたの過失が原因で代理権を与えた」と判断され、契約は有効とみなされる恐れもあります。

そうなることを防ぐために、実印・印鑑カード・身分証などは、普段から家族にも分からない場所に保管するようにしてください。

サインを求められたら、きちんと契約書の内容を確認する

契約書にサインを求められたら、内容を隅々までよく読み、理解してからサインするようにしましょう。

例えば主債務者から「〇〇(借金とは関係のない内容)に必要だから印鑑証明書と実印を貸して」といわれ、そのつもりで実印と印鑑証明書を渡したとしましょう。

この場合、連帯保証人が内容をよく読まず、委任状にもサインしたとなれば、例え主債務者が悪意を持ってあなたを騙したとしても、契約は有効と判断される恐れがあります。

債権者にしてみれば、印鑑証明書・実印・委任状を持ってきた主債務者に対して、疑う余地はないと考えられます。

また連帯保証人は主債務者に対して、実印・印鑑証明書を渡しており、内容をよく確認せず委任状にサインしたことについて、落ち度があるとみなされても仕方ありません。

そのため、本人に連帯保証人になる意図はなかったとしても、債権者に落ち度がなく、連帯保証人に落ち度があるとみなされれば、連帯保証人の契約は有効と判断される可能性があります。

契約時の会話を録音する

前述したとおり、契約時と違う内容で請求されたり、脅迫により連帯保証人にされた場合、契約時の会話を録音しておくと有力な証拠となります。

契約時の債権者との面談や、債務者と契約内容について話す場合は、必ず内容を録音しておきましょう。

また口頭以外でも、留守電やLINE、メールのやりとりなども、契約終了まで念の為保存しておくとよいでしょう。

知らない番号から電話が来たら発信元・内容をきちんと確認する

知らない番号から電話がかかってきても、出ないようにしている人も多いでしょう。

しかし、もしかしたらその電話は金融機関からの本人確認の電話かもしれません。

知らない番号から電話がかかってきた場合、その場は無視したとしても、かかってきた番号を検索するなどして発信元はきちんと確認するとよいでしょう。

もし以前に身分証などを紛失していたら、拾った(もしくは盗んだ)誰かが悪用してあなたを勝手に借金の連帯保証人にしているかもしれません。

もし身に覚えのない金融機関から電話が来たら、発信元の金融機関に事実確認をしたり、警察や信用情報機関へ身分証を悪用された旨を届出るとよいでしょう。

まとめ

勝手に借金の連帯保証人にされても、基本的に返済義務は生じません。

しかし、債権者の求めに応じて追認してしまった場合などは返済義務を負う恐れもあるので、注意してください。

もし身に覚えのない請求が来たら、自分の判断で債権者へ連絡したり返済せずに、法律事務所へ相談しましょう。

当サイトでは無料相談できる法律事務所を紹介しているので、ぜひ気軽に相談してみてくださいね。

連帯保証人のよくある質問

勝手に借金の連帯保証人にされました。取消すことはできますか?

まずは債権者に対して「自分は連帯保証人になった覚えはない」旨を記した内容証明を送ってみましょう。それでも相手が引下がらない場合は、契約書のコピーを送ってもらい、法律事務所へ相談することをおすすめします。専門家の力を借りながら自分の意志で契約したわけではないと立証できれば、契約を無効にできる可能性があります。

勝手に借金の連帯保証人にされました。それでも返済しなければなりませんか?

契約が無効だと証明できれば、返済義務を負わずに済む可能性があります。契約書自体に身に覚えがなければ、筆跡鑑定や印鑑の印影を調べて、偽造された契約書だと立証できないか試してみましょう。また騙されたり脅されて契約したのなら、その事実を証明できる録音やメッセージのやり取りが残っていないか確認しましょう。

口約束で連帯保証人になると言ったら勝手に契約書を作成されました。契約は有効ですか?

口約束だけで連帯保証人の契約が成立することはありません。作成された契約書にあなたが自分の意志でサイン・押印していないなら、契約は無効にできる可能性が高いです。

連帯保証人だから返済しろと言われて借金の一部を返済しました。連帯保証人になった覚えがないのですが、今から取消せますか?

借金を一部でも返済してしまうと、連帯保証人の立場を追認したとみなされ、後から契約を無効にするのは難しくなります。法律事務所へ相談して詳しい事情を説明し、契約を取消すのが難しい場合は、債務整理などで借金の返済負担を軽くすることを検討しましょう。

勝手にサインされ借金の連帯保証人にされた場合、相手は罪に問われないのですか?

他人になりすまして勝手に契約書にサインした場合、有印私文書偽造罪や有印私文書行使罪となり、3年以上5年以下の刑事罰の対象となります。また、これは相手が親・兄弟の場合も適用されるので、相手は誰であれ勝手に連帯保証人にされた場合は、その罪を訴えることが可能です。

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更新日 : 2024年11月18日
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