受任通知兼代金請求書とは未払い代金の支払いを促す請求書
このような「受任通知兼代金請求書」という書類が届いていませんか?
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受任通知兼代金請求書とは、「受任通知」と「代金請求書」がセットになった通知です。
- 受任通知
- 債権者が法律事務所へ債権回収を委託したことを示す通知
- 代金請求書
- 委託された法律事務所が債務者へ代金の支払いを請求する書類
まずは受任通知兼代金請求書の仕組みや送付されてくる原因を解説します。
「受任通知」は弁護士が債権回収を委託したことを示している
「受任通知」は法律事務所(弁護士)の介入を知らせる通知のことです。
例えば、携帯電話を利用する場合、携帯電話会社はサービスを提供する代わりに携帯料金の支払いを受けますが、利用者が携帯料金を支払わない際には代金の支払いを請求できます。
しかし、債権者には本来の業務があるため、未払い代金の請求まで手が回らない場合も多く、そうした場合に法律事務所へ債権回収を委託するのです。
このとき法律事務所から債務者へ債権回収を行うことを知らせる通知が「受任通知」になります。
弁護士が債権回収を行う場合は多岐に渡りますが、企業案件以外で債権回収を行う場合としては、以下のような例が多いです(もちろん下記以外にもあります)。
- 携帯電話の利用料金の未払い
- インターネットのプロバイダ料金の未払い
- 携帯電話やインターネットの有料コンテンツの利用料金未払い
- ネット通販やフリマアプリでの後払い決済の未払い
- 化粧品の定期コース契約の未払いなど
- 医療費
また、もともとの債権者として下記の企業が記載されている例が比較的多く見受けられます。
- 三菱UFJニコス
- リンクライフ
- U-NEXT
- BIGLOBE
- セディナ
- ヤフー
- メルカリ
- ドコモ
- ソフトバンク
- KDDI
- エイベックスエンターテインメント
- レコチョク
- メディアドゥ
- BookLiveなど
「代金請求書」は委託された法律事務所からの請求書
代金請求書とは、文字どおり代金の支払いを促す書類で、債務者へ支払いを求める請求額や支払期限、支払先の口座番号などが指定されています。
- 請求額・・・債務者が債権者へ支払う必要のある金額
- 支払期限・・・債権者へ代金を支払わなければならない期限
- 支払先・・・代金を支払われる側の債権者の銀行口座番号
受任通知兼代金請求書が届いても、基本的には代金請求書の記載どおりに未払いの代金を払わなければなりません。
受任通知兼代金請求書には債権回収の本気度が表れている
受任通知兼代金請求書が届いたということは、弁護士が債権回収にあたっているため「法的な手段を講じても未払い分の債権を回収したい」という意志の強さが表れています。
実際に、このまま滞納を放置し続けると、最終的には財産の差し押さえなどによって債権回収される可能性も否定できません。
請求書の内容は本来払うべきものであったかと思いますので、至急未払い解消に向けた手段を講じることをお勧めします。
ワンポイント解説
一括請求されていても交渉次第で分割払いに変更できる可能性あり
例えば未納分の代金を一括請求されている場合、分割払いに変更してもらうよう弁護士に交渉してもらうことも可能です。一括請求が支払えないとなると給料や財産の差し押さえになる可能性もありますので、本当に支払いが無理な場合は一度相談してみることをお勧めします。
※以下、減額シミュレーションまたは弁護士事務所相談フォーム経由でご相談ください。
受任通知兼代金請求書を無視または放置するとどうなる?
受任通知兼代金請求書が届いたら、速やかに未納分を支払う必要がありますが、仮に放置したり、内容通りに支払えない場合は以下のようなデメリットが発生します。
- 携帯電話の強制解約
- クレジットカードやローンの新規契約ができなくなる
- 裁判を起こされる
- 給与や財産を差し押さえられる
①現在利用中の携帯電話を強制解約される
受任通知兼代金請求書が届く原因でもっとも多いのが、携帯料金の支払い滞納です。
携帯料金の支払いがない場合、支払期日から約15日後には携帯電話の回線が止められて利用停止となり、支払期日から約2ヶ月で携帯電話を強制解約されてしまいます。
受任通知兼代金請求書が届く頃には、すでに携帯電話を強制解約されているケースが多いですが、強制解約されると同社での再契約だけでなく他社での新規契約も難しくなるため注意しましょう。
また、携帯料金を滞納すると「遅延損害金」という罰金が支払代金に加算されてしまう点も留意する必要があります。
- NTTドコモ:年利14.5%
- au:年利14.6%
- ソフトバンク:年利14.5%
携帯料金の滞納による遅延損害金の利率は基本的に年利14.5%ですが、携帯本体を分割払いで購入した場合、さらに年利6.0%の利息損害金も加算されてしまいます。
②クレジットカードやローンの新規契約ができなくなる
クレジットカードやローンを新規契約する際、カード会社やローン会社は債務者の「信用情報」から支払能力を確認しています。
信用情報とは、次のような債務者の借入先や借入額などの返済状況を記録して、ほぼすべての金融機関や貸金業者などで共有している情報です。
- 債務者の個人情報(氏名・住所・電話番号・勤務先など)
- 借入状況(借入先・借入額など)
- 入金履歴(請求額・入金額・入金日など)
- 延滞の有無など
何らかの代金を滞納して受任通知兼代金請求書が送付された場合、その事実も信用情報に記録されてしまいます。
すると、カード会社やローン会社から「うちの会社でも代金を滞納するのでは?」と思われてしまい、クレジットカードやローンを新規契約できない可能性が高いです。
③訴訟される可能性がある
受任通知兼代金請求書に記載された期日までに支払いがないと「これ以上待っても債務者は代金を払わない」と考えた法律事務所は裁判を起こして債務者に支払いを求めます。
この場合、法律事務所が「支払督促」または「民事訴訟」を裁判所へ申立てするケースが多いです。
もし裁判所から「支払督促」や「訴状」が届いた場合、すでに裁判が起きている状態ですので、速やかに「督促異議申立書」または「答弁書」を裁判所へ送付しましょう。
そのまま放置すると、法律事務所側の主張が全面的に通るため、強制執行によって債務者の財産や給与が差押えられてしまいます。
支払督促や訴状が届いた場合の対処法は、それぞれ以下の記事を参考にしてください。
④財産や給与が強制的に差押えられる可能性がある
本来払うべき代金を払っていない以上、法律事務所との裁判では債務者が敗訴するケースが大半です。
裁判の結果、強制執行による差押えが言い渡されると、以下のような債務者の財産や給与が裁判所命令で強制的に差押えられてしまいます。
- 現金(66万円を超過した部分)
- 給与(1/4の金額または33万円を超過した部分)
- 銀行口座
- 自宅(持ち家のみ)
- 車など
強制執行による差押えの判決が出れば、債権者と交渉したり、裁判所に異議申立てをしても撤回は困難ですので、早い段階で弁護士へ債務整理手続きを依頼しましょう。
受任通知兼代金請求書が届いたらすぐに行うべきことは?
受任通知兼代金請求書が届いたら、至急以下の対応を検討してください。
- まずは内容確認
- 心当たりがあれば未納分をすぐに支払う
- 発送元の法律事務所と交渉して、分割払いに変更してもらう
- 弁護士へ債務整理を依頼して、払える金額まで支払代金を減らしてもらう
①まずは内容確認(架空請求予防)
受任通知兼代金請求書が届いたら、まずは「請求された内容に心当たりがあるか?」を必ず確認してください。これは万が一の架空請求にひっかからないためです。また、5年以上前の未払い分であれば、時効援用を適用できる可能性もあります。
以下にて詳しく説明します。
心当たりがない請求は事務所名を騙った架空請求の恐れがある
受任通知兼代金請求書に書かれている債権者や請求額を確認して、内容に全く心当たりがない場合、架空請求の恐れがあります。
法律事務所の名前を騙った架空請求の事例も報告されています。
請求内容の事実確認をするには、受任通知兼代金請求書に記載されている債権者と法律事務所へ連絡しましょう。
ただし、受任通知兼代金請求書に記載されている電話番号は架空請求業者のものである恐れもあるため、債権者や法律事務所の公式ホームページに記載されている電話番号へ必ず連絡することが肝要です。
5年経過していれば時効により支払義務が消滅している可能性あり
もし受任通知兼代金請求書の内容に心当たりがある場合でも、最後に代金を払った日から5年以上が経過していれば、時効が成立するため今後は代金を払う必要がありません。
ただし、5年間で未払い代金を一部でも支払っていたり、電話口で支払いを約束するなどの債務承認をしていると、時効が成立しないので注意が必要です。
また時効が成立していても「時効援用」を申請しない限り、借金の返済義務はなくならないため忘れずに手続きしましょう。
時効援用の手続き方法は、こちらの記事を参考にしてください。
心当たりがなかったとしても放置厳禁!必ず債権者(回収者)に確認を
心当たりがなくても、本当にあっている場合もあるため、放置することはリスクが大きすぎます。
以下のような理由から「請求内容に心当たりはあるが、すでに払い終えているはず・・・」と誤解される方も少なくありませんので、必ず債権者(回収者)に確認をとるようにしてください。
- 家族や友人へ支払いを依頼したが、忘れられている。
- すでに支払った別の代金と勘違いしている。
- 他の支払方法にしたつもりが、誤って後払いを選択している。
- 残高不足のせいでクレジット払いや口座振替が支払いできていない。
- クレジットカードの更新により、支払方法が後払いへ変更とされている。
- 誤った口座へ入金してしまい、支払いの確認が取れていない。
- 料金を払っていないことを忘れたまま解約していた。
- 定期コースを解約したつもりだが、解約が完了していない。
- 他の月の請求と勘違いしている。
②未納分をすぐに支払う
受任通知兼代金請求書を放置すると、先述したような深刻なデメリットが発生します。
最終的には差し押さえなどにならないよう、今すぐ支払える場合は至急支払いを済ませるようにしてください。
③すぐ支払えない場合は分割払いの交渉をする
支払期限までに未払い代金の支払いが難しい場合は、分割払いの交渉も可能です。交渉成立すれば、請求された代金をいますぐ一括で払うのではなく、少額ずつ長期的に払っていく形になるため、分割払いの滞りがない限り差押えは回避できます。
ただし、分割払いへの変更後に再び支払いが滞ると、やはり財産や給与を差押えられてしまうため、変更後に請求された金額は必ず期日までに払うことが大切です。この方法は基本的に分割払いであれば支払っていける(=安定した収入がある)方が対象となります。
→【無料相談可】分割払いの交渉代行が依頼できる弁護士はこちら
支払い期限の延長交渉も可能
分割払いの他、「●●日まで支払いを待ってもらえれば一括払いができる」というような場合は、支払い期限の延長交渉も可能です。
もちろん、延長交渉も弁護士に代行してもらうことができます。
④分割でも支払えない場合は債務整理を行う
未払い代金が数千円程度ならよいですが、数十万円を超えてしまっているようなケースもあるかと思います。
また分割払いの条件が「3~4回払いまでしか認めません」「最低でも毎月◯万円以上は支払ってください」といった厳しい内容を提示されるようなケースも中にはあります。
もし分割でも今後支払える目処が立たない場合は、支払代金を減らせる「債務整理」という手続きを弁護士へ依頼するとよいでしょう。
債務整理を依頼すれば、弁護士が差押えを回避できるよう交渉してくれますし、支払代金そのものを減額(またはゼロに)できる可能性があります。
債務整理の3つの種類とその効果
債務整理には3種類の方法があり、次のようにそれぞれ減らせる金額などが異なるため、自分にあった方法を選ぶとよいでしょう。
方法 |
減らせる金額 |
任意整理 |
利息の全額または一部を減額 |
自己破産 |
借金の利息と元金をすべてゼロにする |
個人再生 |
借金の利息と元金を両方1/5から1/10まで減額 |
それぞれの債務整理の違いや手続き方法に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
まとめ
受任通知兼代金請求書は未払い代金の支払いを促すために債権者から委託された法律事務所が送付する書類です。
ただし、架空請求や時効成立により支払義務のない可能性もあるため、まず受任通知兼代金請求書が届いたら内容に心当たりがあるかを確認しましょう。
内容に心当たりがある場合、受任通知兼代金請求書が届いても請求どおりに代金を払えば、財産や給与の差押えは回避できます。
どうしても支払いが難しい場合、法律事務所と交渉して分割払いに変更してもらうか、弁護士へ債務整理を依頼して支払代金を減額してもらいましょう。
受任通知兼代金請求書に関するよくある質問
受任通知兼代金請求書とは、どんな意味ですか?
滞納されている代金を債務者から回収するように、債権者が法律事務所へ委託したことを示す通知です。
受任通知兼代金請求書が届いたら、どのように対応すればよいですか?
請求どおり請求額を払うのがベストですが、もし払えない場合は法律事務所と自ら交渉しましょう。
受任通知兼代金請求書が届いた後も未払いが続くと、どうなりますか?
代金の未払いが続くと、裁判を起こされて財産や給与を差押えられてしまいます。
受任通知兼代金請求書どおりに代金を支払えない場合、どうすればよいですか?
代金の支払いが難しい場合、弁護士へ債務整理を依頼して、借金を減らしてもらいましょう。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」
受任通知兼代金請求書が届いた後、返済を遅らせてもらうことはできますか?
発送元の法律事務所または弁護士へ連絡すれば、支払いを遅らせてもらうことが可能です。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
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