借金を滞納していたら、裁判所から支払督促という通知が届きました。今後どうなるのでしょうか?
支払督促が来てしまったということは、債権者はかなり怒っているということです。放っておくと財産を差押えられる可能性もあるので、早急に債権者と和解するなどの対応が必要です。
今からでも和解できるのでしょうか?
支払い計画が立てられるようであれば、和解することは可能でしょう。また、弁護士を間に挟んで交渉することも可能です。具体的には任意整理と言いますが、借金を減額した上で返済計画を立て直せるので、現在支払い目処が立たない方にもおすすめの手段です。
債権者と和解できれば、差し押さえは止められます。
借金の返済が3~4ヶ月滞ると、裁判所から支払督促などの通知が届くことがあります。
裁判所からの通知には主に2つの種類があり「①支払督促」「②訴状」の順で届くのが一般的です。
支払督促を放置してしまうと、大切な財産を差押えられてしまう恐れがあります。
裁判所からの郵便物は必ず内容を確認し、速やかに滞納解消に向けて動きましょう。
もしどうしても滞納を解消できなさそうな場合は、債務整理が有効です。例えば任意整理を行えば、月々の返済額を現実的に返済できそうな金額まで減額した上で、債権者と和解できます。
返済計画も立て直せる上、差し押さえも止められるので、返済目処が立たない場合は大変有効な手段となります。
借金問題の専門家は弁護士や司法書士です。当サイトでも無料相談できる弁護士・司法書士を紹介していますので、お気軽にご相談ください。
- 裁判所から届いた支払督促を放置すると財産を差押えられる恐れがある
- 支払督促が届いたら、裁判所に督促異議申立書を提出し異議を申し立てることが大切
- 支払督促が届いても、すぐに弁護士に相談すれば借金を減額・帳消しできる可能性がある
裁判所からくる通知の種類と深刻度について
まずは支払督促等、裁判所から通知が届いた状況は、どのようなことを意味するか、通知の種類別にお伝えします。
支払督促・・・強制執行一歩手前の状態
債権者ではなく裁判所から支払督促が届き、驚いている方も多いと思いますが、現在の状況を端的に言うと、給料や財産を差し押さえられる一歩手前の状態です。
そもそも裁判所から送られてくる支払督促は、債権者が裁判所に「お金を返してもらえないので相手方に支払いを命じてください」と申立てたことを意味します。
支払督促は、次のような流れで行われています。
- 債権者が簡易裁判所に支払督促を申立てる
- 支払督促の発行・送付
- 債務者が異議申立てをすれば訴訟へ移行、異議申立てがなければ債権者は強制執行の申立てをおこなう
上記のように、支払督促を放置していると、債権者は強制執行の権利を得ることになります。
強制執行がおこなわれると、債務者は自分の意思や事情に関係なく財産を没収されてしまいます。
参照:裁判所「支払督促」
強制執行で差し押さえられる財産
支払督促に対する異議申立てをせず、債権者が強制執行の権利を得てしまうと、次のような財産を差押えられてしまいます。
- 給料や預貯金
- 不動産
- 車
- 株式などの有価証券
- 生命保険の解約返戻金
生活に最低限必要なもの以外は、基本的に差押えの対象です。
大切な財産を守るためには、支払督促を放置せず、すぐに対応することが大切です。
口頭弁論期日呼出状・・・債権者に訴えられている事を表す通知
口頭弁論期日呼出状とは、裁判所が、被告に民事訴訟を提起されたことを通知する書面です。
裁判所に債権者が訴状を提出すると、裁判所から債務者に訴状の副本が送達されます。
口頭弁論期日呼出状と訴状が届いた場合、債権者から民事訴訟を提起された、つまり訴えられたということです。
訴状の内容が確定すると、債務者が借金を返済しない場合、債権者は強制執行の権利などを得られるようになります。
訴状の内容に対して異議を申立てたい場合には、口頭弁論期日に裁判所にへ出頭するか答弁書を提出する必要がありますが、答弁書を提出しないまま口頭弁論期日に出頭できないと、原告の言い分を認めたものとみなされる恐れがあります。
万が一遅刻する可能性を考慮すると、出頭する場合も答弁書は必ず事前に提出しておくと安全です。
支払督促が届いた後、差し押さえを回避する主な方法3つ
支払督促が届いた後、差押えを回避するには大きく以下3つの方法があります。
- 請求額を一括返済する
- 弁護士に相談して借金を減額・解消する
- 督促異議申立書を2週間以内に提出する
なおいずれの行動を取るにしても、2週間以内に行うことが非常に重要になります。2週間を経過するといつ強制執行が行われてもおかしくない状況になりますので、速やかに行動を取るようにしてください。
1.請求額を一括返済する
もし支払督促に記載された請求金額の一括返済が可能なら、請求どおり一括返済を行えば差し押さえは回避できます。
例えば家にある物品を換価する、単発の仕事で収入を得るなど、工夫の余地があれば積極的に行いましょう。
支払督促を見ても振込先などが分からない場合は、債権者へ電話で支払方法を確認するとよいでしょう。
2.弁護士に相談して借金を減額・解消する
支払督促が届いたということは、もはや返済能力を失っている人も多いと思います。
どうしても返済できる見通しが立たない場合は、弁護士を間に挟み、債務整理を行うのも有効な手段です。
債務整理とは、借金を減額し、返済計画を立て直す、言わば「借金救済制度」とも言える手続きです。
強制執行の前に債務整理に取り掛かれば、差し押さえはストップできます。
債務整理の3つの種類とその減額効果
債務整理には、大きく以下3つの手続きがあります。
種類 | 概要 |
---|---|
任意整理 | 借金を無理なく払える金額で月々分割して返済できるように、弁護士や司法書士が業者と直接交渉する。 |
自己破産 | 裁判所を通して行う手続きで、20万以上の価値のある資産を全て手放す代わりに借金の支払いを免除してもらう。 |
個人再生 | 裁判所を通して行う手続きで、借金を約1/5に圧縮して3~5年で分割返済する。手元の資産を残すことも可能。 |
状況によって適切な債務整理の方法は異なるので、まずは弁護士に相談し、自分にもっとも合った方法を選択しましょう。
債務整理手続きを開始することで督促は止められる
なお、債務整理は借金を減額する効果だけでなく、督促を止める効果もあります。
返済計画を立て直している間は支払いの猶予期間が与えられるので、その間は督促が止まるのでdす。
よって、督促状を止めたいと考えている場合も債務整理を行うことが有効と考えられます。
詳しくは以下の記事でご覧ください。
3.督促異議申立書を2週間以内に提出する
支払督促に同封されている「督促異議申立書」を裁判所に提出すれば、強制執行を止めることができます。
支払督促の提出方法には、3つの方法があります。
- 郵送
- 裁判所に直接持参
- FAX
ただし、FAXについては各裁判所の運用により不可の場合もあるので注意してください。詳しくは、発送元の裁判所に問い合わせましょう。
督促異議申立書の提出期限は、支払督促を受け取った日の翌日から2週間以内です。期限に遅れないよう、余裕をもって提出するよう心がけましょう。
なお、督促異議申立書が支払督促に同封されていない場合や、紛失してしまった場合は、裁判所の窓口で取得できます。
2週間を過ぎた後も一度だけ異議申立てのチャンスがある
支払督促が届いてから2週間を過ぎてしまっても、もう一度異議申立てをおこなうチャンスがあります。
支払督促の発送から2週間が経過すると、債権者は強制執行をするために「仮執行宣言の申立て」をおこないます。
裁判所がこれを受理すると、改めて「仮執行宣言付支払督促」が債務者に送付されます。つまり、支払督促は2回送られてくるということです。
1回目の支払督促と、2回目の仮執行宣言付支払督促の違いは下記画像のとおりで、文面に「~仮に執行することができる」という文言があるかどうかです。
仮執行宣言付支払督促が届いたときも、債務者は2週間以内に異議申立てをすることができます。
ただし、1回目の支払督促のときと違い、異議申立てをしただけでは強制執行を止められません。
仮執行宣言付支払督促が届いた後に強制執行を止めるには、別途「強制執行停止の申立て」が必要になります。
参照:東京地方裁判所「強制執行停止事件の流れ(申立てから発令まで)」
督促異議申立書に記載する内容
督促異議申立書には、以下の内容を記入し、印鑑を押印します。
- 記載した日付
- 債権者の名前
- 債務者の名前
- 住所
- 電話番号
使用する印鑑は認印でも差し支えありませんが、シャチハタは不可となります。
次に【送達場所の届け出】の欄には「この件で今後、裁判所から送付する通知を受け取りたい場所」の□にレ点を入れてください。
最後に【自分の言い分】を記載する欄に「分割払いの話し合いを希望する」か「その他の言い分」の□にレ点を入れ、その下に以下の内容を書いてください。
- 分割払いの話し合いを希望する場合・・・あなたが支払いを考えている金額
- それ以外の言い分がある場合・・・その言い分
異議申立ての提出後、通常の訴訟に移行することになります。裁判所から呼び出しがあるので、証拠書類の提出や当事者の答弁をとおして、和解もしくは判決が出されます。
ここまでの異議申立書作成や、訴訟移行後の手続きについては、不安が大きい人がほとんどでしょう。
なるべく自分が有利になるよう手続きを進めるためにも、まずは弁護士に相談しましょう。自分の代わりに、異議申立書の作成代行や訴訟対応を依頼することも可能です。
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「支払督促をもらっていない」でごまかすことはできない
支払督促は、特別送達という郵送方法で送られてきます。
特別送達郵便を受け取る際には、受取人の署名または押印をする必要があります。
送達した郵便局員は、その日のうちに郵便送達報告書を作成し、日本郵便が送達の事実を証明します。
つまり、実際に支払督促を受け取った日は記録されるので、2週間が経過した後に「支払督促をもらっていないので異議申立てができなかった」という言い訳はできないのです。
なお、郵便局員が本人に会えなかった場合、自宅の同居人や職場の同僚に受け渡すケースもあります。同居人や同僚が受け取った場合、その日が異議申立て期間の起算日となるので注意しましょう。
5年以上前の借金なら時効援用で支払い義務をなくせる可能性がある
5年以上前の借金なら、借金を無効にする方法があります。
それが「時効の援用」で、最終返済日から5年経過している借金は支払い義務をなくせる可能性があるのです。
ただし、時効の援用は自動的に成立するのではなく、債務者側から裁判所に申立てる必要があります。
また、債権者と借金について和解するなど、時効の中断事由が発生していると期間はリセットされてしまうので注意が必要です。
些細なことでも中断事由になってしまう恐れがあるので、時効援用をしたいときは自己判断で対応せず、必ず弁護士に相談しましょう。
時効援用の条件
時効援用をおこなうための条件は、次のとおりです。
- 最後の支払期日から5年経過している(貸主が個人や信用金庫等の場合は10年)
- 債権者が訴訟を起こしていない
- 債務者が中断事由に該当する行為をしていない
3つ目の中断事由に該当する行為としては、次のものがあげられます。
- 債権者に対して借金が残っていることを認めるような発言をする
- 債権者に対して支払意思があるような発言をする
- 債権者に対して支払いを猶予してもらうようお願いする
実際には、上記以外の行為でも時効の中断事由に該当するケースもあり、自分自身で判断するのは非常に困難です。
時効援用についてさらに詳しく知りたい人は、こちらの関連記事でも紹介しているので参考にしてください。
古い借金なら過払い金が戻ってくる可能性が高い
借金をした時期が「2010年6月18日以前」である場合、過払い金としてお金が戻ってくる可能性があります。
本来の金利より多く支払ってしてしまった金銭のこと
2010年に貸金業法が改正・施行されるまで、多くの貸金業者が本来の法的基準より高い金利で貸付をおこなっていました。
時効援用を検討するような借金は借入時期の古いものが多いため、過払い金が発生している可能性も高くなります。
過払い金の返還請求は弁護士に依頼できるので、時効援用と一緒に相談してみましょう。
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【その督促は本物?】架空請求に注意しよう
「支払督促が届いたけど内容に全く覚えがない」という人は、架空請求の恐れがあるため注意しましょう。
支払督促の手続きにおいて、裁判所は申立ての内容について詳しい裏付けを取りません。
つまり、債権者の提出された申立書が法律的に「筋の通った内容」であれば、それが事実でなくても支払督促がおこなわれてしまうのです。
債務者側から異議申立てをおこなわないと手続きが進行してしまうので、架空請求によって財産が差押えられてしまう恐れがあります。
架空請求でも督促異議申立書の提出は必要
裁判所の支払督促が届いたら、たとえ身に覚えがなくても、裁判所に督促異議申立書を提出することが必要です。
また、支払督促に限らず、裁判所からの郵便物は必ず内容を確認し、不審な点があれば以下の対応をとりましょう。
- 発送元の裁判所に直接電話で問い合わせる。
- 送られてきた書類を裁判所に持参する。
加えて、届いたものが裁判所の正式な書類か分からない場合も、最寄りの裁判所に問い合わせてください。
とくに、書面に裁判所の連絡先として「携帯電話の番号」や「メールアドレス」などが記載されていたら、本当に裁判所から送られてきたものか確認した方がよいでしょう。
まとめ
支払督促が届いたらすぐに中身を確認し、2週間以内の対応を心がけましょう。
2週間以内に異議申立書を提出することで、財産の差押えを回避できます。
また、債務整理や時効の援用など、弁護士に相談すれば借金の減額・帳消し方法を提案してもらえます。
「借金したのは自分だから相談しづらい」と思う人もいるかもしれませんが、気に病むことはありません。弁護士も親身になって話を聞いてくれます。
無理をして生活が苦しくなる前に、弁護士に相談して借金トラブルを解消しましょう。