社会福祉協議会の貸付が返済困難なときの対処法
社会福祉協議会の貸付は審査が厳しく、将来的に返済が困難となりそうな場合は、審査に通らないのが基本です。
しかし、急な失業や天災などにより、償還期限までに返還が難しい事態に陥ってしまうケースも少なくありません。
その場合、無断で滞納すると延滞金の加算や差押えに発展してしまう可能性があります。
社会福祉協議会の貸付が返還困難なときの対処法は、以下のとおりです。
- 社会福祉協議会に減免申請をする
- 貸付を辞退して生活保護に切り替える
- 弁護士に債務整理を依頼する
- 5年以上前の借入であれば時効の援用ができるか弁護士に相談する
この項目を参考に、償還期限が過ぎる前に対処しましょう。
社会福祉協議会に減免申請をする
社会福祉協議会からの貸付は、減免が認められる場合があります。
貸付時の契約内容にもよりますが、償還期限がきても返済が困難な場合は柔軟に対応してもらえる可能性もあるため、相談してみるとよいでしょう。
とくに緊急小口資金など生活困窮の際に借入れた貸付金は、償還期限時に収入が回復していなければ免除される可能性が高いです。ただし、申請と審査が必要です。
貸付の手続きをした自治体の窓口に出向き、期日までの償還が難しい旨を誠実に伝えましょう。
その際は、現在の収入状況がわかる給与明細などの資料を持参すると、手続きがスムーズになる場合が多いです。
貸付を辞退して生活保護に切り替える
社会福祉協議会の貸付は、あくまで将来的な返還が必要です。
そのため、将来的にも返還が難しい場合や、貸付の審査が通らなかったときは、生活保護を申請するのも1つの選択肢です。
生活保護にも審査がありますが、恒常的に生活が困窮している場合は通る可能性があるため、自治体の窓口で相談してみるとよいでしょう。
貸付と生活保護の二重受給は不正となる可能性がある
生活保護を受給する際、社会福祉協議会の貸付と二重で受け取ると不正になる可能性があります。
そのため生活保護の申請時には、社会福祉協議会の貸付を受けていて、返還が困難である旨を必ず伝えましょう。
経済状況によっては、生活保護と社会福祉協議会の貸付を二重で受けられる場合もあります。
まずは、自治体の窓口に出向いて相談してみてください。
弁護士に債務整理を依頼する
返還困難な社会福祉協議会の貸付は、弁護士に依頼すれば債務整理の対象とできる可能性が高いです。
債務整理手続きには、以下の3つの方法があります。
債務整理 |
概要 |
メリット |
デメリット |
任意整理 |
将来分の利息をカットして、3~5年の分割払いで元金を返済していく |
・整理する債権を選択できる
・返済期間の延長や利息のカットなどが可能
・家族にバレる可能性が低い |
・借金の元金は返済する必要があるため、安定した収入が必要
・債権者が返済計画に合意しないと利用できない
・「ブラックリスト入り」の状態になるため、整理後5年程度はクレジットカードやローンなどの契約ができない |
個人再生 |
借金総額を1/5~1/10程度に圧縮する |
・免責不許可事由がなく、どのような理由の借金にも利用できる
・住宅ローン特則を利用することで自宅を債務整理する必要がない
・資格制限がない |
・信用情報に事故情報が5〜7年程度登録されるため、クレジットカードやローン契約ができない
・借金に保証人がついている場合、保証人へ返済請求される
・清算価値保障の原則によって一定以上の財産が持てない
・官報に載る |
自己破産 |
一定以上の価値がある財産を手放して債務をすべてなくす |
借金の返済が免除される |
・信用情報に事故情報が5〜7年程度登録される
・官報に載る
・20万円以上の財産は処分される
・職業制限があるため定められた職業につけない(宅建士や警備員など)
・自己破産の手続き中は移動制限がある
・市町村役場の破産者名簿に登録される
・破産者が返済できなかった借金は、保証人に請求される |
任意整理や個人再生は、手続き後も残債の返済をしなければならないため、安定した収入が必要です。万が一手続き後の返済が滞ると、一括請求を受ける可能性があります。
その場合、任意整理や個人再生をしても、結局自己破産をすることになりかねません。
また、社会福祉協議会の貸付を滞納している場合、公租公課や国民健康保険料の納付も追いついていないケースがよくみられます。
公租公課や国民健康保険料は、債務整理の対象にはなりません。納付が難しい場合は、債務整理の手続きと並行して猶予や免除の申請をするとよいでしょう。
なお、債務整理をすると信用情報に事故情報が登録されます。事故情報は整理後5~7年程度で消えますが、クレジットカードの契約や利用、ローン契約などができなくなってしまいます。
そのためまずは弁護士や司法書士に相談して、自分の状況に合った解決方法のアドバイスをもらうことをおすすめします。
>>【一人ひとりの状況に合ったアドバイスを受けられる】弁護士への無料相談はこちら
債務整理についてもっと詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
5年以上前の借入であれば時効の援用ができるか弁護士に相談する
借入れたのが5〜10年以上前であれば、消滅時効が成立する可能性があります。ただし、時効は所定の年数が経てば自然に成立するのではなく、時効が成立していることを債権者に主張しなければなりません。
これを、時効の援用といいます。時効の援用は自分でもできますが、慣れていないと手続きの過程で時効の中断(更新)事由となる発言や行動をしてしまうケースが多いです。
そのため、専門家である弁護士へ依頼するとよいでしょう。
また借入から5年が経っていても、途中で返還している場合や返還する旨の連絡、相手からの督促があった場合は、途中で時効が中断している可能性もあります。
そのような調査も含め、弁護士に依頼をするのが確実です。
時効の援用については、以下の記事で詳しくお伝えしているので参考にしてください。
社会福祉協議会の貸付の滞納から差押えまでの流れ
社会福祉協議会の貸付を長期で滞納すると、最終的に法的措置に移行して給料や財産を差押えられてしまいます。
しかし、滞納が始まってからいきなり差押えが実行されるのではなく、面接や督促などの段階があります。
差押えに発展させないためには、なるべく早い段階で対処することが大切です。
社会福祉協議会の貸付の滞納から差押えまでの流れは、以下のとおりです。
- 償還期限が過ぎると延滞金が加算される
- 職員の面接や自宅訪問による催促を受ける
- 督促を無視すると給料や財産を差押えられる
それぞれ解説します。
償還期限が過ぎると延滞金が加算される
社会福祉協議会の貸付は、無利子であることがほとんどですが、償還期限を過ぎると延滞金が加算されます。
延滞金は、貸付金の種類によって異なりますが、年利5〜10.75%で日割り加算される場合がほとんどです。
また、社会福祉協議会の口座に入金された日が償還日とされるため、期日直前や当日に払込みをすると延滞とみなされる恐れがあります。
そのため、期日には余裕を持って払込みをするようにしましょう。
職員の面接や自宅訪問による催促を受ける
滞納が長期にわたると、職員による面接や自宅訪問による催促を受けます
どうしても返還ができない場合は、面接や自宅訪問のときにその旨を伝えましょう。その際は、返還ができない根拠を明確に提示する必要があります。
「返還できるのに滞納している」と判断されると、法的措置に移行する可能性があるからです。
また、連絡を無視したり面接に応じなかったりした場合も「返す意思がない」とみなされて、支払督促や差押えといった法的措置へ移行してしまう恐れもあるでしょう。
職員からの連絡があった際は、絶対に無視せず誠実に対処することが大切です。
督促を無視すると給料や財産を差押えられる
訪問や面接に応じない場合や、返せる経済状況にあるのに返還しないと判断された場合は、給料や財産の差押えに移行するのが一般的です。
差押えに移行する際は、自宅に裁判所からの「支払督促」や「訴状」が届きます。
これらの通知は、期限内に異議申立などの対応をすると差押さえを回避できるため、届いたら必ず期限内に対処しましょう。
ただし差押えが回避できても、滞納分の支払い義務がなくなるわけではありません。差押え回避後は、一括での返済や債務整理などの対処をする必要があります。
なお、弁護士へ相談すれば債権者からの督促を即ストップし差押えを回避できるだけでなく、債務整理によって借金を大幅に減額することも可能です。まずは無料相談を利用して、自身の状況を伝え適切な対処法をアドバイスしてもらいましょう。
>>【差押えを回避する方法を伝授】弁護士への無料相談はこちら
支払督促や訴状が届いた際の対応については、以下の記事を参考にしてください。
連帯保証人に返済義務が発生する
借受人が滞納をすると、連帯保証人に支払い義務が発生します。
社会福祉協議会の貸付は、連帯保証人を設定することで無利子となるものがあり、連帯保証人を設定しているケースは多いです。
連帯保証人は貸付に対して、法律上で借受人と同様の債務を負っています。そのため、請求を拒否することはできません。
連帯保証人に迷惑をかけないためにも、社会福祉協議会の貸付を滞納している場合は早めに対処しましょう。
社会福祉協議会の貸付を返さないと発生するリスク
前の項目で、社会福祉協議会の貸付を滞納し続けると、最終的に給料や財産の差押えに発展するとお伝えしました。
しかし、社会福祉協議会の貸付を返さないことで発生するリスクは、差押えだけではありません。
社会福祉協議会の貸付を返さないと発生するリスクは、以下のとおりです。
- 借受人が返さないと連帯保証人が自己破産となる可能性がある
- 不動産担保型生活資金が返せないと家に住めなくなる可能性がある
社会福祉協議会の貸付で時効を成立させるのは難しく、この項目でお伝えするリスクが起こりうると考えておいた方がよいでしょう。
自力での返還が困難な場合は、早めに弁護士へ相談してリスクを回避することをおすすめします。
借受人が返さないと連帯保証人が自己破産となる可能性がある
前の項目で、借受人が滞納すると連帯保証人へ請求が行くとお伝えしました。
その場合、連帯保証人は一括返済を求められるのが一般的です。
債権者と交渉して分割返済にできる可能性もありますが、難しい場合も多く、連帯保証人が返済困難となってしまうケースは珍しくありません。
連帯保証人が返済困難でも返済義務は消えないので、自己破産を余儀なくされるケースがよくみられます。
自己破産をすると、住宅や車などの財産は差押えになる可能性が高く、預貯金や高価な財産も手放さなければなりません。
不動産担保型生活資金が返せないと家に住めなくなる可能性がある
不動産担保型生活資金は、居住している不動産を担保に生活資金を社会福祉協議会より借入れる制度です。
そのため、返還が滞ると担保にしている不動産を売却して貸付金の返還に充てなければなりません。
また、不動産担保型生活資金は連帯保証人を設定する必要があります。滞納が続くと連帯保証人に返済義務が発生するので注意しましょう。
債権者の承諾なしに同居人の追加や増改築ができない
不動産担保型生活資金は、貸付時の不動産評価額によって金額が決定されます。
そのため、評価額が変化するような増改築などには債権者の許可が必要です。
また、貸付条件に「世帯員全員が原則として65歳以上であること」という項目があります。
そのため、子どもとの同居なども勝手におこなえず、債権者の許可が必要になるのです。
不動産担保型生活資金における債権者は、一般的に申請先の自治体です。もしも、貸付後に同居人の追加や増改築をしたい場合は、必ず自治体の窓口で相談しましょう。
まとめ
社会福祉協議会の貸付を滞納すると、最終的に給料や財産を差押えられてしまいます。
また、延滞金が加算されるため、低・無利子で貸付を受けられるというメリットがなくなってしまいます。
社会福祉協議会の貸付の返還が困難な場合は、すぐに自治体の窓口へ相談しましょう。
多くの場合、返還猶予や減額など柔軟に対応してもらえます。
もしも、猶予や減額されても返還困難である場合は、債務整理を検討するのも1つの選択肢です。
ただし債務整理をすると、5~7年程度はクレジットの発行や利用、ローン契約、スマホ本体の分割払いができなくなります。
そのため、メリットとデメリットを把握したうえで、慎重に検討するようにしましょう。
また、5〜10年以上前の貸付は、消滅時効となる可能性があります。
当サイトでも紹介していますが、無料で相談ができる法律事務所が多くあります。
まずは弁護士へ相談して、自分の経済状況に合ったアドバイスをもらいましょう。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
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