債務整理に年齢制限はある?高齢者が債務整理する場合の注意点について

父に借金があることが最近になって分かって、どうしたらいいか困っているんです。債務整理に年齢制限はあるんですか?


債務整理自体に年齢制限はありません。定期的な収入があれば任意再生や個人再生で借金を減額できます。収入がないのであれば自己破産も視野に入れましょう。
家が父名義の場合、前もって名義を変更すれば自己破産をしても大丈夫ですか?


自己破産手続き前に土地や家の名義を変更すると、財産隠しとみなされて破産手続きができないことがあります。家を残したいなら個人再生がよいでしょう。
わかりました。実は父は認知症を患っており、本人で手続きは難しそうです。本人には手続きができそうにない場合、どうすればよいですか?


ご家族から弁護士に相談し、成人後見人として手続きを依頼することもできます。ご家族の借金問題についてもお気軽に無料相談を利用してくださいね。
債務整理には年齢の上限はなく、20歳以上であれば誰でも手続きができます。
借金問題を放置すると債務整理の方法を選べなくなりますので、年齢に関係なく債務整理は早めに検討することが重要です。
また高齢になった家族に借金があることが分かり、困っているという方も決して少なくありません。
本人が認知症などを患っており債務整理の手続きができない場合、弁護士に依頼することで弁護士が代理人となり手続きを進めることが可能です。
当サイトでは、債務整理を積極的に取り扱っている弁護士を紹介しています。親の借金は、相続により子供が引き継ぐことになります。そのため、早めに相談して借金問題を解決するとよいでしょう。
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- 債務整理に年齢制限はない
- 任意整理・個人再生は債務整理後に返済が続くことに注意
- 自己破産をしても公的年金は受け取れる。退職金を受け取るなら自己破産後に
- 借金を抱えたまま亡くなると遺族に相続される
債務整理の手続き自体に年齢制限はない
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産の3種類がありますが、いずれも年齢制限はありません。
20代でも70歳以上の方でも問題なく手続きをすることが可能です。
10代で借金で悩んでいる場合は、そもそも債務整理をしなくてよいケースもありますので、こちらの記事を読んでみてください。
任意整理・個人再生は安定した収入があれば可
任意整理とは、弁護士などの専門家に金融機関と交渉してもらい、返済する金額を減らしてもらう手続きを指します。
個人再生は裁判所に申請を行い、借金を5分の1~10分の1に減額する手続きを行い、原則3年間で返済をしていく手続きです。
どちらも手続き後に借金が残ることがデメリットですので、年齢よりも「債務整理後に返済をしていける収入があるか?」が焦点になります。
個人再生では財産を申告する必要がありますが、原則として没収されることはありませんので、手続き後も住宅に住み続けることができます。
個人再生手続きにおける財産の扱いやメリット・デメリットについては以下に詳しくまとめられています。
自己破産は年齢に関係なく行える
自己破産は財産の多くを手放す代わりに借金を免責(帳消し)にしてもらう手続きのことです。
手続き後は返済の義務が一切なくなりますので、収入の見込みがない高齢の方でも申請が可能です。
借金が全てなくなる代わりに財産の多くを没収されることが自己破産のデメリットですが、デメリットの印象が強いあまり年金や退職金もすべて没収されるのでは?と不安になる方も多いのではないでしょうか。
公的年金は差押の対象ではありませんし、退職金も受け取るタイミング次第では全てを没収されずに済みます。
また、家族と住んでいても自己破産手続きを進めることができます。
自己破産をしても公的年金は受け取れる
年金には公的年金と個人年金の2種類あり、公的年金は自己破産をしても差押されません。
民間の保険会社と契約して積み立てている個人年金は差し押えの対象となります。
公的年金 | 国民年金・共済年金・厚生年金 |
---|---|
個人年金 | 生命保険会社等と契約する年金保険 |
自己破産後も所持が認められている財産を自由財産と呼び、以下の3つが当てはまるのですが、公的年金はこの2と3に該当するため手元に残すことができるのです。
- 99万円以下の現金
- 新得財産…破産手続き開始後に手に入れた財産
- 差押禁止財産…法律で差押が禁止されている財産
年金をまだ受け取っていない場合、公的年金の受給資格を没収されることはありません。
個人年金は積立金額が20万円以上ある場合は財産とみなされ、換価処分差し押さえた財産を金銭に替えること。されて債権者に分配されることになります。
家族と同居していても自己破産はできる
自己破産をすると家族にも影響を与えるのではないかと不安になりませんか。
自己破産は世帯ではなく個人での手続きですので、家族に影響は及びません。
家族の財産が差し押さえられることはなく、家族の信用情報がブラックになることもありません。
しかし一緒に住んでいる場合、間接的に家族へ影響が及ぶ場合があります。
本人名義のものは家や土地を含め全て差押え対象になりますので、もし住んでいる家が本人名義だった場合は家族が転居を強いられることになります。
「破産手続き前に名義を変更しよう!」と考える方もいると思いますが、自己破産前に家や土地などの名義を家族に変更すると、財産隠しとみなされて自己破産ができなくなる恐れがあります。

自己破産をする前に不動産の名義を変更したり預金を別の人に移したりすると、故意に財産を隠しているとみなされ、自己破産の手続きが進まなくなります。
財産隠しのリスクについて気になる方は以下の記事もチェックしてください。
不動産が自分名義で転居が難しい場合や、家族に自己破産を知られたくない場合、個人再生や任意整理への切り替えを検討しましょう。
自己破産をしていても退職金は受け取れる
自己破産においてはこれから受け取る退職金も差押えの対象です。
しかし退職金のうちどれくらいが差押になるのかは状況によって異なります。
自己破産の時期 | 財産としての評価割合 |
---|---|
退職が未定 | 8分の1 |
手続き中に退職予定 | 4分の1 |
退職金を受け取っている | 全額 |
既に退職金を受け取っている場合は全額が財産として扱われるため、差押えの対象となります。
しかしこれから退職金を受け取る場合は4分の1、退職が未定の場合は8分の1のみが対象となり、それ以外は後で受け取ることが可能です。
また以下の共済制度による退職金、企業年金や確定拠出年金は差押禁止財産ですので、全額手元に残すことができます。
- 共済制度による退職金…中小企業退職共済制度、小規模企業共済制度による退職金
- 企業年金…確定給付企業年金、厚生年金基金
- 確定拠出年金…企業型確定拠出年金、個人型確定拠出年金
年齢に関係なく早く債務整理をするべき理由3つ
債務整理には年齢制限がありませんが、だからと言って先延ばしにしてよいという訳ではありません。
年齢に関係なく、債務整理を早めに行うべき理由があるからです。
- 早く債務整理を行うとブラックから外れる時期も早まる
- 借金が増えるとデメリットが高い手続きしか取れなくなる
- 借金を抱えたまま亡くなると子に相続される
早く債務整理を行うとブラックから外れる時期も早まる
債務整理の手段3つに共通するデメリットとして、信用情報機関に異動情報が登録され、しばらくカードを作ったりローンを組んだりできなくなることが挙げられます。
いわゆるブラックリストと呼ばれる状態になるのです。
日本には信用情報機関が3つあり、ブラックに登録される期間は最長で以下の通りです。
信用情報機関 | CIC | JICC | KSC |
---|---|---|---|
任意整理 | 5年 | 5年 | 5年 |
個人再生 | 5年 | 5年 | 10年 |
自己破産 | 5年 | 5年 | 10年 |
最もリスクが低い任意整理でも5年の間はブラックになります。
5年というと長いと感じるかもしれませんが、何年も借金に悩み続けてから債務整理をするのと、早く債務整理をするのとでは、後者のほうがストレスにさらされる期間が少ないわけです。
今や日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超えていますので、早めに債務整理をして残りの人生をストレスなしで過ごすほうがよいのではないでしょうか。
借金が増えるとデメリットが高い手続きしか取れなくなる
債務整理はデメリットが低い手段ほど、減額できる金額も少ないことが特徴です。
任意整理はブラックに登録される期間が短い、財産を手放さなくて済む、官報に掲載されないなど、他の債務整理方法に比べてリスクが低いです。
しかし任意整理は原則として元金分は減額されませんので、あまりに巨額の借金を抱えている人が手続きをしても効果は低いです。
ブラックになることを恐れるあまり債務整理を先延ばしにしていると、リスクが高く手続きに手間がかかる個人再生、自己破産しか選べなくなる可能性があります。
借金を抱えたまま亡くなると子に相続される
万が一借金を残したまま亡くなった場合、財産だけでなく借金も相続の対象になります。
住宅ローンの場合は多くの方が団体信用生命保険契約者の死亡などで万が一支払不能になった場合、残額を補填する保険。に加入しているため、契約者が死んでもローンが相続されないことが多いのですが、クレジットカードや銀行などのローンは相続人に相続されます。
相続放棄はできるが不動産も一切相続できない
財産を相続したくない場合、家庭裁判所で手続きを行えば相続放棄ができます。
相続する権利そのものを放棄するということですので、マイナスの財産を選んで放棄することはできません。
つまり相続放棄をすると、土地や住宅貯蓄などプラスの財産も全て相続ができなくなります。
本来の相続人が相続放棄をした場合、相続順位が次の人に相続権が移ります。
その人も相続放棄をした場合は順位が後の人へ相続権が移動していきますので、残した借金の存在がより多くの親族に知られることになります。
プラスの財産のみ限定承認もできるが手続きが煩雑
死亡者名義の住宅があるなどの事情でどうしても遺産の相続をしなくてはいけない時は、プラスの財産だけを相続する「限定承認」を行うこともできます。
しかし相続放棄が家庭裁判所への申し立てだけで完了するのに対し、限定承認は非常に手間がかかることが特徴です。
- 相続人全員の同意が必要である
- 3か月の期限内に財産や負債の調査をしなくてはいけない
- 相続するはずだった借金の債権者などへの清算手続きが必要
限定承認をするにはまず、被相続人の死亡から間もない期間で財産の調査をしなくてはいけません。
また相続人が誰か一人でも反対をした場合はその時点で限定承認ができなくなり、相続か相続放棄かを選ばざるを得なくなります。
相続人が全員親しい身内でしたら問題はありませんが、実際にはそうでない家庭も多いため、手続きがうまく進まない例が多いのです。
人間は自分が死ぬ時期を選べませんので、相続に関するトラブルを防ぐためにも、借金問題は早めに解決することをお勧めします。
高齢の家族の借金問題も弁護士に相談することで解決できる
自分ではなく親や祖父母などの借金に悩んでいる方も決して少なくありません。
親が入院したことをきっかけに部屋を掃除したら督促状が見つかった、という例も実際にあります。
家族の借金については本来支払う義務はないのですが、万が一亡くなった際に相続人だった場合は支払義務を負うことになります。
債務整理やそれに伴う弁護士との契約は原則として本人しかできないのですが、認知症など病気が理由でそれが難しい場合、成年後見人を付けることで手続きを進めることができます。
認知症の場合は後見人を付ければ手続きを進められる
認知症などが原因で本人に判断能力がない場合、家庭裁判所で成年後見人を選任することができます。

成年後見人とは、判断能力が低下した人の財産を守ったり、代わりに契約などの法律行為を行う人を指します。
親族以外の第三者が務めることも増えています。
成年後見人は弁護士に依頼ができるため、債務整理の手続きと同時に弁護士に依頼をする方が増えています。
無料相談の際に一緒に相談をしてみてください。
まとめ
- 債務整理に年齢制限はないが、任意整理・個人再生は安定した収入が前提
- 自己破産を行っても公的年金は受け取れるが、財産の多くを没収される
- 年齢に関係なく早く債務整理を行うことで健やかな老後を過ごせる
- 認知症等で本人が手続きができない場合は弁護士に相談を
債務整理には年齢制限がありませんので、何歳でも借金問題を解決することができます。
しかし任意整理や個人再生の場合は手続き後にも返済を行いますので、安定した収入があることが条件です。
自己破産は借金が全て免除されるため、収入が全くなくても手続きができますが、本人名義の財産の大半が処分されます。
住宅の差押から逃れることを目的に名義を変更すると、財産隠しを疑われて手続きができなくなりますので注意しましょう。
万が一借金を残したまま亡くなった場合、借金も相続の対象となるため、親族に借入がバレるだけでなく相続手続きで迷惑をかけることになります。
いずれにせよ借金問題が悪化するとリスクの高い手続きを選択せざるを得なくなりますので、年齢に関係なく早めに債務整理を検討しましょう。
また自分ではなく家族の借金に悩んでいて、本人に債務整理ができない場合は成人後見人を立てて手続きを進めることが可能ですので、護士に相談をしてみてください。
債務整理のよくある質問
いいえ、ありません。
20歳以上であれば誰でも債務整理手続きが可能です。
はい、できます。
認知症などが原因で本人に判断能力がない場合、家庭裁判所で成年後見人を選任することができます。
弁護士が成年後見人となり、手続きを進めることも可能です。
詳しくは弁護士へ一度相談してみるとよいでしょう。
STEP債務整理「債務整理に力を入れるおすすめの弁護士を紹介」
いいえ、債務整理をしても公的年金は受取れます。
ただし、手続きによっては個人年金が差押えの対象となりますので、弁護士へ確認することをおすすめします。
借金を抱えたまま亡くなると、子供などの相続人に返済義務が移ります。
そのため、生前に債務整理などで借金問題は解決しておくことがおすすめです。
自宅が持ち家の場合は競売にかけられて債務の弁済に充てられるので、手放す必要があります。
また、破産者名義の土地なども同様です。

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