夫や妻が債務整理したら共同で住宅ローンは組めなくなるのか?

債務整理を検討しているのですが、もし夫が住宅ローンを組むとしたら何か影響があるのでしょうか?


ご主人単独の名義で借り入れをして、奥様が連帯保証人などにならないなら何の影響もありません。債務整理はあくまで手続きをする本人の信用に紐づくものですから。
そうなんですね。もしペアローンを組んだりする場合は私がブラックリストに載っていることで、ローンを組みにくくなりますよね?


そうですね。奥様は債務整理をされると最低5年間は信用情報に傷が付いてしまうので、ペアローンを組んだり連帯保証人になることは難しいでしょう。収入合算もできないことが考えられます。
そうなったらどうすれば良いのでしょうか?


保証人が不要で、比較的審査に通りやすいとされるフラット35などを活用してご主人が1人でローンを組むか、奥様のブラックリスト解除を待つか。主に選択肢はこの2択です。
なるほど!分かりやすい説明をありがとうございます!主人ともローンの組み方について相談してみます。

妻が債務整理をした場合、夫が住宅ローンを組む時に影響があるのではないかとお悩みではありませんか?
債務整理はあくまで個人の手続きであり、世帯全体の信用に傷が付くことはありません。この場合、債務整理をしていない夫が個人で住宅ローンを申し込めば問題なく借り入れできるでしょう。
ただし、収入合算やペアローンで住宅ローンを組みたい場合は、夫婦のどちらかが債務整理をしてブラックストに入っていると審査に通るのは難しいです。
どうしても夫婦2人の年収でないと借入希望額に達しない場合、妻のブラックリスト解除を待つしかありません。もしくは借入額を引き下げる、または審査の通りやすいフラット35を利用するなどして、夫が単独で住宅ローンを組むことをオススメします。
いずれにしても、債務整理をしなければならない状態を放置して住宅ローンを組んでも、返済が滞れば最終的に住宅を手放すことになる恐れもあります。家計を圧迫される前に債務整理を開始し、経済状況を立て直してから住宅ローンを検討するとよいでしょう。
もし、いきなり法律事務所へ相談するのが不安なら、借金減額診断チェッカーを利用してみましょう。簡単な質問に答えると、債務整理でどれくらい借金が減るのか無料で診断してくれます。

- 妻の債務整理は夫単独の住宅ローンに影響しない。
- ただし妻が債務整理するとペアローンを組めない、または保証人になれない。
- 連帯保証人不要の住宅ローン「フラット35」の活用もオススメ。
- 夫1人で住宅ローンを組むのが難しい場合はブラックリストの解除を待つ。
夫単独で住宅ローンを組むなら妻の債務整理の影響は受けない
債務整理をした人の配偶者が、その影響を受けることはありません。たとえば妻が債務整理をして、夫の信用情報まで傷付くといったことはないのです。
債務整理は個人の債務に対して行なう手続きです。夫婦でそれぞれが異なる債務整理手続きを取ることもできる上、お互いにその影響は受けません。つまり夫が自己破産しても妻まで自己破産する必要はないのです。
なお、債務整理は配偶者が代行して手続きをすることもできません。
夫か妻の債務整理が世帯全体がブラックリストに載ることはない
ブラックリストに載るのは、債務整理をした本人だけ。つまり妻だけが債務整理をするなら、ブラックリストに載るのは妻のみです。世帯全体の信用に傷が付くといったことはありません。
夫名義で住宅ローンを組む場合、審査されるのは夫の経済状況のみ
夫が個人の名義で住宅ローンを組むなら、原則として審査されるのは夫の信用情報のみです。金融機関は夫個人の信用に対してローン商品を提供するので、妻が債務整理をしていても関係がありません。
なお、住宅ローンの審査で審査されるのは、主に以下の項目とされています。
- 年齢
- 健康状態
- 職場・勤続年数
- 年収
- 借入額
- 担保評価額
審査基準は金融機関によりさまざまですが、このように収入以外の面もチェックされていることがほとんどです。
妻が債務整理をしたことで夫の信用情報に影響はありません。しかし、「年齢が高い」「持病がある」「借入額が年収に対して大きすぎる」といった信用調査以外の点で審査に落ちてしまう場合もあります。
ただし住宅ローンによっては妻の債務整理が審査に影響する場合も
原則として、夫が完全に故人の名義で住宅ローンを組むなら、債務整理した妻の影響は受けません。しかし、以下のようなケースでは妻が債務整理したことが、住宅ローン審査に影響することもあります。
- 妻が連帯保証人・保証人になる場合
- 夫婦でペアローンを組む場合
- 妻と収入合算してローン審査を受ける場合
妻が連帯保証人・保証人になる場合
妻が債務整理をすると、夫の住宅ローン契約の連帯保証人や保証人になれない可能性があります。
なぜなら保証人は、契約者本人が支払い困難になった場合、代金を立て替えなければなりません。ある程度の経済力が求められるため、審査時に保証人も信用調査を受けることになります。
当然ながら審査時にブラックリストに入っていれば、保証人になれない可能性が高いでしょう。
ただし、住宅ローン契約では必ずしも保証人を付けなければいけない訳ではありません。住宅自体が担保となることが多く、保証人不要の住宅ローン契約も多くあります。
妻とペアローンを組む場合
妻とペアローンを組む場合も、妻の債務整理が住宅ローン審査に影響します。
夫1人の年収では十分な額が借りられないときなどに検討するのがペアローンです。夫婦でペアローンを組むと、夫と妻の双方が住宅ローンの契約者ということになります。
審査では夫婦それぞれの信用調査が行われます。つまりどちらかがブラックリストに入っていると、審査が通りにくくなるのです。
またお互いがお互いの連帯保証人になる、というペアローンの特徴からも、ブラックリストに載った状態で審査に通るのは非常に難しいでしょう。
妻と収入合算する場合
夫婦で収入合算する場合も、妻の債務整理をした履歴が影響します。

契約者の他にも、家族などの収入を合算して住宅ローンを契約する方法のこと。このとき合算した人は住宅ローン契約の連帯保証人となります。
夫婦の年収を合わせてより多くの借り入れができる方法が、収入合算です。収入合算する場合、合算した家族は主債務者とはなりません。しかし、収入合算した家族は連帯保証人になるのが一般的。
つまり、収入を合算する家族の信用審査も必要となるのです。ブラックリストに載った状態で審査を申し込めば、審査に通る可能性はきわめて低くなるでしょう。
家族の債務整理後、住宅ローン審査に通るためのコツ
配偶者の債務整理が住宅ローン審査に影響しないようにするための選択肢は、主に以下の2つです。
- 債務整理した人を契約に一切含めない(連帯保証人や収入合算などをしない)
- ブラックリストが解除されるのを待つ
とはいえ、「どうしても金額を借り入れたい」「買い手がつく前にこの家を買いたい」といった事情もあるでしょう。
では、できるだけ債務整理の影響をおさえてスムーズに住宅ローンを組むにはどうすれば良いのでしょうか。
1.債務整理した本人が契約に関与させない
妻が債務整理をしたなら、夫が単独名義で住宅ローンを契約すれば審査に影響はありません。このとき妻を連帯保証人にしたり、収入合算をしないのがポイントです。
ただし、連帯保証人がいないと一般的に保証料を支払わなければならないケースもあります。また夫婦で収入合算できないと借入額が希望額に届かず、単独名義でローンを組めない場合も。
そんなときには以下の方法がオススメです。
- フラット35を利用する
- 借入額を少なくする
- より多くの借り入れができる金融機関を選ぶ
フラット35を利用する
フラット35とは長期固定金利が特徴の住宅ローンのことです。金利が一定で、全国で300以上の提携金融から提供されています。
このフラット35を利用すれば、連帯保証人の設定や保証料の支払いが必要ありません。フラット35は、住宅購入を支援する目的で作られた制度です。会社の勤続年数が問われず、保証料も無料。
そのため一般的な金融機関よりも借り入れしやすいとされています。夫婦のどちらかが単独で借り入れする場合、フラット35なら連帯保証人や保証人の設定も必要ありません。
ただし夫婦で収入合算する場合は、一方が連帯債務者となることが求められるので注意しましょう。
借入額を少なく設定する
住宅ローンの借入額を減らせば、夫単独の年収でも審査に通りやすくなるでしょう。年収に対して借入額が大きいと、返済の負担が大きくなるため審査にも通りにくくなります。
もし手持ちのお金に余裕があれば、借入額を少しでも減らして現金で支払うのがオススメです。住宅ローンは借金であるため、できるだけ額は少ない方が将来的にも安心でしょう。
ただし、生活費を切り崩すなどしてギリギリのやりくりをするのはオススメしません。前払いをするにしても、あくまで余裕をもった資金繰りをしましょう。
借入額の多い金融機関を選ぶ
少しでも多くの額を借り入れるには、借入額の多い金融機関を選びましょう。借り入れできる金額や審査条件は、金融機関によって差があります。
たとえばA銀行で2,500万円借りられたにも関わらず、B銀行では2,000万円しか借りられなかったということも考えられます。
こうした「自分にとって借りやすい銀行」を見分けるためには、金融機関の事情に詳しい不動産屋に相談すると良いでしょう。
住宅購入の仲介業者となる不動産屋は、銀行の審査事情などを良く知っています。事情を話し、希望する借入額が通りそうな金融機関を選ぶサポートをしてもらうのがオススメです。
2.ブラックリストが解除されてから住宅ローンを組む
夫単独で住宅ローンを組むのが難しい場合、妻とのペアローンや収入合算が必要になります。この場合は、妻のブラックリスト解除を待つしかありません。
なおブラックリストに載る期間は債務整理の手続きごとに異なり、以下のとおりです。
- 任意整理:約5年
- 個人再生:約7年
- 自己破産:約10年
ブラックリスト状態が解除されてからは、信用情報が元に戻ります。つまり審査にも債務整理前の状態でのぞめるということです。
妻も含めて住宅ローンを組む必要がある場合はブラックリスト状態が解除されるのを待ち、信用状態を回復させてから申し込みましょう。
ブラックリストと信用情報について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
債務整理と信用情報機関の関係は?ブラックリストに載った場合のデメリットと対処法を解説
ブラックリスト掲載期間が最も短いのは「任意整理」
任意整理とは将来利息をカットし、返済期間を最大5年まで延長できる債務整理手続きのことです。裁判所を通さず、当事者間の直接交渉により手続きを行ないます。
任意整理のブラックリスト掲載期間は5年と、債務整理手続きの中でも最短です。5年なら、住宅購入を待つことも視野に入れられるかもしれません。
任意整理では将来利息をカットし、返済額と期間を整理して返済計画を立て直す方法です。そのため、他の手続きとは異なり借金や債務の元金は減らせません。リボ払いで膨らんだ利息の支払いに困っている場合などに、オススメの手続きといえます。
また任意整理はその手軽さも、メリット1つです。任意整理は債務整理の中でも、唯一裁判所を通さない手続きです。そのため当事者間の交渉だけで手続きが完結し、スピーディーに解決できるのが特徴。
裁判所を通さないので、「官報」と呼ばれる政府発行の誌面に個人情報が掲載されることもありません。もし弁護士などに代理人を依頼した場合も、債務整理手続きの中で最も費用が安く済みます。
任意整理について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
任意整理にかかる期間は?最短3ヶ月のスピード手続きで借金問題を解決!
債務整理した金融機関で住宅ローンを組まない
もしブラックリスト状態が解除されても、債務整理の対象となった金融機関ではローンを組まないようにしましょう。
通常、信用情報機関のブラックリストは所定の年数で消えます。しかし、社内独自のブラックリストは残り続けるケースが多いのです。
特に債務整理をした本人が再び同じ会社で住宅ローンを組むとなった場合、審査に通るのは難しいでしょう。連帯保証人になる場合も同様です。
もし不動産屋など仲介業者から債務整理した金融機関をすすめられた場合は、債務整理したことがある旨を相談してみると良いでしょう。
まとめ
原則として、配偶者の債務整理が世帯全体に影響を及ぼすことはありません。もし妻が債務整理しても、夫が個人名義で住宅ローンを組む分には問題ないでしょう。
しかし、収入合算やペアローンを組む場合、また妻が連帯保証人になる場合においては別です。審査に通る可能性はきわめて低いでしょう。この場合は、妻のブラックリスト状態が解除されるまで待つか、夫個人で住宅ローンを組みましょう。
ブラックリスト期間が最も短いのは任意整理。そして、保証人や保証料不要で審査も通りやすいローン商品としては、フラット35がおすすめです。
どちらにせよ債務をたまったまま放置するのは危険です。相手から裁判を起こされたり、一括請求されたりする前に清算することがベストといえます。もし債務整理について不明な点があれば、相談無料の弁護士事務所などを利用して相談すると良いでしょう。
妻の債務整理と住宅ローンの関係についてよくある質問
妻の債務整理が夫の住宅ローン契約に直接影響することはありません。夫1人の名義で住宅ローンを組むのであれば、妻が債務整理していても可能です。
妻の債務整理が夫の住宅ローン契約に直接影響することはありません。ただし妻が連帯保証人になる場合や、ペアローンを組む場合は例外です。審査の際に妻の信用情報も確認されるため、事故情報が載っていれば審査を通過するのは難しいでしょう。
妻が連帯保証人になったり、ペアローンを組むのではなく、夫1人の名義で住宅ローンを組めば、妻が債務整理していても確実に夫名義で住宅ローンを組めます。連帯保証人不要で借り入れしやすいフラット35などを利用するとよいでしょう。
借入額が大きくなればなるほど、人的担保として連帯保証人を設定するよう求められます。そのため、借入額を少なくすれば夫1人の名義で住宅ローンを組める場合もあるのです。
どうしても妻が契約者として必要な場合は、ブラックリストの解除を待ちましょう。債務整理後5~10年でブラックリストは解除されるのが一般的です。

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