光熱費を支払えない場合どうなる?
ではまず光熱費を払えないとどうなるのか、電気・ガス・水道それぞれに分けて解説をしていきます。
それぞれの供給元によって停止までの日数は異なりますが、いずれにしても延滞後は
- 供給停止の予告が届く
- 一定の日数が経過したあとに供給が停止する
という流れを取り、滞納分を支払うことで供給が再開します。
電気代を滞納した場合
ここでは関東を管轄する東京電力の事例を解説しています。
東北電力や中部電力、関西電力など一般送配電事業者に分類される電力会社においても対応は同じです。
1.延滞利息が発生
電気料金の支払期日は検針日から30日目です。それを経過すると、年率10.0%の遅延損害金が加算されていきます。
電気代10,000円を20日延滞した場合は、以下の計算で求められます。
10,000×10%÷365×20日=55円
ローンの遅延損害金よりは低めですが、使用料が多い場合は遅延損害金も高額になりますので注意しましょう。
ローンの遅延損害金については以下の記事で解説しています。
2.支払期限から20日程度で送電停止の通知が届く
本来の期日までに支払がなかった場合、電力会社から圧着ハガキや封書で支払を促す通知が届きます。
東京電力の場合は「至急ご確認ください」と表面に書いてあり、重要であることが誰にでも一目で分かるようになっています。
通知には指定の期日までにコンビニもしくはクレジットカードで電気料金を支払をするように書かれていて、支払がない場合は送電を停止すると警告しています。
支払期日は検針日翌日の50日後、すなわち本来の期日の20日後に設定されますので、通知が届いた時点で支払までの猶予があまりないことも特徴です。
3.検針日翌日から51日以降に送電停止
督促状を受け取っても支払がなかった場合、電力会社によっては送電停止の最終通知が届きます。
その通知には支払の最終期限が書かれており、それを過ぎた場合はいつ電気が止まってもおかしくない状態です。
東京電力の場合、検針日翌日の57日が送電停止の目安とされています。
4.延滞分の全額を支払い、連絡をすることで送電再開
延滞している料金を全額支払い、電力会社に連絡をすることで送電が再開します。
支払連絡から送電開始までにかかる時間は地域によって異なりますが、ほとんどの場合連絡から1時間以内に再開されます。
自宅に備え付けの電力量計にスマートメーターが搭載されていれば、遠隔操作で24時間いつでも再開ができます。
スマートメーターでない場合は作業員による通電再開工事が必要となり、支払連絡が夜中だった場合は送電再開が翌日の9時以降になります。※東京電力の場合
ガス代を滞納した場合
ここでは都市ガス(東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなど)を滞納したパターンについて解説しています。
1.延滞利息が発生
ガスの支払期限日は検針日の翌日から30日後です。
期日を過ぎた場合は一日あたり0.0274%の割合で延滞利息がかかります。
(参考:東京ガス お支払い期限と延滞利息)
ガス料金3,000円を20日間支払わなかった場合の計算式は以下の通りです。
3000円×0.0274%×20=16円
ローンの遅延損害金と比較すると遥かに低いことが特徴ですので、延滞によるリスクが少ないと思う方もいるかもしれません。
しかし支払を放置していると電気料金同様、支払を停止する旨の通知が届きます。
2.供給停止予告が届く
支払期日を過ぎると供給停止予告のお知らせが届きます。
供給停止予告には、請求の対象となる月と金額、支払期限日、そして支払わなかった場合にガスが止まる日について記載されています。
都市ガスの場合、供給停止日は検診日翌日から50日後~60日後に設定されていることが大半です。
3.検針日翌日から50日経過で供給停止
供給停止予告に記載された日付、つまり検針日翌日から50日を過ぎても支払がなかった場合、ガスの供給が止まります。
止める直前の予告はなく、ガスを止めた後に「供給停止のお知らせ」という文言の報告書が送付されます。
ガスの供給を再開するには、供給停止のお知らせに記載された料金を全て支払わないといけません。
督促状もしくは供給停止のお知らせに払込用紙が添付されていますので、コンビニもしくはガス会社の事務所で指定された金額の支払を行います。
4.延滞分の全額を支払うことで供給再開
延滞している分を全て支払った後に連絡をすることで、ガスの供給が再開します。
支払連絡を24時間受付していた電気会社とは異なり、ガスの場合は連絡の受付時間が決まっていることが大半です。
東京ガスの場合はインターネットから24時間報告を受付していますが、16時30分(日曜・祝日は14時30分)までの連絡の場合、翌日9時以降の対応になります。
供給再開には利用者立ち合いが必要になるケースが多いため、できるだけ早めに支払をするよう心がけましょう。
水道代を滞納した場合
水道費を滞納したときの対応は、管轄している自治体によって異なりますが、流れは電気・ガスの場合と同じです。
しかし電気やガスに比べると、以下の点が大きく異なります。
- 遅延損害金がかからないことがある
- 供給停止までの日数が長い
- 滞納が長い場合、督促の電話や訪問を行う自治体もある
滞納から供給再開まで、流れにそってさらに詳しく解説をしていきます。
1.自治体によっては納付期限の翌日から延滞金が発生する
電気や都市ガスの場合は納期期限の翌日から延滞利息が発生していましたが、水道費の場合は自治体によって遅延損害金の有無、利率がバラバラです。
東京都や横浜市・大阪市・福岡市の場合は遅延損害金がかかりません。
仙台市や明石市、枚方市の場合、民法第404条に基づき、期日翌日から年3.0%の遅延損害金が課せられます。
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年三パーセントとする。
引用元:民法
新潟県三条市の場合は日本銀行法に基づき、期限の翌日から1か月は年7.3%、それを超えた場合は年14.6%の遅延損害金が加算されます。
2.納付期限の1か月程度で催促状が届く
支払の期限から1か月程度経過すると、支払が確認できていない旨を記した催促状(督促状)が届きます。
催促状には請求金額と納付期限、コンビニ納付用のバーコードが記載されています。
それでも支払がない場合、催促状送付の2週間後くらいに勧告状を送付する自治体もあります。
勧告状は催促状と内容は同じなのですが、文面が厳しめになっていることが特徴です。
滞納が長くなると、電話での連絡や訪問を行う自治体もあります。
3.給水停止予告書が届く
本来の納付期限から2か月以降に、最終通告として給水停止予告書(給水停止執行通知書)が送られてきます。
給水停止予告書が発送される条件は自治体によって異なり、大阪市水道局の場合は納付期限の4か月後、もしくは10万円以上の滞納の場合に予告書が発送されます。
給水停止予告書の文面は今までの督促状・勧告状よりも厳しく、以下のことが記載されています。
- 支払がない場合、指定した日に給水停止をする
- 給水停止をしても支払がない場合、裁判所へ申し立てを行う(差押えを行う)
4.水道が止まり給水停止通知書が届く
給水停止予告書の日付を過ぎると、水道局の担当者が水道の元栓を閉めに来ます。
現地に直接訪問するため、水道が止まるのは担当者が勤務している平日の昼間です。
止める直前に予告はなく、止めた後に「給水停止通知書」を家に置いていきます。
元栓は自分で開けることもできますが、勝手に元栓を開けると再度担当者が訪問し、元栓に鍵付きのキャップを取り付けていきます。
5.営業所窓口で延滞分を支払うことで給水が再開する
延滞している分を営業所窓口で支払することで、早ければその日のうちに給水を再開してもらえます。
水道局によっては分割払いに応じてくれる、もしくは一部だけの入金でも給水を再開してくれる場合もあります。
水は生命にも関わる上、自治体が管轄していますので、電気やガス等と違って融通を利かせてもらえる可能性が高いです。
光熱費をどうしても払えない時の対処法
光熱費を払えなくなっても遅延損害金は少額もしくは0円であり、信用情報がブラックになることはありません。
だからといって放置をしているとライフラインを止められ、普通の生活を送ることが困難になってしまいます。
どうしても支払ができない場合、なるべく早めに事業者に相談をすることをお勧めします。
まずは事業者に相談しよう
会社によって対応は異なるのですが、支払えない理由を伝えれば支払を猶予してもらえる場合があります。
今は新型コロナウイルスの影響により、公共料金の支払が困難になっている方が増えてきています。
そのため経済産業省から電気事業者・ガス事業者に対し、顧客の状況に応じて支払を猶予するよう要請が出されています。
それを受けて各電気会社・ガス会社は、支払に困った時は相談するよう契約者に呼びかけています。
当社は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、電気料金またはガス料金の支払いにお困りのお客さまからお申し出があった場合は、支払い期日を延長する特別措置などの対応を行っております。
支払いにお困りのお客さまはご相談ください。
引用元:東京電力:新型コロナウイルス感染症の影響で電気料金またはガス料金の支払いにお困りのお客さまへの支払い日の延長等について(2021年6月14日一部変更)
コロナウイルスに罹患して仕事ができなかった、もしくは勤務先の休業や失業が原因で支払ができない方は、気軽に相談をしてみましょう。
支払に優先順位をつけよう
電気・ガス・水道の中で、水道は給水停止までの期間が長く、自治体によっては分割払いや一部だけの支払に応じてくれるケースもあります。
水道費の支払については前もって水道局に相談し、電気やガスを優先して支払うという手段もあります。
「ガスがなくても少しなら問題ない」という方は電気を優先して支払うなど、自分にとって不可欠なものを先に支払いましょう。
債務整理を検討しよう
光熱費の支払に困るほど収入が減った場合、もしくは月々の光熱費や借金の支払が苦しい場合は、債務整理も視野に入れることをお勧めします。
今支払のピンチを一度切り抜けたとしても、先延ばしにした光熱費はいずれ払わないといけないものです。
しかも生活をしている限り光熱費は毎月かかり続けます。
ローンやクレジットカード残高に関しては、債務整理をすることで、借金の支払を先延ばしして減額もしくは免除してもらうことができます。
債務整理の手段については以下の記事に詳しく記載されています。
債務整理で自己破産を選択した場合、光熱費も免責の対象となりますので、支払をなくすことが可能です。
下水道料金は自己破産の対象外なので要注意
「債務整理」という言葉を聞くと、借金やローンだけが対象だと考えている方も多いのではないでしょうか。
債務整理でも自己破産を選択した場合、光熱費やガス代も支払を免除してもらえます。
自己破産について詳しく知りたいかたはこちらも併せてお読みください。
しかし自治体に支払う税金、下水道費などは公租公課にあたり、自己破産での免責対象ではないので注意してください。
公的支援制度の利用を検討しよう
仕事がなくなった、もしくは勤務時間を減らされた際、自治体に何らかの支援制度の申請は行いましたか?
もしかすると受けられる支援制度があるかもしれませんので、まだ支援を受けていない方は確認をしましょう。
休業支援金
コロナウイルス対策による時短営業で勤務時間が短くなった方、シフトが減少した方が申請できる支援金です。
支援が受けられる金額の計算式は以下の通りです。
休業前の一日あたり平均賃金×80%×(各月の日数-就労した日数と労働者の事情で休んだ日数の合計)
本来なら働くはずだった日の給与の80%にあたる金額を補てんしてもらえる、という計算です。
申請には休業前と休業中の賃金を比較できる書類(給与明細など)が必要です。
休業期間に応じて申請の締め切りが定められていますので、申請がまだの方は早めに確認をしましょう。
参考:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
傷病手当金
コロナに限らず、業務外の病気やケガが原因で仕事に就けず、給与がもらえなかった場合は傷病手当金を申請できます。
申請には以下の条件を全て満たす必要があります。
- 業務外の病気、ケガが原因である
- 仕事に就けない
- 連続する3日を含み、4日以上仕事に就けない
- 休んだ期間の給与の支払がない
あくまでも給与が出なかった場合が支給対象ですので、有給を使った場合は支給されないことに気をつけてください。
加入している健康保険組合で申請ができます。
失業手当
失業前に働いていた勤務先で雇用保険、失業保険に加入していた場合、加入期間が条件を満たしていれば失業手当を受け取れます。
加入期間の条件は以下の通りです。
- 特定理由離職者(自分の意思に反する離職)…6か月以上
- 特定受給資格者(勤務先の倒産や解雇)…6か月以上
- 自己都合での退職…12か月以上
申請はハローワークで行えますが、月2回以上求職活動を行い、4週間に一度失業認定を受けることが条件です。
総合支援資金
生活福祉基金の特別貸付に分類される制度で、生活再建までの間に必要な生活費用を借りることができます。
主にコロナウイルスで失業した人向けですが、収入が減って日常生活が苦しい方でも申請ができます。
単身世帯で月15万円以内、二人以上の世帯では月20万円以内を無利子で借りられます。
住んでいる地域を管轄する社会福祉協議会で申請できます。
参考:厚生労働省:生活福祉資金の特例貸付 総合支援資金について
緊急小口資金
上記の総合支援資金と同じく生活福祉基金の特別貸付の一種であり、社会福祉協議会で申請ができます。
緊急という名称の通り、緊急かつ一時的に生活ができなくなった時、一時的な助けとして少額のお金を借りられる制度です。
貸付上限は10万円ですが、以下に該当する方は最高で20万円以内まで借りることができます。
- 世帯員にコロナウイルス罹患者がいる
- 世帯員に要介護者がいる
- 4人以上の世帯である
- 子どもが臨時休校、もしくはウイルス感染疑いで自宅待機になり、本来なら働くはずの家族が働けなくなった
- 休業や時短営業の影響で収入が減少した
参考:厚生労働省:生活福祉資金の特例貸付 緊急小口資金について
生活保護
生活保護は日本国憲法でも定められている「最低限の生活」を保障するための制度です。
給付を受けるには以下の条件があります。
- 働いても生活費が得られない、もしくは働けない状態にある
- 財産や収入が国が定める基準以下である
- 社会保障給付を受けても生活を改善できない
先に解説をした失業保険や休業支援金を使用しても生活が改善できない場合が該当します。
申請をするには住んでいる地域を管轄する福祉事務所に相談を行い、対象かどうかを審査してもらう必要があります。
まとめ
光熱費は払えない場合でもブラックリストには登録されず、遅延損害金も多くはかかりませんが、ライフラインの供給を断たれるという大きなデメリットがあります。
電気やガスの場合は検針日翌日より50日以降、支払期日の20日以降には供給停止になりますので、支払までの猶予が短いことも特徴です。
現在はコロナウイルスの影響により支払を猶予してもらうこともできますので、困った時には早めに事業者に連絡をしましょう。
ただあくまでも「支払を待ってもらえる」というだけですので、いずれは滞納した光熱費を払わなければいけません。
光熱費の支払に困るほど収入が減ってしまった場合、早めに債務整理を検討しましょう。
返済の負担を減らすことで光熱費を支払うことができ、ストレスのない生活を取り戻すことができるでしょう。
光熱費が払えないことに関するQ&A
光熱費を延滞するとブラックになりますか?
光熱費を延滞してもブラックにはなりません。遅延損害金も通常のローンに比べると低いことが大半ですが、支払をしないでいるとライフラインの供給が断たれるというデメリットがあります。
光熱費の督促はどのように行われますか?
電気やガスの督促は、ハガキや封書で行われます。郵送物の外側に「料金を払っていません」と記載されるわけではありませんが、「重要」「至急ご確認ください」等と目立つように書かれていることが特徴です。水道の場合は郵送、自宅への通知投函だけでなく、自治体によっては電話や訪問での督促も行います。
電気やガスなどの供給が止まる時間は決まってますか?
決まっていません。最終通告に書かれた日付を経過した場合、いつ供給が止まってもおかしくありません。水道は担当者が手作業で元栓を閉めに来るため、水道は原則として平日の昼間に止まります。
光熱費の延滞分も債務整理できますか?
任意整理はできませんが、自己破産によって光熱費や家賃などを免除してもらえます。しかし下水道は公租公課にあたるため債務整理はできません。
最短即日取立STOP!
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