債権回収会社とは?
債権回収会社は、法律で債権回収業務を特別に認められている取り立て専門の会社です。
債権回収会社からの連絡が来たなら、債権者から訴訟を起こされ財産などを差し押さえられるまで時間がない状況なので、早急に適切な対応をする必要があり絶対に無視してはいけません。
ここでは債権回収会社についての詳細や、差し押さえに至るまでの流れなどをまとめました。
なお、近年は債権回収業者を装った悪質な詐欺被害も発生しているので、正規の債権回収会社と悪徳業者との見極め方も解説します。
債権回収会社とは債権者に代わり取り立てを行う会社
債権回収会社とは債権者に代わり取り立てを行う会社で、サービサーとも呼ばれています。
取り立て専門の会社と聞くと、闇金や暴力団など怪しい組織が思い浮かぶでしょうが、債権回収会社は「債権管理回収業に関する特別措置法(通称:サービサー法)」という法律に基づいて取り立てを行うことを認められている会社なので安心してください。
実際に、以下の条件を満たし、法務大臣の許可を得ている会社でなければ債権回収業務は行えません。
- 資本金5億円以上の株式会社である
- 常務に従事する取締役に弁護士が1名以上いること
- 暴力団を業務に従事させていないこと
- 暴力団員および暴力団員でなくなった日から5年が経過しない人が事業を支配していないこと
ご覧のように暴力団との関わりがなく、取締役に弁護士が含まれないといけない点から、違法な会社は法務大臣の許可が下りず債権回収業務を行えないことが分かるでしょう。
正規の債権回収会社と違法業者との見極め方
債権回収会社は違法な業者ではありませんが、実は近年債権回収会社を名乗る悪徳な業者が増えています。
債権回収会社と違法な業者を見分けるポイントの一つとしては、取り立ての方法が挙げられます。
正規の債権回収会社であれば取り立ても法令を遵守して行います。
債務者の私生活の平穏を害したり、脅したりする取り立て行為は貸金業法によって規制されています。
そのため、正当な理由がないのに早朝深夜にあたる午後9時から午前8時の間に債務者に電話もしくは自宅へ押しかけたり、勤務先など自宅以外の場所に電話もしくは押しかけたりする行為は正規の債権回収会社ではあり得ません。
また脅迫や恫喝も法令遵守している会社では絶対に行いませんので、こういった取り立て行為をされるなら違法業者と判断しましょう。
とはいえ、実際に取り立ての電話などがあると焦ってしまい冷静な判断ができないでしょうから、ここで法務大臣の許可を得ている正規の債権回収会社の一例を挙げますので参考にしてください。
・日本債権回収株式会社
・SMBC債権回収株式会社
・アビリオ債権回収株式会社
・パルティール債権回収株式会社
・アイ・アール債権回収株式会社
・株式会社セディナ債権回収
・オリックス債権回収株式会社
・三菱HCキャピタル債権回収株式会社
・アルファ債権回収株式会社
上記を含め、法務省に認可されている債権回収会社は令和5年4月3日時点で75社あります。
なお、法務省の公式サイトにて「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」というページが用意されているので、自身に連絡をしてきた会社が正規の債権回収会社かを確認すると安心です。
債権回収会社が回収できるのは特定金銭債権のみ
債権回収会社はサービサー法によって回収できる債権が特定金銭債権のみと決まっています。
以下に特定金銭債権に該当する債権の一例を挙げました。
- 金融機関や貸金業者が有する貸付債権
- リースやクレジット債権
- 保証会社や金融機関等が有する求償債権等
- 法的倒産手続中の者が有する金銭債権等
銀行カードローンや消費者金融カードローンのほか、クレジットカードでの分割払いやリボ払い、リース契約等も債権回収会社が取り扱い可能な債権に該当します。
カードローンなどで借金をした覚えがないのに債権回収会社から連絡が来たというケースでは、クレジットカードで割賦購入したのに支払いを滞納していたり、リース料金を滞納したりしている可能性があります。
債権回収会社と債権者との関係性
債権回収会社が正式に認められて取り立て業務を行う会社と分かりましたが、ではなぜ本来取り立てを行う立場である債権者が回収業務を委託するのか気になるところです。
借金の返済が滞るようになった段階では債権者が督促を行いますが、回収ができず不良債権となった場合には債権者にとっては多大な損失となってしまいます。
また、滞納が長引いてしまうと取り立て業務のせいで他の業務に支障が出てしまう可能性もあります。
そこで債権回収会社に債権よりも安い金額で債権を売却すれば、損失を最小限にとどめることができるうえ、面倒な取り立てを全て任せることができてとても便利です。
一方、債権回収会社は債権者から手数料を受け取り、債務者から債権を回収することで利益を確保できるのです
つまり、債権者と債権回収会社はお互いの利益確保のために協力関係にあると言えます。
そのため、債権回収会社は債権者の子会社もしくは関連会社であるケースが多いのです。
債権回収会社を装った詐欺も発生しているので注意
債権回収会社は法律で認められている会社ですが、近年では債権回収会社を名乗る悪徳業者による詐欺被害も発生しています。
詐欺の実態としては、出会い系やアダルトサイトの利用料金が未払いで債権回収する、放置すれば訴訟を起こすなど言葉巧みに消費者へ架空請求を行うのです。
裁判になったらどうしようと不安になるでしょうが、焦って振込をしてしまうのではなく一旦冷静になりましょう。
ちなみにインターネット利用料金については、特定金銭債権ではないので債権回収会社が回収をすることはありません。
借金を滞納していて債権回収会社から連絡が来ることに心当たりがあったとしても、必ず法務局のホームページで正規の会社かを確認してください。
なお、正規の債権回収会社では、目隠しシールのないハガキでの請求や督促をする、携帯電話番号を連絡先に指定する、個人名義の口座を振込先に指定することはありません。
もしもこれらに該当する行為があれば悪徳業者と判断できますので、絶対に連絡をせず無視しましょう。
債権回収会社による取り立てを無視していけない理由2つ
債権回収会社からの連絡を無視することは決しておすすめできません。
その理由は大きく2点あります。
- 回収手段がより厳しいものになっていくから
- 最終的には給料や財産の差し押さえで強制的に回収されるから
1.回収手段がより厳しいものになっていくから
債権回収会社による回収は、概ね以下のような流れで深刻化します。
- 借金の滞納状態が続き、督促にも応じない
- 債権者から債権譲渡通知書が届く(債権を譲渡される)
- 債権回収会社からの取り立てが始まる
- 一括請求を求める通知が届く
- 裁判所から特別送達郵便がくる
- 強制執行により差し押さえされる
督促の頻度や手段がより厳しいものになっていく
債権回収会社は、債権者よりも積極的に借金回収のため動くことが特徴です。
そのため、督促を無視し続けていると自宅の固定電話や実家、勤務先にも電話がかかってきたり、督促状が届く可能性があります。
また、自宅訪問による督促も躊躇なくおこなうので、同居している家族や近所に借金の事実を知られやすくなってしまうでしょう。
残債の一括請求が行われる
債権回収会社からの督促は、基本的に一括請求です。
なお、一括請求されるのは滞納している分の元金や利息、遅延損害金だけでなく、借金残高の全額であることが一般的です。
これは、一括請求の通知が届く時点で、債務者が期限の利益を喪失していることが原因と考えられます。
期限の利益とは債務者が持つ借金を分割で返済する権利のことで、期限の利益を喪失すると、債権者は債務者に対して借金全額を一括請求できるようになります。
そして、借入時に記入する契約書には、期限の利益を喪失する条件として「分割払いの返済が遅れてしまったとき」などの内容が定められている場合がほとんどなのです。
裁判手続きを使われる
一括請求の通知も無視すると、債権者から訴訟を提起され裁判所から通知が届くこともあります。
裁判所から届く通知は、主に「支払督促」と「訴状」の2種類で、どちらも放置してしまうと債権者に有利な形で判決が下りてしまいます。
債権者に有利な判決とはすなわち「債権者が債務者の財産を差し押さえる権利を得る」ことです。
強制執行が行われる
訴訟の結果、裁判所によって債権者に債務者の財産を差し押さえる権利が与えられると、実際に強制執行(財産の差押え)がおこなわれます。
債権者が差し押さえる財産には、主に以下のようなものがあります。
- 給料
- 銀行口座
- 生命保険の解約返戻金
- 不動産(自宅を含む)
- 車
優先的に差押えられるのは、給料と銀行口座内の預貯金です。とくに給料は、一度差し押さえると手取り額の1/4※を毎月回収できるため、多くの債権者が最優先で差し押さえようとします。
※手取り額が44万円を超える場合は、33万円を超えた金額すべてが差押えの対象
もし、給料の差押えを受けてしまったら、勤務先にも裁判所から通知が届き、勤務先に借金の事実を知られるだけでなく迷惑をかけることにもなってしまうでしょう。
2.最終的には給料や財産の差し押さえで強制的に回収されるから
前述したように、債権回収会社から督促の連絡がきても放置し続けていると裁判を起こされ、差し押さえに発展する危険があります。
強制執行されると、給料や銀行預金などを差し押さえられるので、生活する上でも支障が出るでしょうし、家族にも迷惑をかけてしまうでしょう。
債権回収会社から取り立てをされている段階で、きちんと交渉したり対応したりすることが大切です。
万が一差し押さえに発展した場合、真っ先に差し押さえられるのは給料です。
給料は債務者の最低限の生活を保護するため、手取り額の4分の1までしか差し押さえられることはありません。
しかし、手取り額が44万円を超える場合、33万円を超えた金額すべてが差し押さえられることになります。
借金をすべて支払い終わるまで差し押さえは続きます。
給料の差し押さえで注意したいのは、裁判所から会社に差し押さえ執行の連絡が入るため、会社に必ず借金をしていたとバレてしまうことです。
差し押さえの噂が広まり会社にいづらくなってしまう可能性があります。
また、給料のほかに銀行預金や、不動産、株券や貴金属などの財産を差し押さえされる可能性もあるので注意しましょう。
債権回収会社からの厳しい回収を回避する方法
正規の債権回収会社から取り立ての連絡がきたら無視しないことが重要ですが、すぐに借金を返済する余裕がないとどうしても連絡を取るのをためらってしまうこともあるのではないでしょうか。
しかし、そのまま借金問題を解決しなければ取り立ては続きますし、放置し続けると差し押さえを執行されてますます生活に余裕がなくなってしまう危険があります。
そのため、債権回収会社から連絡がきたらまず、速やかに督促に応じるか、弁護士や司法書士に相談して、今後の対応を考えましょう。
弁護士や司法書士に相談すると借金問題を根本的に解決することに繋がりますし、すでに支払う必要のない借金と判明する場合もあります。
1.速やかに督促に応じる
債権回収会社からの請求どおりに支払える資力があるなら、速やかに督促に応じて支払いを済ませるのが最も簡単な解決方法です。
請求どおりに支払いをおこなう場合は、督促の通知を見るか債権回収会社に問い合わせて支払方法を確認してください。
なお、支払日が遅れると、その分遅延損害金が上乗せされて返済額が増えてしまうので、督促に応じる場合はできるだけ早く支払いを済ませることをおすすめします。
2.弁護士・司法書士に債務整理の相談をする
もし速やかに督促に応じるだけの返済能力が残っていない場合は、弁護士や司法書士に債務整理の相談をするべきタイミングに差し掛かっていると考えられます。
このまま無視し続けても、最終的には強制執行で給料や財産の差し押さえに発展する恐れががありますので、前向きに債務整理を検討しましょう。
債務整理を行えば差し押さえを回避できる
債権回収会社から連絡がきても、借金を返済する余裕がないなら差し押さえをただ待つしかないと感じるかもしれませんが、弁護士や司法書士に依頼すれば債務整理によって差し押さえを回避できます。
差し押さえを回避できるうえ、債務整理をすれば借金を減らせるので、きっと借金完済の目途がつくはずです。
差し押さえをされると会社にも借金の事実がバレてしまいますし、家族にも迷惑がかかるので、差し押さえに至る前の対応が重要と言えます。
債務整理をすると取り立てはすぐに止まる
弁護士や司法書士は債務整理の依頼を受けると、すぐに債権回収会社へ受任通知を送付してくれます。
受任通知は、弁護士や司法書士が債務者の代理となり債務整理手続きを行う旨を知らせるものです。
実は債権者は受任通知を受け取った後、債務者に取り立てをしてはいけないという決まりがあるので、弁護士や司法書士に債務整理を委任するとすぐ債権回収会社からの取り立てが止まります。
取り立てが止まるだけでも精神的に楽になれるでしょうし、返済のことを一時的に考えずに済み債務整理に集中できるようになります。
債務整理の3つの種類とその効果
借金の返済ができない、完済が見込めない状況なら、弁護士や司法書士には借金を減額するため債務整理を進められるでしょう。
債務整理と聞くとあまり良くない印象を受けるかもしれませんが、債務整理は国が認めた借金救済制度なので決して悪いことではありません。
むしろ借金問題をより早く解決できる手続きなので、1日も早く生活を立て直すにはうってつけの手段です。
債務整理と一言で言っても、実際には任意整理と個人再生、自己破産という3通りの手続き方法に分類されます。
将来の利息をカットできる任意整理
任意整理は将来の利息をカットしてもらい、残った借金を原則3年で完済していく手続きです。
元本だけを返済すれば良いので、完済までの道のりが近づきます。なお、任意整理は持ち家や車、財産を回収されず、家族にも知られずに済むメリットがあります。
また、手続きにかかる費用が1債権者あたり5万円前後と安めなので、債務者の負担が少ないのも魅力です。
弁護士や司法書士と債権者が和解交渉を行うため、裁判所を介さずに手続きが進みます。
借金を5分の1程に減額できる個人再生
個人再生は借金を5分の1程度に減額してもらい、残った借金を原則3年で完済していく手続きです。
借金が多額で任意整理では完済が難しい場合に個人再生を検討します。
借金を大幅に減額できるうえ、住宅ローン督促を利用すれば持ち家を手放さずに済むメリットがあります。
ただし、裁判所を介して行う手続きのため、手続きにかかる費用が弁護士や司法書士への報酬と裁判所に支払う費用の合計で約50万円~80万円かかることを理解しておきましょう。
借金を帳消しにできる自己破産
自己破産は借金を全額免除してもらう手続きです。
借金が帳消しになるので、多額の借金を抱えている場合も生活を債権しやすいのが特徴です。
借金総額が5,000万円を超えていたり、継続収入が見込めなかったりして個人再生ができない場合は自己破産を検討します。
借金がなくなるのは非常に大きなメリットですが、持ち家や車、貴金属など高価な財産は回収されることになります。
ただし、破産後の生活に最低限必要と認められている99万円以下の現金などの自由財産や生活必需品は手元に残せるので安心してください。
自己破産も個人再生と同様、裁判所を介して行う手続きのため、手続きにかかる費用が弁護士や司法書士への報酬と裁判所に支払う費用の合計で約30万円~80万円かかることを理解しておきましょう。
弁護士・司法書士に支払い義務がある借金かどうか確認してもらうことも可能
債権回収会社から連絡が来たと弁護士や司法書士に相談すると、本当に支払う必要のある借金なのかを確認してもらえます。
実は借金には消滅時効というものがあり、時効が成立していれば返済義務はありません。
最後に返済をした時から5年~10年経過している場合は、時効を迎えている可能性が高いです。
もしも時効を迎えているのに、債権回収会社へ連絡をしてしまうと返済する意思があると見なされ時効が成立しない可能性もあるので、まずは弁護士や司法書士に相談することが重要です。
なお、借金の時効を迎えれば自動的に支払い義務がなくなるわけではなく、時効の援用という手続きによって、消滅時効制度を利用すると債権者に伝えなければなりません。
ただし、裁判所から督促がきたり強制執行されると時効は更新される仕組みなので、裁判所から通知がきたら支払い義務が生じていることになります。
弁護士や司法書士ならば、消滅時効制度が利用できる状況なのかを調査してくれますし、もし利用できるなら時効の援用手続きをしてもらうこともできます。
本来支払わなくて良かった借金だったと後悔しなくて済むよう、弁護士や司法書士に早急に連絡しましょう。
まとめ
債権回収会社という聞き覚えのない会社から突然督促状や電話がきたら驚くでしょうが、借金の借入先が自社での回収を諦めて委託した会社なので安心してください。
ただし、なかには債権回収会社を名乗り詐欺を行う悪徳業者もいますので、まずは法務省のホームページで回収業務を行う許可を得ている正規の会社かを確認しましょう。
法務省の許可を得ていない業者なら無視するのが最も良いですが、正規の会社であれば差し押さえに発展するので無視は絶対にやめて早急に弁護士や司法書士へ相談してください。
弁護士や司法書士なら借金が消滅時効を迎えていないかも調べられますし、借金の返済ができない状況でも債務整理によって差し押さえを回避できるのがメリットです。
放置していても借金問題は解決しませんから、債権回収会社からの取り立てを良い機会と考えしっかり向き合ってみましょう。
借金問題が解決すれば精神的にも楽になりますし、気持ちを新たに生活を再建できるはずです。
債権回収会社の取立てについてよくある質問
債権回収会社とは何ですか?
債権回収会社は金融機関や消費者金融と連携している取り立て専門の会社です。
債権回収会社から違法な取立てを受けることはないのですか?
債権回収会社は法律に基づいて回収業務をするため違法な取り立てをすることはありません。
債権回収会社から取立てを受けたのですが、借金を払える見込みがありません。取立てを無視したらどうなりますか?
債権回収会社から取立てを受けたら無視してはいけません。無視すると一括請求を受け、最終的には裁判を起こされて財産を差押えられます。
債権回収会社からの取立てを無視して差押えに至ったらどうなりますか?
仮に給料の差押えに至った場合、会社にも裁判所からの通知が届くので、借金や滞納の事実が会社にバレてしまいます。また、預貯金口座や自宅などが差押えられれば、家族にも借金がバレてしまうでしょう。
債権回収会社からの取立てを受けたらどう解決すればよいですか?
債権回収会社から連絡がきたら、まず弁護士や司法書士に相談することが大切です。借金問題の解決実績豊富な弁護士や司法書士へ相談すれば、状況に合わせて幅広い解決策を提示してくれるので、自分に取って最善の方法で借金問題を解決できるでしょう。
最短即日取立STOP!
一人で悩まずに士業にご相談を
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